JP2004164335A - 企画支援プログラム、方法、装置並びに記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の企画立案及びその評価を効率的かつ効果的に行うこと
【解決手段】企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築し、3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示する。その際、映像に、注視を促すためのターゲット画像3901を重畳表示する。これにより、視認性の評価を行うユーザは、ただ漫然と映像を見るのではなく、運転手と同様に道路に注目することができるため、より精度の高い視認性の評価を行うことができる。
【選択図】 図39
【解決手段】企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築し、3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示する。その際、映像に、注視を促すためのターゲット画像3901を重畳表示する。これにより、視認性の評価を行うユーザは、ただ漫然と映像を見るのではなく、運転手と同様に道路に注目することができるため、より精度の高い視認性の評価を行うことができる。
【選択図】 図39
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の企画立案を支援するプログラム、方法、装置並びに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両の企画立案の際には、その車両の概要を表す2次元図面を作成し、図面に基づいて企画の善し悪しを判断していた。そして、その企画に変更点があった場合には、再度、一から図面を作成していた。また、企画した車両の車内からの視認性評価を行うため、試作車や、インテリアをかたどったクレーモデルを用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の企画立案作業においては、図面の作成や、試作車やクレーモデルの作成に多大な労力を費やしており、大幅な時間及びコストがかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両の企画立案を効率的かつ効果的に行うことのできる企画支援プログラム、企画支援方法、企画支援装置並びに記憶媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、車両の企画立案を支援する企画支援プログラムであって、コンピュータに、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築工程と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示工程と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示工程と、を実行させることを特徴とする。
【0006】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの速度が速いほど前記ターゲット画像を小さく表示することを特徴とする。
【0007】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの速度が速いほど前記ターゲット画像を鮮明に表示することを特徴とする。
【0008】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの操舵角に応じた速度で前記ターゲット画像を水平移動表示することを特徴とする。
【0009】
前記仮想空間は、複数の3次元オブジェクトを含み、
前記ターゲット画像表示工程では、前記映像に含まれる3次元オブジェクトが多いほど前記ターゲット画像の移動速度を遅くすることを特徴とする。
【0010】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの仮想道路上での移動に応じて、前記ターゲット画像を水平に移動することを特徴とする。
【0011】
前記仮想空間は、人を表す人オブジェクトを含み、
前記ターゲット画像表示工程では、前記ターゲット画像を、前記人オブジェクトではなく、前記仮想道路の中心に追従するように表示することを特徴とする。
【0012】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの運転手が後部を確認すべき状況においては、前記ターゲット画像を、前記3次元車両モデルに含まれるバックミラーまたはサイドミラーに表示することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る記憶媒体は、上記企画支援プログラムを格納したことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、コンピュータを用いて車両の企画立案を支援する企画支援方法であって、コンピュータに、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築工程と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示工程と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示工程と、を実行させることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、車両の企画立案を支援する企画支援装置であって、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築手段と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示手段と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示する手段と、を含むことを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、企画しようとする車両の3次元モデルを構築し、仮想道路上に配置して、その車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するので、ユーザは、試作車やクレーモデルを作成することなく、運転手の視認性や居住性を評価することができる。これにより、車両の企画立案に必要な時間及びコストを、大幅に削減することができる。
【0017】
ここで、映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するので、視認性の評価を行うユーザは、ただ漫然と映像を見るのではなく、運転手と同様に道路に注目することができるため、より精度の高い視認性の評価を行うことができる。
【0018】
また、車両の走行速度や操舵角や視界に含まれるオブジェクトの数に応じてターゲット画像が変化するので、評価者を、より運転手の心情に近い状態にすることができる。
【0019】
更に、後退時など後方に注意を払うべき時点では、バックミラーやサイドミラーにターゲット画像が表示されるので、評価者を、より運転手の心情に近い状態にすることができ、精度の高い評価を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。なお、本明細書において、外形モデル、居住空間モデル、構造モデル、インテリアモデルとは、それぞれ、車両の外観、シート及び乗員の状態、骨組み構造、車内のつくりを表す3次元座標データの集合体である。また、諸元値とは、車両形状を決定する寸法をいい、例えば、全高、全幅、全長などは含まれるが、居住空間を決定する乗員パラメータは含まれない。また、車型とは、スポーツ、セダン、トラックなどの車両のタイプをいい、車種とは、製品化された車両の銘柄(商品名)をいうものとする。
【0021】
(全体のシステム構成)
まず、本実施形態としての企画支援システムの全体構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る企画支援システム100の構成を例示する図である。
【0023】
図1の企画支援システム100は、ネットワーク接続された企画支援装置としてのコンピュータ1とデータベースサーバ2とを含む。コンピュータ1は、CPU11、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、外部記憶部15、入力部16、表示部17、画像処理部18及び通信部19を備え、そのそれぞれは、システムバス12によって接続されている。
【0024】
このうち、CPU11は、一般的なコンピュータとしての演算処理や車両の企画を支援するための情報処理を実行する。
【0025】
ROM13には少なくともコンピュータシステムを起動させるためのブートプログラムが格納されている。RAM14は、コンピュータシステム上で走るプログラムを一時的に格納するためのプログラム領域や、データの書き込みや読み出しを行うためのデータ領域を有する。また、外部記憶部15には、新型車両の企画検証を支援するためのプログラム60(以下、企画支援プログラムとも呼ぶ)が格納されている。この外部記憶部15としては、例えば、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、CD−RWドライブ、DVD(DVD−ROM,DVD−R)ドライブなどのデバイスが適用可能である。つまり、各ドライブから取り外し可能なCD−ROMなどの記憶媒体に企画支援プログラムが格納され、コンピュータ1が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出して、以下に説明する各種処理を実行することができる。その場合には、記憶媒体そのものが本発明の範疇に含まれる。
【0026】
入力部16は、命令やデータなどを外部から入力するキーボードやマウスなどのデバイスであり、表示部17は、CPU11からの制御指令に基づき画像処理部18で演算処理された文字や画像データを出力する液晶ディスプレイやCRTなどのデバイスである。画像処理部18は、この表示部17により出力させるための画像データを演算処理するデバイスであり、通信部19は、無線又は有線の通信回線(例えば、インターネット網や携帯電話網)を介して他のコンピュータシステムやデータベースサーバ20との間で通信して、遠隔からプログラムやデータなどを送受信可能とする。
【0027】
(データ構成)
図2は、コンピュータ1とデータベースサーバ2に含まれるデータを示す図である。
【0028】
データベースサーバ2は、図2に示すように、車両の3次元外部形状に関する外形パラメータグループを車型毎に分類分けして格納した外形データベース2aと、車両の骨組みの3次元構造及び断面形状に関する構造パラメータグループを同じく車型毎に分類分けして格納した構造データベース2bと、国内外の規格に準じた乗員サイズ(大人や子供の標準規格)により定義されたいくつかのタイプの乗員モデルを格納した乗員データベース2cと、車内に設けられる各種のパーツに関するインテリアパラメータグループを格納したインテリアデータベース2dと、完成した車両の各種データを格納した完成品データベース2eとを含む。また、データベースサーバ2は、さらに、3次元データで構築された車両モデルを走行させるための仮想空間を表す仮想空間データ2fを含んでいる。この仮想空間データ2fは、仮想建築物、仮想道路、仮想車両、及び仮想歩行者などをオブジェクトとして含む3次元仮想空間を形成するためのデータである。
【0029】
コンピュータ1は、ユーザの入力に基づき、企画対象となる車両に関する各種諸元値や乗員の着座位置情報などを含む設計テーブル1aを作成する。そして、設計テーブル1aに基づいてデータベースサーバ2にアクセスし、所望のデータ(パラメータグループ)を読出して変形することによって、基準モデル1b、外形モデル1c、構造モデル1d、インテリアモデル1iと呼ばれる4つのモデルを構築し、更に、これら4つのモデルを重ね合わせて企画車両モデル1eを構築する。
【0030】
つまり、データベースサーバ2に格納された各種のデータベース(パラメータグループ)には、各モデルを構成するための複数の点や直線や曲線が、パラメータ(変数)を用いて定義されており、その各パラメータに対し設定テーブル1aに入力された数値を代入することによって各モデルが構築される。
【0031】
設計テーブル1aには、車両内での乗員の着座状態に関する乗員パラメータとして、乗員着座位置(ヒップポイント)やシート配列(1列、2列や3列シートなどのシート数)が入力されている。そして、コンピュータ1では、この乗員パラメータに基づいて、乗員データベース2cから読出した人型モデル及びシートモデルを組合せ、変形して乗員の居住性を表す居住空間モデル1fを構築する。この居住空間モデル1fは、外形モデル1cを構築するために入力される車両諸元値の影響を受けるものではなく、外形モデル1cと居住空間モデル1fは連動して変形することはない。
【0032】
また、この居住空間モデル1fの車両内での位置を規定する車両基準モデル1gを、設計テーブル1aに入力された車両の全長、全幅、全高、ホイールベース、などから構築する。更に、運転手の目の位置を示すアイポイント及び最低限確保すべき運転手の視界に基づいて決められた上端を有し、入力された諸元値に基づいて決められたカウルトップポイントを下端とするフロントガラスモデル1hが構築されている。そして、居住空間モデル1fと車両基準モデル1gとフロントガラスモデル1hを組み合わせることによって、基準モデル1bを構築する。
【0033】
コンピュータ1では基準モデル1bを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能であり、かつ、例えばポインティングデバイスなどの入力部16を用いて、その3次元空間上で、基準モデル1bに含まれる乗員の着座姿勢などを調整することができる。
【0034】
また、コンピュータ1は、設計テーブル1aに格納された、車型(ハッチバック、ミニバン、セダン、スポーツ、オープン、トラックのいずれか)に基づいて外形データベース2aから、その車型の外形パラメータグループを選択し、読出す。そして、設計テーブル1aに格納された各種諸元(全長、全幅、全高、ホイールベース、フロント及びリアオーバハング)を用いて、外形パラメータグループに含まれる所定の外形パラメータ(バンパー先端位置の座標やルーフトップの座標など)を変更して、諸元に沿った大まかな外形モデル1cを構築する。コンピュータ1では外形モデル1cを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能であり、かつ、例えばポインティングデバイスなどの入力部16を用いて、その3次元空間上で、外形モデル1cを変形することができる。
【0035】
また、コンピュータ1は、設計テーブル1aに格納された車型及び車両骨組み構成に基づいて、構造データベース2bから構造パラメータグループを選択し、読出す。そして、設計テーブル1aに格納された各種諸元(断面形状や材質や重量や強度など)を用いて、構造パラメータグループに含まれる所定の構造パラメータ(外観に現れる骨組みの外形形状や骨組みの断面形状)を変更して、諸元に沿った構造モデルを構築する。更に、コンピュータ1では構造モデル1dを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能である。
【0036】
更に、コンピュータ1は、構築された基準モデル1b、外形モデル1c、構造モデル1d、インテリアモデル1iを組み合わせて企画車両モデル1eを構築し、企画車両モデル1eを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能である。
【0037】
(プログラム構成)
次に、コンピュータ1に含まれるプログラムについて説明する。
【0038】
図3は、本実施形態の企画支援システムを実現する企画支援プログラムの構成を示す図である。
【0039】
設計テーブル1aは、例えば、オペレーティングシステム上で動作する表計算ソフト40によって作成できる。また、各種モデル1b、1c、1dは、表計算ソフト40で作成した設計テーブル1aから値を抽出して計算する3次元CADソフト50によって作成することができる。
【0040】
つまり、本システムを実現する企画支援プログラム60は、表計算ソフト40に組み込まれた設計テーブル作成プログラム61、及び、3次元CADソフトに組み込まれた基準モデル構築プログラム62、外形モデル構築プログラム63、構造モデル構築プログラム64、インテリアモデル構築プログラム65、3次元画像生成・表示プログラム66、シミュレーション表示プログラム67とを含む。
【0041】
設計テーブル作成プログラム61は、ユーザに車両の諸元などを入力させるグラフィカルユーザインタフェースを表示する機能を含む。これにより、ユーザは、容易に各種諸元や乗員の着座位置、着座姿勢などを入力することができる。
【0042】
また各種モデル構築プログラム62〜65は、設計テーブル作成プログラム61で作成された設計テーブル1aを参照する機能を有し、更に、設計テーブル1aの内容に基づいて、乗員データベース2c、外形データベース2a、構造データベース2b、インテリアデータベース2dに含まれるパラメータグループを読出し、所定のパラメータを自動的に変更する機能を有する。
【0043】
なお、ここでは、設計テーブル作成プログラムと他のプログラムが異なるソフト上で実行されるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、企画支援用ソフトの中に、設計テーブル作成機能、基準、外形、構造、インテリアモデル構築機能、画像生成・表示機能、シミュレーション表示機能の全てを搭載させても良い。
【0044】
(表示画面例)
図4は、基準モデル構築プログラム62によって構築された基準モデルを、表示プログラム66で表示部17に表示した場合の表示画面例を示す図である。
【0045】
また、図5は、基準モデルから居住空間モデルのみを取りだした場合の表示画面例を示す図である。ここでは、居住空間モデルは、左前輪の中心を原点とする座標データの集合となっている。一方、車両基準モデルも同じ点を原点とした座標データとなっており、この原点を基準に図4のように重ねて表示される。
【0046】
図6は、外形モデル構築プログラム63によって構築された外形モデルを、表示プログラム66で表示部17に表示した場合の表示画面例を示す図である。外形モデルは、車両の全長、全幅、全高、ホイールベースなどの諸元値やワゴンやセダンなどの複数の車型といったパラメータにより定義され、入力されたパラメータから図6のような3次元画像データが画像処理により自動生成されて表示される。
【0047】
図7は、構造モデル構築プログラム64によって構築された外形モデルを、表示プログラム66で表示部17に表示した場合の表示画面例を示す図である。構造モデルは、設計テーブルに入力された、骨組み構造を示すパラメータと、フロントピラーやセンタピラーなどの部位ごとの断面形状を示すパラメータとにより定義され、入力されたパラメータから図7のような3次元画像データが画像処理により自動生成されて表示可能となっている。
【0048】
図8は基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせたモデルの画像表示例を夫々示している。各モデルは、基準点を有しており、その基準点同士を重ね合わせることによって、図8のように表示される。
【0049】
図9は、基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせたモデルの他の画像表示例を示している。図8と異なり、図9の表示例では外形モデルを半透過表示している。入力された全長などのパラメータが、居住空間モデルを収容するには小さすぎる場合には、車両外形から乗員の頭部が突き出ることになり、図9では、突き出た頭部を斜線で示している。このように、居住空間モデルと外形モデルの干渉状態を明確に判別できるように、干渉部分を異なる色で表示する。
【0050】
これにより、乗員のヘッドクリアランスや運転手の視界確保などが不十分であることが視覚的に検証でき、この検証結果に基づいて各モデルを変更することができる。即ち、外形モデルや構造モデルによって設定される車室空間に対して、居住空間モデルによって決定された乗員の着座位置、着座姿勢に無理がある場合には、図9の画面上でその着座位置をずらしたり、着座姿勢を変えたり、ルーフ位置を上げたり、といった調整を行うこともできる。
【0051】
この他にも、基準モデルと外形モデルを重ね合わせることによれば、車両のパッケージング状態(乗員のヘッドクリアランスや圧迫感)や視認性を検証することができる。また、更に構造モデルを重畳表示することにより、衝突性能や車体剛性などを検証でき、車室内から見たドライバの視界範囲などの詳しい評価を行うことができる。
【0052】
車両基準モデルと外形モデルと構造モデルは共通のパラメータを有しており、その変更により互いに連動して変形する。一方、居住空間モデルは、外形モデルや構造モデルとは共通するパラメータを有しておらず、外形モデルや構造モデルを変更しても連動しない。これにより、外形モデルを居住空間モデルとを独立に構築でき、内部空間の制約に縛られることなく、自由な発想で効果的に外形の設定を行うことができる。また逆に、外形形状に囚われずに自由な発想で居住空間の企画立案を行うことができる。
【0053】
(各プログラムの機能)
以下に、本実施形態に係る企画支援プログラム60に含まれる、各プログラムの機能について説明する。
【0054】
[設計テーブル作成プログラム]
設計テーブル作成プログラムは、CPUによって実行され、ユーザの操作に基づいて各モデルの構築に必要なデータを入力し、入力したデータを各種パラメータに関連づけて設計テーブル1aとして外部記憶部15に格納する機能を有している。
【0055】
