JP4737866B2 - 微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法及びその鋳造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊を鋳造する方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属材料において、その組織を微細化すれば、機械的特性に限らず諸特性が向上する。それ故、所望の特性を得るため、金属材料のベース組織となる鋳造組織を微細化する方法や、加工・熱処理等の手段を用いて微細組織を得る方法が、これまで、数多く提案されている。
【0003】
しかし、凝固組織が形成される初期の段階において、組織を微細化できれば、より微細化した鋳造組織を得ることができるので、更なる特性の向上が期待できる。
従来、溶融金属を鋳造する際、凝固組織を微細化するために、冷却能の大きい鋳型を用いる方法、溶融金属中に微細化剤を添加する方法、または、凝固時に振動、攪拌を加える方法等を採用してきた。
【0004】
通常、鋳片または鋳塊の凝固組織は、柱状晶、柱状晶とその中央部の等軸晶、または、ほとんど等軸晶からなるが、これらの組織を微細化するため冷却能の大きい鋳型を用いても、冷却能は凝固組織の表層にしか及ばないので、鋳造組織を微細化できる程度には限界がある。
また、溶融金属に微細化剤を添加する方法においては、微細化剤として、最終製品の機械的特性に悪影響を及ぼさない種類、粒径のものを選択しなければならないうえ、得られる微細化効果自体が不安定であり、同様に、鋳造組織を微細化できる程度に限界がある。
【0005】
溶融金属を攪拌する方法は、溶融金属を、直接、機械的に攪拌したり、また、電磁気力により流動を起こして攪拌したりして、凝固時の核生成を促したり、成長途上の柱状晶を破壊したりして、凝固組織の微細化を図るものであるが、これら攪拌・破壊による凝固組織の微細化には限界があることが知られている。
また、機械力または電磁気力で溶融金属に振動を加える方法は、同じく、凝固時の核生成を促したり、成長途上の柱状晶を破壊したりして、凝固組織の微細化を図るものであるが、所要の機械的な振動を得るには、装置を大規模なものとせざるを得ず、また、装置を大型化しても溶融金属が部分的に流動するだけで、振動が固液界面に伝わり難いという問題点がある。
【0006】
溶融金属に振動を加える方法の一つに、低周波磁場を印加する方法があるが、この方法は、大容量の電源が必要となり、装置的に大規模なものとならざるを得ず、また、溶融金属の流動が生じて、所望の振動が得られ難いという問題がある。
さらに、溶融金属に静磁場と交流電流を同時に印加し振動させる方法があるが、交流電流の印加によってジュール熱が発生して、凝固界面の温度を上昇させてしまい、凝固核の生成そのものが起こり難くなるという問題がある。
【0007】
特開平11−90615号公報には、電磁気力を利用して、溶融金属に、直接、高エネルギー振動力を付与し、溶融金属中にキャビテーション(空孔)を生じさせ、その消滅時に発生する衝撃力で金属組織を微細化する方法が開示されている。
上記公報記載の方法は、従来の振動、攪拌を加える方法とは異なり、キャビテーション(空孔)が消滅する時に発生する衝撃力が、凝固現象や、凝固過程に作用を及ぼす(晶出した結晶粒を破砕、分断しつつ凝固させる)ものであり、鋳造組織の微細化に一定の効果が得られるものである。
【0008】
しかしながら、キャビテーション(空孔)の形成・消滅が生じ、それが核生成に寄与するとのことは、その後、実験的に確認されておらず、また、上記公報記載の方法においては、電流により発生するジュール熱が、固液界面における溶融金属を昇温することになり、固液界面近傍における核生成に必要な過冷却が失われてしまうという問題点がある。
【0009】
近年、省資源、資材コストの低減等の観点から、金属材料には、これまで以上の機械的特性が求められている。この要求に応えるには、機械的特性を直接担う結晶組織を、従来のレベル以上に微細化し、強靭なものとすることが不可欠となるが、この微細化を達成するには、加工・熱処理後の結晶組織に大きな影響を及ぼす鋳造組織そのものに立ち返り、その鋳造組織を、これまで以上に微細化する必要がある。
