JP4738217B2 - 電気二重層キャパシタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
れたセパレータとからなる電極体を有し、且つ上記両分極性電極には電解液が含浸されて
いる電気二重層キャパシタ及びその製造方法に関する。
に多孔性セパレータを挟んだ素子を、電解液と共に、一対の集電用金属箔とこれら集電用
金属箔を絶縁する絶縁性樹脂によって構成されるケース中に収納したコイン型のものが知
られている。
炭素材料によって構成されていた。しかしながら、この多孔性炭素材料を分極性電極とし
て用いた電気二重層キャパシタでは、内部抵抗が大きくなるため、大電流が取り出せない
という欠点つまり、高レート特性に劣るという課題を有していた。
ことにより作製しなければならないため、製造コストが高騰するという課題もある。更に
、多孔性炭素材料の比表面積は3200m2/gでほぼ限界となり、それ以上高めるのは困難である。
記特許文献1参照)や、分極性電極の材料にカーボンナノチューブを含めるという提案(
下記特許文献2参照)がなされている。上記フラーレンやカーボンナノチューブは、工業
的製法としてアーク放電等の物理相成長的手法によって得られるものであり、分極性電極
の材料として用いた場合には、活性炭または繊維状活性炭等の多孔性炭素材料を用いた場
合よりも高レート特性が改善される。
べく、フラーレンに対して長時間のアルカリ賦活処理や水蒸気賦活処理等を実施したり、
カーボンナノチューブに対して長時間のアルカリ賦活処理を実施したりすると、フラーレ
ンやカーボンナノチューブの分子構造が破壊されるため、更なる高容量化を図ることがで
きないという課題を有していた。
することができる電気二重層キャパシタ及びその製造方法を提供することを目的としてい
る。
ら両分極性電極間に介装されたセパレータとからなる電極体を有し、且つ上記両分極性電
極と上記セパレータとには電解液が含浸されている電気二重層キャパシタにおいて、上記
一対の分極性電極のうち少なくとも一方の分極性電極の炭素材料には、マイクロ波賦活処
理がなされたフラーレンが含まれることを特徴とする。
ラーレン分子の外部のみからしか侵食しないので、この処理が長時間にわたって行われる
とフラーレン分子が破壊される。これに対して、マイクロ波賦活処理を用いた場合、材料
内部から均一、且つ、急速に加熱されて賦活現象が生じる為に、分子構造が破壊されるこ
となく、均一で大きな比表面積(比表面積3500m2/g程度)を有するフラーレンを得ることができると考えられる。
きるので、電気二重層キャパシタの製造コストの低減を図ることもできる。
クロ波賦活処理がなされたフラーレンのみから構成するのが望ましい。
更なる大容量化を達成できるからである。
球状であるものを用いるのが望ましい。
4級ホスホニウムイオンなどの単独あるいは複数のカチオンと、スルホン酸イオン、過塩素酸イオン、6フッ化ヒ素イオン、ハロゲンイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンの単独あるいは複数のアニオンを組み合せたものを用いることができる。
本発明の一例である電気二重層キャパシタは、図1に示すように、共にマイクロ波加熱法により賦活処理を行なったフラーレン等からなる第1分極性電極(正極)1と第2分極性電極(負極)2とが、セルロース系不織布から成るセパレータ3を介した状態で対向配置された電極体4を有している。この電極体4は、共にエッチドアルミニウム箔からなる2つの集電体5,6と、絶縁性樹脂7とで構成される収納空間に収納されている。また、前記電極体4には電解液が含浸されていると共に、前記第1分極性電極1は集電体5と、第2分極性電極2は集電体6と電気的に接続されている。
ここで、上記電気二重層キャパシタを、以下のようにして作製した。
先ず、球状であり且つ1分子あたりの炭素数が60及び70のフラーレンC60とフラーレンC70とを、両者の重量比が3:1となるように混合した混合物に、下記条件でマイクロ波を照射して、その賦活処理を行った。尚、このマイクロ波賦活処理が成されたフラーレン〈活物質〉の比表面積を、BET法で測定したところ、3500m2/gであった。
・マイクロ波照射条件
温度:800℃
時間:30分
次に、上記マイクロ波賦活処理がなされたフラーレンと、導電剤としてのカーボンブラックと、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレンとを、8:1:1の重量比になるように混合し、該混合物を円板状に成形した後、150℃で2時間真空乾燥させて第1分極性電極及び第2分極性電極を作製した。
プロピレンカーボネートからなる有機溶媒に、支持塩であるテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを1.0モル/リットルの濃度になるように溶解させて電解液を調製した。
上記第1分極性電極1と第2分極性電極2とを、セルロース系不織布から成るセパレータ3を介した状態で対向配置させて電極体4を作製すると共に、電極体4に電解液を含浸させた後、この電極体4を、エッチドアルミニウム箔からなる2つの集電体5,6と絶縁性樹脂7とで構成される収納空間に収納することにより作製した。