設計テーブルに入力されるデータとしては、外形パラメータとしての外形寸法及び車両タイプや、乗員パラメータとしてのシート数、車内寸法及び視界条件の他、タイヤホイール寸法や、フロア下寸法や、乗員配置条件などに対応するものである。
【0056】
なお、設計テーブルで入力される長さ方向及び垂直方向の寸法データは、全て、前輪の車軸を原点とした場合の各部位の座標位置を導くための値である。そして、設計テーブルで入力される幅方向の寸法データは、車両の中心面を基準とするものである。つまり、設計テーブルに全てのパラメータを適正に入力した場合、前輪の車軸と車両の中心面を原点とした3次元座標上に車両の外形や居住空間(乗員やシート)やフロントガラスなどのモデルを描画することが可能となる。
以下、設計テーブルの生成時に入力可能なデータについて説明する。
【0057】
<車両タイプ選択>
図10は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるモデル&タイプ選択インタフェースの一例を示したものである。つまり、インタフェースに表示されたいずれかのピラー構成を選択(例えば、マウスでクリック)することにより、外形モデルに含まれる車型、及び、構造モデルに含まれるピラー構成を選択することができる。
【0058】
構造パラメータグループとしてのピラー構成は、データベースにおいて、図のように車型ごとに複数用意されている。
【0059】
車型には、ミニバン、ステーションワゴン、セダンの内の少なくとも2つが含まれていることが好ましく、この例では、ハッチバック、ミニバン/ワゴン(ステーションワゴン)、セダン、スポーツ、オープン、トラックの計6つの車型にタイプ分けされている。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、車両製造会社の能力に応じて、より多くの車型を用意しても良いし、トラックのみなど特定の車型に特化しても良い。
【0060】
これらの車型ごとに外形パラメータグループ(その車両外形を構成する3次元座標データ)がデータベースに格納されており、車型の選択は、そのまま外形パラメータグループの選択に対応する。また、右欄のピラー構成ごとに構造パラメータグループ(その骨組みを構成する3次元座標データ)がデータベースに格納されており、車型の選択及びピラー構成の選択は、そのまま構造パラメータグループの選択に対応する。
【0061】
ここでは、右欄に示されているピラー構成アイコンのいずれかを選択することで同時に車型が選択されるが、もちろん、車型を選択するステップと、ピラー構成を選択するステップを独立に行うことができるようなインタフェースとしても良い。どちらにしても、外形パラメータグループ(車型)を選択した場合、選択された車型と同じ分類の構造パラメータグループ(車型に対応するピラー構成)が、構造データベースから自動的に選択されることになる。
【0062】
なお、ここでは車型の選択によって、ピラー構成が絞り込まれるものとしているが、更に、他の入力テーブルにて入力されたパラメータ(例えば全長など)に応じて更に選択できるピラー構成が絞り込まれる構成としても良い。その場合、構造データベースには、車両の大きさごとにピラー構成が格納されていることになる。
【0063】
このように、企画する車種に類似した車型を選択可能にしたことで、外形モデルの形状変形等にかかる工数を削減できるとともに検証精度を向上でき、ユーザの作業効率の向上が図れる。
【0064】
また、車種毎に用意された複数のピラー構成のいずれかを選択的に読出して構造モデルを構築するので、ユーザは車種を選択するだけで構造パラメータグループを絞り込むことができるため、企画立案作業を効率化することができる。
【0065】
<外形寸法>
図11は、設計テーブル作成プログラム61に含まれる外形寸法入力インタフェースの一例を示したものである。図11(a)は、車両諸元値の入力テーブルであり、図11(b)(c)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、車両前方視画像及び側面視画像である。ここで、車両諸元値としては、ホイールベース1101、全幅1102、全高1103、フロントオーバハング1105、リアオーバハング1106、カウルポイントCWの水平位置1107、カウルポイントCWの垂直位置1108、フロントガラス傾斜1109が含まれる。
【0066】
なお、図中「・・・」で示した部分に数値が入力される。数値の入力は、図11(a)または図11(b)及び図11(c)のどちらかに対して行えば、他方に反映される。この点は、以下の図12〜15についても同様である。
【0067】
車両諸元値において、フロントオーバハング1105は、前車軸AFより前方に突出している車両の前端と前車軸AF間の距離であり、リアオーバハング1106は、後車軸RFより後方に突出している車両の後端と後車軸RF間の距離である。また、カウルポイントCWの水平位置1107はフロントガラス下端の車幅方向の中心位置と前車軸AF間の水平方向の距離、カウルポイントCWの垂直位置1108はフロントガラス下端の車幅方向の中心位置と前車軸AF間の垂直方向の距離である。更に、フロントガラス傾斜1109はカウルポイント位置を通る垂直な線とフロントガラスとがなす傾斜角度である。
【0068】
また、全長1104は、ホイールベース1101とフロントオーバハング1105とリアオーバハング1106を合算することにより自動演算される(1104=1101+1105+1106)。なお、全高1103は乗車時の接地面GL2を基準とした高さではなく、空車時の接地面GL1を基準とした高さであるが基本的には、GL2に基づいて、基準モデルや全高以外の外形モデルが設定される。
【0069】
なお、外形寸法としては、上記各パラメータの他、国内外の衝突安全基準などの規格によって予め定められたフロントバンパーの上下端基準位置(後述する外形モデルのポイントC1とポイントD1と共通パラメータ)などを入力可能となっていてもよい。その場合、これらの位置に対応したバンパー配設基準範囲が表示される。
【0070】
<車内寸法>
図12は、設計テーブル作成プログラム61に含まれる車内寸法入力インタフェースの一例を示したものである。図12(a)は、車内寸法の入力テーブルであり、図12(b),(c),(d)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、前方視画像、側面視画像、底面視画像である。また、図12(e)は、ダッシュパネル位置を決定するための寸法箇所を示すため、ダッシュパネル周辺を拡大視表示した画像である。
【0071】
車内の居住性を決める寸法としては、最前列乗員に関するパラメータと、第2列乗員に関するパラメータと、第3列乗員に関するパラメータと、ダッシュパネルに関するパラメータとに分けることができる。第2列、第3列のシートが無い場合には、第2列、第3列乗員に関するパラメータは入力が不要となる。ここではシート数が3列である旨がすでに入力されているものとする。
【0072】
これらのうち、最前列乗員に関するパラメータとしては、以下のものがある。
・1201:最前列乗員の頭頂位置(最前列ヒップポイントHP1から上方に伸びて垂直方向に対して所定の微小角度だけ後方に傾斜した直線の長さ)
・1202:最前列ヒップポイントHP1とカウルポイントCWとの間の垂直距離
・1203:最前列ヒップポイントHP1と乗車時の接地面GL2との間の垂直距離
・1204:最前列ヒップポイントHP1とフロアパネルとの間の垂直距離
・1205:最前列ヒップポイントHP1と車幅中央Wとの間の距離
・1206:最前列トルソ角度
・1207:前車軸AFとアクセルペダル上端との間の水平距離
また、第2列乗員に関するパラメータとしては以下のものがある。
・1208:第2列乗員の頭頂位置(第2列ヒップポイントHP2から上方に伸びて垂直方向に対して所定の微小角度だけ後方に傾斜した直線の長さ)
・1209:最前列ヒップポイントHP1と第2列ヒップポイントHP2との間の水平距離
・1210:第2列ヒップポイントHP2と第2列乗員かかととの間の水平距離
・1211:第2列ヒップポイントとフロアパネルとの間の垂直距離
・1212:最前列ヒップポイントHP1と第2列ヒップポイントHP2との間の垂直距離
・1213:第2列ヒップポイントと車幅中央との間の距離
・1214:第2列トルソ角度
なお、最前列乗員の頭頂位置1201から運転手の目の位置(アイポイント)EPが自動的に導き出される。
【0073】
更に、第3列乗員に関するパラメータとしては以下のものがある。
・1215:第3列乗員の頭頂位置(第3列ヒップポイントHP3から上方に伸びて垂直方向に対して所定の微小角度だけ後方に傾斜した直線の長さ)
・1216:第2列ヒップポイントHP2と第3列ヒップポイント3rdとの間の水平距離
・1217:第3列ヒップポイントHP3とフロアパネルとの間の垂直距離
・1218:第3列ヒップポイントHP3と車幅中央との間の距離
・1219:第2列ヒップポイントHP2と第3列ヒップポイントHP3との間の垂直距離
・1220:第3列トルソ角度
・1221:第3列ヒップポイントHP3と第3列乗員のかかととの間の距離
また、ダッシュパネル関連のパラメータとしては以下のものがある。
・1222:前車軸AFとダッシュパネルDP前端との間の水平距離
・1223:前車軸AFとダッシュパネルDP後端との間の水平距離
・1224:前車軸AFとダッシュパネルDP前端との間の垂直距離
以上のように車内寸法を入力することにより、最前列〜第3列ヒップポイントHP1〜HP3を基準とした居住空間モデルの絶対空間上における各シート位置を個々に設定可能である。
【0074】
いずれの点を原点とするかによって、居住空間モデルの車両内位置の基準が異なるものとなるため、その原点位置によって外形モデルとの重なり具合に差が生じることとなる。
【0075】
すなわち、外形モデルとの重ね合わせ時に居住空間モデルと外形モデルとの干渉が少ないことが望まれる点を原点に選べばよい。
【0076】
≪ヒップポイントの決定方法≫
図12のインタフェースにおいて、運転手のヒップポイントHP1の高さ方向の位置は1203で、幅方向の位置は1205で規定されるが、車両全長方向の位置(水平位置)を直接入力するための欄は用意されていない。
【0077】
ここでは、この長さ方向の位置を、図12で直接入力された他のパラメータから計算により導出するものとし、以下にその方法について説明する。
【0078】
図16は、運転手のヒップポイントHP1の水平位置の決定方法を説明する図である。
【0079】
図12のテーブルにより、原点である前輪軸AFとアクセルペダルの上端位置(ボールポイント)との間の水平距離1207が規定される。また、運転手のヒップポイントHP1のヒールポイントからの高さ1204も、図12のテーブルにより規定されている。そして、本実施形態では、図中の1601を、以下の式のZに1204を代入することにより導くプログラム構成となっている。
【0080】
1601=k1+k2×Z−k3×Z2
なお、k1,k2,k3は所定の係数である。ここでは、経験則から上記式を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の式によって1601を求めても良いし、また、図12のテーブルで直接入力可能なプログラム構成であっても良い。
【0081】
<視界条件>
図13は、設計テーブル作成プログラム61に含まれる視界条件入力インタフェースの一例を示したものである。図13(a)は、確保すべき視界条件の入力テーブルであり、図13(b)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、車両内部側面視画像である。
【0082】
視界条件に関するパラメータとしては、以下のものがある。
・1301:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から上方向に確保すべき角度(前方)
・1302:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から下方向に確保すべき角度(前方)
・1303:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から上方向に確保すべき角度(後方)
・1304:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から下方向に確保すべき角度(後方)
1301により、フロントヘッダ(フロントガラス上端のパネル)を配置できる最低位置が自動的に定義され、表示される。また、同様に、1303により、リアヘッダ(リアガラス上端のパネル)を配置できる最低位置が自動的に定義され、表示される。
【0083】
<タイヤ・ホイール寸法>
図14は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるタイヤ&ホイール諸元入力インタフェースの一例を示したものである。図14(a)は、タイヤとホイールの寸法を入力するための入力テーブルであり、図14(b),(c)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、車両内部側面視画像、車両内部平面視画像である。また、図14(d),(e)は、ホイールハウジング周辺の側面視画像である。
【0084】
ここで入力されるタイヤ&ホイール関連寸法としては、以下のものがある。
・1401:タイヤ外径
・1402:タイヤ有効径
・1403:車輪幅
・1404:空車時における前輪のホイール中心と乗員乗車時におけるホイール中心との垂直距離
・1405:乗車時における後輪のホイール中心と空車時における後輪のホイール中心との間の垂直距離
・1406:左右前輪間距離
・1407:左右後輪間距離
・1408:車輪外径とホイールハウジングとの間の距離
・1409:ホイールハウジング径
・1410:タイヤホイール外径
<フロア下寸法>
図15は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるアンダーフロア寸法入力インタフェースの一例を示したものである。この例は、3列シートの場合の入力インタフェースを示している。図15(a)は、フロア下の各種寸法を入力するための入力テーブルであり、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すため、図15(b)には、車両内部側面視画像が、また、図15(c)には、サイドシル周辺の断面視画像が示されている。
【0085】
ここで入力されるフロア下関連寸法としては、以下のものがある。
・1501:最前列フロアパネルと車軸AFとの間の垂直距離
・1502〜1507:後車軸ARとフロアパネル曲折部水平距離
・1508:第2列フロアパネルと車軸面との間の垂直距離
・1509:第2列フロアパネル上端と後車軸ARとの間の垂直距離
・1510:第2列フロアパネル窪み部と後車軸ARとの間の距離
・1511:第3列フロアパネル−後車軸AR間垂直距離
・1512:サイドシル−車幅中央W間距離
・1513:サイドシルSS幅
・1514:サイドシルSS高さ
・1515:サイドシルSSとフロアパネルとの間の垂直距離
≪カウルポイントの制約≫
図17は、車両基準モデルのカウルポイントCWの水平位置1107及び垂直位置1108の制約を説明する図である。カウルポイントCWの水平位置1107と垂直位置1108は、図11で入力できるが、完全に任意な位置に配置できるわけではなく、視界などの制約を受ける。
【0086】
すなわち、まず一つ目の条件としては、図13で入力した視界条件のうち、前方の下方視界1302に干渉してはならない。
【0087】
そして二つ目の条件としては、図12(e)で規定されるダッシュパネル上端位置DPから、前上方へ所定の鋭角1701をなす直線よりも下側になければならない。
【0088】
≪フロントヘッダ及びリアヘッダ位置の決定方法≫
図18は、車両基準モデルのフロントヘッダの水平位置及び垂直位置の基準を説明する図、図19は、車両基準モデルのリアヘッダの水平位置及び垂直位置の基準を説明する図であり、フロントヘッダの水平位置及び垂直位置は、図18に示すように、例えば、視点EPを中心に水平方向から上方に所定の鋭角をなす直線1301とガラス面との交点を頂点の1つとし、かつガラス面を1辺とする平行四辺形をフロントヘッダの最低位置とする。この時、圧迫感の基準となる直線Lよりも上方に位置することが条件となる。なお、フロントヘッダの車幅方向位置は車幅中央Wに設定される。
【0089】
また、リアヘッダの水平位置及び垂直位置は、図19に示すように、例えば、視点EPを中心に水平方向から上方に所定の微小鋭角をなす直線1304よりも上方であって、最後列の乗員のヘッドクリアランス(HP2,HP3からの距離1208、1215)よりも上方に制約される。
【0090】
なお、フロントヘッダ及びリアヘッダの詳細な断面形状は、後述する構造モデルにより定義される。
【0091】
以上の設計テーブルでは、前輪軸AFを原点とした長さ方向、高さ方向のパラメータを入力することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネル上の点や、バンパー最前端の点やカウルポイントCWを原点として各位置情報(各距離)を入力しても良いし、これらの点の内いずれかを原点として選択できる構成であってもかまわない。
【0092】
<ピラー断面入力>
図20は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるピラー断面形状入力インタフェースの一例を示したものである。図20(a)は、断面の選択及び各種寸法を入力するための入力テーブルであり、この入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すため、図20(b)には、車両外観斜視画像が、また、図20(c)には、各断面の画像が示されている。
【0093】
図のワゴンタイプの車型の場合には、骨組み構造として、例えば、フロントピラー断面A、センタピラー断面B、リア補助ピラー断面C,リアピラー断面D、フロントヘッダ断面E,リアヘッダ断面F,サイドルーフレール断面Gごとに、図20(c)に示す断面形状を決定するパラメータ2401〜2403の他、板厚、材質、強度、重量などの各パラメータを入力設定可能となっている。
【0094】
<インテリア関連寸法>
図21〜図23は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるインテリア関連寸法設定機能を説明するための図である。
【0095】
図21は、シートのモデルを構築するための寸法入力インタフェースの例である。図は、3列シートの場合を示している。図中、寸法を入力できる箇所が2101〜2117で示されている。ただし、これらは一部であり、こられら以外にも、シート幅など様々な寸法を自由に設定可能である。
【0096】
図22は、フロントピラー(左側)のトリム形状を設定するための寸法入力インタフェースの例である。トリムとは、構造モデルで設定したフレームとしてのピラーを覆うカバーである。図中、寸法を入力できる箇所が2201〜2206で示されている。ただし、これらは一部であり、こられら以外にも、様々な寸法を自由に設定可能である。
【0097】
図23は、インテリアモデルを構成する他のパーツについて説明するための図である。
【0098】
図23(a)において、太線2301はインパネ(Instrumental Panel)のモデルを表している。インパネモデルは、インパネ先端ライン位置、インパネ上面高さ、インパネ後方位置、インパネロアー面、インパネロアー下端、インパネ横幅などをパラメータとして有しており、これらのパラメータに自由に寸法を設定できる。
【0099】
図23(b)において、太線2302はメータフードのモデルを表している。メータフードモデルは、予め複数のタイプ(窓が1つのものや2つのものなど)が用意されており、具体的な寸法を入力する前に、いずれかのタイプを選択することになる。また、それぞれのタイプのメータフードのモデルは、メータフード上面位置、メータフード上部後端位置、メータフード下部後端位置、メータフード開口形状、メータフード外径形状などをパラメータとして有しており、これらのパラメータを自由に設定可能である。図22(c)は、メータフードの1例を示す斜視図である。
【0100】
図23(d)において、太線2303はセンタスタックのモデルを表している。ここで示されているのはウォークスルータイプのセンタスタックである。このセンタスタックモデルは、上端位置、センタパネル横幅、側面角度、センタパネル下端位置、センタスタック下部後端位置、足下横面形状、横面前端位置などをパラメータとして有しており、これらのパラメータを自由に設定可能である。図23(e)は、センタスタックの1例を示す斜視図である。
【0101】
図23(f)において、太線2304は図23(d)とは異なるタイプのセンタスタックのモデルを表している。ここで示されているのはリアコンソール付きタイプのセンタスタックである。このセンタスタックモデルは、上端位置、センタパネル横幅、側面角度、センタパネル下端位置、基本上面位置、アームレスト前端位置、アームレスト高さ、コンソール&アームレスト幅、コンソール&アームレスト後端、下端位置、足下横面形状、横面前端位置などをパラメータとして有しており、これらのパラメータを自由に設定可能である。
【0102】
インテリアモデルとしては、ここで示したものの他に、センターピラーのトリム、リアピラーのトリム、ハンドル、ピラートリム、バックミラー、サイドミラー、サンバイザー、サンシェード、アクリルバイザーを含む。更に、ハンドルを持つ乗員の腕のみのモデルをインテリアモデルとして含んでも良い。また、設計テーブルでこれらのインテリアパーツのそれぞれについて色を設定することもできる。
【0103】
[基準モデル構築プログラム]
