JP4737786B2 - 活カツオの冷凍方法及び装置 - Google Patents
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特にカツオはマグロに比べ格段に変色しやすく、その原因として、ミオグロビンのメト化はマグロより速く、またカツオのpHが低いこと、及びメト型色素に対する酵素的還元力が弱いこと等が原因と考えられる。
従来活けしめと血抜き処理は、熟練した作業員が行っていたが、手作業なので効率が悪く、また熟練を要するという問題があった。
また動いている活カツオの目標とする場所に正確に切り込みを入れることは容易ではなく、そのため魚体の個体ごとの血抜き効果のバラツキが大きいという問題がある。
魚のような下等脊椎動物は、単に脊髄を切断することによって大動脈の血管を抜いても、体内に張り巡らされた毛細血管内の血液を処理することができず、活カツオの自己消化を大幅に抑制することができない。
活カツオを捕獲後、該活カツオを活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活カツオの冷凍方法において、
捕獲した活カツオに電気ショックを与えた後、該活カツオの心肺機能を停止させずに、少なくとも活カツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断する血管切断ステップと、
前記延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した活カツオを7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水槽に1分以上保持して、心臓のポンピング作用で血抜き処理を行う血抜き処理ステップと、
前記血抜き処理した活カツオを、−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に4時間以上保持してブラインによりブライン凍結を行うブライン凍結ステップと、
前記ブライン凍結したカツオを、−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなることを特徴とする。
このように活カツオを心肺機能が生きている状態で冷却水槽に投入すると、心臓のポンピング作用により血液が体外に排出される。この場合冷却水槽には、海水または海水より塩分濃度の薄い塩水を貯留する。
7℃より低温にすると、低温により死ぬ魚が発生してくるため、冷却水の温度を7℃以上に保持するとともに、冷却水の温度を15℃以下に保持することにより、後述する試験結果が示すように、血抜き効果を上げ、解凍後の魚体の鮮度を長く保持することができるとともに、解凍後の色の彩度を向上させ、かつ魚特有の生臭さを解消することができる。
本発明では、上記のように活カツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した後、魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持することにより、血抜き効果を向上させて、解凍後の魚の肉質の鮮度を長い時間に亘って維持することができる。
冷却水槽での保持時間は、少なくとも1分以上必要であり、好ましくは1〜6分とする。通常これ以上保持する必要はない。
凍結時細胞内にある水分の結晶が大きいほど、肉質は変化する。水分の結晶が大きいほど、ドリップと呼ばれる肉汁が出てしまう。これを解決するために細胞内の水分をできるだけ細かい結晶にして凍結する必要があるが、これは氷結晶最大生成帯の冷却温度(−5℃〜−1℃)を短時間で通過させる急速凍結によって解決される。即ちブラインの凍結温度が低いほど、急速凍結が行われ、凍結物の組織細胞内に生じる氷の結晶はより細かになり、細胞のこわれも少なく、品質が向上する。
本発明では、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する。このような温度帯に維持することにより、魚体の良質な肉質と肉食を維持することができる。
この空冷槽では、例えばヘアピンコイルやグリッドコイルを空冷槽の壁面に設け、そこに冷媒を通して冷却する。なお本発明では、前記ブライン凍結処理と前記空冷による冷凍保管とを同一の槽で行ってもよい。即ちブライン凍結終了後、ブライン凍結槽からブラインを抜いて、その後同じ槽で空冷による冷凍保管を行う。
なお尾部の血管のみを切断して、尾部を切断しない場合は、後工程の加工処理で尾部を把持した搬送、その他の処理が可能となり、取り扱いが容易になる。
そのため活カツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断する前に活カツオに電気ショックを与え一時的に気絶させ、活けしめ処理を正確に行えるようにする。
