JP4738432B2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、混合気の均質度を高めるためには、早い時期に燃料を噴射することが要求され、吸気通路内に燃料を噴射する噴射弁による噴射タイミングは、例えば、排気行程(吸気バルブの開弁前)から吸気行程の前期(吸気バルブの開弁直後)に設定されている。
そして、エンジンの過渡運転時に、実際の空燃比が目標空燃比からずれると、排気性状の悪化や動力性能の低下などが生じるという問題があった。
また、本発明に係るエンジンの燃料噴射制御装置は、吸気バルブの上流側に備えられた燃料噴射弁により第1噴射量を噴射する第1噴射と、前記第1噴射の後であって吸気行程の後期に前記燃料噴射弁により第2噴射量を噴射する第2噴射とを行うと共に、前記第1噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される吸入空気量と、前記第2噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される吸入空気量との偏差を演算し、かつ、前記第2噴射量の演算タイミングを、前記第1噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される前記吸気バルブの閉時期を基準に設定し、前記閉時期に対する、前記第2噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される前記吸気バルブの閉時期の変化率を演算し、該変化率に基づき前記偏差を補正し、前記エンジンの低回転・高負荷時ほどより大きな値に設定した前記第2噴射量の基本値を、前記補正した偏差に基づいて増減補正して前記第2噴射量を決定する一方、前記吸入空気量の変化分への対応が不要である場合に、前記第2噴射を行わない構成とした。
また、本発明に係るエンジンの燃料噴射制御装置は、吸気バルブの上流側に備えられた燃料噴射弁により第1噴射量を噴射する第1噴射と、前記第1噴射の後であって吸気行程の後期に前記燃料噴射弁により第2噴射量を噴射する第2噴射とを行うと共に、前記第2噴射量の基本値を、前記エンジンの低回転・高負荷時ほどより大きな値に設定し、前記第1噴射量の演算後の前記可変動弁機構の動作で生じる吸入空気量の変化分に応じて前記基本値を増減補正して前記第2噴射量を決定し、かつ、前記第1噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から前記吸気バルブの閉時期を推定し、前記吸気バルブの閉時期からエンジン回転速度が高いほど進角した時期を、前記第2噴射量の演算タイミングに設定し、該演算タイミングにおいて、前記第2噴射量を演算し、かつ、前記第2噴射量を噴射する第2噴射を開始する一方、前記吸入空気量の変化分への対応が不要である場合に、前記第2噴射を行わない構成とした。
図1は、本発明に係る燃料噴射制御装置が適用される車両用エンジンを示す。
図1において、エンジン101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットル弁103bを開閉する電子制御スロットル104が介装されている
複数気筒からなるエンジン101の各燃焼室106内には、前記電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して空気が吸入される。
尚、前記燃料噴射弁121は、開弁時間(噴射パルス幅)に比例する量の燃料を噴射する。
前記燃焼室106内の燃焼排気は、排気バルブ107を介して排気管123に排出される。
前記排気管123によって燃焼室106内から導出された排気は、触媒コンバータ108及びマフラー109を通過した後に、大気中に放出される。
一方、前記吸気バルブ105は、可変動弁機構としての可変バルブリフト機構(VEL)112によってバルブリフト量及びバルブ作動角が連続的に変えられるようになっている。
前記電子制御スロットル104、燃料噴射弁121、可変バルブリフト機構(VEL)112及び可変バルブタイミング機構(VTC)114は、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット(C/U)115によって制御される。
前記各種センサとしては、アクセルペダルの踏込量(アクセル開度)ACCを検出するアクセル開度センサ116、エンジン101の吸入空気量Qaを検出するエアフローメータ(AF/M)117、クランク軸124の回転角信号POSを出力するクランク角センサ118、吸気カム軸113の回転角信号CAMを出力するカム角センサ119、スロットル弁103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ120などが設けられている。
具体的には、前記可変バルブリフト機構(VEL)112によりバルブリフト量及びバルブ作動角を制御することで吸入空気量を制御しつつ、目標の吸気管負圧(マニホールド負圧)を発生させるようにスロットル弁103bの開度を制御する。
尚、吸気管負圧の発生要求のない運転条件では、スロットル弁103bを全開に保持して、可変バルブリフト機構(VEL)112のみで吸入空気量を制御する。
