従来から、人が手で持つ把持部(例えば、操作レバーや操作ノブ)を有し、把持部の操作内容(例えば操作レバーを傾けた方向や、その傾きの大きさ)に応じた電気信号を出力する操作装置(一例としてはジョイスティック装置)が提供されている。この種の操作装置は、例えば、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するために用いられ、油圧ショベルの場合は、操作装置によって、バケットの掘削/開放や、アームの曲げ/伸ばし、ブームの上げ/下げなどが行われる。
ところで、上述したような油圧ショベルでは、アタッチメントとして、バケットの代わりに、圧砕機(クラッシャ)や、グラップル、リフティングマグネット、カッタなどを利用することができるようになっている。
上記アタッチメントは、その種類によって、アタッチメント用のアクチュエータ(例えば油圧シリンダやモータ)の数や種類が異なっており、機構が複雑なもの(複雑な動作を行うもの)では、操作装置の把持部による操作だけでは操作することが困難である。
そこで、人が把持部を持ったまま操作を行えるように、把持部の先端部に、人が指で操作するスイッチ装置を設けた操作装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1におけるスイッチ装置は、人が操作していないときは中立位置に位置し、人の操作によって中立位置から移動される操作部と、操作部とともに変位する磁石(永久磁石)と、磁石の変位によって生じた磁界の強度変化を検出する磁気センサ(例えば、磁気抵抗素子やホール素子など)とを備えている。このスイッチ装置は、磁石の変位(すなわち操作部の変位)を検出し、その変位に比例した電気信号を出力する、所謂比例制御スイッチである。
しかしながら、上記特許文献1のような磁気センサを利用したスイッチ装置では、磁気センサが外部磁場や、把持部の操作時の振動の影響を受け易く、外部磁場などを操作部の変位として誤検出するおそれがあり、操作部の変位の検出精度が悪いという問題があった。
かかる問題に鑑み、本発明者らは、磁気センサの変わりに検出コイルを利用したスイッチ装置に想到するに至った。
このスイッチ装置SWは、図2に示すように、ケース1と、当該ケース1に移動自在に取り付けられた操作部2と、ケース1に収納され操作部2のケース1に対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックBKとを備えている。
検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて所定方向に移動する作動子3と、検出コイルL(図5参照)を有する検出部4と、作動子3に取り付けられ作動子3の移動に伴って検出コイルLとの距離が変化する被検出部5と、ケース1に固定されたプリント基板6aを有し検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部2の変位を示す電気信号に変換する信号処理部6と、金属板より形成され信号処理部6に接続された複数(図示例では3つ)の電線接続用の端子部7とを備えている。なお、図2および図3では検出コイルLを省略している。
作動子3は、絶縁性を有する樹脂材料により円柱状に形成されており、小径部3aと、小径部3aにおける操作部2側の端部(図2における上端部)に形成された大径部3bとを一体に備えている。大径部3bは、小径部3aと中心軸が一致する形に形成されており、その外周面には、溝部3cが大径部3bの外周面を一周する形に形成されている。また、小径部3aにおける操作部2側とは反対側の端部(図2における下端部)には、被検出部5を取り付けるための断面円形状の取付孔3dが形成されている。被検出部5は、例えば、フェライトなどの磁性材料や金属材料により形成された円柱状のコアからなり、作動子3の小径部3aに形成された取付孔3d内に圧入されることで、作動子3に取り付けられる。
検出部4は、円筒状のコイルボビン4aと、当該コイルボビン4aに巻回された検出コイルLとを有している。ここで、コイルボビン4aは、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であって、検出コイルLが巻回される巻胴部4bと、巻胴部4bの軸方向一端側(図2における上端側)に形成された円形状の第1の鍔部4cと、巻胴部4bの軸方向他端側(図2における下端側)に形成された第2の鍔部4dとを一体に備えている。コイルボビン4aの内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、大径部3bの外径未満に設定されている。なお、第2の鍔部4dは、巻胴部4bの軸方向他端側の端部を軸方向他端側に突出させる形で巻胴部4bに形成されている。
