JP4737506B2 - 車両企画支援システム - Google Patents

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本発明は、車両企画支援システムに係り、特に、画面上に表示された車両モデルにより車両の企画を支援する車両企画支援システムに関する。
車両の開発では、通常、車両のパッケージング等を検討する車両企画を行い、この車両企画を経て、具体的な細部デザインや製造図面の作製へ移行する。従来、車両企画では、車両の概要を表す図面を複数作成し、それらの図面に基づいて車両の企画を行っていた。また、クレーモデルやモックアップモデルを作製し、或いは、試作車を作製して企画車両の評価を行っていた。
一方、本出願人は、車両特性を評価するために、評価者に車両搭乗状態を疑似体験させるシミュレーション装置を提案している(特許文献1)。また、本出願人は、画面上に車両の外形や居住空間等に関する複数のモデルを変形可能に表示して車両企画を支援する企画支援プログラム等を提案している(例えば、特許文献2)。
特開平07−271289号公報 特開2004−042747号公報
しかしながら、上述した従来の図面に基づいた車両企画の手法では、様々な形状やパッケージング等を評価するには多大な数の図面を作成しなければならず、さらに、変更点がある場合一から図面を書き直す必要があった。また、そのような図面に慣れない車両企画者には、具体的なパッケージング等の善し悪しを判断することが難しく、さらに、どのように変更すれば良いか判断出来ない場合があった。さらに、クレーモデルや試作車等を作製するには、多大なコスト及び時間がかかり、それゆえ、車両企画が保守的になりがちであった。
ここで、車両企画の段階は、居住性や外観イメージ等の様々な要因のバランスをとりつつ、新たな発想で車両を企画する段階である。様々な要因のバランスをとるには、例えば、居住性確保のためにルーフ高さを上げた場合、そのルーフ高さを変更したことに伴って生じる外観イメージの悪化を改善するために、ピラー角度等を合わせて変更する等の作業が必要である。車両企画の段階は、そのような作業を車両の様々な部位について行い、徐々に一定の形状に仕上げていくものである。
このような過程において、車両設計に熟練した者ほど、例えば上述したようにルーフ高さの変更と同時にピラー角度も変更する必要がある、というようなノウハウを経験上多く有している。即ち、車両企画の段階では、或る問題を解決したことにより他の問題が生じることが多いが、熟練者は、当初の問題を解決すると共に新たに生じる副次的な問題も同時に解決するノウハウを有していることが多い。従って、このような熟練者は、複数の箇所を同時に調整しながら、車両企画を効率的に進めることが出来る。
一方、新たな発想に基づいて車両を企画する場合、かえって設計の経験が少ない者の方が従来の車両企画の観念にとらわれずに斬新な車両を企画することが出来る場合がある。しかし、設計の経験が少ない者は、例えば、居住性確保のためにルーフ高さを上げた後に、そのルーフ高さを上げたことにより外観イメージが悪くなったことに気付き、その後、外観イメージを良くするために、ルーフ高さの再調整を行ったり、ベルトラインやピラー角度等の様々な部位をいろいろ調整したりする等の試行錯誤の作業を繰り返すことが多かった。即ち、或る問題を解決したことにより生じる他の問題を解決するために、時間が多くかかってしまうという問題があった。
ここで、上述したような熟練者のノウハウは、必然的にそうならざるを得ない設計事項であったり、人間工学上理想的なものであったりする場合が多いので、設計の経験が少ない者が試行錯誤した結果が、その熟練者が有するノウハウに基づいて調整した結果と同様の結果となることが多い。つまり、熟練者のノウハウを設計の経験が少ない者でも活用することが出来れば、車両企画をより効率的に進めることが出来ると考えられ、車両企画において熟練者のノウハウを活用することが望まれていた。
これに対し、従来の図面に基づいた車両企画の手法では、熟練者のノウハウに頼るところが多く、さらに、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、このような熟練者のノウハウを活用する手法を有していないものである。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車両企画をより効率的に且つ効果的に行うことが出来る車両企画支援システムを提供することを目的としている。
また、本発明は、画面上に車両モデルを表示して車両の企画を支援する車両企画支援システムであって、車両モデルの複数の諸元項目における寸法及び角度を含む諸元値の入力をさせるための諸元値入力画面を表示する諸元値入力画面表示手段と、モーフィング画面により、諸元値入力画面に入力された諸元値に基づいて車両モデルを形状及び諸元値が変更可能な車両モデルとして表示するモーフィング画面表示手段と、モーフィング画面において、諸元値が関連して複数変更された場合、その変更された複数の諸元値と共にそれらの諸元項目、関連した目的及び理由を関連諸元変更データとして登録させるための履歴登録手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、車両モデルの複数の諸元項目における寸法及び角度を含む諸元値の入力のための諸元値入力画面が表示され、入力された諸元値に基づいて車両モデルをその形状及び諸元値を変更可能な車両モデルとして表示するモーフィング画面が表示されるので、車両企画者は、諸元値の入力及び車両モデルの形状及び諸元値の変更により、様々な形状やパッケージング等をより効率的に且つ効果的に評価することが出来、且つ、従来の図面に基づいた車両企画のアプローチとは全く異なり、従来の固定観念に縛られない自由度の高い手法でより新しい車両を企画することが出来る。
また本発明においては、車両企画者がモーフィング画面において諸元値を関連して複数変更した場合、履歴登録手段により、その変更した複数の諸元値と共に、それらの諸元項目、関連した目的及び理由を関連諸元変更データとして登録することが可能となるので、例えば、視認性を高めるためにハンドル位置を下げた場合、シート位置も下げた方が良い、等というノウハウを登録することが出来、その後の車両企画に役立てることが出来る。従って、設計の経験が少ない者が、そのようなノウハウ等を活用することで、様々な部位を試行錯誤により調整する等の作業の繰り返しを少なくすることが出来る。即ち、車両企画上生じる問題を、登録されたノウハウ等に基づいて解決することが出来、車両企画をより効率的に進めることが出来る。その結果、設計の経験が少ない者が、より効果的に新たな発想に基づいた斬新な車両を企画することが出来る。
これらの結果、車両企画をより効率的且つ効果的に進めることが出来る。
また、本発明において、好ましくは、さらに、関連した目的及び理由を検索する履歴検索手段を有する。
このように構成された本発明においては、関連した目的及び理由を検索する履歴検索手段により、車両企画者は、例えば視認性を向上させようとするとき、視認性に関して登録された関連諸元変更データを検索することが出来る。そして、その検索したデータに基づいて、例えば視認性向上のためにはハンドル位置と共にシート位置を変更した方が良い、等の対処内容を知ることが可能になり、車両企画を有効に進めることが出来る。
また、本発明において、好ましくは、履歴登録手段は、関連した目的を関連諸元変更データの名称として登録をさせることが可能であり、履歴検索手段は、この名称で検索をさせることが可能である。
このように構成された本発明においては、履歴登録手段により、車両企画者は、関連した目的を関連諸元変更データの名称として登録し、さらに、この名称で検索をすることが可能となるので、関連諸元変更データを効率的に利用することが出来る。
また、本発明において、好ましくは、さらに、履歴登録手段による関連諸元変更データの登録後、関連諸元変更データに含まれる諸元項目と一致する諸元項目の諸元値が変更された場合、その一致した諸元項目を含む関連諸元変更データを報知する履歴報知手段を有する。
このように構成された本発明においては、関連諸元変更データの登録後、車両企画者が関連諸元変更データに含まれる諸元項目と一致する諸元項目の諸元値を変更した場合、履歴報知手段により、その一致した諸元項目を含む関連諸元変更データが報知されるので、車両企画者は、例えば、視認性向上のためにハンドル位置に関する諸元項目の諸元値を変更した場合、シート位置も変更した方が良いことを知ることが出来、その後の車両企画を有効に進めることが出来る。
本発明によれば、車両企画をより効率的に且つ効果的に行うことが出来る。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1乃至図3により、本実施形態による車両企画支援システムの概要を説明する。
図1は、本実施形態による車両企画支援システムの基本構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態による車両企画支援システムの評価用モニタ装置の基本構成を示す斜視図であり、図3は、本実施形態による車両企画支援システムの企画支援プログラムの構成、データベースの構成及びデータの概念的な流れを示す図である。
先ず、図1により、本実施形態による車両企画支援システムの基本構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態による車両企画支援システム1は、コンピュータ2と、データベースサーバ4と、評価用モニタ装置6とを備えている。
先ず、コンピュータ2は、CPU8、ROM10、RAM12、記憶部14、入力部16、表示部18、画像処理部20及び通信部22を有し、これらは、互いにシステムバスによって接続されている。
CPU8は、一般的なコンピュータの演算処理に加え、図3に示す企画支援プログラム30による処理を実行する中央演算装置である。ROM10には、コンピュータ2を起動させるブートプラグラム等が格納されている。RAM12は、車両企画支援システム上で実行される企画支援プログラム30や各種データを一時的に記憶するためのプログラム領域や、データの書き込みや読み出しを行うためのデータ領域を有する。
記憶部14は、ハードディスクドライブ等の記憶装置である。この記憶部14は、企画支援プログラム格納部を有し、図3に示す企画支援プログラム30が格納されている。入力部16は、命令やデータ等を外部から入力するキーボードや、マウス等である。表示部18は、液晶ディスプレイ等である。画像処理部20は、CPU8からの指令に基づき表示させようとするデータを演算処理して表示部18或いは評価用モニタ装置6で表示させる。通信部22は、無線又は有線の通信回線を介してデータベースサーバ4、評価用モニタ装置6及び他のコンピュータ(図示せず)との間で情報を送受信するものである。
次に、図2により、評価用モニタ装置を説明する。
図2に示すように、評価用モニタ装置6は、プロジェクタ24と平面スクリーン26とを備えている。プロジェクタ24は、画像処理部20で演算処理された情報に基づいて、後述する車両モデルやシミュレーションモデルを平面スクリーン26に後方側から投影する。そして、平面スクリーン26の前方側に位置する複数の車両企画者(企画車両の評価や各操作等を行う者)は、それらの車両モデルやシミュレーションモデルを表示する画面28を見ることが出来るようになっている。このように、評価用モニタ装置6により、試作車を作製しなくても、複数の車両企画者が、同時に、企画車両の検討や評価を行うことが出来るようになっている。
次に、図3により、企画支援プログラム30の概要及び車両企画の流れの概要を説明する。
図3に示すように、企画支援プログラム30には、モデル構想プログラム32及びシミュレーションプログラム34が含まれている。本実施形態では、モデル構想プログラム32により、企画車両の各部のレイアウトによって定まるパッケージング等に関する検討を進め、シミュレーションプログラム34により、その企画車両の評価を行うようになっている。
モデル構想プログラム32には、諸元値入力プログラム(諸元値入力画面表示プログラム)36、車両モデルデータ生成プログラム38、モーフィング画面表示プログラム40及び履歴登録表示プログラム42が含まれ、シミュレーションプログラム34には、シミュレーション画像表示プログラム44が含まれている。
