JP4740592B2 - 流体ディスペンサ部材用の留め具要素、および、そうした留め具要素を有する流体ディスペンサ部材 - Google Patents

Description

本発明は、ディスペンサ部材を貯蔵器に留めるための留め具要素に関し、こうした留め具要素を有する流体ディスペンサ装置に関する。

貯蔵器のネックにポンプまたは弁を留めるために留めリングなどの留め具要素を使用することは、広く知られた用法である。こうした留めリングはどのような種類のものでもよいが、クランプ式、ネジ留め式、あるいはスナップ留め式のリングが特に知られている。スナップ留めリングが用いられる場合、前記リングは一般に、変形可能な複数のスナップ留め手段を有する。組立時、当該手段はいったん互いから離れる形で動き、その後、貯蔵器のネックの下に弾性的にスナップ留めされた状態となる。よって、スナップ留め手段は、スナップ留めを可能にするために充分な可撓性を有していなければならない。第１の変形例としては、スナップ留めタブを設けるというものがあるが、そうすると、バンドでリングを囲む（より具体的に言えば、前記タブを囲む）ことが必要となる。バンドがあれば、スナップ留め完了後に前記タブが再びばらばらに離れるという事態（そうなれば、留め状態はたやすく失われてしまう）は防止される。別の変形例としては、リングが側面スカート（一般的にスナップ留めフランジを備えている）を有する、というものがあり、前記スカートおよび／またはフランジは、貯蔵器のネックの下側にフランジがスナップ留めされる形になるまで変形させられる。ここでもやはり、スナップ留めの実現を可能にするには、前記スナップ留め部分を変形可能としなければならない。スナップ留め部分の可撓性や弾性についても、前記リングを囲むバンドなどの形でカバー部材を設けない限り、留め状態を不安定化する原因になる。

本発明は、貯蔵器に流体ディスペンサ部材を留めるための留め具要素であって、上述の問題の生じないもの、を提供することを目的とする。
さらに具体的に言えば、本発明は、バンドなどの外側カバー部材を使用しなくとも、安全かつ実質的に恒久的な形で留め状態を実現することができる、というスナップ留め式の留めリングを提供することを目的とする。

また、本発明は、製造および組立が簡単かつ安価である、という留め具要素を提供することを目的とする。
そしてまた、本発明は、こうした留め具要素を有する流体ディスペンサ装置を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明が提供するのは、ポンプまたは弁などの流体ディスペンサ部材を流体貯蔵器の上に留めるための留め具要素であって、流体貯蔵器のネックへのスナップ留めを行うための変形可能なスナップ留め部分を有しており、前記スナップ留め部分の内部に、スナップ留め完了後の前記スナップ留め部分の変形を実質的に防止する補強手段が設けられており、前記スナップ留め部分は、側面スカートと、前記側面スカートの内壁から内向きに突き出して、スナップ留め完了後は前記ネックの下側に入る突出部とからなり、前記補強手段は、１つ以上の環状挿入物で成り、当該環状挿入物が、ネックへのスナップ留めが行われる前に前記突出部の内部に組み込み、または、埋め込みされていると共に、前記１つ以上の環状挿入物の内径は、前記流体貯蔵器のネックの外径を下回らないこと、を特徴とする留め具要素である。

また、前記スナップ留め部分は、前記留め具要素の側面スカートと、前記側面スカートの内壁から内向きの突き出た突出部と、を有すること、とするのが効果的である。
また、前記補強手段は前記スナップ留め部分に、挿入、組み込み、座ぐり、および／または、埋め込みされていること、とするのが効果的である。
また、前記補強手段は、堅さおよび／または弾性を有する要素を１つまたは複数有すること、とするのが効果的である。

また、堅さおよび／または弾性を有する要素は、スナップ留め部分の周縁の内部、あるいは、周縁に沿って延びていること、とするのが効果的である。
また、前記補強手段は、１つ以上の、実質的に堅さおよび／または弾性を有する環状挿入物で成ること、とするのが効果的である。
また、前記１つ以上の環状挿入物の内径は、貯蔵器のネックの外径を下回らないこと、とするのが効果的である。

また、第１の実施の形態においては、前記環状挿入物は単一の部品として作られている。
また、第２の実施の形態においては、前記環状挿入物は、複数の挿入物セクションによって構成されている。
また、前記環状挿入物は、金属性ワイヤまたはその類似物である、とするのが効果的である。