信号処理部6は、電子部品(図示せず)が実装された矩形板状のプリント基板6aにより構成されており、図5に示すように、駆動回路Aと、信号処理回路Bとを有している。プリント基板6aには、巻胴部4bの軸方向他端側の端部と凹凸嵌合する嵌合孔6bと、各端子部7用の挿通孔6cとが厚み方向に貫設されている。
駆動回路Aは、検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流(つまり検出コイルLのインピーダンスに依存しない定電流)を出力する電流回路であり、所定の振幅の直流電圧に所定の周波数及び振幅の交流電圧を重畳した電圧を発生する発振回路A1と、発振回路A1が出力する電圧を電流に変換するV−I回路(電圧−電流変換回路)A2とから構成されている。
信号処理回路Bは、駆動回路Aが出力する電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる検出コイルLの両端電圧(検出信号)のピーク値V1に応じて、被検出部5と検出コイルLとの位置情報、すなわち、操作部2の変位を示す出力信号Voutを出力する。この信号処理回路Bは、ピークホールド回路B1と、AD変換回路B2と、レベルシフト部B3a、温度補償部B3b、及び増幅部B3cを有するデジタル演算ブロックB3とから構成されている。ピークホールド回路B1では、検出コイルLの両端電圧のピーク値V1を抽出し、AD変換回路B2では、ピーク値V1をデジタル信号DV1に変換するようになっている。そして、デジタル演算ブロックB3では、デジタル信号演算としてレベルシフト部B3aで所定のデジタル量を加算してレベルシフトを行ったデジタル信号DV2を出力し、温度補償部B3bでは、温度補償を実行する演算をデジタル信号DV2に対して行い、増幅部B3cでは、温度補償部B3bが出力するデジタル信号を増幅して、デジタル信号の出力信号Voutを出力するようになっている。
端子部7は、板状の金属材料により長尺上に形成されている。この端子部7は、一端部(図2における上端部)をプリント基板6aの挿通孔6cに挿通させた状態で半田付けすることによってプリント基板6aに接続、固定される。そして、この端子部7に外部回路の電線(リード線など)を半田付けなどにより接続することによって、信号処理部6と外部回路とが電気的に接続され、スイッチ装置SWの信号処理部6への給電や、信号処理部6の出力信号Voutを外部回路に送出することが可能となる。
ケース1は、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であるボディ8およびカバー9により構成されている。
ボディ8は、矩形箱状に形成されており、その厚み方向一面側(図2における上面側)および厚み方向他面側(図2における下面側)それぞれが開口されている。ボディ8の幅方向(図2において紙面に垂直な方向)における両側面それぞれには、図3に示すように、操作部2の揺動軸(ハンドル軸)となる軸部10用の軸受孔8aが厚み方向一面側の中央部に位置する形に形成されている。これら軸受孔8aは中心軸が一致している。また、ボディ8の外周面の厚み方向一面側には、側方に突出する鍔部8bがボディ8の外周面を一周する形に形成されている。また、ボディ8の長さ方向両側面それぞれには、上述したような操作装置の把持部にボディ8を取り付けるために用いられる取付片8cが一体に突設されている。
ボディ8の内部には、ボディ8の内部を厚み方向一面側(図2における上面側)と他面側(図2における下面側)とに2分する隔壁部(仕切部)8dが形成されており、ボディ8の内部における隔壁部8dより厚み方向一面側の空間部は、操作部2が配置される操作部収納室8eとして、隔壁部8dより厚み方向他面側の空間部は、主として検出部4および信号処理部6を収納する電子部品収納室8fとして用いられる。
電子部品収納室8fの内周面には、プリント基板6aの厚み方向一面(図2における上面)に当接するリブ8gが周設されている。つまり、プリント基板6aは、厚み方向一面がリブ8gに当接された状態で、電子部品収納室8fに収納される。
隔壁部8dにおける厚み方向一面側(図2における上面側)には、一対の円形状の凹所8hが形成されている。一対の凹所8hは、図4に示すように、隔壁部8dの長さ方向(ケース1の長さ方向)において離間するとともに、当該長さ方向に沿った方向において、それぞれの中心が一直線上に位置しない(重ならない)形にずらして配置されている(一対の凹所8hの中心同士を結ぶ直線はケース1の長さ方向と交差している)。また、各凹所8hの底面部には、円筒状の第1の周壁部8iと、第1の周壁部8iの外径よりも大きい内径を有する円筒状の第2の周壁部8jとが凹所8hと中心軸を一致させた形で突設されている。第1の周壁部8iの内径は、作動子3の大径部3bの外径よりも大きく設定されている。なお、図4では、作動子3および後述する被覆部12を省略している。