【0010】
それ故、従来レベル以上の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊を鋳造することができる技術の出現が強く望まれている。
本発明者は、上記要望に鑑み、溶融金属に、所定の強さの静磁場を印加するとともに、周波数1Hz以上の交流電流を、固液界面から凝固方向へ所定の距離を超える領域にて、静磁場方向に対して垂直な方向の電流成分が存在するように通電することを特徴とする発明(微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法と鋳造装置)を、特願2000−205619号の出願で提案した。
【0011】
この発明によれば、鋳片または鋳塊の凝固組織を、従来レベル以上に微細化することができるが、長時間の通電を確保するためには、電極の腐食や、消耗に対する改善・工夫が必要となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融金属の内部で、凝固が進行しつつある固液界面以外の領域で振動を生起し、かつ、この振動を、固液界面近傍の過冷却領域に伝え、そこでの核生成を促して多くの凝固核を生成せしめ、凝固組織を微細化することを目的(課題)とする。
【0013】
また、本発明は、上記振動を、溶融金属と接触しない手法・手段で生起せしめることを目的(課題)とする。
さらに、本発明は、より均一に微細化した凝固組織を有する鋳片または鋳塊を鋳造する方法とその装置を提供することを目的(課題)とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
凝固組織を微細化するには、凝固が進行しつつある固液界面近傍の過冷却領域に対し、そこでの核生成を促す何らかの作用を及ぼすことが必要となるが、本発明者は、電磁気力と交流電流の相互作用により発生する振動を凝固組織の微細化に利用できないかとの発想に至り、Sn−10mass%Pbを用い、次の実験を行った。
(実験1)
図1に、実験装置の断面を模式的に示す。溶融Sn−10mass%Pb3を収容した耐熱ガラス製円筒容器1(φ=30mm、h=150mm)を、超伝導磁石内に設置し、容器上部から一対の銅製電極2を浸漬し(浸漬深さ20mm)、鉛直方向(容器の長手方向)に10Tの静磁場Bを印加するとともに、周波数200Hz、100Aの交流電流I(スキンデプス;25mm)を印加し、溶融Sn−10mass%Pb3を、容器底部から鉛直方向(静磁場方向)に凝固させた。
【0015】
図2に、交流電流も静磁場も印加せず凝固させた場合における鉛直方向垂直断面の凝固組織(a)と、交流電流と静磁場を重畳印加して凝固させた場合における同凝固組織(b)を示す。
容器内の溶融Sn−10mass%Pb3において、電磁振動が起きる範囲は、電極浸漬深さ20mmとスキンデプス25mmを合わせた上部45mm程度のところである(図1、参照)にもかかわらず、図2の(b)に示す凝固組織は、交流電流と静磁場を印加しない場合の凝固組織(a)に比べ、格段に微細化されている。
【0016】
このことは、静磁場Bと交流電流Iの相互作用で生じる振動Fの成分が、磁場方向にも伝搬し、固液界面近傍における核生成を促したものと考えられる。
本発明者は、上記実験結果から次の知見を得た。
(a)静磁場が全体的に印加された溶融金属に、交流電流を、固液界面から所定の距離以上離れた領域にて、静磁場方向に対して垂直に通電し、電磁振動を生起すると、その電磁振動は、固液界面にまで伝搬し、そこでの核生成を促す作用をなす。
(b)溶融金属に、交流電流を、固液界面から所定の距離以上離れた領域にて通電すると、発生するジュール熱は、固液界面にまで伝搬せず、そこでの核生成に必要な溶融金属の過冷却状態が最適に維持される。
【0017】
しかし、上記固液界面から所定の距離内の領域、即ち、核生成に必要な溶融金属の過冷却状態を最適に維持するために確保すべき領域は、直接には、凝固速度によって変動するので、本発明者は、さらにこの点について実験を行い、次の知見を得た。
