JP4737735B2 - 多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の機械により複数の工程で当該各工程に対応した品目をそれぞれ処理し、かつ少なくとも1つの機械または工程では段取を伴う品目の切り換えが可能な多品目多工程生産システムに適用される生産スケジュールを生成するのに好適な多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図8に示すような、多工程、多機械から成る生産システムでは、多様な注文を複数の品目に分類して切り換え生産をするのが一般的である。この種の生産システム、つまり多品目多工程生産システムでは、どの工程及びどの機械設備においても処理する品目が切り替わる度に段取が伴う。この段取には、段取時間(セットアップタイム)と段取り費がかかる。但し、段取時間が0の場合もあり得る。この段取時間と段取り費は、いずれも処理する品目に依存する。一方、品目の在庫には期間に比例して保管費がかかり、これは品目に依存する。そこで、品切れあるいは納期遅れを起こさないで、計画対象期間に亙る総費用ができるだけ少なくて済むシステム全体のスケジュール(最適スケジュール)を求める多品目多工程生産システムのロットサイズスケジューリングが要求される。
【0003】
このスケジューリングでの問題は、時間最適化問題、換言するならば、最適制御過程の問題である。生産すれば在庫は増え、使えば減るから、どの品目についても在庫の時間的推移を計画対象期間に亙って陽に追う必要がある。
【0004】
また、多品目多工程ロットサイズスケジューリングでは、1つの問題の中に多様な異質の決定の局面、特に離散的な決定の局面と連続的な決定の局面とが混在する。これらの異質な諸局面は互いに分かち難く結びついており、ここに解法上の難しさがある。上記スケジューリング問題に含まれる決定の諸局面として、各品目のロットサイズ、ロットの順序、ロットの分割、差し立て、仕掛品在庫量の決定、同一機械での繰り返し処理についての決定などがある。これらはすべて時間と共に変化する。
【0005】
ところが従来は、上記諸局面のうち、例えば、ロットのサイズ決定は時間的に不変であるとの前提を置いて連続数学の範疇で扱われ、ロットの順序決定は離散数学の範疇で扱われている。
【0006】
多品目多工程ロットサイズスケジューリングの問題は、高次元の問題でもある。それは1つの品目が少なくとも1つの次元を構成するからである。したがって、スケジューリング問題は高次元の時間最適化問題となり、分解をしない限り、計算に要する時間とメモリが爆発して、合理的な時間とメモリの範囲内で解を得ることは期待できない。これは、文献「Bellman, R.: Adaptive Control Processes: A Guided Tour, Princeton University Press (1961)」に記載されているように、ベルマンの次元の呪いとして広く知られている。
【0007】
そこで、スケジューリング問題の中に含まれている多様な異質の決定の局面を分解することが考えられるが、これらは互いに分かち難く結びいているため、容易ではない。
【0008】
そこで従来は、一度に上記の異質な決定の局面の一つを他と切り離して取り上げて一つ一つ順に取り扱う手法を適用してきた。このように、着目する1つの局面を他と切り離すためには、つまり着目する1つの局面を陽に取り扱うためには、他の各局面に人為的制約を置く必要がある。例えばロットの順序を決定するためには、それぞれのロットのサイズを予め与えておく必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来の多品目多工程ロットサイズスケジューリングでは、当該スケジューリングの問題である、多様な異質な決定の諸局面を含む高次元の時間最適化問題を解くために、一度に上記異質な決定の局面の一つを他と切り離して取り上げて一つ一つ順に取り扱う手法を適用してきた。そのため従来は、1つの局面を他と切り離す度に人為的制約を置くことを余儀なくされ、各局面を同時に最適化することを困難にしてきた。これらがスケジューリングの柔軟性及び即応性の大きな障害になり、収益性の障害にもなっていた。
【0010】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでその目的は、多品目多工程のスケジューリングの問題に含まれる多様な決定の諸局面を一つ一つ列挙することも意識することもなく、また人為的な制約を必要とすることなく、当該諸局面を全体最適化の視点から解決して経済的かつ合理的な実行可能スケジュールを生成することができる多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の機械により複数の工程で当該各工程に対応した品目をそれぞれ処理し、かつ少なくとも1つの機械または工程では段取を伴う品目の切り換えが可能な多品目多工程生産システムに適用される生産スケジュールをコンピュータにより生成する多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法であって、各工程で処理される各品目について、品目間機械干渉に対応する第1のペナルティコスト及び仕掛品在庫の充足に対応する第2のペナルティコストを含む総コストを最適化する品目別スケジュールを他の品目とは独立に取得するステップと、取得された品目別スケジュールに対する当該各品目間の同一機械における機械干渉の程度の大小を判定する機械干渉判定ステップと、取得された品目別スケジュールに対する仕掛品在庫の充足の有無を判定する仕掛品在庫充足判定ステップと、上記機械干渉判定ステップにより各品目間の機械干渉の程度が大きいと判定された場合には、当該機械干渉の程度を小さくするように上記第1のペナルティコストを更新し、上記仕掛品在庫充足判定ステップにより仕掛品在庫が充足していないと判定された場合には、当該仕掛品在庫を充足させるように上記第2のペナルティコストを更新し、その都度上記取得ステップを再実行させるステップとを備えたことを特徴とする。
【0012】
このように本発明においては、多品目多工程のスケジューリングの問題を、人為的な制約を必要としない品目別のスケジュールを求める問題と、この品目別スケジュールを求めることにより発生する品目別スケジュール(品目別解)の間の機械干渉を解消する問題と、仕掛品在庫を充足する(非負とする)問題とに変換することにより、機械干渉が解消されたと判定され、かつ仕掛品在庫を充足していると判定された際の品目別スケジュールに基づき、上記多品目多工程のスケジューリングの問題に含まれる多様な決定の諸局面を一つ一つ列挙することも意識することもなく、すべて同時に解決することが可能となる。
【0013】
ここで、上記品目別のスケジュールを求める問題を、例えば各工程で処理される各品目について、品目間の機械干渉に関する制約が第1のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和されると共に仕掛品在庫量を非負とする制約が第2のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和された1次元の部分最適化問題とするならば、品目別解の間の機械干渉を解消する問題及び仕掛品在庫を充足する問題を、それぞれ機械の使用料に相当する固有の第1及び第2のラグランジュ乗数を個々に更新することで簡単に解決できるようになる。
【0014】
また、1次元の部分最適化問題を扱うことで、各品目及び各機械別に、かつ計画対象期間が一定の時間間隔で分割された各タイムスロット毎に、そのタイムスロットが当該品目の生産のために当該機械により使用されているか否かを示す決定変数、在庫状態(在庫の推移)、及び段取時間の残り時間を陽に取り扱うことができる。このため、この1次元の部分最適化問題を、任意のタイムスロットtにおける品目iの決定変数をδit、第1のラグランジュ乗数をμ、第2のラグランジュ乗数をλiとすると共に、当該タイムスロットtの終了時の、当該品目iの次工程へ実際に渡される累積出荷量に代えて当該品目iの当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおける外部需要を当該タイムスロットtにおける品目iに展開した累積量を用いて算出される見かけの在庫の状態、及び品目iへのセットアップに必要な段取時間の残り時間を、それぞれ状態変数xit,sitとして、当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおいて採られた最適決定に伴って発生するコストの和を表す最適コスト関数Vi(δit,xit,sit,μ,λi)により解くことが可能となる。
【0015】
ここで、上記最適コスト関数で算出されるコストが、第1のラグランジュ乗数μに基づいて算出される機械の使用料に相当する第1のペナルティコストと、第2のラグランジュ乗数λiに基づいて算出される機械の使用料に相当する第2のペナルティコストと、品目iの処理によって新たに付加される価値に対するタイムスロット当たりのエシェロン在庫保管費hiと状態変数xitとで決まるコストとを含むようにするとよい。
【0016】
なお、以上の多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法に係る本発明は、装置(多品目多工程ロットサイズスケジューリング装置)に係る発明としても成立する。