基準モデル構築プログラム62は、上記のような設計テーブルから、車内寸法に関する数値データ、視認性に関する数値データ及びフロア下に関する数値データを取りだして居住空間モデルを生成する。具体的には、車両内での乗員の着座状態に関する乗員データ(シート数やシート毎のヒップポイント位置等)を入力し、乗員を表す人型モデルをデータベースから読出し、入力した乗員データに応じて変形して図5のような人型モデルを構築する。また更に、視認性に関するデータを用いて、車両の運転位置での人型モデルに、目の位置情報と、該目からの視界として確保されるべき基準範囲を示す視界確保基準範囲情報とを付加する。なお、ドライバ用の人型モデルは、ハンドルとそのハンドルをつかむ腕のモデルを含んでも良い。
【0104】
また、設計テーブル内の外形寸法に関する数値データから車両基準モデルを生成する。更に、外形寸法に関するデータから導かれたカウルポイント(CW)を下端とし、視認性に関するパラメータ(前方上方視界)とフロントガラス角度とに基づいて導かれるフロントヘッダを上端とするフロントガラスモデルを生成する。
【0105】
そして、これらの各モデルを組み合わせることによってな基準モデルを生成する。
【0106】
また、基準モデル構築プログラムは、生成した各モデルの座標データを画像生成・表示プログラムに渡して、ディスプレイ上に図4のように3次元表示させることができ、かつ、その状態でユーザからのポインティングデバイスによる入力を受付け、どの部位をどのように変形させる命令か判定し、その命令に応じて座標データを変更することもできる。
【0107】
つまり、ユーザは、ディスプレイに表示された3次元画像の変形したい部位をマウスなどのポインティングデバイスで選択し移動することにより、表示画像を変形でき、同時にその変形に応じてメモリ内の座標データを変更することができる。
【0108】
なお、居住空間モデルは、外形モデル構築プログラムで、どの外形パラメータグループ(車型)が選択されるかによっては変更されない。
【0109】
[外形モデル構築プログラム]
外形モデル構築プログラム63は、設計テーブル作成プログラム61で作成された設計テーブルに含まれる車型データに基づいて、データベースからベースとなる外形座標データを読出し、更に、設計テーブルに入力された外形パラメータ(諸元値)と所定のルールに基づいてその外形座標データを変更して外形モデルを構築する。
【0110】
また、外形モデル構築プログラムは、生成した外形モデルの座標データを画像生成・表示プログラムに渡して、ディスプレイ上に図6のように3次元表示させることができ、かつ、その状態でユーザからのポインティングデバイスによる入力を受付け、その入力がどの部位をどのように変形させる命令か判定し、その命令に応じて座標データを変更する。
【0111】
つまり、ユーザは、ディスプレイに表示された3次元外形モデル画像の変形したい部位をマウスなどのポインティングデバイスで選択し移動することにより、表示されている車両外形画像を変形でき、同時にその変形に応じてメモリ内の外形モデルの座標データを変更することができる。
【0112】
つまり、外形モデル構築プログラムは、i)データベースから読出した大局的な形状を設計テーブルの値によって自動変形する大局変形と、ii)ディスプレイ上で局所的な変形部位及び変位を指定することにより変形する局所変形と、の2つの変形機能を有している。
【0113】
[構造モデル構築プログラム]
構造モデル構築プログラム64は、設計テーブルに入力されたピラー構成及び断面形状を読出し、車両の骨組み構造の3次元座標データを生成し、画像生成・表示プログラムに渡して、ディスプレイ上に図7のように3次元表示させることができ、かつ、その状態でユーザからのポインティングデバイスによる入力を受付け、どの部位をどのように変形させる命令か判定し、その命令に応じて座標データを変更する。
【0114】
なお、構造モデルを構成する骨組みの形状は、外径モデルの変形に応じて自動的に変形するので、構造モデルと外形モデルを重ね合わせた場合にずれることがなく、それらと居住空間モデルとの干渉問題の検証を精度良く行うことができる。
【0115】
また、構造モデルの車型の大きさの相違に基づいて断面積や強度に関する情報が相違するように設定されている。
【0116】
従って、ユーザの作業効率を向上させることができる。更に、強度等が企画する車両に略合致したものとして検証できるため、強度等のデータを細かく変更する必要がなく検証効率の向上が図れ、検証精度の向上を図ることができる。
【0117】
また、構造モデルは、車体フレーム及びピラー等の骨組み構造に関する断面積と強度に関する情報を有しているので、パッケージングの成立性評価を迅速に行えるとともに、ピラー等の断面積情報を備えることで車室空間における乗員への圧迫感等を迅速に検証可能となる。
【0118】
更に、強度情報を持つことで企画車両の強度検証や衝突性能、振動評価等の検証が迅速に行え、企画車両の企画精度を初期企画段階から極めて高いものにできる。
【0119】
また、構造モデルは鋼板の材質、鋼板の板厚、重量に関する情報を備えていることで、企画車両の車両重量、重量配分、重心位置等の検証が可能となる。
【0120】
更に、構造モデルは、フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、フロントヘッダ、リアヘッダなどの複数の骨組み構造を持っており、各骨組み部分に対して少なくとも断面積と強度(断面形状)の少なくとも一つが設定変更可能となっていることで、車型(ワゴンやスポーツなどの車両のカテゴリー)が異なれば当然要求される強度や断面積等が異なる。そして、構造モデルの断面積や強度等を個々に変更可能とすることで、企画車両に合わせた最適なパッケージング検証や強度検証が行え、企画精度を極めて高いものにできる。
【0121】
[インテリアモデル構築プログラム]
インテリアモデル構築プログラム65は、設計テーブル1aに入力されたインテリアのパーツに関する寸法を読出し、シート、フロントピラーのトリム、センターピラーのトリム、リアピラーのトリム、インパネ、メータフード、センタスタック、ハンドル、ピラートリム、バックミラー、サイドミラー、サンバイザー、サンシェード、アクリルバイザー等の3次元座標データを生成し、画像生成・表示プログラム66に渡して、ディスプレイ上にインテリアモデルとして3次元表示させることができる。
【0122】
[画像生成・表示プログラム]
上記のモデル構築プログラムで構築された、基準モデル、外形モデル、構造モデル、インテリアモデルの3次元座標データを組み合わせて1つの3次元座標空間に表示することができる。図24は、全てのモデルを組み合わせた企画車両モデルを表示した画面の1例を示す図である。
【0123】
[シミュレーション表示プログラム]
上記のモデル構築プログラムによって構築された企画車両モデルを、仮想空間内の仮想道路上において走行させ、企画車両モデルに設定されている運転手の視点(アイポイントEP)からみた映像を図25に示すようにシミュレーション表示する。
【0124】
(企画検証)
図26は、上記のような各プログラムを用いた企画検証処理の全体的な流れを示すフローチャートである。
【0125】
まず、ステップS2601において、上述したように設計テーブルを作成する。次に、ステップS2602〜S2605において、設計テーブルに入力されたデータを用いて、基準モデル、外形モデル、構造モデル、インテリアモデルの3次元座標データを生成する。
【0126】
そして、ステップS2606において、各モデルを組合せ、重畳表示する。その結果、乗員と外形との干渉などが無ければ、ステップS2607からステップS2608に進み、全モデルを組み合わせた企画車両モデルを保存する。その際、企画車両モデルのコピーをシミュレーションモデル(表示用企画車両モデル)として保存する。
【0127】
ステップS2606で重畳表示した結果、問題がある場合には、設計テーブルを変更するか、或いは、3次元表示画面上で変形を加えることによって、各モデルを修正する。
【0128】
そして、シミュレーション表示プログラムを起動し、まず、ステップS2609で走行条件を設定する。走行条件は、走行ルート、日照方向、天候、走行スピード、旋回スピードなどを含む。
【0129】
次に、ステップS2610において、設定された走行条件に合わせて、データベースサーバから読出した仮想空間データとステップS2608で保存したシミュレーションモデルの3次元データとを組合せる。そして、仮想空間内の仮想道路上において企画車両を走行させ、その運転手の視点から見える動画像をディスプレイに表示する。
【0130】
更にステップS2611に進み、表示上の修正が必要か否か判定する。つまり、3次元データから導き出したシミュレーション画像が実際の車両を運転する場合の感覚とかけ離れていないかを判定する。かけ離れている場合には、ステップS2612に進み、実際の運転時に運転手が受ける感覚に近づけるため、経験に基づいてシミュレーションモデル、特にその中のインテリアモデルの部分を補正する。つまり、シミュレーションモデルは、シミュレーション表示がより現実感を増すように補正を加えられることを前提としてオリジナルの企画車両モデルからコピーされたものである。従って、ここでの補正によって、オリジナルの企画車両モデル自体が変形されるわけではない。なお、ここでは3次元のシミュレーションモデルを変形補正することとしたが、本発明はそれに限定されるものではなく、2次元の動画像に補正を加えたり、或いは3次元データから2次元データへの投影方法に補正を加えたりして現実感を向上させても良い。また、さらにオペレータは走行条件の設定を変更して繰り返し補正を行なっても良いし、設計テーブルまで立ち返って各モデルのデータを補正しても良い。
【0131】
補正後はステップS2610に戻り、再度シミュレーション表示を行い、現実感を確認した後、補正が不要であれば、ステップS2613に進む。ステップS2613では、シミュレーション表示を行いながら、複数の評価者により視認性、圧迫感などの評価を行う。
【0132】
視認性や圧迫感に問題がなければ、ステップS2614から企画書の作成、デザイン開発に進む。何らかの問題があれば、ステップS2601に戻って設計テーブルを修正したり、或いは、インテリアモデルのみを3次元表示画面上で修正したりする。また、他の走行条件で再評価を行う場合には、ステップS2609に戻って、走行条件を変更しステップS2610〜S2613の処理を繰り返す。
【0133】
以上のように企画しようとする車両の3次元モデルを構築し、仮想道路上を移動させて、その車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するので、企画者は、試作車を作成することなく、運転手の視認性や圧迫感などの居住性を視覚的に評価することができる。これにより、車両の企画立案に必要な時間及びコストを、大幅に削減することができる。
【0134】
以下に、シミュレーション表示プログラムが行う処理について詳細に説明する。
【0135】
図27は、シミュレーション表示プログラムの起動画面の1例である。企画車両モデルを特定したシミュレーション表示コマンドを受け付けると図27に示す画面を表示する。ここで、ボタン2701は、走行条件を設定する画面に移行するためのボタンである。図26に示したように、通常は、シミュレーション表示に先駆けて、まず走行条件を設定する。
【0136】
ボタン2702は、オペレータ用のシミュレーション表示を実行するためのボタンである。つまりこのボタン2702が選択されるとオペレータ用の機能を搭載したシミュレーション表示画面に移行する。オペレータ用のシミュレーション表示は、図26のステップS2610に相当する。そして、ボタン2703は、評価者用のシミュレーション表示を実行するためのボタンである。つまり、ボタン2703が選択されると、評価者用に機能を限定したシミュレーション表示画面が表示される。
【0137】
次に図27の各ボタンに対応する処理について説明する。
【0138】
[走行条件設定]
図27でボタン2701が選択されると、図28に示す走行条件設定画面をディスプレイ上に表示する。オペレータはこの走行条件設定画面を用いて、図26のステップS2609に対応する走行条件設定処理を行う。
【0139】
図28において、2801は、AコースとBコースのいずれかの走行コースを選択するためのボタンである。2802は、昼間と夜間のいずれかの時間帯を選択するためのボタンである。2803は日照方向を選択するためのボタンである。2804は、晴れと雨のいずれかの天候を選択するためのボタンである。2805は、低速と高速のいずれかの速度を選択するためのボタンである。なお、ここには示していないが、旋回速度を独立に設定できるボタンを設けても良い。2806は、仮想空間内のオブジェクトの数を設定するボタンである。2807は、シミュレーション表示画面内に視認性に関する警告を表示するか否かを設定し、警告を表示する場合にはどのような条件で警告させるかを設定するためのボタンである。2808は、評価者に問題点をマークさせるか否かを設定するためのボタンである。2809は、バックでのシミュレーションを含めるか否かを設定するためのボタンである。2810は、対比表示を行うか否かを設定し、対比表示を行う場合には、対比車両モデルを特定するためのボタンである。
【0140】
なお、図28では、初期値として、すべて左側のボタン(斜線)が選択されている様子を示している。
【0141】
[オペレータ用シミュレーション表示]
図27でボタン2702が選択されると、シミュレーション表示プログラムは、図29に示すオペレータ用シミュレーション表示画面をディスプレイ上に表示する。このシミュレーション表示により、まずオペレータが企画車両の視認性、圧迫感を評価し、更には、シミュレーション表示自体の精度、リアル感などを検証する。
【0142】
この画面には、図28の走行条件設定画面で設定した走行条件に応じて、企画車両モデル(シミュレーションモデル)の運転手のアイポイントを視点とした3次元仮想空間の投影画像(動画像)2900が表示される。従って、この映像には、仮想空間のオブジェクトのみならず、車内の様子、例えばハンドル2901、フロントピラー2902、インパネ2903、メータフード2904、センタスタック2905、ミラー2906、そして運転手の手2907なども表示される。
【0143】
また、この仮想空間には、オブジェクトとして、道路2908、建物2909、信号2910、通行人(大人)2911a、通行人(子供)2911b、通行車両2912などを含み、道路には、横断歩道などの白線2913が引かれている。
【0144】
なお、ここでは表示していないが、サンバイザー、サンシェード、アクリルバイザーなどを備えたモデルであれば、それらのインテリアも表示される。
【0145】
<自動補正>
シミュレーション表示プログラムは、上記のような動画像2900を表示するにあたり、仮想空間での企画車両モデルの走行条件(図28において、何れのボタンが選択されるか)に応じて、企画車両モデルの3次元データ、仮想空間内のオブジェクトデータ、または2次元動画像データに自動的に補正を加える。これは、評価者による評価精度を向上させるための補正である。
【0146】
ここで行われる自動補正としては、走行条件に応じて、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分の3次元データを変更することが挙げられる。例えば、企画車両モデルの仮想道路上での走行速度が速い場合には、ピラー部分或いはヘッダ部分が映像内で大きくなるべく3次元データに補正を加えたり、仮想空間に含まれるオブジェクトが小さく表示されるようにオブジェクトデータに補正を加えたり、映像の周辺部分の奥行きが浅く表示されるように2次元動画像データを奥行調整(周辺部分が運転手に近くなるような歪曲変形)したりする。
【0147】
また、例えば、企画車両モデルの仮想道路上での旋回速度が速い場合には、ピラー部分或いはヘッダ部分が映像内で大きくなるべく3次元データに補正を加えてもよい。更に、仮想空間が夜間又は雨の状況の場合には、ピラー部分或いはヘッダ部分が映像内で大きくなるべく3次元データに補正を加えてもよい。
【0148】
また、例えば、走行条件に応じて、所定のオブジェクト(例えば、人、信号、又は道路上の白線を表すオブジェクト)を強調表示するべく、オブジェクトデータを補正してもよい。
【0149】
また、仮想空間での企画車両モデルの走行条件に応じて、企画車両モデル又は仮想空間内のオブジェクトのテクスチャデータを変更し、或いは2次元動画像データに処理を加えることも考えられる。つまり、走行条件に応じて、例えば、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分の色を変更したり、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分の明るさを変更したり、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分と仮想空間とのコントラストを変更したりしてもよい。
【0150】
また、例えば、企画車両モデルの仮想道路上での旋回速度が速い場合には、オブジェクトが暗く表示されるようにテクスチャデータに補正を加えてもよい。更に、仮想空間が夜間又は雨の状況の場合には、映像の周辺部分を暗く表示するべく2次元動画像データに補正を加えてもよい。更に、走行条件に応じて、所定のオブジェクト(人、信号、又は道路上の白線を表すオブジェクト)を強調表示するべく、テクスチャデータを変更することを特徴とする。更に、仮想空間での企画車両モデルの走行条件に応じて異なる音声(騒音など)を出力してもよい。
【0151】
このような自動補正の例を図30に示す。図30(a)は、低速走行時の動画像を示す図であり、図30(b)は、高速走行時の動画像を示す図である。つまり図28のボタン2805において、「低速」が選択された場合を図30(a)に、「高速」が選択された場合を図30(b)に示している。これらを比較すれば明らかなように、車速が上昇すると、ピラー幅が太く表示され(特に上方に向けて太く表示される)、ピラーの上側の色が濃く表示される。またインパネの上面がせり上がるように表示され、ヘッダの下辺が下側にせり出すように表示されている。また、人及び車両のオブジェクトは縮小されている。本図では建物のオブジェクトは同じであるが、高速の場合に建物を大きく表示しても良い。
【0152】
また、自動補正の他の例を図31に示す。図31(a)は、天候が晴れの場合の動画像を示す図であり、図31(b)は、天候が雨の場合の動画像を示す図である。つまり、図28のボタン2804において、「晴れ」が選択された場合を図31(a)に、「雨」が選択された場合を図31(b)に示している。これらを比較すれば明らかなように、天候が悪い場合には天候がよい場合に比べて、コントラスト及び明るさを低下させて表示する。なお、時間帯によっても同様に補正を行う。すなわち、同じ天候であっても、昼間の場合には図31(a)のように表示し、夜間の場合には図31(b)のように表示する。
【0153】
<動画像に対するオペレータの操作>
動画像表示エリア2900の下側には、複数の操作ボタンが表示された操作エリアが設けられている。操作エリアの上段には、通常のビデオ操作ボタンとして、停止ボタン2914、一時停止ボタン2915、再生ボタン2916、スロー再生ボタン2917、巻き戻しボタン2918、及び早送りボタン2919が表示され、マウス等のポインティングデバイスでこれらを選択(クリック)すると、それぞれ動画像がボタンに応じた動作を行う。
【0154】
また、操作エリアの中段には、動画像2900内のインテリアモデルの見た目を変更するためのボタンとして、カラー変更ボタン2920、奥行調整ボタン2921、インテリアタイプ変更ボタン2922とが用意されている。
【0155】
このうち、カラー変更ボタン2920が選択されると、図32のようなダイアログが表示される。このダイアログでは、インテリアのパーツと色とを対応付けて表示しており、右側の色ボタン3201〜3206を選択すれば、さらに色の指定ダイアログが表示される。この色の指定ダイアログにより、パーツごとに色を設定できる。色の指定方法は、既存のソフトウェアにおいて既知であるからここでは詳細な説明を省略する。このようにインテリアのパーツごとに色を変更可能としたことにより、インテリアカラーの違いによる乗客の視認性、圧迫感などを様々な角度から検証可能となる。
【0156】
また、図29の奥行き調整ボタン2921が選択されると、図33のようなダイアログが表示され、縦方向と横方向の奥行き調整を独立に行うことが可能となる。なお、ここで、奥行き調整とは、3次元オブジェクトの投影面を歪ませることによって視点からの距離(奥行き)を調整することをいう。縦方向の奥行き調整では、視点からの距離が同じ2つのオブジェクトがあった場合に、画面の中心に表示されるオブジェクトよりも画面の上下端部に表示されるオブジェクトの方が近く(縦方向に大きく)表示されることになる。横方向の奥行き調整も同様に、画面の左右端部に表示されるオブジェクトが近く(横方向に太く)表示される。これらの調整は、図33の3301及び3302を左右に移動させることによって可能となる。
【0157】
このように奥行き調整可能とすることによって、オペレータは、評価者が動画像から受ける圧迫感を自在に調整することができ、より現実に近い感覚を評価者に与えて、その評価精度を向上させることができる。
【0158】
図29のインテリアタイプ変更ボタン2922が選択されると、動画像2900に表示するインテリアのタイプを変更できる。例えばメータフード2904を変更したり、センタスタック2905をウォークスルータイプからリアコンソール付きのタイプに変更したりすることが可能となる。その他、インテリアのパーツごとにテクスチャを変更できる構成としても良く、例えばインパネ2903を高級感のあるものにしたり、木目柄にしたりすることが考えられる。
【0159】
図29の操作エリアの下段には、動画像2900における企画車両の走行条件を設定するための走行条件設定ボタン2923と、設計テーブルaを修正するための設計テーブル修正ボタン2924と、が表示される。そして、走行条件設定ボタン2923が選択されると、図28に示す走行条件設定ダイアログを表示する。また、設計テーブル修正ボタン2924が選択されると、図10〜15,22,23のような設計テーブル1aの生成画面へ戻り、各種モデルの設計テーブルを修正可能である。或いは、ここで、図24のような3次元表示画像に戻り、画像内に表示される企画車両内の可動点を選択し移動することによって企画車両モデルを変形してもよい。すなわち、動画をシミュレーション表示した状態から、車両モデル構築プログラムに移行可能である。これにより、オペレータは運転手の視認性を評価した後、簡単に車両モデルの修正を行うことができる。
