JP4740712B2 - 温度調節器 - Google Patents

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Description

この発明は、熱膨張型温度−変位変換素子を備えた温度調節器に関するものである。
この種の温度調節器として、先行特許文献1に開示されたものがある。図14には温度調節器の作動原理が示されている。具体的には、設定ダイアル401と、この設定ダイヤル401の回動にしたがって上下方向に移動する支軸402と、この支軸402の移動にしたがって上下動する熱膨張型の温度−変位変換素子であるデュアルダイアフラム404と、このデュアルダイアフラム404の上下動をレバー405、押釦406を介して弾性接触片407先端の接触子408の位置に応じた電気信号を発生させるポテンショメータ409を備え、この信号に基づき空調装置や加熱装置、冷却装置等の運転能力を制御することを可能としていた。したがって、ポテンショメータ409はこの種の温度調節器において必須の構成部品となっている。
作動原理は先行特許文献1に示されているとおりであるが、実製品においては、ケーシング内に熱膨張型の温度−変位変換素子等の各部品を配置するため、数多くの部品、複雑な機構を有していた。
そして、先行特許文献1のポテンショメータ409と弾性接触片407に相当する部品は、ケーシングのカバーを外すとポテンショメータが露出する構造で、特に細かい、非常に数多くの部品から構成されていた。
実開昭52−128080号
従来製品では、ポテンショメータ近傍の部品が小さく、部品点数が多いため、工場での製造に手間がかかった。また、現場でのメンテナンスの際に、分解・組立が非常に困難であった。
更には、ポテンショメータが露出し、塵埃が進入しやすい構造であったため、ポテンショメータの温度調整の精度が低下しがちで、また、ポテンショメータの劣化が進みやすく、製品寿命が短く、保守点検の機会が多くなるという問題点があった。
本発明は上述した事情に着目してなされたものであり、ポテンショメータに塵埃が進入しにくい構造として、長期に亘り精度が高く、製品寿命が長く、メンテナンス頻度を少なくすることのできる温度調節器を提供することを目的とするものである。
また、工場での組立、現場での保守点検を容易にし、製造・保守点検にかかるコスト削減を図るものである。
この発明に係る温度調節器は、設定温度に対応する位置に回動される設定ノブと、前記設定ノブの回動位置に応じた位置に移動する支軸と、熱膨張型温度−変位変換素子の膨張量と前記支軸の変位を加えた量に応じて、ポテンショメータと接触位置を変える接触子を自由端に有するワイパーと、前記ワイパーを収納するケースとを備えた温度調節器において、前記ケースの一つの面にポテンショメータ取付板を、前記一つの面に対向する面にカバーをそれぞれ設けると共に、前記ポテンショメータ取付板に前記ポテンショメータを固定し、前記支軸の変位を前記ワイパーに伝える作動片を前記カバー内壁に保持したものである。

この発明によれば、ポテンショメータに塵埃が付着しにくい構造となり、長期に亘り精度が高く、製品寿命が長く、メンテナンス頻度を少なくすることのできる温度調節器を提供することができる。
また、ポテンショメータ等をケース内に収納しユニット化したため、工場での組立が容易となり、ポテンショメータに故障が発生した場合、ケースを取りかえることにより対応できるので、現場での保守点検が容易になり、製造・保守点検にかかるコストの削減を図ることができる。
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1の温度調節器の分解斜視図である。図2はこの発明の実施の形態1の温度調節器の断面図である。
壁4に設けられた取付穴、温度調節器1の本体部5の背面に設けられた本体取付穴6に取付ねじ2を貫通させ、取付ねじ2に取付ナット3を螺着することにより、温度調節器1は壁4に固定される。
本体部5の前面にはカバー取付穴7が設けられており、カバー部8の前面から取付ねじ9を用い、カバー部8は本体部5に固定される。本体部5の上面及び下面には穴320が設けられており、中空チューブ、配線等、外部の機器と接続する必要のある配線の出口として用いられる。
図示しないねじ等により、本体部5に内部ケーシング11が固定されている。内部ケーシング11には、設定ノブ202等を有するノブユニット12、熱膨張型の温度−変位変換素子14(以下変換素子14という。)等を有する変換素子ユニット15、及びポテンショメータ17等を有するポテンショユニット18が取付けられている。