【0017】
また、本発明は、コンピュータに当該発明に相当する手順を実行させるための(或いはコンピュータを当該発明に相当する各手段として機能させるための、或いはコンピュータに当該発明に相当する機能を実現させるための)プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に係る発明としても成立し、更に当該プログラム自体に係る発明としても成立する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る多品目多工程ロットサイズスケジューリング装置の機能ブロック構成を示す。
【0020】
この図1のスケジューリング装置は、多工程から成る生産システムにおいて多様な注文を複数の品目に分類して切り換え生産をするためのスケジューリング(多品目多工程ロットサイズスケジューリング)の有する問題、つまり高次元時間最適化問題を解いて最適スケジュール(最適生産スケジュール)を決定するものである。
【0021】
このスケジューリング装置は、図2に示すブロック構成のパーソナルコンピュータ等の計算機によって実現される。図2の計算機は、当該計算機全体を制御するCPU21、当該CPU21が実行する最適化スケジューリングプログラム241を含む各種プログラム及びデータ等が記憶される主メモリ22とを備えている。
【0022】
図2の計算機はまた、外部記憶装置としての例えば磁気ディスク装置(以下、HDDと称する)23と、記録媒体としての例えばCD−ROM242に予め格納されている情報を計算機内に読み込むことが可能なCD−ROM装置24とを有している。図2の例では、CD−ROM242には、複数の工程(多工程)、多機械(多設備)で複数の品目を生産する生産システムにおける多品目多工程ロットサイズスケジューリングを行うための最適化スケジューリングプログラム241が予め格納されている。この最適化スケジューリングプログラム241は、CD−ROM装置24によりCD−ROM242から計算機内に読み込まれて、HDD23に格納(インストール)されていものとする。CPU21がHDD23から最適化スケジューリングプログラム241を主メモリ22上に読み込んで当該プログラム241を実行することにより、図1のスケジューリング装置の機能ブロック構成が実現される。
【0023】
図2の計算機は更に、入力装置としてのキーボード25と、表示用の出力装置としてのディスプレイ26とを有している。CPU21、主メモリ22、HDD23、CD−ROM装置24、キーボード25及びディスプレイ26は、システムバス27により相互接続されている。
【0024】
《最適化スケジューリングの基本原理》
次に、図1のスケジューリング装置の構成を説明する前に、本実施形態で適用する、各品目のロットサイズ、ロット順序、仕掛品在庫量等の決定の局面をすべて同時に最適化するための最適化スケジューリングの基本原理について説明する。
【0025】
〈時間最適化問題の高分解能モデルへの定式化〉
本実施形態では、スケジューリング問題、つまり高次元の時間最適化問題を高い分解能のモデルに定式化するために、計画対象期間をタイムスロットと呼ぶ細かな時間に刻み、さらにこの時間最適化問題を品目別に分解している。
【0026】
このタイムスロットが、問題を離散化して解くための最小時間単位になる。時間の刻み幅、すなわちタイムスロットの幅を決める基準については、丸めの誤差、特に段取時間、あるいはタイムスロット当たりの処理量(生産量)における丸め誤差が許容できる範囲に納まるように決めればよい。例えば、10分単位に刻めば段取時間の丸め誤差は5分であり、処理量の丸め誤差は5分間に処理できる量になる。これらの丸め誤差が許容できるならば、刻み幅(タイムスロット幅)は10分である。
【0027】
このように時間を細かく刻むことは、問題に含まれているすべての決定の局面を一つ一つ取り上げることも意識することもなく、問題に含まれるすべての決定の局面を一挙に解決するために必要不可欠である。次に、問題を品目別に取り扱うのは、実際の処理あるいは注文が品目ベースで成されるからである。
【0028】
ここでモデルにおけるきめ細かさの概念を明らかにするために、上記「モデルの分解能」を次のように定義する。
スケジューリングあるいはビジネスのプロセスを数式モデルに定式化して扱うためには、初めに時間軸と空間を規定する幾つかの軸とを設定することが必要である。ビジネスプロセスはこの座標空間上に展開される。そこで、これらの各軸を刻む最小の単位をすべて列挙して、これを「モデルの分解能」と呼ぶことにする。
【0029】
本実施形態におけるモデルの分解能は、タイムスロット、品目、機械設備である。したがって、得られるスケジュールの分解能も上記3点の何れが違っても識別できるものである。
【0030】
〈問題の品目別への分解〉
多品目多工程ロットサイズスケジューリングの高次元最適化問題には、文献「村松健児:“拡張ラグランジュ分解調整法による同時最適スケジューリング”,オペレーションズ・リサーチ vol. 45, no. 6, pp.270-275. (2000)」に記載されている多品目単一機械ロットサイズスケジューリング問題と同様に、分離可能性が成り立ち、さらに制約式が存在する。そこで、問題を品目別に分解する。この分解が可能であれば、対象とする生産システムの構造は特に多工程であるために極めて複雑であるにもかかわらず、問題の解法は品目別の部分最適化問題の解法と部分問題間の相互関係制約を充足するための調整とに帰着する。
【0031】
但し、このままでは部分最適化問題を他と独立に解くことができない。それは次の理由による。多工程のスケジューリング問題においては仕掛かり品目が関係する。実際の仕掛品については、処理が前工程において成されれば在庫が増え、後工程において成されれば減るから、1つの品目に2つの系列の処理が関係する。言い換えると、1つの系列の処理によって増減する品目が処理の前後に少なくとも2つあるということである。したがって、一方の部分問題の最適化を図ると、他方の部分問題の最適化が崩れることになる。このように、1つの品目に2つの処理の系列が関係することが、後述するラグランジュ分解調整法における分解と調整にとって最大の障害になる。
【0032】
〈見かけの在庫〉
まず、上記した1つの品目に2つの処理の系列が関係することに起因する問題の所在を明確にするために、「処理の独立性」という概念を導入し、次のように定義する。
問題を部分最適化問題に分解したとき、同一の処理あるいは処理の系列が複数の部分最適化問題に亙って現れないことを、「処理の独立性」と呼ぶことにする。
【0033】
この処理の独立性を確保するためには、問題の本質を変えないで、1つの品目からいずれか一方の処理の系列を消去する必要がある。そのための手段が以下に定義する「見かけの在庫」という概念である。
【0034】
一般に仕掛品在庫とは、工程間に発生する実際の在庫であって、初期在庫と累積生産量の和から次工程への実際の累積出荷量あるいは累積処理量を引いたものと定義できる。ところが本実施形態では、ある品目の次工程へ実際に渡される累積出荷量の代わりに、後述する式(1)に示されるように、外(生産システム外)からの各タイムスロットにおける出荷要求(外部需要)をその品目に展開してこれの累積量を用いて上記仕掛品在庫に相当する量を計算する。したがって、これは実際の仕掛品在庫ではなく、架空の在庫あるいは見かけ上の在庫である。以後、これを「見かけの在庫」と呼ぶ。
【0035】
このように、仕掛品在庫の代わりに見かけの在庫という概念を新たに導入することにより、1つの品目に1つの系列の処理を対応させることが可能になる。ところが、見かけの在庫に基づいて処理を計画した結果、実際の仕掛品在庫が品切れを起こす危険がある。そこで、この危険を回避する手段が必要となる。そのために本実施形態では、以下に定義する「処理の整合性」という概念を導入する。
【0036】
仕掛品の実際の在庫は、仕掛品及びその後続直結点の品目の処理によって増減する。処理の独立性のもとに、見かけの在庫に基づいてなされるこれらの処理が、実際の仕掛品在庫の品切れを起こさないという意味で、実行可能であるとき、「処理の整合性」が成立していると呼ぶことにする。このことは逆に、「処理の整合性」が成立している限りは処理の独立性が認められるが、「処理の整合性」が成立しなくなったなら処理の独立性が認められなくなるため、実際の仕掛品在庫が品切れとならないように(つまり充足するように)調整が必要となることを示す。なお、後続直結点の品目とは、ある品目xを生産する直後の工程(後続直結点)で当該品目xを組み込んで生産される品目yのことであり、図1の例における、品目1に対する品目i及び品目i−1などである。一方、品目xは品目yの直前の工程で生産される品目、つまり先行直結点の品目である。
【0037】
〈処理の整合性を達成するために〉
本実施形態では、上記のように定義した処理の整合性を達成するために、実際の仕掛品在庫が品切れとならない条件、つまり実際の仕掛品在庫に対する非負条件を次のように相互関係制約に追加する。
【0038】
まず見かけの在庫を用いて、後述する式(7)に示されるように、実際の仕掛かり品在庫に対する量を定式化する。続いて、見かけの在庫により定式化された仕掛品在庫に対して、その非負条件を、後述する式(8)に示されるように、部分問題間の制約、すなわち相互関係制約に追加して、これを陽に取り扱う。