【0160】
<対比表示>
図28のボタン2810で、対比表示ありが選択され、比較車両モデルが特定されると、図34のような対比表示画面が表示される。図34では、企画車両モデルによるシミュレーション表示画像3401と、比較車両モデルによるシミュレーション表示画像3402とが並列対比表示されている。
【0161】
シミュレーション表示プログラムは、比較車両モデルの設計テーブルを特定した対比表示の指示を受付けると、まず、比較用車両を3次元データで表した比較車両モデルを構築する。そして、構築した比較車両モデルを、仮想空間上で移動させ、比較車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示する。この時、同じタイミングで同じ仮想道路を走行する企画車両モデルからの映像と比較車両モデルからの映像を並べて表示する。ここでは、設計テーブルを特定することとしたが、すでに構築された比較車両モデルの3次元座標データを読出し、シミュレーション表示しても良いし、比較車両モデルを仮想空間上で移動させシミュレーション表示した動画像ファイルを読みだして対比表示してもよい。
【0162】
対比表示の場合には、図29で説明したボタン2914〜2919以外に、ボタン3403〜3406が用意されている。このうち、ボタン3403は、並列対比表示を指示するためのボタンであり、ボタン3404は、重畳表示を指示するためのボタンであり、ボタン3405は交互表示を指示するためのボタンであり、ボタン3406は、対比表示OFFを指示するためのボタンである。図34は、並列対比表示3403が選択されている状態である。
【0163】
この状態で、ボタン3406が選択されると、図29に戻る。また、この状態でボタン3404が選択されると、図35が表示される。すなわち、同じタイミングで同じ仮想道路を走行する企画車両モデルの映像と比較車両モデルの映像を重畳して表示する。そして、企画車両モデルからの映像と比較車両モデルからの映像のうち、一方のみを透過表示する。また、仮想空間は、複数の3次元オブジェクトを含み、企画車両モデルの運転手から3次元オブジェクトが見える範囲と比較車両モデルの運転手から3次元オブジェクトが見える範囲とを識別可能に表示する。つまり、オブジェクトにおいて比較車両モデルの運転手から見えない部分は表示せず、比較車両モデルの運転手からは見えるが、企画車両モデルの運転手からは見えない部分は暗く表示する。もちろん、どちらのモデルでも表示される部分は通常どおりの明るさで表示する。
【0164】
また、図34で、ボタン3405が選択されると、所定時間ごとに、企画車両モデルからの映像と比較車両モデルからの映像とを交互に表示する。
【0165】
なお、これらの対比表示では、企画車両モデルを走行させる走行条件と比較車両モデルを走行させる走行条件とを同じにすることが望ましい。
【0166】
また、比較車両モデルの特定時に、実写画像をも特定できる構成にしても良い。つまり、実在する比較用車両を実空間上で移動させ、その比較用車両の運転手の視点からみた実写映像を、企画車両モデルの映像と対比的に表示してもよい。
【0167】
<警告>
図28のボタン2807で、警告表示ありが選択されると、図36のようなシミュレーション表示画像が表示される。つまりシミュレーション表示プログラムは、シミュレーション表示した動画像において、仮想空間に含まれるオブジェクト(特に人及び走行車両)についての視認性を判定し、判定した視認性が所定の視認性基準を下回る場合に報知する。この時、動画像に含まれるオブジェクトの面積に応じて視認性を判定する。つまり、視認すべき対象となるオブジェクトについて、そのオブジェクトの全体が視認できる場合に比較して、どの程度確認できないかを視認性基準とする。また、この判定は、企画車両モデルが仮想道路上の所定位置に位置する際に行われる。
【0168】
なお、図36では、メッセージと矢印によって視認性に問題のあるオブジェクトを報知しているが、オブジェクト自体の表示(色など)を変更しても良い。
【0169】
また、視認性に問題があると判定された瞬間の静止画像は記憶されており、該静止画像を、シミュレーション表示後に表示できる。
【0170】
ここでは、オブジェクトの隠れ度合いが所定値を上回る場合に警告することとしているが、図34のように対比表示を行う場合には、比較車両モデルにおける視認性(オブジェクトの隠れ度合い)と、企画車両モデルにおける視認性とを比較し、企画車両モデルにおける視認性が比較車両モデルにおける視認性よりも所定値以上下回る場合に報知してもよい。この場合、報知の瞬間の企画車両及び比較車両についての静止画像を記憶し、シミュレーション表示後に、その静止画像を表示してもよい。
【0171】
図28のボタン2807で、警告条件設定ボタンが選択されると、図37のような警告条件設定画面が表示される。
【0172】
警告方法として強い警告と弱い警告があり、それぞれ、視認性基準が異なる。ここでは、対象となるオブジェクトの90%以上が確認できない場合に強い警告(赤で表示)を行い、50%以上が確認できない場合に弱い警告(黄色で表示)を行うように設定されている。これらの%としては、車型ごとに固有のデフォルト値が用意されているが、ボックス3701、3702には任意の数値を入力することができる。
【0173】
また、検証範囲の欄では、画面のどの領域に存在するオブジェクトについて視認性を判定するか設定可能である。つまり、3次元空間内のどの領域にあるオブジェクトの視認性を問題とするのかを設定できる。ここでは、ボックス3703で直進時の視点からの角度を設定し、ボックス3704では、旋回(カーブ)時の旋回方向を中心とた角度を設定する。また、ボックス3705では、どの程度離れた走行車両のオブジェクトを警告対象とするのかを設定し、ボックス3706は、どの程度離れた歩行者のオブジェクトを警告対象とするのかを設定する。更に、ボタン3707、3708により、警告時に動画像を一時停止するか否かを設定できる。
【0174】
図37の例では、直進時に前方135度の範囲で、かつ視点からの距離が30m以内にある車両オブジェクト及び10m以内にある歩行者オブジェクトを警告判定の対象とし、警告時には動画像を一時停止する設定となっている。
【0175】
[評価者用シミュレーション表示]
以上の操作でオペレータがある程度企画車両モデルの視認性及び圧迫感を評価し、シミュレーションモデルの補正等を行うと、次に、複数の評価者にその視認性及び圧迫感を評価させる。これは、図26のステップS2613に相当する処理である。
【0176】
具体的には、図27でボタン2703が選択されると、シミュレーション表示プログラムは、図38に示すダイアログをディスプレイ上に表示する。図38では、評価者用のシミュレーション表示を行う前に、ボックス3800及び3801に対し、評価者のID及び身長の入力を促す。そして、入力された身長に応じて、企画車両モデルに設定されている運転手モデルを生成し直し、その視点(アイポイントEP)の座標を変更させる。これにより、シミュレーション表示の際の視点の位置が設定される。例えば、ヒップポイントからアイポイントまでの距離を身長の1/2にするなどといった設定方法が考えられる。
【0177】
ここではIDと身長の両方を入力することとしたが、IDに身長が関連づけて登録されている場合には、IDのみを入力すればよい。
【0178】
なお、ここで設定された視点の位置は、仮想空間上での企画車両モデルの走行状態に基づいて変更してもよい。例えば、横Gを受けた場合の体の動きに対応させるため、右旋回時に左側に、左旋回時に右側に微小距離だけ移動させてもよい。
【0179】
また、図38には、ターゲット画像に対する注意を促すメッセージ3802が表示される。ターゲット画像とは、評価者が注目すべき画像である。
【0180】
図38でボックス3801に身長が入力されOKボタン3803が選択されると、図39に示すシミュレーション表示画像3900が表示される。シミュレーション表示プログラムは、企画車両モデルの運転手の視点からの映像に、注視を促すためのターゲット画像3901を重畳表示する。これは、視認性の評価を行う評価者に対して、ただ漫然と映像を見るのではなく、運転手と同様に道路に注目することを促すためのものである。これにより、より精度の高い視認性の評価を行うことができる。
【0181】
ここではターゲット画像として四角い点を表示しているが、これに限定するものではなく、動画像上で識別可能であれば、他の画像でも良い。
【0182】
シミュレーション表示プログラムは、このターゲット画像を、企画車両モデルの速度が速いほど小さく、鮮明に表示する。また、このターゲット画像は、人オブジェクトに追従させることはなく、仮想道路の中心に追従するように表示する。
【0183】
また、3次元車両モデルの操舵角に応じた速度でターゲット画像を動画像上で水平移動させてもよい。また、その場合、動画像上に含まれるオブジェクトが多いほどターゲット画像の移動速度を遅くする。
【0184】
更に、運転手が後部を確認すべき状況においては、ターゲット画像を、3次元車両モデルに含まれるバックミラーまたはサイドミラーに表示する。
【0185】
なお、評価用のシミュレーション表示画面には、停止ボタンなどの他、動画像中の、視認性または圧迫感に関する問題点の位置を入力するためのボタン3902が用意されている。
【0186】
評価者がボタン3902を選択した後、シミュレーション表示画像中の問題点をマウスなどのポインティングデバイスで指示すると、シミュレーション表示プログラムは、指摘のあった企画車両モデルの部位をマークする。図39では、例として、星印を動画像に重畳表示する場合を示している。また、シミュレーション表示プログラムは、そのマークに対応するコメントを入力して動画像中に表示することも可能である。ここでは、マークボタン3902が選択された時点で動画像を一時停止し、その静止画に対してマークを付加させ、コメント記入ボタン3903が選択された場合には不図示のコメント記入ダイアログを表示してコメントを入力させ、入力されたコメントを動画像中に重畳表示する。ただし、問題点をマークした時点での評価者の発言をマイクで録音し、音声解析して文字として表示しても良い。
【0187】
また、マークされた企画車両モデルの部位の表示形態(例えば色や明るさ)を変更して目立たせても良い。
【0188】
シミュレーション表示プログラムは、評価者から問題点の位置がマークされた場合には、その入力時点に表示した静止画像を記憶する。そして、評価者による評価の終了後、オペレータは記憶された静止画像及びマークを確認しながら、企画車両モデルに修正を加えることができる。例えば、圧迫感ありとマークされたフロントピラーを細くするといった修正が考えられる。
【0189】
その場合、修正を加えた後の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像と、修正を加える前の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像とを、並列表示或いは重畳表示することも可能である。
【0190】
また、更には、修正を加えた後の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像と、修正を加える前の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像とを、時間的に前後して表示可能としてもよい。
【0191】
<評価システム>
複数の評価者に企画車両モデルの視認性等を評価させる場合には、図40(a)のようなシステムが有効である。つまり、複数の評価用端末4001をネットワークで結び、それぞれの端末4001で入力されたマークやコメント及び対象となる静止画像などをオペレータ用の端末に集約する。なお、評価用端末4001は、評価者のコメントを音声で取得する場合には、マイク付きの端末にすればよい。
【0192】
これらの評価用端末4001は、図2に示したデータ1a〜1jを全て備える必要はなく、図39に示す画面を表示できる必要最低限のデータを操作車用端末4002からダウンロードすればよい。例えば、シミュレーションモデルと仮想空間のデータのみを評価用端末4001にダウンロードして、評価用端末4001にインストールされている三次元表示プログラムによってシミュレーション表示してもよい。また、例えば、オペレータ用端末4002でシミュレーション表示画像をビデオデータとして格納し、そのビデオデータのみをそれぞれの評価用端末4001に提供してマーク及びコメントの入力を求めても良い。
【0193】
複数の評価者に企画車両モデルの視認性等を評価させるためのシステムとしては、図40(b)のようなものも考えられる。図40(b)は、プロジェクタ4003を用いてスクリーン4004にシミュレーション画像を表示し複数の評価者がその画像を同時に見ながら、評価用パッド4005にてコメントを入力する。そして入力されたコメントをその入力タイミングの情報と共にオペレータ用端末4002に集約する。このようにすれば、どの評価者がどのタイミングでどのようなコメントをしたのかを集約でき、企画車両モデルの修正に役立てることができる。
【0194】
<後進時のシミュレーション表示>
なお、シミュレーション表示プログラムは、後退時の後方視界を表す動画像をもシミュレーション表示可能である。この場合、図41のように表示される。図41では、車外の様子は表示されていないが、仮想空間を表示し、その視認性を評価できることが望ましい。
【0195】
ここで後進時の後進時の運転手の視点は、前進時の運転手の視点の位置から、後進のために首をまげる動作などを考慮して求められる。すなわち、入力された身長に応じて後進時の後方視界画像も変化する。
【0196】
後進時の運転手の動作を考慮して後進時の視点位置を導き出すので、後進時の後方視界をリアルにシミュレーション表示することができ、企画車両を多面的に高精度に評価することができる。
【0197】
<乗降動作のシミュレーション表示>
更に、シミュレーション表示プログラムは、乗降時のシミュレーション表示をも可能である。これは、ドアのモデル及びその開閉動作を設計テーブルに定義することによって可能となる。この場合、図42(a)(b)のように表示される。図42(a)は、ドアを全開にした状態の側面方向からのシミュレーション表示画像であり、図42(b)は、駐車場に企画車両を駐車した場合のドアの開閉具合と乗降性とを確認するための上方からのシミュレーション表示画像である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の新型車両の企画検証を支援する装置、方法並びにプログラムを適用可能なコンピュータシステムの構成を例示する図である。
【図2】本実施形態のデータベース及び端末に格納されるデータを示す図である。
【図3】本実施形態の企画支援プログラムの構成を示す図である。
【図4】車両基準モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図5】乗員基準モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図6】外形モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図7】構造モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図8】基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせた完成モデルの画像表示例を示す図である。
【図9】基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせた完成モデルの画像表示例を示す図である。
【図10】車型とピラー本数により定義される外形モデルを例示する図である。
【図11】3列シートの場合の車両基準モデルを前方視(b)及び側面視(c)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力される外形寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図12】3列シートの場合の車両基準モデルを前方視(b)、側面視(c)、平面視(d)及びダッシュパネル周辺の拡大視(e)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力される車内寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図13】3列シートの場合の車両基準モデルを側面視(b)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力される視界関連寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図14】3列シートの場合の車両基準モデルを側面視(b)、平面視(c)及びホイールハウジング周辺の側面視(d),(e)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力されるタイヤ関連寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図15】3列シートの場合の車両基準モデルを側面視(b)及びサイドシル周辺の断面視(c)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力されるアンダーフロア関連寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図16】車両基準モデルに対する最前列乗員のヒップポイントHP1の水平位置TL、車幅方向位置BL及び垂直位置WLの決定方法を説明する図である。
【図17】車両基準モデルのカウルポイントCWの水平位置1107及び垂直位置1108の決定方法を説明する図である。
【図18】車両基準モデルのフロントヘッダの水平位置及び垂直位置の決定方法を説明する図である。
【図19】車両基準モデルのリアヘッダの水平位置及び垂直位置の決定方法を説明する図である。
【図20】構造モデルの外観視(b)と断面形状(c)を表示する2次元及び3次元画像とこの画像の対応部位にパラメータとして入力される断面寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図21】シートのモデルを構築するための寸法入力インタフェースの例を示す図である。
【図22】インテリアモデルのパーツである、ピラーのトリムのモデルを構築するための寸法入力インタフェースの例を示す図である。
【図23】インテリアモデルの各パーツについて説明するための図である。
【図24】基準モデルと外形モデルと構造モデルとインテリアモデルを重ね合わせた完成モデルの画像表示例を示す図である。
【図25】シミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図26】企画検証処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図27】シミュレーション表示プログラム起動時の操作画面例を示す図である。
【図28】走行条件設定ダイアログの1例を示す図である。
【図29】シミュレーション表示画面の1例を示す図である。
【図30】シミュレーション表示の際の自動補正処理について説明するための図である。
【図31】シミュレーション表示の際の自動補正処理について説明するための図である。
【図32】シミュレーション表示画像のインテリアモデルの色を変更するためのダイアログの1例を示す図である。
【図33】シミュレーション表示画像の奥行きを調整するためのダイアログの1例を示す図である。
【図34】比較車両モデルによるシミュレーション表示と企画車両モデルによるシミュレーション表示との対比して表示する場合の画面の1例を示す図である。
【図35】比較車両モデルによるシミュレーション表示と企画車両モデルによるシミュレーション表示との対比して表示する場合の画面の1例を示す図である。
【図36】視認性についての警告を表示する場合のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図37】視認性についての警告を表示する場合の警告条件設定ダイアログの1例を示す図である。
【図38】企画車両の評価を行う場合の導入画面の1例を示す図である。
【図39】視認性についての問題点をマークし、コメントを入力する場合のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図40】企画車両モデルの評価システムの例を示す図である。
【図41】後進時のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図42】乗降時のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の企画立案を支援するプログラム、方法、装置並びに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両の企画立案の際には、その車両の概要を表す2次元図面を作成し、図面に基づいて企画の善し悪しを判断していた。そして、その企画に変更点があった場合には、再度、一から図面を作成していた。また、企画した車両の車内からの視認性評価を行うため、試作車や、インテリアをかたどったクレーモデルを用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の企画立案作業においては、図面の作成や、試作車やクレーモデルの作成に多大な労力を費やしており、大幅な時間及びコストがかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両の企画立案を効率的かつ効果的に行うことのできる企画支援プログラム、企画支援方法、企画支援装置並びに記憶媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、車両の企画立案を支援する企画支援プログラムであって、コンピュータに、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築工程と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示工程と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示工程と、を実行させることを特徴とする。
