JP4741170B2 - アニオン性リンカーを有する蛍光核酸塩基結合体 - Google Patents
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Description
本出願は、2000年10月11日に出願された米国仮出願番号60/239,660号(これは、本明細書中に参考として援用される)の優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、蛍光色素化合物、およびその結合体および使用に関する。本発明はまた、改善された電気泳動移動度を有する蛍光ポリヌクレオチド結合体に関する。
【0003】
(導入)
ポリヌクレオチドの複雑な混合物の分析は、多くの生物学的適用において重要である。多くの状況下で、例えば、目的の標的ポリヌクレオチドを検出するため、異なる成分の相対量を決定するため、およびヌクレオチド配列情報を得るために、このような混合物の成分を分離することが必要である。
【0004】
電気泳動は、ポリヌクレオチドを分析するための簡便な方法を提供する。代表的には、ポリヌクレオチドは、電気泳動移動度の差異に起因して、長さに基づいて分離され得る。例えば、架橋ポリアクリルアミドのようなマトリクス中で、ポリヌクレオチドは、代表的に、その架橋マトリクスによるサイズ依存性の妨害に起因して、ポリヌクレオチドの長さに反比例する速度で移動する。遊離溶液中では、ポリヌクレオチドは、それらの実質的に同一の質量荷電比に起因して、実質的に同じ速度で移動する傾向があり、その結果、サイズのみに基づいて異なるポリヌクレオチドを識別することは困難である。しかし、識別可能な電気泳動移動度は、異なる荷電/質量比を含むポリヌクレオチドを使用して(例えば、ポリヌクレオチド単独の荷電/質量比とは異なる荷電/質量比を有するポリマーまたは他の化学実体をこれらのポリマーに結合することによって)、遊離溶液中で得られ得る(例えば、米国特許第5,470,705号を参照のこと)。
【0005】
異なるポリヌクレオチドは、長さまたは分子量に基づいて分離され得る場合、検出は、通常、単一の検出可能な標識(例えば、放射性同位体または蛍光体(fluorophore))を使用して達成され得る。しかし、複雑な混合物中において、あるいは異なる配列のポリヌクレオチドが類似または同一の移動度を有する場合、異なるポリヌクレオチドを明確に識別するために、2以上の検出可能な標識を使用することが好ましい。
【0006】
DNA配列決定において、現在、2以上(通常4つ)の異なる蛍光標識を使用して、4つの標準的なヌクレオチド塩基(A、C、GおよびT、またはそれらのアナログ)のうちの1つで終結する配列決定フラグメントを識別することが慣用的である。このような標識は、通常、適切に標識された伸長プライマーを使用することによって(ダイ(色素)プライマー法)、または固有の標識を含む非伸長可能ヌクレオチドの存在下でプライマー伸長を行うことによって(サンガージデオキシターミネーター法)、配列決定フラグメントに導入される。標識された生成物の電気泳動は、溶出時間またはバンド位置に基づいて検出され得るフラグメントのラダーを生じる。
【0007】
架橋または非架橋マトリクス中の篩条件下で、短いポリヌクレオチドフラグメントは、長いフラグメントよりも迅速に移動する。通常、フラグメントのバンド間の間隔および移動速度は、長さの増加に比例して段階的に減少する。しかし、変則的な移動パターンは、尿素のような変性剤の存在下でさえ、フラグメント内の配列依存性の二次構造に起因して生じ得る。例えば、ポリGセグメントは、しばしば、これらの領域の配列決定を困難にする、バンドの圧縮を生じる。この圧縮されたバンド領域は、しばしば、伸長反応においてdGTPの代わりにdITP(2’−デオキシイノシン−5’−三リン酸)または7−デアザ−dGTPのようなヌクレオチドアナログを使用してか、または相補鎖を配列決定することによって、解明され得る。
【0008】
変則的な移動パターンはまた、検出可能な標識を含むポリヌクレオチドフラグメントについて、ポリヌクレオチド中の標識と1以上の塩基との間の相互作用に起因して生じ得る。このような相互作用は、その相互作用が配列依存性である場合に特に問題であり得、その結果、同じ長さを有する異なる配列のフラグメントが、有意に異なる移動度を有し得る。この現象は、配列決定(特に、自動化配列決定法における)のために不都合であり得る。従って、電気泳動能を改善するための標識された化合物およびその使用方法についての、必要性が存在する。
【0009】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、以下の形態の色素標識核酸塩基を含む、結合体を提供する:(1)B−L−D(ここで、Bは、核酸塩基であり、Lは、アニオン性リンカーであり、そしてDは、少なくとも1つの蛍光色素を含む)または(2)B−L1−D1−L2−D2(ここで、Bは、核酸塩基であり、L1およびL2は、リンカーであり、L1およびL2の少なくとも一方がアニオン性リンカーであり、そしてD1およびD2は、蛍光ドナー/アクセプター対のメンバーであり、D1およびD2の一方が、第1の波長で光を吸収し得、そしてそれに応答して励起エネルギーを放出し得る、ドナー色素であり、そしてD1およびD2の他方が、そのドナー色素によって放出された励起エネルギーを吸収し得、そしてそれに応答して第2の波長で蛍光を発し得る、アクセプター色素である)。
【0010】
各アニオン性リンカーは、1以上のアニオン基(例えば、スルホン酸部分、硫酸モノエステル、アニオン性ホスフェート、アニオン性ホスホネート、またはカルボン酸)を含み得る。1つの実施形態において、L、L1またはL2は、リン酸ジエステル部分を含み、そのリン原子が、リンカー原子の鎖内(架橋位置)に位置するか、またはリンカー原子の鎖に結合された置換基(非架橋位置)であり得る。別の実施形態において、リンカーは、モノアニオン性ホスホン酸エステルを含み、これは、リンカー鎖内に位置され得るか、またはリンカー鎖に結合され得る。他の実施形態は、本明細書中にさらに記載される。
【0011】
結合体が、形態B−L1−D1−L2−D2を有する実施形態において、L1およびL2の一方は、非アニオン性リンカーであり得る。1つの実施形態において、L1がアニオン性リンカーであり、そしてL2が非アニオン性リンカーである。例えば、L2が非アニオン性である場合、D1−L2−D2は、以下の構造(a)、(b)または(c)を含み得る:
(a) −D1−R21Z1C(O)R22R28−D2
(b) −D1−R28R22C(O)Z1R21−D2
(c) −D1−R28R22R28−D2
ここで、R21は、C1〜C5アルキルジイルであり、Z1は、NH、SまたはOであり、R22は、エテンジイル、エチンジイル、1,3−ブタジエンジイル、1,3−ブタジインジイル、少なくとも1つの不飽和結合を有する5員環または6員環、または少なくとも1つの不飽和結合を有する縮合環構造であり、そしてR28は、D1またはD2にR22を連結する結合またはスペーサー基(連結セグメントである。別の実施形態において、L1は、非アニオン性リンカーであり得、その例は、以下である:−C≡CCH2NH−、−C≡CCH2NHC(O)(CH2)5NH−、−C=CC(O)NH(CH2)5NH−、−C≡CCH2OCH2CH2NH−、−C≡CCH2OCH2CH2OCH2CH2NH−、−C≡C−CH2OCH2CH2−NH−、および−C≡C(p−C4H6)OCH2CH2NH−。
【0012】
本発明に従って使用される蛍光色素としては、本発明の目的に適切な任意の蛍光化合物が挙げられ得る。代表的には、各色素は、第1の波長で光を吸収し、そしてそれに応答して第2の波長で光を放出する、結合体化された系、共鳴非局在化系、または芳香環系を含む。例えば、色素は、キサンテン、ローダミン、ジベンゾローダミン、フルオレセイン、[8,9]ベンゾフェノキサジン、シアニン、フタロシアニン、スクアライン(squaraine)、またはボディピー(bodipy)色素のような、種々のクラスの蛍光化合物のいずれかから独立して選択され得る。
【0013】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される型の結合体を含む、標識されたヌクレオシド三リン酸を包含する。1つの実施形態において、その標識されたヌクレオシド三リン酸は、3’伸長可能でない。例えば、その標識されたヌクレシド三リン酸は、2’,3’−ジデオキシヌクレオチドまたは3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシヌクレオチドであり得る。別の実施形態において、その標識されたヌクレシド三リン酸は、伸長可能であり、そして3’−ヒドロキシル基を含む。
【0014】
別の局面において、本発明は、本明細書中に議論される型の結合体を含む、ポリヌクレオチドを包含する。1つの実施形態において、その結合体は、ポリヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドサブユニット中に位置し、そのサブユニットは、伸長可能であっても、伸長可能でなくてもよい。別の実施形態において、その結合体は、非末端ヌクレオチドサブユニット上に位置する。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明は、異なる配列の複数のポリヌクレオチドを含む、混合物を提供し、ここで、少なくとも1つのポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるような結合体を含む。1つの実施形態において、その混合物は、異なる配列の少なくとも2つのポリヌクレオチドを含み、その各々は、異なる結合体を含み、その結合されたポリヌクレオチドが同定される。別の実施形態において、その混合物は、4つのクラスのポリヌクレオチドを含み、ここで、各クラスのポリヌクレオチドは、異なるターミネーターサブユニット型で終結し、そのサブユニット型は、そのクラスのポリヌクレオチドを同定するために、別々の核酸塩基−色素結合体を含む。
【0016】
本発明はまた、1以上のポリヌクレオチドを同定する方法を包含する。その方法において、1以上の標識された異なる配列のポリヌクレオチドが形成され、各異なる配列のポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるような、固有の結合体を含む。その1以上の標識された異なる配列のポリヌクレオチドは、サイズに基づいて電気泳動によって分離され、そして1以上の異なる配列のポリヌクレオチドは、電気泳動移動度および蛍光特性に基づいて同定される。
【0017】
本発明はまた、標識されたポリヌクレオチド鎖を形成する方法を提供し、この方法は、(i)5’突出を有する相補的テンプレート鎖にハイブリダイズされた3’−伸長可能な鎖を含む、二重鎖ポリヌクレオチド、(ii)テンプレート依存性ポリメラーゼ酵素、および(iii)本明細書中に記載されるような結合体を含む、標識されたヌクレオシド三リン酸を、その結合体を含む標識されたポリヌクレオチドを形成するのに効果的な条件下で一緒に反応させる工程を包含する。1つの実施形態において、その標識されたヌクレオシド三リン酸は、伸長可能でない。別の実施形態において、その標識されたヌクレオシド三リン酸は、伸長可能である。
【0018】
本発明はまた、標的ポリヌクレオチド配列を配列決定する方法を提供する。この方法において、標的ポリヌクレオチド配列に相補的な4つのクラスのポリヌクレオチドが、テンプレート依存性プライマー伸長によって形成され、ここで、各クラスのポリヌクレオチドは、異なるターミネーターサブユニット型で終結し、そのサブユニット型は、そのクラスのポリヌクレオチドを同定するために、別々の核酸塩基−色素結合体を含む。得られたポリヌクレオチドは、サイズに基づいて分離されて移動パターンを獲得し、その移動パターンから、標的ポリヌクレオチド配列の配列が決定され得る。
【0019】
本発明はまた、本発明の種々の方法を行うためのキットを提供する。核酸配列決定において、そのキットは、本明細書中に記載される結合体を含む、少なくとも1つの標識されたヌクレオシド三リン酸を備える。そのキットはまた、以下の成分の1以上を備え得る:3’伸長可能なプライマー、ポリメラーゼ酵素、結合体で標識されていない1以上の3’伸長可能なヌクレオチド、および/または緩衝化剤。いくつかの実施形態において、そのキットは、伸長可能でない、少なくとも1つの標識されたヌクレオシド三リン酸を備える。他の実施形態において、そのキットは、A、C、TおよびGに相補的であり、その各々が、本明細書中に記載されるような別々の結合体を含む、4つの異なる標識されたヌクレオシド三リン酸を備える。なお別の実施形態において、その標識されたヌクレオシド三リン酸ンは、伸長可能でない。別の実施形態において、その標識されたヌクレオシド三リン酸は、伸長可能なリボヌクレオシド三リン酸である。別の実施形態において、そのキットは、本明細書中に記載される結合体を含む、少なくとも1つの標識された伸長可能でないヌクレオシド三リン酸、および以下の成分の1以上を備える:3’伸長可能なプライマー、ポリメラーゼ酵素、および/または緩衝化剤。
【0020】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、詳細な説明からより明らかとなる。
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、種々の有利な特性を有する新規色素化合物および色素結合体に関する。本発明は、蛍光核酸分析(例えば、自動化DNA配列決定またはRNA配列決定、フラグメント分析、核酸増幅産物の検出、ハイブリダイゼーションアレイにおけるプローブハイブリダイゼーションの検出、診断試験など)の分野における一般適用を有する。1つの局面において、本発明は、配列依存性の変則が減少または排除されるような、より一貫性のサイズ依存性電気泳動移動度を有するポリヌクレオチドを提供する。本発明は、弱いピークシグナルが含まれるべきかまたは排除されるべきかを決定するため、および重複するピークが同じ長さのフラグメントを表すか否かを決定するために、均一なサイズ依存性の電気泳動移動度に依存する自動化配列決定方法における適用を見出す。本発明はまた、3’色素標識配列決定フラグメントの形成を含む配列決定方法において有用である。さらに、本発明は、ポリヌクレオチド同定のために絶対的または相対的な移動時間または移動距離に依存する、ポリヌクレオチドの検出方法および同定方法において使用され得る。
【0022】
(I.定義)
他に記載されない限り、本明細書中で使用される以下の用語および句が、以下の意味を有することが意図される:
「アルキル」とは、親アルカン、アルケンまたはアルキンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、飽和または不飽和、分枝、直鎖または環状の一価の炭化水素ラジカルをいう。代表的なアルキル基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル;エチル(例えば、エタニル、エテニル、エチニル);プロピル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル、シクロプロプ−2−エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど);ブチル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど);など。特定の飽和のレベルが意図される場合、命名法「アルカニル」、「アルケニル」および/または「アルキニル」は、以下に定義されるように使用される。好ましい実施形態において、アルキル基は、(C1〜C6)アルキルである。
【0023】
「アルカニル」とは、親アルカンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、飽和、分枝、直鎖または環状のアルキルラジカルをいう。代表的なアルカニル基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メタニル;エタニル;プロパニル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど);ブタニル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど);など。好ましい実施形態において、アルカニル基は、(C1〜C6)アルカニルである。
【0024】
「アルケニル」とは、親アルケンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、不飽和、分枝、直鎖または環状のアルキルラジカルをいう。このラジカルは、二重結合について、シス立体構造またはトランス立体構造のいずれであってもよい。代表的なアルケニル基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:エテニル;プロペニル(例えば、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル、シクロプロプ−2−エン−1−イル);ブテニル(例えば、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなど);など。好ましい実施形態において、アルケニル基は、(C2〜C6)アルケニルである。
【0025】
「アルキニル」とは、親アルキンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、不飽和、分枝、直鎖または環状のアルキルラジカルをいう。代表的なアルキニル基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない;エチニル;プロピニル(例えば、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど);ブチニル(例えば、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど);など。好ましい実施形態において、アルキニル基は、(C2〜C6)アルキニルである。
【0026】
「アルキルジイル」とは、親アルカン、アルケンまたはアルキンの2つの異なる炭素原子の各々からの1つの水素原子の除去によって誘導されるか、あるいは親アルカン、アルケンまたはアルキンの単一の炭素原子からの2つの水素原子の除去によって誘導される、飽和または不飽和、分枝、直鎖または環状の二価の炭化水素ラジカルをいう。2つの一価のラジカル中心または二価のラジカル中心の各原子価は、同じまたは異なる原子と結合を形成し得る。代表的なアルキルジイルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メタンジイル;エチルジイル(例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル);プロピルジイル(例えば、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロプ−2−エン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−イン−1,3−ジイルなど);ブチルジイル(例えば、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,1−ジイル、ブタ−1−エン−1,2−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,3−ジイル、シクロブタ−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど);など。特定の飽和のレベルが意図される場合、命名法アルカニルジイル、アルケニルジイルおよび/またはアルキニルジイルが使用される。好ましい実施形態において、アルキルジイル基は、(C1〜C6)アルキルジイルである。ラジカル中心が末端炭素にある、飽和非環式アルカニルジイルラジカルもまた好ましい(例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ);など(以下に定義されるように、アルキレノとも呼ばれる)。
【0027】
「アルキレノ」とは、親の直鎖アルカン、直鎖アルケン、または直鎖アルキンの2つの末端炭素原子の各々から1つの水素原子を除去することにより誘導される、2つの一価ラジカル中心を末端に有する、直鎖アルキルジイルラジカルを指す。代表的アルキレノ基としては、メタノ;エチレノ(例えば、エタノ、エテノ、エチノ);プロピレノ(例えば、プロパノ、プロプ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロプ[1]イノなど);ブチレノ(例えば、ブタノ、ブト[1]エノ、ブト[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブト[1]イノ、ブト[2]イノ、ブト[1,3]ジイノなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和レベルが意図される場合、命名法アルカノ、アルケノ、および/またはアルキノが、使用される。好ましい実施形態において、アルキレノ基は、(C1−C6)アルキレノである。
【0028】
「ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルキルジイル、およびヘテロアルキレノ」とは、1つ以上の炭素原子が各々独立して、同じであるかまたは異なるヘテロ原子基で置換されている、アルキルラジカル、アルカニルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、アルキルジイルラジカル、およびアルキレノラジカルを、それぞれ指す。これらのラジカルに含まれ得る代表的ヘテロ原子基としては、−O−、−S−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−NR’−、=N−N=、−N=N−、−N(O)N−、−N=N−NR’−、−PH−、−P(O)2−、−O−P(O)2−、−SH2−、−S(O)2−、−SnH2−など(各R’は、本明細書中で規定される場合、独立して、水素、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロアリール−ヘテロアリールである)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「非環式ヘテロ原子架橋」とは、骨格原子がヘテロ原子のみである、二価架橋を指す。代表的な非環式ヘテロ原子架橋としては、上記に列挙した種々のヘテロ原子基のいずれか(単独でかまたは組み合わせてかのいずれか)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「親芳香環系」とは、共役π電子系を有する、不飽和環式環系または不飽和多環式環系を指す。特に「親芳香環系」の定義内に含まれるのは、1つ以上の環が芳香環であり、かつ1つ以上の環が飽和しているかまたは不飽和である、縮合環系(例えば、インダン、インデン、フェナレンなど)である。代表的な親芳香環系としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン(hexalene)、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン(trinaphthalene)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「アリール」とは、親芳香環系の1つの炭素原子からの1つの水素原子の除去により誘導される、一価芳香族炭化水素ラジカルを指す。代表的なアリール基としては、アセアントリレンに由来するラジカル、アセナフチレンに由来するラジカル、アセフェナントリレンに由来するラジカル、アントラセンに由来するラジカル、アズレンに由来するラジカル、ベンゼンに由来するラジカル、クリセンに由来するラジカル、コロネンに由来するラジカル、フルオランテンに由来するラジカル、フルオレンに由来するラジカル、ヘキサセンに由来するラジカル、ヘキサフェンに由来するラジカル、ヘキサレンに由来するラジカル、as−インダセンに由来するラジカル、s−インダセンに由来するラジカル、インダンに由来するラジカル、インデンに由来するラジカル、ナフタレンに由来するラジカル、オクタセンに由来するラジカル、オクタフェンに由来するラジカル、オクタレンに由来するラジカル、オバレンに由来するラジカル、ペンタ−2,4−ジエンに由来するラジカル、ペンタセンに由来するラジカル、ペンタレンに由来するラジカル、ペンタフェンに由来するラジカル、ペリレンに由来するラジカル、フェナレンに由来するラジカル、フェナントレンに由来するラジカル、ピセンに由来するラジカル、プレイアデンに由来するラジカル、ピレンに由来するラジカル、ピラントレンに由来するラジカル、ルビセンに由来するラジカル、トリフェニレンに由来するラジカル、トリナフタレンに由来するラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、そのアリール基は、(C5〜C14)アリールであり、(C5〜C10)アリールが、なおより好ましい。特に好ましいアリールは、フェニルおよびナフチルである。