ここで、前記可変バルブリフト機構(VEL)112の構造を説明する。
可変バルブリフト機構(VEL)112は、図2〜図4に示すように、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸13と、前記カム軸13の上方位置に同じカム軸受14に回転自在に支持された制御軸16とを、各気筒に共通の部品として備える一方、気筒毎の部品として、一対の吸気バルブ105,105と、前記カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15と、前記制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19、19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20と、を備えている。
また、前記偏心カム15は、図5に示すように、略リング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向にカム軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xがカム軸13の軸心Yから所定量だけ偏心している。
前記ロッカアーム18は、図4に示すように、略クランク状に屈曲形成され、中央の基部18aが制御カム17に回転自在に支持されている。
前記制御カム17は、円筒状を呈し、制御軸16外周に固定されていると共に、図2に示すように、軸心P1が制御軸16の軸心P2から所定量αだけ偏心している。
また、前記揺動カム20の下面には、基端部22側の基円面24aと該基円面24aから端部23端縁側に円弧状に延びるカム面24bとが形成されており、該基円面24aとカム面24bとが、揺動カム20の揺動位置に応じて各バルブリフター19の上面の所定位置に当接するようになっている。
前記リンクアーム25は、円環状の基部25aと、該基部25aの外周面の所定位置に突設された突出端25bとを備え、基部25aの中央位置には、前記偏心カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合穴25cが形成されている一方、突出端25bには、前記ピン21が回転自在に挿通するピン孔25dが貫通形成されている。
尚、各ピン21,28,29の一端部には、リンクアーム25やリンク部材26の軸方向の移動を規制するスナップリング30,31,32が設けられている。
即ち、図10において、アクチュエータ(DCサーボモータ)201の回転は、伝達部材202を介してネジ切り加工が施された軸103に伝達され、該軸203が通されたナット204の軸方向位置が変化する。
尚、本実施形態では、図10に示すように、ナット204の位置を前記伝達部材202に近づけることでバルブリフト量が小さくなり、逆に、ナット204の位置を前記伝達部材202から遠ざけることでバルブリフト量が大きくなる。
本実施形態における可変バルブタイミング機構(VTC)114は、油圧ベーン式の機構であり、クランク軸124によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、吸気カム軸113の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面が台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記コントロールユニット(C/U)115は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、オン時間割合を制御するデューティ制御信号に基づいて制御する。
従って、遅角側油圧室83の内圧が高、進角側油圧室82の内圧が低となって、回転部材53は、ベーン78a〜78bを介して最大遅角側に回転し、この結果、吸気バルブ105の作動角の中心位相が遅角される。
このため、回転部材53は、ベーン78a〜78dを介して進角側へ最大に回転し、これによって、吸気バルブ105の作動角の中心位相が進角される。
図12は、前記コントロールユニット(C/U)115による吸入空気量の制御機能の基本構成を示すブロック図であり、この図12に示すように、コントロールユニット(C/U)115は、目標体積流量比演算部a,VEL目標作動角演算部b及び目標スロットル開度演算部cとしての機能を備えている(特開2003−184587号公報参照)。
前記目標体積流量比演算部aでは、目標トルク相当の目標体積流量比TQH0STを算出する。
具体的には、アクセル開度ACC及びエンジン回転速度NEに対応する、或いは、アクセル開度ACC及びエンジン回転速度NEに基づき設定される目標トルクが得られる要求空気量Q0を算出する一方、アイドル時のエンジン回転速度NEを目標アイドル回転速度NEに近づけるために要求されるアイドル要求空気量QISCを算出する。
そして、前記要求空気量Q0に前記アイドル要求空気量QISCを加算して、総要求空気量Q(Q=Q0+QISC)を算出し、前記総要求空気量Qを、エンジン回転速度Ne及び排気量(シリンダ総容積)VOL#で除算することにより、目標体積流量比TQH0STを算出する。