図3にポテンショユニット18の全体図(a)及び分解図(b)を示す。また、ポテンショユニット18においてカバー22を取り外し、図3(b)のA方向から見た図を図4に示す。
ポテンショユニット18は、ケース20、カバー22、ポテンショメータ取付板21、ワイパー24、作動片25、ポテンショメータ17等から構成されている。金属部材で放熱板としても機能するポテンショメータ取付板21の取付穴36にねじ26で螺着することによりポテンショメータ17が取付けられている。また、ポテンショメータ取付板21に設けられた取付穴37にねじ27を螺着することによりポテンショメータ取付板21はケース20に取付けられている。放熱板であるポテンショメータ取付板21を介し、効果的にポテンショメータ17で発生する熱をポテンショユニット18から排出する構成となっている。ケース20のポテンショメータ取付板21が取付けられている面の下方には出力用の端子33〜35が設けられている。
ワイパー24の先端の接触子50は、組み立てられた状態でポテンショメータ17に接している。図4に示すように、プラスティックのケース20に設けられた金属部材32をカシメることにより、ワイパー24の他端は、ケース20及び金属部材32に固定され、ワイパー24は金属部材を介し、図3に示す出力用端子35と電気的に接続されている。図4に示すようにポテンショメータ17の両端にはコード41、42が接続されており、コード41、42の他端は、ケース20に設けられた金属部材30、31に接続されることにより、ポテンショメータ17の両端は、それぞれコード41、42、金属部材30、31を介し、図3に示す出力端子33、34と電気的に接続されている。
カバー22には作動片25の突起52が貫通可能な穴53が設けられており、また、突起52が穴に挿入されている状態で作動片25を保持するガイド54がカバー22に設けられている。突起52が穴53に挿入され、作動片25がガイド54に保持された状態で、カバー22の表面に向かって鉛直方向(C方向)に作動片25は移動可能となっている。
作動片25の突起52と他端側の当接部56は組み立てられた状態で、図4に示すワイパーのほぼ中間位置51に当接するようになっている。当接部56と安定して当接するようにワイパーの中間位置51はワイパー長さ方向に対し横手方向に広がった形状となっている。
図4に示すように、ケース20の背面には取付ねじ27を螺着する取付穴62が設けられており、取付ねじ27によりケース20とカバー22は固定されている。
組み立てられた状態で、作動片25が図3に示すC方向に移動することにより、ワイパーの中間位置51に作動片25から力が加わり、ワイパーの接触子50もC方向と並行であるD方向に移動することとなり、ワイパーの接触子50はポテンショメータ17の表面と接しながらB方向に移動する。
図5にポテンショメータ17を用いた比例式温度調節器の結線図を示す。測定物の温度上昇に伴い、ポテンショメータ17の表面をワイパーの接触子50が接しながらF方向に移動すると、出力用の端子33と35、35と34の間の抵抗値が変化する。その抵抗値を測定し、温度制御に用いる。
この実施の形態によれば、ポテンショメータ17、ワイパー24等をケース20内に収容し、ユニット化することができるので、組立、部品の交換が容易になる。
特に、この温度調節器1の本体部5には、ポテンショユニット18以外に電気系の部品が他にないので、断線する等、電気系に明らかな問題があると判明した場合、ポテンショユニット18を交換すれば良いので、工場に持ち帰ることなく、現場で修理することも可能となる。
カバー部8を外しても、ポテンショメータ17、ワイパー24が外部に露出する構造ではないため、塵埃がポテンショユニット18内部に進入することがないので、ポテンショメータ17の精度低下、劣化を防止し、製品寿命が延び、保守点検の回数を減らすことができる。
ポテンショメータ17をユニット化することにより、コンパクトな構造となる。また、コンパクトな構造としても、ポテンショメータ取付板21を金属など伝熱効果の高い放熱板を用い、ポテンショメータ17をポテンショメータ取付板21に取り付けたので、ポテンショメータ17で発生する熱を効果的に外部に排出することができ、ポテンショメータ17の熱による伸縮等が発生せず、正確に制御することができると共に、ポテンショメータ17から発生する熱による故障も防止することができる。
続いて、変換素子ユニット15について説明する。図2に示すように内部ケーシング11内に変換素子ユニット15は収納されている。変換素子ユニット15は、第1レバー90、変換素子14、バネ91、92、第2レバー86、可変ダイヤル80等から構成されている。第1レバー90は段差のある板部材から構成されている。また、板状の第1レバー90は本体部5の背面とほぼ並行に設けられている。内部ケーシング11の側面から延び、内部ケーシング底面と略並行な軸186(図1参照)に対し、第1レバー90とねじ104により連結された連結部材103が、軸186を中心に回動可能に固定されている。