【0039】
〈エシェロン在庫保管費〉
ところが、実際の仕掛品在庫でなく見かけの在庫に注目して部分問題を解くために、通常の在庫保管費を適用すると計算に矛盾が生じる。そこで在庫保管費についても見かけの在庫に合わせて把握をする必要が生じる。そのようにすることによって実態を反映した在庫保管費の計算ができる。これには既に知られている方法が利用できる。それが「エシェロン在庫保管費」という考え方である。
【0040】
以下、エシェロン在庫保管費について述べる。
まず、どの品目に対しても、処理がなされて新たに価値が付加されたとき、処理により生まれた品目の全体の価値に対してでなく、新たに付加された部分の価値に対して在庫保管費を見積もることができる。さらにその価値は、品目がシステム内に存続する限り、その品目が別の品目に組み込まれた場合にも不変であると考えることができる。その場合には同様の考え方に基づいて、新たに生産される品目の価値のうち、新たに付加された価値に対してのみ在庫保管費を見積もることにする。このようにして定義される在庫保管費を「エシェロン在庫保管費」と呼ぶ。
【0041】
このエシェロン在庫保管費の詳細を、時刻τ1で生産された品目1と時刻τ2で生産された品目2とを組み込んだ品目3を時刻τ3で生産して当該品目3を時刻τ4で出荷した場合を例に図7を参照して説明する。ここでは、品目1,2の価値に対して見積もられる在庫管理費がh1,h2であり、品目3の生産により新たに付加された価値に対して見積もられる在庫管理費がh3であるものとする。
【0042】
この場合、一般には図7(a)に示すように、品目1の在庫保管費h1は時刻τ1〜τ3の期間、品目2の在庫保管費h2は時刻τ2〜τ3の期間、それぞれ発生する。また、品目3の保管在庫費は、当該品目の生産により新たに付加された価値に対して見積もられる在庫保管費h3に、品目1及び2の保管在庫費h1,h2の和h1+h2を加えたものh1+h2+h3となり、時刻τ3〜τ4の期間発生する。
【0043】
これに対してエシェロン在庫保管費では、図7(b)に示すように、品目1及び2が品目3に組み込まれた時刻τ3以後も、その品目1及び2の在庫保管費h1,h2は不変であり、品目3の出荷時刻τ4まで継続するものとして扱われる。また、品目3の在庫保管費は、新たに付加された価値に対してのみ見積もられるh3となり、時刻τ3〜τ4の期間発生するものとして扱われる。これにより、在庫保管費を各品目1,2,3毎に独立して扱うことができ、在庫保管費を見かけの在庫に合わせることが可能となる。
【0044】
〈ラグランジュ分解調整法の反復演算による解法〉
本実施形態では、すべての相互関係制約式をラグランジュ緩和してラグランジュ関数を導く。このラグランジュ関数は分解ができて、問題の最適化は、所与のラグランジュ乗数値に対して各品目の部分最適化問題を他と独立に解くことと、各制約条件に対応するラグランジュ乗数値を更新することとを交互に反復することから成る。
【0045】
部分問題の解法には動的計画法を用いる。制約式の扱いは、部分問題の中で陽に取り扱うものと相互関係制約として扱うものとに別れる。
【0046】
〈本実施形態で適用する解法の特徴〉
スケジューリングの問題を高い分解能のモデルに定式化して、ラグランジュ分解調整法により解く考え方は、多品目単一機械ロットサイズスケジューリング問題に関しては、特願2001−31346号にて本発明者により提案されている。ここでは多品目単一機械の問題に関し、各品目について他と独立に生産在庫問題を最適化することと機械干渉の生じているタイムスロットの使用料(すなわちラグランジュ乗数の値)を調整して干渉を解消するために、ラグランジュ分解調整法が使われている。
【0047】
ところが本実施形態では、上記の品目(出荷の対象となる品目)の他に工程間において発生する品目すなわち仕掛品を分解して取り扱わなくてはならない。したがって、品目間の分解のみならず工程間の分解を可能にする機構が必要になる。そのために本実施形態では、見かけの在庫とエシェロン在庫保管費との概念を導入して処理の独立性を導くと共に処理の整合性を保証するために、見かけの在庫を用いて実際の仕掛品在庫量を定式化して、その非負条件を相互関係制約に加えることによって、多品目多工程の問題を品目別に分解する新規な方法を適用している。
【0048】
ここでは、機械干渉の生じているタイムスロットの他に、仕掛品在庫が充足していないタイムスロットの使用料(ペナルティコスト)に相当するラグランジュ乗数、すなわち双対変数を調整することによって全体最適化を図っている点に注目されたい。
【0049】
《定式化》
次に、上記最適化スケジューリングの基本原理における定式化の詳細について説明する。
【0050】
〈前提条件〉
まず、本実施形態で取り上げる問題の前提条件を明らかにしておく。
(1)対象あるいは適用領域
どの工程どの機械設備におけるどの品目もロットを構成して処理される。ロットのサイズはこの問題が解かれたときに決まる。注文が確定するまでは処理に着手できない品目あるいは予め初期在庫を持つことが許される標準品のいずれであっても、対象とすることができる。前者の場合には初期在庫はすべて0として扱われる。
【0051】
具体的には、プリント配線基板、半導体、キッチン家具、オーディオ・ビジュアル、光学器機などの生産工程の全体あるいは部分に適用の可能性が高い。特に、図8中の機械4における品目p−1と品目pとの関係のように、同一機械設備において処理が繰り返される状況(例えばプリント基板の表面のプリント配線処理と当該プリント基板の裏面のプリント配線処理)を含むシステムに対しても、そうでない場合と同様に適用可能である。このような例として、プリント基板の表面のプリント配線処理と当該プリント基板の裏面のプリント配線処理とを同一機械設備で行う場合がある。このとき、プリント基板自体は同一でありながら、表面のプリント配線処理が行われるプリント基板と裏面のプリント配線処理が行われるプリント基板とを区別し、それぞれ異なる品目(の処理番号)として扱われる。図8中の機械4における品目p−1及び品目pが、これに当たる。
【0052】
(2)データに関する必要条件
計画対象期間に亙ってタイムスロット別に各品目の出荷要求データが所与である。
【0053】
どのタイムスロットにおいても、処理時間で把握されるネットの累積出荷要求量が工程能力を超えてはならない。実際には切り換えの際の段取時間も関係するが、本実施形態では実行可能解の存在条件は満たされているものとして取り扱う。
【0054】
(3)工程間移動時間
工程間移動時間あるいは(工程間移動に伴う)処理のリードタイム(処理を先行させる時間)を無視できないときは、所要量を展開するためのモデルにおいてそれらを考慮する。
【0055】
(4)離散化と丸め誤差
問題を予め離散化問題に定式化して取り扱う。タイムスロットの刻み幅は、許容できる丸め誤差に基づいて定める。例えば、段取時間の長さがそれぞれ2〜3時間、計画対象期間が2週間(24時間×14日)の問題に対して、刻みを30分に定めれば、丸め誤差は15分であり、問題は2×24×14=672タイムスロットの最適制御過程になる。
【0056】
(5)モデルの分解能を高めるための処置
通常のスケジューリングにおいては、オペレーションをあたかも所与の単位あるいは既存のオブジェクトであるかのようにして取り扱うことが多い。ところが、本実施形態においては、それに対応するものを認めない。本実施形態における決定の最小単位は、品目をタイムスロットにおいて資源を使用して“処理するか、しないか”を表す1−0の決定変数である。この決定変数自体は、ディジタル画像処理におけるピクセルのようなものであって、1か0の数にすぎないが、これらが集まって決定の局面を表すことになる。例えば、ある品目と機械設備に対して連続するタイムスロットが値1を取れば、それはロットのサイズを表すことになる。
【0057】
〈用いる記号〉
(1)添字とその集合
まず、本実施形態で適用される添字とその集合を、
i:品目またはその処理番号,i∈I(1,2,…,ni),但しi=0は市場(システムの外)を表す
k:機械番号,k∈K(1,2,…,nk)を表す
t:タイムスロット番号,t∈T(1,2,…,nt)を表す
A:仕掛品目の集合
S(i):品目iの後続直結点の集合
K(i):品目iの処理に利用できる機械の集合
M(i):機械kが処理できる品目の集合
P(i):品目iの先行直結点の集合
のように定義する。
【0058】
(2)入力データ
次に、本実施形態で適用される、予め設定される入力データ(生産データ及び出荷要求量データ)を、
pi k:機械kにおけるタイムスロット当りの品目iの処理量
simax k:機械kの品目iに対する段取時間
si0 k:機械k,品目iのタイムスロットt=0における段取りの残り時間すなわち初期値
xi0:品目iのタイムスロットt=0における実際の在庫量,在庫を持たない問題に対しては0とする
δi0 k:機械kにおける品目iのタイムスロットt=0における処理の状態すなわち初期値
ri0t:タイムスロットtにおける品目iの外部需要を示す出荷要求量データであり、システムの外へ例えば補修部品などとして引かれる分
ρij:品目jに組み込まれる品目iの品目j1単位あたりの所要量
ci k:機械kにおける品目iの段取費用