【0006】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの速度が速いほど前記ターゲット画像を小さく表示することを特徴とする。
【0007】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの速度が速いほど前記ターゲット画像を鮮明に表示することを特徴とする。
【0008】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの操舵角に応じた速度で前記ターゲット画像を水平移動表示することを特徴とする。
【0009】
前記仮想空間は、複数の3次元オブジェクトを含み、
前記ターゲット画像表示工程では、前記映像に含まれる3次元オブジェクトが多いほど前記ターゲット画像の移動速度を遅くすることを特徴とする。
【0010】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの仮想道路上での移動に応じて、前記ターゲット画像を水平に移動することを特徴とする。
【0011】
前記仮想空間は、人を表す人オブジェクトを含み、
前記ターゲット画像表示工程では、前記ターゲット画像を、前記人オブジェクトではなく、前記仮想道路の中心に追従するように表示することを特徴とする。
【0012】
前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの運転手が後部を確認すべき状況においては、前記ターゲット画像を、前記3次元車両モデルに含まれるバックミラーまたはサイドミラーに表示することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る記憶媒体は、上記企画支援プログラムを格納したことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、コンピュータを用いて車両の企画立案を支援する企画支援方法であって、コンピュータに、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築工程と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示工程と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示工程と、を実行させることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、車両の企画立案を支援する企画支援装置であって、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築手段と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示手段と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示する手段と、を含むことを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、企画しようとする車両の3次元モデルを構築し、仮想道路上に配置して、その車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するので、ユーザは、試作車やクレーモデルを作成することなく、運転手の視認性や居住性を評価することができる。これにより、車両の企画立案に必要な時間及びコストを、大幅に削減することができる。
【0017】
ここで、映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するので、視認性の評価を行うユーザは、ただ漫然と映像を見るのではなく、運転手と同様に道路に注目することができるため、より精度の高い視認性の評価を行うことができる。
【0018】
また、車両の走行速度や操舵角や視界に含まれるオブジェクトの数に応じてターゲット画像が変化するので、評価者を、より運転手の心情に近い状態にすることができる。
【0019】
更に、後退時など後方に注意を払うべき時点では、バックミラーやサイドミラーにターゲット画像が表示されるので、評価者を、より運転手の心情に近い状態にすることができ、精度の高い評価を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。なお、本明細書において、外形モデル、居住空間モデル、構造モデル、インテリアモデルとは、それぞれ、車両の外観、シート及び乗員の状態、骨組み構造、車内のつくりを表す3次元座標データの集合体である。また、諸元値とは、車両形状を決定する寸法をいい、例えば、全高、全幅、全長などは含まれるが、居住空間を決定する乗員パラメータは含まれない。また、車型とは、スポーツ、セダン、トラックなどの車両のタイプをいい、車種とは、製品化された車両の銘柄(商品名)をいうものとする。
【0021】
(全体のシステム構成)
まず、本実施形態としての企画支援システムの全体構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る企画支援システム100の構成を例示する図である。
【0023】
図1の企画支援システム100は、ネットワーク接続された企画支援装置としてのコンピュータ1とデータベースサーバ2とを含む。コンピュータ1は、CPU11、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、外部記憶部15、入力部16、表示部17、画像処理部18及び通信部19を備え、そのそれぞれは、システムバス12によって接続されている。
【0024】
このうち、CPU11は、一般的なコンピュータとしての演算処理や車両の企画を支援するための情報処理を実行する。
【0025】
ROM13には少なくともコンピュータシステムを起動させるためのブートプログラムが格納されている。RAM14は、コンピュータシステム上で走るプログラムを一時的に格納するためのプログラム領域や、データの書き込みや読み出しを行うためのデータ領域を有する。また、外部記憶部15には、新型車両の企画検証を支援するためのプログラム60(以下、企画支援プログラムとも呼ぶ)が格納されている。この外部記憶部15としては、例えば、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、CD−RWドライブ、DVD(DVD−ROM,DVD−R)ドライブなどのデバイスが適用可能である。つまり、各ドライブから取り外し可能なCD−ROMなどの記憶媒体に企画支援プログラムが格納され、コンピュータ1が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出して、以下に説明する各種処理を実行することができる。その場合には、記憶媒体そのものが本発明の範疇に含まれる。
【0026】
入力部16は、命令やデータなどを外部から入力するキーボードやマウスなどのデバイスであり、表示部17は、CPU11からの制御指令に基づき画像処理部18で演算処理された文字や画像データを出力する液晶ディスプレイやCRTなどのデバイスである。画像処理部18は、この表示部17により出力させるための画像データを演算処理するデバイスであり、通信部19は、無線又は有線の通信回線(例えば、インターネット網や携帯電話網)を介して他のコンピュータシステムやデータベースサーバ20との間で通信して、遠隔からプログラムやデータなどを送受信可能とする。
【0027】
(データ構成)
図2は、コンピュータ1とデータベースサーバ2に含まれるデータを示す図である。
【0028】
データベースサーバ2は、図2に示すように、車両の3次元外部形状に関する外形パラメータグループを車型毎に分類分けして格納した外形データベース2aと、車両の骨組みの3次元構造及び断面形状に関する構造パラメータグループを同じく車型毎に分類分けして格納した構造データベース2bと、国内外の規格に準じた乗員サイズ(大人や子供の標準規格)により定義されたいくつかのタイプの乗員モデルを格納した乗員データベース2cと、車内に設けられる各種のパーツに関するインテリアパラメータグループを格納したインテリアデータベース2dと、完成した車両の各種データを格納した完成品データベース2eとを含む。また、データベースサーバ2は、さらに、3次元データで構築された車両モデルを走行させるための仮想空間を表す仮想空間データ2fを含んでいる。この仮想空間データ2fは、仮想建築物、仮想道路、仮想車両、及び仮想歩行者などをオブジェクトとして含む3次元仮想空間を形成するためのデータである。
【0029】
コンピュータ1は、ユーザの入力に基づき、企画対象となる車両に関する各種諸元値や乗員の着座位置情報などを含む設計テーブル1aを作成する。そして、設計テーブル1aに基づいてデータベースサーバ2にアクセスし、所望のデータ(パラメータグループ)を読出して変形することによって、基準モデル1b、外形モデル1c、構造モデル1d、インテリアモデル1iと呼ばれる4つのモデルを構築し、更に、これら4つのモデルを重ね合わせて企画車両モデル1eを構築する。
【0030】
つまり、データベースサーバ2に格納された各種のデータベース(パラメータグループ)には、各モデルを構成するための複数の点や直線や曲線が、パラメータ(変数)を用いて定義されており、その各パラメータに対し設定テーブル1aに入力された数値を代入することによって各モデルが構築される。
【0031】
設計テーブル1aには、車両内での乗員の着座状態に関する乗員パラメータとして、乗員着座位置(ヒップポイント)やシート配列(1列、2列や3列シートなどのシート数)が入力されている。そして、コンピュータ1では、この乗員パラメータに基づいて、乗員データベース2cから読出した人型モデル及びシートモデルを組合せ、変形して乗員の居住性を表す居住空間モデル1fを構築する。この居住空間モデル1fは、外形モデル1cを構築するために入力される車両諸元値の影響を受けるものではなく、外形モデル1cと居住空間モデル1fは連動して変形することはない。
【0032】
また、この居住空間モデル1fの車両内での位置を規定する車両基準モデル1gを、設計テーブル1aに入力された車両の全長、全幅、全高、ホイールベース、などから構築する。更に、運転手の目の位置を示すアイポイント及び最低限確保すべき運転手の視界に基づいて決められた上端を有し、入力された諸元値に基づいて決められたカウルトップポイントを下端とするフロントガラスモデル1hが構築されている。そして、居住空間モデル1fと車両基準モデル1gとフロントガラスモデル1hを組み合わせることによって、基準モデル1bを構築する。
【0033】
コンピュータ1では基準モデル1bを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能であり、かつ、例えばポインティングデバイスなどの入力部16を用いて、その3次元空間上で、基準モデル1bに含まれる乗員の着座姿勢などを調整することができる。
【0034】
また、コンピュータ1は、設計テーブル1aに格納された、車型(ハッチバック、ミニバン、セダン、スポーツ、オープン、トラックのいずれか)に基づいて外形データベース2aから、その車型の外形パラメータグループを選択し、読出す。そして、設計テーブル1aに格納された各種諸元(全長、全幅、全高、ホイールベース、フロント及びリアオーバハング)を用いて、外形パラメータグループに含まれる所定の外形パラメータ(バンパー先端位置の座標やルーフトップの座標など)を変更して、諸元に沿った大まかな外形モデル1cを構築する。コンピュータ1では外形モデル1cを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能であり、かつ、例えばポインティングデバイスなどの入力部16を用いて、その3次元空間上で、外形モデル1cを変形することができる。
【0035】
また、コンピュータ1は、設計テーブル1aに格納された車型及び車両骨組み構成に基づいて、構造データベース2bから構造パラメータグループを選択し、読出す。そして、設計テーブル1aに格納された各種諸元(断面形状や材質や重量や強度など)を用いて、構造パラメータグループに含まれる所定の構造パラメータ(外観に現れる骨組みの外形形状や骨組みの断面形状)を変更して、諸元に沿った構造モデルを構築する。更に、コンピュータ1では構造モデル1dを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能である。
【0036】
更に、コンピュータ1は、構築された基準モデル1b、外形モデル1c、構造モデル1d、インテリアモデル1iを組み合わせて企画車両モデル1eを構築し、企画車両モデル1eを3次元空間に描画し、表示部17に表示することが可能である。
【0037】
(プログラム構成)
次に、コンピュータ1に含まれるプログラムについて説明する。
【0038】
図3は、本実施形態の企画支援システムを実現する企画支援プログラムの構成を示す図である。
【0039】
設計テーブル1aは、例えば、オペレーティングシステム上で動作する表計算ソフト40によって作成できる。また、各種モデル1b、1c、1dは、表計算ソフト40で作成した設計テーブル1aから値を抽出して計算する3次元CADソフト50によって作成することができる。
【0040】
つまり、本システムを実現する企画支援プログラム60は、表計算ソフト40に組み込まれた設計テーブル作成プログラム61、及び、3次元CADソフトに組み込まれた基準モデル構築プログラム62、外形モデル構築プログラム63、構造モデル構築プログラム64、インテリアモデル構築プログラム65、3次元画像生成・表示プログラム66、シミュレーション表示プログラム67とを含む。
【0041】
設計テーブル作成プログラム61は、ユーザに車両の諸元などを入力させるグラフィカルユーザインタフェースを表示する機能を含む。これにより、ユーザは、容易に各種諸元や乗員の着座位置、着座姿勢などを入力することができる。
【0042】
また各種モデル構築プログラム62〜65は、設計テーブル作成プログラム61で作成された設計テーブル1aを参照する機能を有し、更に、設計テーブル1aの内容に基づいて、乗員データベース2c、外形データベース2a、構造データベース2b、インテリアデータベース2dに含まれるパラメータグループを読出し、所定のパラメータを自動的に変更する機能を有する。
【0043】
なお、ここでは、設計テーブル作成プログラムと他のプログラムが異なるソフト上で実行されるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、企画支援用ソフトの中に、設計テーブル作成機能、基準、外形、構造、インテリアモデル構築機能、画像生成・表示機能、シミュレーション表示機能の全てを搭載させても良い。
【0044】
(表示画面例)
図4は、基準モデル構築プログラム62によって構築された基準モデルを、表示プログラム66で表示部17に表示した場合の表示画面例を示す図である。
【0045】
また、図5は、基準モデルから居住空間モデルのみを取りだした場合の表示画面例を示す図である。ここでは、居住空間モデルは、左前輪の中心を原点とする座標データの集合となっている。一方、車両基準モデルも同じ点を原点とした座標データとなっており、この原点を基準に図4のように重ねて表示される。
【0046】
図6は、外形モデル構築プログラム63によって構築された外形モデルを、表示プログラム66で表示部17に表示した場合の表示画面例を示す図である。外形モデルは、車両の全長、全幅、全高、ホイールベースなどの諸元値やワゴンやセダンなどの複数の車型といったパラメータにより定義され、入力されたパラメータから図6のような3次元画像データが画像処理により自動生成されて表示される。
【0047】
図7は、構造モデル構築プログラム64によって構築された外形モデルを、表示プログラム66で表示部17に表示した場合の表示画面例を示す図である。構造モデルは、設計テーブルに入力された、骨組み構造を示すパラメータと、フロントピラーやセンタピラーなどの部位ごとの断面形状を示すパラメータとにより定義され、入力されたパラメータから図7のような3次元画像データが画像処理により自動生成されて表示可能となっている。
【0048】
図8は基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせたモデルの画像表示例を夫々示している。各モデルは、基準点を有しており、その基準点同士を重ね合わせることによって、図8のように表示される。
【0049】
図9は、基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせたモデルの他の画像表示例を示している。図8と異なり、図9の表示例では外形モデルを半透過表示している。入力された全長などのパラメータが、居住空間モデルを収容するには小さすぎる場合には、車両外形から乗員の頭部が突き出ることになり、図9では、突き出た頭部を斜線で示している。このように、居住空間モデルと外形モデルの干渉状態を明確に判別できるように、干渉部分を異なる色で表示する。
【0050】
これにより、乗員のヘッドクリアランスや運転手の視界確保などが不十分であることが視覚的に検証でき、この検証結果に基づいて各モデルを変更することができる。即ち、外形モデルや構造モデルによって設定される車室空間に対して、居住空間モデルによって決定された乗員の着座位置、着座姿勢に無理がある場合には、図9の画面上でその着座位置をずらしたり、着座姿勢を変えたり、ルーフ位置を上げたり、といった調整を行うこともできる。
【0051】
この他にも、基準モデルと外形モデルを重ね合わせることによれば、車両のパッケージング状態(乗員のヘッドクリアランスや圧迫感)や視認性を検証することができる。また、更に構造モデルを重畳表示することにより、衝突性能や車体剛性などを検証でき、車室内から見たドライバの視界範囲などの詳しい評価を行うことができる。
【0052】
車両基準モデルと外形モデルと構造モデルは共通のパラメータを有しており、その変更により互いに連動して変形する。一方、居住空間モデルは、外形モデルや構造モデルとは共通するパラメータを有しておらず、外形モデルや構造モデルを変更しても連動しない。これにより、外形モデルを居住空間モデルとを独立に構築でき、内部空間の制約に縛られることなく、自由な発想で効果的に外形の設定を行うことができる。また逆に、外形形状に囚われずに自由な発想で居住空間の企画立案を行うことができる。
【0053】
(各プログラムの機能)
以下に、本実施形態に係る企画支援プログラム60に含まれる、各プログラムの機能について説明する。
【0054】
[設計テーブル作成プログラム]
設計テーブル作成プログラムは、CPUによって実行され、ユーザの操作に基づいて各モデルの構築に必要なデータを入力し、入力したデータを各種パラメータに関連づけて設計テーブル1aとして外部記憶部15に格納する機能を有している。
【0055】
設計テーブルに入力されるデータとしては、外形パラメータとしての外形寸法及び車両タイプや、乗員パラメータとしてのシート数、車内寸法及び視界条件の他、タイヤホイール寸法や、フロア下寸法や、乗員配置条件などに対応するものである。
【0056】
なお、設計テーブルで入力される長さ方向及び垂直方向の寸法データは、全て、前輪の車軸を原点とした場合の各部位の座標位置を導くための値である。そして、設計テーブルで入力される幅方向の寸法データは、車両の中心面を基準とするものである。つまり、設計テーブルに全てのパラメータを適正に入力した場合、前輪の車軸と車両の中心面を原点とした3次元座標上に車両の外形や居住空間(乗員やシート)やフロントガラスなどのモデルを描画することが可能となる。
以下、設計テーブルの生成時に入力可能なデータについて説明する。
【0057】
<車両タイプ選択>
図10は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるモデル&タイプ選択インタフェースの一例を示したものである。つまり、インタフェースに表示されたいずれかのピラー構成を選択(例えば、マウスでクリック)することにより、外形モデルに含まれる車型、及び、構造モデルに含まれるピラー構成を選択することができる。
【0058】
構造パラメータグループとしてのピラー構成は、データベースにおいて、図のように車型ごとに複数用意されている。
【0059】
車型には、ミニバン、ステーションワゴン、セダンの内の少なくとも2つが含まれていることが好ましく、この例では、ハッチバック、ミニバン/ワゴン(ステーションワゴン)、セダン、スポーツ、オープン、トラックの計6つの車型にタイプ分けされている。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、車両製造会社の能力に応じて、より多くの車型を用意しても良いし、トラックのみなど特定の車型に特化しても良い。
【0060】
これらの車型ごとに外形パラメータグループ(その車両外形を構成する3次元座標データ)がデータベースに格納されており、車型の選択は、そのまま外形パラメータグループの選択に対応する。また、右欄のピラー構成ごとに構造パラメータグループ(その骨組みを構成する3次元座標データ)がデータベースに格納されており、車型の選択及びピラー構成の選択は、そのまま構造パラメータグループの選択に対応する。
【0061】