次に、前記VEL目標作動角演算部bにおける演算処理について説明する。
前記VEL目標作動角演算部bでは、前記目標体積流量比TQH0STに基づいて目標バルブ開口面積TVELAAを算出し、更に、前記目標バルブ開口面積TVELAAに基づいて目標VEL作動角TGVELを設定する。
図13において、A部では、前記目標体積流量比TQH0STと最小体積流量比QH0LMTとを比較して大きい方を選択し、可変バルブリフト機構VEL112で実現すべき体積流量比TQH0VELを設定する。
尚、前記最小体積流量比QH0LMTは、可変バルブリフト機構(VEL)112によって実現可能な最小体積流量比、即ち、最小バルブリフト量のときの体積流量比であり、a1部において、エンジン回転速度NEに基づき、図に示すようなテーブルTQH0LMTを検索することにより、エンジン回転速度NEが高いほどより大きな値に算出される。
ここで、VACDNV=AV・Cd/N/Vであり、AVはバルブ開口面積、Cdは損失係数、Nは回転速度、Vは排気量を示す。
そして、前記B部において求めた状態量VACDNVに対し、C部においてはエンジン回転速度NEを、D部においては排気量VOL#を乗算することで、要求バルブ開口面積TVELAA0を算出する。
E部では、前記要求バルブ開口面積TVELAA0を、吸気バルブ105の閉弁タイミングIVCに応じた補正値KHOSIVCで除算し、要求バルブ開口面積TVELAA1を算出する。
F部では、E部において算出した要求バルブ開口面積TVELAA1に対し、吸気バルブ105に上流側の吸気管圧に応じて設定される補正値KMANIPを乗算して、要求バルブ開口面積TVELAA2を求める。
前記補正値KHOSNEは、g1部において、エンジン回転速度Neに基づき図に示すようなテーブルTKHOSNEを検索することにより算出され、エンジン回転速度NEが高くなるほど1よりも大きな値に設定される。
そして、I部では、H部で求めた目標VEL作動角TGVEL0と、最大VEL作動角VELHLMTとを比較し、TGVEL0≧VELHLMTであれば、VELHLMTを目標VEL作動角TGVELとして設定し、TGVEL0<VELHLMTであれば、TGVEL0を目標VEL作動角TGVELとして設定する。
前記コントロールユニットC/U115は、実際のVEL作動角VELCOM(実際の制御軸16の角度)が前記目標VEL作動角TGVELとなるように、前記アクチュエータ201の操作量をフィードバック制御する。
図14において、e1部では、前記可変バルブタイミング機構(VTC)114が動作していないとき、即ち、吸気バルブ105の作動角の中心位相が最遅角状態である場合の吸気バルブ105の閉弁タイミングIVCの角度V0IVCを、そのときの吸気バルブ105のバルブ作動角VSC−ANGLに基づき、図に示すようなテーブルTV0IVCを参照して求める。
そして、e3部において、前記実際のIVC角度REALIVCに基づき、図に示すようなテーブルTKHOSIVCを検索して補正値KHOSIVCを設定し、図13のE部に出力する。
図15のf1部において、補正値KMANIPは、大気圧/目標Boost(例えば、101.3KPa/88KPa)、又は、1.0であり、前記目標体積流量TQH0STが前記最小体積流量比QH0LMT以下の場合、補正値KMANIPとして1.0を出力し、それ以外では、大気圧/目標Boostが、補正値KMANIPとして出力される。
図16において、J部では、吸気バルブ105の作動特性が基準状態であるときに要求されるスロットル弁の開口面積Atに相当する状態量TADNV0を算出する。
前記作動特性が基準状態である場合とは、吸気バルブ105のバルブリフト量、バルブ作動角、バルブタイミングを固定とし、スロットルバルブ開度でエンジン101の吸入空気量が制御される場合に相当する。
尚、前記状態量TADNV0は、スロットル弁開口面積をAt、エンジン回転速度をNe、排気量(シリンダ容積)をVOL#としたときに、TADNV0=At/(Ne・VOL#)で表されるものである。
M部では、算出したスロットル要求開口面積TVOAA0に、実際の吸気バルブ105の作動特性、すなわち、作動特性の変化に応じた補正を行う。
N部では、算出した目標スロットル開口面積TAVOAAに基づいて、図に示すような変換テーブルTTDTVOを検索して目標スロットル開度TDTVOを設定する。
ここで、図16のM部で用いる補正値KAVELの設定を、図17に基づいて説明する。
尚、Paは大気圧、Pm’0は吸気バルブ105の作動特性が基準状態であるときの吸気マニホールド圧である。
そして、m2部において、前記圧力比Pm’0/Paに基づいて、図に示すテーブルTBLKPA0を検索して係数KPA0を算出する。
また、m4部においては、新気割合ηを、スロットル弁103bが絞られている時の吸気バルブ通過体積流量比RQH0VELとエンジン回転速度NEに基づいて、図に示すようなマップを参照して算出する。
前記「TP/(TP100・η)」は、可変バルブリフト機構(VEL)112の作動時における圧力比Pm’1/Paを示す。
m8部では、m2部で算出した係数KAP0を、m7部で算出した係数KAP1で除算することで、補正値KAVELを設定し、図16のM部に出力する。