(c)核生成に必要な溶融金属の過冷却状態を最適に維持するために確保すべき領域は、下記式で示す距離δ内の領域であり、したがって、固液界面から所定の距離離れた領域は、固液界面から、下記式で示す距離δを超える距離にある領域である必要がある。
δ=a・v1/3 (v:凝固速度(mm/min))
【0018】
即ち、溶融金属に交流電流を通電する位置が、固液界面から上記距離δの範囲外の領域にあれば、電磁振動が固液界面に伝搬しても、上記通電位置で発生するジュール熱は、固液界面近傍の過冷却領域にまで伝導しないから、溶融金属の過冷却状態が阻害されず、伝搬してきた電磁振動により核生成が促進されることになる。
【0019】
逆に、溶融金属に、交流電流を通電する位置が、固液界面から上記距離δの範囲内の領域にあれば、電磁振動が固液界面に伝搬しても、上記通電位置で発生するジュール熱により、固液界面近傍における溶融金属の過冷却状態が阻害され、結局、核生成が促進されないという結果になる。
上記式における係数aは、溶融金属の成分組成等により変動するが、本発明者は、a≒4であることを実験的に確認した。
【0020】
本発明者は、前述したように、上記知見に基づき、凝固組織の微細化に係る発明をなし、該発明を特願2000−205619号として出願した。
この発明において実用化を目指す場合、溶融金属による電極の腐食や、消耗に対する改善・工夫が必要になるが、本発明者は、通電を、電極が溶融金属と接触しない形態で行なうことができれば、長時間の通電が可能となるとの発想に至り、次の実験を行なった。
(実験2)
図3に、実験装置の断面を模式的に示す。所定高さの耐熱アクリル製円筒容器4(φ0=44mm、t0=8mm)内に、高さ(h0)120mmまで、溶融Ga5を収容し、該容器4を超伝導磁石内に設置した。容器上部から、図4に示す構造の電極6を挿入し、溶融Ga5の表面と所定の間隔を保持して固定した。
【0021】
電極6は、図4に示すように、20×20mmの絶縁体12の下部周面に、一対のコイル11を4個並列に配置したものである。各一対のコイル11は、リード線13により、交流電源7(図3、参照)に接続されている。
図5に示すように、一対のコイル11に電流J’を流すと、一方のコイルの端から他方のコイルの端に向う磁場B’が発生する。電極6の下部で発生する磁場B’は、溶融Ga5の表面から内部に浸透するので、該磁場B’により、磁場B’の方向に垂直な方向の電流が発生する。
【0022】
それ故、図3に示す実験装置において、電極6に交流電流を印加すると、図6(図3に示す溶融Ga5の表面近傍の一部10を拡大して示す。)に示すように、交流電流により発生し、溶融Ga5の内部に浸透する磁場によって、電流J0が発生し、該電流J0と、上記容器4の鉛直方向(容器の長手方向)の静磁場B0との相互作用(フレミングの左手の法則)で、力F0が発生する。
【0023】
この力F0は、交流電流の周波数に従いその方向を変えるので、溶融Ga5の表面下には、交流電流の周波数と同じ周波数の振動が発生する。
図3に示す実験装置において、溶融Ga5を収容した耐熱アクリル製円筒容器4の鉛直方向(容器の長手方向)に、10Tの静磁場B0を印加するとともに、交流電源7から4個の一対のコイル11に、周波数1〜1000Hz、30Aの交流電流を印加して、溶融Ga5を、容器底部から鉛直方向(静磁場方向)に凝固させた。
【0024】
この時、上記容器4の底部から高さh’30mmの位置に、センサー14を挿入し、センサー14にノイズフィルター8を介して接続したオシロスコープ9により、溶融Ga5の表面下で生起した“交流電流の周波数と同じ周波数の振動”が、上記容器4の底部まで伝播することを確認した。
【0025】
本発明者は、上記実験結果から、次の知見を得ることができた。
(d)交流磁場を用いて溶融金属の表面下に電流を生起せしめ、該電流と静磁場との相互作用で、固液界面に伝播する振動を発生させることにより、凝固組織を微細化することができる。
【0026】
本発明は、以上の知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 鋳片または鋳塊の鋳造方法において、溶融金属に、
(a)所定の強さの静磁場を印加するとともに、
(b)固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域で上記静磁場内に交流電流を印加し、