ところで、スイッチ装置SWでは、片方の凹所8hの底面部にのみ、作動子3用の挿通孔8kを形成している。挿通孔8kは、第1の周壁部8iで囲まれた底面部の中央に、その中心軸を凹所8hの中心軸と一致させる形で形成されており、その内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、作動子3の大径部3bの外径未満の大きさに設定されている。作動子3は、小径部3aを挿通孔8kに挿通した状態で、ケース1に取り付けられる。ここで、作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに、作動子3を操作部2側に付勢することで作動子3を復帰させる作動子ばね11が被嵌される。作動子ばね11としてはコイルスプリング(コイルばね)を用いている。この作動子ばね11は、軸方向一端部(図2における上端部)が大径部3bにおける軸方向他端面(図2における下面)に当接され、軸方向他端部(図2における下端部)が挿通孔8kの周縁部における軸方向一端側(図2における上端側)に当接される。また、作動子ばね11の自然長は、操作部2の位置(回動位置)によらずに、作動子3が操作部2に当接するような長さに設定している。
隔壁部8dにおける厚み方向一面側には、一対の支持リブ8lが突設されている。支持リブ8lは、図4に示すように、ケース1の幅方向において一方の凹所8hに隣接するとともに、ケース1の長さ方向において他方の凹所8hと重なる形に配置されている(したがって、一対の凹所8h同士を結ぶ直線と、一対の支持リブ8l同士を結ぶ直線とが交差している)。一対の支持リブ8lそれぞれには、操作部2をケース1に取り付けた際に、後述する復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれが当接される。
一方、隔壁部8dにおける厚み方向他面側には、円筒状の位置決めリブ8mが一対の凹所8hそれぞれに対応する形に突設されている。この位置決めリブ8mの内径は、第1の鍔部4cの外径よりやや大きく設定されており、第1の鍔部4cを位置決めリブ8mの内側に挿入することで、検出部4がケース1に対して位置決めされる。
ところで、隔壁部8dには、作動子3が挿通される挿通孔8kが形成されているため、操作部収納室8eと、電子部品収納室8fとは、挿通孔8kにより連通している。ここで、操作部収納室8eは被水環境下に置かれるため、操作部収納室8e内に水や埃などの異物が入り込んだ場合には、これら異物が挿通孔8kを通じて電子部品収納室8f内に入り込むおそれがある。そのため、ケース1には、操作部収納室8eから電子部品収納室8fへの異物の侵入を防止するための前述の被覆部12を設けている。
被覆部12は、防水性および可撓性を有する樹脂材料(一例としてはゴム)などにより形成され、第1の円筒部12aと、第1の円筒部12aより外径が小さい第2の円筒部12bと、第1の円筒部12aにおける軸方向一端側(図2における上端側)と、第2の円筒部12bにおける軸方向他端側(図2における下端側)とを連続一体に連結する連結部12cとを備えている。第1の円筒部12aにおける軸方向他端側には、外側に突出する円環状の第1のフランジ部12dが一体に形成され、第2の円筒部12bにおける軸方向一端側には、内側に突出する円環状の第2のフランジ部12eが一体に形成されている。
第1の円筒部12aの内径は、第1の周壁部8iの外径と同程度の大きさに設定され、第2の円筒部12bの内径は、作動子3の大径部3bの外径と同程度の大きさに設定されている。また、第1のフランジ部12dの外径は、第2の周壁部8jの内径より小さく設定され、第2のフランジ部12eの内径は、作動子3の大径部3bの溝部3cにおける外径と同程度の大きさに設定されている。
カバー9は、ボディ8の厚み方向他面側(図2における下面側)の開口を閉塞する形でボディ8に取り付けられる、所謂背面カバーである。カバー9は、ボディ8の厚み方向他面側(図2における下面側)の開口を閉塞できる大きさの略矩形板状に形成されており、複数の端子部7の他端部が挿通される複数の挿通孔(図示せず)が厚み方向に貫設されている。したがって、端子部7の他端部は、カバー9の挿通孔を通してケース1から外方に突出される。