円盤状で、内部にフレオンのような熱膨張ガスを密封してある変換素子14は、内部にフレオンを収納している図示しない検温部と中空チューブにより連通し、検温部が測定物と接触することにより、検温部内部のフレオンが膨張・圧縮し、検温部内部と連通している変換素子内部のフレオンの圧力が上昇する構造となっている。従来例に示すデュアルダイアフラムと同様に、フレオンの圧力が上昇すると図2に示すように、第1レバー90の表面に向かって鉛直方向(G方向)に変換素子14が伸びるようになっている。変換素子14は、上述したフレオンの封入された円盤状の部材と、円盤状の一方の表面上に設けられた突起120及び円盤状の他方の表面に設けられたねじ状部121を有し、温度上昇に伴い突起120の先端と第1レバー90との当接面の距離が伸びるのである。なお、熱膨張ガスはフレオンでなくても、変質しにくい安定した気体であれば他の熱膨張ガスでもよい。
連結部材103の近傍の第1レバー90には変換素子14用の固定穴105が設けられており、固定穴105に変換素子14のねじ状部121が挿入され、ナット106を用いることにより、変換素子14は第1レバー90に固定されている。
内部ケーシング11の背面に設けた窪み部95にはバネ91の一端が嵌合され、バネ91の他端は、第1レバー90の背面に設けられた窪み部99と嵌合されており、第1レバー90は、内部ケーシング11から押圧されている。常に突起120の端面が後述する設定ねじ208に接するように付勢されている。
図6に第1レバー90の表面上に設けられた可変ダイヤル80近傍の図を示す。連結部材103と他端側の第1レバー90の表面には、ダイヤル軸81を中心に回動可能に可変ダイヤル80が設けられている。可変ダイヤル80には目盛りが表示されており、目盛りと反対側の可変ダイヤル80上には、クリップ83により固定されたボール82が設けられている。
可変ダイヤル80を回転させることにより、第1レバー90上のボールの位置が移動する構成になっている。図6(c)に示すように、設定ポインタ351を可変ダイヤル80の目盛り2に合わせると、図6(a)に示すようにボール82と変換素子14との距離は長くなり、図6(d)に示すように、設定ポインタ351を可変ダイヤル80の目盛り20に合わせると、図6(b)に示すようにボール82と変換素子14との距離は短くなる。
図2に示すように板状の第2レバー86は第1レバー90とほぼ並行に設けられており、第2レバー86の側部には屈曲部112が設けられると共に、屈曲部112に貫通穴111が設けられている。内部ケーシング11の側面から延び、内部ケーシング11底面と略並行な軸85(図1参照)が、貫通穴111に挿入されることにより、軸85を中心に第2レバー86が回動可能に固定されている。
第2レバー86の他端には、作動片25の突起52と当接する当接部113が設けられている。第2レバーの回動による変位を、当接部113を介し、作動片25の突起52へと伝達する構造になっている。
バネ92は第2レバー86がボール82と常に当接するように第2レバー86を付勢している。
図7は比例帯を変更可能であることを示す原理図である。軸186、85は内部ケーシング11に固定されている。測定物の温度が変わり変換素子14が変位すると第1レバー90の変換素子当接位置に力が作用し、変換素子14の変位分だけ、第1レバー90は軸186を中心として回動する。ボール82位置が(c)位置(比例帯2℃)の場合であっても、(d)位置(比例帯20℃)の場合であっても第1レバー90の回動角度は変わらない。そして、ボール82位置(c)及び(d)に変位が伝わる。また、軸85を中心に回動可能な第2レバー86にボール82が作用する点が異なるため、ワイパー24へ与える変位が異なるのである。即ち、軸186から変換素子14の当接位置の距離a、軸186からのボール位置(c)までの距離c、軸186からのボール位置(d)までの距離d、軸85からのボール位置(c)までの距離g、軸85からのボール位置(d)までの距離f、及び軸85からワイパー当接位置bまでの距離を適宜決めると、図6の(c)のように設定ポインター351を可変ダイヤル80の表示数値2に合わせると、比例帯が2℃設定となり、図6の(d)のように設定ポインター351を可変ダイヤル80の表示数値20に合わせると、比例帯が20℃設定となる。もちろんその中間の温度に可変ダイヤルを回動、変更すると比例帯を任意の温度とすることができる。