【0032】
「アリールジイル」とは、親芳香環系の2つの異なる炭素原子の各々からの1つの水素原子の除去によってか、または親芳香環系の1つの炭素原子からの2つの水素原子の除去によって誘導される、二価芳香族炭化水素ラジカルを指す。その2つの一価ラジカル中心またはその二価中心の各々価は、同じ原子または異なる原子と結合を形成し得る。代表的アリールジイル基としては、アセアントリレンに由来する二価ラジカル、アセナフチレンに由来する二価ラジカル、アセフェナントリレンに由来する二価ラジカル、アントラセンに由来する二価ラジカル、アズレンに由来する二価ラジカル、ベンゼンに由来する二価ラジカル、クリセンに由来する二価ラジカル、コロネンに由来する二価ラジカル、フルオランテンに由来する二価ラジカル、フルオレンに由来する二価ラジカル、ヘキサセンに由来する二価ラジカル、ヘキサフェンに由来する二価ラジカル、ヘキサレンに由来する二価ラジカル、as−インダセンに由来する二価ラジカル、s−インダセンに由来する二価ラジカル、インダンに由来する二価ラジカル、インデンに由来する二価ラジカル、ナフタレンに由来する二価ラジカル、オクタセンに由来する二価ラジカル、オクタフェンに由来する二価ラジカル、オクタレンに由来する二価ラジカル、オバレンに由来する二価ラジカル、ペンタ−2,4−ジエンに由来する二価ラジカル、ペンタセンに由来する二価ラジカル、ペンタレンに由来する二価ラジカル、ペンタフェンに由来する二価ラジカル、ペリレンに由来する二価ラジカル、フェナレンに由来する二価ラジカル、フェナントレンに由来する二価ラジカル、ピセンに由来する二価ラジカル、プレイアデンに由来する二価ラジカル、ピレンに由来する二価ラジカル、ピラントレンに由来する二価ラジカル、ルビセンに由来する二価ラジカル、トリフェニレンに由来する二価ラジカル、トリナフタレンに由来する二価ラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、そのアリールジイル基は、(C5〜C14)アリールジイルであり、(C5〜C10)アリールジイルが、なおより好ましい。最も好ましいアリールジイル基は、ベンゼンに由来する二価ラジカルおよびナフタレンに由来する二価ラジカルであり、特に、フェナ−1,4−ジイル、ナフタ−2,6−ジイル、およびナフタ−2,7−ジイルである。
【0033】
「アリーレノ」とは、親芳香環系の隣接する2つの炭素原子の各々からの1つの水素原子の除去により誘導される、隣接する2つの一価ラジカル中心を有する二価架橋ラジカルを指す。アリーレノ架橋ラジカル(例えば、ベンゼノ)を親芳香環系(例えば、ベンゼン)に結合すると、縮合芳香環系(例えば、ナフタレン)が生じる。その架橋は、生じた縮合環系への結合と一致する、最大数の非集積二重結合を有すると考えられる。炭素原子を二重計数することを回避するために、隣接する2つの置換基が一緒になることによって、別の置換基を含む構造上にアリーレノ置換基が形成される場合、そのアリーレノ架橋の炭素原子は、その構造の架橋炭素原子にとって代わる。例として、以下の構造
【0034】
【化1】
を考える。ここで、R1は、単独である場合水素であり、またはR2と一緒になる場合は(C5〜C14)アリーレノであり;そしてR2は、単独である場合水素であり、またはR1と一緒になる場合は(C5〜C14)アリーレノである。
【0035】
R1およびR2が各々水素である場合、生じる化合物は、ベンゼンである。R2と一緒になったR1がC6アリーレノ(ベンゼノ)である場合、生じる化合物は、ナフタレンである。R2と一緒になったR1がC10アリーレノ(ナフタレノ)である場合、生じる化合物は、アントラセンまたはフェナントレンである。代表的アリーレノ基としては、アセアントリレノ、アセナフチレノ、アセフェナントリレノ、アントラセノ、アズレノ、ベンゼノ(ベンゾ)、クリセノ、コロネノ、フルオランテノ、フルオレノ、ヘキサセノ、ヘキサフェノ、ヘキサレノ、as−インダセノ、s−インダセノ、インデノ、ナフタレノ(ナフト)、オクタセノ、オクタフェノ、オクタレノ、オバレノ、ペンタ−2,4−ジエノ、ペンタセノ、ペンタレノ、ペンタフェノ、ペリレノ、フェナレノ、フェナントレノ、ピセノ、プレイアデノ、ピレノ、ピラントレノ、ルビセノ、トリフェニレノ、トリナフタレノなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の連結が意図される場合、(そのアリーレノ架橋の)関係する架橋炭素原子は、角型括弧内に示される。例えば、[1,2]ベンゼノ([1,2]ベンゾ)、[1,2]ナフタレノ、[2,3]ナフタレノなど。従って、上記の例において、R2と一緒になったR1が[2,3]ナフタレノである場合、生じる化合物は、アントラセンである。R2と一緒になったR1が[1,2]ナフタレノである場合、生じる化合物は、フェナントレンである。好ましい実施形態において、そのアリーレノ基は、(C5〜C14)アリーレノ基であり、(C5〜C10)アリーレノ基が、なおより好ましい。
【0036】
「アリールアリール」とは、2つ以上の同一の親芳香環系または2つ以上の同一でない親芳香環系が単結合によって直接ともに結合されている環系の、1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することにより誘導される、一価炭化水素ラジカルであり、そのような直接的環接合部の数は、関係する親芳香環系の数よりも1少ない。代表的なアリールアリール基としては、ビフェニル、トリフェニル、フェニル−ナフチル、ビナフチル、ビフェニル−ナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールアリール基を構成する炭素原子の数が特定される場合、その数は、各親芳香環を構成する炭素原子を指す。例えば、(C5〜C14)アリールアリール基は、各芳香環が5個〜14個の炭素を含むアリールアリール基(例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、フェニルナフチルなど)である。好ましくは、アリールアリール基の各親芳香環系は、独立して、(C5〜C14)芳香環系であり、より好ましくは(C5〜C10)芳香環系である。また、その親芳香環系のすべてが同一であるアリールアリール基(例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、トリナフチルなど)も、好ましい。
【0037】
「ビアリール」とは、単結合により直接一緒に結合された同一な2つの親芳香族系を有する、アリールアリールラジカルを指す。代表的ビアリール基としては、ビフェニル、ビナフチル、ビアントラシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、その芳香環系は、(C5〜C14)芳香環であり、より好ましくは(C5〜C10)芳香環である。特に好ましいビアリール基は、ビフェニルである。
【0038】
「アリールアルキル」とは、炭素原子(代表的には、末端炭素原子またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがアリールラジカルで置換されている、非環式アルキルラジカルを指す。代表的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルメタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分が意図される場合、命名法アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルが、使用される。好ましい実施形態において、そのアリールアルキル基は、(C6〜C20)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分、またはアルキニル部分は(C1〜C6)であり、そしてアリール部分は(C5〜C14)である。特に好ましい実施形態において、そのアリールアルキル基は、(C6〜C13)であり、例えば、そのアリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分、またはアルキニル部分は(C1〜C3)であり、そしてそのアリール部分は(C5〜C10)である。
【0039】
「親複素環式芳香環系」とは、1つ以上の炭素原子(および関連する必要な任意の水素原子)が、各々独立して、同じヘテロ原子または異なるヘテロ原子で置換されている、親芳香環系を指す。その炭素原子を置換するための代表的なヘテロ原子としては、N、P、O、S、Siなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に「親複素環式芳香環系」の定義内に含まれるのは、1つ以上の環が芳香族であり、かつその環のうちの1つ以上が飽和されているかまたは不飽和である、縮合環系(例えば、アルシンドール(arsindole)、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなど)である。代表的な親複素環式芳香環系としては、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「ヘテロアリール」とは、親複素環式芳香環系の1つの原子から1つの水素を除去することにより誘導される、一価複素環式芳香族ラジカルを指す。代表的なヘテロアリール基としては、アクリジンから誘導されるラジカル、アルシンドールから誘導されるラジカル、カルバゾールから誘導されるラジカル、β−カルボリンから誘導されるラジカル、クロマンから誘導されるラジカル、クロメンから誘導されるラジカル、シンノリンから誘導されるラジカル、フランから誘導されるラジカル、イミダゾールから誘導されるラジカル、インダゾールから誘導されるラジカル、インドールから誘導されるラジカル、インドリンから誘導されるラジカル、インドリジンから誘導されるラジカル、イソベンゾフランから誘導されるラジカル、イソクロメンから誘導されるラジカル、イソインドールから誘導されるラジカル、イソインドリンから誘導されるラジカル、イソキノリンから誘導されるラジカル、イソチアゾールから誘導されるラジカル、イソオキサゾールから誘導されるラジカル、ナフチリジンから誘導されるラジカル、オキサジアゾールから誘導されるラジカル、オキサゾールから誘導されるラジカル、ペリミジンから誘導されるラジカル、フェナントリジンから誘導されるラジカル、フェナントロリンから誘導されるラジカル、フェナジンから誘導されるラジカル、フタラジンから誘導されるラジカル、プテリジンから誘導されるラジカル、プリンから誘導されるラジカル、ピランから誘導されるラジカル、ピラジンから誘導されるラジカル、ピラゾールから誘導されるラジカル、ピリダジンから誘導されるラジカル、ピリジンから誘導されるラジカル、ピリミジンから誘導されるラジカル、ピロールから誘導されるラジカル、ピロリジンから誘導されるラジカル、キナゾリンから誘導されるラジカル、キノリンから誘導されるラジカル、キノリジンから誘導されるラジカル、キノキサリンから誘導されるラジカル、テトラゾールから誘導されるラジカル、チアジアゾールから誘導されるラジカル、チアゾールから誘導されるラジカル、チオフェンから誘導されるラジカル、トリアゾールから誘導されるラジカル、キサンテンから誘導されるラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、そのヘテロアリール基は、5〜14員のヘテロアリールであり、5〜10員のヘテロアリールが、特に好ましい。最も好ましいヘテロアリールラジカルは、任意の環ヘテロ原子が窒素である親複素環式芳香環系(例えば、イミダゾール、インドール、インダゾール、イソインドール、ナフチリジン、プテリジン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピロール、キナゾリン、キノリンなど)から誘導されたヘテロアリールラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「ヘテロアリールジイル」とは、親複素環式芳香環系の異なる2つの原子の各々から1つの水素原子を除去することによってか、または親複素環式芳香環系の1つの原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される、二価複素環式芳香族ラジカルを指す。その2つの一価ラジカル中心または1つの二価中心の各価は、同じ原子または異なる原子との結合を形成し得る。代表的なヘテロアリールジイル基としては、アクリジンから誘導される二価ラジカル、アルシンドールから誘導される二価ラジカル、カルバゾールから誘導される二価ラジカル、β−カルボリンから誘導される二価ラジカル、クロマンから誘導される二価ラジカル、クロメンから誘導される二価ラジカル、シンノリンから誘導される二価ラジカル、フランから誘導される二価ラジカル、イミダゾールから誘導される二価ラジカル、インダゾールから誘導される二価ラジカル、インドールから誘導される二価ラジカル、インドリンから誘導される二価ラジカル、インドリジンから誘導される二価ラジカル、イソベンゾフランから誘導される二価ラジカル、イソクロメンから誘導される二価ラジカル、イソインドールから誘導される二価ラジカル、イソインドリンから誘導される二価ラジカル、イソキノリンから誘導される二価ラジカル、イソチアゾールから誘導される二価ラジカル、イソオキサゾールから誘導される二価ラジカル、ナフチリジンから誘導される二価ラジカル、オキサジアゾールから誘導される二価ラジカル、オキサゾールから誘導される二価ラジカル、ペリミジンから誘導される二価ラジカル、フェナントリジンから誘導される二価ラジカル、フェナントロリンから誘導される二価ラジカル、フェナジンから誘導される二価ラジカル、フタラジンから誘導される二価ラジカル、プテリジンから誘導される二価ラジカル、プリンから誘導される二価ラジカル、ピランから誘導される二価ラジカル、ピラジンから誘導される二価ラジカル、ピラゾールから誘導される二価ラジカル、ピリダジンから誘導される二価ラジカル、ピリジンから誘導される二価ラジカル、ピリミジンから誘導される二価ラジカル、ピロールから誘導される二価ラジカル、ピロリジンから誘導される二価ラジカル、キナゾリンから誘導される二価ラジカル、キノリンから誘導される二価ラジカル、キノリジンから誘導される二価ラジカル、キノキサリンから誘導される二価ラジカル、テトラゾールから誘導される二価ラジカル、チアジアゾールから誘導される二価ラジカル、チアゾールから誘導される二価ラジカル、チオフェンから誘導される二価ラジカル、トリアゾールから誘導される二価ラジカル、キサンテンから誘導される二価ラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、そのヘテロアリールジイル基は、5〜14員のヘテロアリールジイルであり、5〜10員のヘテロアリールジイルが、特に好ましい。最も好ましいヘテロアリールジイル基は、任意の環ヘテロ原子が窒素である親複素環式芳香環系(例えば、イミダゾール、インドール、インダゾール、イソインドール、ナフチリジン、プテリジン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピロール、キナゾリン、キノリンなど)から誘導された二価ラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「ヘテロアリーレノ」とは、親複素環式芳香環系の隣接する2つの原子の各々から1つの水素原子を除去することにより誘導される隣接する2つの一価ラジカル中心を有する、二価架橋ラジカルを指す。親芳香環系(例えば、ベンゼン)にヘテロアリーレノ架橋ラジカル(例えば、ピリジノ)を結合させると、縮合複素環式芳香環系(例えば、キノリン)が生じる。その架橋は、生じる縮合環系への結合と一致する、最大数の非集積二重結合を有すると考えられる。環原子を二重計数することを回避するために、隣接する2つの置換基が一緒になることによって、別の置換基を含む構造上にヘテロアリーレノ置換基が形成される場合、そのヘテロアリーレノ架橋の環原子は、その構造の架橋環原子を置換する。例として、以下の構造
【0043】
【化2】
を考える。ここで、R1は、単独である場合水素であり、またはR2と一緒になる場合は5〜14員のヘテロアリーレノであり;そしてR2は、単独である場合水素であり、またはR1と一緒になる場合は5〜14員のヘテロアリーレノである。
【0044】
R1およびR2が各々水素である場合、生じる化合物は、ベンゼンである。R2と一緒になったR1が6員のヘテロアリーレノ(例えば、ピリジノ)である場合、生じる化合物は、イソキノリン、キノリン、またはキノリジンである。R2と一緒になったR1が10員のヘテロアリーレノ(例えば、イソキノリン)である場合、生じる化合物は、例えば、アクリジンまたはフェナントリジンである。代表的ヘテロアリーレノ基としては、アクリジノ、カルバゾロ、β−カルボリノ、クロメノ、シンノリノ、フラノ、イミダゾロ、インダゾレノ、インドレノ、インドリジノ、イソベンゾフラノ、イソクロメノ、イソインドレノ、イソキノリノ、イソチアゾレノ、イソオキサゾレノ、ナフチリジノ、オキサジアゾレノ、オキサゾレノ、ペリミジノ、フェナントリジノ、フェナントロリノ、フェナジノ、フタラジノ、プテリジノ、プリノ、ピラノ、ピラジノ、ピラゾレノ、ピリダジノ、ピリジノ、ピリミジノ、ピロレノ、ピロリジノ、キナゾリノ、キノリノ、キノリジノ、キノキサリノ、テトラゾレノ、チアジアゾレノ、チアゾレノ、チオフェノ、トリアゾレノ、キサンテノなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の結合性が意図される場合、(そのヘテロアリーレノ架橋の)関与する架橋原子が、角型括弧内に示される(例えば、[1,2]ピリジノ、[2,3]ピリジノ、[3,4]ピリジノなど)。従って、上記の例において、R2と一緒になったR1が[1,2]ピリジノである場合、生じる化合物は、キノリジンである。R2と一緒になったR1が[2,3]ピリジノである場合、生じる化合物は、キノリンである。R2と一緒になったR1が[3,4]ピリジノである場合、生じる化合物は、イソキノリンである。好ましい実施形態において、そのヘテロアリーレノ基は、5〜14員のアリーレノであり、5〜10員のヘテロアリーレノ基が、なおより好ましい。最も好ましいヘテロアリーレノラジカルは、任意の環ヘテロ原子が窒素である親複素環式芳香環系から誘導されたヘテロアリーレノラジカル(例えば、イミダゾロ、インドロ、インダゾロ、イソインドロ、ナフチリジノ、プテリジノ、イソキノリノ、フタラジノ、プリノ、ピラゾロ、ピラジノ、ピリダジノ、ピリジノ、ピロロ、キナゾリノ、キノリノなど)である。
【0045】
「ヘテロアリール−ヘテロアリール」とは、同一であるかまたは同一でない2つ以上の親複素環式芳香環系が単結合により直接一緒に結合している環系(その直接の環結合の数が、関与する親複素環式芳香環系の数より、1小さい)のうちの1つの原子から1つの水素原子を除去することにより誘導される、一価複素環式芳香族ラジカルを指す。代表的なヘテロアリール−ヘテロアリール基としては、ビピリジル、トリピリジル、ピリジルプリニル、ビプリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。環原子の数が特定される場合、その数は、各親複素環式芳香環系を構成する原子の数を指す。例えば、5〜14員のヘテロアリール−ヘテロアリールは、各親複素環式芳香環系が5〜14個の原子を含むヘテロアリール−ヘテロアリール基(例えば、ビピリジル、トリピリジルなど)である。好ましくは、各親複素環式芳香環系は、独立して、5〜14員の複素環式芳香族であり、より好ましくは、5〜10員の複素環式芳香族である。また、親複素環式芳香環系すべてが同一である、ヘテロアリール−ヘテロアリール基も、好ましい。最も好ましいヘテロアリール−ヘテロアリールラジカルは、任意の環ヘテロ原子が窒素である親複素環式芳香環系(例えば、イミダゾール、インドール、インダゾール、イソインドール、ナフチリジン、プテリジン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピロール、キナゾリン、キノリンなど)から各ヘテロアリール基が誘導された、ヘテロアリール−ヘテロアリールラジカルである。
【0046】
「ビヘテロアリール」とは、単結合により直接一緒に結合した同じ2つの親複素環式芳香環系を有する、ヘテロアリール−ヘテロアリールラジカルを指す。代表的なビヘテロアリール基としては、ビピリジル、ビプリニル、ビキノリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、その複素環式芳香環系は、5〜14員の複素環式芳香環であり、より好ましくは、5〜10員の複素環式芳香環である。最も好ましいビヘテロアリールラジカルは、任意の環ヘテロ原子が窒素である親複素環式芳香環系からヘテロアリール基が誘導された、ビヘテロアリールラジカル(例えば、ビイミダゾリル、ビインドリル、ビインダゾリル、ビイソインドリル、ビナフチリジニル、ビプテリジニル、ビイソキノリニル、ビナフタラジニル、ビプリニル、ビピラゾリル、ビピラジニル、ビピリダジニル、ビピリジニル、ビピロリル、ビキナゾリニル、ビキノリニルなど)である。
【0047】
「ヘテロアリールアルキル」とは、炭素原子(代表的には、末端炭素原子またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールラジカルで置換されている、非環式アルキルラジカルを指す。特定のアルキル部分が意図される場合、命名法ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル、および/またはヘテロアリールアルキニルが使用される。好ましい実施形態において、そのヘテロアリールアルキル基は、6〜20員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、そのヘテロアールアルキルのアルカニル部分、アルケニル部分、またはアルキニル部分が1〜6員であり、かつそのヘテロアリール部分が5〜14員のヘテロアリールである。特に好ましい実施形態において、そのヘテロアリールアルキルは、6〜13員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、そのアルカニル部分、アルケニル部分、またはアルキニル部分が1〜3員であり、かつそのヘテロアリール部分が5〜10員のヘテロアリールである。
【0048】