活物質の作製を、以下のようにして行った以外は、上記第1の形態と同様にしてコイン型電気二重層キャパシタを作製した。
・CO2レーザー照射条件
温度:室温
圧力:760Torr
雰囲気:不活性アルゴンガス雰囲気
次に、上記無蓋円筒状のカーボンナノチューブに、下記条件でマイクロ波を照射して、その賦活処理を行った。尚、このマイクロ波賦活処理が成されたカーボンナノチューブ(活物質)は比表面積が3500mm2/gであった。
・マイクロ波照射条件
温度:800℃
時間:30分
(実施例)
実施例としては、前記第1の形態で示した電気二重層キャパシタを用いた。
このようにして作製した電気二重層キャパシタを、以下、本発明キャパシタAと称する。
両分極性電極の炭素材料(活物質)として、活性炭と水酸化カリウムとを4:1の重量比で混合して500℃で60分間攪拌するという条件でアルカリ賦活処理を行ったアルカリ賦活処理活性炭を用いた以外は、上記実施例と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
(比較例2)
分極性電極の炭素材料として、賦活処理を行っていないフラーレン(未処理フラーレン)を用いた以外は、上記実施例と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
(比較例3)
分極性電極の炭素材料として、フラーレンと水酸化カリウムとを4:1の重量比で混合して500℃60分間攪拌するという条件でアルカリ賦活処理を行ったアルカリ賦活処理フラーレンを用いた以外は、上記実施例と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
(実験1)
上記本発明キャパシタA及び比較キャパシタX1〜X3について、各電極材重量あたり
100mAの電流密度で定電流充放電を行い、放電曲線より直流静電容量及び内部抵抗を
求め、単位電極材重量あたりの容量(Ca p)を算出すると共に、比表面積を調べたので、その結果を表1に示す。尚、資料数は各キャパシタ20個であり、表1にはその平均値を示している。
X1〜X3では41.1〜46.1F/gであるのに対して、本発明キャパシタAでは60.5F/gであり、比較キャパシタX1〜X3に比べて容量が大きくなっていることが認められる。これは、比較キャパシタX1〜X3では比表面積が1600〜3200m2/gで小さいのに対して、本発明キャパシタAでは比表面頼が3500m2/gであり、比較キャバシタX1〜X3に比べて比表面積が大きくなっていること等に起因するものと考えられる。
(実験2)
上記本発明キャパシタAで用いたマイクロ波賦活処理フラーレンと、比較キャパシタX2で用いた未処理フラーレンと、比較キャパシタX3で用いたアルカリ賦活処理フラーレンとにおける、カリウム残存量を測定したので、その結果を表2に示す。尚、測定は、誘導結合プラズマ発光分析法(IPC)を用いた。
及び680ppmであるのに対して、本発明キャパシタAではカリウム残存量が200ppmであり、比較キャパシタX1〜X3に比ペてカリウム残存量が少なくなっていることが認められる。
(実施例1)
実施例としては、前記第2の形態で示した電気二重層キャパシタを用いた。
このようにして作製した電気二重層キャパシタを、以下、本発明キャパシタB1と称する。
(実施例2〜4)
マイクロ波賦活処理を施す際の温度を、それぞれ、500℃、650℃、950℃とした以外は、上記実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
(比較例1)
比較例1としては、上記第1実施例の比較例1で示した比較キャパシタX1を用いた。
(比較例2)
分極性電極の炭素材料〈活物質)として、賦活処理を行っていないカーボンナノチューブ(未処理カーボンナノチューブ)を用いた以外は、上記実施例と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
(実験1)
上記本発明キャパシタB1〜B4及び比較キャパシタX1、Yについて、各電極材重量あたり各100mA、500mA、1000mAの電流密度で定電流充放電を行い、放電曲線より直流静電容量及び内部抵抗を求め、単位電極材重量あたりの容量(Cap)を算出すると共に、グラフェン構造層間距離(グラフェンシートを複数備えた多層構造のカーボンナノチューブにおけるグラフェンシート間の距離)と比表面積とを調べたので、その結果を表3に示す。尚、資料数は各キャパシタ20個であり、表3にはその平均値を示している。また、グラフェン構造層間距離は、X線回折法(X線管球はCu、電圧は200kv)で求めた。
している網目の格子間隔の一部が拡幅することにより、ミクロ孔、マクロ孔がさらに形成
されて表面積が大きくなると共に、無蓋円筒状のグラフェンシートの直径も大きくなるため、多層構造のカーボンナノチューブではグラフェン構造層間距離が大きくなる。
電解液中の電解質イオンとの相互作用によるイオン篩効果が発現し難くなる。
一部が切れることにより、単層構造のカーボンナノチューブにおいてもグラフェンシート
の表面積が大きくなる等の理由によるものと考えられる。