m10部では、前記可変バルブリフト機構(VEL)112の制御軸16の作動角VELREAL(制御量)に基づいて、図に示すようなテーブルTAAVEL0を検索して吸気バルブ105の開口面積AAVEL0を算出する。
そして、算出したAAVELを、m12部においてエンジン回転速度NEで除算し、m13部において排気量(シリンダ容積)VOL#で除算する。
m14部では、図に示すようなテーブルTWH0VEL0を検索して、AAVEL/NE/VOL#を、体積流量比WH0VEL0に変換する。
一方、m16部では、m11部で算出したAAVELに、実際の吸気マニホールド圧Pmと大気圧Paの比(Pm/Pa)を乗算して、AAVEL’を算出する。
m19部では、m14部と同様に、図に示すようなテーブルTRH0VEL0を検索して、AAVEL’/NE/VOL#を体積流量比RH0VEL0に変換する。
そして、m20部において、m15部(図13のE部)と同様に、補正値KHOSIVCによる補正を体積流量比RH0VEL0に対して施して、実体積流量比RQH0VELを算出して、図17のm4部へ出力する。
本実施形態における燃料噴射弁121は、吸気バルブ105上流の吸気管102に設けられており、前記燃料噴射弁121による燃料噴射は、各気筒の1サイクル当たり、排気行程中(例えば排気行程の中期)の第1噴射と吸気行程の後期の第2噴射との2回に分けて行われ、排気行程中に噴射された燃料と吸気行程中に噴射された燃料との総和によって、混合気が形成されるようになっている(図33参照)。
前記排気行程中の第1噴射は、排気行程中に予め設定された噴射開始タイミングになると、燃料噴射量(第1噴射量)Tiを演算し、該燃料噴射量(第1噴射量)Tiに対応するパルス幅の噴射パルスを、噴射開始タイミング(排気行程)である気筒に設けられている燃料噴射弁121に出力することでなされる。
ここで、前記吸気行程噴射基本分担量Tveldefは、吸気行程の後期で実行される第2噴射で噴射させる燃料量の基本値であり、第1噴射のタイミングにおけるシリンダ吸入空気量に対応する燃料量のうち、Tveldefを除いた分を排気行程での第1噴射で噴射させ、残りのTveldefを第2噴射で噴射させ、第1噴射で噴射される第1噴射量とその後の第2噴射で噴射される第2噴射量との総和が、定常時にはシリンダ吸入空気量に見合った量となり、目標空燃比の混合気が形成されるようにする(図33参照)。
この図19のフローチャートに示すルーチンは、予め設定された第1噴射における噴射開始タイミング(噴射開始クランク角度)であることが、クランク角センサ118で検出されたときに、割り込み実行されるようになっている。
前記第1噴射における噴射開始タイミングは、排気行程中の固定の角度位置、又は、エンジン運転状態(エンジン負荷・エンジン回転速度・エンジン温度など)から可変に設定される排気行程中の角度位置とすることができる。
具体的には、図27に示すように、そのときの可変バルブリフト機構(VEL)112の制御軸16の作動角(VEL角度)から、可変バルブタイミング機構(VTC)114が最遅角に制御されていると仮定したときの吸気バルブ105の閉弁タイミングIVCを求める。
更に、エンジン回転速度NEが高いほど、実際の閉弁タイミングIVCからより進角した角度位置を、第2噴射の開始タイミングとすべく、エンジン回転速度NEに応じた進角補正値で前記実際の閉弁タイミングIVCを進角補正した結果を、第2噴射の開始タイミングとする。
本実施形態の場合に、吸気バルブ105の上流側に燃料噴射弁121が設けられるから、吸気バルブ105が開弁しているときだけ燃焼室106に燃料を供給でき、しかも、燃料噴射弁121から噴射された燃料が燃焼室106に吸入されるまでには輸送時間を要する。
そこで、エンジン回転速度NEが高いときほど、噴射開始タイミングを、吸気バルブ105の閉弁タイミングからより進角させるようにしている。
尚、前記ステップS1001では、第1噴射タイミングにおける、可変バルブリフト機構(VEL)112及び可変バルブタイミング機構(VTC)114の制御状態に基づいて、吸気バルブ105の閉弁タイミングIVCを求めており、この閉弁タイミングは、第1噴射後における可変バルブリフト機構(VEL)112の動作で変わり得る値である。
前記基本燃料噴射量(基本噴射パルス幅)Tpは、エンジン回転速度NEとエアフローメータ(AF/M)117で検出された吸入空気量Qaと定数Kとを用いて、Tp=Qa/Ne×Kとして算出される。
即ち、前記基本燃料噴射量(基本噴射パルス幅)Tpは、そのときに計測されたシリンダ吸入空気量に対して、目標空燃比の混合気を形成させるために要求される総燃料量である。
前記各種補正係数COEFは、始動及び始動直後に燃料量を増量するための始動及び始動後増量Kas,低水温(冷機)時に燃料量を増量するための水温増量率Ktw,高負荷・高回転運転時に燃料を増量して排気温度の上昇を抑えつつ出力を発生させるための高負荷・高回転増量率KMR,高水温時に燃料を増量して排気温度の上昇を抑えるための高水温時増量率KHOTなどに基づき、COEF=Kas+Ktw+KMR+KHOTとして算出される。
前記ポート壁流補正量Tvelpの算出は、図20のフローチャートに詳細に示してある。