図8に比例帯と抵抗値との関係を表す図を示す。比例帯を2℃とした場合、実線に示すように設定点温度を中心として、2℃で抵抗値が0から135Ωに変化し、比例帯を20℃とした場合、破線に示すように設定点温度を中心に20℃で抵抗値が0から135Ωに変化する。使用目的等に応じ、比例帯を変更することができる。
次に、ノブユニット12について説明する。図9にノブユニットの分解斜視図(a)、側面図(b)、組立斜視図(c)を示す。図10に取付ブラケット210にナット209を締結カシメにより固定している図を示す。
ノブユニット12は取付ブラケット210、ナット209、ロックプレート206、インジケータ204、設定ノブ202等から構成されている。
ナット209の保持部材である取付ブラケット210は板材を屈曲させた形状であり、取付ブラケット210にはナット209をカシメて固定するための取付穴が設けられている。また、取付ブラケット210の一部を屈曲させ設定溝211が設けられている。設定溝211は後述する指針の位置を確認するための表示部である。ナット209は締結カシメ214により、取付ブラケット210に取付けられる。取付ける際、ある一定以上の力をナット209に加えるとナット209は回動するが、弱い力をナット209に加えても回動しない程度にカシメられている。
カシメ以外に、例えば図11に示すようにナット209とナット220との間に取付ブラケット210及び波状のワッシャ250を挟み込むことにより、弱い力をナット209に加えても回動しないが、一定以上の力をナット209に加えるとナット209が回動するようにしてもよい。
ロックプレート206はほぼ円盤状の板で、表面に4箇所に穴223が、また、円周の一部にロックプレート設定溝222がそれぞれ設けられている。また円盤状の板の表面には、ナット209と結合する設定ねじ208が設けられており、ロックプレート206の裏面には突起部207が設けられている。ロックプレート206は設定ねじ208を保持する保持部材としての機能を有している。突起部207の内周には止めねじ201と螺着可能なねじ溝が設けられ、外周にはナット203と螺着可能なねじ溝が設けられている。
円盤状で表面に凹凸のあるインジケータ204のほぼ中央には止めねじ201が挿通可能な穴231が設けられており、円盤状の表面外周側には現場調整用の調整温度ドットマーク230が、調整温度ドットマーク230のやや内周側のリング状の凸部の表面には指針205が、それぞれ表示されている。さらに、指針205のやや内周側の凹部には長細の開口部232が2箇所設けられている(後述する図13参照)。インジケータ204は指針205を表示する表示部及びドットマーク230を表示する部材として用いられている。
円筒状の設定ノブ202の中央には止めねじ201が挿通可能な穴234が設けられ、裏面側にはナット203を収納可能な窪み部235(図2参照)が設けられている。また、裏面側には、ロックプレート206の穴223に挿通可能な突起225が2箇所設けられている。
取付ブラケット210のナット209にロックプレート206の設定ねじ208を取付け、インジケータ204の穴231にロックプレート206の突起部207を挿入し、突起部207の外周とナット203を螺着し、ロックプレート206に対しインジケータ204を固定する。さらに設定ノブ202の窪み部235内にナット203を収納した状態で、止めねじ201と、ロックプレート206の突起部207の内周面のネジとを螺着することで、設定ノブ202をロックプレートに固定する。
設定ノブ202の裏面に設けた突起225がインジケータ204の細長溝232を突き抜け、ロックプレート206の穴223に嵌合されるため、設定ノブ202とロックプレート206は回転方向にズレ動くことなく、一体化される。
また、取付ブラケット210のナット209を取付けた面の裏面側にフリクションワイヤー212を取付け、図9の(b)及び(c)のようにノブユニット12を組み立てる。
ノブユニット12を組み立てた状態で、設定ノブ202を右側に回動させると、ナット209に対し、ロックプレート206の設定ねじ208が軸方向、フリクションワイヤー212側(図9(b)に示すH方向)へと移動する。設定ノブ202を左側に回動させると、逆側へと移動する。
ノブユニット12の取付ブラケット210のナット209を取り付け面に設けた細長溝302(図9参照)に内部ケーシング11に設けた突起301(図1参照)を嵌合させることにより、ノブユニット12を内部ケーシング11に組み付け、設定ねじ208の先端を変換素子14の突起120に当接させる。また、ポテンショユニット18の側面に設けたネジ孔306(図3参照)とねじ305(図1参照)を用いて、ポテンショユニット18を内部ケーシング11に組み付け、作動片25の突起52を第2レバー86の当接部113に当接させる。