先ず、車両企画においては、諸元値入力プログラム36により、車両企画者の入力等に基づいて、企画車両の車型や諸元値等で構成される「諸元値データ」が生成される。次に、車両モデルデータ生成プログラム38により、この諸元値データ及びデータベースサーバ4の各データベース60、62、64、66、68に格納されている「車両データ」(車両モデルのテンプレートとなるデータ)に基づいて「車両モデルデータ」が生成される。この車両モデルデータは、企画車両を「車両モデル」としてモーフィング画面上に表示させるためのデータである。この車両モデルデータ生成プログラム38には、基準モデルデータ生成プログラム46、外観モデルデータ生成プログラム48、外観パーツモデルデータ生成プログラム50、内装モデルデータ生成プログラム52及び内装パーツモデルデータ生成プログラム54が含まれている。
次に、モーフィング画面表示プログラム40により、車両モデルデータに基づいて「車両モデル」が表示される(図5乃至図9参照)。このモーフィング画面表示プログラム40には、2次元モーフィング画面表示プログラム56及び3次元モーフィング画面表示プログラム58が含まれ、それぞれにより、車両モデルが、2次元的及び3次元的に表示される。この車両モデルは、モーフィング即ちその各部の形状を変形させること及び各部の配置を変更することが可能なものである。なお、車両モデルを「変形」させることには、その表示された車両モデルの各部の形状を変更すること及び配置を変更することが含まれる。
次に、車両企画者は、モーフィング画面表示プログラム40により表示された車両モデルの各部の形状や配置を画面上で変更して、企画車両の外形や乗員配置などに関する検討を進めることが出来る。そのような検討後、シミュレーション画像表示プログラム44により、車両モデルを仮想空間内でシミュレーション表示し、車両企画者は、現実に存在する市街地等を模した仮想空間内で企画車両が走行する様子や車室からの視界を確認することが出来る。
また、履歴登録表示プログラム42により、諸元値の入力や変更等の履歴をその目的等を含めて履歴データベース76に登録することが出来る。また、登録されたデータは、検索が可能であり、また、所定の場合に報知されるようになっている。
次に、図3により、データベースサーバ4に含まれるデータベースについて説明する。
図3に示すように、データベースサーバ4には、基準データベース60、外観データベース62、外観パーツデータベース64、内装データベース66及び内装パーツデータベース68が含まれている。これらのデータベースには、詳細には後述するように車両モデルデータのテンプレートとなる車両データが格納されている。
また、データベースサーバ4には、ベンチマーク車両データベース70、規制値データベース72、仮想空間データベース74及び履歴データベース76が含まれている。
ベンチマーク車両データベース70には、既存車種に関する寸法や角度等を具体的な数値で表した複数の諸元値が車種毎に格納されている。このような諸元値は、企画車両の形状や各部の配置を変更するベースとなるベース車両や、企画車両の比較対象となるベンチマーク車両としてのデータとして使用することが出来る。
規制値データベース72には、レギュレーション上或いは車両設計上の制約値に関するデータが格納されている。これらのデータは、例えば、国内外の衝突安全基準で定められたバンパ高さ等の具体的な数値で構成されている。また、車両企画の段階に応じて許容することが出来る範囲を各諸元(ルーフ高さ等の諸元項目)に対して規定した規定値に関するデータが格納されている。
仮想空間データベース74には、車両モデルをシミュレーション表示する際の仮想空間に関する仮想空間データが格納されている。この仮想空間データは、建築物、道路、交差点、信号、歩行者、他の車両などをオブジェクトとして含む3次元仮想空間を形成するためのデータである。
履歴データベース76には、車両企画者による諸元値の設定或いは変更の手順やその目的等のノウハウが履歴データとして格納されている。また、この履歴データベース76には、新たに履歴データを保存することが出来る。
次に、図4乃至図10により、車両モデルについて説明する。
図4は、本実施形態による車両モデルに含まれる各モデルを説明するための図であり、図5は、本実施形態による基準モデルの主要寸法モデル(a)、乗員モデル(b)及びアンダーボディモデル(c)の一例を示す図であり、図6は、本実施形態による外観モデルのエクステリアモデルの一例を示す図であり、図7は、本実施形態による外観パーツモデルのドアモデル(a〜c)及びガラスモデル(d)の一例を示す図であり、図8は、本実施形態による内装モデルの上部インテリアモデル(a)及び下部インテリアモデル(b)の一例を示す図であり、図9は、本実施形態による内装パーツモデルのインパネモデル、コンソールモデル及びシートモデルの一例を示す図であり、図10は、本実施形態による乗員モデル、外観モデル及び内装モデルを組み合わせた車両モデルの一例を示す図である。
先ず、図4及び図5により、基準モデルを説明する。
図4に示すように、車両モデルには、基準モデル80が含まれ、この基準モデル80には、主要寸法モデル82、乗員モデル84及びアンダーボディモデル86が含まれている。
図5(a)に示すように、主要寸法モデル82は、車両の外枠82a、グラウンド(地面に相当)82b、車輪82c等に関するモデルであり、車両の外枠の寸法、ホイールベースの長さ、車輪の寸法等の諸元で規定される。
図5(b)に示すように、乗員モデル84は、乗員マネキン84a、ステアリング84b、ペダル84c及び視界条件84d等に関するモデルである。また、後述するように、乗員の頭が動く範囲や手が届く範囲等を示す空間エリア表示(図30乃至図36参照)もこのモデルに含まれる。
乗員マネキン84aは、乗員配置や姿勢を検討するためのものであり、国内外の基準に準じた一定の形状及び寸法を有している。この乗員マネキン84aは、乗員配置及び姿勢を特定するための種々の寸法や角度の諸元で規定される。諸元には、例えば、ヒップポイントの位置、ヒップポイントに対する頭頂やかかとの位置、最前列と2列目の乗員間の距離等が含まれる。なお、「寸法」には、各部間の「相対距離」も含まれる。
ステアリング84b及びペダル84cは、それらの乗員に対する配置を検討するためのものであり、それらの形状及び寸法は一定である。ステアリング84b及びペダル84cは、例えば、それらのヒップポイント又はかかとに対する相対距離や角度の諸元で規定される。視界条件84dは、アイポイントから車両前方に上下方向に広がる角度等の諸元で規定される。
図5(c)に示すように、アンダーボディモデル86は、ダッシュパネル86a、フロアパネル86b及びサイドシル86c等の車体の下部構造に関するモデルである。このアンダーボディモデル86は、ダッシュパネル86a及びフロアパネル86bを構成する数枚のパネルのそれぞれの寸法や角度、サイドシル86cの寸法等の諸元で規定される。
これらの各モデル82、84、86が組み合わされた基準モデル80及びこの基準モデル80を構成する各モデルにより、乗員配置等のパッケージングや車両の基本的な諸元を検討することが出来る。
次に、図4及び図6により、外観モデルを説明する。
図4に示すように、車両モデルには外観モデル90が含まれ、この外観モデル90には、エクステリアモデル92が含まれている。図6に示すように、エクステリアモデル92は、バンパ及びボンネット等を含む車両の外板に関するモデルである。このエクステリアモデル92は、車両の外形に関する種々の寸法や角度の諸元で規定される。諸元には、例えば、ホイールベース、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、カウルポイントの位置、ルーフトップ高さ、ピラー部の傾斜角度等が含まれる。
このような外観モデル90により、車両の外観イメージ等を検討することが出来る。さらに、外観モデル90を基準モデル80と組み合わせることで、車両の居住空間等のパッケージングをより詳細に検討することが出来る。
次に、図4及び図7により、外観パーツモデルを説明する。
図4に示すように、車両モデルには外観パーツモデル100が含まれ、この外観パーツモデル100には、ドアモデル102及びガラスモデル104が含まれている。
図7(a)乃至(c)に示すように、ドアモデル102は、前後ドアの開口フランジ102a、前後サイドドアの外板及びサッシュ102b、及び、リフトゲートの外板及びサッシュ102cに関するモデルであり、図7(b)乃至(d)に示すように、ガラスモデル104はフロントウインドウ、フロントクォータウインドウ、サイドウインドウ、リアクォータウインドウ及びリアウインドウの各ガラスに関するモデルである。これらのモデルは、それぞれの形状及び配置に関する種々の寸法や角度の諸元で規定される。
これらのモデル102、104により、外観の一部を構成するドアやウインドウガラスの形状や配置を個別に検討することが出来る。さらに、これらのモデル102、104を外観モデル90と組み合わせることで、車両の外観イメージ等をより詳細に検討することが出来る。
次に、図4及び図8により、内装モデルを説明する。
図4に示すように、車両モデルには内装モデル110が含まれ、この内装モデル110には、上部インテリアモデル112及び下部インテリアモデル114が含まれている。図8(a)に示すように、上部インテリアモデル112は、ピラートリム112a及びトップシーリング(ルーフヘッダ、ルーフレール及びルーフのトリム)112bに関するモデルであり、図8(b)に示すように、下部インテリアモデル114は、前後ドア及びリフトゲートのトリム114a、カウルサイドトリム114b、Bピラー下部トリム114c、リアサイドトリム114d及びスカッフプレート114eに関するモデルである。これらのモデルは、各トリムやトップシーリング等の形状及び配置に関する種々の寸法や角度の諸元で規定される。
この内装モデル110を乗員モデル84や外観モデル90と組み合わせることにより、乗員と内装との相対距離や、乗員による室内の圧迫感や車室外の視認性等を検討することが出来る。
次に、図4及び図9により、内装パーツモデルを説明する。
図4に示すように、車両モデルには内装パーツモデル120が含まれ、この内装パーツモデル120には、インパネモデル122、コンソールモデル124及びシートモデル126が含まれている。
図9に示すように、インパネモデル122、コンソールモデル124及びシートモデル126は、ダッシュボード等を含むインパネ、このインパネと連続しているコンソール及び複数のシートに関するモデルである。これらのモデルは、それらの車室内における配置を検討するためのものであり、一定の形状を有している。
インパネモデル122及びコンソールモデル124は、それらの配置に関する寸法や角度の諸元で規定される。また、シートモデル126は、シートの配置、シートの幅、ヘッドレスト上下位置、シートバック角度等に関する寸法(距離)や角度の諸元で規定される。
なお、インパネモデル122及びコンソールモデル124は、内装モデル110と整合するように、配置に応じて自動的に変形するようにしても良い。
この内装パーツモデル120を内装モデル110と組み合わせたモデル、さらに、外観モデル90や基準モデル80と組み合わせたモデルにより、インパネ、コンソール及びシートの配置や、車室内の圧迫感及び見栄えを検討することが出来る。
以上説明した図4に示す各モデルの配置は、所定の基準位置に対する相対距離で規定され、各モデルはそのような相対距離を諸元として有している。所定の基準位置には、例えば、前後方向基準点(例えば、カウルポイント)、グラウンド及び車両中間面(車両前後方向に延びる車幅方向の中間を通る面)等がある。
これらの車両モデルでは、主要寸法モデル82で車両の全体の大きさを検討すること、乗員モデル84で内部空間を検討すること、エクステリアモデル92で車両の外観イメージを検討すること等が個別に可能である。その結果、各モデルを組み合わせると、例えば、図10に示すように、乗員モデル84の頭部がルーフから飛び出ること等があり、本実施形態では、そのような干渉状態を視覚的に確認することが出来るようになっている。車両企画者は、そのような干渉状態を見て、ヒップポイントを下げる等の調整や、車両の外形イメージを再検討する等することが出来る。
ここで、従来、このような車両企画を行おうとすると、設計図を書き直す手間がかかったり、或いは、乗員の頭部がルーフから飛び出ないように予め高めのルーフ高さを決めてしまう場合等があり、車両企画が保守的になりがちであった。一方、本実施形態では、画面上で容易に形状変更が可能な車両モデルにより車両企画を行うことが出来、その結果、図10に示すように頭部が飛び出ても、各モデルの再検討が容易である。また、図2に示すような平面スクリーン26により、複数の車両企画者が互いにディスカッションを重ねながら車両企画を進めることが出来る。