交流磁場を固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域にのみ浸透させ、
前記交流磁場によって、前記静磁場方向に垂直な方向の電流成分を生起して、
前記静磁場と前記垂直な方向の電流成分の相互作用により、電磁振動を発生させる
ことを特徴とする微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
δ=4・v1/3(v:凝固速度(mm/min))
【0027】
(2) 前記所定の強さの静磁場が、0.1T以上の静磁場であることを特徴とする前記(1)記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
(3) 前記交流磁場が、少なくとも一個の一対のコイルに、周波数10Hz以上の交流電流を通電して形成した交流磁場であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
【0028】
(4) 前記所定の距離(δ)が10mmであることを特徴とする請求項3記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
【0029】
(5) 前記静磁場が、固液界面を含めて印加されることを特徴とする前記(1)、(2)または(3)記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
(6) 前記所定の距離(δ)を超える領域が、鋳型内の溶融金属に連続する鋳型外の溶融金属内の領域であることを特徴とする前記(1)、(2)または(3)記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
【0030】
(7) 前記鋳片または鋳塊の鋳造方法が、鋳片または鋳塊を連続的に鋳造する連続鋳造方法であることを特徴とする前記(1)、(2)、(3)または(6)記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
(8) 鋳塊を鋳造する鋳塊鋳造用鋳型において、鋳型の周面に、
(a)溶融金属に静磁場を印加する静磁場装置を設けるとともに、
(b)固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域にのみ、上記静磁場方向に垂直な方向の電流成分を、発生せしめる交流磁場装置を設けた、ことを特徴とする鋳塊鋳造用鋳型。
δ=4・v 1/3 (v:凝固速度(mm/min))
【0031】
(9) 前記交流磁場装置が、少なくとも一個の一対のコイルからなることを特徴とする前記(8)記載の鋳塊鋳造用鋳型。
(10) 鋳片を連続的に鋳造する連続鋳造用鋳型において鋳型の周面に、
(a)溶融金属に静磁場を印加する静磁場装置を設けるとともに、
(b)上記静磁場方向に垂直な方向の電流成分を、固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域にのみ、発生せしめる交流磁場装置を設けた、ことを特徴とする連続鋳造鋳型。
δ=4・v 1/3 (v:凝固速度(mm/min))
(11) 前記交流磁場装置が、少なくとも一個の一対のコイルからなることを特徴とする前記(10)記載の連続鋳造鋳型。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明の鋳造方法は、溶融金属に、所定の強さの静磁場を印加するとともに、該静磁場方向に垂直な方向の電流成分を、固液界面から凝固方向へ所定の距離(δ)を超える領域に発生せしめる交流磁場を印加することを特徴とする。
【0034】
即ち、本発明の鋳造方法は、溶融金属に印加した静磁場と、交流磁場の印加により、固液界面から凝固方向へ所定の距離(δ)を超える領域にて発生する“静磁場方向に垂直な方向の電流成分”との相互作用により生じる振動を、核生成の促進に利用すること、及び、核生成を促進するため、振動を発生する領域と核生成を行わせる領域とを分離し、核生成を促進すべき固液界面近傍にジュール熱が発生し、この熱で、溶融金属の過冷却状態が阻害され、核生成機能が損なわれないようにすることを基本思想とする。