続いて、出荷前、工場での調整について説明する。図12に工場での調整について説明するための図面を示す。カバー部8を取り外した状態で、図示しない検温部を基準温度に加温若しくは冷却する。加温若しくは冷却に反応し、変換素子14と検温部内のフレオンが、膨張若しくは収縮し、所定時間経過すると、変換素子14の図2に示すG方向の膨張収縮が収まる。
図12に示しているナット209は、取付ブラケット210に対して、ある一定以上の力をナット209に加えるとナット209は回動するが、弱い力をナット209に加えても回動しない程度にカシメられている。
基準温度の時の変換素子の長さを基準に、取付ブラケット210の設定溝211とインジケータ204の指針205が一致するように図12の(a)に示すように、調整スパナ350をナット209に嵌合させ、図12(b)に示すように調整スパナ350を用いナット209を回動させる。
調整スパナ350でナット209を回動させても、設定ねじ208は軸方向(図9(b)H方向)に移動しないので、基準温度の時の変換素子14の突起部120の端面に、設定ねじ208の先端が当接している状態で、インジケータ205が設定溝211を指すように調整できる。
調整した後、現場でナット209を操作させないために、操作を禁止するシールを貼り付け、現場で作業者が設定をずらしてしまうことを防止しても良い。
従来、積層に組みたてるため、内部が見えず、特殊な工具を用い、手探りで調整しなければならなかったため、熟練した作業員が時間をかけなければできなかった工場調整が、本実施の形態によれば、一般的に用いられるスパナで、熟練した作業員でない通常の者でも簡易に調整することができる。
次にこの温度調節器を用いた制御について、配管を流れる流体を40℃に一定に加熱制御する場合を例に説明する。
ヒータ、コントローラ、検温部の設置方法、使用方法等は従来用いられていたものと同様である。現場の壁板に温度調節器1を設置し、中空のチューブを経由して変換素子14と配管内に設置した検温部を接続した状態で、検温部を配管に設置する。検温部の上流にはヒータが設けられており、コントローラによりヒータに流れる電力量が制御されるようになっている。そして、温度調節器1の端子33〜35に配線したケーブルはコントローラへと接続されている。
インジケータ204の指針がカバー部8の表面に印字された目盛40℃になるように設定ノブ202を回動する。ヒータの上流の配管内の流体が30℃でほぼ一定で流れているとすると、検温部内のフレオンが30℃になり、変換素子14内のフレオンの体積も30℃相当の体積となり、変換素子14の図2のG方向の長さも30℃相当の長さとなる。
すると、設定ノブ22が40℃、検出温度30℃相当の位置になり、軸186を中心に第1レバー90がそれ相当の位置に移動する。すると、第1レバー90の動きが、第2レバー86、作動片25を経由し、ワイパー24へと伝わる。
この状態でコントローラの電源を入れると、ヒータを加熱するようにヒータの電力が上昇する。電力の上昇に伴い、流体が加熱され、流体の温度が上昇する。流体の温度の上昇に伴い、検温部内のフレオンの温度が上昇する。すると上昇したフレオンの温度に相当する長さに変換素子14が伸び、変換素子14の長さの変化が第1レバー90等を介して、ポテンショメータ17とワイパー24の接触子50との接触点の変化へと伝わる。
端子の抵抗に応じたヒータの電力となるようにコントローラにより制御され、インジケータの目盛りが40℃である場合、コントローラは流体温度が40℃となるようにヒータ電力が制御される。
ヒータの上流の流体の温度が下がる、若しくは流体の流量が上昇した場合、ヒータ下流の温度が下がり、検温部内のフレオンの体積が減少し、変換素子14の長さが短くなる。変換素子14の長さの変化は第1レバー90、第2レバー86を経て、ワイパー24の接触子50とポテンショメータ17との接触位置の変化へと伝達される。検温部の温度下降により、接触子50とポテンショメータ17の接触点は、図5に示すF方向と反対側へと移動する。
接触子50の移動により端子間抵抗値が変わり、それを検知したコントローラがヒータ電力を上昇させるように制御する。ヒータの加熱量の上昇が流体の温度を上昇させ、検温部内のフレオンの体積、変換素子14の長さの変化となり、ポテンショメータ17とワイパー24の接触子50との接触位置がF方向へと移動し、やがて、ヒータ上流の流体温度、流量が一定であれば、検温部の位置で流体温度が40℃となるヒータ電力となる値に制御することができる。