hi:品目iの処理によって新たに付加される価値に対するタイムスロット当たり在庫保管費(エシェロン在庫保管費)
rijt:タイムスロットtにおいて品目jを生産するために使用される品目iの所要量
ri・t:品目iのタイムスロットtにおける所要量
τij:品目jに組み込まれるまでの品目iのリードタイム(処理を先行させる時間)
のように定義する。
【0059】
(3)決定変数と状態変数
次に決定変数と状態変数を次のように定義する。
【0060】
δit k:タイムスロットtにおける機械kの品目iの処理を表す決定変数,
δit kは品目iがタイムスロットtにおいて機械kにより処理されるとき1、それ以外のとき0
ここに、δitはδit l,l∈K(i)を要素とするベクトル,
δi=(δi1,…,δit,…δint)
δ =(δ1,…,δi,…δni)
sit k:品目iのタイムスロットtにおける機械kの段取りの残り時間
0≦sit k≦simax k
ここに、
sitはsti l,l∈K(i)を要素とするベクトル,
si=(si1,…,sit,…sint)
s =(s1,…,si,…sni)
xit:品目iのタイムスロットt末における見かけ上の在庫量で、定義式は次のように表される。
【0061】
【数1】
【0062】
上記式(1)では、xitが、右辺の第1項で示される初期在庫xi0と、第2項で示されるタイムスロットt'における品目iの処理量のt'=1からt'=tまでの総和、つまりタイムスロットt末までの品目iの処理量の累積量(累積生産量)との和から、第3項で示されるタイムスロットt'における品目iの所要量のt'=1からt'=tまでの総和、つまり外からのタイムスロットt末までの各タイムスロットにおける出荷要求をその品目iに展開してこれの累積量を取ったものを引いたものとして定義されている。
【0063】
なお、xi0は仕掛品i∈Aに対しては、見かけの在庫量xitのタイムスロットt=0における値すなわち初期値であるが、この場合には実際の初期在庫を表す点に注意されたい。
【0064】
〈制約条件〉
(1)各種所要量の関係
品目jの所要量は、当該品目jに品目iが組み込まれるまでの品目iのリードタイムτijを考慮して品目iに展開される。ここに品目iは仕掛品である。したがって、rijtはρijとリードタイムτijが反映されたrj・(t- τ ij)とを用いて下記式(2)のように表され、rj・tはrijtとri0tを用いて下記式(3)のように表される。
【0065】
【数2】
【0066】
上記式(3)では、rj・tは、S(i)に含まれる全品目jについてのタイムスロットtにおいて品目jを生産するために使用される品目iの所要量rijtの総和、つまり後工程(後続直結点)の品目jに組み込まれる量(右辺第1項)と、タイムスロットtにおいてシステムの外へ引かれる分(右辺第2項)との和により表されている。
【0067】
(2)状態推移
機械の段取時間の残り時間(残り段取時間)の推移方程式:
タイムスロットtにおける各品目iの段取時間の残り時間(残り段取時間)sit kは、機械(生産ライン)の遊休中はsit k=0で、品目を切り換えたとき、すなわち処理状態がδit-1 k=0からδit k=1へ変わったときにsimax kとなる。以後sit kは、時間が1タイムスロット経過する毎に1づつ0になるまで減少し、それ以後は再び切り換えが起こるまでその状態を維持する。したがってsit kは次式に従う。
【0068】
【数3】
【0069】
上記式(4)式の右辺第1項は、δit-1 k=0からδit k=1へ変わったときにsimax kとなる残り段取時間の状態遷移を示し、第2項中の(sit-1 k−1)は1タイムスロット経過する毎にsit kが1ずつ減少する状態を示している。
【0070】
在庫の推移方程式:
タイムスロットtにおける各品目iの実処理は、δit k=1かつsit k=0の状態のときに限られる。したがって、在庫推移は以下の式に従う。
【0071】
【数4】
【0072】
上記式(5)のxitは、品目iのタイムスロットt−1末における見かけの在庫量(右辺第1項)とタイムスロットtにおける処理量(右辺第2項)との和から外部需要を展開して得られるタイムスロットtまでの所要量ri・t(右辺第3項)を引いたものとして表されている。
【0073】
繰り返すが、右辺第3項が後続直結点からの要求量でなく、外部需要を展開して得られる所要量ri・tであるから、xitは仕掛品i∈Aに対しては、タイムスロットt末における見かけの在庫量である。しかしt=0に対しては実在庫、さらに最終品に対しても実在庫となる。
【0074】
機械干渉に関する制約:
どのタイムスロットtにおいても機械kは高々1品目しか処理できない。ある品目の段取り及び処理中に、別の品目の段取りを行うこともできない。この制約を機械干渉に関する制約と呼び、次式が成立する必要がある。
【0075】
【数5】
【0076】
品切れを生じないための条件(品切れ禁止制約):
どのタイムスロットtにおけるどの品目iに対しても品切れは許されない。最終品目については、見かけの在庫が同時に実在庫を表すから、この在庫の非負条件は、部分最適化問題の中で陽に取り扱われる。ところが、仕掛品については実際の仕掛品を定式化して、これの非負条件を置かなくてはならない。
【0077】
タイムスロットtにおける品目iの仕掛品在庫量は、初期在庫量xi0と累積生産量との和から累積払い出し量を除いた量である。ただし直接外部へ出荷された量ri0tは予め差し引いておかなくてはならない。したがって、タイムスロットtにおける品目iの仕掛品在庫量の非負条件は次式のように表される。
【0078】
【数6】
【0079】
上記式(7)の左辺第2項は各タイムスロットにおいて品目iの処理量から直接外部へ出荷された量を予め差し引いた処理量のタイムスロットt末までの累積量、つまり累積生産量を表し、第3項はタイムスロットt末までの累積払い出し量を表す。
【0080】
ところが品目が最終品の場合には、式(7)左辺の第1項及び第2項の部分のみとなる。上記式(7)の制約式に見かけの在庫量の定義式(1)を代入して整理すると、次式を得る。
【0081】
【数7】
【0082】
ここに、左辺第2項は、リードタイムτij=0の場合には式(2),(3)から値0となって消える。
【0083】
使用できる機械台数の制約:
同時に使用できる機械は高々c台に限られる。したがって次式が成立する必要がある。
【0084】
【数8】
【0085】
〈コスト〉
関連する費用は機械kが品目iへの切り換え時に発生する段取費ci kと各タイムスロットt末毎に見かけの在庫量xitに比例して発生するエシェロン在庫保管費hiとの2種類である。これらはそれぞれci k(1−δit-1 k)δit k,hi x itにより表される。したがって品目iのタイムスロットtにおけるコストをfi(δi,si,xi)で表すと、このコストfi(δi,si,xi)、即ち品目iにおけるコスト関数は次式(10)で表される。
【0086】
【数9】
【0087】
ここで、タイムスロットtにおけるコストは、タイムスロットt−1における決定変数δit-1 kにも依存する点に注意されたい。
【0088】
〈問題〉
以上により、結局、取り扱うべき最適化問題は、式(10)のコストfi(δi,si,xi)の全品目についての総和を表す関数、つまり目的関数の値を、一定の制約のもとで最小とすることであり、次式に定式化される。
【0089】
【数10】
【0090】
なお、式(11)中のs.t.(4),(5),(6),(8),(9)は、取り扱うべき問題が式(4),(5),(6),(8),(9)の制約、すなわち機械の残り段取時間の推移方程式、見かけの在庫に対して定義された在庫の推移方程式、機械干渉に関する制約、実際の仕掛品在庫に対する品切れ禁止制約(つまり実際の仕掛品在庫に対する非負制約式)、及び使用できる機械代数の制約を受けることを示す。
【0091】
《ラグランジュ分解調整法に基づく解法》
〈制約条件の取り扱い〉
この問題には、制約条件として、式(2),(3),(4),(5),(6),(8),(9)が関係している。ここに提案する解法ではこれらの制約条件の取り扱い方が大きく2通りに分かれることに注意されたい。第1は部分問題の中に取り込まれて、個々の問題を解く際に陽に取り扱われるものであり、第2は相互関係制約として複数の部分問題に亙って関係するものである。
【0092】
式(2),(3)は入力データ間の関係を表すもので決定変数を含まないから、上記のいずれにも入らない。式(4)及び(5)は推移方程式であり、品目に固有であり、品目別の部分問題を動的計画法で解くときに欠かすことができない。したがってこれらは第1の種類に属する。同時(一度)に使用できる機械の制約式(9)についても品目に固有であり、第1の種類に属し、やはり部分問題の中で取り扱うことにする。
【0093】
ところが、機械干渉に関する式(6)は複数の品目に関係しており、第2の種類である相互関係制約に属する。
【0094】
次に、品切れを避けるための制約(8)については注意が必要である。すなわち、品目が最終品目の場合には、式(7)において左辺第3項が関係しないから、初めから処理の独立性が成り立っており、在庫の非負制約は、部分問題の中で陽に取り扱うことができる。これに反して品目が仕掛品の場合には、上記第3項が関係して、処理の独立性が犯されるために、最適化スケジューリングの基本原理において既に説明した理由により部分問題の中で取り扱うことはできない。そこで、処理の整合性を保証するために式(8)を第2の種類である相互関係制約として取り扱う。