「置換(置換された)」は、1つ以上の水素原子が各々独立して、同じ置換基または異なる置換基で置換された基をいう。代表的な置換基としては、−X、−R、−O−、=O、−OR、−SR、−S−、=S、−NRR、=NR、パーハロ(C1〜C6)アルキル、−CX3、−CF3、−CN、−OCN、−SCN、−NCO、−NCS、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)2O−、−S(O)2OH、−S(O)2R、−C(O)R、−C(O)X、−C(S)R、−C(S)X、−C(O)OR、−C(O)O−、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRRおよび−C(NR)NRR(ここで、各Xは、独立してハロゲン(好ましくは、−Fまたは−Cl)であり、そして各Rは、独立して、本明細書中に規定されるような、水素、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルもしくはヘテロアリールヘテロアリール、カルボキシル、アセチル、スルホニル、スルフィニル、スルホン、ホスフェート、またはホスホネートである)が挙げられるが、これらに限定されない。任意の特定の基を置換する実際の置換基は、置換される群の同一性に依存する。
【0049】
「核酸塩基」は、相補的な核酸塩基または核酸塩基アナログ(例えば、プリン、7−デアザプリン、またはピリミジン)とワトソン−クリック型水素結合を形成し得る窒素含有複素環式部分を意味する。代表的な核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基であるアデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、および天然に存在する核酸塩基のアナログ(例えば、7−デアザアデニン、7−デアザ−8アザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、イノシン、ネブラリン(nebularine)、ニトロピロール、ニトロインドール、2−アミノ−プリン、2,6−ジアミノ−プリン、ヒポキサンチン、偽ウリジン(pseudouridine)、偽シチジン、偽イソシチジン、5−プロピニルシチジン、イソシチジン、イソグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O6−メチルグアニン、N6−メチル−アデニン、O4−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、4−メチルインドール、およびエテノアデニン(Fasman,Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,385−394頁,CRC Press,Boca Raton,F1(1989))。
【0050】
「ヌクレオシド」は、リボース糖またはそのアナログのC−1’炭素に連結した核酸塩基を含む化合物を意味する。リボースまたはアナログは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換されたリボース糖としては、1つ以上の炭素原子(好ましくは3’炭素原子)が1つ以上の同じまたは異なる置換基(例えば、−R、−OR、−NRRまたはハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)(ここで、各R基は、独立して、−H、C1〜C6アルキルまたはC3〜Cl4アリールである))で置換されたリボースが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいリボースは、リボース、2’−デオキシリボース、2’,3’−ジデオキシリボース、3’−ハロリボース(例えば、3’−フルオロリボースまたは3’−クロロリボース)および3’−アルキルリボースである。代表的に、核酸塩基がAまたはGである場合、リボース糖は、核酸塩基のN9位に結合される。核酸塩基がC、TまたはUである場合、ペントース糖が、核酸塩基のN1位に結合される(KornbergおよびBaker,DNA Replication,第2版,Freeman,San Francisco,CA,(1992))。リボースアナログの例としては、例えば、アラビノース、2’−O−メチルリボース、およびロックド(locked)ヌクレオチドアナログ(例えば、WO 99/14226)が挙げられるが、多くの他のアナログもまた、当該分野で公知である。
【0051】
「ヌクレオチド」は、ポリヌクレオチド内の独立したモノマーとしてか、またはサブユニットとしての、ヌクレオシドのリン酸エステルを意味する。ヌクレオチド三リン酸は、ときどき、特にリボース糖の構造的特徴を示すために、「NTP」、「dNTP」(2’−デオキシペントース)、または「ddNTP」(2’,3’−ジデオキシペントース)と記載される。「ヌクレオチド5’三リン酸」は、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドをいう。三リン酸エステル基としては、リン酸の1つ以上の酸素原子の硫黄での置換が挙げられ得る(例えば、α−チオヌクレオチド5’三リン酸)。
【0052】
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」(これらは、本明細書中において交換可能に使用される)は、天然のヌクレオチドモノマーまたはそのアナログの線状ポリマーをいい、これらとしては、例えば、二本鎖および一本鎖の、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、これらのα−アノマー形態などが挙げられる。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドもしくはそのアナログを完全に含み得るか、または2つ以上の異なるモノマー型のブロックもしくは混合物を含み得る。通常、ヌクレオシドモノマーは、ホスホジエステル連結によって連結される。しかし、非ホスホジエステル連結を含むポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドもまた、意図される。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」はまた、1つ以上の天然に存在しないモノマーおよび/またはサブユニット間連結を含むポリマー(例えば、ペプチド核酸(PNA、例えば、核酸塩基が非アミド骨格窒素を介して結合されるアミド連結N−(2−アミノエチル)−グリシンサブユニットの骨格を含む、ポリマー))を含む。Nielsenら,Science 254:1497−1500(1991)を参照のこと。ポリヌクレオチドのサイズは、代表的に、数個のモノマー単位(例えば、8〜40)〜数千個のモノマー単位の範囲である。ポリヌクレオチドが配列の文字(例えば、「ATGCCTG」によって示される場合はいつでも、他に記載されない限り、このヌクレオチドが左から右に5’−>3’の順であり、そして「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、そして「T」がチミジンを示すことが、理解される。
【0053】
「ヌクレオチドサブユニット」または「ポリヌクレオチドサブユニット」は、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドアナログ内の単一のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログをいう。
【0054】
「リン酸アナログ(ホスフェートアナログ)」は、リン酸のアナログをいい、ここで、1つ以上の酸素原子が、非酸素部分で置換されている。例示的なリン酸アナログとしては、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアニリデート(phosphoranilidate)、ホスホルアミデート、アルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート)、ブロモホスホネートが挙げられる。
【0055】
「リンカー」は、基材(例えば、オリゴヌクレオチド)に色素を連結させる部分、または一方の色素を他方の色素に連結する(例えば、ドナー色素をアクセプター色素に連結する)部分をいう。
【0056】
「酵素的に組込み可能な」とは、ヌクレオチドが、鋳型依存的ポリメラーゼ酵素もしくは鋳型非依存的ポリメラーゼ酵素の作用を介して、ポリヌクレオチド鎖の末端(例えば、3’末端)に、またはポリヌクレオチド鎖のニックトランスレーションを介して内部に、酵素によって組込まれることが可能であることを意味する。ヌクレオチド5’三リン酸は、酵素的に組込み可能なヌクレオチドの例である。
【0057】
「酵素的に伸長可能な」または「3’伸長可能な」は、酵素作用によってヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに追加され得る、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを意味する。3’ヒドロキシル基を含むポリヌクレオチドは、酵素的に伸長可能なポリヌクレオチドの例である。
【0058】
「ターミネーター」は、生じるポリヌクレオチド鎖へのヌクレオチドのそれ以降の取り込みを妨害し、それによってポリメラーゼ媒介伸長を停止させる、酵素的に組込み可能なヌクレオチドを意味する。代表的なターミネーターは、3’−ヒドロキシル置換基を欠き、そしてターミネーターとしては、例えば、2’,3’−ジデオキシリボース、2’,3’−ジデヒドロリボース、および2’,3’−ジデオキシ−3’ハロリボース(例えば、3’−デオキシ−3’−フルオロ−リボースまたは2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロリボース)が挙げられる。あるいは、2’,3’−ジデオキシ−β−D−リボフラノシル、β−D−アラビノフラノシル、3’−デオキシ−β−D−アラビノフラノシル、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−β−D−リボフラノシル、および2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロ−β−D−リボフラノシルなどのリボフラノースアナログが、使用され得る(例えば、Chidgeavadzeら,Nucleic Acids Res.,12:1671−1686(1984)、およびChidgeavadzeら,FEB.Lett.,183:275−278(1985)を参照のこと)。ヌクレオチドターミネーターとしてはまた、リバーシブルヌクレオチドターミネーターが挙げられる(Metzkerら,Nucleic Acids Res.,22(20):4259(1994))。
【0059】
「伸長可能でない」または「3’伸長可能でない」とは、ターミネーターが、鋳型依存的DNAポリメラーゼまたは鋳型依存的RNAポリメラーゼによって3’方向に伸長することができない、またはそのように伸張することが実質的にできないという事実をいう。
【0060】
「スペクトルで分解可能な」とは、2つ以上の色素が、十分に異なり(すなわち、十分に非重複性である)、各色素によって生成される特有の蛍光シグナルに基づいて識別され得る発光バンドを有することを意味する。
【0061】
一般的に、本開示中に言及される化合物が陽電荷を含もうと負電荷を含もうとも、このような化合物がまた陽電荷または負電荷の均衡をとる適切な対イオンによって達成され得ることは、理解されるべきである。例示的な陽電荷の対イオンとしては、H+、NH4 +、Na+、K+、Mg2+、トリアルキルアンモニウム(例えば、トリエチルアンモニウム)、テトラアルキルアンモニウム(例えば、テトラエチルアンモニウム)などが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な負電荷の対イオンとしては、例えば、カルボネート、ビカルボネート、アセテート、クロリド、およびホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、特定の共鳴構造が本明細書中に示され得るが、このような構造は、全ての他の可能な共鳴構造を含むことが意図される。
【0062】
(II.結合体)
1つの局面において、本発明は、本明細書中に記載される型の少なくとも1つの色素標識核酸塩基を含む組成物を提供する。このような組成物としては、独立した分子としての核酸塩基−色素結合体だけでなく、このような結合体を含むヌクレオシド、ヌクレオチド、およびポリヌクレオチドもまた含まれる。
【0063】
1つの実施形態において、本発明の色素標識核酸塩基は、B−L−Dの形態を有し、ここで、Bは核酸塩基であり、Lはアニオン性リンカーであり、そしてDは蛍光色素である。
【0064】
核酸塩基Bは、上の定義の節に示されるような、相補的な核酸塩基または核酸塩基アナログとワトソン−クリック水素結合を形成し得る任意の部分であり得る。代表的に、Bは、7−デアザプリンヌクレオチド塩基、プリンヌクレオチド塩基、またはピリミジンヌクレオチド塩基のような窒素含有複素環式部分である。特定の実施形態において、Bはウラシル、シトシン、7−デアザアデニン、または7−デアザグアノシンである。Bがプリンである場合、このリンカーは通常、プリンの8位に結合する。Bが7−デアザプリンである場合、色素に対するこのリンカーは、通常、7−デアザプリンの7位に結合する。Bがピリミジンである場合、このリンカーは、通常、ピリミジンの5位に結合する。
【0065】
蛍光色素Dは、本発明の目的に適切な任意の蛍光色素であり得る。代表的に、蛍光色素は、第1波長で光を吸収し、その吸収事象に応答して第2波長において蛍光を発光する、共鳴非局在システムまたは芳香族環システムを含む。広範な種々のこのような色素分子が当該分野で公知である。例えば、蛍光色素は、種々の型の蛍光化合物(例えば、キサンテン色素、ローダミン色素、フルオレセイン色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、スクアライン(squaraine)色素およびボディピー(bodipy)色素)のうちのいずれかから選択され得る。
【0066】
1つの実施形態において、色素は、キサンテン型色素であり、これは、以下の型:
【0067】
【化3】
の縮合三環系を含む。この親キサンテン環は、置換されていなくても(すなわち、全置換基がHである)、種々の同じまたは異なる置換基(例えば、以下に記載されるもの)のうちの1つ以上で置換されていてもよい。
【0068】
1つの実施形態において、色素は、一般構造:
【0069】
【化4】
を有する親キサンテン環を含む。上記の親キサンテン環において、A1はOHまたはNH2であり、そしてA2はOまたはNH2 +である。A1がOHであり、かつA2がOである場合、親キサンテン環は、フルオレセイン型キサンテン環である。A1がNH2であり、かつA2がNH2 +である場合、親キサンテン環は、ローダミン型キサンテン環である。A1がNH2であり、かつA2がOである場合、親キサンテン環は、ロードール(rhodol)型キサンテン環である。上記の親キサンテン環において、A1およびA2の一方の窒素または両方の窒素(存在する場合)、ならびに/またはC1位、C2位、C4位、C5位、C7位、C8位およびC9位の炭素原子の1つ以上が、広範な種々の同じまたは異なる置換基で独立して置換され得る。1つの実施形態において、代表的な置換基としては、−X、−R、−OR、−SR、−NRR、パーハロ(C1〜C6)アルキル、−CX3、−CF3、−CN、−OCN、−SCN、−NCO、−NCS、−NO、−NO2、−N3、−S(O)2O−、−S(O)2OH、−S(O)2R、−C(O)R、−C(O)X、−C(S)R、−C(S)X、−C(O)OR、−C(O)O−、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRRおよび−C(NR)NRR(ここで、各Xは、独立してハロゲン(好ましくは、−Fまたは−Cl)であり、そして各Rは、独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルカニル、(C1〜C6)アルケニル、(C1〜C6)アルキニル、(C5〜C20)アリール、(C6〜C26)アリールアルキル、(C5〜C20)アリールアリール、ヘテロアリール、6〜26員のヘテロアリールアルキル、5〜20員のヘテロアリール−ヘテロアリール、カルボキシル、アセチル、スルホニル、スルフィニル、スルホン、ホスフェート、またはホスホネートである)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、C1置換基およびC2置換基ならびに/またはC7置換基およびC8置換基は、一緒になって、置換または非置換の、ブタ[1,3]ジエノ架橋または(C5〜C20)アリールエノ架橋を形成し得る。一般的に、親キサンテン環の蛍光を消光する傾向のない置換基が好ましいが、いくつかの実施形態において、消光置換基が望ましくあり得る。親キサンテン環の蛍光を消光する傾向のある置換基は、電子吸引基(例えば、−NO2、−Br、および−I)である。1つの実施形態において、C9は非置換である。別の実施形態において、C9はフェニル基で置換される。別の実施形態において、C9はフェニル以外の置換基で置換される。
【0070】
A1がNH2であり、そして/またはA2がNH2 +である場合、これらの窒素は、同じ窒素原子または隣接炭素原子を含む1つ以上の架橋(例えば、(C1〜C12)アルキルジイル架橋、(C1〜C12)アルキルエノ架橋、2〜12員環のヘテロアルキルジイル架橋および/または2〜12員環のヘテロアルキルエノ架橋)を含み得る。
【0071】
炭素C1、炭素C2、炭素C4、炭素C5、炭素C7、炭素C8および炭素C9上の置換基ならびに/またはC3および/もしくはC6の窒素原子(存在する場合)のうちのいずれかはさらに、代表的に、−X、−R’、=O、−OR’、−SR’、=S、−NR’R’、=NR’、−CX3、−CN、−OCN、−SCN、−NCO、−NCS、−NO、−NO2、=N2、−N3、−NHOH、−S(O)2O−、−S(O)2OH、−S(O)2R’、−P(O)(O−)2、−P(O)(OH)2、−C(O)R’、−C(O)X、−C(S)R’、−C(S)X、−C(O)OR’、−C(O)O−、−C(S)OR’、−C(O)SR’、−C(S)SR’、−C(O)NR’R’、−C(S)NR’R’および−C(NR)NR’R’(ここで、各Xは、独立して、ハロゲン(好ましくは、−Fまたは−Cl)であり、そして各R’は、独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、2〜6員環のヘテロアルキル、(C5〜C14)アリールまたはヘテロアリール、カルボキシル、アセチル、スルホニル、スルフィニル、スルホン、ホスフェート、またはホスホネートである)から選択される、同じまたは異なる置換基の1つ以上と置換され得る。
【0072】
例示的な親キサンテン環としては、ローダミン型親キサンテン環およびフルオレセイン型親キサンテン環が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
1つの実施形態において、色素は、以下の環系:
【0074】
【化5】
を含むローダミン型キサンテン色素を含む。上記のローダミン型キサンテン環において、一方もしくは両方の窒素および/またはC1位、C2位、C4位、C5位、C7位、またはC8位の炭素のうちの1つ以上は、例えば、親キサンテン環について上記に記載したように、広範な種々の同じまたは異なる置換基で独立して置換され得る。例示的なローダミン型キサンテン色素としては、米国特許第5,936,087号、同第5,750,409号、同第5,366,860号、同第5,231,191号、同第5,840,999号、同第5,847,162号、および同第6,080,852号(Leeら)、PCT公開WO 97/36960およびWO 99/27020、Sauerら、J.Fluorescence 5(3):247−261(1995)、Arden−Jacob,Neue Lanwellige Xanthen−Farbstoffe fur Fluoreszenzsonden und Farbstoff Laser,Verlag Shaker,Germany(1993)、およびLeeら,Nucl.Acids Res.20:2471−2483(1992)に記載されるローダミン色素のキサンテン環が挙げられるが、これらに限定されない。米国出願番号09/325,243(1999年6月3日出願)に記載される伸長(extended)ローダミン色素の伸長結合キサンテン環もまた、「ローダミン型キサンテン環」の定義内に含まれる。
【0075】
別の実施形態において、色素は、構造:
【0076】
【化6】
を有するフルオレセイン型親キサンテン環を含む。上記のフルオレセイン型親キサンテン環において、C1位、C2位、C4位、C5位、C7位、C8位およびC9位の炭素の1つ以上が、親キサンテン環について上記で記載されるように、広範な種々の同じまたは異なる置換基で独立して置換され得る。例示的なフルオレセイン型親キサンテン環としては、米国特許第4,439,356号、同第4,481,136号、同第5,188,934号、同第5,654,442号、および同第5,840,999号、WO 99/16832、およびEP 050684に記載されるフルオレセイン色素のキサンテン環が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第5,750,409号、同第5,066,580号に記載されるフルオレセイン色素の伸長キサンテン環もまた、「フルオレセイン型親キサンテン環」の定義内に含まれる。
【0077】
別の実施形態において、この色素は、ローダミン系キサンテン環を含むローダミン色素を含み、ここで、C9炭素原子が、オルトカルボキシフェニル置換基(ペンダントフェニル基)で置換されている。このような化合物はまた、本明細書中において、オルトカルボキシフルオレセインと称される。ローダミン色素の特に好ましいサブセットは、4,7−ジクロロローダミンである。代表的なローダミン色素としては、ローダミンB、5−カルボキシローダミン、ローダミンX(ROX)、4,7−ジクロロローダミンX(dROX)、ローダミン6G(R6G)、4,7−ジクロロローダミン6G、ローダミン110(R110)、4,7−ジクロロローダミン110(dR110)、テトラメチルローダミン(TAMRA)および4,7−ジクロロテトラメチルローダミン(dTAMRA)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなるローダミン色素は、例えば、米国特許第5,366,860号(Bergotら)、同第5,847,162号(Leeら)、同第6,017,712号(Leeら)、同第6,025,505号(Leeら)、同第6,080,852号(Leeら)、同第5,936,087号(Bensonら)、同第6,111,116号(Bensonら)、同第6,051,719号(Bensonら)、同第5,750,409号、同第5,366,860号、同第5,231,191号、同第5,840,999号、ならびに同第5,847,162号、1999年6月3日に出願された米国特許出願番号09/325,243、PCT公開WO97/36960およびWO99/27020、Sauerら、1995、J.Fluorescence 5(3);247−261、Arden−Jacob,1993,Neue Lanwellige Xanthen−Farbstoffe fur Fluoresenzsonden und Farbstoff Laser,Verlag Shaker,Germany、およびLeeら、Nucl.Acids Res.20(10):2471−2483(1992)、Leeら、Nucl.Acids Res.25:2816−2822(1997)、およびRosenblumら、Nucl.Acids Res.25:4500−4504(1997)に見出され得る。1つの実施形態において、この色素は、4,7−ジクロロオルトカルボキシローダミンである。