ステップS2011では、エンジン回転速度NE,エンジン負荷を代表する基本噴射パルス幅(基本燃料噴射量)Tp,水温Tw,スロットルバルブ開度TVO,制御軸16の作動角(バルブリフト量)を入力する。
具体的には、図21に示すように、エンジン回転速度NE及び基本噴射パルス幅Tpに対応してポート壁流の平衡付着量を記憶したマップから、アクセル操作前(過渡運転直前)のエンジン回転速度Ne及び基本噴射パルス幅Tpに対応する平衡付着量と、アクセル操作後(過渡運転中)のエンジン回転速度NE及び基本噴射パルス幅Tpに対応する平衡付着量とを検索する。
そして、基本補正値を、基本補正値=平衡付着量(アクセル操作後)−平衡付着量(アクセル操作前)として算出する。
一方、図22に示すように、水温Twが低いときほど大きな水温補正係数を設定し、更に、図23に示すように、スロットルバルブ開度TVOの単位時間当たりの変化量(変化速度)ΔTVOが大きいときほど大きなΔTVO係数を設定する。
ステップS2013では、前記制御軸16の作動角に応じてVEL補正量を設定する。
本実施形態では、前記制御軸16の作動角が大きいときほど吸気バルブ105のバルブリフト量が大きくなるものとし、前記VEL補正量は、フローチャート中に示すように、バルブリフト量が多くなる制御軸16の作動角が大きいときほど、大きな値に設定される。
ステップS2014では、前記ポート壁流補正量Tvelpを、Tvelp=ポート壁流補正基本値×VEL補正量として算出する。
前記筒内壁流補正量Tvelsの算出は、図24のフローチャートに詳細に示してある。
ステップS3021では、エンジン回転速度Ne,エンジン負荷を代表する基本噴射パルス幅(基本燃料噴射量)Tp,水温Tw,スロットルバルブ開度TVO,制御軸16の作動角(バルブリフト量)及び始動後からの経過時間を入力する。
具体的には、図25に示すように、エンジン回転速度Ne及び基本噴射パルス幅Tpに対応して筒内壁流の平衡付着量を記憶したマップから、アクセル操作前(過渡運転直前)のエンジン回転速度Ne及び基本噴射パルス幅Tpに対応する平衡付着量と、アクセル操作後(過渡運転中)のエンジン回転速度Ne及び基本噴射パルス幅Tpに対応する平衡付着量とを検索する。
そして、基本補正値を、基本補正値=平衡付着量(アクセル操作後)−平衡付着量(アクセル操作前)として算出する。
一方、図22に示すように、水温Twが低いときほど大きな水温補正係数を設定し、更に、図23に示すように、スロットルバルブ開度TVOの単位時間当たりの変化量(変化速度)ΔTVOが大きいときほど大きなΔTVO係数を設定する。
そして、筒内壁流補正基本値を、筒内壁流補正基本値=基本補正値×水温補正係数×ΔTVO係数×始動後時間係数として算出する。
前記VEL補正量は、フローチャート中に示すように、バルブリフト量が大きくなる作動角が大きいときほど、小さな値に設定される。
上記筒内壁流補正基本値の補正に用いられるVEL補正量は、バルブリフト量が小さい条件では、吸気バルブを通過するときの吸気の流れが周辺(吸気バルブ105の径方向)に指向して筒内付着壁流量が多くなることに対応している。
上記のように、ポート壁流補正量Tvelp,筒内壁流補正量Tvelsの演算において、吸気バルブ105のバルブリフト量に応じた補正を施すことで、バルブリフト量の変化によるポート壁流量及び筒内壁流量の変化に対応して燃料噴射量を適切に補正することができ、過渡時の空燃比制御精度を向上させることができる。
前記無効噴射パルス分Tsは、前記燃料噴射弁121の電源であるバッテリの電圧による開弁遅れ時間の変化に対応するための補正値であり、バテッリ電圧が低く燃料噴射弁121の開弁遅れ時間が長くなるほど大きな値に設定される。
ステップS1007では、増減補正分担分Tveliを演算する。
しかし、第2噴射は、前述のように、吸気行程の後期で噴射されるため、第2噴射で噴射された燃料を吸気行程中に燃焼室106内に均等に分布させることは困難であり、燃焼室106内に均質な混合気を形成させるためには、目標空燃比の混合気形成に必要とされる燃料量のうちのなるべく多くの燃料を、第1噴射で噴射させることが望まれる。
即ち、前回の第2噴射の噴射開始タイミングで演算した、第1噴射後のシリンダ吸入空気量の変化に対応するための増減補正分Tintbasと、予め設定された比率Ratioとから、前記増減補正分担分Tveliを、Tveli=Tintbas×Ratioとして算出する。
前記増減補正分Tintbasについては、後で詳細に説明する。
ステップS1008では、吸気行程噴射基本分担量Tveldefを演算する。
前記吸気行程噴射基本分担量Tveldefは、エンジン101の定常運転時にも第2噴射で噴射させる第2噴射量の基本値であり、エンジン101の運転状態に応じて設定される。
前記基本分担量Tveldefが零に設定される領域は、一般的に定常運転で使用される運転領域であり、加速されることで、基本分担量Tveldef>0となる運転領域に入るため、実質的には、第1噴射が行われた後にシリンダ吸入空気量が変化することになる場合に、基本分担量Tveldef>0に設定され、第2噴射による噴射量の修正が不要の場合には、第2噴射が行われないことになる。