【0095】
〈ラグランジュ関数〉
相互関係制約、すなわち、機械干渉の制約(6)と仕掛品在庫に対する非負制約(8)とを緩和して次式に示すラグランジュ関数を導く。
【0096】
【数11】
【0097】
ここに、とμt kとλitとは、それぞれ、機械干渉制約条件(6)と仕掛品在庫の非負条件(8)に対するペナルティコスト(ラインの使用料)を表すラグランジュ乗数である。但し、μtはμt l,l∈K(i)を要素とするベクトル、μ=(μ1,μt,…,μnt),λi=(λi1,…,λit,…,λint),λ=(λ1,…,λi,…,λnt)とする。
【0098】
〈ラグランジュ問題〉
結局、制約条件として、式(2),(3),(4),(5),(6),(8),(9)が関係している上記(11)式の問題は、式(2),(3),(4),(5),(6),(8),(9)中の式(4),(5),(9)を制約条件とする次式に示すラグランジュ問題と同値になる。
【0099】
【数12】
【0100】
ここで、問題を品目別に分解するために、式(12)をまず品目iについて整理して、以下のラグランジュ関数を導く。
【0101】
【数13】
【0102】
ここで、a(i)を品目iが後続直結点を持つとき(つまり仕掛品となり得るとき)1、それ以外のとき0と表現すれば、上記式(14)は次式のように表すことができる。
【0103】
【数14】
【0104】
〈部分最適化問題〉
上記式(15)から、所与のμ,λに対して、式(11)で示される問題は以下の部分問題(部分最適化問題)に分解することができる。
【0105】
【数15】
【0106】
品目iに対する、この式(16)で示される部分最適化問題は、所与のμ,λに対して、他と独立に解くことができる。この解法については後述する。
【0107】
〈ラグランジュ乗数の調整〉
繰返し計算の第ν回目でのラグランジュ乗数の更新ルールは、ラグランジュ乗数がμt kとλitとの2種用いられていることから、機械干渉に用いるラグランジュ乗数の更新ルールと、仕掛品の在庫充足に用いるラグランジュ乗数の更新ルールの2つが必要となる。
【0108】
機械干渉に用いるラグランジュ乗数の更新ルール:
まず、機械干渉に用いるラグランジュ乗数の更新ルールは次式に示される通りである。
【0109】
【数16】
【0110】
仕掛品の在庫充足に用いるラグランジュ乗数の更新ルール:
次に、仕掛品の在庫充足に用いるラグランジュ乗数の更新ルールは次式に示される通りである。
【0111】
【数17】
【0112】
なお、上記式(18)においてα,βはスカラーステップサイズである。このα,βの値は数値計算で試行錯誤的に決められる。ここで、α,βをそれぞれk(機械),i(品目)に依存させることも可能である。
【0113】
《部分最適化問題の動的計画法》
次に、式(16)で示される部分最適化問題を動的計画法に再定式化して解く方法について説明する。
【0114】
〈取り得る状態〉
タイムスロットtにおいて取り得る決定δitkは、先行するタイムスロットt−1における在庫状態xに依存するばかりでなく、先行するタイムスロットt−1における利用可能なすべての機械の状態、及び同じタイムスロットtにおける残り段取時間sit-1 kにも依存する。(δit-1 k,sit-1 k)から(δit k,sit k)への状態推移の関係を整理すれば、図5に示すようになる。図中の○印はタイムスロットt−1の状態に対して許される決定が存在することを、×印はそうでないことを表している。
【0115】
図6は、この(δit k,sit k)の状態遷移を示す。図6において、(0,0)の状態61が次のタイムスロットに取り得る状態は、同じ状態61または(1,simax k)の状態62のいずれかである。状態61は、機械kの遊休中を示す。また、状態62は、品目を切り換えたとき、つまりセットアップの開始時を示す。この状態62、即ち(1,simax k)の状態62が次のタイムスロットに取り得る状態は(1,simax k−1)の状態63のみである。
【0116】
状態63は、セットアップ開始時から時間が1タイムスロットだけ経過し、残り段取時間がsimax k−1となったことを示す。以下、同様にして、時間が1タイムスロット経過する毎に、(δit k,sit k)のうちのδit kが1のままの状態で、sit kだけが1ずつ減少していき、やがて(1,1)の状態64に遷移する。状態64は残り段取時間が1(1タイムスロット分)であり、セットアップ終了直前の状態となったことを示す。状態62から状態64までの期間がセットアップ中の期間65となる。状態64、即ち(1,1)の状態64が次のタイムスロットに取り得る状態は(1,0)の状態66のみである。状態66は生産中を示す。この状態66、即ち(1,0)の状態66が次のタイムスロットに取り得る状態は、同じ状態66または(0,0)の状態61のいずれかである。
【0117】
〈最適コスト関数とその計算〉
次に、最適コスト関数とその計算について説明する。
本実施形態では、所与のラグランジュ乗数μ,λiに対して、最適コスト関数を
Vt(δit,sit,xit,μ,λi)
で表し、タイムスロットtにおいて品目iの決定変数(機械のセッティングの状態)、残り段取時間、在庫状態(タイムスロット末の在庫量)が、それぞれδit,sit,xitであるとき、タイムスロット0からタイムスロットtまでの各タイムスロットにおいて採られた最適決定に伴って発生するコストの和であると定義する。
【0118】
ここで重要なことは、上記最適コスト関数に、状態変数のベクトルとして、ベクトルsitと変数xitの他に、決定変数のベクトルδitが入っている点である。つまり、決定変数δitが状態変数の役割も担っている点である。これはタイムスロットtにおいて発生する段取りコストが、タイムスロットt−1の決定にも依存することに起因している。言い換えるならば、タイムスロットtにおいて発生するコストを計算するために、先行タイムスロットt−1におけるの情報が必要になるからである。この場合、最適コスト関数は動的計画法による次の再帰関係式で表すことができる。
【0119】
【数18】
【0120】
ここでxit-1が許容範囲にないときは、任意のδit-1 k,sit-1 kに対して、Vt(δit,sit,xit,μ,λi)は常に+∞である。このとき、δit-1 *(δit,sit,xit,μ,λi)は上記式(20)の最適決定を表すものとする。
【0121】
所与のδit l,sit l,l∈K(i),xit,μ,λiと前記式(4),(5)から選択された決定δit-1 l,l∈K(i)に対してsit-1 k,xit-1を求めれば、タイムスロットt−1における最適コスト関数の値が決まる。勿論、タイムスロットtにおいて発生するすべてのコストも確定している。したがって上記式(20)が計算できる。
【0122】
〈最適解の決定〉
品目iの、タイムスロットt=1,…,ntに対して上記式(20)の最適コスト関数値Vt(δit,sit,xit,μ,λi)、及び最適決定すなわちδit-1 *(δit,sit,xit,μ,λi)がすべて求まり表の形でメモリ(ここではコスト記憶エリア223)内に格納されているものとする。このとき品目の最適解すなわちスケジュールと状態推移を確定するための手続きについて、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0123】
まず、t=ntのタイムスロットに対して取り得るすべてのδit,sit,xitの組み合わせ(δit,sit,xit)の中からVt(δit,sit,xit,μ,λi)が最小となるδit,sit,xitを求めて、最適な解として確定し、これらの値をδit *,sit *,xit *とする(ステップ405,406)。
【0124】
次に、δit *,sit *,xit *に対し最適な決定δit-1 *(δit *,sit *,xit *)を特定する(ステップ407)。このδit *,sit *,xit *を前記式(4),(5)に代入してsit-1 *,xit-1 *を求める(ステップ408)。
【0125】
次に、tを1だけデクリメントし(ステップ409)、このデクリメント後のtが1より小さくならなければ(ステップ410)、そのデクリメント後のtに対して上記ステップ406以降の処理を行う。これをt=1まで繰り返す(ステップ410)。
【0126】
以上、本実施形態で適用する最適化スケジューリングの基本原理と、当該基本原理における定式化の詳細と、ラグランジュ分解調整法に基づく解法と、部分最適化問題の動的計画法とについて説明した。
【0127】
<最適化スケジューリングの実現例>
次に、上記した最適化スケジューリングの実現例について説明する。
図1のスケジューリング装置は、上記した最適化スケジューリングの基本原理を適用して最適化スケジューリングを行うもので、品目別最適化部11と、在庫量抽出部12と、残り段取時間抽出部13と、品目間機械干渉判定部14と、品目間機械干渉制御部15と、最適生産スケジュール生成部16と、主制御部17と、仕掛品在庫充足判定部18と、仕掛品在庫制御部19とを備えている。これら各部11〜19は、図2の計算機内のCPU21が最適化スケジューリングプログラム241を実行することにより実現される機能要素である。