また、前記ワイヤは複数回巻かれていること、とするのが効果的である。
また、前記留め具要素は、貯蔵器のネックにポンプを留めるためのスナップ留め式のリングであり、前記リングは、ポンプ本体と協働するポンプ収容手段と一体の形で作られており、フェルール部分が、ポンプ本体の内側に延びて、ポンプの休止位置を規定していること、とするのが効果的である。

また、前記スナップ留めリングは、単一のプラスチック素材から作られていること、とするのが効果的である。
また、変形例においては、前記スナップ留め式のリングは、複数の異なるプラスチック素材から作られる。
そして、本発明はさらに、流体ディスペンサ装置であって、留め具要素によって流体貯蔵器に設置された、ポンプや弁などの投与部材を有し、前記留め具要素が上に述べた形に作られている、という前記装置を提供する。

本発明に関する他の特徴および効果については、非限定的な例としての以下の詳細な説明を、添付図面を参照しながら読めば、より明らかになるであろう。
図面には投与対象の流体を格納した貯蔵器が示されており、当該貯蔵器はネック２を備えている。貯蔵器には、流体ディスペンサ部材２０（ポンプまたは弁）が留め具要素１０を用いて組み付けられており、ここでの留め具要素はスナップ留め式の留めリングとなっている。そして、ディスペンサ部材には、ディスペンサヘッドまたはプッシュボタン５が組み付けられている（なお、図面においてディスペンサ部材はポンプとなっており、これ以降はそのように呼ぶ）。具体的には、プッシュボタン５は、ポンプを駆動して１ドーズ分の流体を投与させる、という働きをする。

留めリング１０は、貯蔵器のネック２へのスナップ留めのために、変形可能なスナップ留め部分１５を有している。スナップ留め部分１５は、好ましい構成として、リング１０の側面スカートによって形成されており、さらに、その内側の側面に径方向突出部１６を備えている。
径方向突出部１６については、留めリングの前記側面スカート１５の周全体にわたって延びた、切れ目のない環状スナップ留めプロフィールを形作っている、とすることも可能である。ただし、スナップ留めラグ１６を設けることも考えられ、ラグの場合は、周方向において互いから離れた状態とし、前記スナップ留め部分１５の位置で前記リングの全内周にわたって分散配置した形にする。

組立工程において、留めリング１０に軸方向の力を加えると、当該リングは内側の径方向突出部１６の位置で変形する。そして、前記突出部は互いから離れる形に動き、貯蔵器のネック２の上を通過した後、図に示すように、前記ネックの下側にはまる。留めリング１０のスナップ留め部分１５については、このように、変形可能な素材で製造されており、それによって前記スナップ留めを可能にする、という形が好ましい。

本発明では、リング１０のスナップ留め部分１５は補強手段２０を有しており、当該手段２０によれば、リング１０が貯蔵器のネックに組み付けられた後に前記スナップ留め部分１５が変形する、という事態はほぼ防止できる。図面に示すように、補強手段は、前記スナップ留め部分１５に、挿入、組み込み、座ぐり（sunk）、または、埋め込みするのが好ましい。効果的な実施の形態では、当該補強手段２０は、実質的に堅いおよび／または弾性のある環状挿入物の形にとなっており、前記内側の径方向突出部１６の位置で、スナップ留め部分１５の内部を延びている。環状挿入物は切れ目のない形でよいが、変形例として、複数の挿入物部分によって形成され、これら部分が円周方向に１つ１つ間隔を置いて配置されている、という形にすることもできる。こうした堅いおよび／または弾性のある要素または環状挿入物２０の目的は、スナップ留め完了後のスナップ留め部分１５が変形するのを防ぎ、それによって、前記リングを貯蔵器のネック上に留められた状態に確実に保つことである。

補強手段については、好ましい構成として、金属製ワイヤによって、あるいは、リングを構成する素材よりも硬い他の何らかの素材でできたフィラメントによって形成することができる。ワイヤは、リング１０の前記スナップ留め部分１５の内部を、全周にわたって延びる形とすることができる。また、複数回巻いた形で構成することも可能である。前記挿入物の内径は、貯蔵器１のネック２の外径に比べて少なくとも等しく、さらには多少大きくするのが好ましい。そうすれば、スナップ留めの実行時、突出部１６の変形が前記挿入物２０の存在によって妨げられる、という事態は起こらない。また、変形例もいくつか考えられる。すなわち、挿入物２０は完全に堅いものとすることもできる。また、わずかに変形可能とすることで、リング１０のスナップ留めを容易にすることもできる。また、弾性を持たせて、スナップ留め完了後には弾性的に初期状態に戻るようにすることもできる。ただし、挿入物２０は必ず、スナップ留め部分１５を補強し、組立後の留め状態を改善するものでなければならない。