これは、減速に伴ってシリンダ吸入空気量が減少変化する場合、係る減少変化に対応するために、予め減少代が第2噴射において確保されている必要があるのに対し、加速時には、シリンダ吸入空気量の増大変化に対応して燃料を追加噴射すればよく、分担量Tveldefが零であってもよいためである。
従って、加速・減速運転を判別し、加速時には分担量Tveldefを零或いは最小噴射量程度に設定し、減速時に、固定値(>0)或いはエンジン負荷やエンジン回転速度などに応じた可変値として、加速時よりも大きな分担量Tveldefを設定させることができる
更に、急減速時ほど分担量Tveldefを多くすることで、第1噴射後のシリンダ吸入空気量の減少変化が大きい場合に、分担量Tveldefを予め多くしておくことができる。
ステップS1009では、上記ステップS1002〜ステップS1008の演算結果に基づいて、燃料噴射量(第1噴射量)Tiを、下式に従って算出する。
Ti=Tp×COEF+Tvelp+Tvels+Ts+Tveli−Tveldef
ステップS1010では、前記燃料噴射量(第1噴射量)Tiに相当するパルス幅の噴射パルス信号を、第1噴射の開始タイミング(排気行程)である気筒に備えられている燃料噴射弁121に対して出力する。
但し、前記燃料噴射量(第1噴射量)Tiの演算を一定時間毎に繰り返し実行させ、第1噴射タイミングに相当するクランク角になったときに、最新に演算された燃料噴射量(第1噴射量)Tiに基づいて第1噴射を行わせることができる。
尚、前記吸気バルブ通過体積流量比WQH0VELは、前記制御軸16の角度(可変バルブリフト機構(VEL)112の制御量)に基づいて推定される吸入空気量に相当する。
そして、第2噴射の開始タイミングになって割り込み処理が開始されると、まず、ステップS1101で、第1噴射の開始タイミング、換言すれば、第1噴射における燃料噴射量(第1噴射量)Tiを決定してからの可変バルブリフト機構(VEL)112の動作によるシリンダ吸入空気量の変化分に対応する噴射量である補正分Tintbasを演算する。
しかし、第1噴射量を演算したタイミングから、吸気バルブ105が閉弁するまでの間に、シリンダ吸入空気量を変化させることになる可変バルブリフト機構(VEL)112の動作があった場合、前記基本分担量Tveldefだけ第2噴射を行わせたのでは、前記シリンダ吸入空気量の変化に対応できず、変化した分のシリンダ吸入空気量に見合った分だけ噴射量に誤差を生じる。
そこで、本実施形態では、第1噴射後から吸気バルブ105の閉弁タイミング近傍乃至閉弁タイミング直前まで待って、第1噴射の開始タイミングからのシリンダ吸入空気量の変化を判断し、第1噴射の開始タイミング時点でのシリンダ吸入空気量に対する変化分だけ、第2噴射における第2噴射量を変化させて、実際にシリンダに吸引された空気量に見合う燃料量が、第1噴射量と第2噴射量との総和で得られるようにする。
まず、吸気バルブ通過体積流量比WQH0VELの最新値、換言すれば、第2噴射の開始タイミングにおける可変バルブリフト機構(VEL)112(可変動弁機構)の制御量から推定されたシリンダ吸入空気量と、第1噴射の開始タイミングにおいて演算された吸気バルブ通過体積流量比WQH0VELzと、吸気バルブ105の閉弁タイミングIVCの変化に基づくゲインGAINとに基づいて、第1噴射開始タイミングからのシリンダ吸入空気量の変化量DWQH0VELを算出する。
前記ゲインGAINは、GAIN=IVCANG/IVCANGzとして算出される。
ここで、前記角度IVCANGは、前記第1噴射を開始させるクランク角から吸気バルブ105の閉弁タイミングIVCまでの角度であって、前記IVCANGは、第2噴射の開始タイミングにおける可変バルブリフト機構(VEL)112及び可変バルブタイミング機構(VTC)114の制御状態に従って予測される閉弁タイミングIVCに基づく値であり、前記IVCANGzは、第1噴射の開始タイミングにおける可変バルブリフト機構(VEL)112及び可変バルブタイミング機構(VTC)114の制御状態に従って予測される閉弁タイミングIVCに基づく値である。
しかし、例えば、吸気バルブ105の閉弁タイミングが、第1噴射の開始タイミングの時点で予測した角度位置から遅角変化すると、第2噴射開始タイミングは、吸気バルブ105の閉弁タイミングから相対的により進角した位置となり、第2噴射タイミング後も、可変バルブリフト機構(VEL)112及び可変バルブタイミング機構(VTC)114の制御状態が変わり続ける場合、第2噴射タイミングにおける吸気バルブ通過体積流量比WQH0VELは、今回の吸気行程での最終的なシリンダ吸入空気量を表さず、変わりつつあるシリンダ吸入空気量の途中経過を示すことになる。
DMASCYL=DWQH0VEL×AIRSPG
前記係数AIRSPGは、吸気温度及び吸気マニホールド圧に基づき、下式に従って算出される、
AIRSPG=(1.293/(1+0.00367×吸気温度℃))×吸気マニホールド圧kPa/101.3kPa
更に、吸気量を目標空燃比相当の燃料噴射量に変換するための係数Kと、水温に応じて設定される補正係数HOSEIとに基づいて前記偏差DMASCYLを補正して、その結果を、前記補正分Tintbasとする。
前記補正係数HOSEIは、図30に示すように、高温時に1.0に設定され、低温になるほど1.0よりも大きな値に設定される。