【0078】
別の実施形態において、この色素は、フルオレセイン系キサンテン環を含むフルオレセイン色素を含み、ここで、C9炭素原子がオルトカルボキシフェニル置換基(ペンダントフェニル基)で置換されている。フルオレセイン系色素の好ましいサブセットは、4,7−ジクロロフルオレセインである。代表的なフルオレセイン色素としては、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる代表的なフルオレセイン色素は、例えば、米国特許第5,750,409号、同第5,066,580号、同第4,439,356号、同第4,481,136号、同第5,188,934号(Menchenら)、同第5,654,442号(Menchenら)、同第6,008,379号(Bensonら)、および同第5,840,999号、PCT公開WO99/16832、ならびにEPO公開050684に見出され得る。1つの実施形態において、この色素は、4,7−ジクロロオルトカルボキシフルオレセインである。
【0079】
他の実施形態において、この色素は、以下の参考文献およびそこに引用される参考文献に記載されるような、シアニン色素、フタロシアニン色素、スクアレン色素、またはbodipy色素であり得る:特許第5,863,727号(Leeら)、同第5,800,996号(Leeら)、同第5,945,526号(Leeら)、同第6,080,868号(Leeら)、同第5,436,134号(Hauglandら)、米国第5,863,753号(Hauglandら)、同第6,005,113号(Wuら)、およびWO96/04405(Glazerら)。
【0080】
時々、−1または−2との記載が、特定の色素の略語の後に置かれる(例えば、HEX−1)。この「−1」および「−2」との記載は、特定の5−カルボキシ色素異性体または6−カルボキシ色素異性体が使用されていることを示す。1異性体および2異性体は、C−8カラム、および15%アセトニトリル/85% 0.1M酢酸トリエチルアンモニウムから35%アセトニトリル/65% 0.1M酢酸トリエチルアンモニウムの勾配を利用する、逆相クロマトグラフィー分離システムにおける遊離色素の溶出の順序によって規定される(1異性体が2異性体の前に溶出する)。
【0081】
アニオン性リンカーLは、全体で負の電荷を有するよう設計される。代表的に、この負の電荷は、そのリンカーにおける1つ以上の負に荷電した基によって提供される。アニオン性リンカーが正に荷電した基(例えば、架橋しているかまたは架橋していないアミノ基)を有する場合、このリンカーはまた、十分な数の負に荷電した基を有して、このリンカーにおける負電荷の合計が、正電荷の合計を超えることを確実にしなければならない。1つの実施形態において、このリンカーは、正に荷電した基を含まない。このリンカーは、1、2、またはそれより大きい、正味の負電荷を含み得、これは、1つ、2つ、またはそれより多くの負に荷電した基によって提供され得る。1つの実施形態において、このリンカーは、単一の負電荷を含む。別の特定の実施形態において、このリンカーは、2の負電荷を含み、この電荷は、単一の基または2つの基によって提供され得る。特定の実施形態において、pH9におけるリンカーの全体の電荷は、少なくとも−1、−2、−3、またはそれより大きくあり得る。好ましくは、pH9におけるリンカーの全体的な電荷は、少なくとも−1である。非限定的な例として、このようなアニオン性基としては、以下が挙げられる:リン酸モノエステル(−OPO3 2−)、−OP(=O)(O−)O−の形態(ここで、リンおよび2つの酸素原子が、リンカー鎖原子である)のホスホジエステル、−OP(=O)(O−)(OR)の形態(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリールなどのマスキング基であり、そして最も左の酸素は、リンカー鎖に直接的または間接的に結合する)のホスホジエステル、−Y−P(=O)(O−)O−の形態(ここで、Yは、CH2のようなアルキル炭素、エテン炭素、エチン炭素、またはベンゼン環炭素であり、そして好ましくは、CH2であり、そしてY、リン原子、および右側の酸素原子は、リンカー鎖原子である)のホスホン酸モノエステル、−Y−P(=O)(O−)(OR)または−OP(=O)(O−)(Z)の形態(ここで、Yは記載されたとおりであり、そしてRおよびZは、各々、Rに関して規定されたようなマスキング基であるが、ホスホン酸モノエステルの原子はいずれも、リンカー鎖原子ではない)のホスホン酸モノエステル、硫酸モノエステル(−OSO3 −)、スルホン酸(スルホネート、−SO3 −)、およびカルボン酸(カルボキシレート、−CO2 −)。さらに、アニオン性基は、10未満のpKaを有する基(例えば、ニトロフェノレート、チオレート、フェニルチオレート、フッ化アルキルアルコール(例えば、パーフルオロヒドロキシメチルまたはパーフルオロヒドロキシエチル)、スルホンイミド、およびスクアレート)を含み得る。
【0082】
リンカー内のアニオン性基は、種々の様式で分類され得る。第1に、アニオン性基は、アニオン性基がリンカー原子の鎖内にある(架橋アニオン性基)か、またはリンカー原子の鎖の外側にある(非架橋基)かに依存して、架橋基と非架橋基との間で分割され得る。架橋アニオン性基の例は、−OP(=O)(O−)O−の形態のホスホジエステル、および−CH2P(=O)(O−)O−の形態のホスホン酸モノエステルである。非架橋アニオン性基の例は、リン酸モノエステル(−OPO3 2−)、−OP(=O)(O−)ORの形態(ここで、Rは、上記のように定義される)のホスホジエステル、リン酸(−PO3 2−)、−CH2P(=O)(O−)(OR)または−OP(=O)(O−)(Z)の形態(ここで、RおよびZは、上記のように定義される)のリン酸モノエステル、硫酸モノエステル、スルホン酸、およびカルボン酸である。従って、本発明は、1つ以上の架橋アニオン性基、1つ以上の二価アニオン性基、およびこれらの組み合わせを含むリンカーを意図する。
【0083】
アニオン性基はまた、正味の形式電荷によって分類され得る。pH9において単一の負電荷を提供する基の例としては、ホスホジエステル(架橋と非架橋との両方)、−CH2P(=O)(O−)O−、−CH2P(=O)(O−)(OR)、および−OP(=O)(O−)(Z)の形態のホスホン酸モノエステル、硫酸モノエステル、スルホン酸、およびカルボン酸が挙げられる。pH9において二重の負電荷を提供する基の例としては、リン酸モノエステル(非架橋)、および(−CH2PO3 2−)の形態のホスホン酸が挙げられる。従って、本発明は、単一に荷電したアニオン性基、二重に荷電したアニオン性基、およびこれらの組み合わせを含むリンカーを意図する。
【0084】
種々のアニオン性リンカーの任意のものが、使用され得る。代表的に、BとDとの間のリンカーは、約4〜約30のリンカー鎖原子、そして代表的には、4〜20のリンカー鎖原子のリンカー鎖長を有するが、より短いリンカーおよびより長いリンカーもまた、使用され得る。いくつかの例示的なアニオン性リンカーは、添付の図面、および以下の実施例において調製される化合物に、示されている。
【0085】
核酸塩基(nucleobase)BとリンカーLとの間の連結は、この核酸塩基上の任意の適切な位置に位置し得る。好ましくは、この核酸塩基上の結合部位は、相補的核酸塩基に対するその核酸塩基のH結合能力を妨害または排除しないように、選択される。Bがプリン核酸塩基を含む場合、リンカーは、通常、このプリンのN−8位に結合する。Bが7−デアザプリン核酸塩基を含む場合、リンカーは、通常、この7−デアザプリンのN−7位に結合する。Bがピリミジン塩基を含む場合、リンカーは、このピリミジンのC−5位に結合する。ヌクレオシドサブユニット、ヌクレオチドサブユニット、またはポリヌクレオチドサブユニットにおいて、プリンまたは7−デアザプリンは、通常、このプリンまたはデアザプリンのN−9位を介して糖部分に結合し、そしてピリミジンは、通常、このピリミジンのN−1位を介して糖部分に結合する。
【0086】
リンカーが核酸塩基に結合する特定の実体は、本発明の目的に適切な任意の化学基であり得る。種々の適切な化学基が公知である。例えば、核酸塩基に共有結合するリンカーにおける末端化学基は、アセチレン部分(−C≡C−)であり得、そしてしばしば、プロパルギル部分(−C≡CCH2−)である。なぜなら、このような結合部分は、プライマー伸長のために使用される種々のポリメラーゼと特に適合性である傾向があるからである。しかし、非アセチレン系化学基もまた、意図される。核酸塩基への結合に適した末端基の例は、以下の例示的な参考文献において見出され得る:
【0087】
【表1】
リンカーLと色素部分Dとの間の結合は、色素部分における任意の適切な位置に、好ましくは、色素の蛍光特性が不利に影響を受けないように、位置し得る。キサンテン系環については、リンカーは、任意の利用可能な炭素原子に結合し得るか、またはローダミン系キサンテン環における窒素原子の1つに結合し得る。ローダミン色素またはフルオレセイン色素については、ペンダントフェニル環における置換位置もまた利用可能であり、特に、キサンテン環のC9に対してパラの位置(5位)、またはオルトカルボキシル基に対してパラの位置(6位)である。さらに、リンカーが核酸塩基に結合される特定の化学基は、本発明の目的に適切な任意の化学基であり得る。種々の化学基および種々の色素における結合点は、例えば、米国特許第5,654,442号および同第5,188,934号(Menchenら)、同第6,020,481号(Bensonら)、同第5,800,996号(Leeら)、同第6,025,505(Leeら)、同第5,821,356号(Khanら)、同第5,770,716号(Khanら)、同第6,088,379号(Bensonら)、同第6,051,719号(Bensonら)、同第6,096,875号(Khanら)、同第6,080,868号(Leeら)1999年6月3日に出願された米国特許出願番号09/325,243(Lamら)、2000年2月7日に出願された09/498,702(Upadhyaら)、2000年5月2日に出願された09/564,417(Menchenら)、ならびに1999年11月3日に出願された09/433,093(Leeら)に見出され得る。1つの好ましい実施形態において、C9フェニル基を含むキサンテン誘導体(例えば、ローダミン色素またはフルオレセイン色素)については、リンカーは、この色素に、5−カルボキシフェニル基(キサンテンC9炭素原子に対してパラ)または6−カルボキシフェニル基(キサンテンのC9炭素原子に対してメタ)を介して結合する。別の好ましい実施形態において、キサンテン色素について一般に、リンカーは、好ましくは、このキサンテン環の4−炭素原子または5−炭素原子に結合する。第3の好ましい実施形態において、ローダミン系キサンテン色素およびローダミン色素について、リンカーは、このキサンテン環の3−窒素原子または6−窒素原子に結合する。本発明の結合体を形成するためのさらなるガイダンスは、本明細書中の実施例を参照して、以下に見出され得る。
【0088】
本発明の色素標識核酸塩基はまた、B−L1−D1−L2−D2の形態を有し得、ここで、Bは、核酸塩基であり、L1およびL2は、L1およびL2の少なくとも一方がアニオン性リンカーであるようなリンカーであり、そしてD1およびD2は、蛍光ドナー/アクセプター対のメンバーである。1つの実施形態において、D1はドナー色素であり、そしてD2はアクセプター色素である。別の実施形態において、D2はドナー色素であり、そしてD1はアクセプター色素である。ドナー/アクセプター対に関して、ドナー色素およびアクセプター色素は、異なる(同一でない)スペクトル特性を有することが、理解される。従って、ドナーおよびアクセプターは、同じ型の芳香族環構造を有し得る(例えば、ドナーとアクセプターとの両方がフルオレセイン色素である場合、または両方がローダミン色素である場合)が、各々における置換基の性質に起因して、異なるスペクトル特性が、ドナーおよびアクセプターに対して生じ得る。ドナー色素は、アクセプター色素の蛍光発光の強度を、同じ条件下でドナー色素の非存在下で観察される強度に対して、増強するために効果的である。この形態の結合体は、本明細書中において、「FRETプローブ」、「FRET標識結合体」、またはFRET標識ヌクレオチドと称され得る。なぜなら、ドナー色素の励起の際に、この結合体は、ドナーからアクセプターへの非放射性蛍光共鳴エネルギー移動を起こし得、その結果、アクセプター色素が次いで、それに応答して、第2の波長で蛍光を発光し得るからである。
【0089】
ドナー色素およびアクセプター色素は、任意の蛍光色素であり得、そして各々が、好ましくは、蛍光芳香族色素である。例えば、ドナー色素およびアクセプター色素は、別々に考慮すると、キサンテン、ローダミン、ジベンゾローダミン、フルオレセイン、[8,9]ベンゾフェノキサジン、シアニン、フタロシアニン、スクアレン、またはbodipy色素であり得る。さらに、ドナー色素およびアクセプター色素は、各色素における種々の結合部位のいずれかを使用して、一緒に結合し得る。例えば、D1がフルオレセインであり、そしてD2がローダミンである場合(これらの両方が、キサンテン環のC9に結合したペンダントフェニル基を含む)、D1は、そのキサンテン環を介して(好ましくは、C4を介して)、D2のペンダントフェニル基に(例えば、このペンダントフェニル基の5−カルボキシ基または6−カルボキシ基を介して)結合し得る。これは、頭−尾配置と称される。あるいは、この結合の位置は逆になり得、その結果、D2は、そのキサンテン環を介して、D1のペンダントフェニル環に結合する(頭−尾配置の別の例)。他の代替において、D1およびD2は、例えば、それらのペンダントフェニル環を介して尾−尾で結合し得るか、またはそれらのキサンテン環を介して頭−頭で結合し得る。
【0090】
上記のように、L1およびL2のうちの少なくとも一方は、アニオン性リンカーである。このようなアニオン性リンカーの特性は、一般に、アニオン性リンカーLとして上記で議論されている。
【0091】
1つの実施形態において、L1は、アニオン性リンカーであり、そしてL2は、非アニオン性リンカーである。L2について、種々の非アニオン性リンカーの任意のものが、D1をD2に結合するために使用され得る。ドナー−アクセプター結合体を形成するための一般的な懸念は、例えば、米国特許第5,863,727号、同第5,800,996号、同第5,945,526号、および同第6,008,379号に議論されている。1セットの実施形態において、D1−L2−D2は、以下の構造(a)、(b)または(c)のうちの1つを含み得る:
(a)−D1−R21Z1C(O)R22R28−D2
(b)−D1−R28R22C(O)Z1R21−D2
(c)−D1−R28R22R28−D2
ここで:R21は、C1〜C5アルキルジイルであり、Z1は、NH、S、またはOであり、R22は、アルケン、ジエン、アルキン、または少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環であり、そしてR28は、結合またはスペーサー基である。このような色素間結合の詳細および例は、例えば、米国特許第5,800,996号において見出され得る。特定の実施形態において、R22は、エテンジイル、エテンジイル、1,3−ブタジエンジイル、または1,3−ブタジインジイルである。
【0092】
別の実施形態において、L1は、非アニオン性リンカーであり、そしてL2は、アニオン性リンカーである。この場合、種々の非アニオン性リンカーの任意のものが、BをD1に結合するために使用され得る。例示的な非アニオン性リンカーの説明は、上記表1における参考文献において見出され得る。例えば、L1は、以下の非限定的例の任意のものであり得るか、またはそれを含み得る:
−C≡CCH2NH−
−C≡CCH2OCH2CH2NH−
−C≡CCH2OCH2CH2OCH2CH2NH−
−C≡CCH2NHC(O)(CH2)5NH−
−C≡CC(O)NH(CH2)5NH−
−C=CHC(O)NH(CH2)5NH−
−C≡C−(p−C4H6)OCH2CH2NH−
−C≡C−(p−C6H4)OCH2CH2NH−
−C≡C−(p−C6H4)−(p−C6H4)−C≡C−
−C≡C−(p−C4H6)−
−C≡C−C≡C−
ここで、左側のエテンまたはエチン部分は、核酸塩基に結合し、そして右側の結合は、代表的に、色素に直接結合するか、またはカルボニル基を介して色素と間接的に結合する。さらなる非アニオン性リンカーは、添付の図面における例示的な化合物に示される。
【0093】
より一般的には、非アニオン性リンカーは、電荷が中性であるか、または正に荷電したもののいずれかであるリンカーを包含する。電荷が中性のリンカーとは、pH7において、荷電した基を含まない(すなわち、6と8との間のpKaを有する荷電基を有さない)か、または正味0の電荷を提供するように相殺する、同数の正に荷電した基および負に荷電した基を含むかのいずれかであるリンカーをいう。正に荷電したリンカーは、pH7において、正に荷電する(例えば、アンモニウムイオンまたはイミダゾールイオンの存在に起因する)。好ましくは、非アニオン性リンカーは、電荷が中性のリンカーである。好ましくは、電荷が中性のリンカーは、pH7において、荷電した基を含まない。
【0094】
L1およびL2が両方、アニオン性リンカーである場合、L1およびL2の構造は、同一であるかまたは異なり得、そしてこのリンカーにおけるアニオン性の基もまた、同一であるかまたは異なり得る。本発明による結合体構造に関するさらなるガイダンスは、以下に提供される。
【0095】
本発明の化合物は、任意の適切な合成方法によって調製され得る。代表的に、本発明の結合体は、モジュラーアプローチを使用して形成され、このアプローチにおいて、核酸塩基(これは、例えば、核酸塩基を含むヌクレオシドまたはヌクレオチドの形態で、提供され得る)、第1の色素、第2の色素(存在する場合)、および1つ以上のリンカーまたはリンカー前駆体が、連続工程および/または並行工程において混合されて、所望の標識生成物を生成する。いくつかの例示的なアプローチが、以下の実施例に記載されており、これらの実施例は、種々の長さおよび組成のリンカーを含む、いくつかの異なる色素標識ヌクレオチドの合成を記載する。
【0096】
実施例1は、本発明によって、標識ヌクレオチドを調製するための合成方法を記載し、この標識ヌクレオチドは、(i)アニオン性リンカーによって、7−デアザアデニン核酸塩基のC−8を介して結合される、第1の色素であって、このアニオン性リンカーは、リンカー原子の鎖内に、リン酸ジエステルを含む、第1の色素、および(ii)電荷が中性の(非アニオン性)リンカーによってこの第1の色素に結合した、第2の色素を含む。核酸塩基と第1の色素との間のリンカーは、13のリンカー鎖原子を含む。第1の色素と第2の色素との間のリンカーは、10のリンカー原子を含む。この実施例において、二官能性リンカー部分7は、いくつかの工程で形成され、まず環状ホスホロアミダイト1をメチルグリコレート2と反応させ、次いで酸化して、ホスフェート化合物3を形成する。メチル基をこのホスフェートから除去して4を生成し、そしてアミノ基およびカルボキシル基の脱保護によって化合物5を生成した後に、Fmoc保護基がアミンに結合されて、カルボン酸6を生成する。このカルボン酸の、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)での活性化により、エステル7が生成する。これは、用途の広いリンカーシントンである。次いで、エステル7を7−アミノプロパルギル−7−デアザアデノシントリホスフェート8と反応させて、化合物9を形成する。化合物9との反応のために、色素化合物11を、p−アミノメチル安息香酸をFmoc酸クロリドと反応させてFmoc保護されたp−アミノメチル安息香酸を形成することによって、調製した。NHSでのこの安息香酸の活性化の後、NHSエステル生成物を4’−アミノメチル−6−カルボキシフルオレセインと反応させて、予測したアミド付加体を生成した。次いで、6−カルボキシル基をNHSと反応させて、色素化合物11を生成した。化合物10および11の反応により、付加体12を生成し、ここで、アニオン性(リン酸含有)リンカーが、フルオレセイン色素と核酸塩基との間に完全に形成される。Fmoc基の除去の後、得られた遊離アミン化合物13をローダミンNHSエステル14と反応させて、色素標識ヌクレオチド15を形成した。
【0097】
実施例1において使用される化合物10を調製するための代替的な方法は、実施例2において提供される。この実施例は、リン酸モノエステルを含むリンカーシントン19を、ヨウ素化核酸塩基(7−ヨード−デアザアデニン)を含むヌクレオシドとの反応のために調製する。簡単には、3−アミノ−1−プロパイン16を、メチルグリコレート2と反応させ、予想されるアミド生成物17を形成する。17の環状ホスホロアミダイト1との反応に、リン酸トリエステル18を生じる酸化が続く。リン酸基の除去後、得られたホスホジエステル化合物19を、ヨードヌクレオシド20と反応させ、付加物21を得る。このヌクレオシドの5’−ヒドロキシ基を、亜リン酸オキシクロライドと反応させ、ジクロロ一リン酸22を形成し、その後ピロリン酸を添加して、ヌクレオシド三リン酸23を提供する。末端アミン窒素由来のトリフルオロアセチル保護基は、シントン10を提供する。
【0098】
実施例4は、(i)電荷が中性の(非アニオン性)リンカーによって7−デアザアデニン核酸塩基に結合された第1の色素、および(ii)モノアニオン性スルホン酸部分を含むアニオン性リンカーによって第1の色素に結合された第2の色素を含むFRET標識ヌクレオチドを調製するための合成方法の合成を記載する。核酸塩基と第1の色素との間のリンカーは、5個のリンカー鎖原子を含む。第1の色素と第2の色素との間のリンカーは、10個のリンカー原子を含む。実施例4に詳述されるように、p−アミノメチル安息香酸24は、硫酸と反応され、メタ硫酸産物25を形成する。Fmoc−スクシンイミドとの反応は、Fmoc保護されたアミン26を生じ、次いでこれを、N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、NHSエステル27を形成する。NHSエステル27との反応について、色素標識ヌクレオシド三リン酸30は、アミノプロパルギル(aminopropargyl)ヌクレオシド三リン酸8を、色素中間体28(トリフルオロアセチル保護4’−アミノメチル基および6−カルボキシ基のNHSエステルを含むフルオレセイン色素)と反応させることによって調製し、色素標識ヌクレオチド29を生じ、トリフルオロアセチル(TFA)基の除去が続いてアミン化合物30を生じる。NHSエステル27と化合物30との反応は、Fmoc保護化合物31を生じる。Fmoc基の除去後、得られたアミン化合物32を色素NHSエステル14と反応させ、色素標識ヌクレオチド33を得る。第1の色素と第2の色素との間のリンカーは、リンカー鎖中のベンゼン部分に結合するスルホン酸基を含む。
【0099】
実施例5において、ドナー−アクセプター対の第1の色素および第2の色素が、リン酸含有リンカーによって結合され、そしてこのドナー色素が電荷が中性のリンカーによって核酸塩基に結合される標識されたヌクレオチドを調製するためのプロトコルが記載される。このヌクレオチド産物は、実施例1の産物とは異なる。なぜなら、アニオン性リン酸リンカーは、第1の色素と核酸塩基との間に位置するからである。実施例5の産物もまた、実施例4の産物と異なる。なぜなら、2つの色素環のアニオン性リンカーは、リンカー鎖に結合したスルホン酸基ではなく、リンカー鎖中のリン酸モノエステルを含むからである。この化合物はまた、いくつかのリンカーの長さにおいて異なる。
【0100】
実施例5に詳述されるように、アミノプロパルギルヌクレオチド8を、色素NHSエステル11と合わせ、Fmoc保護化合物34を得る。Fmoc基の除去後、得られたアミン35を、エステル7と反応させ、Fmoc保護された色素標識ヌクレオチド36を生成する。Fmoc基の除去後、得られたアミン37を、色素NHSエステル14と反応させ、色素標識ヌクレオチド38を得る。