が800℃以上の本発明キャパシタB1、B4は、炭素材料として活性炭を用い、且つこ
の活性炭をアルカリ賦活処理した比較キャパシタX1よりも、単位電極材重量あたりの容
量が増加していることが認められる。
は、グラフェン構造層間距離がさらに大きくなり、比表面積も増加するということに起因
するものと考えられる。
材重量あたりの容量との関係をグラフ化したので、これらの結果を図2に示す。
電極材重量あたりの容量の増加の割合が大きくなることが認められ、特に、グラフェン構
造層間距離が3.86Åから4.02Åの間において、急激に、比表面積及び単位電極材
重量あたりの容量が増加している。
ロ孔がさらに形成されて表面積が一層大きくなると共に、無蓋円筒状のグラフェンシー
トの直径も一層大きくなるため、グラフェン構造層間距離がより大きくなるということ、
これらのことによりイオン篩効果が一層発現し難くなるということ、及び、単層構造のカ
ーボンナノチューブにおいてもグラフェンシートの表面積が一層大きくなる等の理由によ
ると考えられる。
{その他の事項}
(1)上記第1実施例では、マイクロ波賦活処理がなされたフラーレンを第1分極性電極
(正極)と第2分権性電極(負極)とに用いているが、このような構造に限定するもので
はなく、一方の分極性電極のみに用いても良いことは勿論である。また、炭素材料として
は、マイクロ波賦活処理がなされたフラーレンのみを用いる構成に限定するものではなく、例えば、マイクロ波賦活処理がなされたフラーレンと活性炭とを混合したものを用いて
も良い。
員環から形成され、さまざまな構造を有するものである。したがって、フラーレンとして
は、球状であり且つ1分子あたりの炭素数がそれぞれ60及び70であるフラーレンC60及びフラーレンC70に限定するものではない。
分極性電極(正極)と第2分極性電極(負極)とに用いているが、このような構造に限定
するものではなく、一方の分極性電極のみに用いても良いことは勿論である。また、炭素
材料としては、マイクロ波賦活処理がなされたカーボンナノチューブのみを用いる構成に
限定するものではなく、例えば、マイクロ波賦活処理がなされたカーボンナノチューブと
活性炭とを混合したものを用いても良い。
理がなされたカーボンナノチューブとを混合して用いることも可能である。
ックアップ用電源、瞬間停電補償用又はハイブリッド自動車用の電気二重層などに適用す
ることができる。
2:第2分極性電極(負極)
3:セパレータ
4:電極体
Claims (7)
- 各々炭素材料を備えた一対の分極性電極と、これら両分極性電極間に介装されたセパレ−タとからなる電極体を有し、且つ上記両分極性電極と上記セパレータとには電解液が含浸されている電気二重層キャパシタにおいて、
上記一対の分極性電極のうち少なくとも一方の分極性電極材料には、マイクロ波賦活処理がなされたフラーレンが含まれることを特徴とする電気二重層キャパシタ。 - 各々炭素材料を備えた一対の分極性電極と、これら両分極性電極間に介装されたセパレ−タとからなる電極体を有し、且つ上記両分極性電極と上記セパレータとには電解液が含浸されている電気二重層キャパシタにおいて、
上記一対の分極性電極のうち少なくとも一方の分極性電極材料には、800度以上の賦活温度でマイクロ波賦活処理がなされたカーボンナノチューブが含まれることを特徴とする電気二重キャパシタ。 - 上記フラーレンとして、1分子あたりの炭素数が60及び70の混合物で、かつ球状であるものを用いる、請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
- フラーレンをマイクロ波賦活処理するステップと、
上記マイクロ波賦活処理がなされたフラーレンから成る炭素材料と結着剤とを含む電極を作製するステップと、
上記ステップで作製した電極を、一対の分極電極のうち少なくとも一方の分極性電極として用い、一対の分極性電極間にセパレータを配置すると共に、両分極性電極とセパレータとに電解液を含浸させるステップと、
を有することを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。 - 上記フラーレンとして、1分子あたりの炭素数が60又は70の混合物で、かつ球状で
あるものを用いる、請求項4記載の電気二重層キャパシタの製造方法。 - カーボンナノチューブを800度以上の賦活温度でマイクロ波賦活処理するステップと、
上記マイクロ波賦活処理がなされたカーボンナノチューブから成る炭素材料と結着剤とを含む電極を作製するステップと、
上記ステップで作製した電極を、一対の分極電極のうち少なくとも一方の分極性電極として用い、一対の分極性電極間にセパレータを配置すると共に、両分極性電極とセパレータとに電解液を含浸させるステップと、
を有することを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。 - 上記マイクロ波賦活処理がなされたカーボンナノチューブにおけるグラフェン構造層間距離が5.3Å以上である、請求項2記載の電気二重層キャパシタ。
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