前記補正係数HOSEIによる増量補正は、前記燃料噴射量(第1噴射量)Tiにおける前記各種補正係数COEF(水温増量率Ktw)などと同様に、前記補正分Tintbasを低温時ほど増大補正する。
ステップS1104では、第2噴射量Tintを、下式に従って算出する。
Tint=Tveldef+Tintbas−Tveli
上記のように、第2噴射量Tintは、吸気行程噴射基本分担量Tveldefを基本量とし、第1噴射量を決定してからの空気量の変化分Tintbasだけ補正し、変化分Tintbasのうち第1噴射量の転嫁させた分であるTveliを減算補正する。
上記のように、増減補正分担分Tveliだけ第1噴射量を補正すれば、可変バルブリフト機構(VEL)112が動作して吸気バルブ105のバルブリフト量が変化し続ける状態において、該増大変化による第1噴射後のシリンダ吸入空気量の増大変化を予め見込んで、第1噴射量が補正されることになって、相対的に、第2噴射で噴射する必要がある燃料量が減ることになる。
尚、第1噴射後のシリンダ吸入空気量の増大変化は、例えば、可変バルブリフト機構(VEL)112の動作速度から予測できるので、前記増減補正分担分Tveliを、可変バルブリフト機構(VEL)112の動作速度に応じて設定することで、第1噴射で噴射させる燃料量をなるべく多くすることが可能である。
但し、増減補正分担分Tveliが過剰であると、吸入空気量が変化する過渡運転から吸入空気量が殆ど変化しない定常運転に移行するときに、第1噴射量が過剰に補正されてしまう可能性があるので、前記比率Ratioは、第1噴射量の過剰補正にならないように、予め実験やシミュレーションによって適合される。
図31は、加速時におけるTi、Tintbas、Tveliの変化を示し、ここでは、比率Ratio=0.5としてある。
具体的には、加速の開始によって第2噴射の開始タイミングでTintbas=A(ms)が算出されると、そのときの第2噴射量は、Tint=Tveldef+A−0に決定され、次回の第1噴射量には、Tveli=A×0.5が加算される一方、その次の第2噴射の開始タイミングでTintbas=B(ms)が算出されると、Tint=Tveldef+B−A×0.5に決定される。
一方、減速時には、図32に示すように、吸気行程噴射基本分担量Tveldefがシリンダ吸入空気量の減少変化分だけ減量補正されることになり、第1噴射及び第2噴射のトータルでの噴射量が、第1噴射時の見込みよりも減量されることになる。
この場合には、第2噴射を行わないようにすることで、実質的には、吸気行程噴射基本分担量Tveldefだけ燃料量を減量したことになり、減速によって過剰となる燃料の噴射を抑制して、実際の吸入空気量に対する噴射量の制御精度を高めることができる。
また、次のステップS1106では、次回の第1噴射量Tiを、今回算出された補正分Tintbasに基づいて補正させるべく、今回算出された補正分Tintbasを記憶する。
従って、第1噴射の開始タイミング(第1噴射量Tiの決定タイミング)から吸気バルブ105が閉じられるまでの間において、可変バルブリフト機構(VEL)112が動作しても、実際のシリンダ吸入空気量に略見合った燃料を噴射させることができ、空燃比ずれによる排気性状の悪化や、動力性能の低下を抑制又は防止できる。
上記のように、可変動弁系のシステム異常時に第2噴射を制限することで、第2噴射量が誤って設定されることによる空燃比ずれの発生を抑制又は防止でき、また、均質混合気の生成が第2噴射で妨げられることを回避できる。
更に、吸気行程後期の第2噴射のタイミングは、第2噴射で噴射される燃料を燃焼室内に均質に分布させるためには、なるべく早い時期とすることが望まれる一方、吸気バルブ105の閉時期に近い方が、第1噴射後の可変バルブリフト機構(VEL)112の動作によるシリンダ吸入空気量の変化を高精度に捉えることができる。しかし、吸気バルブ105の閉時期に近づき過ぎると、第2噴射で噴射させた燃料の全てをその回の吸気行程で燃焼室内に吸引させることができなくなってしまう。そこで、上記のような噴射タイミングに要求される条件を加味しつつ、第2噴射のタイミングを設定する。
更に、本実施形態では、前記吸気バルブ通過体積流量比WQH0VELの変化に基づいて、第1噴射後の吸入空気量の変化分を検出したが、例えば、実際の吸気バルブ通過体積流量比RQH0VELの変化や、前記可変バルブリフト機構(VEL)112の制御軸16の角度(制御量)やアクチュエータ(DCサーボモータ)201の操作量の変化に基づいて、第2噴射量を決定することができる。
また、上記実施形態では、第1噴射を排気行程中に行わせるようにしたが、排気バルブ107の閉弁直後や吸気行程の初期(好ましくは吸気バルブ105の開弁直後)に、第1噴射を行わせることができる。
吸気バルブ105の閉時期の進角・遅角制御を行う可変バルブタイミング機構としては、前記図11に示した機構の他、特開2003−269124号公報に開示される、電磁リターダの磁力によってバルブ作動角の中心位相を進遅角制御する機構や、特開2003−184516号公報に開示される、渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合される可動案内部を備えてなる機構や、更に、特開2008−025541号公報に開示される、モータによってカムシャフトを駆動する機構などの公知の機構を適宜採用できる。