このように、本実施形態による車両企画システム1によれば、従来の車両企画のアプローチとは全く異なり、従来の固定観念に縛られない自由度の高い手法で車両企画を行うことが出来る。その結果、自由な発想に基づいたより新しい外観イメージの車を企画することや、乗員が最も快適と考えられる居住空間を有する車両を企画すること等が可能になる。
次に、図3により、基準データベース60、外観データベース62、外観パーツデータベース64、内装データベース66及び内装パーツデータベース68に格納されている車両データについて説明する。
これらのデータベースに格納されている車両データは、車両モデルデータ(車両をモーフィング画面で表示させるためのデータ)を生成するときのテンプレートとなるデータである。即ち、車両データは、車両に関する寸法や角度の諸元をパラメータ(変数)として車両の形状や乗員姿勢等を規定したデータである。この車両データには、後述するルールデータが含まれている。
このような車両データを基に生成される車両モデルは、いわゆる寸法駆動が可能なモデルとなり、寸法や角度を変更すると、それに対応して車両の各部が変形し、或いは、乗員配置等が変更されるようになる。
車両データとしては、基準データベース60に、基準データである主要寸法データ、乗員データ及びアンダーボディデータが格納され、外観データベース62に、外観データであるエクステリアデータが格納され、外観パーツデータベース64に、外観パーツデータであるドアデータ及びガラスデータが格納され、内装データベース66に、内装データである上部インテリアデータ及び下部インテリアデータが格納され、内装パーツデータベース68に、内装パーツデータであるインパネデータ、コンソールデータ及びシートデータが格納されている。また、各データベース60、62、64、66、68には、車両の基本構成(車型、ピラー構成、シート配列)に対応する複数の車両データが格納されている。
次に、車両データに含まれるルールデータについて説明する。
ルールデータには、諸元同士を関連付けて、車両の各部の形状や配置の整合性を保つデータが含まれる。このようなデータにより、例えば、外形を表すエクステリアモデル92では、ルーフ長さを変更すると、そのルーフとのつながりを保つようにピラー部の角度も連動して変更され、さらに、内装を表す上部インテリアモデル112のトップシーリング(天井内張り)の長さも変更される。このようなルールは、ミニバンやセダンなど、車型ごとに異なるように設定され、例えば、ルーフの前縁を後方に下げた場合、ミニバンでは、フロントピラーの角度を保ったままボンネットが後方に延び、スポーツタイプでは、フロントピラーの傾斜角度が小さくなるようになっている。
なお、本発明の実施形態において、「車両モデル」とは、図4に示す各車両モデル80〜126を総称したものである。また、「車両データ」及び「車両モデルデータ」とは、図4に示す各車両モデル80〜126に対応するそれぞれのデータを総称したものである。また、車両モデルを表示することには、図4に示す各モデル80〜126を、個別に表示すること、或いは、いくつかを組み合わせて表示すること、或いは、すべてを組み合わせて表示させること、のいずれかを含む。
次に、図11及び図12により、諸元値入力プログラム36の機能及び諸元値入力画面について説明する。
図11は、本実施形態による諸元値入力画面の初期画面を示す図であり、図12は、本実施形態による諸元値入力画面の数値入力画面を示す図である。
諸元値入力プログラム36(図3参照)は、図11及び図12に示すような諸元値入力画面を表示させ、入力された諸元値から諸元値データを生成させる機能を有する。
先ず、図11に示すように、諸元値入力画面の初期画面には、車両の基本構成に関する項目が表示される。これらの項目では、車型(ハッチバック、セダン、ミニバン、スポーツ、オープン、トラックなど)、各車型に対応して複数用意されたピラー構成(ピラーの数や位置など)、及び、シート配列(1列、2列、3列など)を、車両企画者がそれぞれ数種類の中から選択することで、これらの項目が設定される。
また、図11に示す初期画面には、諸元値の読み込みに関する項目が表示され、車両企画者が、車両企画を行う上で車両形状を変形させるベースとする車両(ベース車両)を選択出来るようになっている。特定の車両(ここでは「A車」)を選択すると、ベンチマーク車両データベース70(図3参照)からその車両の諸元値が一括して読み出され、図12に示す諸元値入力テーブルに一括して入力される。
次に、図12に示すように、諸元値入力画面の数値入力画面には、諸元値入力テーブルと、各諸元項目の対応部位を示す車両の側面図及び平面図が表示される。入力テーブルは、車両モデルの名称(「基準モデル」等)を示すコラムと、各諸元項目に対応するパラメータ名(「WheelBase」等の名称や「L101」等の識別記号)を示す諸元項目コラムと、その各諸元項目に対応する諸元値として具体的な数値(「2400」等)を入力するための諸元値入力コラムと、諸元値の所定のレンジ(「±100」等の数値範囲)を入力するためのレンジ入力コラムと、キャリーオーバー指定コラム(「ON」等の表示)とで構成されている。
このような数値入力画面により、車両企画者が各モデルの各諸元項目に対応する諸元値を車型等に応じて入力或いは変更することで、諸元値が設定される。各車両モデルで共通の諸元値を使用している場合には、いずれかのモデルに対して入力した数値が、他のモデルの数値にも反映される。車両企画者は、この数値入力画面において、諸元値を変更することが出来、或いは、読み込んだ諸元値をそのまま用いてモーフィング画面上で変形することで諸元値を変更することが出来る。
また、このような諸元値入力画面により車型や諸元値等が設定されると、設定された車型等のデータ、及び、諸元値をそれぞれ諸元項目(パラメータ)と関連させて一覧化したデータをそれぞれ含む諸元値データが生成される。
次に、車両モデルデータ生成プログラム38による車両モデルデータの生成について説明する。
車両モデルデータ生成プログラム38に含まれる各モデルデータ生成プログラム46、48、50、52、54(図3参照)は、諸元値入力プログラム36により生成された諸元値データ及び各データベース60、62、64、66、68に格納されている車両データ(車両モデルのテンプレート)に基づいて車両モデルデータ(車両をモーフィング画面で表示させるためのデータ)を生成する機能を有する。
具体的には、先ず、各プログラム46、48、50、52、54により、諸元値データが読み込まれる。次に、その諸元値データに含まれる車型等の基本構成の情報に基づいて、該当する車型に対応する車両データが各データベース60、62、64、66、68から読み込まれる。次に、この読み込まれた車両データに諸元値データの諸元値が代入され、車両モデルデータが生成される。
車両モデルデータには、基準モデルデータ(主要寸法モデルデータ、乗員モデルデータ及びアンダーボディモデルデータ)、外観モデルデータ(エクステリアモデルデータ)、外観パーツモデルデータ(ドアモデルデータ及びガラスモデルデータ)、内装モデルデータ(上部インテリアモデルデータ及び下部インテリアモデルデータ)及び内装パーツモデルデータ(インパネモデルデータ、コンソールモデルデータ及びシートモデルデータ)が含まれる。
ここで、後述するように、3次元モーフィング画面では、諸元値データに含まれるすべての諸元値及び車両データに含まれるすべてのルールデータを組み込んだ車両モデル(3次元車両モデル)を表示する。
一方、2次元モーフィング画面では、車両を側面、平面或いは正面から見た所定の断面及び主要な形状に関する諸元値のみを組み込んだ車両モデル(2次元車両モデル)を表示する。また、組み込まれるルールデータも少なくなっている。
また、各モーフィング画面をそれぞれ効果的に使用するため、ドラッグや数値入力により変更可能な諸元の数は、3次元モーフィング画面では少なく設定され、2次元モーフィング画面では多く設定されている。
従って、車両モデルデータ生成プログラム38では、3次元モーフィング用の車両モデルデータ及び2次元モーフィング用の車両モデルデータを、表示させるモーフィング画面に応じてそれぞれ生成するようになっている。
次に、図13及び図14により、3次元モーフィング画面表示プログラム58の機能及び3次元モーフィング画面について説明する。図13は、本実施形態による車両モデルを表示する3次元モーフィング画面の一例であり、図14は、本実施形態による車両モデルの車室内を表示する3次元モーフィング画面の一例である。
図13に示すように、3次元モーフィング画面表示プログラム58は、車両モデルデータ生成プログラム38で生成された3次元モーフィング用の車両モデルデータに基づいて、車両モデルを任意の視点から見た3次元的な形状を、その視点に合わせて距離感が出るように表示させる機能を有する。
この3次元モーフィング画面には、各車両モデル(外観モデル90や乗員モデル84等)を任意に組み合わせて、或いは、個別に表示させることが出来る(図5乃至図9参照)。
また、図14に示すように、各モデルを組み合わせたモデルの車幅方向に断面をとれば、乗員モデル84、内装モデル112、114、内装パーツモデル122、126の車室内の様子を表示させることも出来る。各モデルは、上述した所定の基準位置を基準に重ね合わせられて表示される。
次に、図13に示すように、車両モデルは、図中Aで示すような丸印(一部のみ示す)で表示された、各寸法や角度の起点となる諸元ポイントをマウスによりドラッグすることにより各部の形状及び配置の変更をすることが出来るようになっている。このドラッグ後の諸元値は、自動的に計算され、諸元値データに反映される。
この3次元モーフィング画面で表示される車両モデルは、3次元形状を表示するためにすべての諸元値が反映され、且つ、変形させた場合に形状及び配置の整合性を保つために、諸元同士を関連付けるルールデータがすべて組み込まれて表示される。
従って、或る諸元ポイントをマウスによりドラッグすると、その諸元ポイントを起点とする寸法や角度が変更されると共に、ルール付けされた関連するその他の寸法や角度がすべて連動して変更されて、車両モデルが、形状や配置の整合性を保って変形する。
このように、3次元モーフィング画面では、車両形状をその見たままの3次元的な形状により直感的に変形させることが出来、車両企画を行う上で、車両形状の全体的なイメージをつかみ易くなっている。従って、車両企画者は、3次元モーフィング画面により、車両の3次元的なイメージを見ながら、感覚的に車両形状を様々に変形させて、自由な発想で従来にない特徴ある車両を企画することが出来る。
一方、3次元モーフィング画面では、形状が3次元的に表示されるので、寸法線を表示して寸法や角度の諸元値を直接に数値入力して変更するには向かず、また、各部(例えばルーフ)の形状を変更したい場合、どの諸元ポイントをドラッグすれば良いかが判断しくい場合がある。また、ルーフ形状を変更したとしても、ルーフがどのような曲線を描いているかを詳細に検討するには不便である場合がある。
このような場合、本実施形態では、以下に説明するように、車両企画者は、2次元モーフィング画面を活用して、有効に車両企画を進めることが出来るようになっている。
次に、2次元モーフィング画面表示プログラム56の機能及び2次元モーフィング画面について説明する。
先ず、図15乃至図17により、2次元モーフィング画面の種類及び車両モデルの表示内容について説明する。図15は、本実施形態による車両モデルを表示する2次元モーフィング画面の側面図表示(a)、平面図表示(b)及び正面図表示(c)の一例であり、図16は、本実施形態による車両モデルを表示する2次元モーフィング画面の側面図表示の他の例であり、図17は、本実施形態による車両モデルのピラー部の断面を示す2次元モーフィング画面の断面図表示の一例である。
2次元モーフィング画面表示プログラム56(図3参照)は、車両モデルデータ生成プログラム38で生成された2次元モーフィング用の車両モデルデータに基づいて、車両モデルを表示する機能を有する。
図15及び図16に示すように、車両モデルは、その側面、平面又は正面(或いは背面)から見た3面図表示(側面図表示(図15(a)、図16)、平面図表示(図15(b))、正面図表示(図15(c)))、及び、図17に示すように、ピラーやドア等の構成部分の断面を示す断面図表示で表示される。これらの側面図表示、平面図表示、正面図表示及び断面図表示は、それらのすべてを並べて或いは任意に選択して表示させることが出来る。