図面に示すように、留めリング１０は、ポンプ本体２１を収容する収容部分１１を備えた単一の部材として作ることができ、ポンプ本体２１は前記収容部分１１の中に留められる。当該収容部分は、一般的に「タレット」という語で表される。タレットについてもポンプ本体２１の内側まで延ばし、その先をフェルール部分１２とすることができる。フェルール１２は、通常、ポンプの休止位置を規定するために利用され、ピストンまたは当該ピストンに固定された要素と協働する。選択した実施の形態では、フェルールは比較的可撓性を有する部分を有し、それによって、ポンプのピストンに接続された駆動ロッドに関して密封を実現する。従って、こうした留めリングを、単一のプラスチック素材から成る単一部品として作る場合、フェルールが駆動ロッドに関する密封機能を実現できるようにするためには、比較的可撓性を有するプラスチック素材を使用する必要がある。言うまでもなく、この場合は、スナップ留め部分１５も前記の比較的可撓性を有する素材で作る。そうすれば、補強挿入物２０の存在によって、留めリングをスナップ留め位置から容易には外れない状態にすることができる。

ただし、以下のことも述べておくべきであろう。すなわち、本発明は、複数の異なるプラスチック素材から成る留めリングにも等しく適用できる。一例を挙げれば、２種類の素材で作られたリングであって、フェルールには比較的可撓性を有する素材が、タレットおよび／またはスナップ留め部分には別のより堅い素材が用いられている、というものである。

さらに言えば、図面に示す実施の形態は、単に非限定的な例として示すものであり、当業者であれば当然、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱しない形で、これに変更を施すことが可能である。

本発明の効果的な実施の形態を構成する留め具要素を有する流体ディスペンサ装置を示す図である。

Claims (9)

1. ポンプまたは弁などの流体ディスペンサ部材（２０）を流体貯蔵器（１）の上に留めるための留め具要素（１０）であって、
   流体貯蔵器（１）のネック（２）へのスナップ留めを行うための変形可能なスナップ留め部分（１５）を有し、
   前記スナップ留め部分（１５）の内部に、スナップ留め完了後の前記スナップ留め部分（１５）の変形を実質的に防止する補強手段（２０）が設けられており、
   前記スナップ留め部分（１５）は、側面スカートと、前記側面スカートの内壁から内向きに突き出して、スナップ留め完了後は前記ネック（２）の下側に入る突出部（１６）とからなり、
   前記補強手段（２０）は、１つ以上の環状挿入物（２０）で成り、
   当該環状挿入物（２０）が、ネック（２）へのスナップ留めが行われる前に前記突出部（１６）の内部に組み込み、または、埋め込みされていると共に、
   前記１つ以上の環状挿入物（２０）の内径は、前記流体貯蔵器（１）のネック（２）の外径を下回らないこと
   を特徴とする留め具要素。
2. 前記環状挿入物（２０）は単一の部品として作られていること、
   を特徴とする請求項１に記載の留め具要素。
3. 前記環状挿入物（２０）は、複数の挿入物セクションによって構成されていること、
   を特徴とする請求項1または２のいずれかに記載の留め具要素。
4. 前記環状挿入物（２０）は、金属性ワイヤまたはその類似物であること、
   を特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の留め具要素。
5. 前記ワイヤは複数回巻かれていること、
   を特徴とする請求項４に記載の留め具要素。
6. 前記留め具要素は、貯蔵器（１）のネック（２）にポンプを留めるためのスナップ留め式のリング（１０）であり、
   前記リング（１０）は、ポンプ本体（２１）と協働するポンプ収容手段（１１）と一体の形で作られており、
   フェルール部分（１２）が、ポンプ本体（２１）の内側に延びて、ポンプ（２０）の休止位置を規定していること、
   を特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の留め具要素。
7. 前記スナップ留めリング（１０）は、単一のプラスチック素材から作られていること、
   を特徴とする請求項６に記載の留め具要素。
8. 前記スナップ留め式のリング（１０）は、複数の異なるプラスチック素材から作られていること、
   を特徴とする請求項６に記載の留め具要素。
9. 流体ディスペンサ装置であって、
   留め具要素（１０）によって流体貯蔵器（１）に設置された、ポンプや弁などの投与部材（２０）を有し、
   特徴となるのは、前記留め具要素（１０）が請求項１乃至８のいずれかに記載された形に作られていることである、
   という前記流体ディスペンサ装置。

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