魚船の内部で活カツオを活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活カツオの冷凍装置において、
捕獲した活カツオを、該活きカツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断する血管切断本体部に搬送する通路上に、前記活カツオに電気ショックを与える領域を設けた血管切断部と、
前記延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した活カツオを、7〜15℃の温度に保持された冷却水を貯留して血抜き処理する血抜き用冷却水槽と、
前記血抜き処理した活カツオを−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されブライン中に貯留して凍結するブライン凍結部と、
前記ブライン凍結部で凍結されたカツオを、−50℃〜−40℃の温度に保持され空冷空間で冷凍保存する冷凍空間部とを備えたことを特徴とする。
前記冷却水槽中の冷却水の冷却手段は、漁船に備え付けの冷凍機で冷却してもよいし、いわし等のえさ用生簀の冷却された海水を導入して前記温度範囲になるようにしてもよい。
又、前記ブライン凍結部と冷凍空間部は同一魚倉若しくは別魚倉であり、同一魚倉の場合は、魚倉よりブラインを抜いて、−50℃〜−40℃の温度で空冷冷凍保管可能に構成された魚倉を具えてもよい。
活カツオの搬送路に連なり活カツオが頭部から導入される導入口と、
前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上方から活カツオを押える押え手段と、
前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活カツオの頭部を切断するカッタと、
前記ベースプレート上に設けられ活カツオを前記頭部切断カッタにより延髄を含む頭部を切断される位置に停止させる停止板と、
前記停止板に設けられ活カツオが前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活カツオの延髄切断位置まで接近させるセンサと、
活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えるようにする。
前記導入口から活けしめ装置内に導入された活カツオは、ベースプレート上を滑り、前記停止板に当って停止する。停止すると同時に、前記センサがそれを感知して前記押え手段がベースプレートの上方から下降してきて魚を押えるとともに、前記頭部切断カッタを活カツオに向かって接近させ、活カツオの延髄を含む頭部を切断する。前記停止板は、活カツオが停止板に当って停止した位置で前記頭部切断カッタが活カツオの延髄を含む頭部を切断できる位置に設けられている。
延髄を含む頭部を切断された魚体は、前記排出手段によってベースプレートから排出される。
活カツオの延髄を含む頭部のみならず尾部の血管を切断することにより、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならず、血抜きがさらに活発に行われる。
また本発明装置において、好ましくは、捕獲した活カツオを前記活けしめ装置に搬送する通路に活カツオに電気ショックを与える領域を設け、これによって活カツオを一時的に気絶させ、活けしめ装置での活けしめ処理を容易にすることができる。
前記延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した活カツオを7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水槽に1分以上保持して、心臓のポンピング作用で血抜き処理を行う血抜き処理ステップとからなり、
活カツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した後、活カツオを7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持することにより、血抜き効果を向上させることができ、この血抜きステップと、その後の前記温度帯を有するブライン凍結処理及び空冷冷凍保管とを組み合わせることにより、解凍後の魚体の鮮度を長く保持することができるとともに、肉の彩度を向上させ、また味においても魚特有の生臭さをなくし、良質な肉質と肉色を維持することができる。
なお尾部の血管のみを切断し、尾部を残しておけば、魚体の搬送、その他の取り扱いが容易となる。
また前記突起を目安として尾部の正確な切断位置が容易に確認できるため、尾部切断カッタの設置位置を容易に設定することができる。
また本発明装置において、好ましくは、捕獲した活カツオを前記活けしめ装置に搬送する通路に活カツオに電気ショックを与える領域を設け、これによって活カツオを一時的に気絶させ、活けしめ装置での活けしめ処理を容易にすることができる。