これらの2次元モーフィング画面では、車両モデルは、所定の断面及び主要な形状が直線や曲線で表示され(モーフィング形状表示)、さらに、モーフィング形状表示される形状に関する諸元値について、諸元項目、諸元値及びそれらを規定する寸法線が表示される(諸元値表示)。
例えば、図15(a)に太線で表されているように、側面図表示におけるモーフィング形状表示として、車両中間面の断面上に表れる形状(ルーフやカウル等の形状等)、及び、側面形状を特徴付ける主要な形状(例えば、ベルトライン形状)が表示される。また、諸元値表示として、諸元項目(本図では、「WheelBase」、「***」と表示)、諸元値(本図では、「2400」、「・・・」と表示)及び寸法線が表示される。
なお、この図15(a)では、モーフィング表示は、エクステリアモデル92について表示され、他のモデルは省略されている。また、そのようなモーフィング形状表示等と共に、エクステリアモデル92の外板の面形状のイメージや、乗員モデル84の配置や姿勢を示すイメージや線が表示されている。
また、図15(b)及び(c)に太線で表されているように、平面図表示及び正面図表示も同様に、車両を平面視或いは正面視した場合に外形を特徴付けることが出来る断面及び主要な形状についてのモーフィング表示及び諸元値表示が表示されている。さらに、外板の面形状のイメージが表示されている。
また、図16に示す2次元モーフィング画面の側面図表示では、エクステリアモデル92及び乗員モデル84についてモーフィング形状表示及び諸元値表示が表示され、エクステリアモデル92の外板の面形状のイメージは、その表示が省略されている。この図16に示す側面図表示では、車両の外形と乗員配置を検討することが出来る。
図15及び図16に示すように、車両企画者は、目的に合わせて、モーフィング形状表示をさせるモデルを任意に選択して表示させ、さらに、その参考にするモデルを任意に選択して、そのイメージを表示させることが出来る。このような2次元モーフィング画面により、例えば、乗員配置や外板のイメージを参考にしながら、車両の外形や主要寸法等について検討することが出来る。
次に、図17に示すように、断面図表示でも、上述したモーフィング形状及び諸元値表示が表示される。この断面図表示では、ピラー部の断面形状として、主にエクステリアモデル92と上部インテリアモデル112とを組み合わせた状態で表示されている。断面図表示として、その他の車両の主要な部分の断面を表示させることが出来る。
次に、図15乃至図17により、2次元モーフィング画面での車両モデルの各部の形状の変形及び配置の変更の方法、及び、適用されるルールについて説明する。
図15乃至図17に示すように、表示された諸元値(「・・・」)は、画面上で選択することにより数値入力が可能となっている。この諸元値の変更入力により、車両モデルの各部の形状及び配置の変更が行われるようになっている。従って、車両企画者は、諸元値の入力の都度、車両モデルの変形後の形状を見ながら作業を進めることが出来る。
なお、この2次元モーフィング画面では、図13に示す3次元モーフィング画面と同様に、図15中Aで示すような丸印の諸元ポイントも表示され、ドラッグによるモーフィングも可能になっている。この2次元モーフィング画面で表示される諸元ポイントは、適用されたすべての諸元値に関して表示可能である(本図では、一部のみ示す)。
上述した数値入力或いはこのドラッグにより変更された諸元値は、諸元値データに反映されるようになっている。
また、2次元モーフィング用の車両モデルは、上述したルールデータが最小限に組み込まれている。この最小限に適用されるルールとしては、ピラーとルーフとのつなぎを保つ等の車両形状が大きく破綻しないように定められたルールや、必然的に変更しなければならないヒップポイントとシート位置などを関連付けるルール等が適用される。
従って、車両企画者は、基本的には、ルールに縛られずに、変更しようとする部分に関する寸法や角度を一つ一つ変更することが出来るようになっている。このことにより、車両企画者は、その一つ一つの変更に対し変形形状をその都度確認しながら、車両形状を着実に仕上げていくことが出来る。
ここで、熟練者は3面図で表された設計図面に慣れていることが多く、3次元的に表示されるよりも、2次元的に3面図で表示される方が、車両の外観イメージ等を把握し易い場合がある。そして、2次元モーフィング画面では、車両モデルを従来の設計図面に近い3面図表示で見ることが出来るようになっているので、車両モデルの形状を、感覚的ではなく、具体的に把握することが容易である。従って、例えば、従来の設計図面に慣れた熟練者が、その経験に基づき頭の中に描く形状や数値を基にして、画面上で新たに企画しようとする車両モデルの形状を容易に形成することが出来る。このように、2次元モーフィング画面によれば、熟練者の経験を生かして、車両企画を効果的に進めることが出来る。
さらに、2次元モーフィング画面で表示される車両モデルは、所定の断面及び主要な形状に関する諸元値のみを組み込んだものであり、3次元モーフィング画面で表示される車両モデルより、車両モデルを規定するデータが少ない。また、上述したように、ルールデータも最小限に組み込まれている。従って、2次元モーフィング画面では、計算時間も短く、リアルタイムに形状を更新しながら、車両企画を効率的に進めることが出来る。
次に、図18により、3次元モーフィング画面及び2次元モーフィング画面における各車両モデル間のルールの適用について説明する。図18は、本実施形態による各車両モデル間に適用されるルールの主従関係を説明するための図である。
先ず、図18により、各車両モデル間に適用されるルールの主従関係について説明する。
上述したルールデータには、車両企画を効果的且つ効率的に進めるために、各車両モデル間の主従関係を定めたデータが含まれている。図18において、矢印は主従関係を表し、その起点のモデルが上位、終点のモデルが下位となる。そして、後述するモーフィング画面において、上位のモデルの諸元値が変更された場合、その変更された諸元値に関連する下位のモデルの諸元値も連動して変更され、その変更後の形状が表示される。例えば、主要寸法モデル82においてホイールベースを変更すると、その下位のモデルである乗員モデル84やエクステリアモデル92では、ホイールベースを変更したことにより影響を受けるダッシュパネルから乗員までの距離や前後ホイールアーチ部間の距離等の各諸元値が変更される。
一方、下位のモデルで諸元値を変更した場合、上位のモデルは連動して諸元値が変更されないようになっている。また、主従関係が設定されていないモデル同士でも、互いに連動して、諸元値が変更されないようになっている。例えば、乗員モデル84で乗員配置を変更しても、主要寸法モデル82のホイールベース等の各諸元値は変更されず、また、エクステリアモデル92の各諸元値も変更されない。
このような主従関係により、例えば、車両の外観を重視して車両を企画しようとする場合、車両の全体の大きさ(主要寸法モデル82)や内部空間(乗員モデル84)の制約に縛られずに、エクステリアモデル92で車両の外観イメージを検討することが出来る。また、逆に、外観イメージにとらわれずに自由な発想で居住空間を検討することも出来る。このように主従関係を設けることにより、車両企画を効率的に進めることが出来る。
次に、乗員モデル84に対する各車両モデルの位置関係を定めるルールデータについて説明する。
上述したルールデータには、乗員モデル84に対する各モデルの位置関係を記憶したデータが含まれる。
先ず、乗員モデル84とシートモデル126との間では、乗員モデル84のヒップポイントの諸元値を変更すると、シートモデル126の配置に関する諸元値が連動して変更され、変更後のヒップポイントに合う位置にシートモデル126が配置されるようにルールが設定されている。これにより、設計上、必然的に変更しなければならない諸元値を個別に変更する必要がないので、車両企画者の利便性が高まる。
また、乗員モデル84と、インパネモデル122及び下部インテリアモデル114との間では、乗員モデル84のヒップポイント(グラウンドからの高さ)の諸元値を変更すると、インパネ(インパネモデル122)及びドアトリム(下部インテリアモデル114)のグラウンドからの高さに関する諸元値が連動して変更され、インパネ及びドアトリムが所定の基準位置になるようにルールが設定されている。本実施形態では、所定の基準位置は、乗員から見たインパネやドアトリムの見栄え(圧迫感や開放感などを含む)を落とさない範囲に設定されている。
このような見栄え上の理由等によりヒップポイントとインテリアパーツとの相対位置関係がほぼ一義的に定まる場合、諸元値を個別に変更する必要がないので、車両企画者の利便性が高まる。なお、インテリアパーツを、ヒップポイントではなく、アイポイントに連動するようにしても良い。
ここで、シートモデル126、インパネモデル122及び下部インテリアモデル114は、連動して変更される許容範囲が定められている。この許容範囲は、例えば、シートモデル126では、フロアへの取付部品やシートクッションを設けることが出来る下限位置と、フロアに対する一定の上限位置とで定められている。また、インパネモデル122や下部インテリアモデル114では、許容範囲は、フロアに対する一定の下限位置と、カウルポイントやベルトラインを大幅に超えない上限位置とで定められている。
本実施形態では、このような許容範囲を超えた場合、シートモデル126、インパネモデル122及び下部インテリアモデル114は、そのような許容範囲の中央位置に変更されるようになっている。従って、配置の基準となる中央位置を視覚的に確認することが出来、その結果、車両企画段階での大きなミスを防止することが出来る。
一方、シートモデル126の配置を変更しても乗員モデル84のヒップポイントは変更されない。つまり、乗員モデル84は、基準モデル80に含まれており、視界条件や室内空間での乗員の位置など、車両の基本的なパッケージングを反映したものであるので、車両企画者が個別に調整するようにしている。
また、ブレーキペダルやステアリングホイールは、安全性などの理由により自動的に連動しない方が良い場合があるので、ヒップポイントが変更されても連動して変更されず、車両企画者が個別に調整するようにしている。
また、インパネ及びドアトリムは、それらの配置が変更されると、その形状が、他のピラートリムやカウルサイドトリム(下部インテリアモデル114)及びコンソールモデル124等の周囲のインテリアと整合するように連動して変形するようになっている。
次に、図19により、シミュレーション画像表示プログラム44の機能について説明する。
図19は、本実施形態によるシミュレーション画像表示プログラムにより表示される画像の一例であり、車両モデルが仮想道路上を走行する様子を運転手の視点から見た画像を示す図である。
シミュレーション画像表示プログラム44(図3参照)は、車両モデルを単なる数値データ(3次元座標データ)に置き換え、図19に示すように、このシミュレーション車両が仮想空間内の仮想道路上を走行する映像を表示させる機能を有する。
また、シミュレーション画像表示プログラム44は、乗員モデル84に設定されている運転手の視点(アイポイントEP)から見た映像や、車両外方の所定の視点から見たシミュレーション車両の走行状態の映像等が表示させる機能を有する。これらの映像により、車両企画者は、運転手による視認性、圧迫感などの視界に関する評価や、車両の外観の走行風景と合わせた評価を行うことが出来る。車両企画者は、車両モデルを走行させる仮想空間を、データベースサーバ4に含まれる仮想空間データベース74から選択することが出来る。
また、シミュレーション画像表示プログラム44は、企画車両とベンチマーク車両を仮想空間内で並走するように表示させる機能、同じ位置で片方の車両を半透明にするなどして重ね合わせて表示させる機能、及び、同じ仮想空間を表す2画面を並べてそれぞれ同時に走行させる機能等も有する。
次に、図20及び図21により、他の図(図11乃至図19、図22乃至図25)を参照しながら、本実施形態による車両企画支援システムによる処理の一例を説明すると共に企画支援プログラム30の機能についてさらに説明を加える。以下の説明でSは各ステップを示す。