ここでは、右欄に示されているピラー構成アイコンのいずれかを選択することで同時に車型が選択されるが、もちろん、車型を選択するステップと、ピラー構成を選択するステップを独立に行うことができるようなインタフェースとしても良い。どちらにしても、外形パラメータグループ(車型)を選択した場合、選択された車型と同じ分類の構造パラメータグループ(車型に対応するピラー構成)が、構造データベースから自動的に選択されることになる。
【0062】
なお、ここでは車型の選択によって、ピラー構成が絞り込まれるものとしているが、更に、他の入力テーブルにて入力されたパラメータ(例えば全長など)に応じて更に選択できるピラー構成が絞り込まれる構成としても良い。その場合、構造データベースには、車両の大きさごとにピラー構成が格納されていることになる。
【0063】
このように、企画する車種に類似した車型を選択可能にしたことで、外形モデルの形状変形等にかかる工数を削減できるとともに検証精度を向上でき、ユーザの作業効率の向上が図れる。
【0064】
また、車種毎に用意された複数のピラー構成のいずれかを選択的に読出して構造モデルを構築するので、ユーザは車種を選択するだけで構造パラメータグループを絞り込むことができるため、企画立案作業を効率化することができる。
【0065】
<外形寸法>
図11は、設計テーブル作成プログラム61に含まれる外形寸法入力インタフェースの一例を示したものである。図11(a)は、車両諸元値の入力テーブルであり、図11(b)(c)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、車両前方視画像及び側面視画像である。ここで、車両諸元値としては、ホイールベース1101、全幅1102、全高1103、フロントオーバハング1105、リアオーバハング1106、カウルポイントCWの水平位置1107、カウルポイントCWの垂直位置1108、フロントガラス傾斜1109が含まれる。
【0066】
なお、図中「・・・」で示した部分に数値が入力される。数値の入力は、図11(a)または図11(b)及び図11(c)のどちらかに対して行えば、他方に反映される。この点は、以下の図12〜15についても同様である。
【0067】
車両諸元値において、フロントオーバハング1105は、前車軸AFより前方に突出している車両の前端と前車軸AF間の距離であり、リアオーバハング1106は、後車軸RFより後方に突出している車両の後端と後車軸RF間の距離である。また、カウルポイントCWの水平位置1107はフロントガラス下端の車幅方向の中心位置と前車軸AF間の水平方向の距離、カウルポイントCWの垂直位置1108はフロントガラス下端の車幅方向の中心位置と前車軸AF間の垂直方向の距離である。更に、フロントガラス傾斜1109はカウルポイント位置を通る垂直な線とフロントガラスとがなす傾斜角度である。
【0068】
また、全長1104は、ホイールベース1101とフロントオーバハング1105とリアオーバハング1106を合算することにより自動演算される(1104=1101+1105+1106)。なお、全高1103は乗車時の接地面GL2を基準とした高さではなく、空車時の接地面GL1を基準とした高さであるが基本的には、GL2に基づいて、基準モデルや全高以外の外形モデルが設定される。
【0069】
なお、外形寸法としては、上記各パラメータの他、国内外の衝突安全基準などの規格によって予め定められたフロントバンパーの上下端基準位置(後述する外形モデルのポイントC1とポイントD1と共通パラメータ)などを入力可能となっていてもよい。その場合、これらの位置に対応したバンパー配設基準範囲が表示される。
【0070】
<車内寸法>
図12は、設計テーブル作成プログラム61に含まれる車内寸法入力インタフェースの一例を示したものである。図12(a)は、車内寸法の入力テーブルであり、図12(b),(c),(d)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、前方視画像、側面視画像、底面視画像である。また、図12(e)は、ダッシュパネル位置を決定するための寸法箇所を示すため、ダッシュパネル周辺を拡大視表示した画像である。
【0071】
車内の居住性を決める寸法としては、最前列乗員に関するパラメータと、第2列乗員に関するパラメータと、第3列乗員に関するパラメータと、ダッシュパネルに関するパラメータとに分けることができる。第2列、第3列のシートが無い場合には、第2列、第3列乗員に関するパラメータは入力が不要となる。ここではシート数が3列である旨がすでに入力されているものとする。
【0072】
これらのうち、最前列乗員に関するパラメータとしては、以下のものがある。
・1201:最前列乗員の頭頂位置(最前列ヒップポイントHP1から上方に伸びて垂直方向に対して所定の微小角度だけ後方に傾斜した直線の長さ)
・1202:最前列ヒップポイントHP1とカウルポイントCWとの間の垂直距離
・1203:最前列ヒップポイントHP1と乗車時の接地面GL2との間の垂直距離
・1204:最前列ヒップポイントHP1とフロアパネルとの間の垂直距離
・1205:最前列ヒップポイントHP1と車幅中央Wとの間の距離
・1206:最前列トルソ角度
・1207:前車軸AFとアクセルペダル上端との間の水平距離
また、第2列乗員に関するパラメータとしては以下のものがある。
・1208:第2列乗員の頭頂位置(第2列ヒップポイントHP2から上方に伸びて垂直方向に対して所定の微小角度だけ後方に傾斜した直線の長さ)
・1209:最前列ヒップポイントHP1と第2列ヒップポイントHP2との間の水平距離
・1210:第2列ヒップポイントHP2と第2列乗員かかととの間の水平距離
・1211:第2列ヒップポイントとフロアパネルとの間の垂直距離
・1212:最前列ヒップポイントHP1と第2列ヒップポイントHP2との間の垂直距離
・1213:第2列ヒップポイントと車幅中央との間の距離
・1214:第2列トルソ角度
なお、最前列乗員の頭頂位置1201から運転手の目の位置(アイポイント)EPが自動的に導き出される。
【0073】
更に、第3列乗員に関するパラメータとしては以下のものがある。
・1215:第3列乗員の頭頂位置(第3列ヒップポイントHP3から上方に伸びて垂直方向に対して所定の微小角度だけ後方に傾斜した直線の長さ)
・1216:第2列ヒップポイントHP2と第3列ヒップポイント3rdとの間の水平距離
・1217:第3列ヒップポイントHP3とフロアパネルとの間の垂直距離
・1218:第3列ヒップポイントHP3と車幅中央との間の距離
・1219:第2列ヒップポイントHP2と第3列ヒップポイントHP3との間の垂直距離
・1220:第3列トルソ角度
・1221:第3列ヒップポイントHP3と第3列乗員のかかととの間の距離
また、ダッシュパネル関連のパラメータとしては以下のものがある。
・1222:前車軸AFとダッシュパネルDP前端との間の水平距離
・1223:前車軸AFとダッシュパネルDP後端との間の水平距離
・1224:前車軸AFとダッシュパネルDP前端との間の垂直距離
以上のように車内寸法を入力することにより、最前列〜第3列ヒップポイントHP1〜HP3を基準とした居住空間モデルの絶対空間上における各シート位置を個々に設定可能である。
【0074】
いずれの点を原点とするかによって、居住空間モデルの車両内位置の基準が異なるものとなるため、その原点位置によって外形モデルとの重なり具合に差が生じることとなる。
【0075】
すなわち、外形モデルとの重ね合わせ時に居住空間モデルと外形モデルとの干渉が少ないことが望まれる点を原点に選べばよい。
【0076】
≪ヒップポイントの決定方法≫
図12のインタフェースにおいて、運転手のヒップポイントHP1の高さ方向の位置は1203で、幅方向の位置は1205で規定されるが、車両全長方向の位置(水平位置)を直接入力するための欄は用意されていない。
【0077】
ここでは、この長さ方向の位置を、図12で直接入力された他のパラメータから計算により導出するものとし、以下にその方法について説明する。
【0078】
図16は、運転手のヒップポイントHP1の水平位置の決定方法を説明する図である。
【0079】
図12のテーブルにより、原点である前輪軸AFとアクセルペダルの上端位置(ボールポイント)との間の水平距離1207が規定される。また、運転手のヒップポイントHP1のヒールポイントからの高さ1204も、図12のテーブルにより規定されている。そして、本実施形態では、図中の1601を、以下の式のZに1204を代入することにより導くプログラム構成となっている。
【0080】
1601=k1+k2×Z−k3×Z2
なお、k1,k2,k3は所定の係数である。ここでは、経験則から上記式を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の式によって1601を求めても良いし、また、図12のテーブルで直接入力可能なプログラム構成であっても良い。
【0081】
<視界条件>
図13は、設計テーブル作成プログラム61に含まれる視界条件入力インタフェースの一例を示したものである。図13(a)は、確保すべき視界条件の入力テーブルであり、図13(b)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、車両内部側面視画像である。
【0082】
視界条件に関するパラメータとしては、以下のものがある。
・1301:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から上方向に確保すべき角度(前方)
・1302:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から下方向に確保すべき角度(前方)
・1303:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から上方向に確保すべき角度(後方)
・1304:ドライバのアイポイントEPを通る水平面から下方向に確保すべき角度(後方)
1301により、フロントヘッダ(フロントガラス上端のパネル)を配置できる最低位置が自動的に定義され、表示される。また、同様に、1303により、リアヘッダ(リアガラス上端のパネル)を配置できる最低位置が自動的に定義され、表示される。
【0083】
<タイヤ・ホイール寸法>
図14は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるタイヤ&ホイール諸元入力インタフェースの一例を示したものである。図14(a)は、タイヤとホイールの寸法を入力するための入力テーブルであり、図14(b),(c)は、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すための、車両内部側面視画像、車両内部平面視画像である。また、図14(d),(e)は、ホイールハウジング周辺の側面視画像である。
【0084】
ここで入力されるタイヤ&ホイール関連寸法としては、以下のものがある。
・1401:タイヤ外径
・1402:タイヤ有効径
・1403:車輪幅
・1404:空車時における前輪のホイール中心と乗員乗車時におけるホイール中心との垂直距離
・1405:乗車時における後輪のホイール中心と空車時における後輪のホイール中心との間の垂直距離
・1406:左右前輪間距離
・1407:左右後輪間距離
・1408:車輪外径とホイールハウジングとの間の距離
・1409:ホイールハウジング径
・1410:タイヤホイール外径
<フロア下寸法>
図15は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるアンダーフロア寸法入力インタフェースの一例を示したものである。この例は、3列シートの場合の入力インタフェースを示している。図15(a)は、フロア下の各種寸法を入力するための入力テーブルであり、入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すため、図15(b)には、車両内部側面視画像が、また、図15(c)には、サイドシル周辺の断面視画像が示されている。
【0085】
ここで入力されるフロア下関連寸法としては、以下のものがある。
・1501:最前列フロアパネルと車軸AFとの間の垂直距離
・1502〜1507:後車軸ARとフロアパネル曲折部水平距離
・1508:第2列フロアパネルと車軸面との間の垂直距離
・1509:第2列フロアパネル上端と後車軸ARとの間の垂直距離
・1510:第2列フロアパネル窪み部と後車軸ARとの間の距離
・1511:第3列フロアパネル−後車軸AR間垂直距離
・1512:サイドシル−車幅中央W間距離
・1513:サイドシルSS幅
・1514:サイドシルSS高さ
・1515:サイドシルSSとフロアパネルとの間の垂直距離
≪カウルポイントの制約≫
図17は、車両基準モデルのカウルポイントCWの水平位置1107及び垂直位置1108の制約を説明する図である。カウルポイントCWの水平位置1107と垂直位置1108は、図11で入力できるが、完全に任意な位置に配置できるわけではなく、視界などの制約を受ける。
【0086】
すなわち、まず一つ目の条件としては、図13で入力した視界条件のうち、前方の下方視界1302に干渉してはならない。
【0087】
そして二つ目の条件としては、図12(e)で規定されるダッシュパネル上端位置DPから、前上方へ所定の鋭角1701をなす直線よりも下側になければならない。
【0088】
≪フロントヘッダ及びリアヘッダ位置の決定方法≫
図18は、車両基準モデルのフロントヘッダの水平位置及び垂直位置の基準を説明する図、図19は、車両基準モデルのリアヘッダの水平位置及び垂直位置の基準を説明する図であり、フロントヘッダの水平位置及び垂直位置は、図18に示すように、例えば、視点EPを中心に水平方向から上方に所定の鋭角をなす直線1301とガラス面との交点を頂点の1つとし、かつガラス面を1辺とする平行四辺形をフロントヘッダの最低位置とする。この時、圧迫感の基準となる直線Lよりも上方に位置することが条件となる。なお、フロントヘッダの車幅方向位置は車幅中央Wに設定される。
【0089】
また、リアヘッダの水平位置及び垂直位置は、図19に示すように、例えば、視点EPを中心に水平方向から上方に所定の微小鋭角をなす直線1304よりも上方であって、最後列の乗員のヘッドクリアランス(HP2,HP3からの距離1208、1215)よりも上方に制約される。
【0090】
なお、フロントヘッダ及びリアヘッダの詳細な断面形状は、後述する構造モデルにより定義される。
【0091】
以上の設計テーブルでは、前輪軸AFを原点とした長さ方向、高さ方向のパラメータを入力することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネル上の点や、バンパー最前端の点やカウルポイントCWを原点として各位置情報(各距離)を入力しても良いし、これらの点の内いずれかを原点として選択できる構成であってもかまわない。
【0092】
<ピラー断面入力>
図20は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるピラー断面形状入力インタフェースの一例を示したものである。図20(a)は、断面の選択及び各種寸法を入力するための入力テーブルであり、この入力テーブルで入力するパラメータの対応部位を示すため、図20(b)には、車両外観斜視画像が、また、図20(c)には、各断面の画像が示されている。
【0093】
図のワゴンタイプの車型の場合には、骨組み構造として、例えば、フロントピラー断面A、センタピラー断面B、リア補助ピラー断面C,リアピラー断面D、フロントヘッダ断面E,リアヘッダ断面F,サイドルーフレール断面Gごとに、図20(c)に示す断面形状を決定するパラメータ2401〜2403の他、板厚、材質、強度、重量などの各パラメータを入力設定可能となっている。
【0094】
<インテリア関連寸法>
図21〜図23は、設計テーブル作成プログラム61に含まれるインテリア関連寸法設定機能を説明するための図である。
【0095】
図21は、シートのモデルを構築するための寸法入力インタフェースの例である。図は、3列シートの場合を示している。図中、寸法を入力できる箇所が2101〜2117で示されている。ただし、これらは一部であり、こられら以外にも、シート幅など様々な寸法を自由に設定可能である。
【0096】
図22は、フロントピラー(左側)のトリム形状を設定するための寸法入力インタフェースの例である。トリムとは、構造モデルで設定したフレームとしてのピラーを覆うカバーである。図中、寸法を入力できる箇所が2201〜2206で示されている。ただし、これらは一部であり、こられら以外にも、様々な寸法を自由に設定可能である。
【0097】
図23は、インテリアモデルを構成する他のパーツについて説明するための図である。
【0098】
図23(a)において、太線2301はインパネ(Instrumental Panel)のモデルを表している。インパネモデルは、インパネ先端ライン位置、インパネ上面高さ、インパネ後方位置、インパネロアー面、インパネロアー下端、インパネ横幅などをパラメータとして有しており、これらのパラメータに自由に寸法を設定できる。
【0099】
図23(b)において、太線2302はメータフードのモデルを表している。メータフードモデルは、予め複数のタイプ(窓が1つのものや2つのものなど)が用意されており、具体的な寸法を入力する前に、いずれかのタイプを選択することになる。また、それぞれのタイプのメータフードのモデルは、メータフード上面位置、メータフード上部後端位置、メータフード下部後端位置、メータフード開口形状、メータフード外径形状などをパラメータとして有しており、これらのパラメータを自由に設定可能である。図22(c)は、メータフードの1例を示す斜視図である。
【0100】
図23(d)において、太線2303はセンタスタックのモデルを表している。ここで示されているのはウォークスルータイプのセンタスタックである。このセンタスタックモデルは、上端位置、センタパネル横幅、側面角度、センタパネル下端位置、センタスタック下部後端位置、足下横面形状、横面前端位置などをパラメータとして有しており、これらのパラメータを自由に設定可能である。図23(e)は、センタスタックの1例を示す斜視図である。
【0101】
図23(f)において、太線2304は図23(d)とは異なるタイプのセンタスタックのモデルを表している。ここで示されているのはリアコンソール付きタイプのセンタスタックである。このセンタスタックモデルは、上端位置、センタパネル横幅、側面角度、センタパネル下端位置、基本上面位置、アームレスト前端位置、アームレスト高さ、コンソール&アームレスト幅、コンソール&アームレスト後端、下端位置、足下横面形状、横面前端位置などをパラメータとして有しており、これらのパラメータを自由に設定可能である。
【0102】
インテリアモデルとしては、ここで示したものの他に、センターピラーのトリム、リアピラーのトリム、ハンドル、ピラートリム、バックミラー、サイドミラー、サンバイザー、サンシェード、アクリルバイザーを含む。更に、ハンドルを持つ乗員の腕のみのモデルをインテリアモデルとして含んでも良い。また、設計テーブルでこれらのインテリアパーツのそれぞれについて色を設定することもできる。
【0103】
[基準モデル構築プログラム]
基準モデル構築プログラム62は、上記のような設計テーブルから、車内寸法に関する数値データ、視認性に関する数値データ及びフロア下に関する数値データを取りだして居住空間モデルを生成する。具体的には、車両内での乗員の着座状態に関する乗員データ(シート数やシート毎のヒップポイント位置等)を入力し、乗員を表す人型モデルをデータベースから読出し、入力した乗員データに応じて変形して図5のような人型モデルを構築する。また更に、視認性に関するデータを用いて、車両の運転位置での人型モデルに、目の位置情報と、該目からの視界として確保されるべき基準範囲を示す視界確保基準範囲情報とを付加する。なお、ドライバ用の人型モデルは、ハンドルとそのハンドルをつかむ腕のモデルを含んでも良い。
【0104】
また、設計テーブル内の外形寸法に関する数値データから車両基準モデルを生成する。更に、外形寸法に関するデータから導かれたカウルポイント(CW)を下端とし、視認性に関するパラメータ(前方上方視界)とフロントガラス角度とに基づいて導かれるフロントヘッダを上端とするフロントガラスモデルを生成する。
【0105】
そして、これらの各モデルを組み合わせることによってな基準モデルを生成する。
【0106】
また、基準モデル構築プログラムは、生成した各モデルの座標データを画像生成・表示プログラムに渡して、ディスプレイ上に図4のように3次元表示させることができ、かつ、その状態でユーザからのポインティングデバイスによる入力を受付け、どの部位をどのように変形させる命令か判定し、その命令に応じて座標データを変更することもできる。
【0107】
つまり、ユーザは、ディスプレイに表示された3次元画像の変形したい部位をマウスなどのポインティングデバイスで選択し移動することにより、表示画像を変形でき、同時にその変形に応じてメモリ内の座標データを変更することができる。
【0108】
なお、居住空間モデルは、外形モデル構築プログラムで、どの外形パラメータグループ(車型)が選択されるかによっては変更されない。
【0109】
[外形モデル構築プログラム]
外形モデル構築プログラム63は、設計テーブル作成プログラム61で作成された設計テーブルに含まれる車型データに基づいて、データベースからベースとなる外形座標データを読出し、更に、設計テーブルに入力された外形パラメータ(諸元値)と所定のルールに基づいてその外形座標データを変更して外形モデルを構築する。
【0110】
また、外形モデル構築プログラムは、生成した外形モデルの座標データを画像生成・表示プログラムに渡して、ディスプレイ上に図6のように3次元表示させることができ、かつ、その状態でユーザからのポインティングデバイスによる入力を受付け、その入力がどの部位をどのように変形させる命令か判定し、その命令に応じて座標データを変更する。
【0111】
つまり、ユーザは、ディスプレイに表示された3次元外形モデル画像の変形したい部位をマウスなどのポインティングデバイスで選択し移動することにより、表示されている車両外形画像を変形でき、同時にその変形に応じてメモリ内の外形モデルの座標データを変更することができる。