操作部2は、スイッチ装置SWを手動操作するための操作ハンドルであって、絶縁性を有する樹脂材料により箱状に形成されている。また、操作部2は、幅方向に直交する面内における外形形状が、厚み方向一面側の両側が中央より厚み方向一面側に突出するとともに、厚み方向他面側の中央が両側より厚み方向他面側に突出した形の略く字状に形成されている。操作部2の厚み方向一面(図2における上面)は人が接触する操作面として用いられ、厚み方向他面側(図2における下面側)は開口されている。なお、操作部2は、ケース1に取り付けられた状態において、操作面がケース1の一面開口よりも外側に位置するように、厚み寸法が設定されている。
この操作部2の幅方向両側面それぞれにおける長さ方向中央部には、軸部10が貫挿される貫挿孔2aが形成されている。操作部2の内底面(操作部2の厚み方向一面側の壁部における操作面とは反対側の面)の中央部には、操作部2をケース1に対する規定位置に復帰させる前述の復帰ばね13を固定するための一対の狭持片2bが、操作部2の長さ方向に離間する形に形成されている。ここで、復帰ばね13としては、コイル部13aと、コイル部13aの両端部それぞれからコイル部13aの巻き軸方向と直交する方向に突出された一対の腕部13bとを一体に備える所謂ねじりコイルばね(トーションバネともいう)を使用している。一方、操作部2の幅方向における内側面それぞれには、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれが厚み方向一面側から弾接される一対の位置決めリブ2cが一体に突設されている。
したがって、復帰ばね13は、コイル部13aが巻き軸方向を操作部2の幅方向に沿わせた形で一対の狭持片2b間に配置されるとともに、一対の腕部13bそれぞれが一対の位置決めリブ2cそれぞれに弾接された状態で、操作部2に取り付けられる。また、復帰ばね13を操作部2に取り付けた状態では、復帰ばね13のコイル部13aの内側は、各貫挿孔2aと連通し、一方の貫挿孔2aから操作部2内に挿入された軸部10は、コイル部13aの内側を通って、他方の貫挿孔2aより操作部2外へ突出する。
操作部2の内底面において、隔壁部8dの一対の凹所8hそれぞれと対応する部位には、作動子3の大径部3bに当接される一対の当接リブ2dが一体に突設されている。なお、スイッチ装置SWでは、作動子3を1つだけ用いているので、片方の当接リブ2dは使用されない。
上述したスイッチ装置SWは次のようにして組み立てられている。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、信号処理部6が収納される。信号処理部6を電子部品収納室8fに収納する際には、予め信号処理部6に検出部4と端子部7を取り付けておく。検出部4は、プリント基板6aの嵌合孔6bに検出部4の巻胴部4bの軸方向他端側の端部を嵌合された状態で、半田付けなどによってプリント基板6aに固定される。また、検出部4の検出コイルLは半田付けなどにより信号処理部6に電気的に接続され、図5に示す回路が構成される。さらに、端子部7は、一端部をプリント基板6aの挿通孔6cに挿通させた状態でプリント基板6aに半田付けされる。
信号処理部6は、検出部4の第1の鍔部4cをボディ8の位置決めリブ8mの内側に差し入れるとともに、プリント基板6aの厚み方向一面をリブ8gに当接させた状態で、ボディ8に取り付けられ、接着剤や半田などを利用して、ボディ8に固定される。
その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられ、複数の端子部7の他端部それぞれはカバー9の挿通孔(図示せず)よりケース1から外方に突出される。
次に作動子3が小径部3aを挿通孔8kに挿通させた状態で操作部収納室8eに収納される。ここで挿通孔8kはコイルボビン4aの内側に連通しているため、小径部3aはコイルボビン4aの内側(つまり被検出部5が検出コイルLの内側)に位置する。また、作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに作動子ばね11が被嵌される。その後に、隔壁部8dには、被覆部12が、第1の円筒部12aを第1の周壁部8iに被せるとともに、第1のフランジ部12dを凹所8hの底面に当接させた状態で取り付けられる。このように被覆部12を隔壁部8dに取り付けた後には、超音波などにより第2の周壁部8jを、凹所8hの底面との間で第1のフランジ部12dを挟む形に変形させ、これにより被覆部12を隔壁部8dに固定する。また、被覆部12の第2の円筒部12aは、隔壁部8dの挿通孔8kを挿通させた作動子3の大径部3bに被嵌され、第2のフランジ部12eは、大径部3bの溝部3cに嵌め込まれる。これによって、挿通孔8kの内周面と、作動子3の外周面との隙間を通って異物が電子部品収納室8fに侵入することが防止される。