図20は、本実施形態による車両企画支援システムによる処理の一例を示すフローチャートの前半であり、図21は、本実施形態による車両企画支援システムによる処理の一例を示すフローチャートの後半であり、図22は、本実施形態によるモーフィング表示設定メニューの画面を示す図であり、図23は、本実施形態によるシミュレーション表示及び2次元モーフィング表示が合わせて表示された画面の一例を示す図であり、図24は、図19に示すシミュレーション表示された車両モデルのピラー部の形状及び大きさを変更した後の画像の一例を示す図であり、図25は、本実施形態によるシミュレーション表示された車両モデルのピラー部の変更後及び変更前の画像を並べて表示した画像の一例を示す図である。
先ず、図20に示すように、S1において、図11及び図12に示すような諸元値入力画面が表示され、車両企画者は、車型等の車両の各種の情報の選択及び諸元値の入力を行う。或いは、車両企画者の指示によりベンチマーク車両データベース70からベース車両の諸元値が読み込まれる。
次に、S2に進み、S1において入力された或いは読み込まれた諸元値等に基づいて、諸元値データが生成される。
次に、S3に進み、図22に示すようなモーフィング表示設定メニュー画面が表示され、車両企画者は、表示するモーフィング画面を選択する。図22では、2次元モーフィング画面の3面図表示が選択されている。また、車両企画者は、後述するベンチマーク車両に関する項目及び空間エリア表示に関する項目に関してそれぞれ選択する。なお、このモーフィング表示設定メニュー画面は、モーフィング画面表示プログラム40により表示される。
次に、S4に進み、S3において車両企画者により選択されたモーフィング画面に応じて2次元用或いは3次元用の車両モデルデータが生成される。
次に、S5或いはS8に進み、2次元或いは3次元のモーフィング画面が表示される。
ここで、上述したように2次元モーフィング画面では、車両モデルの形状変形や配置変更等を効果的且つ効率的に行えるようになっており、一方、3次元モーフィング画面では、車両の3次元的なイメージをつかみやすくなっている。従って、ここでは、最初にS5に進んで2次元モーフィング画面を表示し、その後、S8により3次元モーフィング画面を表示して車両の3次元的なイメージをつかむようにして、車両企画を進める場合について説明する。
S5において、図15乃至図17に示すような2次元モーフィング画面が表示される。表示された2次元モーフィング画面により、車両企画者は、車両モデルの各部の形状変形や配置の変更を行うことが出来る。このS5では、この形状変形や配置の変更により変更された諸元値が、一時的にRAM12(図1参照)に記憶される。
車両企画者による2次元モーフィング画面における作業の終了後、車両企画者が、図15乃至図17に示すような3次元モーフィング画面への移行ボタン(「3Dへ移行」と表示)を押すと、S6に進み、一時記憶された変更後の諸元値が一括して諸元値データへ反映される。
次に、S7に進み、変更後の諸元値データに基づいて、3次元モーフィング用の車両モデルデータが一括して生成される。
このように、2次元モーフィング画面における変更作業の途中で、逐次、3次元モーフィング画面用の車両モデルデータの生成が行われるのではなく、作業終了後に一括して、3次元モーフィング用の車両モデルデータの生成が行われるようになっている。
ここで、上述したように、2次元モーフィング画面の車両モデルは、適用される諸元値及びルールが、3次元モーフィング画面用の車両モデルより少ない。従って、逐次、3次元モーフィング画面用の車両モデルデータの生成が行われた場合には、例えば、ボンネット部分とフェンダー部分との接続面が一致しない等、整合性がとれないことによるエラーが生じる場合がある。従って、2次元モーフィング画面における作業終了後に、3次元モーフィング用の車両モデルデータを一括して生成させることにより、整合性がとれないことによるエラーの多発を防止することが出来る。
また、上述したように、3次元用の車両モデルデータの生成には、諸元値やルールがすべて反映されるので計算量が多い。従って、3次元用の車両モデルデータの計算に要する時間を省くことにより、車両企画を効率的に行うことが出来る。
次に、S8に進み、図13及び図14に示すような3次元モーフィング画面が表示される。この画面により、車両企画者は、企画した車両の形状や各モデルの整合性を様々な視点から3次元的に確認することが出来る。また、車両モデルの形状変形を行うことが出来る。このS8では、上述したような整合性がとれない部分がある場合、その具体的な位置及び理由を示すエラー表示が表示される(図示せず)。車両企画者は、このエラー表示を見て、各部の整合性をとる作業等を行うことが出来る。
次に、S9に進み、車両企画者が、再び2次元モーフィング画面において車両の変形等を行う必要があると判断し、図13及び図14に示すような2次元モーフィング画面への移行ボタン(「2Dへ移行」と表示)を押すと、S5に進み、再度、2次元モーフィング画面が表示される。
なお、車両企画者は、図20中、破線で示すように、先ずS8で車両の3次元的なイメージをつかむか、或いは、おおまかな変形を行った後、S9において2次元モーフィング画面への移行ボタンを押して、S5における2次元モーフィング画面での作業を行うことも出来る。
次に、図21に示すように、S10に進み、車両モデルがシミュレーション車両として保存される。
次に、S11に進み、シミュレーション画像表示プログラム44(図3参照)により走行条件設定画面(図示せず)が表示され、車両企画者は、走行ルート、日照方向、天候、走行速度、旋回速度等を設定する。
次に、S12に進み、S11で設定された走行条件に合わせて、仮想空間データベース74から仮想空間データが読み出され、さらに、この仮想空間データと、S10で保存されたシミュレーション車両のデータとが組み合わされて、図19に示すように、シミュレーション車両が仮想空間内の仮想道路上で走行する様子が表示される。車両企画者が、図19に示すような画面上の一時停止ボタンを押すと、表示が一時停止される。この一時停止によって、車両企画者は、企画車両をじっくり評価することが出来、例えば、信号や歩行者の視認性等の評価を行うことが出来る。
次に、S13に進み、車両企画者が、図19に示すような画面上の2次元シミュレーション表示ボタン(「2Dモーフィング表示」と表示)を押すと、S14に進み、図23に示すように、2次元モーフィング画面表示プログラム56により、シミュレーション表示と合わせて2次元モーフィング画面が表示される。なお、このような2次元モーフィング画面は、単独で画面上に大きく表示させることも出来る。
車両企画者は、例えば、図19に示すように、歩行者が三角窓のピラーを含むAピラー部に隠れて視認性が悪いと判断した場合、図23に示すようなこの2次元モーフィング画面により、車両モデルの形状変更等を行うことが出来る。例えば、歩行者に対する視認性を高めるために、ピラー部に対する乗員モデル84の配置を変更する。或いは、図17に示すようなピラー部の断面を示す2次元モーフィング画面を表示させて、エクステリアモデル92及び上部インテリアモデル112のピラー部の形状や大きさを変更する。
このような作業の終了後、車両企画者が、図23に示すようなシミュレーション表示への移行ボタンを押すと、S15に進み、変更後の諸元値が諸元値データに反映される。
次に、S16に進み、シミュレーション画像表示プログラム44により、変更された部分(例えば、ピラーの断面形状)に対応するシミュレーションモデルの一部の数値データが変更される。
次に、S12に戻り、変更後のシミュレーション車両が再表示される。本実施形態では、図24に示すように、一時停止した画面が再表示され、破線で示すような変更前のシミュレーション車両モデル(実際には、半透明等で表示される)と、実線で示すような変更後のシミュレーション車両モデル(通常のシミュレーション表示)とが重畳表示される。なお、図25に示すように、変更前のシミュレーション車両モデルと、変更後のシミュレーション車両モデルとが、それぞれ並べて表示されるようにすることも出来る。また、シミュレーション表示を、この一時停止の状態或いは最初の状態からスタートさせることが出来る。
このように、シミュレーション表示と2次元モーフィング表示との連係度合を高めているので、車両企画者は、シミュレーション表示中に迅速に車両モデルの変形を行い、さらに、その変形後の車両モデルを迅速にシミュレーション表示させて、その作業性を向上させることが出来る。特に、本実施形態では、2次元モーフィング画面は、3面図表示や断面図表示等により変更したい部分のみを変更することが容易であり且つ形状を具体的に把握し易く、さらに、3次元モーフィング表示よりも計算時間が短いので、シミュレーション表示中に2次元モーフィング表示をさせても、効率的に車両企画を進めることが出来る。従って、シミュレーション表示終了後、再度、諸元値入力画面や3次元モーフィング画面に戻って車両モデルの変形等の作業を行うよりも作業性が向上する。
次に、S13において、車両企画者が、車両形状等を変更する必要がないと判断した場合には、S17に進み、シミュレーション表示を終了するか、或いは、他の走行条件でS11乃至S16の処理を繰り返すことも出来る。
以上説明したように、車両企画者は、シミュレーション表示により、運転手の視認性や圧迫感などの居住性を視覚的に評価することが出来、さらに、試作車を作製する手間及びコストを大きく削減することが出来る。また、本実施形態では、企画車両を、シミュレーション表示画面で確認しつつ、2次元モーフィング画面で形状変更等を行うことが出来るので、車両企画を効率的且つ効果的に行うことが出来る。
次に、図22及び図26により、2次元モーフィング画面表示プログラム56のベンチマーク車両の重ね合わせ表示機能について説明する。図26は、本実施形態による車両モデルにベンチマーク車両のイメージが重ね合わされて表示された2次元モーフィング画面の側面図表示の一例である。
2次元モーフィング画面表示プログラム56(図3参照)は、上述した機能以外に、車両企画の参考や比較対象にしようとするベンチマーク車両を、企画車両の車両モデルと重ね合わせて表示させる機能を有する。
図22に示すように、車両企画者は、ベンチマーク車両選択項目において、ベンチマーク車両を選択する。ベンチマーク車両のデータは、ベンチマーク車両データベース70に格納されており、その中から選択することが出来る。特定の車両(ここでは「B車」)を選択すると、諸元値入力プログラム36により、ベンチマーク車両データベース70からその車両の諸元値が一括して読み出され、企画車両とは別の諸元値データが生成される。車両モデルデータ生成プログラム38は、この諸元値データを基に、ルールを適用しない単なる数値データとしての車両モデルデータを生成させる。
図26に示すように、2次元モーフィング画面表示プログラム56(図3参照)は、この車両モデルデータを基に、参考画像としてベンチマーク車両を画面上に表示する。本実施形態では、ベンチマーク車両は半透明に表示され(図26では仮想線で示す)、企画車両の車両モデルに重ね合わせて表示される。
また、車両企画者は、図22に示す選択画面において、企画車両の車両モデルと、ベンチマーク車両とを重ね合わせる基準位置を選択する(図22では、「フロントバンパー先端」が選択されている)。図26に示すように、ベンチマーク車両は選択された基準位置を基準に重ね合わされて表示される。
ここで、2次元モーフィング画面では、所定の断面及び主要な形状のみが表示されるので、車両企画者は、ベンチマーク車両の重ね合わせ表示により、企画車両の車両モデルとベンチマーク車両とを比較し易く、車両企画をより有意義に進めることが出来る。また、重ね合わせの基準位置を選択することが出来るので、比較或いは参考にしたい部分について、より確実に比較を行うことが出来る。
次に、図12、図27乃至図29により、本実施形態によるレンジ入力及びレンジ表示の機能について説明する。
図27は、本実施形態による車両モデルと共にレンジ表示を表示した2次元モーフィング画面の一例であり、図28は、本実施形態によるレンジ表示設定メニューの画面を示す図であり、図29は、本実施形態による複数の車両形状のレンジ表示を表示する2次元モーフィング画面の一例である。
本発明の実施形態では、諸元値入力プログラム36及び各モーフィング画面表示プログラム56、58(図3参照)は、それぞれ、レンジ入力機能及びレンジ表示機能を有し、車両企画者によるレンジ値(所定の数値範囲)の入力により、そのレンジ値に応じた車両形状が表示されるようになっている。
ここで、車両形状を表示するには、或る特定の数値で表された諸元値が必要となるが、車両企画段階では、例えば、mm単位で数値を特定することに意味がない場合が多く、また、或る特定の数値を決めるのが不便な場合がある。従って、本実施形態では、レンジ入力を可能にすることにより、車両の企画を効果的に進めることが出来るようにしている。