図1(a)は、本発明装置の第1実施例の上から視た模式図、(b)は正面から視た模式図、図2は、第1実施例の活けしめ装置20の断面立面図、図3は図1中のIII―III線に沿う断面側面図、図4は、図1のIV−IV線に沿う断面側面図、図5は、カツオの魚体を示す説明図、図6は前記の第1実施例及び比較例のファット値を示す線図、図7は、比較例のファット値を示す線図、図8は、前記第1実施例及び比較例の彩度を示す線図、図9は、比較例の彩度を示す線図、図10は、前記第1実施例及び比較例の魚肉の硬さを示す線図、図11は、比較例の魚肉の硬さを示す線図、図12は、前記第1実施例及び従来例の官能試験結果を示す図表、図13の(a)及び(b)は前記第1実施例及び比較例の魚肉のカラー写真、図14は、前記第1実施例及び比較例の官能試験結果を示す図表である。
カツオは、延髄を切断されているが、心肺機能は停止しておらず、心臓のポンピング作用で血抜きが促進される。カツオは、尾部の血管を切断されているので、心臓のポンピング作用がさかんに行われても血管が負圧にならず、血抜き作用が促進される。
血抜き倉30での血抜き工程を終了した後、カツオ01は人手によって−20℃〜−17℃の温度に保持されたブライン凍結倉に投入される。これ以降の処理は前述のB1ブライン凍結法と同一である。
また230は、ベースプレート202上に突設された停止板で、トイ12から開口203を通ってベースプレート202上に滑り込んできたカツオ01は停止板230に当って停止する。
231は、カツオの頭部が停止板230に当るようにガイドするための頭ガイド、240は、カツオの魚体01がベースプレート202上で停止したときに、上方から下降して魚体を押える押え板であり、カツオの魚体の輪郭に沿った曲面をなしている。
245は、先端プレート246の両端に取り付けられたシャフトであり、246は、シャフト245を摺動可能に支持するブッシュハウジングである。
また尾部切断カッタ22の刃221は、エアシリンダ222のピストンロッド222aに、フローティングジョイント223、刃取付けプレート224及び刃取付けボス225を介して接続されている。またエアシリンダ222は、シリンダ取付けプレート226に固定されている。
202aは、ベースプレート202の一部が分離されて、払い出しシュートを構成し、その下面にエアシリンダ251のピストンロッド251aが接続され、エアシリンダ251によって下降することによって切断工程が終了した魚体01を下方に払い出すように構成されている。
図5は、カツオの魚体を示す説明図である。図5において、刃211で延髄及び脳03を切断し、刃221でカツオの尾部付近にあるカツオ特有の突起011のうち尾側から2番目の突起と3番目の突起との間(図5中の切断位置c)を切断する。その理由は、カツオの主な血管が2番目と3番目との突起まで配置されており、切断位置cを切断することにより、血抜きを効率良く行うことができる。
なお第1実施例では、尾部の切断は血管のみを行い、尾びれ010を切り落とすことをしない。尾びれ010を切り落とさないことで、搬送その他の取り扱いを容易にする。
図6及び図7はファット値(脂肪含有量)(各処理法とも5尾平均値)を示し、どの処理法においても皮側、血合い、身のファット値(脂肪含有量)が薄いことがわかる。
また7℃保管のほうが1℃保管より色持ちが良いことがわかる。7℃保管では、5℃海水脱血尾無(尾切り)、5℃海水脱血、海水無脱血の順に色持ちが良かった。海水無脱血は初期彩度が小さく、脱血の効果が少ないと思われる。
これらから魚肉の硬さの継時変化は、脱血の有無より、解凍後の保管温度が大きく影響することがわかった。なお図10で本発明の15℃海水脱血の場合が硬さ変化が最も少ないことがわかる。
図12から本発明により脱血処理したほうが色合いが鮮やかで、カツオ独特の生臭さがなく、歯ごたえがあり、おいしいと感じた人が多かったことがわかる。
図13の(a)は、前記PS凍結方法で処理したカツオ(B)の魚肉の状態を示し、(b)は、本発明により脱血処理したカツオ(A)の魚肉の状態を示すカラー写真である。ともに解凍後6実施例間経過したものである。図13から、本発明により脱血処理したカツオ(A)の魚肉が(B)に比べて彩度が良く、鮮やかな赤身の色合いをもっていることがわかる。
図14から、本発明(冷海水血抜き)のほうが比較例(常温血抜き)より、色合い、味、食感が良く、かつ臭みがないと答えた人のほうが多かったことがわかる。
また活けしめ時、頭部の延髄のみならず尾部の血管を切断することにより、血抜き倉30での血抜きを効果的に行うことができ、特に尾側から2番目と3番目の突起の間を切断することにより、尾部の主な血管を正確に切断でき、かつ切断時の位置決めが容易になるという利点がある。
また尾部を残すことにより、後工程での取り扱いを容易にできるという利点がある。