その後には、上述したように復帰ばね13が取り付けられた操作部2がケース1に取り付けられる。操作部2は、操作面をケース1の隔壁部8dとは反対側に向けるとともに、貫挿孔2aおよび軸受孔8aそれぞれの中心軸を一致させた状態で、操作部収納室8e内に収納され、貫挿孔2aおよび軸受孔8の両方に軸部10を貫挿することによって、ケース1の厚み方向一端側に取り付けられる。このようにして操作部2をケース1に取り付けた状態において、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接し、操作部2の当接リブ2dが作動子3の大径部3bに当接している。
上述した従来例のスイッチ装置SWは、操作装置の把持部の先端部に取り付けられた状態で使用される。このとき、スイッチ装置SWは、ケース1の厚み方向他端側を把持部の内部に、操作部2を把持部の外部に位置させた形で把持部に取り付けられる(操作部2が外部に露出する形で取り付けられる)。なお、スイッチ装置SWを把持部に取り付けるにあたっては、図3に示すような取付金具14が用いられる。
この取付金具14は、ケース1の幅方向に沿った方向においてケース1を狭持する一対の狭持片14aと、狭持片14aの基端部同士を連結する連結片14bとを一体に備えたコ字状に形成されている。各狭持片14aには、ケース1の外面に設けられた嵌合突起(図示せず)と凹凸嵌合する嵌合孔14cが形成されており、各嵌合孔14cにケース1の嵌合突起が凹凸嵌合することによって、スイッチ装置SWが狭持片14a間に保持される。また、各狭持片14aの先端部からは、スイッチ装置SWを把持部に取り付けるための取付片14dが延設されており、ケース1の取付片8dおよび取付金具14の取付片14dを用いて、スイッチ装置SWが把持部に取り付けられる。
ところで、把持部の内部には、各種電子部品などが収納される。そのため、スイッチ装置SWのケース1と把持部との間には、パッキン15が配置される。パッキン15は、ゴムなどにより矩形枠状に形成されており、スイッチ装置SWのボディ8の鍔部8bと把持部の外面との間に介在され、これによって把持部の内部への水などの浸入が防止される。
このスイッチ装置SWでは、操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に揺動自在に取り付けられている。
ここで、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接しているから、操作部2を操作していない場合(操作部2に操作荷重がかけられていない場合)には、復帰ばね13による操作部2を第1の回転方向(図2にC1で示す反時計回り方向)に回転させる操作反力と、操作部2を第2の回転方向(図2にC2で示す時計回り方向)に回転させる操作反力とが平衡する位置に操作部2が位置する。この位置が、操作部2のケース1に対する中立位置(規定位置)となる。操作部2を第1の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第2の回転方向に回転させる操作反力が強くなり、操作部2を第2の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第1の回転方向に回転させる操作反力が強くなる。
つまり操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に対する規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に所定角度だけ回転した第1の押し込み位置と、上記規定位置から第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に所定角度だけ回転した第2の押し込み位置との間を移動する。なお、スイッチ装置SWでは、操作部2が規定位置に位置しているときに、被検出部5が検出コイルLの半分まで挿入され、操作部2が第1の押し込み位置に位置したときに、被検出部5が検出コイルLに完全に挿入され、操作部2が第2の押し込み位置に位置したときに、被検出部5が検出コイルLから完全に引き抜かれるように、位置関係および各部の寸法を調整している。
次に、スイッチ装置SWの動作について図2を参照して説明する。まず、初期状態において操作部2が規定位置に位置しているとする。