【0035】
本発明の鋳造方法において、溶融金属中で所要の電流成分を生起するための交流磁場は、少なくとも一個の“一対のコイル”に、周波数10Hz以上の交流電流を通電して得ることができる。この“一対のコイル”は、巻線が同じ方向に巻回されたもので、発生する磁場の態様は、図5に示すとおりである。
図7に、静磁場が垂直で、4個の“一対のコイル”を用いた場合における振動の発生態様を示すが、静磁場が水平の場合でも、静磁場方向と垂直な方向の電流成分が生じるように“一対のコイル”の向きを選択して、所望の領域に振動を発生せしめることができる。また、“一対のコイル”は、振動を生起しようとする領域の大きさに応じ、適宜の大きさのものを適宜の数、用いることができる。
【0036】
溶融金属に印加する静磁場の強さは、所要の電磁振動を得るうえにおいて、交流磁場を発生せしめる交流電流の周波数やアンペア数との相関で適宜選択できるが、0.1T未満であると、交流電流の周波数が10Hz以上であっても、静磁場と上記電流成分との相互作用で生じる電磁振動は微弱なものとなり、固液界面にまで到達せず、期待する凝固組織の微細化効果が得られない。
【0037】
それ故、溶融金属に印加する静磁場の強さは、最低限0.1Tは必要であり、0.1T以上と規定する。好ましくは、0.3T以上、より好ましくは、1T以上である。
交流磁場を得るため、周波数10Hz以上の交流電流をコイルに通電する。周波数が10Hz未満であると、静磁場の強さが0.1T以上であっても、核生成を促進するのに充分な周波数の振動が得られず、期待する凝固組織の微細化効果が得られない。それ故、交流電流の周波数を10Hz以上と規定する。好ましくは、100Hz以上、より好ましくは、500Hz以上である。
【0038】
なお、上記交流電流のアンペア数は、振動の伝搬に必要なエネルギーや、生起した電流により発生するジュール熱の程度を考慮して、適宜設定できるので、本発明の鋳造方法では規定しない。
静磁場において、静磁場方向に垂直な方向の電流成分が存在すれば、フレミングの左手の法則により振動が発生するから、交流磁場の印加によって溶融金属内に生起せしめる電流の方向は、必ずしも静磁場方向に垂直である必要はない。
【0039】
要は、溶融金属内において、静磁場方向に垂直な方向の電流成分が生起するように、交流磁場を印加すればよい。
また、本発明の鋳造方法では、振動を発生せしめる領域と核生成を行わせる領域とを分離しているから、静磁場は、交流磁場を印加して振動を励起する領域にのみ存在すればよいが、電磁振動を、効率よく、核生成を促進する固液界面近傍にまで伝達せしめるうえで、この固液界面を含む領域にも渡るように印加するのが好ましい。
【0040】
本発明の鋳造方法においては、静磁場方向に垂直な電流成分が、固液界面から凝固方向へ所定の距離(δ)を超える領域に発生するように、交流磁場を印加する。これは、電流により発生するジュール熱が、固液界面近傍まで伝導して、核生成に必須の過冷却状態を阻害しないようにするためである。
この所定の距離(δ)は、前記知見(c)に示したように、下記式、
δ=a・v1/3(v:凝固速度(mm/min))
で表すことができるが、本発明者は、a≒4であることを実験的に確認した。
【0041】
それ故、所定の距離(δ)を超える領域は、固液界面から、下記式で表す距離を超える領域であることが好ましい。
δ=4・v1/3(v:凝固速度(mm/min))
振動が発生する位置が、上記δを超える距離、固液界面から離れていれば、該位置で発生するジュール熱により、溶融金属の過冷却状態は阻害されず、固液界面における所要の核生成機能が、より適切に維持される。
【0042】
本発明者の実機操業による調査によれば、最も遅い凝固速度は、従来の連続鋳造における凝固において、鋳片表面から100mmの位置でのv=3mm/minであり、この場合、δ=5〜6mm程度である。また、最も速い双ドラム式連続鋳造における凝固においては、v=180mm/minであり、この場合、δ=23mm程度である。
【0043】
本発明者は、凝固速度vを変えて(δを変えて)、凝固組織を観察した。その結果、上記δは、10mmが最適であることを確認した。