先ず、図12により、レンジ入力機能について説明する。
本実施形態では、図12に示すように、諸元値入力プログラム36のレンジ入力機能により、諸元値入力画面にレンジ入力コラム(レンジ入力画面)が表示され、車両企画者は、各車両モデルの各諸元値に対するレンジ値を入力することが出来るようになっている。
具体的には、車両企画者は、レンジ値として、ルーフ高さなどの個々の諸元に対して、デザイン上の自由度を定める範囲となる上限値及び下限値を入力することが出来る。例えば、図12に示すように、入力したルーフ高さ(RoofHeight)の諸元値1500に対し、ルーフ高さを50mm高く或いは50mm低くした場合に、車両形状が全体としてどのようなイメージに変わるかを知りたい場合、車両企画者は「±50」と入力する。
ここで、レンジ入力コラムには、例えば、「±50」や「−10mm〜+50mm」等の諸元値に対する値の差を入力する。また、「1720〜1780」等の下限値と上限値をそれぞれ入力することが出来、この場合には、諸元値入力コラムへの諸元値の入力を省略することが出来る。
次に、図12、図27及び図28により、レンジ表示機能ついて説明する。
本実施形態では、図27及び図28に示すように、各モーフィング表示プログラム56、58のレンジ表示機能により、諸元値に基づく車両モデルが表示されると共に、入力されたレンジ値に対応する車両形状(レンジ表示)が表示されるようになっている。
図27に示すように、モーフィング画面では、基準表示として、諸元値に対応する車両モデルA(実線で示す)が表示されると共に、レンジ表示として、上限値における車両形状B(仮想線で示す)及び下限値における車両形状C(仮想線で示す)がそれぞれ表示されるようになっている。この図27に示す例では、基準表示は車両全体について表示され、レンジ表示は、車両の一部、即ち、ピラー部及びルーフ部のみ表示されている。
図27では、レンジ表示を仮想線で示したが、実際には、半透明で或いは基準表示(車両モデル)とは異なる色で表示される。また、3次元モーフィング画面においても同様に、レンジ表示が、例えば、半透明に表示される。
この図27に示す例では、基準表示及びレンジ表示で表される3つの形状が表示され、車両企画者は、ルーフ高さが異なる場合の外観形状を同一画面で比較することが出来る。また、レンジ表示を車両モデルの形状変形等の目安とすることが出来る。さらに、例えば、諸元値にベース車両の値を読み込み、このベース車両に対してレンジを入力すれば、ベース車両との比較をすることが出来る。
このような比較をする場合、従来は、諸元値を入力し直してモーフィング画面を表示させる作業を繰り返しており、時間がかかる上に比較もしにくかった。本発明の実施形態によれば、このような比較を容易に行うことが出来るので、車両企画を効率的に進めることが出来る。
次に、図28に示すように、このようなレンジ表示は、レンジ表示設定メニューで、表示のON−OFFを選択することが出来るようになっている。
また、この設定メニューにより、上限値表示及び下限値表示を任意に選択して、いずれか又は両方を基準表示に加えて表示させることが出来る。上限値表示又は下限値表示のいずれかを選択した場合には、基準表示に対し、レンジ表示が一つ表示され、互いに対比することが出来る。
また、基準表示(車両モデル)を非表示にして、上限値と下限値の2つのレンジ表示形状のみを表示させることも出来る。この場合、車両企画者は、上限値表示及び下限値表示の2つの形状の範囲内で、企画車両形状を自由に頭の中で想像し易くなる。
さらに、複数表示の項目をONにすれば、上限値と下限値のレンジ範囲内で複数のレンジ表示も表示させることも可能である。図28に示すように、例えば、4分割や25mm毎などの所定の単位を入力すると、図29に示すように上限値から下限値にかけて任意の単位で複数のレンジ表示Dが表示される。図29に示す例では、上限値から下限値にかけて4分割(或いは25mm単位)した複数の車両形状Dを示すレンジ表示が表示されている。本実施形態では、複数のレンジ表示を表示させる場合、基準表示を非表示にしている。従って、車両企画者は、複数のレンジ表示を互いに比較し易くなっている。図29に示す例では、ピラー部及びルーフ部の基準表示が非表示になっている。
また、画面上において、所定位置の形状を表示させたい場合、複数のレンジ表示の中から一つ或いは複数選択して、その選択した車両形状のみを表示させることも出来る。この場合、基準表示を表示し、その選択したレンジ表示と互いに対比することが出来る。
ここで、諸元値を入力せず、レンジ入力コラムに「1720〜1780」等の上限値と下限値を入力した場合には、上限値と下限値の中間値である1750が自動的に諸元値として定められ、各モーフィング画面ではその自動的に定められた諸元値を使用して基準表示(車両モデル)が表示される。
次に、レンジ値の入力及び諸元値の変更の規制について説明する。
レンジ入力機能及びレンジ表示機能は、レンジ値の入力及び各モーフィング画面における諸元値の変更を規制する機能を有する。
先ず、レンジ値の入力及び諸元値の変更が不可となる場合について説明する。
自動車の開発において、例えば既存車種のドアやボンネット等をキャリーオーバー(流用)する場合がある。車両企画において、このようなキャリーオーバーを考慮して進めることで、車両企画をしてみたものの実現不可能な車両を開発することを防止することが出来る。
そこで、本発明の実施形態では、レンジ入力機能及びレンジ表示機能に、キャリーオーバーする部品に関するレンジ値の入力及び各モーフィング画面における諸元値の変更が受け付けられないように規制する機能を持たせている。
具体的には、図12に示す諸元値入力画面において、車両企画者が、キャリーオーバーする部品(例えば、ドア)の各諸元項目に対しキャリーオーバー指定コラムをONにすると、このONにされた諸元値のレンジ入力コラムには「±0」と表示され、レンジ値の入力が不可となる。また、キャリーオーバーをする場合には、車両企画者は、ベンチマーク車両データベース70からキャリーオーバーする部品の諸元値を読み込む。この読み込まれた諸元値を変更する入力も不可となり、レンジ値と共に車両企画者による入力が受け付けられなくなる。
諸元値入力プログラム36により生成される諸元値データには、各諸元項目に対しキャリーオーバー指定の情報が付加され、さらに、車両モデルにも反映されるようになっている。従って、各モーフィング画面でも、このキャリーオーバー指定コラムで指定された諸元値は、その変更が出来ないようになっている。そして、車両企画者が諸元値を変更しようとすると警告(図示せず)が行われるようになっている。
また、キャリーオーバー指定された諸元項目に関して上述したルールデータも適用されないようになっている。従って、本来ならルールデータに基づいて他の部分の諸元値の変更により連動して変更される諸元値であっても、キャリーオーバー指定がONである諸元値は、連動して変更されないようになっている。
なお、キャリーオーバーする場合でも一部の寸法等を変更する場合には、諸元値の変更を受け付けるようにしても良い。この場合には、警告を行うようにすると、車両企画者にキャリーオーバー指定されていることを知ることが出来る。
また、キャリーオーバーでない場合でも、車両企画の途中で、例えばデザイン上特徴ある部分の諸元値を固定して、その後の車両企画を進めたい場合がある。この場合には、諸元値入力画面に戻り、キャリーオーバー指定をONにした後に諸元値データを生成すれば、その後、その部分に関する諸元値の変更が規制される。
次に、レンジ値の入力及び諸元値の変更が所定の制約範囲に規制される場合について説明する。
自動車の開発においては、レギュレーション上の規制や車両設計上の制約を考慮する必要がある。例えば、レギュレーションとして、フロントバンパの高さは国内外の衝突安全基準等の制約を受け、また、車両設計上でも、エンジンの搭載位置等に関係してボンネット高さが制約を受ける場合がある。車両企画において、このような制約を考慮して進めることで、その後の開発を効率的に進めることが出来ると共に、車両企画をしてみたものの実現不可能な車両を開発することを防止することが出来る。
そこで、本発明の実施形態では、レンジ入力機能及びレンジ表示機能に、レンジ値の入力及び諸元値の変更が上述したような制約の範囲内でのみ受け付けられるように規制する機能を持たせている。
具体的には、規制値データベース72(図3参照)には、レギュレーション上或いは車両設計上の制約値に関するデータが格納され、諸元値入力プログラム36は、そのレンジ入力機能により、規制値データベース72の各諸元項目に対する制約値を参照し、その制約値を超える入力を受け付けないようにする。従って、車両企画者は、図12に示す諸元値入力画面において、各諸元項目に対し、その制約値の数値範囲(制約範囲)内で諸元値を入力することが出来、さらに、その入力した諸元値に対して制約範囲を超えない範囲でレンジ値を入力することが出来る。制約範囲を超える数値を入力しようとすると、警告(図示せず)が行われるようになっている。
諸元値入力プログラム36により生成される諸元値データには、各諸元項目に対しこの制約範囲もデータとして付加され、さらに、車両モデルにも反映されるようになっている。従って、各モーフィング画面でも、制約範囲を超える諸元値の変更が出来ないようになっている。そして、車両企画者が制約範囲を超えて諸元値を変更しようとすると、警告(図示せず)が行われるようになっている。
また、各モーフィング画面では、制約範囲を有する諸元値が、他の諸元値を変更することにより上述したルールデータに基づいて連動して変更される場合、制約範囲内でのみ連動するようになっている。本来ならルールデータに基づいて制約範囲を超えるような場合には、警告が行われる。
次に、レンジ値の入力及び諸元値の変更が、企画車両の開発段階に応じて定められた所定の規定範囲に規制される場合について説明する。
自動車の開発においては、通常、車両企画が最終段階に近づく程、諸元値に対し許容できるレンジ値は狭くなる。例えば、車両企画の最終段階に近くなる程、車両の外形やドア形状を大きく変更しない方が車両企画を効率的に進めることが出来る。車両企画の各段階において、このような許容範囲を考慮して車両企画を進めることで、車両企画を効果的に進めることが出来る。
そこで、本実施形態では、このような許容範囲を予め規定し、レンジ入力機能及びレンジ表示機能に、レンジ値の入力及び諸元値の変更がその規定した範囲内でのみ受け付けられるように規制する機能を持たせている。
具体的には、規制値データベース72(図3参照)には、諸元値に対し許容できる範囲を規定した規定値が予め格納されている。この規制値データベース72には、例えば、初期段階のstage1では「±100」、中間段階のstage2では「±50」、最終段階に近いstage3では「±0」というような規定値のデータが格納されている。このような規定値は、各諸元項目に応じた値が設定されている。
一方、図11に示すように、諸元値入力画面の初期画面には、「stage1」や「stage2」等の企画段階を選択する選択ボタンが表示され、車両企画者により、企画段階が選択される。
諸元値入力プログラム36は、そのレンジ入力機能により、車両企画者により選択された企画段階に対応する規制値データベース72の規定値を参照し、その規定値を超える入力を受け付けないようにする。従って、車両企画者は、図12に示す諸元値入力画面において、各諸元項目に対し、その規定値の数値範囲(規定範囲)内で諸元値を入力することが出来、さらに、その入力した諸元値に対して規定範囲を超えない範囲でレンジ値を入力することが出来る。
この規定範囲による規制でも、上述したレギュレーション等による制約範囲による規制と同様に、規定値を超える数値の入力は受け付けられず、また、諸元値データにこのような規定値がデータとして付加されると共に車両モデルにも反映される。従って、各モーフィング画面でも、規定範囲を超える諸元値の変更が出来ないようになっており、さらに、規定範囲内でのみ上述したルールデータに基づいて連動して変更されるようになっている。
次に、図22、図30乃至図36により、乗員モデル84に含まれる空間エリア表示について説明する。