当該初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向一端側(図2における左側)を押圧して規定位置から第1の回転方向に回転させると、その変位量に応じて、当接リブ2dが作動子3を押圧する力が強まり、作動子3は作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側(すなわち図2にM1で示す下方向)に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が増加する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第2の回転方向に回転させられて、規定位置に復帰する。一方、作動子3は作動子ばね11によって操作部2側に付勢されているから、操作部2の当接リブ2dに当接した状態を維持しながら、ケース1の厚み方向一端側(すなわち図2にM2で示す上方向)に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。
一方、上記初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向他端側(図1における右側)を押圧して規定位置から第2の回転方向に回転させると、その変位量に応じて、当接リブ2dが作動子3を押圧する力が弱まり、作動子3は作動子ばね11のばね力によってケース1の厚み方向一端側に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が減少する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第1の回転方向に回転させられて、規定位置に復帰する。この復帰動作に伴って当接リブ2dが作動子3を押圧する力が元(規定位置のときの力)に戻るから、作動子3は作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。
上述したように、操作部2を操作した場合には、その変位量に応じて、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が変化する。ここで、検出コイルLのインピーダンスは、被検出部5の検出コイルLへの挿入量(被検出部5と検出コイルLとの距離)に対してリニアに変化するから、信号処理部6の信号処理回路Bが出力する出力信号Voutは、操作部2の変位を示す。
特開2002−358133号公報(特に段落〔0033〕および図3参照)
本発明の一実施形態のスイッチ装置SWは、上記従来例と同様に、ケース1と、当該ケース1に移動自在に取り付けられた操作部2と、ケース1に収納され操作部2のケース1に対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックBKとを備え、検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて所定方向に移動する作動子3と、検出コイルL(図5参照)を有する検出部4と、作動子3に取り付けられ作動子3の移動に伴って検出コイルLとの距離が変化する被検出部5と、ケース1に固定されたプリント基板6aを有し検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部2の変位を示す電気信号に変換する信号処理部6と、金属板より形成され信号処理部6に接続された複数(図示例では3つ)の電線接続用の端子部7とを備えている。なお、図1では検出コイルLを省略している。
しかしながら、本実施形態のスイッチ装置SWは、作動子3、検出部4、およびケース1のボディ8の構成が上記従来例と異なっている。なお、本実施形態のスイッチ装置SWのその他の構成は上記従来例と同様であるから、同様の構成については同一の符合を付して説明を省略する。
本実施形態における作動子3は、上記従来例と同様に、絶縁性を有する樹脂材料により円柱状に形成され、小径部3aおよび大径部3bを一体に備えているが、小径部3aには、取付孔3dが設けられる代わりに、被検出部5がその中心軸を小径部3aの中心軸に一致させる形でインサートされている。つまり、本実施形態における作動子3は、被検出部5がインサートされた樹脂成形品からなる。
また、作動子3の小径部3aの外周面には、作動子3の中心軸方向を長手方向とする溝からなる連通路3eが形成されており、小径部3aをコイルボビン4aの内側に差し入れた際に、コイルボビン4aの軸方向一端側の空間部(図1における上側の空間部)と、軸方向他端側の空間部(図1における下側の空間部)とが連通路3eによって連通される。
本実施形態における検出部4は、上記従来例と同様のものであるが、第1の鍔部4cに、検出部4をケース1に取り付けるための取付孔4eが形成されている点で異なっている。