【0101】
2つのアニオン性リンカーを含むFRET標識ヌクレオチドを調製するための方法が、実施例6に記載される。詳細には、核酸塩基と第1の色素との間のアニオン性リンカーは、リン酸ジエステル部分を含み、そして第1の色素と第2の色素との間のアニオン性リンカーは、スルホン酸部分を含む。実施例6において記載される方法において、ヌクレオチドアミン10(実施例1および2)を、色素NHSエステル28と反応させ、色素標識ヌクレオチド39を形成し、ここで、色素およびヌクレオチドは、リン酸含有リンカーによって結合される。Fmoc基の除去は、アミン化合物40を生成し、これを、スルホン酸含有NHSエステル27と反応させ、Fmoc保護化合物41を得る。Fmoc基の除去後、得られたアミン42を、色素NHSエステル14と反応させ、色素標識ヌクレオチド43を得る。
【0102】
実施例7は、実施例1に記載される経路と比較して、実施例6由来の色素標識ヌクレオチド化合物40を使用して、代替的な経路によってどのように本発明の結合体を形成し得るかを示す。実施例1において、第1の色素と第2の色素との間の主要なリンカーシントンは、化合物11の一部として提供され、これは、第1の色素(核酸塩基の結合のための)および第1の色素に結合するFmoc保護リンカーシントンを含む。実施例7の方法において、リンカーは、第2の色素に結合したリンカーシントンを含む化合物(44)の一部として提供される。この化合物を、色素標識ヌクレオチド40と反応させ得、所望の生成物15を得る。従って、実施例7は、所望の場合、本発明の特定の化合物を合成するために、種々のシントンの結合の順序が、どのように変化し得るかを示す。
【0103】
実施例8A〜8Bは、核酸塩基がシトシンであることを除き、実施例1の生成物と類似する2つのFRET標識ヌクレオチドを調製するための方法を記載する。実施例8Aにおいて、リンカーは、実施例1の生成物のリンカーと同じである。実施例8Bにおいて、核酸塩基と第1の色素との間のリンカーは、プロパルギル基の後に挿入されたエトキシ基の包含に起因して、実施例8Aにおける対応するリンカーよりも長い。
【0104】
実施例9、10、および11は、第1の色素と第2の色素との間の選択されたアニオン性リンカーを含むさらなるFRET標識核酸塩基(チミン)を作製する方法を記載する。実施例9における方法は、2つの色素間のスルホン酸含有アニオン性リンカー、および第1の色素と核酸塩基との間の電荷が中性のリンカーを有する生成物64を生じる。実施例10由来の生成物69は、第1の色素と第2の色素との間にリン酸含有アニオン性リンカーを有する。このアニオン性リンカーはまた、実施例9のリンカーよりも長い(10リンカー鎖原子に対して18リンカー鎖原子)。実施例11における方法は、核酸塩基が7−デアザグアノシンであり、そして結合した色素が異なることを除き、生成物69と類似の生成物77を生成する。
【0105】
形態B−L−Dのいくつかの例示的な色素標識結合体を調製するための方法が、実施例12、13および18に提供される。実施例12Aは、スルホン化されたベンゼン部分によって示されるような、スルホン酸基を含むアニオン性リンカーを有する色素標識結合体82を調製するための方法を記載する。実施例12Bにおいて、色素標識結合体85は、スルホン酸基およびリン酸基の両方を含む二価アニオン性リンカー(−2の正味の形式的な電荷)を有する。実施例13において、色素標識結合体95は、リンカー鎖中のホスホジエステル部分を含むアニオン性リンカーを有する。
【0106】
実施例18(図22Aおよび22Bもまた参照のこと)は、リンカーの一部としてカルボキシベンゼン部分を有すると示されるように、カルボキシアニオン性基を含むリンカーを有する形態B−L−Dの結合体を形成する方法を提供する。カルボン酸基はまた、適切なカルボキシル化リンカーシントンを調製することによって、他の様式でリンカー中に含まれ得ることが理解される。
【0107】
実施例14、15および16は、FRET標識結合体を調製するためのさらなる方法を提供し、ここで、核酸塩基および第1の色素は、アニオン性リンカーによって結合され、そしてドナーおよびアクセプター色素は、電荷が中性のリンカーによって結合される。実施例14および16の核酸塩基は、7−デアザアデニンである。実施例15の核酸塩基は、7−デアザグアニンである。実施例14において、ホスホジエステル部分は、核酸塩基上の7−プロパルギル基に結合され、そしてリンカーの残りは、フルオレセイン色素の垂れ下がったフェニル環に結合するエチルアミノアシル基として提供される。実施例15において、ホスホジエステル部分は、7−プロパルギルフェニルプロピニル基によって核酸塩基に結合され、そしてリンカーの残りは、エチルアミノアシル部分として提供される。実施例16において、ホスホネートモノエステルは、メチルアシルアミノプロパルギル基によって核酸塩基に結合され、そしてリンカーの残りは、エチルアミノアシル部分として提供される。
【0108】
前述の実施例は、本発明に従う、広範な種々の色素標識核酸塩基化合物を示し、これらとしては、4つの異なる型の核酸塩基、異なる組成物および長さのリンカー、多数の異なる型の色素、およびそれらの種々の組み合わせが挙げられる。形態B−L1−D1−L2−D2の結合体のいくつかの特定の例が記載され、ここで、L1、L2または両方が、種々の型および長さのアニオン性リンカーである。形態B−L−Dの結合体の特定の例がまた提供され(実施例12A、12B、および13)、そして改変は、L1がアニオン性リンカーであるFRET対の実施例から直ちに明らかであるはずである。
【0109】
本発明はまた、本発明に従う、結合体を含むヌクレオシドおよびヌクレオチドを含む。本発明の特に好ましいヌクレオシド/ヌクレオチドは、以下の式:
【0110】
【化7】
によって示され、ここで、W1は、OH、H、F、Cl、NH2、N3、またはORであり、ここで、Rは、C1〜C6アルキル(例えば、OCH3またはOCH2CH3)である;W2は、OHまたはポリメラーゼ媒介指向型プライマー伸長をブロックし得る基(例えば、H、F、Cl、NH2、N3、またはORであり、ここで、Rは、C1〜C6アルキル(例えば、OCH3またはOCH2CH3))である;W3は、OH、またはその一リン酸アナログ、二リン酸アナログ、または三リン酸アナログであり;そしてLB(標識された塩基)は、本発明の色素標識核酸塩基結合体を表す。1つの実施形態において、W1はOHではない。別の実施形態において、W2はOHではなく、その結果、この化合物は、3’伸長可能ではない。別の実施形態において、W1およびW2は、H、F、およびNH2から選択される。さらなる実施形態において、W1はFでありそしてW2はHであり、W1はHでありそしてW2はFであり、W1およびW2は各々Fであるか、またはW1およびW2は各々Hである。さらに、前述の実施形態の各々について、W1単独、W2単独、およびW1およびW2の組み合わせについて、W3は、OH、一リン酸、二リン酸、または三リン酸であり得ることが意図される。LBについて、例示的な核酸塩基としては、アデニン、7−デアザアデニン、7−デアザ−8−アザアデニン、シトシン、グアニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、チミン、ウラシル、およびイノシンが挙げられる。
【0111】
例えば、1つの特定の実施形態において、W3が三リン酸である場合、本発明は、以下の式:
【0112】
【化8】
で示される構造を有するヌクレオチド三リン酸を含み、ここで、XはHまたはFである。このようなターミネーターヌクレオチドおよび3’OH基を欠く上記の他のヌクレオチドは、蛍光検出を利用するSanger型DNA配列決定法、およびまたミニ配列決定において鎖終結剤としての特定の適用を見出す。
【0113】
別の実施形態において、本発明は、以下の式:
【0114】
【化9】
で示される構造を有するデオキシヌクレオチド三リン酸を含み、ここで、LBは、上記の通りに定義される。このような化合物は、3’伸長可能なヌクレオチドの例である。この型の標識された2’−デオキシヌクレオチドは、(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応およびニックトランスレーションにおいて)ポリメラーゼ伸長産物を標識するための試薬として特定の適用を見出す。
【0115】
別の実施形態において、本発明は、以下の式:
【0116】
【化10】
で示される構造を有するリボヌクレオチド三リン酸を含み、ここで、LBは、上記に定義される通りである。この型の標識されたヌクレオチドは、例えば、米国特許第5,939,292号(Gelfandら)、Eckstein,Nucl.Acids Res.16:9947−9959(1988)、およびShaw,Nucl.Acids Res.23:4495(1995)において議論されるように、切断可能なヌクレオチド間結合を有する不安定なヌクレオチドを利用する配列決定法のための試薬および配列決定法における試薬として特定の適用を見出す。
【0117】
本発明はまた、上に議論された型の1つ以上の異なる核酸塩基−色素結合体を含むポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの混合物を提供する。このようなポリヌクレオチドは、多数の重要な状況(例えば、DNA配列決定、ライゲーションアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、プローブハイブリダイゼーションアッセイ、および種々の他の配列の検出方法または定量方法)において有用である。
【0118】
色素含有ポリヌクレオチド(標識されたポリヌクレオチドとしてもまた本明細書中で称される)は、酵素的に(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、リガーゼ、または他の酵素(例えば、Stryer,Biochemistry,第24章、W.H.Freemanおよび協同研究者(1981))を使用して)、または化学的合成によって(例えば、ホスホラミダイト法、亜リン酸−トリエステル法によって)合成されるかなどであり得る。本発明の色素標識は、上記のような標識されたヌクレオチド三リン酸モノマーを利用する酵素合成の間、または標識された非ヌクレオシドまたはヌクレオシドホスホラミダイトを使用する化学合成の間に導入され得るか、あるいは合成に引き続き導入され得る。標識されたポリヌクレオチドを形成するための例示的な方法は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY(1989)、米国特許第6,008,379号(Bensonら)および本明細書中に引用される参考文献において見出され得る。
【0119】
一般的に、標識されたポリヌクレオチドが、酵素学的合成を使用して作製される場合、以下の手順が使用され得る。オリゴヌクレオチドプリマーは、鋳型DNA鎖中の相補的な配列にアニーリングされる。デオキシヌクレオチド三リン酸(例えば、dGTP、dATP、dCTP、およびdTTP)の混合物が添加され、ここで、少なくとも1つのデオキシヌクレオチドは、本発明の核酸塩基−色素結合対を含む。ポリメラーゼ酵素の存在下で、色素標識ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ媒介鎖合成の間に標識されたデオキシヌクレオチドの取り込みによって形成される。代替的な酵素学的合成方法において、1つの代わりに、2つのプライマー(一方のプライマーは、+鎖に相補的であり、他方のプライマーは、標的の鎖に相補的である)を使用され、ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼであり、そして反応温度は、変性温度と伸長温度との間でサイクルされ、それにより、PCR(例えば、PCR Protocols,Innisら編、Academic Press(1990))によって標的配列に対する標識された相補体を、指数関数的に合成する(増幅する)。
【0120】
標識されたポリヌクレオチドは、ホスホラミダイト方法のような任意の適切な方法を使用して化学的に合成され得る。ホスホラミダイト方法によってポリヌクレオチドを形成するために使用される化学の詳細な説明は、他で提供される(例えば、Caruthersら、米国特許第4,458,066号および第4,415,732号、Caruthersら、Genetic Engineering 4:1−17(1982)、Users Manual Model 392 and 394 DNA/RNA Synthesizers,6−1頁〜6−22頁、Applied Biosystems,Part No.901237(1991))。標準的なホスホジエステル結合またはホスホジエステル結合アナログを含むポリヌクレオチドを作製するためのホスホラミダイト方法および他の合成方法の説明は、Gait,Oligonucleotide Synthesis,IRL Press(1990),およびS.Agrawal,Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Methods in Molecular Biology、第20巻、Humana Press,Totowa,NJ(1993)において見出される。
【0121】
ホスホラミダイト方法は、その効率的および迅速なカップリングおよび出発材料の安定性に起因して、好ましい方法である。この合成は、固体支持体に結合したポリヌクレオチド鎖を増殖することによって行われ、その結果、過剰の試薬(これは、液相で存在する)は、ろ過によって容易に除去され、それにより、合成サイクル間の精製工程の必要性を排除する。
【0122】
(III.方法)
本発明の核酸塩基−色素結合体は、蛍光検出を利用する任意の方法(特に、電気泳動によって十分に分離されない分析物の同時検出を必要とする方法)に適している。本発明は特に、生化学的分離手順(例えば、電気泳動)に供されているポリヌクレオチドのクラスを検出するのに十分に適している。
【0123】
1つの局面において、本発明は、1つ以上のポリヌクレオチドを同定するための方法を提供する。この方法は、1つ以上の標識された異なる配列のポリヌクレオチドを利用し、このポリヌクレオチドは、同じ長さまたは異なる長さを有し得、ここで、各異なる配列のポリヌクレオチドは、固有の核酸塩基−色素結合体を含む。1つ以上の標識された異なる配列のポリヌクレオチドは、サイズに基づいて異なる配列のポリヌクレオチドを分離する電気泳動によって分離される。次いで、各異なる配列のポリヌクレオチドは、その電気泳動の移動度および蛍光シグナルに基づいて同定され得る。
【0124】
これらのポリヌクレオチドは、各異なるポリヌクレオチドが電気泳動の移動度および蛍光シグナルの固有の組み合わせに基づいて同定可能であるという条件で、任意の適切な方法によって形成され得る。例えば、2つの異なるポリヌクレオチドは、同一の色素部分を含み得るが、異なる電気泳動移動度を示し得る。あるいは、2つの異なるポリヌクレオチドは、別個の(スペクトル分解可能な)蛍光シグナルを生成する異なる色素部分を含み得るが、同じ電気泳動移動度を示し得る。別の例において、異なるポリヌクレオチドは、蛍光シグナルおよび移動度の両方において異なり得る。
【0125】
1つの実施形態において、この方法は、異なる標識されたポリヌクレオチドが、(i)複数の異なる標的配列、および(ii)標的配列に相補的な複数の異なるポリヌクレオチドとの反応によって形成される、複数の形式で使用され得る。例えば、異なるポリヌクレオチドは、例えば、酵素作用による改変に起因して、ポリヌクレオチドサンプル中の相補的な標的配列にハイブリダイズした後、構造における変化を起こすように設計され得、これにより、同定を可能にする移動度および蛍光の固有の組み合わせを有する異なる標識されたポリヌクレオチドを生成する。このような反応は、単一の反応混合物中で同時に行われ得るか、または電気泳動分離の前に合わせられ得る別々の反応混合物中で行われ得る。このような標識されたポリヌクレオチドを生成するためのいくつかの例示的なアッセイ形式は、以下に考察される。
【0126】
Sanger型配列決定は、その配列が決定されるかまたは確認される一本鎖DNAまたは二本鎖DNAを使用する、インビトロでDNAポリメラーゼによるDNA鎖の合成を包含する。合成は、オリゴヌクレオチドプライマーが鋳型にアニールする場所に基づいて規定の場所で開始される。この合成反応は、連続するDNA伸長を支持しないヌクレオチドアナログの組み込みによって終結される。例示的な鎖終結ヌクレオチドアナログは、2’,3’−ジデオキシヌクレオシド5’−三リン酸(ddNTP)(これは、5’から3’へのDNA鎖の伸長に必要な3’−OH基を欠く)を含む。適切な部分のdNTP(2’−デオキシヌクレオシド5’−三リン酸)および4つのddNTPが使用される場合、酵素触媒重合は、ddNTPが組み込まれる各部位で、一部の鎖の集団において終結される。標識されたddNTPが各反応に使用される場合、所望の配列は、高分解能電気泳動による分離の間または分離後に終結された鎖の蛍光シグナルの検出によって得られ得る。鎖終結方法において、本発明の色素は、配列決定プライマーまたは終結ヌクレオチドのいずれかに結合し得る。
【0127】
「フラグメント分析」法または「遺伝子分析」法において、標識されたポリヌクレオチドフラグメントは、例えば、ポリヌクレオチドライゲーションまたはポリメラーゼ指向プライマー伸長によって、標識されたプライマーまたはヌクレオチドを使用して、鋳型指向酵素学的合成を介して生成される。次いで得られたフラグメントは、サイズ依存分離プロセス(例えば、電気泳動またはクロマトグラフィー)に供され、そして分離されたフラグメントは、例えば、レーザー誘導性蛍光によって検出される。特定の実施形態において、多数のクラスのポリヌクレオチドが同時に分離され、そして異なるクラスが、スペクトル分解標識によって区別される。
【0128】
フラグメント分析方法(増幅フラグメント長多型検出(AmpFLP)として公知)は、PCRによって増幅される増幅フラグメント長多型(すなわち、制限フラグメント長多型)に基づく。種々のサイズのこれらの増幅フラグメントは、ファミリー系列における以下の変異遺伝子に対する連鎖マーカーとして働く。この増幅フラグメントが染色体上の変異遺伝子に接近するほど、連鎖相関は高くなる。多くの遺伝的障害についての遺伝子は同定されていないため、これらの連鎖マーカーは、疾患の危険性または父性を評価するのを助ける。AmpFLP技術において、ポリヌクレオチドを、標識されたポリヌクレオチドPCRプライマーを使用することによって、またはPCRにおいて標識されたヌクレオチド三リン酸を使用することによって、標識し得る。
【0129】
ニックトランスレーションとして公知の別のフラグメント分析方法において、二本鎖DNA分子中の1つ以上の標識されていないヌクレオチドサブユニットは、標識されたサブユニットと置換される。遊離の3’−ヒドロキシル基は、デオキシリボヌクレアーゼI(DNAaseI)で処理することにより生じる「ニック」により、標識されていないDNA内で生成する。このDNAポリメラーゼIは、次いで、このニックの3’ヒドロキシルへの1つ以上の標識されたヌクレオチドの付加を触媒する。同時に、この酵素の5’から3’のエキソヌクレアーゼ活性は、このニックの5’ホスホリル末端から1つ以上のヌクレオチドサブユニットを除去し得る。遊離の3’−OH基を有する新たなヌクレオチドは、除去されたヌクレオチドの位置に組み込まれ、そしてニックは3’方向に1ヌクレオチド単位だけずれる。この3’シフトは、既存の標識されていないヌクレオチドの除去を伴って、DNAに対する新たな標識されたヌクレオチドの連続的な付加を生じる。ニックトランスレーションされたポリヌクレオチドは、次いで、分離プロセス(例えば、電気泳動)を使用して分析され得る。
【0130】
別の代表的なフラグメント分析方法は、可変数のタンデム反復、すなわちVNTRに基づく。VNTRは、特定の配列の隣接する複数のコピーを含む二本鎖DNAの領域であり、この反復単位の数は、(例えば、ヒトの)集団の異なるメンバー間で可変である。VNTR座位の例は、pYNZ22、pMCT118およびApo Bである。VNTR法のサブセットは、ミクロサテライト反復、または短タンデム反復(STR)、すなわち、短い(2〜4塩基)の反復配列により特徴付けられるタンデム反復の検出に基づく。ヒトにおいて最も多量に散剤する反復性DNAファミリーは、(dC−dA)n−−(dG−dT)nジヌクレオチド反復ファミリー((CA)nジヌクレオチド反復ファミリーとも呼ばれる)である。ヒトゲノム中に、代表的には1ブロックあたり15〜30個の反復を有する、50,000〜100,000もの多くの(CA)n反復領域が存在すると考えられる。これらの反復領域の多くは、長さにおいて多型であり、従って有用な遺伝マーカーとして働き得る。好ましくは、VNTR法またはSTR法において、標識を、色素標識PCRプライマーを使用することによって、ポリヌクレオチドフラグメントに導入する。
【0131】
オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)として時折知られる別の例において、2つのポリヌクレオチド(プローブ対)(これらは標的配列における隣接領域に対して相補的である)を、ポリヌクレオチドの標的領域にハイブリダイズして、ニック二重構造を作製し、ここでこの2つのポリヌクレオチドの末端は互いに隣接している。このハイブリダイズしたポリヌクレオチドプローブの末端が、標的中の値に対応するサブユニットと一致する(これと塩基対形成する)場合、2つのプローブを、ライゲーションによって(例えば、リガーゼで処理することによって)結合し得る。次いで、このライゲーションされた産物を、検出し、標的配列の存在を立証する。ライゲーション連鎖反応(またはライゲーション増幅反応)として公知のこのアプローチの改変において、ライゲーション産物は、第1の対由来のライゲーションされた産物に対して相補的なポリヌクレオチドプローブの第2の対についてのテンプレートとして働く。プローブの2つの相補的な対の存在下における連続したサイクルの変性、再アニーリングおよびライゲーションを使用して、標的配列を指数関数的に増幅し、非常に少量の標的配列を、検出および/または増幅し得る。このようなプロセスを実施するための例示的な条件(化学的ライゲーション様式を含む)は、米国特許第5,962,223号(Whiteleyら)、同第4,988,617号(Landegrenら)および同第5,476,930号(Letsingerら)、ならびに欧州特許公開EP246864A(Carrら)、EP336731A(Wallace)およびEP324616A(Royerら)に記載される。
【0132】
都合良くは、上記のいずれかのようなフラグメント分析法を、マルチプローブ様式で実施し得、このマルチプローブ様式では、サンプルは複数の異なるポリヌクレオチドプローブまたはプローブセットと反応し、これらのポリヌクレオチドプローブまたはプローブセットの各々は、異なる標的配列(例えば、遺伝子座亜の異なる対立遺伝子)および/または異なる座位に対して特異的である。これらのプローブは、移動度および蛍光シグナルの独特の組み合わせを有するように設計され、異なる標的配列の存在の結果として、このアッセイにおいて生成される個々のプローブまたはプローブ産物の特異的な検出を可能にする。
【0133】