前記特開2001−263015号公報に開示される機構は、コントロールシャフトと連動して移動可能なスライダギアと、カムシャフトのカムにより駆動される入力アームと、機関バルブをリフトさせる出力アームとを備え、コントロールシャフトの軸方向への移動に連動してスライダギアが軸方向に移動することで、スライダギアと入力アーム及び出力アームとの軸方向における相対位置が変化し、スライダギア上の入力アームと出力アームとが相対回転して、両者の相対位相差が変更され、機関バルブの作用角及びリフト量を連続的に変化させる機構である。
例えば、加速時でバルブリフト量が第1噴射後に増大変化する場合には、係る増大変化による吸気バルブ105の閉時期の遅角変化に対応して、第2噴射タイミングを第1噴射時の決定よりも遅角させ、減速時でバルブリフト量が第1噴射後に減少変化する場合には、係る減少変化による吸気バルブ105の閉時期の進角変化に対応して、第2噴射タイミングを第1噴射時の決定よりも進角させるようにする。
Claims (4)
- 吸気バルブの上流側に燃料噴射弁を備えると共に、前記吸気バルブの開特性を可変とする可変動弁機構を備えたエンジンの燃料噴射制御装置であって、
前記燃料噴射弁により第1噴射量を噴射する第1噴射と、前記第1噴射の後であって吸気行程の後期に前記燃料噴射弁により第2噴射量を噴射する第2噴射とを行うと共に、
前記第2噴射量の基本値を、前記エンジンの低回転・高負荷時ほどより大きな値に設定し、前記第1噴射量の演算後の前記可変動弁機構の動作で生じる吸入空気量の変化分に応じて前記基本値を増減補正して前記第2噴射量を決定し、かつ、
前記吸入空気量の変化分に見合う燃料噴射量の所定割合だけ、次回の前記第1噴射における第1噴射量を補正すると共に、前記第1噴射量を補正した分が相殺されるように、前記第2噴射量を補正する一方、
前記吸入空気量の変化分への対応が不要である場合に、前記第2噴射を行わない構成としたことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 吸気バルブの上流側に燃料噴射弁を備えると共に、前記吸気バルブの開特性を可変とする可変動弁機構を備えたエンジンの燃料噴射制御装置であって、
前記燃料噴射弁により第1噴射量を噴射する第1噴射と、前記第1噴射の後であって吸気行程の後期に前記燃料噴射弁により第2噴射量を噴射する第2噴射とを行うと共に、
前記第1噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される吸入空気量と、前記第2噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される吸入空気量との偏差を演算し、かつ、
前記第2噴射量の演算タイミングを、前記第1噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される前記吸気バルブの閉時期を基準に設定し、前記閉時期に対する、前記第2噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から推定される前記吸気バルブの閉時期の変化率を演算し、該変化率に基づき前記偏差を補正し、
前記エンジンの低回転・高負荷時ほどより大きな値に設定した前記第2噴射量の基本値を、前記補正した偏差に基づいて増減補正して前記第2噴射量を決定する一方、
前記吸入空気量の変化分への対応が不要である場合に、前記第2噴射を行わない構成としたことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 吸気バルブの上流側に燃料噴射弁を備えると共に、前記吸気バルブの開特性を可変とする可変動弁機構を備えたエンジンの燃料噴射制御装置であって、
前記燃料噴射弁により第1噴射量を噴射する第1噴射と、前記第1噴射の後であって吸気行程の後期に前記燃料噴射弁により第2噴射量を噴射する第2噴射とを行うと共に、
前記第2噴射量の基本値を、前記エンジンの低回転・高負荷時ほどより大きな値に設定し、前記第1噴射量の演算後の前記可変動弁機構の動作で生じる吸入空気量の変化分に応じて前記基本値を増減補正して前記第2噴射量を決定し、かつ、
前記第1噴射量の演算タイミングにおける前記可変動弁機構の制御量から前記吸気バルブの閉時期を推定し、前記吸気バルブの閉時期からエンジン回転速度が高いほど進角した時期を、前記第2噴射量の演算タイミングに設定し、該演算タイミングにおいて、前記第2噴射量を演算し、かつ、前記第2噴射量を噴射する第2噴射を開始する一方、
前記吸入空気量の変化分への対応が不要である場合に、前記第2噴射を行わない構成としたことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 可変動弁系のシステム異常の発生状態で、前記吸入空気量の変化分に対応する燃料噴射量の補正設定を制限することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
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