JP4736279B2 - 移動農機の冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動農機の冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来の移動農機のエンジン3のエキゾーストパイプは、図10に示すように、エンジン3の左右一側の第2シリンダ3bに第2エキゾーストパイプ20を前方へ延出するように接続し、左右他側の第1シリンダ3aに接続されている第1エキゾーストパイプ19をその始端側を前方に突出し、次いで、他側に屈折して第2エキゾーストパイプ20に接続し、第2エキゾーストパイプ20の終端部に合流エキゾーストパイプ21を接続して、エンジン3の第2エキゾーストパイプ20側に設けたマフラーに排気を導く構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
従来装置では、エンジン3の停止時には、第1シリンダ3aの排気弁に対して第2シリンダ3bの排気弁が所定角度遅れで開くことから、第2シリンダ3bの停止時に排気弁が開くことが多く、第2シリンダ3bからの排気中の生ガスが短い第2エキゾーストパイプ20、合流エキゾーストパイプ21を経てマフラー22に流れ、マフラー22内でアフタバーンが発生するという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明は、このような不具合を解消しようとするものである。
【0005】
【問題を解決するための手段】
このような技術的課題を解決するために、請求項1の発明は、機体フレームV型2シリンダで構成されるエンジンを搭載してボンネット18で被覆し、前記エンジンには後側に冷却ファン26を設けて後方から前方に冷却風を送る構成とし、前記エンジン左右一側に設ける第1シリンダ(3a)と左右他側に設ける第2シリンダ(3b)の排気口にそれぞれ第1エキゾーストパイプ(19)と第2エキゾーストパイプ(20)を前方へ突出するように延出し、前記第1エキゾーストパイプ19の終端側を上り傾斜に前方延出し、前記第2エキゾーストパイプ20の始端側を上り傾斜に前方に延出し、中途部を前記第1エキゾーストパイプ19側に屈折して第1エキゾーストパイプ19の終端部に接続し、前記第1エキゾーストパイプ19の終端部に合流エキゾーストパイプ21を接続し、前記合流エキゾーストパイプ21の始端部を前上り傾斜に構成し中途部から第2エキゾーストパイプ20側に屈曲し、その終端部をエンジンの第2エキゾーストパイプ20の側方に配置したマフラー22に接続したことを特徴とする。
【0006】
エンジン3の冷却ファン26により冷却風を後方から前方に送ってエンジン3を冷却すると共に、第1エキゾーストパイプ19、第2エキゾーストパイプ20及び合流エキゾーストパイプ21を冷却し、冷却された排気がマフラー22に送られる。
【0007】
請求項2の発明は、マフラー22を第1室22aと第2室22bとで構成し、合流エキゾーストパイプ21の終端部をマフラー22の第1室22aに接続し、第2室22bの排気口に排気パイプ23を接続し、前記第1室22aにおける排気の流入部位に貫通状態の冷却パイプ25を配設し、該冷却パイプ25内に冷却風が流れることを特徴とする。
【0008】
エンジン3の冷却ファン26により冷却風を後方から前方に送ってエンジン3を冷却すると共に、第1エキゾーストパイプ19、第2エキゾーストパイプ20及び合流エキゾーストパイプ21を冷却し、合流エキゾーストパイプ21を経て冷却された排気がマフラー22に送られる。
【0009】
また、合流エキゾーストパイプ21からの排気はマフラー22の第1室22aの冷却パイプ25に向けて送り込まれ、内部に冷却風の流れている冷却パイプ25により更に排気は冷却される。
【0010】
【発明のび効果】
請求項1の発明は、左右一側に設けられている第2シリンダ3bに接続している第2エキゾーストパイプ20を、左右他側の第1エキゾーストパイプ19側に屈折して長く構成して第1エキゾーストパイプ19に接続したので、第2シリンダ3bからマフラー22までの排気距離が長くなり、また、第2エキゾーストパイプ20及び合流エキゾーストパイプ21を流れる間に排気が冷却されて、エンジン停止時における生ガスのマフラー22への流れを排気温度を下げながら減少させることができ、アフタバーンを少なくし、騒音の低減を図ることができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、マフラー22の第1室22aの排気流入部には内部に冷却風の流れている冷却パイプ25を設けたので、合流エキゾーストパイプ21から流入する排気が更に冷却され、マフラー22内での排気のアフタバーンを効果的に防止し、騒音の低減を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の乗用管理機の実施例の形態について説明する。まず、図1により乗用管理機1の全体構成について説明する。機体フレーム2の前部上方にエンジン3を搭載し、機体フレーム2の前後中間部に走行ミッションケース4を配置し、機体フレーム2の後部にPTOミッションケース(図示省略)を配置している。機体フレーム2の前部下方には、正面視逆U字状のフロントアクスルケース6の左右中間部を揺動自在に支持し、フロントアクスルケース6の左右両端部には、左・右前輪7,7を軸支した左・右前輪ケース8,8を縦軸回りに回動できるように取り付けている。