上記のフラグメント分析法において、標識ポリヌクレオチドは、好ましくは、電気泳動手順によって分離される。核酸の電気泳動のための方法は、周知であり、そして例えば、RickwoodおよびHames編、Gel Electrophoresis of Nucleic Acids:A Practical Approach,IRL Press Limited,London(1981),Osterman,Methods of Protein and Nucleic Acid Research,第1巻、Springer−Verlag,Berlin(1984),Sambrookら、(1989、前出)、P.D.GrossmanおよびJ.C.Colburn,Capillary Electrophoresis:Theory and Practice,Academic Press,Inc.,NY(1992)、ならびに米国特許第5,374,527号、同第5,624,800号および/または同第5,552,028号に記載される。代表的には、電気泳動マトリクスは、約2〜20重量%、しばしば4〜8重量%の濃度(重量対容量)を有する架橋または非架橋のポリアクリルアミドを含む。DNA配列決定について、電気泳動マトリクスは、通常、尿素、ホルムアミドなどの様な変性剤を含む。このようなマトリクスの形成について詳述された例示的な手順は、Maniatisら「Fractionation of Low Molecular Weight DNA and RNA in Polyacrylamide Gels Containing 98% Formamide of 7M Urea」、Methods in Enzymology,65:299−305(1980),Sambrookら(1989、前出)、およびABI PRISMTM 377 DNA Sequencer User’s Mannual,Rev.A,January 1995,Chapter 2(p/n 903433),Applied Biosystems(Foster City,CA)により示される。種々の適切な電気泳動媒体もまた、Applied Biosystemsおよび他のメーカーから市販されており、これには例として、自動機器(例えば、Applied Biosystems「3700」および「3100」機器)で使用するための非架橋媒体が挙げられる。特定の分離において用いられる最適な電位泳動条件(例えば、ポリマーの濃度、pH、温度、電圧、変性剤の濃度)は、多くの因子(分離される核酸のサイズ範囲、それらの塩基組成、これらの核酸が一本鎖であるか二本鎖であるか、および電気泳動によってその情報が求められるポリヌクレオチドの性質を含む)に依存する。従って本発明の適用は、特定の分離のための条件を最適化するための標準的な予備試験を必要とする。
【0134】
電位泳動分離の間または後に、標識ポリヌクレオチドを、分離されたポリヌクレオチドの蛍光シグナルおよび移動時間(または移動距離)を記録することによって、またはそのポリヌクレオチドの相対蛍光および移動の順序のチャート(例えば、電気泳動クロマトグラフ)を作成することによって、検出または同定し得る。このような検出を行うために、標識ポリヌクレオチドを、標準的な手段(例えば、高強度水銀放電ランプ、レーザーなど)によって照射し得る。代表的には、この標識ポリヌクレオチドを、He−Neガスレーザーまたは固相ダイオードレーザーにより生成されるレーザー光で照射する。次いで、蛍光シグナルを、光感受性検出器(例えば、光電子増倍管、電荷結合デバイスなど)によって検出し得る。代表的な電気泳動検出システムは、他の場所、例えば、米国特許第5,543,026号、同第5,274,240号、同第4,879,012号、同第5,091,652号および同第4,811,218号に記載される。
【0135】
図19A〜19B、20A〜20B、および21A〜21Bは、本発明を支持する種々の結果を示す。これらの結果を、米国特許第6,096,875号に記載される方法論に従って(プライマーが標識されていないこと以外は、実施例12を参照のこと)、選択した色素標識ターミネーターの存在下におけるテンプレート依存型プライマー伸長によって調製したフラグメントを配列決定することにより得た。プライマー伸長反応を、1つの型のターミネーターの存在下で行って、伸長フラグメントのラダーを作製した。各研究における2つの伸長反応は、核酸塩基と色素との間、またはドナー色素とアクセプター色素との間に存在するリンカーのみが異なった。詳細には、一方の反応混合物(A)中のリンカーは、非アニオン性であり、一方、他方の反応混合物(B)中のリンカーは、代表的には、アニオン性リンカーである。
【0136】
図19Aおよび19Bについて、2つのプライマー伸長反応を、ジデオキシグアノシン−5’−三リン酸(ddGTP)の7−デアザアナログを使用して行った。両方のターミネーターは、ただ1つの色素のみを含み、この色素は、米国特許第5,936,087号の図14に記載されるタイプのジベンゾキサンテン色素であり、ここで、R1は、CH2−p−C6H4であり、R2は、プロピリジルであり、そして、ベンゾ基のC4およびC10は、スルホン化されている。この色素は、ジベンゾキサンテン環構造の12窒素原子によって、7−デアザグアニン環のC7に結合されている。図19Aについて、Lリンカーの構造は、B−C≡CCH2OCH2CH2NHC(O)−p−C6H4CH2−Dであり、ここで、Bは、核酸塩基のC7を表し、Dは色素のN12を表す。図19Bについて、Lリンカー構造は、B−C≡CCH2OCH2CH2NHC(O)CH2OP(O)(OH)OCH2CH2−NH−C(O)−p−C6H4CH2−Dであり、ここで、BおよびDは、すぐ上で記載された通りである。
【0137】
図19Aの矢印は、左のピークおよび右のピークが横に隣接している中央のピークを示す。左のフラグメントと中央のフラグメントの間の空間は、中央のフラグメントと右のフラグメントとの間の空間とほぼ等しいようであり、このことは、標的配列が、等しい数の介在サブユニットだけ互いに間隔のあいた3つのシトシンサブユニット(ddGターミネーターに対して相補的)を含むことを示唆している。しかし、標的テンプレート(pGEM)の既知の配列に基づくと、この左のピークおよび中央のピークに対応するフラグメントの3’末端サブユニットは、3介在サブユニットだけ離れていることが知られており、一方、この中央のピークおよび右のピークに対応するフラグメントの3’末端サブユニットは、わずか1介在サブユニットだけ離れていることが知られている。言い換えると、この中央のピークは、左のピークより4サブユニット長く、そして右のピークは、中央のピークよりわずか2サブユニットだけ長い。従って、図19Aの観察されるプロフィールに基づくと、使用者は、正確な標的配列の決定において大きな困難性を有する。例えば、プライマー伸長が4つのスペクトル分離可能なターミネーターの存在下で行われる場合、中央のピークは、異なるターミネーターを含むより長いかまたは短いフラグメントと同時に移動し得、それによりこのフラグメントの正確な順序が不明瞭になり、そしてこの配列情報が未確定となる。
【0138】
対照的に、図19Bにおけるプロフィール(これは、本発明に従って、色素標識核酸塩基を使用して得た)は、3つのピークの間の推定空間を有する。左のピークと中央のピークとの間の分離は、中央のピークと右のピークとの間の分離の二倍であり、それぞれ、左のピークと中央のピークとの間の4サブユニットの差、および中央のピークと右のピークとの間の2サブユニットの長さの差と一致する。明確には、このプロフィールにより、使用者は、正確な標的配列を容易に決定し得る。これらの結果は、色素標識核酸塩基中のアニオン性リンカーの使用が、フラグメントの長さと色素標識ポリヌクレオチドの電気泳動移動度との間の相関をどのように有意に改善し得るかということを例示する。
【0139】
図20Aおよび20Bは、ジデオキシアデノシン−5’−三リン酸(ddATP)の2つの異なる7−デアザアナログを使用して得られた電気泳動プロフィールを示す。この研究において、両方のターミネーターは、ドナー/アクセプター色素対を含み、ここで、D1は、5’アミノメチル基を含む6−カルボキシフルオレセインであり、D2は、本明細書中の実施例1で使用される5−カルボキシ−4,7−ジクロロローダミン色素と同じであった。両方の結合体において、D1を、実施例1のL2リンカーを使用して、D2のペンダントフェニル環のC5に、4’アミノメチル基を介して結合する。図20Aについて、BおよびD1を、実施例4のL1リンカー(−C≡CCH2NHC(O)−)により結合した。図20Bについて、BおよびD1を、式:B−C≡CCH2NHC(O)−p−C6H4(SO3)CH2NHC(O)−D1のL1リンカーにより結合し、ここで、ベンゼン環のスルホネート基は、アミノメチル基に対してオルト位である。
【0140】
図20Aの左側のウインドウにおけるプロフィールは、右側の4重線の4つのピークから分離された1つのピークを含む。この四重線の隣接するピーク間のほぼ等しい間隔から、使用者は、おそらく、標的配列が4つの連続したチミジンサブユニットを含むと結論付ける。しかし、このような結論は、誤りである。なぜなら、標的配列は、三番目のチミジンサブユニットと4番目のチミジンサブユニットとの間にアデノシンサブユニットを実際に含むからである。有意に改善されたプロフィールを有するプロフィールは、図20Bの左側のウインドウに示される。特に、4重線中の3番目のピークおよび4番目のピークは、これらのピークの2つのサブユニットの異なる長さと一致する距離だけ、離れている。
【0141】
図20Aおよび20Bの右側のウインドウを参照すると、図20Aの右側のウインドウは、1、3、5、6、8および10と番号付けられる接近して溶出するピークのセットを示す。既知のテンプレート配列に基づくと、正確なターミネーター配列の読み取りは、5’−ACACAACATA−3’(3’−TGTGTTGTAT−5’のテンプレート配列に対応する)である。残念ながら、図20Aの右側のウインドウのピーク5および6は、1より多いピーク間隔だけ互いに離れており、その結果、使用者は、これら2つのピークは標的配列の介在サブユニットの存在に対応する介在フラグメントだけ離れていると結論付ける。(1「ピーク間隔」とは、電気泳動クロマトグラムの選択した領域について、1ヌクレオチドだけ長さが異なる隣接するピーク間の平均間隔をいう。)各ピークは、DNAの特有の配列フラグメントに対応する。
【0142】
有意に改善された間隔を有するプロフィールは、図20Bの右側のウインドウに示される。この場合、ピーク5および6は、1ヌクレオチドサブユニットだけ長さが異なるフラグメントについて予測されるように、約1ピーク間隔だけ離れている。全体的に、ピーク1と3と5と6と8と10との間の間隔の改善は、標的配列のより正確な決定を可能にする。
【0143】
本発明の利点の別の例は、図21Aおよび21Bに例示される。この研究において、伸長反応を、ddATPの7−デアザアナログを使用して行った。両方のターミネーターは、ペンダントフェニル環のC5を介して7−デアザアデニン環のC7に結合されたフルオレセイン色素(米国特許第6,008,379号の化合物33)を含んだ。図21Aについて、Lリンカーの構造は、B−C≡C−p−C6H4−C≡CCH2OCH2CH2NHC(O)−Dであり、ここで、Bは核酸塩基のC7を表し、そしてDは色素のペンダントフェニル環のC5を表す。図21Bについて、Lリンカーの構造は、B−C≡C−p−C6H4−C≡CCH2OCH2CH2NHC(O)CH2OP(O)(OH)OCH2CH2NHC(O)−Dであり、ここでBおよびDは、すぐ上で記載された通りである。
【0144】
図21Aは、左の一重線、中央の一重線および右の二重線からなる4つのピークを含むプロフィールを示す。既知の標的配列から、この一重線は、4ピーク間隔だけ互いに離れているべきであり(標的配列中の3つの介在している非Tサブユニットの存在に起因する)、中央の一重線および二重線の左側のピークもまた、4ピーク間隔だけ離れているべきであり、そして二重線の2つのピークは、1ピーク間隔だけ互いに離れているべきである。図21Aのプロフィールは、問題がある。なぜなら、中央の一重線が、約3.5ピーク間隔だけ二重線の左側のメンバーから離れているからである。しかし、図21Bに示されるプロフィールにおいて、この間隔はより均一であり、その結果、中央の一重線および二重線の左側のピークは、4ピーク間隔だけ離れている。従って、標的配列を、本発明に従って、図21Bの色素標識ターミネーターを使用して、容易に決定し得る。
【0145】
上記の結果は、色素標識核酸塩基におけるアニオン性リンカーの使用が、フラグメント長と色素標識ポリヌクレオチドの電気泳動移動度との間の相関をどのように有意に改善し得るかを例示する。
【0146】
結論として、本発明は結合化合物を提供し、ここで色素および核酸塩基は、アニオン性リンカーによって結合されるか、またはエネルギー移動色素の場合、1つ以上のリンカーが、色素と核酸塩基との間および/またはエネルギー移動色素とアニオン性リンカーとの間に位置する。このようなリンカーは、種々の異なる様式で使用され得、そして種々の異なるアニオン性基のいずれかを含み得、その結果、核酸塩基の塩基対形成特徴および色素の蛍光特性が保持される。本発明の化合物は、検出のためにポリヌクレオチドに組み込まれ得るヌクレオシドおよびヌクレオチドにおいて有用である。特に、本発明のポリヌクレオチド含有色素標識結合体は、電気泳動移動度において減少した配列依存性バリエーションを示す。従って、本発明は、隣接するポリヌクレオチドのバンドの間の間隔がより大きく、減少したバンド圧縮を有する電気泳動分離パターンを提供し、ポリヌクレオチド長と電気泳動移動度との間のより一貫した均一な関係を導く。さらに、本発明の核酸塩基色素結合体を含むヌクレオシド三リン酸は、このようなヌクレオチドをポリヌクレオチドに組み込んで標識ポリヌクレオチドを形成するために使用され得るポリメラーゼ酵素に対して良好な基質である。これは、ターミネーターベースの配列決定法において有益である。本発明の化合物が、配列決定フラグメントの3’末端に組み込まれる場合、電気泳動移動度の人為結果は、減少し、その結果、塩基コーリングの精度が改善され得る。
【0147】
(IV.キット)
本発明は、本発明の種々の方法を実施するためのキットを提供する。核酸配列決定について、このキットは、本明細書中で記載される結合体を含む少なくとも1つの標識ヌクレオシド三リン酸を含む。このキットはまた、以下の成分の1つ以上を含み得る:3’伸長プライマー、ポリメラーゼ酵素、結合体で標識されていない1つ以上の3’伸長ヌクレオチド、および/または緩衝剤。いくつかの実施形態において、このキットは、非伸長性の少なくとも1つの標識ヌクレオシド三リン酸を含む。他の実施形態において、このキットは、4つの異なる標識ヌクレオシド三リン酸を含み、これらのヌクレオシド三リン酸は、A、C、TおよびGに対して相補的であり、これらのヌクレオシド三リン酸の各々は、本明細書中で記載されるような異なる結合体を含む。さらに別の実施形態において、この標識ヌクレオシド三リン酸は、非伸長性である。別の実施形態において、この標識ヌクレオシド三リン酸は、伸長性のリボヌクレオシド三リン酸である。別の実施形態において、このキットは、本明細書中で記載される結合体を含む少なくとも1つの標識された非伸長性のヌクレオシド三リン酸、および以下の成分の1つ以上を含む:3’伸長プライマー、ポリメラーゼ酵素、および/または緩衝剤。
【0148】
本発明の操作は、本発明の種々の局面を例示する以下の非限定的な実施例の観点からさらに理解され得る。
【0149】
(実施例)
(材料および方法)
他に示さない限り、全ての試薬および無水溶媒を、Aldrich Chemicalsから購入した。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を、250μm層のシリカゲル60−F254で予めコーティングしたアルミニウムプレート上で実施した。化合物を、UV−VISランプにより、および/またはK2MnO4水溶液で黒変させることにより位置決めした。フラッシュカラムクロマトグラフィー精製を、EM Scienceシリカゲル60Å(230〜400メッシュASTM)を用いて実施した。NMRスペクトルを、重水素化溶媒(内部Me4Si標準、δ0を有するCDCl3、CH3OD、およびD2O)中で記録した。1H NMRスペクトルを300MHzで記録し、13C NMRスペクトルを75.7MHz、19F NMRスペクトルを282.23MHz、および31P NMRスペクトルを121.44MHzで記録した。全ての場合、観察されたNMRスペクトルは、示された構造と一致した。報告される化合物について、満足のいく質量スペクトルもまた獲得した。
【0150】
陰イオン交換高性能クロマトグラフィー(AE−HPLC)を以下の通り実施した。カラム:AquaporeTM AX300、7μm粒子サイズおよび220×4.6mm(PE Applied Biosystems)。勾配:20分間にわたり、1.5ml/分で、40%アセトニトリル:60%トリエチルアンモニウムバイカーボネート(TEAB、0.1M)〜40%アセトニトリル:60%TEAB(1.5M)。検出:260nmまたは各々の色素化合物のλmaxでのUV吸収。
【0151】
逆相高性能クロマトグラフィー(RP HPLC)を以下の通り実施した。カラム:Spheri−5 RP−C18、5μm粒子サイズ、220×4.6mm(PE Applied Biosystems);勾配:20分間にわたり、1.5ml/分で、95%トリエチルアンモニウムアセテート(TEAA、0.1M):5%アセトニトリル〜50%アセトニトリル:50%TEAA、次いで5分間にわたり、100%アセトニトリルまで。
【0152】
(実施例1)
(色素−ヌクレオチド結合体15の合成)
メチルグリコレート2(4.5当量)を、Amino−LinkTM1(1当量)(Connell,C.ら、BioTechniques 5:342−348(1987);米国特許第4,757,151号)に添加し、その後、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.1当量)を添加した。この混合物を、周囲温度で1時間攪拌した。この反応が完了した(TLC分析)後、この溶液を氷浴で冷却し、次いで3−クロロペルオキシ安息香酸(4当量)を含有する塩化メチレン溶液で処理した。氷浴を取り除いた。30分後、NaHSO3(10%)の水溶液を添加した。この混合物を酢酸エチルで希釈した。有機層をNaHSO3(10%)、飽和NaHCO3溶液で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、化合物3を得た。
【0153】
化合物3(36mM、1当量)を含有するメチルエチルケトンの溶液に、NaI(10当量)を添加した。この混合溶液を、3時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、NaIと共に粗化合物4を得、これをさらに精製することなくこのまま使用した。
【0154】
粗化合物4(1当量)を、H2O:CH3OH(1:3)混合溶媒中のLiOH(5当量)の0.3M溶液に溶解した。この混合物を一晩攪拌した。溶媒を除去して粗化合物5を得、次いでこれを、Na2CO3(5%)水溶液に溶解した。N−(9−フルオレニルメトキシ−カルボニルオキシ)スクシンイミド(FmocOSu、1.5当量)を含有するTHFを、一部で添加した。この混合物を、周囲温度で3時間攪拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、化合物6を得た。
【0155】
化合物6(1当量)を酢酸エチル中に溶解し、そして得られた溶液をHCl(10%)の水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥した。減圧下での濃縮により、黄色の油状物を得、これを無水CH2Cl2中に溶解した。N−ヒドロキシスクシンイミド(4当量)を添加した。この溶液を氷浴で冷却し、次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2当量)で処理した。次いで、氷浴を取り除き、そして攪拌を2時間継続した(TLC分析と共に)。この反応が完了したら、酢酸エチルを添加し、そしてこの溶液をHCl(5%)の水溶液で洗浄した。溶媒の除去により、化合物7を得た。
【0156】
ヌクレオシド三リン酸8(7−(3−アミノ−1−プロピニル)−2’,3’−ジデオキシ−7−デアザアデノシン−5’−三リン酸、合成については、Hobbsらによる米国特許第5,047,519号および同第5,151,507号を参照のこと)を含有する100mM TEA−バイカーボネート溶液(pH7.0)を乾固するまでエバポレートした。乾燥した残渣を、250mMのバイカーボネート溶液(pH9.0)に懸濁した。化合物7を含有するDMSOの溶液を添加した。1時間後、この反応混合物を、HPLC(AX−300陰イオン交換)により精製した。生成物の画分を収集し、乾固するまで濃縮し、そしてRP HPLC(C−18逆相)により精製して化合物9を得た。
【0157】
水酸化アンモニウム溶液(28〜30%)を乾燥した化合物9に添加した。この溶液を20分間かけて55℃まで加熱した。減圧下での濃縮により、粗化合物10を得、これをHPLC(C−18逆相)により精製した。
【0158】
所望のN−Fmoc誘導体を形成するために、塩基の存在下で、N−ヒドロキシスクシンイミドのフルオレニルメトキシ−カルボニルオキシエステルとp−アミノメチル安息香酸のHCl塩(両方とも市販されている)を反応させることにより、NHS−エステル色素中間体11を調製した。次いで、この生成物を、DCCの存在下でN−ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、安息香酸のカルボキシル基のNHSエステルを形成した。次いで、このNHSエステルを、4’−アミノメチル−6−カルボキシフルオレセイン(M.T.Shipchandlerら、Anal.Biochem.162:89−101(1987))と反応させて、所望の生成物を形成した。次いで、この生成物を、DCCの存在下でN−ヒドロキシスクシンイミドと反応させて、NHS−エステル色素中間体11を生成した。
【0159】
化合物10を250mMのバイカーボネート溶液(pH9.0)に懸濁した。次いで、色素中間体11を含有するDMSO溶液を添加した。この反応混合物を、周囲温度で2時間暗所に静置した。HPLC(AX−300陰イオン交換)により精製を行った。収集した色素標識化合物12を乾燥し、次いで、水酸化アンモニウム(28〜30%)中で55℃にて20分間加熱した。減圧下での濃縮により粗化合物13を得、これをHPLC(C−18逆相)により精製した。
【0160】
化合物13を、250mMのバイカーボネート溶液(pH9.0)に懸濁した。次いで、色素14(合成については、例えば、実施例17または米国特許第5,847,162号を参照のこと)を含有するDMSO溶液を添加した。この反応混合物を、周囲温度で2時間暗所に静置した。HPLC(AX−300陰イオン交換、次いでC−18逆相)により精製を行い、純粋なヌクレオチド−色素化合物15を得た。この化合物15は、内部色素とヌクレオチドを連結しているリンカー原子の鎖中にリン酸ジエステル部分を含む。
【0161】
(実施例2)
(ヌクレオチド10の代替の合成)
プロパルギルアミン16(3−アミノ−1−プロピン、3.4当量)、DMAP(0.1当量)、およびメチルグリコレート2(1当量)の溶液を、2時間加熱還流した。この反応溶液を周囲温度まで冷まし、そしてHCl(10%)の水溶液に注いだ。この溶液を酢酸エチルで抽出した。減圧下での濃縮により、黄色固体として所望の化合物17を得た。
【0162】
実施例1に記載される方法と同様の様式で、化合物17(1当量)およびAmino−LinkTM1(1当量)の反応、それに続くmCPBAによる酸化により、化合物18を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、NaI(10当量)を用いた18(1当量)のメチル基の脱保護により、化合物19を得た。
【0163】
ヌクレオシド20(7−ヨード−7−デアザアデノシン、1当量)を、ヨウ化銅(0.4当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.4当量)、およびトリエチルアミン(8当量)を含有するN,N−ジメチルホルムアミドの存在下で、リンカーであるシントン19(2当量)と4時間反応させた。この反応物を濃縮し、そしてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、ヌクレオシド21を得た。