図30は、本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示及び乗降エリア表示を含む乗員モデルを表示する2次元モーフィング画面の一例を示す図であり、図31は、本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示及び乗降エリア表示を含む乗員モデルを表示する2次元モーフィング画面の一例を示す図であり、図32は、本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示及び乗降エリア表示を含む乗員モデルを表示する3次元モーフィング画面の一例を示す図であり、図33は、本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示の変形例を示す図であり、図34は、本実施形態による空間エリア表示であるリーチエリア表示を含む乗員モデルを表示する3次元モーフィング画面の一例であり、図35は、本実施形態による空間エリア表示であるステアリング操作エリア表示の表示を示す図であり、図36は、本実施形態による空間エリア表示であるペダル操作エリア表示の表示を示す図である。
ここで、3次元モーフィング画面において、乗員モデルと共に他のモデルを表示させる場合、任意の視点から見て距離感が出るように3次元的に表示されるようになっている。しかし、モニター自体が平面である場合、ルーフやピラー等に対する頭部周りの空間、乗降時のドア開口部に対する頭上空間及び乗員の腕がステアリングやインパネ等に届く範囲等を客観的に把握しにくい場合がある。また、2次元モーフィング画面においても、実車のように頭上に手を入れて評価すること等が出来ず、同様に空間の距離を客観的に把握しにくい場合がある。
そこで本実施形態では、図30乃至図34に示すように、乗員モデル84の周りの空間の大きさを客観的に評価すると共に乗員モデル84とその他のモデルとの相対的な関係を評価するために、2次元及び3次元の各モーフィング画面での乗員モデル84の表示の際、空間エリア表示として、頭部エリア表示130、乗降エリア表示132、リーチエリア表示134、ステアリング操作エリア表示136及びペダル操作エリア表示138も合わせて表示することが出来るようになっている。
先ず、図30乃至図33により、頭部エリア表示130を説明する。
図30乃至図32に示すように、頭部エリア表示130は、乗員(乗員モデル84)が、通常の姿勢でいるとき、前方に身を起こしたとき、前後左右に首を振ったとき等を含むその頭部が動く範囲として、実際に頭部が移動する軌跡を含む頭部から所定距離にある空間を示すものである。この表示では、ルーフ等と干渉している部分が明度の違い等によって明確に分かるようになっており、例えば、図32に示す表示では、頭頂付近で明度が異なっている部分130aがあり、ルーフと干渉しているのが分かる。
また、図33に示すように、頭部エリア表示130は、何層かに分けて表示することが出来る。このような階層表示は、その相互の間隔及び頭部からの距離を任意に指定して表示させることが出来る。このような表示により、どの層の表示がルーフと干渉するかによってヘッドクリアランス(ルーフとの間隔)を客観的に評価することが出来る。
このような頭部エリア表示130は、乗員モデル84の姿勢や配置(ヒップポイント、トルソー角、ヒールポイント等)を変更すると、連動して、その変更後の位置に対応した位置に表示される。
このような頭部エリア表示130により、頭上空間、頭部とルーフやピラー等との干渉具合、乗員の感じるルーフやピラー等に対する圧迫感等を評価することが出来る。
次に、図30乃至図32により、乗降エリア表示132を説明する。
図30乃至図32に示すように、乗降エリア表示132は、ドア開口部の近傍に表示され、乗員モデル84の頭部の頭頂が乗降の際に通過する範囲を示すものである。この乗降エリア表示132も、頭部エリア表示130と同様に階層表示させることが出来、図30乃至図32では、階層表示された例が示されている。
この表示は、湾曲した曲面で表示され、乗員が前屈みで降りたり、上半身が比較的直立した姿勢で降りたりする際の通過位置を含むようになっている。この表示は、乗員モデル84の配置に連動した位置に表示される。
このように、乗降エリア表示132により、乗降の際における頭上空間(ルーフやピラーとの間隔)や、頭部とルーフやピラー等との干渉を、上述した頭部エリア表示130と同様に評価することが出来る。
次に、図34により、リーチエリア表示134を説明する。
図34に示すように、リーチエリア表示134は、乗員モデル84の前方に表示され、乗員(乗員モデル84)が腕を前方に向けてほぼ延ばし且つ上下左右に動かしたときに手が届く範囲を示すものである。図34では、手がステアリング84bに届かないことが分かる。この表示も、乗員の大きさに応じた腕の長さを考慮して、乗員から所定距離前方に何層かに分けて表示することが出来る(図示せず)。この表示も、上述した頭部エリア表示130と同様に、乗員モデル84の姿勢等に連動した位置に表示される。
このように、リーチエリア表示134により、ステアリング84b、シフトレバー(図示せず)やインパネの計器(図示せず)等に対する乗員の操作性や使い易さを評価することが出来る。
次に、図35及び図36により、ステアリング操作エリア表示136及びペダル操作エリア表示138を説明する。
図35に示すように、ステアリング操作エリア表示136は、ステアリング84bに重畳して表示され、このステアリング操作エリア表示136により、ステアリング傾斜角度やステアリングセンター等のステアリング自体の操作性を評価することが出来る。
また、図36に示すように、ペダル操作エリア表示138は、ペダル84cに重畳して及びその近傍に表示され、このペダル操作エリア表示138により、各ペダルのペダル操作空間、ペダル高さ、ペダル傾斜角度、ペダル軌跡及び各ペダル同士の段差等のペダル自体の操作性を評価することが出来る。例えば、ペダル角度は、乗員のヒップポイントを上下させたときに足首の角度に連動して表示される。
次に、図22により、空間エリア表示の設定メニューについて説明する。
図22に示すように、モーフィング表示設定メニューにより、上述した各表示のON−OFFを選択することが出来るようになっている。この場合、頭部エリア表示130、乗降エリア表示132、リーチエリア表示134、ステアリング操作エリア表示136及びペダル操作エリア表示138を任意に選択して表示させることが出来る。
また、階層表示のON−OFFを選択することが出来、さらに、階層表示させる場合の乗員モデル84に対する相対距離(頭部に対する距離、腕の付け根に対する距離等)及び階層表示の相互間隔を、それぞれ数値で入力することが出来る。
次に、図37乃至図42により、履歴登録表示プログラム42の機能について説明する。履歴登録表示プログラム42(図3参照)は、主に、履歴登録機能、履歴検索機能及び履歴報知機能を有する。
先ず、図37及び図38により、履歴登録機能について説明する。
図37は、本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴登録機能による登録用諸元値入力テーブルを示す図であり、図38は、本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴登録機能による履歴登録メニューを示す図である。
履歴登録機能は、車両企画者が或る目的を持って諸元値を設定する場合、設定した諸元項目、設定した諸元値、設定目的及び設定理由等を履歴データとして履歴データベース76に登録することが出来るようにする機能である。
ここで、車両企画者は、或る諸元値を設定しようとする場合、どの程度の数値にすれば良いか、或いは、その設定しようとする諸元値に関連して他の諸元値をどの程度の数値にすればよいか等というノウハウを有している場合がある。また、車両企画者は、或る諸元値を変更して設定しようとする場合、他の諸元値も変更すべき或いはした方が良い、というノウハウを有している場合がある。例えば、ヒップポイントを変更した場合、ピラー位置やベルトライン位置も合わせて変更する場合がある。
これらのようなノウハウは、例えば、視界確保のため、車両の外観のバランスを保つため、等の何らかの目的や理由に基づくものであり、車両企画や設計の熟練者ほど多く持っている。本実施形態では、履歴登録機能により、このようなノウハウを登録出来るようにすると共に、履歴検索機能により、車両企画者が目的に応じてそのようなノウハウを参照して、車両企画に役立てるようにしている。
具体的には、車両企画者が諸元値入力画面で諸元値を入力する場合(最初に入力する場合、及び、その入力後に変更値を再入力する場合を含む)、或いは、各モーフィング画面で諸元値を変更する場合、履歴登録表示プログラム42により、図37に示すような、登録用諸元値入力テーブルを表示させることが出来る。この登録用諸元値入力テーブルにより、諸元項目や諸元値等を設定する。
先ず、設定しようとする諸元(諸元項目)を任意に一つ或いは複数入力する。特に、諸元値を変更する場合には、その変更しようとする諸元値に加え、他の関連して変更した方が良い諸元値も合わせて設定することが出来る。これらの諸元項目の入力は、エクステリア寸法、インテリア寸法、視界条件等のカテゴリ別に分かれた諸元項目一覧画面(図示せず)から選択して自動的に入力させることが出来る。図37では、6つの項目が入力されている。
諸元値を初期入力する場合には、設定した諸元項目に対し諸元値を入力する。また、諸元値入力テーブル(図12参照)或いは諸元値データで既に設定されている諸元値が自動的に読み込まれるようになっており、車両企画者は、この読み込まれた諸元値を変更する。なお、各モーフィング画面を表示させ、このモーフィング画面上で諸元値を変更しても良く、この場合、その変更後の諸元値が登録用諸元値入力テーブルに自動的に読み込まれる。
次に、車両企画者は、企画車両の名称を入力し(図37では「SE3P」と入力されている)、さらに、諸元値を設定するにあたり、参考にしようとする車両がある場合には、ベンチマーク車両データベース70から、ベンチマーク車両等のデータを読み込む。この図37では、A車及びB車のデータが読み込まれている。
諸元及び諸元値の設定後、履歴登録表示プログラム42により、図38に示すような履歴登録メニューを表示させることが出来る。この履歴登録メニューにより、車両企画者は、諸元項目及び諸元値の設定目的(入力目的、変更目的)及び設定理由(入力理由、変更理由)を入力する。
設定目的には、問題点解消や状況改善等の何らかの目的を入力する。例えば、「圧迫感を減らす」等と入力する。設定理由には、その目的を達成しようとするために具体的な考え方やノウハウを入力する。例えば、「圧迫感解消のためルーフ高さを高める。その場合、外観のデザインバランスを保つためピラー傾斜角度を小さくする。」等と入力する。
また、設定理由として、諸元値を変更しない方が良い、或いは、諸元値を変更してはいけない諸元値がある場合には、その理由(諸元値変更の禁止理由)を入力しても良い。例えば、「ベルトラインを下げるが、エンジンルーム確保のため、カウルポイントは下げない。」等と入力する。
また、履歴登録メニューでは、データ名称を入力する。このデータ名称として、既に入力されている設定目的が登録されるようにしても良い。
さらに、履歴登録メニューでは、企画車両の車型(「ミニバン」等)、クラス(「Bセグメント」等)、開発段階(「stage1」等)をそれぞれ選択する。さらに、履歴登録メニューでは、車両企画のプロジェクト名、車両企画者の氏名、連絡先及び作業日時を入力する。
これらの入力及び選択の終了後、図38に示すような「登録」ボタンを押すと、設定した諸元項目、設定した諸元値、変更前の諸元値、企画車両名称、参考車両の名称、及び、履歴登録メニューで入力或いは選択した情報が、履歴データとして履歴データベース76に登録される。
この履歴データには、複数の諸元値を設定した場合に生成される、設定した複数の諸元項目及びそれらに対応する諸元値と設定目的と設定理由とで構成される関連諸元変更データも含まれる。従って、他の車両企画者が、この関連諸元変更データを検索や報知により参照することで、或る目的を達成するために複数の諸元値を変更する必要があることを知ることが出来、ノウハウを有していない車両企画者も効果的に車両企画を行うことが出来る。
次に、図39及び図40により、履歴検索機能について説明する。
図39は、本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴検索機能による履歴検索メニューを示す図であり、図40は、本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴検索機能及び履歴報知機能により表示される履歴一覧画面の一例を示す図である。