【0128】
品目別最適化部11は、各品目iについて、式(16)の部分最適化問題を、在庫推移と残り段取時間推移の制約のもとで、式(20)の最適コスト関数を用いて、他の品目とは独立に解き、その解を求める動作を実行する。在庫量抽出部12は、品目別最適化部11での動作に必要な在庫量を抽出する。残り段取時間抽出部13は、品目別最適化部11での動作に必要な残り段取時間を抽出する。
【0129】
品目間機械干渉判定部14は、品目別最適化部11により求められた品目i毎の解から、機械干渉が解消されていると見なせるか否かを判定する。品目間機械干渉制御部15は、機械干渉が解消されていない場合に、機械干渉が減少するように品目別最適化部11を制御する。具体的には、品目別最適化部11が用いる最適コスト関数中の機械干渉に用いるラグランジュ乗数(μt k)を更新する。
【0130】
仕掛品在庫充足判定部18は、品目別最適化部11により求められた品目i毎の解から、仕掛品在庫が充足しているか否かを判定する。仕掛品在庫制御部19は、仕掛品在庫が充足していない場合、つまり仕掛品在庫の品切れを起こしている場合に、仕掛品在庫が充足するように品目別最適化部11を制御する。具体的には、品目別最適化部11が用いる最適コスト関数中の仕掛品の充足に用いるラグランジュ乗数(λit)を更新する。
【0131】
最適生産スケジュール生成部16は機械干渉及び仕掛品在庫の品切れが解消されたものと判定された場合、その際に求められた解を用いて生産スケジュールを生成する。主制御部17はスケジューリング装置全体を制御する。
【0132】
また、主メモリ22には、品目i及び機械k別のpi k,simax k,si0 k,δi0 k,ci kの各データと、品目i別のxi0,,ρij,hi,τijの各データと、品目i毎の各タイムスロットtにおけるrijt,ri・tの各データとから成る生産データを格納するための生産データ記憶エリア221と、品目i毎の各タイムスロットtにおけるri0tから成る出荷要求量データを格納するための出荷要求量記憶エリア222と、品目別最適化部11で算出されたタイムスロットtまでのコストの和Vt(δit,sit,xit,μ,λi)及び当該和Vt(δit,sit,xit,μ,λi)に対応するδit *,sit *,xit *を格納するためのコスト記憶エリア223とが確保されている。ここで、δit *,sit *,xit *を格納するエリアを別に確保することも可能である。
【0133】
主メモリ22には更に、品目別最適化部11で最適部分問題を解くことにより求められた解の中間結果を格納するための中間結果記憶エリア224と、同じく最終結果を格納するための最終結果記憶エリア225と、最適生産スケジュール生成部16により生成された生産スケジュールを格納するための生産スケジュール記憶エリア226とが確保されている。
【0134】
次に図1の構成の動作を、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、図1のスケジューリング装置を用いて最適生産スケジュールを作成するには、pi k,simax k,si0 k,δi0 k,ci kの各データと、品目i別のxi0,,ρij,hi,τijの各データと、品目i毎の各タイムスロットtにおけるrijt,ri・tの各データとから成る生産データを予め入力しておく必要がある。ここでは、この生産データをキーボード25を用いて例えば表形式で入力するものとする。
【0135】
入力された生産データは、主制御部17の制御により主メモリ22内の生産データ記憶エリア221に格納される。また、この生産データ記憶エリア221に格納された生産データをHDD23に保存して、再利用することができる。
【0136】
また、生産スケジュールの生成が必要となる毎に、品目i毎の指定タイムスロットtにおけるri0tから成る出荷要求量データが入力されて、主メモリ22内の出荷要求量記憶エリア222に格納される。
【0137】
ここでは、計画対象期間が2週間、1日7時間の3シフトで、タイムスロットを30分刻みにして、T=588タイムスロットであるものとする。つまり本実施形態では、出荷要求量データを入力することで、計画対象期間を30分刻みで588個のタイムスロットが設定されることになる。この刻み幅、つまり1タイムスロット期間は小さいほど、最適化問題(数理モデル)の解像度を上げることができる。計算量は刻みの数(タイムスロット数)の1次のオーダーにしかならないから、刻み幅を小さくすることをそれほど恐れる必要はない。即ち、刻み幅を半分にしても計算時間は倍にしかならない。勿論、必ずしも刻み幅を著しく小さくする必要はなく、丸め誤差が無視し得る程度であれば、実用上問題ない。
【0138】
この状態で、キーボード25からスケジューリングの開始指示が入力されると、主制御部17により初期化処理が行われ、繰り返し数(繰り返し番号)νと、中間結果記憶エリア224上の品目i(i∈I(1,2,…,ni))別、タイムスロットt(t∈T(1,2,…,nt))別及び機械k(k∈K(1,2,…,nk))別の決定変数δitk νとを初期値0に設定する(ステップ301,302)。また、タイムスロットt(t∈T(1,2,…,nt))別及び機械k(k∈K(1,2,…,nk))別のラグランジュ乗数μt k νと、タイムスロットt(t∈T(1,2,…,nt))別のラグランジュ乗数λt νも初期値0に設定する(ステップ303)。
【0139】
すると主制御部17は品目別最適化部11を起動する。品目別最適化部11はまず、品目iを1に初期設定する(ステップ304)。次に品目別最適化部11は、品目iの式(16)に示す部分最適化問題を、残り段取時間推移方程式(4)及び在庫推移方程式(5)の制約のもとで、式(20)の最適コスト関数を用いて解き、その解δit k νを求める(ステップ305)。ここでは、品目iについて、当該品目iの処理に利用可能な各機械k別に、各タイムスロット毎の解δit k ν(∀t∈T,k∈K(i))が求められる。
【0140】
このステップ305の詳細手順を図4のフローチャートに示す。ここでは品目別最適化部11は、品目iの部分最適化問題を解くために、以下に述べる最適コスト関数値Vt(δit,sit,xit,μ,λi)と最適決定δit-1 *(δit,sit,xit)とを求める。
【0141】
そのため品目別最適化部11は、まずタイムスロットtを1に設定する(ステップ401)。そして品目別最適化部11は、品目iについて、取り得る(実行し得る)すべての組み合わせの(δit,sit,xit)に対し、当該品目iの処理(生産)に使用可能な機械kの範囲(k∈K(i))で前記式(20)の最適コスト関数を用いて最適コスト関数値Vt(δit,sit,xit,μ,λi)を算出し、その時の最適決定δit-1 *(δit,sit,xit)と共に、コスト記憶エリア223に格納する(ステップ402)。
【0142】
次に品目別最適化部11は、tを1だけインクリメントし(ステップ403)、そのインクリメント後のtがntより大きくなければ(ステップ404)、そのインクリメント後のtに対して上記ステップ402以降の処理を行う。これをt=ntまで繰り返す(ステップ404)。
【0143】
この状態で品目別最適化部11は、コスト記憶エリア223上の最適コストV t (δit,xit,sit)をt=ntから逆に辿る。即ち品目別最適化部11は、先に説明したように、まず、t=ntのタイムスロットに対して取り得るすべてのδit,sit,xitの組み合わせ(δit,sit,xit)の中からVt(δit,sit,xit,μ,λi)の最小値(最適コスト)を探して、その際のδit,sit,xitを最適解δit *,sit *,xit *とする(ステップ405,406)。
【0144】
次に品目別最適化部11は、δit *,sit *,xit *に対し最適な決定δit-1 *(δit *,sit *,xit *)を特定し(ステップ407)、このδit *,sit *,xit *を前記式(4),(5)に代入して、最適コストVtに至った直前のタイムスロットt−1でのsit-1 *,xit-1 *を求める(ステップ408)。これをtを1ずつデクリメントしながら(ステップ409)、t=1まで繰り返す(ステップ410)。
【0145】
以上のようにして、品目iについて最適コストを与えるδit k ν(t=1,…,nt,k∈K(i))が品目別最適化部11により求められる。すると品目別最適化部11は、中間結果記憶エリア224上のδit k νを、求めた最新のδitk νに更新する(ステップ306)。
【0146】
次に品目別最適化部11はiを1だけインクリメントし(ステップ307)、そのインクリメント後のiがniを超えていないならば(ステップ308)、未処理の品目が存在するものと判定し、そのインクリメント後のiで示される品目iについて、上記ステップ305以降の処理を実行する。そして、i=1,…,niのすべての品目について解δit k ν(∀i∈I,t∈T,k∈K(i))を求めると、品目間機械干渉判定部14及び仕掛品在庫充足判定部18が起動される。
【0147】