また血抜き処理後、−20℃〜−17℃のブライン倉中で急速に凍結することにより、魚肉の組織細胞内に生じる氷の結晶をより細かくし、これによって魚体の良質な肉質と肉食を維持することができる。
011、11 テント
012、12 トイ
013a、013b ブライン魚倉
13 電気ショック領域
014 冷却コイル
015 蓋
20 活けしめ装置
30 血抜き倉
21 頭部切断カッタ
22 尾部切断カッタ
201 フレーム
202 ベースプレート
202a 下部シュート
203 開口
204 シャッタ
205、212、222、241、251 エアシリンダ
207 ガイド板
211、221 刃
230 停止板
231 頭ガイド
233 近接スイッチ
240 押え板
251 エアシリンダ
260 下部シュート用エアシリンダ
Claims (6)
- 活カツオを捕獲後、該活カツオを活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活カツオの冷凍方法において、
捕獲した活カツオに電気ショックを与えた後、該活カツオの心肺機能を停止させずに、少なくとも活カツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断する血管切断ステップと、
前記延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した活カツオを7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水槽に1分以上保持して、心臓のポンピング作用で血抜き処理を行う血抜き処理ステップと、
前記血抜き処理した活カツオを、−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に4時間以上保持してブラインによりブライン凍結を行うブライン凍結ステップと、
前記ブライン凍結したカツオを、−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなることを特徴とする活カツオの冷凍方法。 - 前記血抜き処理ステップが、7℃〜15℃の温度に維持された海水又は海水より塩分濃度の薄い塩水が貯留された血抜き処理槽で行われることを特徴とする請求項1記載の活カツオの冷凍方法。
- 魚船の内部で活カツオを活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活カツオの冷凍装置において、
捕獲した活カツオを、該活きカツオの延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断する血管切断本体部に搬送する通路上に、前記活カツオに電気ショックを与える領域を設けた血管切断部と、
前記延髄を含む頭部及び尾周辺の血管を切断した活カツオを、7〜15℃の温度に保持された冷却水を貯留して血抜き処理する血抜き用冷却水槽と、
前記血抜き処理した活カツオを−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されブライン中に貯留して凍結するブライン凍結部と、
前記ブライン凍結部で凍結されたカツオを、−50℃〜−40℃の温度に保持され空冷空間で冷凍保存する冷凍空間部とを備えたことを特徴とする活カツオの冷凍装置。 - 前記ブライン凍結部と冷凍空間部は同一魚倉若しくは別魚倉であり、同一魚倉の場合は、魚倉よりブラインを抜いて、−50℃〜−40℃の温度で空冷冷凍保管可能に構成された魚倉を具えたことを特徴とする請求項3記載の活カツオの冷凍装置。
- 前記血管切断部が、
活カツオの搬送路に連なり活カツオが延髄を含む頭部から導入される導入口と、
前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上方から活カツオを押える押え手段と、
前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活カツオの延髄を含む頭部を切断する頭部切断カッタと、
前記ベースプレート上に設けられ活カツオを前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、
前記停止板に設けられ活カツオが前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活カツオの延髄切断位置まで接近させるセンサと、
活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の活カツオの冷凍装置。 - 前記活カツオが前記停止板に突き当たるのを感知した前記センサの信号を受けて活カツオの尾部又は活カツオの尾部の血管を切断するカッタを備えたことを特徴とする請求項3記載の活カツオの冷凍装置。
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