【0112】
つまり、外形モデル構築プログラムは、i)データベースから読出した大局的な形状を設計テーブルの値によって自動変形する大局変形と、ii)ディスプレイ上で局所的な変形部位及び変位を指定することにより変形する局所変形と、の2つの変形機能を有している。
【0113】
[構造モデル構築プログラム]
構造モデル構築プログラム64は、設計テーブルに入力されたピラー構成及び断面形状を読出し、車両の骨組み構造の3次元座標データを生成し、画像生成・表示プログラムに渡して、ディスプレイ上に図7のように3次元表示させることができ、かつ、その状態でユーザからのポインティングデバイスによる入力を受付け、どの部位をどのように変形させる命令か判定し、その命令に応じて座標データを変更する。
【0114】
なお、構造モデルを構成する骨組みの形状は、外径モデルの変形に応じて自動的に変形するので、構造モデルと外形モデルを重ね合わせた場合にずれることがなく、それらと居住空間モデルとの干渉問題の検証を精度良く行うことができる。
【0115】
また、構造モデルの車型の大きさの相違に基づいて断面積や強度に関する情報が相違するように設定されている。
【0116】
従って、ユーザの作業効率を向上させることができる。更に、強度等が企画する車両に略合致したものとして検証できるため、強度等のデータを細かく変更する必要がなく検証効率の向上が図れ、検証精度の向上を図ることができる。
【0117】
また、構造モデルは、車体フレーム及びピラー等の骨組み構造に関する断面積と強度に関する情報を有しているので、パッケージングの成立性評価を迅速に行えるとともに、ピラー等の断面積情報を備えることで車室空間における乗員への圧迫感等を迅速に検証可能となる。
【0118】
更に、強度情報を持つことで企画車両の強度検証や衝突性能、振動評価等の検証が迅速に行え、企画車両の企画精度を初期企画段階から極めて高いものにできる。
【0119】
また、構造モデルは鋼板の材質、鋼板の板厚、重量に関する情報を備えていることで、企画車両の車両重量、重量配分、重心位置等の検証が可能となる。
【0120】
更に、構造モデルは、フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、フロントヘッダ、リアヘッダなどの複数の骨組み構造を持っており、各骨組み部分に対して少なくとも断面積と強度(断面形状)の少なくとも一つが設定変更可能となっていることで、車型(ワゴンやスポーツなどの車両のカテゴリー)が異なれば当然要求される強度や断面積等が異なる。そして、構造モデルの断面積や強度等を個々に変更可能とすることで、企画車両に合わせた最適なパッケージング検証や強度検証が行え、企画精度を極めて高いものにできる。
【0121】
[インテリアモデル構築プログラム]
インテリアモデル構築プログラム65は、設計テーブル1aに入力されたインテリアのパーツに関する寸法を読出し、シート、フロントピラーのトリム、センターピラーのトリム、リアピラーのトリム、インパネ、メータフード、センタスタック、ハンドル、ピラートリム、バックミラー、サイドミラー、サンバイザー、サンシェード、アクリルバイザー等の3次元座標データを生成し、画像生成・表示プログラム66に渡して、ディスプレイ上にインテリアモデルとして3次元表示させることができる。
【0122】
[画像生成・表示プログラム]
上記のモデル構築プログラムで構築された、基準モデル、外形モデル、構造モデル、インテリアモデルの3次元座標データを組み合わせて1つの3次元座標空間に表示することができる。図24は、全てのモデルを組み合わせた企画車両モデルを表示した画面の1例を示す図である。
【0123】
[シミュレーション表示プログラム]
上記のモデル構築プログラムによって構築された企画車両モデルを、仮想空間内の仮想道路上において走行させ、企画車両モデルに設定されている運転手の視点(アイポイントEP)からみた映像を図25に示すようにシミュレーション表示する。
【0124】
(企画検証)
図26は、上記のような各プログラムを用いた企画検証処理の全体的な流れを示すフローチャートである。
【0125】
まず、ステップS2601において、上述したように設計テーブルを作成する。次に、ステップS2602〜S2605において、設計テーブルに入力されたデータを用いて、基準モデル、外形モデル、構造モデル、インテリアモデルの3次元座標データを生成する。
【0126】
そして、ステップS2606において、各モデルを組合せ、重畳表示する。その結果、乗員と外形との干渉などが無ければ、ステップS2607からステップS2608に進み、全モデルを組み合わせた企画車両モデルを保存する。その際、企画車両モデルのコピーをシミュレーションモデル(表示用企画車両モデル)として保存する。
【0127】
ステップS2606で重畳表示した結果、問題がある場合には、設計テーブルを変更するか、或いは、3次元表示画面上で変形を加えることによって、各モデルを修正する。
【0128】
そして、シミュレーション表示プログラムを起動し、まず、ステップS2609で走行条件を設定する。走行条件は、走行ルート、日照方向、天候、走行スピード、旋回スピードなどを含む。
【0129】
次に、ステップS2610において、設定された走行条件に合わせて、データベースサーバから読出した仮想空間データとステップS2608で保存したシミュレーションモデルの3次元データとを組合せる。そして、仮想空間内の仮想道路上において企画車両を走行させ、その運転手の視点から見える動画像をディスプレイに表示する。
【0130】
更にステップS2611に進み、表示上の修正が必要か否か判定する。つまり、3次元データから導き出したシミュレーション画像が実際の車両を運転する場合の感覚とかけ離れていないかを判定する。かけ離れている場合には、ステップS2612に進み、実際の運転時に運転手が受ける感覚に近づけるため、経験に基づいてシミュレーションモデル、特にその中のインテリアモデルの部分を補正する。つまり、シミュレーションモデルは、シミュレーション表示がより現実感を増すように補正を加えられることを前提としてオリジナルの企画車両モデルからコピーされたものである。従って、ここでの補正によって、オリジナルの企画車両モデル自体が変形されるわけではない。なお、ここでは3次元のシミュレーションモデルを変形補正することとしたが、本発明はそれに限定されるものではなく、2次元の動画像に補正を加えたり、或いは3次元データから2次元データへの投影方法に補正を加えたりして現実感を向上させても良い。また、さらにオペレータは走行条件の設定を変更して繰り返し補正を行なっても良いし、設計テーブルまで立ち返って各モデルのデータを補正しても良い。
【0131】
補正後はステップS2610に戻り、再度シミュレーション表示を行い、現実感を確認した後、補正が不要であれば、ステップS2613に進む。ステップS2613では、シミュレーション表示を行いながら、複数の評価者により視認性、圧迫感などの評価を行う。
【0132】
視認性や圧迫感に問題がなければ、ステップS2614から企画書の作成、デザイン開発に進む。何らかの問題があれば、ステップS2601に戻って設計テーブルを修正したり、或いは、インテリアモデルのみを3次元表示画面上で修正したりする。また、他の走行条件で再評価を行う場合には、ステップS2609に戻って、走行条件を変更しステップS2610〜S2613の処理を繰り返す。
【0133】
以上のように企画しようとする車両の3次元モデルを構築し、仮想道路上を移動させて、その車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するので、企画者は、試作車を作成することなく、運転手の視認性や圧迫感などの居住性を視覚的に評価することができる。これにより、車両の企画立案に必要な時間及びコストを、大幅に削減することができる。
【0134】
以下に、シミュレーション表示プログラムが行う処理について詳細に説明する。
【0135】
図27は、シミュレーション表示プログラムの起動画面の1例である。企画車両モデルを特定したシミュレーション表示コマンドを受け付けると図27に示す画面を表示する。ここで、ボタン2701は、走行条件を設定する画面に移行するためのボタンである。図26に示したように、通常は、シミュレーション表示に先駆けて、まず走行条件を設定する。
【0136】
ボタン2702は、オペレータ用のシミュレーション表示を実行するためのボタンである。つまりこのボタン2702が選択されるとオペレータ用の機能を搭載したシミュレーション表示画面に移行する。オペレータ用のシミュレーション表示は、図26のステップS2610に相当する。そして、ボタン2703は、評価者用のシミュレーション表示を実行するためのボタンである。つまり、ボタン2703が選択されると、評価者用に機能を限定したシミュレーション表示画面が表示される。
【0137】
次に図27の各ボタンに対応する処理について説明する。
【0138】
[走行条件設定]
図27でボタン2701が選択されると、図28に示す走行条件設定画面をディスプレイ上に表示する。オペレータはこの走行条件設定画面を用いて、図26のステップS2609に対応する走行条件設定処理を行う。
【0139】
図28において、2801は、AコースとBコースのいずれかの走行コースを選択するためのボタンである。2802は、昼間と夜間のいずれかの時間帯を選択するためのボタンである。2803は日照方向を選択するためのボタンである。2804は、晴れと雨のいずれかの天候を選択するためのボタンである。2805は、低速と高速のいずれかの速度を選択するためのボタンである。なお、ここには示していないが、旋回速度を独立に設定できるボタンを設けても良い。2806は、仮想空間内のオブジェクトの数を設定するボタンである。2807は、シミュレーション表示画面内に視認性に関する警告を表示するか否かを設定し、警告を表示する場合にはどのような条件で警告させるかを設定するためのボタンである。2808は、評価者に問題点をマークさせるか否かを設定するためのボタンである。2809は、バックでのシミュレーションを含めるか否かを設定するためのボタンである。2810は、対比表示を行うか否かを設定し、対比表示を行う場合には、対比車両モデルを特定するためのボタンである。
【0140】
なお、図28では、初期値として、すべて左側のボタン(斜線)が選択されている様子を示している。
【0141】
[オペレータ用シミュレーション表示]
図27でボタン2702が選択されると、シミュレーション表示プログラムは、図29に示すオペレータ用シミュレーション表示画面をディスプレイ上に表示する。このシミュレーション表示により、まずオペレータが企画車両の視認性、圧迫感を評価し、更には、シミュレーション表示自体の精度、リアル感などを検証する。
【0142】
この画面には、図28の走行条件設定画面で設定した走行条件に応じて、企画車両モデル(シミュレーションモデル)の運転手のアイポイントを視点とした3次元仮想空間の投影画像(動画像)2900が表示される。従って、この映像には、仮想空間のオブジェクトのみならず、車内の様子、例えばハンドル2901、フロントピラー2902、インパネ2903、メータフード2904、センタスタック2905、ミラー2906、そして運転手の手2907なども表示される。
【0143】
また、この仮想空間には、オブジェクトとして、道路2908、建物2909、信号2910、通行人(大人)2911a、通行人(子供)2911b、通行車両2912などを含み、道路には、横断歩道などの白線2913が引かれている。
【0144】
なお、ここでは表示していないが、サンバイザー、サンシェード、アクリルバイザーなどを備えたモデルであれば、それらのインテリアも表示される。
【0145】
<自動補正>
シミュレーション表示プログラムは、上記のような動画像2900を表示するにあたり、仮想空間での企画車両モデルの走行条件(図28において、何れのボタンが選択されるか)に応じて、企画車両モデルの3次元データ、仮想空間内のオブジェクトデータ、または2次元動画像データに自動的に補正を加える。これは、評価者による評価精度を向上させるための補正である。
【0146】
ここで行われる自動補正としては、走行条件に応じて、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分の3次元データを変更することが挙げられる。例えば、企画車両モデルの仮想道路上での走行速度が速い場合には、ピラー部分或いはヘッダ部分が映像内で大きくなるべく3次元データに補正を加えたり、仮想空間に含まれるオブジェクトが小さく表示されるようにオブジェクトデータに補正を加えたり、映像の周辺部分の奥行きが浅く表示されるように2次元動画像データを奥行調整(周辺部分が運転手に近くなるような歪曲変形)したりする。
【0147】
また、例えば、企画車両モデルの仮想道路上での旋回速度が速い場合には、ピラー部分或いはヘッダ部分が映像内で大きくなるべく3次元データに補正を加えてもよい。更に、仮想空間が夜間又は雨の状況の場合には、ピラー部分或いはヘッダ部分が映像内で大きくなるべく3次元データに補正を加えてもよい。
【0148】
また、例えば、走行条件に応じて、所定のオブジェクト(例えば、人、信号、又は道路上の白線を表すオブジェクト)を強調表示するべく、オブジェクトデータを補正してもよい。
【0149】
また、仮想空間での企画車両モデルの走行条件に応じて、企画車両モデル又は仮想空間内のオブジェクトのテクスチャデータを変更し、或いは2次元動画像データに処理を加えることも考えられる。つまり、走行条件に応じて、例えば、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分の色を変更したり、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分の明るさを変更したり、企画車両モデルのピラー部分或いはヘッダ部分と仮想空間とのコントラストを変更したりしてもよい。
【0150】
また、例えば、企画車両モデルの仮想道路上での旋回速度が速い場合には、オブジェクトが暗く表示されるようにテクスチャデータに補正を加えてもよい。更に、仮想空間が夜間又は雨の状況の場合には、映像の周辺部分を暗く表示するべく2次元動画像データに補正を加えてもよい。更に、走行条件に応じて、所定のオブジェクト(人、信号、又は道路上の白線を表すオブジェクト)を強調表示するべく、テクスチャデータを変更することを特徴とする。更に、仮想空間での企画車両モデルの走行条件に応じて異なる音声(騒音など)を出力してもよい。
【0151】
このような自動補正の例を図30に示す。図30(a)は、低速走行時の動画像を示す図であり、図30(b)は、高速走行時の動画像を示す図である。つまり図28のボタン2805において、「低速」が選択された場合を図30(a)に、「高速」が選択された場合を図30(b)に示している。これらを比較すれば明らかなように、車速が上昇すると、ピラー幅が太く表示され(特に上方に向けて太く表示される)、ピラーの上側の色が濃く表示される。またインパネの上面がせり上がるように表示され、ヘッダの下辺が下側にせり出すように表示されている。また、人及び車両のオブジェクトは縮小されている。本図では建物のオブジェクトは同じであるが、高速の場合に建物を大きく表示しても良い。
【0152】
また、自動補正の他の例を図31に示す。図31(a)は、天候が晴れの場合の動画像を示す図であり、図31(b)は、天候が雨の場合の動画像を示す図である。つまり、図28のボタン2804において、「晴れ」が選択された場合を図31(a)に、「雨」が選択された場合を図31(b)に示している。これらを比較すれば明らかなように、天候が悪い場合には天候がよい場合に比べて、コントラスト及び明るさを低下させて表示する。なお、時間帯によっても同様に補正を行う。すなわち、同じ天候であっても、昼間の場合には図31(a)のように表示し、夜間の場合には図31(b)のように表示する。
【0153】
<動画像に対するオペレータの操作>
動画像表示エリア2900の下側には、複数の操作ボタンが表示された操作エリアが設けられている。操作エリアの上段には、通常のビデオ操作ボタンとして、停止ボタン2914、一時停止ボタン2915、再生ボタン2916、スロー再生ボタン2917、巻き戻しボタン2918、及び早送りボタン2919が表示され、マウス等のポインティングデバイスでこれらを選択(クリック)すると、それぞれ動画像がボタンに応じた動作を行う。
【0154】
また、操作エリアの中段には、動画像2900内のインテリアモデルの見た目を変更するためのボタンとして、カラー変更ボタン2920、奥行調整ボタン2921、インテリアタイプ変更ボタン2922とが用意されている。
【0155】
このうち、カラー変更ボタン2920が選択されると、図32のようなダイアログが表示される。このダイアログでは、インテリアのパーツと色とを対応付けて表示しており、右側の色ボタン3201〜3206を選択すれば、さらに色の指定ダイアログが表示される。この色の指定ダイアログにより、パーツごとに色を設定できる。色の指定方法は、既存のソフトウェアにおいて既知であるからここでは詳細な説明を省略する。このようにインテリアのパーツごとに色を変更可能としたことにより、インテリアカラーの違いによる乗客の視認性、圧迫感などを様々な角度から検証可能となる。
【0156】
また、図29の奥行き調整ボタン2921が選択されると、図33のようなダイアログが表示され、縦方向と横方向の奥行き調整を独立に行うことが可能となる。なお、ここで、奥行き調整とは、3次元オブジェクトの投影面を歪ませることによって視点からの距離(奥行き)を調整することをいう。縦方向の奥行き調整では、視点からの距離が同じ2つのオブジェクトがあった場合に、画面の中心に表示されるオブジェクトよりも画面の上下端部に表示されるオブジェクトの方が近く(縦方向に大きく)表示されることになる。横方向の奥行き調整も同様に、画面の左右端部に表示されるオブジェクトが近く(横方向に太く)表示される。これらの調整は、図33の3301及び3302を左右に移動させることによって可能となる。
【0157】
このように奥行き調整可能とすることによって、オペレータは、評価者が動画像から受ける圧迫感を自在に調整することができ、より現実に近い感覚を評価者に与えて、その評価精度を向上させることができる。
【0158】
図29のインテリアタイプ変更ボタン2922が選択されると、動画像2900に表示するインテリアのタイプを変更できる。例えばメータフード2904を変更したり、センタスタック2905をウォークスルータイプからリアコンソール付きのタイプに変更したりすることが可能となる。その他、インテリアのパーツごとにテクスチャを変更できる構成としても良く、例えばインパネ2903を高級感のあるものにしたり、木目柄にしたりすることが考えられる。
【0159】
図29の操作エリアの下段には、動画像2900における企画車両の走行条件を設定するための走行条件設定ボタン2923と、設計テーブルaを修正するための設計テーブル修正ボタン2924と、が表示される。そして、走行条件設定ボタン2923が選択されると、図28に示す走行条件設定ダイアログを表示する。また、設計テーブル修正ボタン2924が選択されると、図10〜15,22,23のような設計テーブル1aの生成画面へ戻り、各種モデルの設計テーブルを修正可能である。或いは、ここで、図24のような3次元表示画像に戻り、画像内に表示される企画車両内の可動点を選択し移動することによって企画車両モデルを変形してもよい。すなわち、動画をシミュレーション表示した状態から、車両モデル構築プログラムに移行可能である。これにより、オペレータは運転手の視認性を評価した後、簡単に車両モデルの修正を行うことができる。
【0160】
<対比表示>
図28のボタン2810で、対比表示ありが選択され、比較車両モデルが特定されると、図34のような対比表示画面が表示される。図34では、企画車両モデルによるシミュレーション表示画像3401と、比較車両モデルによるシミュレーション表示画像3402とが並列対比表示されている。
【0161】
シミュレーション表示プログラムは、比較車両モデルの設計テーブルを特定した対比表示の指示を受付けると、まず、比較用車両を3次元データで表した比較車両モデルを構築する。そして、構築した比較車両モデルを、仮想空間上で移動させ、比較車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示する。この時、同じタイミングで同じ仮想道路を走行する企画車両モデルからの映像と比較車両モデルからの映像を並べて表示する。ここでは、設計テーブルを特定することとしたが、すでに構築された比較車両モデルの3次元座標データを読出し、シミュレーション表示しても良いし、比較車両モデルを仮想空間上で移動させシミュレーション表示した動画像ファイルを読みだして対比表示してもよい。
【0162】
対比表示の場合には、図29で説明したボタン2914〜2919以外に、ボタン3403〜3406が用意されている。このうち、ボタン3403は、並列対比表示を指示するためのボタンであり、ボタン3404は、重畳表示を指示するためのボタンであり、ボタン3405は交互表示を指示するためのボタンであり、ボタン3406は、対比表示OFFを指示するためのボタンである。図34は、並列対比表示3403が選択されている状態である。
【0163】
この状態で、ボタン3406が選択されると、図29に戻る。また、この状態でボタン3404が選択されると、図35が表示される。すなわち、同じタイミングで同じ仮想道路を走行する企画車両モデルの映像と比較車両モデルの映像を重畳して表示する。そして、企画車両モデルからの映像と比較車両モデルからの映像のうち、一方のみを透過表示する。また、仮想空間は、複数の3次元オブジェクトを含み、企画車両モデルの運転手から3次元オブジェクトが見える範囲と比較車両モデルの運転手から3次元オブジェクトが見える範囲とを識別可能に表示する。つまり、オブジェクトにおいて比較車両モデルの運転手から見えない部分は表示せず、比較車両モデルの運転手からは見えるが、企画車両モデルの運転手からは見えない部分は暗く表示する。もちろん、どちらのモデルでも表示される部分は通常どおりの明るさで表示する。