品目間機械干渉判定部14は、機械k毎に、その機械kで処理(生産)されるすべての品目i(i∈M(i))の解δit k νから、各品目i間のδit k=1のタイムスロットの重なりの回数を表す機械干渉数を算出し、その数から機械干渉が解消されていると見なせるか否かを判定する(ステップ309)。具体的には、全機械についての繰り返し数νにおける全品目、全期間(全計画対象期間)に亙る機械干渉数の総和をnt×nk(全タイムスロット数×全機械数)で除して得られる平均機械干渉数を算出し、その値が閾値以下であるか否かにより、機械干渉が解消されていると見なせるか否かを判定する。
【0148】
一方、仕掛品在庫充足判定部18は、上記ステップ309において、全品目i(i∈I(1,2,…,ni))について、仕掛品在庫量がマイナスとなる(つまり非負条件を満たさなかった)タイムスロットの総数を求め、その数から仕掛品在庫が充足しているか否かを判定する。具体的には、全品目について、仕掛品在庫量がマイナスとなるタイムスロットの総数を求め、それをni×nt(全品目数×全タイムスロット数)で除して得られる平均仕掛品在庫不足割合を算出し、その値が閾値以下であるか否かにより、仕掛品在庫が充足しているか否かを判定する。ここで、各仕掛品在庫量は、ステップ305で求められた対応する解δit k νと組をなすxitを用いて、前記式(8)に従って算出される。
【0149】
もし、機械干渉が解消されているという条件及び仕掛品在庫量が充足しているととう条件の少なくとも一方の条件を満たさない場合、繰り返し数(反復回数)νが1だけインクリメントされ(ステップ310)、品目間機械干渉制御部15及び仕掛品在庫制御部19の少なくとも一方が起動される。ここでは、機械干渉が解消されていないときは品目間機械干渉制御部15が、仕掛品在庫量が充足していないときは仕掛品在庫充足判定部18が、それぞれ起動される。上記両条件が成立していないときは、品目間機械干渉制御部15及び仕掛品在庫充足判定部18の両方が起動される。
【0150】
品目間機械干渉制御部15は、自身が起動された場合、機械干渉に用いるラグランジュ乗数μt k νを前記式(17)により更新(調整)して、品目別最適化部11に通知する(ステップ311)。
【0151】
一方、仕掛品在庫充足判定部18は、自身が起動された場合、上記ステップ311において、仕掛品の在庫充足に用いるラグランジュ乗数λt νを前記式(18)により更新(調整)して、品目別最適化部11に通知する。
【0152】
これにより、更新されたラグランジュ乗数μt k ν及びまたはλt νを用いてステップ305が品目数分繰り返し実行され、品目別、機械別の解δit k νがタイムスロット毎に求められる。
【0153】
やがて、品目間機械干渉判定部14により機械干渉が解消されていると見なせると判定されると共に、仕掛品在庫充足判定部18により仕掛品在庫量が充足していると判定されると、そのときの品目別、機械別の解δit k νが最終結果記憶エリア225に格納され、最適生産スケジュール生成部16が起動される。
【0154】
最適生産スケジュール生成部16は、最終結果記憶エリア225に格納されている品目別、機械別の解δit k νをもとに、生産スケジュールを生成して、生産スケジュール記憶エリア226に格納する。前記したように品目別、機械別の解δit k νは0−1変数により表される。そして、時間軸上に刻まれたタイムスロットtに、当該スロットで機械kにより品目iを処理(セットアップまたは生産)すれば1で、そうでなければ0で表される。したがって、解δit k νにおける1の並びとその時間的位置により品目別及び機械別にロットサイズとそれらのロットの時間的位置を生成することができる。ロットの時間的位置は実行可能なスケジュールにおいてロットの順序を決定するための情報を与える。つまり本実施形態においては、品目間の解(スケジュール)の機械干渉が解消されていると見なせ、かつ仕掛品在庫量が充足していると判定される解δit k νが求まった時点で、ロットサイズとロット順序を同時に生成することができる。
【0155】
生産スケジュール記憶エリア226に格納された生産スケジュールは、図2中のディスプレイ26に表示されると共に、キーボード25からの印刷指示入力に応じて、または自動的に、プリンタ装置(図示せず)から印刷出力される。また、この生産スケジュールをそのままの形で、または所定のデータ変換により、生産ラインでの制御情報として用いることができる。
【0156】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0157】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、多品目多工程のスケジューリングの問題に含まれる多様な決定の諸局面を一つ一つ列挙することも意識することもなく、また人為的な制約を必要とすることなく、当該諸局面を全体最適化の視点から解決して経済的かつ合理的な実行可能スケジュールを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る多品目多工程ロットサイズスケジューリング装置の機能ブロック構成を示す図。
【図2】図1のスケジューリング装置を実現する計算機のブロック構成図。
【図3】図1の構成の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】図3中のステップ305の詳細手順を説明するためのフローチャート。
【図5】 (δit-1 k,sit-1 k)から(δit k,sit k)への状態推移の関係を説明するための図。
【図6】 (δit k,sit k)の状態推移図。
【図7】エシェロン在庫保管費を説明するための図。
【図8】多品目多工程の生産システムを説明するための図。
【符号の説明】
11…品目別最適化部
12…在庫量抽出部
13…残り段取時間抽出部
14…品目間機械干渉判定部
15…品目間機械干渉制御部
16…最適生産スケジュール生成部
17…主制御部
18…仕掛品在庫充足判定部
19…仕掛品在庫制御部
21…CPU
22…主メモリ
221…生産データ記憶エリア
222…出荷要求量記憶エリア
223…コスト記憶エリア
224…中間結果記憶エリア
225…最終結果記憶エリア
226…生産スケジュール記憶エリア
241…最適化スケジューリングプログラム
242…CD−ROM
Claims (5)
- 複数の機械により複数の工程で当該各工程に対応した品目をそれぞれ処理し、かつ少なくとも1つの機械または工程では段取を伴う品目の切り換えが可能な多品目多工程生産システムに適用される生産スケジュールをコンピュータにより生成する多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法であって、
前記各工程で処理される各品目iについて、品目間の機械干渉に関する制約が第1のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和されると共に仕掛品在庫量を非負とする制約が第2のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和された1次元の部分最適化問題を他の品目とは独立に解いて、品目i別及び機械別に、かつ計画対象期間が一定の時間間隔で分割されたタイムスロットt毎に、前記タイムスロットtが前記品目iの生産のために前記機械により使用されているか否かを示す決定変数を解として取得する解法ステップであって、前記1次元の部分最適化問題を、任意のタイムスロットtにおける品目iの前記決定変数をδ it 、前記第1のラグランジュ乗数をμ、前記第2のラグランジュ乗数をλ i とすると共に、当該タイムスロットtの終了時の、当該品目iの次工程へ実際に渡される累積出荷量に代えて当該品目iの当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおける外部需要を当該タイムスロットtにおける品目iに展開した累積量を用いて算出される見かけの在庫の状態、及び品目iへのセットアップに必要な段取時間の残り時間を、それぞれ状態変数x it ,s it として、当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおいて採られた最適決定に伴って発生するコストの和を表す最適コスト関数V t (δ it ,x it ,s it ,μ,λ i )により解く解法ステップと、
前記解法ステップで品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に求められた決定変数δ it に基づいて、機械別に、同一機械で複数の品目が生産されるタイムスロットtの数を算出し、当該機械別に算出されたタイムスロットtの数に基づいて、機械別に、品目間の同一機械における機械干渉の程度の大小を判定する機械干渉判定ステップと、
前記解法ステップで品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に求められた決定変数δ it と組をなす前記状態変数x it に基づいて算出される仕掛品在庫量が非負でないタイムスロットtの数を全品目iについて算出し、当該算出されたタイムスロットtの数に基づいて、仕掛品在庫の充足の有無を判定する仕掛品在庫充足判定ステップと、
前記機械干渉判定ステップにより前記品目間の機械干渉の程度が大きいと判定された場合には、当該機械干渉の程度を小さくするように前記第1のラグランジュ乗数μを更新し、前記仕掛品在庫充足判定ステップにより前記仕掛品在庫が充足していないと判定された場合には、当該仕掛品在庫を充足させるように前記第2のラグランジュ乗数λ i を更新し、その都度前記解法ステップを再実行させるステップと、