本実施形態におけるボディ8は、上記従来例と同様のものであるが、位置決めリブ8mの代わりに、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eに挿通される取付リブ8nが一対の凹所8hそれぞれに対応する形に突設されている点で異なっている。
次に、本実施形態のスイッチ装置SWの組立方法について説明する。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、検出部4が収納される。このとき、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eには、挿通孔8kが設けられた凹所8hに対応する取付リブ8nが挿通される。そして、超音波などにより取付リブ8nを変形させることで、検出部4がボディ8(ケース1)に固定される。その後に、電子部品収納室8fには信号処理部6が収納される。このとき、信号処理部6は、プリント基板6aの厚み方向一面をリブ8gに当接させるとともに、プリント基板6aの嵌合孔6bに、検出部4の巻胴部4bの軸方向他端側の端部を嵌め合わされた状態で、ボディ8に取り付けられ、接着剤や半田などを利用して、ボディ8に固定される。また、検出部4の検出コイルLは半田付けなどにより信号処理部6に電気的に接続され、図5に示す回路が構成される。なお、信号処理部6のプリント基板6aには予め複数の端子部7が一端部をプリント基板6aに半田付けすることによって接続される。その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられ、複数の端子部7の他端部それぞれはカバー9の挿通孔(図示せず)よりケース1から外方に突出される。これ以後の組立方法は、上記従来例と同様であるから説明を省略する。
なお、本実施形態のスイッチ装置SWの動作は、上記従来例と同様であるから、説明を省略する
以上述べた本実施形態のスイッチ装置SWによれば、検出部4がケース1に固定されている(直接的にケース1に固定されている)から、検出部4が信号処理部6のプリント基板6aに固定されている(間接的にケース1に固定されている)場合に比べれば、部品の形状誤差などの影響を小さくすることができて、製品毎に検出コイルLと被検出部5との位置関係がばらついてしまうことを抑制できる。そのため、製品の性能の安定化が図れる。
その上、検出部4をプリント基板6aに固定する際には、検出部4と被検出部5との位置関係が変化しないように、高精度な半田付けが必要とされるが、検出部4をケース1に固定した場合には、このような高精度な半田付けが不要となるから、リフロー半田付けなどを利用できるようになり、組立作業の容易化および生産性の向上が図れる。さらに、検出部4をケース1に固定したので、被検出部5の移動によって検出部4に応力が生じても、このような応力が検出コイルLと信号処理部6のプリント基板6aとの接続部分(例えば半田部分)に伝達され難くなり、接続部分の破損(例えば半田クラック)を防止できる。
また、被検出部5は検出コイルL内に出没自在に設けられ検出コイルLに対してその中心軸方向に変位するコアからなり、作動子3は、被検出部5がインサートされた樹脂成形品からなる。つまり、被検出部5が作動子3にインサートされているので、被検出部5を作動子3に取り付ける場合に比べれば、部品の形状誤差などの影響を受けることがないから、製品毎に作動子3と被検出部5との位置関係がばらついてしまうことを防止でき、製品間の性能差を低減できる。また、作動子3によって被検出部5を保護することが可能となるから、被検出部5が検出部4に接触して摩耗してしまうことなどを防止でき、長寿命化が図れる。
また、検出部4は、検出コイルLが巻回された筒状のコイルボビン4aを有し、作動子3は、コイルボビン4aの内側に入り込む形の柱状に形成され、作動子3の外周面には、コイルボビン4aの軸方向一端側の空間部(図1における上側の空間部)と他端側の空間部(図1における下側の空間部)とを連通する連通路3eが形成されているので、作動子3がコイルボビン4a内を移動した際に、空気が連通路3eを通って、コイルボビン4aの一端側の空間部と他端側の空間部との間を移動するから、作動子3の移動によってケース1内における空気の圧力が偏ってしまうことを防止して圧力を均一にすることができる。そのため、空気の圧力の偏りによって作動子3の移動が妨げられてしまうことを防止できて、作動子3がコイルボビン2a内をスムーズに移動できるようになる。
なお、本実施形態のスイッチ装置SWは、操作部2が揺動自在にケース1に取り付けられた所謂ロッカースイッチであるが、本発明をロッカースイッチに限定する趣旨ではなく、プッシュスイッチなど種々のスイッチに適用することができる。