【0164】
オキシ塩化リン(6当量)をヌクレオシド21(1当量)を、含有するトリメチルホスフェートに0℃にて添加し、対応するジクロロモノホスフェート22を形成した。この反応混合物を0℃にて2時間攪拌し、その後、DMFの存在下で、カニューレを通じて、トリブチルアンモニウムピロホスフェート(12当量)およびトリブチルアミン(22当量)を含む別のフラスコに移した。0℃でさらに30分後、この溶液をTEAB緩衝液(1M)でクエンチした。次いで、この溶液を周囲温度で一晩攪拌した。HPLC(C−18逆相)により精製を行い、ヌクレオシド三リン酸23を得た。水酸化アンモニウム(28〜30%)を乾燥したヌクレオシド三リン酸23に添加し、そして得られた溶液を周囲温度で1時間攪拌した。減圧下での濃縮により、ヌクレオチド10を得、これを0.1M TEAB溶液中で保存した。ヌクレオチド10を実施例1に記載されるように、化合物15の合成に使用し得る。
【0165】
(実施例3)
(一般的なカップリング反応)
以下の実施例のために、以下の一般的な条件を使用した。N−ヒドロキシスクシンイミド活性化カルボキシル基(NHSエステル)とのアミノ基のカップリングに関与する反応のために、アミノ基を含有する化合物を、100mM TEA−バイカーボネート(pH7.0)に懸濁し、そして乾固するまでエバポレートした。次いで、残渣を250mM バイカーボネートの溶液(pH9.0)に懸濁し、次いでNHSエステルを含有する化合物の溶液を添加した。1時間後、このカップリング反応混合物を、HPLC(AX−300陰イオン交換)により精製した。この生成物の画分を収集し、乾固するまで濃縮し、そしてHPLC(C−18逆相)により精製した。
【0166】
トリフルオロ酢酸保護基の除去を、周囲温度での1時間の水酸化アンモニウム(28〜30%)処理により達成した。
【0167】
Fmoc基を、28〜30%水酸化アンモニウムの存在下で20分間55℃にて加熱することにより除去した。
【0168】
(実施例4)
(色素−ヌクレオチド結合体33の合成)
アミノ安息香酸24(1当量)を発煙硫酸に溶解し、そして得られた溶液を油浴中で130℃にて4時間加熱した。粘性の溶液を氷中に注ぎ、次いで、濃縮した重炭酸ナトリウム溶液でpH8〜9に中和した。水性溶媒を減圧下で除去し、粗化合物25を得、次いで、これを炭酸ナトリウム(5%)の水溶液中に溶解した。この溶液に、FmocOSu(実施例1、1.5当量)を含有するTHFを添加した。この混合物を周囲温度で3時間攪拌した。得られた粗化合物26を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0169】
N−ヒドロキシスクシンイミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドを、化合物26(1当量)を含有する塩化メチレンのスラリー溶液に添加した。この溶液を0℃まで冷却し、その後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2当量)を含有する塩化メチレンの溶液を添加した。氷浴を取り除き、そして攪拌を2時間継続した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、そして有機部分をHCl(5%)の水溶液で洗浄した。精製されたNHSエステル27を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより獲得した。
【0170】
ヌクレオシド三リン酸8(実施例1)を、実施例3に一般的に記載される手順に従い、色素−NHSエステル28(4’−N−トリフルオロアセチルアミノメチル−6−カルボキシフルオレセイン)と反応させて、所望の色素標識ヌクレオチド29を形成した。結合体29からのトリフルオロアセチル(TFA)保護基(実施例3)の除去によりアミン化合物30を得た。化合物30とNHSエステル27との反応により、所望のFmoc保護された化合物31を得た。
【0171】
化合物31からのFmoc基の除去によりアミン32を得た後、ローダミンNHSエステル14を添加し、ヌクレオチド−色素化合物33を得た。この化合物33は、2つの色素間のリンカー鎖にスルホネート置換基を含む。
【0172】
(実施例5)
(色素−ヌクレオチド結合体38の合成)
ヌクレオシド三リン酸8を、Fmoc保護されたフルオレセインNHSエステル11と反応させて、所望の生成物34を得た。Fmoc基を除去して脱保護されたアミノメチル化合物35を得た後、Fmoc保護されたNHSエステル7を35と反応させて、Fmoc保護された化合物36を得た。Fmoc基の除去により、アミノエチルホスフェートエステル化合物37を得、これをローダミンNHSエステル14と合わせてヌクレオチド−色素化合物38を得た。
【0173】
(実施例6)
(色素−ヌクレオチド結合体43の合成)
ヌクレオチド10(実施例1)を、TFA保護されたフルオレセインNHSエステル28と合わせて、所望の色素−ヌクレオチド結合体39を得た。TFA保護基を除去した後、得られた脱保護された生成物40をNHSエステル27と反応させ、Fmoc保護された結合体41を得た。Fmoc基の除去によりアミン42を得、これをローダミンNHSエステル14(実施例1)と反応させて、ヌクレオチド−色素結合体43を得た。この結合体43は、内部色素と核酸塩基との間のリンカー原子の鎖中にリン酸ジエステル部分を有し、そしてこの2つの色素の間のリンカーにスルホネート置換基を有した。
【0174】
(実施例7)
(色素−ヌクレオチド結合体15の代替の経路)
NHSエステル44(実施例1からの色素NHSエステル14と実施例4からのp−アミノメチル安息香酸24を反応させた後、N−ヒドロキシスクシンイミドで安息香酸を活性化することにより調製可能である)を、アミノ40(実施例6)と合わせてヌクレオチド−色素結合体15(実施例1)を得た。
【0175】
(実施例8)
(色素−ヌクレオチド結合体51および57の合成)
8A.実施例1に記載される手順を用いて、5−(3−アミノ−1−プロピニル)−2’,3’−ジデオキシシチジン−5’−三リン酸45(合成については、Hobbsら、前出を参照のこと)をNHSエステル7(実施例1)と反応させて、Fmoc保護された中間体46を得た。Fmoc基の除去によりアミン47を得、次いで、これをNHSエステル11(実施例1)と反応させて結合体48を得た。Fmoc保護基の除去によりアミン49を得、次いで、これをローダミンNHSエステル50と反応させて(合成については、例えば、米国特許第5,847,162号を参照のこと)結合体51を得た。
【0176】
8B.ヌクレオチド三リン酸45の代わりに、5−(3−アミノエトキシ−1−プロピニル)−2’,3’−ジデオキシシチジン−5’−三リン酸52を用いて、実施例8Aのプロトコルを実施し(合成については、例えば、米国特許第5,821,356号を参照のこと)、結合体57を得た。
【0177】
(実施例9)
(色素−ヌクレオチド結合体64の合成)
実施例4に記載される合成スキームを用いて、ヌクレオチド8の代わりの5−(3−アミノエトキシ−1−プロピニル)−2’,3’−ジデオキシチミジン−5’−三リン酸58(合成については、例えば、米国特許第5,821,356号を参照のこと)、色素−NHSエステル28(前出)、リンカーNHSエステル27(前出)、および化合物14の代わりの色素−NHSエステル63(例えば、米国特許第6,080,852号に記載される方法に従って調製される)から、結合体64を調製した。
【0178】
(実施例10)
(色素−ヌクレオチド結合体69の合成)
実施例5に記載される手順を用いて、ヌクレオチド8の代わりの5−(3−アミノエトキシ−1−プロピニル)−2’,3’−ジデオキシチミジン−5’−三リン酸58(実施例9)、色素NHSエステル11(前出)、ホスフェートリンカーシントン7(前出)、および化合物14の代わりの色素NHSエステル63(実施例9)から、結合体69を調製した。
【0179】
(実施例11)
(色素−ヌクレオチド結合体77の合成)
実施例5に記載される手順を用いて、ヌクレオチド8の代わりの7−(3−アミノエトキシ−1−プロピニル)−2’,3’−ジデオキシ−7−デアザグアノシン−5’−三リン酸70、色素NHSエステル71(6−カルボキシフルオレセインの代わりに5−カルボキシフルオレセインを用いて、前出の化合物11と同一方法で調製された)、ホスフェートリンカーシントン7(前出)、および化合物14の代わりの色素NHSエステル76(合成については、例えば、米国特許第5,847,162号を参照のこと)から、結合体77を調製した。
【0180】
(実施例12)
(色素−ヌクレオチド結合体82および85の合成)
12A。実施例3に記載の方法を使用して、スルホネート含有リンカーシントン27(前出)を、7−(3−アミノエトキシ−l−プロピニル)−3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−7−デアザグアノシン−5’−トリホスフェート78(例えば、合成について、例えば、米国特許第5,821,356号を参照のこと)に結合して、Fmoc保護化した生成物79を得た。このFmoc基を除去した後に、得られたアミン80を、NHS活性化色素81(合成について、例えば、米国特許第6,051,719号を参照のこと)と反応させて、スルホン化ベンゼンリンカーを含有する色素標識したヌクレオチド82を生成した。
【0181】
12B。色素−ヌクレオチド結合体85を、脱保護したアミン80(実施例12A)をリン酸含有リンカーシントン7(前出)にカップリングすることによって、調製し、Fmoc保護化した生成物83を得た。Fmoc基除去した後に、得られたアミン84をNHS活性化色素81(実施例12A)に結合して、スルホン酸基とリン酸基の両方を含有した結合基を有した色素−ヌクレオチド結合体85を得た。
【0182】
(実施例13)
(色素−ヌクレオチド結合体95の合成)
実施例1に記載した手順を使用して、メチル−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾエート86(1.3当量)、Amino−LinkTM1(「実施例1、1当量)およびDMAP(0.1当量)を一緒に反応させ、その後、mCPBA(1.5当量)で酸化することによって、ホスホトリエステル87を得た。NaI(10当量)を使用して、このホスホトリエステル基からそのメチル基を除去することによって、ホスホジエステル88を得、このホスホジエステル88をLiOH(6当量)で処理し、このメチル保護基およびトリフルオロアセチル保護基を除去し、アミノ酸リン酸ジエステル89を生成した。そのアミノ基をFmocOSuで保護すること(実施例1)によって、化合物90を得た。NHSエステル91を、化合物90をDCC(1.3当量)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(3当量)で処理することによって、得た。NHSエステル91を、ヌクレオチド78(実施例12A)に添加して、Fmoc保護化化合物92を形成した。Fmoc基を除去した後に、得られたアミン化合物93を色素81(実施例12A)にカップリングして、このリンカー鎖中にホスホジエステルを含む色素−ヌクレオチド結合体95を与えた。
【0183】
(実施例14)
(色素−ヌクレオチド結合体106の合成)
実施例2において記載された手順を使用して、プロパギルアルコール96(3−プロピン−1−オール,1.5当量)、Amino−LinkTM1(実施例1,1当量)、およびDMAP(0.1当量)を一緒に反応させ、その後mCPBA(1.5当量)で酸化して、ホスホトリエステル97を得た。NaI(10当量)を使用してこのホスホトリエステル基からこのメチル基を除去することによって、プロパルギルトリフルオロアセチルアミノエチルホスホジエステル98を得た。
【0184】
ホスホジエステル98(1.5当量)を、DMF中のCuI(0.4当量)、Pd[PPh3]4(0.4当量),およびトリエチルアミン(8当量)の存在下で、7−ヨード−7−デアザアデノシン20(1当量)と反応させて、ヌクレオシド生成物99を得た。
【0185】
オキシ塩化リン酸(6当量)を、ヌクレオシド99(1当量)と反応させて、ジクロロホスフェート中間体100を形成した。この中間体を、ピロリン酸トリブチルアンモニウム(12当量)およびトリブチルアミン(22当量)で処理して、その後、TEAB緩衝液(1M)で加水分解し、ヌクレオチド−5’トリホスフェート101を形成した。TFA基の除去を水酸化アンモニウムによって達成し、ヌクレオチドアミン102を得た。
【0186】
色素NHSエステル11(実施例1)を、NaHCO3緩衝液中のヌクレオチドアミン102に添加し、色素ヌクレオチド104を得た。Fmoc基を除去した後に、この得られたアミン化合物105を色素NHSエステル14(実施例1)とカップリングして、色素−ヌクレオチド結合体106を得た。
【0187】
(実施例15)
(色素−ヌクレオチド結合体123の合成)
トリエチルシリルアセチレン108(3当量)を、DMF中の、CuI(0.05当量)、Pd[PPh3]4(0.05当量)、およびトリエチルアミン(2当量)の存在下で、4−ヨードフェノール107(1当量)にカップリングした。この混合物を周囲温度で5時間攪拌し、その後、この混合物を減圧下で濃縮し、粗黒色油状物を得た。この油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋なp−(トリエチルシリル)エチニルフェノール109を得た。
【0188】
ジクロロメタン中の化合物109の溶液に、トリフリック(triflic)無水物(トリフルオロメタンスルホン酸無水物,1.2当量)およびトリエチルアミン(1.2当量)を−40℃で加えた。30分間後、この反応を水でクエンチし、そしてこの溶液をジクロロメタンで抽出した。精製を、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって達成して、トリフルオロメタンスルホンネート111を得た。
【0189】
プロパルギルアルコール110(1.1当量)を、DMF中の、CuI(0.1当量)、Pd[PPh3]4(0.05当量)、およびトリエチルアミン(2当量)の存在下で化合物111(1当量)に結合した。この混合物を、60℃で7時間攪拌し、そして次いで、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製することによって、アルコール112を得た。
【0190】
アルコール112(1当量)、Amino−LinkTM 1(1当量)、およびDMAP(0.1当量)を、上述の手順を使用して一緒に反応させ、その後、mCPBA(1.2当量)で酸化して、ホスホトリエステル113を生成した。NaI(10当量)を使用して、リン酸トリエステル基からメチル基を除去することによって、ホスホジエステル114を生成した。
【0191】
0℃のテトラエチルヒドロフラン(THF)中の化合物114の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(1.5当量)を添加した。30分後、この溶液を塩化アンモニウム水溶液(10%)でクエンチし、そして、酢酸エチルで抽出した。精製をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって達成して、リン酸含有リンカーシントン115を得た。
【0192】
化合物115(2当量)を、DMF中の、Cul(0.4当量)、Pd[PPh3]4(0.4当量)、およびトリエチルアミン(10当量)の存在下で、ヌクレオシド116(7−ヨード−3’−フルオロ−2’,3’ジデオキシ−7−デアザグアノシン,1当量)(例えば、合成について、Hobbsら(前出)を参照のこと)に結合し、ヌクレオシド117を得た。
【0193】
オキシ塩化リン(6当量)を、ヌクレオシド117(1当量)と反応させて、中間体118を形成し、この中間体118を、ピロリン酸トリブチルアンモニウム(12当量)およびトリブチルアミン(22当量)で処理し、その後、TEAB緩衝液(1M)で加水分解して、ヌクレオチド119を形成した。そのTFA基の除去を、水酸化アンモニウムを使用して達成し、アミン120を得た。
【0194】
色素71(前出)を、NaHCO3緩衝液中のヌクレオチドアミン120に添加し、色素標識したヌクレオチド122(これらの実施例により、化合物121は存在しない)を得た。そのFmoc基を除去した後、この得られたアミン化合物123を、色素76(実施例11)とカップリングして、色素−ヌクレオチド結合体124を得た。
【0195】
(実施例16)
(リン酸含有リンカーを有するヌクレオチド色素結合体137)
ヘキサン中のリチウム化(Lithiated)酢酸tert−ブチル125(これは、酢酸tert−ブチルおよびリチオN,N−ジイソプロピルアミン(これは、M.W.Rathkeら、J.Amer.Chem.Soc.95:3050(1973)に従って調製した)から調製した)を、不活性雰囲気下で、2−シアノエチルジイソプロピルクロロホスホラミダイト126(Aldrich Chemical Company)のヘキサン溶液に滴下する。この反応混合物を、水を用いて洗浄して塩を除去する。この得られた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、体積を低減し、そしてホスホラミダイト127を、ヘキサンおよびジクロロメタンを用いる溶出を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって、単離する。
【0196】
ホスホラミダイト127を、乾燥アセトニトリル中に溶解し、そして不活性雰囲気下に置く。その溶液に、1.2当量の2−(トリフルオロアセトアミド)エタノール128および1.2当量のテトラゾールのアセトニトリル溶液を添加する。その生成物であるホスホナイト(phosphonite)129を、ヘキサンおよびジクロロメタンの溶出によるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって単離した。
【0197】
ホスホナイト129を、乾燥ジクロロメタン中に溶解する。この溶液に、ジクロロメタン中の1.5当量のtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)を添加する。完全な反応の後に、この過剰なTBHPを、水で洗浄することによって反応混合物から除去する。この得られた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、体積を低減し、そしてこのホスホン酸ジエステル生成物130を、ヘキサンおよびジクロロメタンで溶出することによるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって単離する。
【0198】
ホスホン酸ジエステル130を、ジクロロメタンに溶解し、そして2当量のトリフルオロ酢酸(TFA)を添加する。この反応が完結した後に、この過剰のTFAを、水を用いて洗浄する。この得られた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、体積を低減し、そしてメタノールおよび酢酸を用いる溶出によるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによってホスホン酸ジエステルカルボン酸131を単離する。
【0199】
ホスホン酸ジエステル131を、酢酸エチル中に溶解する。この溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS,2当量)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,1.2当量)を添加する。この反応が完結した後に、ジクロロヘキシル尿素を濾過によって除去し、そして過剰なNHSを、水を用いる洗浄によって除去する。この得られた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮し、そしてこのホスホン酸NHSエステル132を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー、ヘキサンおよびジクロロメタンで溶出することによって、単離した。
【0200】
ホスホン酸NHSエステル132を、NaHCO3緩衝液中のヌクレオチド8(実施例1)に添加して、ヌクレオチド133を得る。そのシアノエチル基およびTFA基を水酸化アンモニウムで処理することによって除去した後に、この得られたヌクレオチドアミン134を、色素−NHSエステル11(実施例1)にカップリングして、期待された色素標識ヌクレオチド135を得る。このFmoc基を除去し、そしてこのアミン生成物136を、色素NHSエステル14(実施例1)と結合し、色素−ヌクレオチド結合体137を得る。
【0201】
(実施例17)
(色素NHSエステル14の合成)
二環式アミンt−Bocエステル141(12.8g,47mmol,米国特許第5,688,808号)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(29.3g,187mmol)、ヨウ化ナトリウム(56.4g,376mmol)および炭酸水素ナトリウム(7.9gm,94mmol)を、150mlのCH3CNの中にて18時間で一緒に還流した。この混合物を室温まで冷却し、濾過し、そしてエバポレートした。このフィルターケーキを300mlヘキサンで洗浄し、このフィルターケーキとその濾液を合わせ、そして、50mlの水で2回洗浄し、そして、50mlの飽和NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。この生成物を、ヘキサン/酢酸エチル:20/1で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーで精製して、三環式アミンピバル酸エステル(tricyclic amine pivalate ester)142(淡黄色油状物,9.5gm,30mmol,収率64%)を得た。142のエステル基を、15ml水および120mlのメタノール中の水酸化リチウム一水和物(2.6g,60mmol)の溶液中で加水分解した。1時間室温で攪拌した後に、この混合物を減圧下で濃縮し、30mlの1M HC1に溶解し、そして100mlのジエチルエステルで3回抽出した。その合わせたエーテル抽出物を、50mlの200ml(pH7)リン酸緩衝液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して、三環式アミン143を褐色の固体として得た。三環式アミン143および3,6−ジクロロ,4−イソプロピルカルボキシレートフタル酸無水物144を、トルエン中で還流し、Friedel−Craftアシル化生成物であるケトン145(最大吸光度(Abs.max)400nm)を得た。還流で(活性化剤として)ホスホリルトリクロリド(phosphoryl trichloride)およびクロロホルム中の143を用いた145の環化によって、色素イソプロピルカルボン酸エステル146を、イソプロピルカルボン酸の位置異性体の混合物として得た。そのイソプロピル基の切断後、色素カルボン酸147を、(実施例1で使用し得る)NHS−ローダミン色素14に変換した。
【0202】
(実施例18)
(色素−ヌクレオチド結合体211の合成)