前記機械干渉判定ステップにより前記品目間の機械干渉の程度が小さいと判定され、かつ前記仕掛品在庫充足判定ステップにより前記仕掛品在庫が充足していると判定された場合、その際に前記解法ステップで品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に求められている決定変数δ it に基づいて生産スケジュールを生成するステップと
を具備することを特徴とする多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法。 - 前記品目間の機械干渉に関する制約が、任意のタイムスロットtにおける品目i別及び機械別の決定変数δ it のうち、同一機械について少なくとも1品目の決定変数のみが生産のために使用されていることを示すことができるという相互関係制約であることを特徴とする請求項1記載の多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法。
- 前記最適コスト関数で算出されるコストは、前記第1のラグランジュ乗数μに基づいて算出される機械の使用料に相当する第1のペナルティコストと、前記第2のラグランジュ乗数λiに基づいて算出される機械の使用料に相当する第2のペナルティコストと、前記品目iの処理によって新たに付加される価値に対するタイムスロット当たりのエシェロン在庫保管費hiと前記状態変数xitとで決まるコストとを含むことを特徴とする請求項2記載の多品目多工程ロットサイズスケジューリング方法。
- 複数の機械により複数の工程で当該各工程に対応した品目をそれぞれ処理し、かつ少なくとも1つの機械または工程では段取を伴う品目の切り換えが可能な多品目多工程生産システムにおける多品目多工程ロットサイズスケジューリングのためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記各工程で処理される各品目iについて、品目間の機械干渉に関する制約が第1のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和されると共に仕掛品在庫量を非負とする制約が第2のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和された1次元の部分最適化問題を他の品目とは独立に解いて、品目i別及び機械別に、かつ計画対象期間が一定の時間間隔で分割されたタイムスロットt毎に、前記タイムスロットtが前記品目iの生産のために前記機械により使用されているか否かを示す決定変数を解として取得する解法ステップであって、前記1次元の部分最適化問題を、任意のタイムスロットtにおける品目iの前記決定変数をδ it 、前記第1のラグランジュ乗数をμ、前記第2のラグランジュ乗数をλ i とすると共に、当該タイムスロットtの終了時の、当該品目iの次工程へ実際に渡される累積出荷量に代えて当該品目iの当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおける外部需要を当該タイムスロットtにおける品目iに展開した累積量を用いて算出される見かけの在庫の状態、及び品目iへのセットアップに必要な段取時間の残り時間を、それぞれ状態変数x it ,s it として、当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおいて採られた最適決定に伴って発生するコストの和を表す最適コスト関数V t (δ it ,x it ,s it ,μ,λ i )により解く解法ステップと、
前記解法ステップで品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に求められた決定変数δ it に基づいて、機械別に、同一機械で複数の品目が生産されるタイムスロットtの数を算出し、当該機械別に算出されたタイムスロットtの数に基づいて、機械別に、品目間の同一機械における機械干渉の程度の大小を判定する機械干渉判定ステップと、
前記解法ステップで品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に求められた決定変数δ it と組をなす前記状態変数x it に基づいて算出される仕掛品在庫量が非負でないタイムスロットtの数を全品目iについて算出し、当該算出されたタイムスロットtの数に基づいて、仕掛品在庫の充足の有無を判定する仕掛品在庫充足判定ステップと、
前記機械干渉判定ステップにより前記品目間の機械干渉の程度が大きいと判定された場合には、当該機械干渉の程度を小さくするように前記第1のラグランジュ乗数μを更新し、前記仕掛品在庫充足判定ステップにより前記仕掛品在庫が充足していないと判定された場合には、当該仕掛品在庫を充足させるように前記第2のラグランジュ乗数λ i を更新し、その都度前記解法ステップを再実行させるステップと、
前記機械干渉判定ステップにより前記品目間の機械干渉の程度が小さいと判定され、かつ前記仕掛品在庫充足判定ステップにより前記仕掛品在庫が充足していると判定された場合、その際に前記解法ステップで品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に求められている決定変数δ it に基づいて生産スケジュールを生成するステップと
を実行させるためのプログラム。 - 複数の機械により複数の工程で当該各工程に対応した品目をそれぞれ処理し、かつ少なくとも1つの機械または工程では段取を伴う品目の切り換えが可能な多品目多工程生産システムに適用される生産スケジュールを生成する多品目多工程ロットサイズスケジューリング装置であって、
前記各工程で処理される各品目iについて、品目間の機械干渉に関する制約が第1のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和されると共に仕掛品在庫量を非負とする制約が第2のラグランジュ乗数による重み付けにより緩和された1次元の部分最適化問題を他の品目とは独立に解いて、品目i別及び機械別に、かつ計画対象期間が一定の時間間隔で分割されたタイムスロットt毎に、前記タイムスロットtが前記品目iの生産のために前記機械により使用されているか否かを示す決定変数を解として取得する解法ステップであって、前記1次元の部分最適化問題を、任意のタイムスロットtにおける品目iの前記決定変数をδ it 、前記第1のラグランジュ乗数をμ、前記第2のラグランジュ乗数をλ i とすると共に、当該タイムスロットtの終了時の、当該品目iの次工程へ実際に渡される累積出荷量に代えて当該品目iの当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおける外部需要を当該タイムスロットtにおける品目iに展開した累積量を用いて算出される見かけの在庫の状態、及び品目iへのセットアップに必要な段取時間の残り時間を、それぞれ状態変数x it ,s it として、当該タイムスロットtまでの各タイムスロットにおいて採られた最適決定に伴って発生するコストの和を表す最適コスト関数V t (δ it ,x it ,s it ,μ,λ i )により解く品目別最適化手段と、
前記品目別最適化手段により品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に取得された決定変数δ it に基づいて、機械別に、同一機械で複数の品目が生産されるタイムスロットtの数を算出し、当該機械別に算出されたタイムスロットtの数に基づいて、機械別に、品目間の同一機械における機械干渉の程度の大小を判定する機械干渉判定手段と、
前記品目別最適化手段により品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に取得された決定変数δ it と組をなす前記状態変数x it に基づいて算出される仕掛品在庫量が非負でないタイムスロットtの数を全品目iについて算出し、当該算出されたタイムスロットtの数に基づいて、仕掛品在庫の充足の有無を判定する仕掛品在庫充足判定手段と、
前記機械干渉判定手段により前記品目間の機械干渉の程度が大きいと判定された場合には、当該機械干渉の程度を小さくするように前記第1のラグランジュ乗数μを更新して前記品目別最適化手段を制御する機械干渉制御手段と、
前記仕掛品在庫充足判定手段により前記仕掛品在庫が充足していないと判定された場合には、当該仕掛品在庫を充足させるように前記第2のラグランジュ乗数λ i を更新して前記品目別最適化手段を制御する仕掛品在庫制御部手段と、
前記機械干渉判定手段により前記品目間の機械干渉の程度が小さいと判定され、かつ前記仕掛品在庫充足判定手段により前記仕掛品在庫が充足していると判定された場合、その際に前記品目別最適化手段により品目i別及び機械別に、かつタイムスロットt毎に取得されている決定変数δ it に基づいて最適生産スケジュールを生成する最適生産スケジュール生成手段と
を具備することを特徴とする多品目多工程ロットサイズスケジューリング装置。
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