本発明では、振動を生起する領域と、核生成領域とを分離するが、振動を生起する領域(交流磁場を印加する位置)は、振動が核生成領域に伝搬し得る範囲内にあればよいから、鋳型内に限定されない。即ち、鋳型外にある溶融金属に静磁場と交流磁場を重畳印加して振動を生じさせ、その振動を鋳型内の溶融金属に伝搬するような態様を採用してもよい。
【0044】
結局、本発明の鋳造方法において、振動を発生する領域(交流電流を印加する位置)は、鋳型の内外を問わず、振動が核生成領域に伝搬でき得るとの条件下において、溶融金属が存在する領域内で、適宜、選択できる。
本発明の鋳造方法は、鋳型に溶融金属を注入する鋳造に適用できることは勿論のこと、鋳片を連続的に鋳造する連続鋳造にも適用できる。
【0045】
この適用の場合においても、静磁場方向に垂直な電流成分が、固液界面から凝固方向へ所定の距離(δ)を超える領域に発生するように、交流磁場を印加することが好ましい。
図8に、本発明の鋳造方法を連続鋳造鋳型に適用した一態様を示す。溶鋼18が浸漬ノズル16から連続鋳造鋳型15内に供給され、パウダー17で覆われた溶鋼18は凝固シェル19を形成しつつ鋳片20となり下方に引き抜かれる。この連続鋳造の際、鋳型のメニスカスにおいて、電磁石21により、水平方向の静磁場を形成し、溶鋼表面上方には、一対のコイルを含む交流磁場装置22を配置し、静磁場方向に垂直な方向の電流成分を生起する交流磁場B”を形成する。
【0046】
上記電流成分と静磁場との相互作用で生じる振動が、凝固シェル19と未凝固の溶鋼18が形成する固液界面23に伝搬し、固液界面23近傍の過冷却領域における核生成が促進される。
図9に、本発明の鋳造方法を連続鋳造鋳型に適用した他の態様を示す。連続鋳造鋳型15の下部に電磁石21を上下2段に配置し水平方向の静磁場を形成する。この上下2段の電磁石21の間に、対向する“一対のコイル”を適宜の数配置して、静磁場方向に垂直な方向の電流成分を生起する交流磁場B”を形成する。
【0047】
上記電流成分と静磁場との相互作用で生じる振動が、凝固シェル19と未凝固の溶鋼18が形成する固液界面23に伝搬し、固液界面23近傍の過冷却領域における核生成が促進される。
この場合、交流磁場B”は凝固シェル19を通して形成されるので、凝固界面から所定の距離(δ)の範囲でも電流が発生する可能性があるが、発生するジュール熱が微小であれば、固液界面23近傍での過冷却状態は阻害されない。
以下に、実施例を示す。
【0048】
【実施例】
(実施例)
質量%で、C:0.1%、Mn:0.5%、Si:0.2%、P:0.02%、S:0.01%、Al:0.03%を含む高炭素鋼の溶鋼を、図8に示す連続鋳造鋳型を用い、下記の鋳造条件で連続鋳造し、その凝固組織を観察した。
【0049】
鋳型 厚さ220mm×幅220mm
鋳造速度 2m/min
直流磁場 メニスカス、0.3T
交流磁場 電流:100A、周波数:500Hz
その結果、上記鋳造条件で製造した鋳片の凝固組織は、静磁場及び交流磁場ともに印加しない鋳片の凝固組織に比べ、格段に微細化されていることを確認した。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊を製造することができる。凝固組織が微細であれば、これを加工・熱処理して得られる結晶組織もより一層微細なものとなるので、本発明は、金属材料の機械的特性を著しく高めることができるものである。したがって、本発明は、金属材料を用いる技術、産業の発展に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験装置を模式的に示す図である。
【図2】溶融Sn−10mass%Pbを、交流電流も静磁場も印加せず凝固させた場合における鉛直方向垂直断面の凝固組織(a)と、交流電流と静磁場を重畳印加して凝固させた場合における同凝固組織(b)を示す図である。
【図3】他の実験装置を模式的に示す図である。
【図4】電極の構造を示す図である。
【図5】一対のコイルで発生する磁場を示す図である。
【図6】溶融Gaの表面近傍の一部を拡大して、振動が発生する態様を示す図である。
【図7】静磁場が垂直で、4個の“一対のコイル”を用いた場合における振動の発生態様を示す図である。
【図8】本発明の連続鋳造装置の一態様を示す図である。