【0164】
また、図34で、ボタン3405が選択されると、所定時間ごとに、企画車両モデルからの映像と比較車両モデルからの映像とを交互に表示する。
【0165】
なお、これらの対比表示では、企画車両モデルを走行させる走行条件と比較車両モデルを走行させる走行条件とを同じにすることが望ましい。
【0166】
また、比較車両モデルの特定時に、実写画像をも特定できる構成にしても良い。つまり、実在する比較用車両を実空間上で移動させ、その比較用車両の運転手の視点からみた実写映像を、企画車両モデルの映像と対比的に表示してもよい。
【0167】
<警告>
図28のボタン2807で、警告表示ありが選択されると、図36のようなシミュレーション表示画像が表示される。つまりシミュレーション表示プログラムは、シミュレーション表示した動画像において、仮想空間に含まれるオブジェクト(特に人及び走行車両)についての視認性を判定し、判定した視認性が所定の視認性基準を下回る場合に報知する。この時、動画像に含まれるオブジェクトの面積に応じて視認性を判定する。つまり、視認すべき対象となるオブジェクトについて、そのオブジェクトの全体が視認できる場合に比較して、どの程度確認できないかを視認性基準とする。また、この判定は、企画車両モデルが仮想道路上の所定位置に位置する際に行われる。
【0168】
なお、図36では、メッセージと矢印によって視認性に問題のあるオブジェクトを報知しているが、オブジェクト自体の表示(色など)を変更しても良い。
【0169】
また、視認性に問題があると判定された瞬間の静止画像は記憶されており、該静止画像を、シミュレーション表示後に表示できる。
【0170】
ここでは、オブジェクトの隠れ度合いが所定値を上回る場合に警告することとしているが、図34のように対比表示を行う場合には、比較車両モデルにおける視認性(オブジェクトの隠れ度合い)と、企画車両モデルにおける視認性とを比較し、企画車両モデルにおける視認性が比較車両モデルにおける視認性よりも所定値以上下回る場合に報知してもよい。この場合、報知の瞬間の企画車両及び比較車両についての静止画像を記憶し、シミュレーション表示後に、その静止画像を表示してもよい。
【0171】
図28のボタン2807で、警告条件設定ボタンが選択されると、図37のような警告条件設定画面が表示される。
【0172】
警告方法として強い警告と弱い警告があり、それぞれ、視認性基準が異なる。ここでは、対象となるオブジェクトの90%以上が確認できない場合に強い警告(赤で表示)を行い、50%以上が確認できない場合に弱い警告(黄色で表示)を行うように設定されている。これらの%としては、車型ごとに固有のデフォルト値が用意されているが、ボックス3701、3702には任意の数値を入力することができる。
【0173】
また、検証範囲の欄では、画面のどの領域に存在するオブジェクトについて視認性を判定するか設定可能である。つまり、3次元空間内のどの領域にあるオブジェクトの視認性を問題とするのかを設定できる。ここでは、ボックス3703で直進時の視点からの角度を設定し、ボックス3704では、旋回(カーブ)時の旋回方向を中心とた角度を設定する。また、ボックス3705では、どの程度離れた走行車両のオブジェクトを警告対象とするのかを設定し、ボックス3706は、どの程度離れた歩行者のオブジェクトを警告対象とするのかを設定する。更に、ボタン3707、3708により、警告時に動画像を一時停止するか否かを設定できる。
【0174】
図37の例では、直進時に前方135度の範囲で、かつ視点からの距離が30m以内にある車両オブジェクト及び10m以内にある歩行者オブジェクトを警告判定の対象とし、警告時には動画像を一時停止する設定となっている。
【0175】
[評価者用シミュレーション表示]
以上の操作でオペレータがある程度企画車両モデルの視認性及び圧迫感を評価し、シミュレーションモデルの補正等を行うと、次に、複数の評価者にその視認性及び圧迫感を評価させる。これは、図26のステップS2613に相当する処理である。
【0176】
具体的には、図27でボタン2703が選択されると、シミュレーション表示プログラムは、図38に示すダイアログをディスプレイ上に表示する。図38では、評価者用のシミュレーション表示を行う前に、ボックス3800及び3801に対し、評価者のID及び身長の入力を促す。そして、入力された身長に応じて、企画車両モデルに設定されている運転手モデルを生成し直し、その視点(アイポイントEP)の座標を変更させる。これにより、シミュレーション表示の際の視点の位置が設定される。例えば、ヒップポイントからアイポイントまでの距離を身長の1/2にするなどといった設定方法が考えられる。
【0177】
ここではIDと身長の両方を入力することとしたが、IDに身長が関連づけて登録されている場合には、IDのみを入力すればよい。
【0178】
なお、ここで設定された視点の位置は、仮想空間上での企画車両モデルの走行状態に基づいて変更してもよい。例えば、横Gを受けた場合の体の動きに対応させるため、右旋回時に左側に、左旋回時に右側に微小距離だけ移動させてもよい。
【0179】
また、図38には、ターゲット画像に対する注意を促すメッセージ3802が表示される。ターゲット画像とは、評価者が注目すべき画像である。
【0180】
図38でボックス3801に身長が入力されOKボタン3803が選択されると、図39に示すシミュレーション表示画像3900が表示される。シミュレーション表示プログラムは、企画車両モデルの運転手の視点からの映像に、注視を促すためのターゲット画像3901を重畳表示する。これは、視認性の評価を行う評価者に対して、ただ漫然と映像を見るのではなく、運転手と同様に道路に注目することを促すためのものである。これにより、より精度の高い視認性の評価を行うことができる。
【0181】
ここではターゲット画像として四角い点を表示しているが、これに限定するものではなく、動画像上で識別可能であれば、他の画像でも良い。
【0182】
シミュレーション表示プログラムは、このターゲット画像を、企画車両モデルの速度が速いほど小さく、鮮明に表示する。また、このターゲット画像は、人オブジェクトに追従させることはなく、仮想道路の中心に追従するように表示する。
【0183】
また、3次元車両モデルの操舵角に応じた速度でターゲット画像を動画像上で水平移動させてもよい。また、その場合、動画像上に含まれるオブジェクトが多いほどターゲット画像の移動速度を遅くする。
【0184】
更に、運転手が後部を確認すべき状況においては、ターゲット画像を、3次元車両モデルに含まれるバックミラーまたはサイドミラーに表示する。
【0185】
なお、評価用のシミュレーション表示画面には、停止ボタンなどの他、動画像中の、視認性または圧迫感に関する問題点の位置を入力するためのボタン3902が用意されている。
【0186】
評価者がボタン3902を選択した後、シミュレーション表示画像中の問題点をマウスなどのポインティングデバイスで指示すると、シミュレーション表示プログラムは、指摘のあった企画車両モデルの部位をマークする。図39では、例として、星印を動画像に重畳表示する場合を示している。また、シミュレーション表示プログラムは、そのマークに対応するコメントを入力して動画像中に表示することも可能である。ここでは、マークボタン3902が選択された時点で動画像を一時停止し、その静止画に対してマークを付加させ、コメント記入ボタン3903が選択された場合には不図示のコメント記入ダイアログを表示してコメントを入力させ、入力されたコメントを動画像中に重畳表示する。ただし、問題点をマークした時点での評価者の発言をマイクで録音し、音声解析して文字として表示しても良い。
【0187】
また、マークされた企画車両モデルの部位の表示形態(例えば色や明るさ)を変更して目立たせても良い。
【0188】
シミュレーション表示プログラムは、評価者から問題点の位置がマークされた場合には、その入力時点に表示した静止画像を記憶する。そして、評価者による評価の終了後、オペレータは記憶された静止画像及びマークを確認しながら、企画車両モデルに修正を加えることができる。例えば、圧迫感ありとマークされたフロントピラーを細くするといった修正が考えられる。
【0189】
その場合、修正を加えた後の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像と、修正を加える前の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像とを、並列表示或いは重畳表示することも可能である。
【0190】
また、更には、修正を加えた後の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像と、修正を加える前の企画車両モデルをシミュレーション表示させた動画像とを、時間的に前後して表示可能としてもよい。
【0191】
<評価システム>
複数の評価者に企画車両モデルの視認性等を評価させる場合には、図40(a)のようなシステムが有効である。つまり、複数の評価用端末4001をネットワークで結び、それぞれの端末4001で入力されたマークやコメント及び対象となる静止画像などをオペレータ用の端末に集約する。なお、評価用端末4001は、評価者のコメントを音声で取得する場合には、マイク付きの端末にすればよい。
【0192】
これらの評価用端末4001は、図2に示したデータ1a〜1jを全て備える必要はなく、図39に示す画面を表示できる必要最低限のデータを操作車用端末4002からダウンロードすればよい。例えば、シミュレーションモデルと仮想空間のデータのみを評価用端末4001にダウンロードして、評価用端末4001にインストールされている三次元表示プログラムによってシミュレーション表示してもよい。また、例えば、オペレータ用端末4002でシミュレーション表示画像をビデオデータとして格納し、そのビデオデータのみをそれぞれの評価用端末4001に提供してマーク及びコメントの入力を求めても良い。
【0193】
複数の評価者に企画車両モデルの視認性等を評価させるためのシステムとしては、図40(b)のようなものも考えられる。図40(b)は、プロジェクタ4003を用いてスクリーン4004にシミュレーション画像を表示し複数の評価者がその画像を同時に見ながら、評価用パッド4005にてコメントを入力する。そして入力されたコメントをその入力タイミングの情報と共にオペレータ用端末4002に集約する。このようにすれば、どの評価者がどのタイミングでどのようなコメントをしたのかを集約でき、企画車両モデルの修正に役立てることができる。
【0194】
<後進時のシミュレーション表示>
なお、シミュレーション表示プログラムは、後退時の後方視界を表す動画像をもシミュレーション表示可能である。この場合、図41のように表示される。図41では、車外の様子は表示されていないが、仮想空間を表示し、その視認性を評価できることが望ましい。
【0195】
ここで後進時の後進時の運転手の視点は、前進時の運転手の視点の位置から、後進のために首をまげる動作などを考慮して求められる。すなわち、入力された身長に応じて後進時の後方視界画像も変化する。
【0196】
後進時の運転手の動作を考慮して後進時の視点位置を導き出すので、後進時の後方視界をリアルにシミュレーション表示することができ、企画車両を多面的に高精度に評価することができる。
【0197】
<乗降動作のシミュレーション表示>
更に、シミュレーション表示プログラムは、乗降時のシミュレーション表示をも可能である。これは、ドアのモデル及びその開閉動作を設計テーブルに定義することによって可能となる。この場合、図42(a)(b)のように表示される。図42(a)は、ドアを全開にした状態の側面方向からのシミュレーション表示画像であり、図42(b)は、駐車場に企画車両を駐車した場合のドアの開閉具合と乗降性とを確認するための上方からのシミュレーション表示画像である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の新型車両の企画検証を支援する装置、方法並びにプログラムを適用可能なコンピュータシステムの構成を例示する図である。
【図2】本実施形態のデータベース及び端末に格納されるデータを示す図である。
【図3】本実施形態の企画支援プログラムの構成を示す図である。
【図4】車両基準モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図5】乗員基準モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図6】外形モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図7】構造モデルの1つの画像表示例を示す図である。
【図8】基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせた完成モデルの画像表示例を示す図である。
【図9】基準モデルと外形モデルと構造モデルとを重ね合わせた完成モデルの画像表示例を示す図である。
【図10】車型とピラー本数により定義される外形モデルを例示する図である。
【図11】3列シートの場合の車両基準モデルを前方視(b)及び側面視(c)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力される外形寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図12】3列シートの場合の車両基準モデルを前方視(b)、側面視(c)、平面視(d)及びダッシュパネル周辺の拡大視(e)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力される車内寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図13】3列シートの場合の車両基準モデルを側面視(b)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力される視界関連寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図14】3列シートの場合の車両基準モデルを側面視(b)、平面視(c)及びホイールハウジング周辺の側面視(d),(e)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力されるタイヤ関連寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図15】3列シートの場合の車両基準モデルを側面視(b)及びサイドシル周辺の断面視(c)で表示する2次元画像とこの2次元画像の対応部位にパラメータとして入力されるアンダーフロア関連寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図16】車両基準モデルに対する最前列乗員のヒップポイントHP1の水平位置TL、車幅方向位置BL及び垂直位置WLの決定方法を説明する図である。
【図17】車両基準モデルのカウルポイントCWの水平位置1107及び垂直位置1108の決定方法を説明する図である。
【図18】車両基準モデルのフロントヘッダの水平位置及び垂直位置の決定方法を説明する図である。
【図19】車両基準モデルのリアヘッダの水平位置及び垂直位置の決定方法を説明する図である。
【図20】構造モデルの外観視(b)と断面形状(c)を表示する2次元及び3次元画像とこの画像の対応部位にパラメータとして入力される断面寸法の入力画面(a)とを例示する図である。
【図21】シートのモデルを構築するための寸法入力インタフェースの例を示す図である。
【図22】インテリアモデルのパーツである、ピラーのトリムのモデルを構築するための寸法入力インタフェースの例を示す図である。
【図23】インテリアモデルの各パーツについて説明するための図である。
【図24】基準モデルと外形モデルと構造モデルとインテリアモデルを重ね合わせた完成モデルの画像表示例を示す図である。
【図25】シミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図26】企画検証処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図27】シミュレーション表示プログラム起動時の操作画面例を示す図である。
【図28】走行条件設定ダイアログの1例を示す図である。
【図29】シミュレーション表示画面の1例を示す図である。
【図30】シミュレーション表示の際の自動補正処理について説明するための図である。
【図31】シミュレーション表示の際の自動補正処理について説明するための図である。
【図32】シミュレーション表示画像のインテリアモデルの色を変更するためのダイアログの1例を示す図である。
【図33】シミュレーション表示画像の奥行きを調整するためのダイアログの1例を示す図である。
【図34】比較車両モデルによるシミュレーション表示と企画車両モデルによるシミュレーション表示との対比して表示する場合の画面の1例を示す図である。
【図35】比較車両モデルによるシミュレーション表示と企画車両モデルによるシミュレーション表示との対比して表示する場合の画面の1例を示す図である。
【図36】視認性についての警告を表示する場合のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図37】視認性についての警告を表示する場合の警告条件設定ダイアログの1例を示す図である。
【図38】企画車両の評価を行う場合の導入画面の1例を示す図である。
【図39】視認性についての問題点をマークし、コメントを入力する場合のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図40】企画車両モデルの評価システムの例を示す図である。
【図41】後進時のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
【図42】乗降時のシミュレーション表示画像の1例を示す図である。
Claims (11)
- 車両の企画立案を支援する企画支援プログラムであって、
コンピュータに、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築工程と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示工程と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示工程と、
を実行させることを特徴とする企画支援プログラム。 - 前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの速度が速いほど前記ターゲット画像を小さく表示することを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。
- 前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの速度が速いほど前記ターゲット画像を鮮明に表示することを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。
- 前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの操舵角に応じた速度で前記ターゲット画像を水平移動表示することを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。
- 前記仮想空間は、複数の3次元オブジェクトを含み、
前記ターゲット画像表示工程では、前記映像に含まれる3次元オブジェクトが多いほど前記ターゲット画像の移動速度を遅くすることを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。 - 前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの仮想道路上での移動に応じて、前記ターゲット画像を水平に移動することを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。
- 前記仮想空間は、人を表す人オブジェクトを含み、
前記ターゲット画像表示工程では、前記ターゲット画像を、前記人オブジェクトではなく、前記仮想道路の中心に追従するように表示することを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。 - 前記ターゲット画像表示工程では、前記3次元車両モデルの運転手が後部を確認すべき状況においては、前記ターゲット画像を、前記3次元車両モデルに含まれるバックミラーまたはサイドミラーに表示することを特徴とする請求項1に記載の企画支援プログラム。
- 前記請求項1乃至8のいずれかに記載の企画支援プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
- コンピュータを用いて車両の企画立案を支援する企画支援方法であって、
コンピュータに、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築工程と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示工程と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示工程と、
を実行させることを特徴とする企画支援方法。 - 車両の企画立案を支援する企画支援装置であって、
企画しようとする車両の3次元車両モデルを構築するモデル構築手段と、
前記3次元車両モデルを、仮想道路を含む仮想空間上で移動させ、前記3次元車両モデルの運転手の視点からみた映像をシミュレーション表示するシミュレーション表示手段と、
前記映像に、注視を促すためのターゲット画像を重畳表示するターゲット画像表示する手段と、
を含むことを特徴とする企画支援装置。
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