工場出荷時に上述した調整を行っても、様々な要因により、基準温度がズレてくることがある。図13に現場での調整についての図を示す。
例えば23℃に流体を加熱するような設備において、設定ノブ202を23℃に合わせても、流体が25℃に加熱されてしまう場合について説明する。
図11(d)に示すように、止めねじ201を外し、設定ノブ202を外すと共に、ナット203を外す。ナット203を外すことにより、ロックプレート206に対し、インジケータ204は回動可能となる。
出荷状態では図13(b)に示すように、インジケータ204のドットマーク230の▽印が設定溝222を指すように設定されている。この実施例では1ドットで、2℃調整できるように設定されているので、図11(a)に示すようにマイナス側に1ドット分、インジケータ204を左方向に回動させる。この状態でナット203をしめると共に、止めねじ201で設定ノブ202を固定し、ロックプレート206、インジケータ204及び設定ノブ202を一体に固定する。このようにすることで、2℃高くなってしまう温度のズレを−2℃調整することができる。
図11(c)は、23℃に流体を加熱するような設備において、設定ノブ202を23℃に合わせても、流体が21℃に加熱されてしまう場合に、インジケータ204の調整について示したものである。プラス側に1ドット分、インジケータ204を右方向に回動させることにより、+2℃の調整ができる。
従来、現場での調整を行うことができない構成であったが、本実施の形態によれば、設定ねじ208の位置及び変換素子14の突起部120の端面の位置を固定したままで、インジケータ204の指針205の位置をずらすことができるので、現場にて、ドライバー等の簡易な工具で、簡単に基準温度のズレを調整することができる。
この発明の実施の形態1を示す温度調節器の分解斜視図である。 この発明の実施の形態1を示す温度調節器の断面図である。 この発明の実施の形態1を示すポテンショユニットの全体図(a)及び分解図(b)である。 この発明の図3(b)をA方向から見た図である。 この発明の実施の形態1のポテンショメータを用いた比例式温度調節器の結線図である。 この発明の実施の形態1の第1レバーの表面上に設けられた可変ダイヤル近傍の図である。 図7は比例帯を変更可能であることを示す原理図である。 この発明の実施の形態1の比例帯と抵抗値との関係を表す図である。 この発明の実施の形態1のノブユニットの分解斜視図(a)、側面図(b)、組立斜視図(c)である。 この発明の実施の形態1の取付ブラケットにナットを締結カシメにより固定している図である。 この発明の実施の形態1の取付ブラケットとナットとを他方法で固定した図である。 この発明の実施の形態1の温度調節器を工場で調整する方法を示す図である。 この発明の実施の形態1の温度調節器を現場で調整する方法を示す図である。 従来例の温度調節器の作動原理を示す図である。
符号の説明
1 温度調節器
5 本体部
8 カバー部
11 内部ケーシング
12 ノブユニット
14 熱膨張型の温度−変位変換素子(変換素子)
15 変換素子ユニット
17 ポテンショメータ
18 ポテンショユニット
20 ケース
21 ポテンショメータ取付板
22 カバー
24 ワイパー
25 作動片
23〜35 出力用端子
50 接触子
52 突起
53 穴
54 ガイド
80 可変ダイヤル
82 ボール
85 軸
86 第2レバー
90 第1レバー
91、92 バネ
103 連結部材
113 当接部
186 軸
202 設定ノブ
203 ナット
204 インジケータ
205 指針
206 ロックプレート
207 突起部
208 設定ねじ
209 ナット
210 取付ブラケット
211 設定溝
214 締結カシメ
222 ロックプレート設定溝
230 ドットマーク

Claims (1)

  1. 設定温度に対応する位置に回動される設定ノブと、前記設定ノブの回動位置に応じた位置に移動する支軸と、熱膨張型温度−変位変換素子の膨張量と前記支軸の変位を加えた量に応じて、ポテンショメータと接触位置を変える接触子を自由端に有するワイパーと、前記ワイパーを収納するケースとを備えた温度調節器において、
    前記ケースの一つの面にポテンショメータ取付板を、前記一つの面に対向する面にカバーをそれぞれ設けると共に、前記ポテンショメータ取付板に前記ポテンショメータを固定し前記支軸の変位を前記ワイパーに伝える作動片を前記カバー内壁に保持したことを特徴とする温度調節器。
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