【図9】本発明の連続鋳造装置の他の態様を示す図である。
【符号の説明】
1…耐熱ガラス製円筒容器
2…銅製電極
3…溶融Sn−10mass%Pb
4…耐熱アクリル製円筒容器
5…溶融Ga
6…電極
7…交流電源
8…ノイズフィルター
9…オシロスコープ
10…溶融Gaの表面近傍の一部
11…一対のコイル
12…20×20mmの絶縁体
13…リード線
14…センサー
15…連続鋳造鋳型
16…浸漬ノズル
17…パウダー
18…溶鋼
19…凝固シェル
20…鋳片
21…電磁石
22…交流磁場装置
23…固液界面
I、J’…交流電流
B、B0…静磁場
B’、B”…交流磁場
J0…交流磁界により生起した電流
F…発生した力
Claims (11)
- 鋳片または鋳塊の鋳造方法において、溶融金属に、
(a)所定の強さの静磁場を印加するとともに、
(b)固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域で上記静磁場内に交流電流を印加し、
交流磁場を固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域にのみ浸透させ、
前記交流磁場によって、前記静磁場方向に垂直な方向の電流成分を生起して、
前記静磁場と前記垂直な方向の電流成分の相互作用により、電磁振動を発生させる
ことを特徴とする微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
δ=4・v 1/3 (v:凝固速度(mm/min)) - 前記所定の強さの静磁場が、0.1T以上の静磁場であることを特徴とする請求項1記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
- 前記交流磁場が、少なくとも一個の一対のコイルに、周波数10Hz以上の交流電流を通電して形成した交流磁場であることを特徴とする請求項1または2記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
- 前記所定の距離(δ)が10mmであることを特徴とする請求項3記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
- 前記静磁場が、固液界面を含めて印加されることを特徴とする請求項1、2または3記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
- 前記所定の距離(δ)を超える領域が、鋳型内の溶融金属に連続する鋳型外の溶融金属内の領域であることを特徴とする請求項1、2または3記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
- 前記鋳片または鋳塊の鋳造方法が、鋳片または鋳塊を連続的に鋳造する連続鋳造方法であることを特徴とする請求項1、2、3または6記載の微細な凝固組織を有する鋳片または鋳塊の鋳造方法。
- 鋳塊を鋳造する鋳塊鋳造用鋳型において、鋳型の周面に、
(a)溶融金属に静磁場を印加する静磁場装置を設けるとともに、
(b)固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域にのみ、上記静磁場方向に垂直な方向の電流成分を、発生せしめる交流磁場装置を設けた、ことを特徴とする鋳塊鋳造用鋳型。
δ=4・v 1/3 (v:凝固速度(mm/min)) - 前記交流磁場装置が、少なくとも一個の一対のコイルからなることを特徴とする請求項8記載の鋳塊鋳造用鋳型。
- 鋳片を連続的に鋳造する連続鋳造用鋳型において鋳型の周面に、
(a)溶融金属に静磁場を印加する静磁場装置を設けるとともに、
(b)上記静磁場方向に垂直な方向の電流成分を、固液界面から凝固方向へ下記式で表される所定の距離(δ)を超える領域にのみ、発生せしめる交流磁場装置を設けた、ことを特徴とする連続鋳造鋳型。
δ=4・v 1/3 (v:凝固速度(mm/min)) - 前記交流磁場装置が、少なくとも一個の一対のコイルからなることを特徴とする請求項10記載の連続鋳造鋳型。
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