メタノール(150mL)中の4−ブロモイソフタル酸201(l0g,40.8mmol)の溶液に、濃硫酸(3.5ml)を添加した。この溶液混合物を還流温度で24時間加熱した。この反応が完結した後に、このメタノール溶媒を減圧下で除去した。この残渣を、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を使用して塩基性にした。この溶液を、酢酸エチルを用いて抽出した。この抽出物を水で洗浄し、そして硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥した。溶媒の除去によって、油状物を得、この油状物を周囲温度で凝固した。この固体を、メタノールおよびヘキサン(1:3)を20mLで、2回粉砕(titurate)して、8g(90%)の4−ブロモイソフタル酸ジメチルエステル202を得た:1H NMR(400MHz、CDCL3)δ3.93(s,3H),3.93(s,3H),7.74(d,J=8Hz,1H),7.95(dd,J=2Hz、J=8Hz,1H),8.43(d,J=2Hz,1H)。
【0203】
無水DMF(50ml)中の4−ブロモイソフタル酸ジメチルエステル202(2.95g,10.8mmol)の溶液に、シアン化銅(I)(1.20g,13.5mmol)を一度に添加した。このスラリー溶液を、還流温度で1時間加熱した。この溶液を周囲温度まで冷却したときに、これを、0℃の300mLの塩化アンモニウム溶液(10%)に注ぎ込んだ。白色の沈殿物が生成した。このスラリー溶液を周囲温度で30分間攪拌した。次いで、これを酢酸エチルで抽出した。合わせたその抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去することによって、白色固体を得、この白色固体を冷エタノールで洗浄して、1.89g(80%)の4−シアノイソフタル酸ジメチルエステル203を得た:1H NMR(400MHz,CDC13)δ3.95(s,3H),4.05(s,3H),7.91(d,J=8Hz,1H),8.30(dd,J=1.7Hz,J=8Hz,1H),8.77(d,J=1.7Hz,1H)。
【0204】
4−シアノイソフタル酸ジメチルエステル203(1.70g,7.76mmol)を、メタノール(100mL)中に溶解し、次いで50mLの水の中の水酸化リチウム(2.0g,46.5mmol)の水溶液で処理した。この塩基性溶液を、周囲温度で1.5時間攪拌した。次いで、これを10%HCl溶液に注いだ。この溶液を、酢酸エチルで抽出し、この合わせた抽出物をNa2SO4で乾燥した。溶媒を除去することによって、定量的収量の4−シアノイソフタル酸204を得た:1H NMR(400MHz,CD3OD)δ8.01(d,J=8Hz,1H),8.33(dd,J=1.7Hz,J=8Hz,1H),8.73(d,J=1.7Hz,1H)。
【0205】
圧力フラスコ(pressure flask)を、4−シアノイソフタル酸204(1.40g,7.33mmol)、エタノール(l00mL)、Pd/C(10%)(0.50mg)、および濃HC1(1.5mL)で満たした。この混合溶液を、50PSIで一晩水素付加した。その固体不純物を、濾過によって取り除いた。溶媒を除去することによって、定量的収量の4−アミノメチルイソフタル酸205を得た:1H NMR(400MHz,CD3OD)δ4.46(s,2H),7.69(d,J=8Hz,1H),8.26(dd,J=2Hz,J=8Hz,1H),8.76(d,J=1.7Hz,1H)。
【0206】
丸底フラスコを、4−アミノメチルイソフタル酸205,エタノール(20mL)、メタノール(20mL)、過剰のトリフルオロ酢酸エチル(20mL)、およびトリエチルアミン(10mL)で満たした。この混合溶液を周囲温度で1時間攪拌した。次いで、この混合溶液を塩酸溶液(10%)に注ぎ込んだ。この溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせたその抽出物を、Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去することによって、化合物206(1.8g)を得た:1H NMR(400MHz,CD3OD)δ4.9(s,2H),7.51(d,J=8Hz,1H),8.17(dd,J=2Hz,J=8Hz,1H),8.65(d,J=2Hz,1H)。
【0207】
100mLの丸底フラスコを、粗化合物206(lg,3.43mmol)、無水DMF(30mL)、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(1g,3.43mmol),およびジイソプロピルエチルアミン(1.3g,10.3mmol)で満たした。この反応溶液を、溶液を周囲温度で30分間攪拌した。溶媒を減圧下で取り除いた。この粗化合物に、5%HC1溶液を加え、そして、これを酢酸エチルで抽出した。この合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥した。溶離剤CH2C12:CH3OH(10:1)の後に、溶離剤CH2C12:CH3OH(5:1)を用いて、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を達成し、500mg(38%)の活性化エステル207を与えた:1HNMR(400MHz,CDC13+10%CD3OD)δ2.93(s,4H),4.80(s,2H),),7.60(d,J=8Hz,1H),8.17(dd,J=2Hz,J=8Hz,1H),8.7.0(d,J=2Hz,1H);19F NMR−178ppm(s)。
【0208】
化合物208(これは、実施例9に記述した化合物58と同じ化合物である)(1当量)を、最小量のホルムアミド中に溶解し、そして、DMSO中のリンカーシントン207溶液(7当量)(5μLのDMSO当たり1mgの207)を添加して、その後ジイソプロピルエチルアミン(20当量)を添加した。このカップリング反応を1時間で周囲温度にて完結させた。HPLC(AX−300アニオン交換)によって精製を実施した。回収したその化合物を、減圧下で乾燥し、そして、HPLC(C−18逆相)によって精製した。この化合物を減圧下で乾燥し、次いで、水酸化アンモニウム(28〜30%)中で15分間、55℃にて加熱した。次いで、これを乾燥し、そして、HPLC(C−18逆相)によって精製して、ヌクレオチド209を得た。
【0209】
以下を、一般的な手順として使用し得、化合物209および活性エステル(例えば、色素のNHSエステル(図22Bにおいて「NHS色素」として言及する))から色素結合体を生成し得る。化合物209(1当量)を、250mMの炭酸水素塩(pH9.0)の最小量の溶液に懸濁し、次いで、DMSO中の色素NHSエステル210(3当量)の溶液(12μL当たり1mgの色素NHSエステル)を添加した。この反応混合物を、暗中にて、周囲温度で1時間静置く。この生成物をアニオン交換HPLC(AX−300)およびその後のC−18逆相HPLCによって精製して、純粋な色素標識ヌクレオチド211を獲得し得る。
【0210】
本明細書中で言及される、全ての刊行物および特許出願は、刊行物または特許出願の各々が、参考として援用されるために具体的にかつ個々に表示されるように参考として本明細書中において援用される。
【0211】
本発明は特定の例示的な実施形態および実施例に関して記述されているが、本発明の範囲および精神から逸脱することなしに種々の改変および変更がなされ得ることが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図2】 図2は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図3】 図3は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図4】 図4は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図5】 図5は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図6】 図6は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図7】 図7は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図8】 図8は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図9】 図9は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図10】 図10は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図11】 図11は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図12】 図12は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図13】 図13は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図14】 図14は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図15】 図15は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図16】 図16は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図17】 図17は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図18】 図18は、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図19】 図19Aおよび19Bは、第1のセットのターミネーター(ddG)で終結する配列決定ラダーの電気泳動グラム(electropherogram)を示す。
【図20】 図20Aおよび20Bは、図1Aおよび1Bにおけるターミネーターと異なる第2のセットのターミネーター(ddA)で終結する配列決定ラダーの電気泳動グラムを示す。
【図21】 図21Aおよび21Bは、第3のセットのターミネーター(ddA)で終結する配列決定ラダーの電気泳動グラムを示す。
【図22A】 図22Aは、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
【図22B】 図22Bは、本発明に従う種々の結合体を調製するための例示的な合成プロトコルを示す。
Claims (53)
- 以下の形態の、色素で標識された核酸塩基を含有する、結合体:
(1)B−L−D(ここで、Bは、アデニン、7−デアザアデニン、7−デアザ−8−アザアデニン、シトシン、グアニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、チミン、ウラシル、およびイノシンからなる群より選択される核酸塩基であり、Lは、プリン核酸塩基のN−8位、7−デアザプリン核酸塩基のN−7位、またはピリミジン核酸塩基のC−5位に結合するように構成されたアニオン性リンカーであり、Dは、キサンテン、ローダミンおよびフルオレセインからなる群より選択される、少なくとも1つの蛍光色素を含む);または、
(2)B−L1−D1−L2−D2(ここで、Bは、アデニン、7−デアザアデニン、7−デアザ−8−アザアデニン、シトシン、グアニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、チミン、ウラシル、およびイノシンからなる群より選択される核酸塩基であり、L1およびL2は、リンカーであり、L1およびL2の少なくとも一方がアニオン性リンカーであり、L1は、プリン核酸塩基のN−8位、7−デアザプリン核酸塩基のN−7位またはピリミジン核酸塩基のC−5位に結合されるように構成され、そしてD1およびD2は、蛍光ドナー/アクセプター対のメンバーであり、D1およびD2の一方が第一波長において光を吸収し得、かつそれに応答してエネルギーを放射し得るドナー色素であり得、D1およびD2の他方が該ドナー色素によって放射されたエネルギーを吸収し、かつそれに応答して第二波長において蛍光を発し得るアクセプター色素であり、D1およびD2は独立して、キサンテン、ローダミン、ジベンゾローダミン、フルオレセイン、[8,9]ベンゾフェノキサジン、シアニン、フタロシアニン、スクアレン、およびbodipyからなる群より選択され、
LおよびL2の各々は独立して4〜30リンカー原子からなるアニオン性リンカーであり、該リンカーは、
a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R21、C(O)およびZ1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ、ならびに
b)少なくとも1つのスルホン酸基、スルホン化ベンジル基、カルボン酸基またはカルボキシルベンジル基
からなる構造を有し、
R21は、C1〜C5アルキルジイルであり、
Z1は、NH、S、またはOであり、
L1は、4〜30リンカー原子からなり、以下の式のうちの1つの構造を有し:
ここで、L1がアニオン性リンカーでなくL2がアニオン性リンカーであるとき、L1の右手の結合は必要に応じて、カルボニル基を通じてD1に結合するか;または、L1は、
a)以下:
b)スルホン酸基、スルホン化ベンジル基、カルボン酸基およびカルボキシルベンジル基からなる群から選択される少なくとも1つの基
からなる構造を有するアニオン性リンカーである)。 - 前記色素で標識された核酸塩基がB−L−Dの形態である、請求項1に記載の結合体。
- Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン酸基からなる、請求項2に記載の結合体。 - Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン化ベンジル基からなる、請求項2に記載の結合体。 - Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボン酸基からなる、請求項2に記載の結合体。 - Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボキシルベンジル基
からなる、請求項2に記載の結合体。 - Dが少なくとも1つのフルオレセインまたはローダミンを含む、請求項2に記載の結合体。
- 前記標識された核酸塩基が、B−L1−D1−L2−D2の形態である、請求項1に記載の結合体。
- D1がドナー色素であり、D2がアクセプター色素である、請求項8に記載の結合体。
- L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン酸基からなる、請求項8に記載の結合体。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン化ベンジル基からなる、請求項8に記載の結合体。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボン酸基からなる、請求項8に記載の結合体。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボキシルベンジル基
からなる、請求項8に記載の結合体。 - D1がドナー色素であり、D2がアクセプター色素である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の結合体。
- L2がアニオン性リンカーであり、L1がアニオン性リンカーではない、請求項14に記載の結合体。
- L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン酸基からなる、請求項19に記載の結合体。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン化ベンジル基からなる、請求項19に記載の結合体。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボン酸基からなる、請求項19に記載の結合体。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボキシルベンジル基
からなる、請求項19に記載の結合体。 - D1がドナー色素であり、D2がアクセプター色素である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の結合体。
- L1が以下の式:−C≡CCH2NH−、−C≡CCH2NHC(O)(CH2)5NH−、−C≡CC(O)NH(CH2)5NH−、−C≡CCH2OCH2CH2NH−、−C≡CCH2OCH2CH2OCH2CH2NH−、−C≡C−CH2OCH2CH2−NH−、または−C≡C(p−C4H6)OCH2CH2NH−のうちの1つを含む、請求項19〜24のいずれか1項に記載の結合体。
- 標的ポリヌクレオチド配列を配列決定する方法であって、該方法は、以下:
(a)標的ポリヌクレオチド配列に相補的な、4つのクラスのポリヌクレオチドを、テンプレート依存性プライマー伸長によって形成する工程であって、各クラスの該ポリヌクレオチドは、dGTP、dATP、dCTPおよびdTTPから選択されるデオキシヌクレオチド三リン酸のうちの1つを含み、異なるターミネーターサブユニット型で終結し、該ターミネーターサブユニット型は、以下:
(1)B−L−D(ここで、Bは、アデニン、7−デアザアデニン、7−デアザ−8−アザアデニン、シトシン、グアニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、チミン、ウラシル、およびイノシンからなる群より選択される核酸塩基であり、Lは、プリン核酸塩基のN−8位、7−デアザプリン核酸塩基のN−7位、またはピリミジン核酸塩基のC−5位に結合するように構成されたアニオン性リンカーであり、Dは、キサンテン、ローダミンおよびフルオレセインからなる群より選択される、少なくとも1つの蛍光色素を含む);および
(2)B−L1−D1−L2−D2(ここで、Bは、アデニン、7−デアザアデニン、7−デアザ−8−アザアデニン、シトシン、グアニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、チミン、ウラシル、およびイノシンからなる群より選択される核酸塩基であり、L1およびL2は、リンカーであり、L1およびL2の少なくとも一方がアニオン性リンカーであり、L1は、プリン核酸塩基のN−8位、7−デアザプリン核酸塩基のN−7位またはピリミジン核酸塩基のC−5位に結合されるように構成され、そしてD1およびD2は、蛍光ドナー/アクセプター対のメンバーであり、D1およびD2の一方が第一波長において光を吸収し得、かつそれに応答してエネルギーを放射し得るドナー色素であり得、D1およびD2の他方が該ドナー色素によって放射されたエネルギーを吸収し、かつそれに応答して第二波長において蛍光を発し得るアクセプター色素であり、D1およびD2は独立して、キサンテン、ローダミン、ジベンゾローダミン、フルオレセイン、[8,9]ベンゾフェノキサジン、シアニン、フタロシアニン、スクアレン、およびbodipyからなる群より選択され、
LおよびL2の各々は独立して4〜30リンカー原子からなるアニオン性リンカーであり、該リンカーは、
a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R21、C(O)およびZ1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ、および
b)少なくとも1つのスルホン酸基、スルホン化ベンジル基、カルボン酸基およびカルボキシルベンジル基
からなる構造を有し、
R21は、C1〜C5アルキルジイルであり、
Z1は、NH、S、またはOであり、
L1は、4〜30リンカー原子からなり、以下の式のうちの1つの構造を有し:
ここで、L1がアニオン性リンカーでなくL2がアニオン性リンカーであるとき、L1の右手の結合は必要に応じて、カルボニル基を通じてD1に結合するか;または、L1は、
a)以下:
b)スルホン酸基、スルホン化ベンジル基、カルボン酸基およびカルボキシルベンジル基からなる群から選択される少なくとも1つの基からなる構造を有するアニオン性リンカーである)
からなる群より選択される形態の色素で標識された核酸塩基を含む、工程、および、
(b)該4つのクラスのポリヌクレオチドを、サイズに基づいて分離して、移動度パターンを得、そして該移動度パターンから該標的ポリヌクレオチド配列の配列を決定する、工程、
を包含する、方法。 - 前記ターミネーターサブユニットが伸長可能でない、請求項26に記載の方法。
- Dが少なくとも1つのローダミン色素を含む、請求項26に記載の方法。
- Dが少なくとも1つのフルオレセイン色素を含む、請求項26に記載の方法。
- Dが少なくとも1つのローダミン色素を含む、請求項1に記載の結合体。
- Dが少なくとも1つのフルオレセイン色素を含む、請求項1に記載の結合体。
- 前記色素で標識された核酸塩基がB−L−Dの形態である、請求項26に記載の方法。
- Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン酸基からなる、請求項32に記載の方法。 - Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン化ベンジル基からなる、請求項32に記載の方法。 - Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボン酸基からなる、請求項32に記載の方法。 - Lが
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボキシルベンジル基
からなる、請求項32に記載の方法。 - Dが少なくとも1つのフルオレセインまたはローダミンを含む、請求項32に記載の方法。
- 前記標識された核酸塩基が、B−L1−D1−L2−D2の形態である、請求項26に記載の方法。
- D1がドナー色素であり、D2がアクセプター色素である、請求項38に記載の方法。
- L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン酸基からなる、請求項38に記載の方法。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン化ベンジル基からなる、請求項38に記載の方法。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボン酸基からなる、請求項38に記載の方法。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボキシルベンジル基
からなる、請求項38に記載の方法。 - L2がアニオン性リンカーであり、L1がアニオン性リンカーではない、請求項38に記載の方法。
- L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン酸基からなる、請求項48に記載の方法。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 1 4 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)スルホン化ベンジル基からなる、請求項48に記載の方法。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボン酸基からなる、請求項48に記載の方法。 - L2が
(a)C 1 〜C 6 アルキル、C 2 〜C 6 アルケニル、C 2 〜C 6 アルキニル、C 5 〜C 14 アリール、C 6 〜C 20 アラルキル、少なくとも1つの不飽和結合もしくは縮合環構造を有する5員環もしくは6員環、R 21 、C(O)およびZ 1 からなる群のメンバーより選択される1より多くの基の組み合わせ;ならびに
(b)カルボキシルベンジル基
からなる、請求項48に記載の方法。 - D1がドナー色素であり、D2がアクセプター色素である、請求項48に記載の方法。
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