履歴検索機能は、履歴データを車両企画者が検索することが出来るようにする機能である。車両企画者が履歴データベース76に保存されている履歴データを検索する場合、履歴検索機能により、図39に示すような履歴検索メニューを表示させることが出来る。この履歴検索メニューでは、キーワードを入力して検索することが出来る。図39では、「視認性」と入力され、また、全データから検索されるような選択がされている。また、検索項目を絞ることが出来、各項目(データ名称(登録名)、設定目的、企画車両名称(登録車)、プロジェクト名)を選択して、これらの中からデータを絞り込んで検索することも出来る。
「検索」ボタンを押すと、図40に示すような履歴一覧画面が表示される。この履歴一覧画面では、各履歴のデータ名称、設定目的及び設定理由が表示され、詳細表示ボタンを押すと、設定された諸元項目、諸元値、車型、開発段階等のその他の内容を見ることが出来るようになっている。
また、関連諸元変更データ参照ボタンも表示され、このボタンを押すと、設定されている諸元項目及び諸元値が上述した登録用諸元値入力テーブル(図37参照)と同様の形式で表示されると共に設定目的及び設定理由が表示される。この場合、変更後の諸元値と共に変更前の諸元値も表示され、変更の過程を履歴として見ることが出来る。例えば、変更後の諸元値の横に、かっこ書で変更前の諸元値が表示される。
このような履歴検索機能により、例えば、車両企画者が前方視界を良くしようとするとき、前方視界に関して登録されている履歴データを参照して、車両企画に役立てることが出来る。
次に、図40乃至図42により、履歴報知機能について説明する。
図41は、本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴報知機能による履歴報知設定メニューを示す図であり、図42は、本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴報知機能の機能を説明するためのフローチャートである。
履歴登録表示プログラム42は、諸元値入力プログラム36及び各モーフィング画面表示プログラム56、58と連係して履歴データベース76を参照する機能を有し、車両企画者が諸元値入力画面や各モーフィング画面で諸元値を変更した場合、その変更に関連する履歴データを報知する履歴報知機能を有する。
車両企画者が車両企画を開始する場合、履歴報知機能により、図41に示すような履歴報知設定メニューを表示させることが出来る。この履歴報知設定メニューでは、報知機能(ノウハウアシスト機能)のON又はOFFを選択する。さらに、アシストワーニング項目条件として、報知するデータの対象を、車型・クラス、登録時期、報知する諸元項目、登録者で絞るか否かを選択する。諸元データをすべて報知対象とする場合には、NOを選択する。対象を絞る場合には、上述した履歴登録メニュー(図38参照)と同様の画面(図示せず)で、車型や諸元項目などを具体的に選択する。
図42は、車両企画者により諸元値入力画面或いは各モーフィング画面において或る諸元値が変更された場合の履歴登録表示プログラム42の履歴報知機能の実行ステップを示すものである。Sは各ステップを示す。
図42に示すように、S1において、ノウハウアシスト機能がONかOFFかを判定し、OFFである場合には、その後のステップを行わない。
ノウハウアシスト機能がONである場合には、S2に進み、変更された諸元値に関する履歴データの有無を判定する。具体的には、登録されている履歴データの中に、その車両企画者により変更された諸元値の諸元項目と一致する諸元項目が登録されているか否かを判定する。
そのようなデータが有る場合には、S3に進み、図41に示すメニュー画面で選択されたアシストワーニング項目条件に該当するか否かを判定する。S2或いはS3において、該当するデータが無い場合には、ノウハウ情報は報知しない。
該当するデータが有る場合には、S4に進み、該当する履歴データを報知する。本実施形態では、この履歴データの報知として、上述した履歴検索機能と同様に、図40に示すような履歴一覧画面が表示される。この履歴一覧画面により、上述したように、データ名、設定目的及び設定理由に加え、履歴の詳細及び関連諸元変更データを見ることが出来る。
このような履歴報知機能により、車両企画者が或る諸元値を変更した場合、他の諸元値も変更する必要がある或いは変更した方が良い、というようなことを知ることが出来る。例えば、車両企画者が前方視界確保のためにルーフ高さを高めた場合に、履歴報知により、車体剛性の観点でピラー傾斜角も変更した方が良い、というようなノウハウを知ることが出来、その後の車両企画に役立てることが出来る。
本発明の実施形態による車両企画支援システムの基本構成を示すブロック図である。 本実施形態による車両企画支援システムに含まれる評価用モニタ装置の基本構成を示す斜視図である。 本実施形態による車両企画支援システムの企画支援プログラムの構成、データベースの構成及びデータの概念的な流れを示す図である。 本実施形態による車両モデルに含まれる各モデルを説明するための図である。 本実施形態による基準モデルの主要寸法モデル(a)、乗員モデル(b)及びアンダーボディモデル(c)の一例を示す図である。 本実施形態による外観モデルのエクステリアモデルの一例を示す図である。 本実施形態による外観パーツモデルのドアモデル(a〜c)及びガラスモデル(d)の一例を示す図である。 本実施形態による内装モデルの上部インテリアモデル(a)及び下部インテリアモデル(b)の一例を示す図である。 本実施形態による内装パーツモデルのインパネモデル、コンソールモデル及びシートモデルの一例を示す図である。 本実施形態による乗員モデル、外観モデル及び内装モデルを組み合わせた車両モデルの一例を示す図である。 本実施形態による諸元値入力画面の初期画面を示す図である。 本実施形態による諸元値入力画面の数値入力画面を示す図である。 本実施形態による車両モデルを表示する3次元モーフィング画面の一例である。 本実施形態による車両モデルの車室内を表示する3次元モーフィング画面の一例である。 本実施形態による車両モデルを表示する2次元モーフィング画面の側面図表示(a)、平面図表示(b)及び正面図表示(c)の一例である。 本実施形態による車両モデルを表示する2次元モーフィング画面の側面図表示の他の例である。 本実施形態による車両モデルのピラー部の断面を示す2次元モーフィング画面の断面図表示の一例である。 本実施形態による車両モデル間に適用されるルールの主従関係を説明するための図である。 本実施形態によるシミュレーション画像表示プログラムにより表示される画像の一例であり、車両モデルが仮想道路上を走行する様子を運転手の視点から見た画像を示す図である。 本実施形態による車両企画支援システムによる処理の一例を示すフローチャートの前半である。 本実施形態による車両企画支援システムによる処理の一例を示すフローチャートの後半である。 本実施形態によるモーフィング表示設定メニューの画面を示す図である。 本実施形態によるシミュレーション表示及び2次元モーフィング表示が合わせて表示された画面の一例を示す図である。 図19に示すシミュレーション表示された車両モデルのピラー部の形状及び大きさを変更した後の画像の一例を示す図である。 本実施形態によるシミュレーション表示された車両モデルのピラー部の変更後及び変更前の画像を並べて表示した画像の一例を示す図である。 本実施形態による車両モデルにベンチマーク車両の画像が重ね合わされて表示された2次元モーフィング画面の側面図表示の一例である。 本実施形態による車両モデルと共にレンジ表示を表示した2次元モーフィング画面の一例である。 本実施形態によるレンジ表示設定メニューの画面を示す図である。 本実施形態による複数の車両形状のレンジ表示を表示する2次元モーフィング画面の一例である。 本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示及び乗降エリア表示を含む乗員モデルを表示する2次元モーフィング画面の一例を示す図である。 本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示及び乗降エリア表示を含む乗員モデルを表示する2次元モーフィング画面の一例を示す図である。 本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示及び乗降エリア表示を含む乗員モデルを表示する3次元モーフィング画面の一例を示す図である。 本実施形態による空間エリア表示である頭部エリア表示の変形例を示す図である。 本実施形態による空間エリア表示であるリーチエリア表示を含む乗員モデルを表示する3次元モーフィング画面の一例である。 本実施形態による空間エリア表示であるステアリング操作エリア表示の表示を示す図である。 本実施形態による空間エリア表示であるペダル操作エリア表示の表示を示す図である。 本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴登録機能による登録用諸元値入力テーブルを示す図である。 本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴登録機能による履歴登録メニューを示す図である。 本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴検索機能による履歴検索メニューを示す図である。 本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴検索機能及び履歴報知機能により表示される履歴一覧画面の一例を示す図である。 本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴報知機能による履歴報知設定メニューを示す図である。 本発明の本実施形態による履歴登録表示プログラムの履歴報知機能の機能を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 車両企画支援システム
6 評価用モニタ装置
28 平面スクリーン
36 諸元値入力プログラム
38 車両モデルデータ生成プログラム
40 モーフィング画面表示プログラム
42 履歴登録表示プログラム
44 シミュレーション画像表示プログラム
56 2次元モーフィング画面表示プログラム
58 3次元モーフィング画面表示プログラム
80 基準モデル
82 主要寸法モデル
84 乗員モデル
86 アンダーボディモデル
90 外観モデル
92 エクステリアモデル
100 外観パーツモデル
102 ドアモデル
104 ガラスモデル
110 内装モデル
112 上部インテリアモデル
114 下部インテリアモデル
120 内装パーツモデル
122 インパネモデル
124 コンソールモデル
126 シートモデル
130 頭部エリア表示
132 乗降エリア表示
134 リーチエリア表示
136 ステアリング操作エリア表示
138 ペダル操作エリア表示

Claims (4)

  1. 画面上に車両モデルを表示して車両の企画を支援する車両企画支援システムであって、 上記車両モデルの複数の諸元項目における寸法及び角度を含む諸元値の入力をさせるための諸元値入力画面を表示する諸元値入力画面表示手段と、
    モーフィング画面により、上記諸元値入力画面に入力された諸元値に基づいて上記車両モデルを形状及び諸元値が変更可能な車両モデルとして表示するモーフィング画面表示手段と、
    上記モーフィング画面において、上記諸元値が関連して複数変更された場合、その変更された複数の諸元値と共にそれらの諸元項目、上記関連した目的及び理由を関連諸元変更データとして登録させるための履歴登録手段と、を有することを特徴とする車両企画支援システム。
  2. さらに、上記関連した目的及び理由を検索する履歴検索手段を有する請求項記載の車両企画支援システム。
  3. 上記履歴登録手段は、上記関連した目的を上記関連諸元変更データの名称として登録をさせることが可能であり、
    上記履歴検索手段は、この名称で検索をさせることが可能である請求項記載の車両企画支援システム。
  4. さらに、上記履歴登録手段による上記関連諸元変更データの登録後、上記関連諸元変更データに含まれる諸元項目と一致する諸元項目の諸元値が変更された場合、その一致した諸元項目を含む関連諸元変更データを報知する履歴報知手段を有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の車両企画支援システム。
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