【0013】
また、機体フレーム2の後部下方には、正面視逆U字形のリヤーアクスルケース9の左右中間部を連結固着して、リヤーアクスルケース9の左右両側下部には、左・右後輪10,10を軸支した左・右後輪ケース11,11を縦軸回りに支持している。
【0014】
機体フレーム2の前後方向中間上部には、ハンドルポスト12を後斜め上方に向けて延出し、ハンドルポスト12の上部にはステアリングハンドル13を回転自在に支持している。ステアリングハンドル13により操舵用油圧バルブを操作し、前・後操舵用油圧シリンダを伸縮し、左・右前輪ケース8,8及び左・右後輪ケース11,11を縦軸回りに回動して、左・右前輪7,7及び左・右後輪10,10を操舵する構成である。
【0015】
また、ハンドルポスト12の上部にはメータパネル14を取り付け、ハンドルポスト12の一側部には、主変速レバー及び副変速レバーを取り付け、他側部にはスロットルレバーを取り付けている。機体フレーム2の後部上方には、取付台(図示省略)を介して操縦席16を取り付け、取付台(図示省略)の左側部分にPTO変速レバーを取り付けている。また、操縦席16の左右両側及び後側を囲むように防除タンク17を配置している。
【0016】
機体フレーム2にエンジン3を搭載するに際しては、ラジエータを後側に、原動軸を前方に突出するように配置し、原動軸からの動力を、エンジン3の下方に前後方向に沿わせて配置した伝動軸を経て分岐伝動ケースに伝達し、分岐伝動ケースで分岐された作業機動力は、作業機伝動軸を経由してPTO軸に伝達され、分岐された走行動力は主クラッチ装置を経て走行ミッションケース4に伝達される。走行ミッションケース4で主変速装置(図示省略)及び副変速装置(図示省略)で変速された走行動力は、前輪走行軸、フロントアクスルケース6、前輪伝動装置を経て左・右前輪7,7に伝達され、また、変速された動力は後輪走行軸、リヤーアクスルケース9、後輪伝動装置を経て左・右後輪10,10に伝達される。また、主変速装置(図示省略)及び副変速装置(図示省略)で変速された作業機変速動力は、作業機第2伝動軸を経て第2PTO軸に伝達される。
【0017】
次に、図2〜図11に基づきエンジン3のエキゾーストパイプ及びマフラー22部の構成について説明する。エンジン3は、この実施例では、ガソリンエンジンのV型2シリンダで構成されていて、エンジン3をボンネット18で被覆し、ボンネット18の前部左右両側に左右のヘッドライトを配置している。
【0018】
エンジン3の第1・第2シリンダ3a,3bの前側の排気口に、第1・第2エキゾーストパイプ19,20の始端側を前方へ突出するように接続している。第1エキゾーストパイプ19の終端側を上り傾斜に延出し、第2エキゾーストパイプ20を始端側を前方に突出させ、中途部を第1エキゾーストパイプ19側の右側に屈折して第1エキゾーストパイプ19の終端部に接続し合流させている。第1エキゾーストパイプ19の終端部に合流エキゾーストパイプ21の始端部を接続し、合流エキゾーストパイプ21の始端部を前上り傾斜に屈曲し、中途部から左側に屈曲し、次いで左下り傾斜として左側に延出している。
【0019】
ボンネット18の左側にはマフラー22を前後方向に沿わせて配置し、取付具を介して機体フレーム2に取り付け、マフラーカバー24で被覆している。前記合流エキゾーストパイプ21の終端部をマフラー22の前側の第1室22aに接続し、マフラー22の後側の第2室22bの排気口には、排気パイプ23を接続し、排気パイプ23の終端側を上方に延出している。なお、排気パイプ23は二重壁構成とし、その中間部にグラスウールを介装している。
【0020】
エンジン3の後側には冷却ファン26を設けて、冷却風を後方から前方に送ってエンジン3を冷却し、更に、前方に流れた冷却風で第1・第2エキゾーストパイプ19,20、及び、合流エキゾーストパイプ21を冷却し、次いで、マフラー22の冷却パイプ25に流入し、冷却パイプ25を冷却する構成としている。
【0021】
従来のエキゾーストパイプは、図10に示すように、エンジン3の第2シリンダ3bに第2エキゾーストパイプ20を前方へ延出するように接続し、第1シリンダ3aに接続されている第1エキゾーストパイプ19を始端側を前方に突出し、次いで、右側に屈折して第2エキゾーストパイプ20に接続し、第2エキゾーストパイプ20の終端部に合流エキゾーストパイプ21を接続して排気をマフラー22に導く構成である。
【0022】
しかして、エンジン3の停止時には、第1シリンダ3aの排気弁に対して第2シリンダ3bの排気弁が所定角度遅れで開くことから、第2シリンダ3bの停止時に排気弁が開くことが多く、第2シリンダ3bからの排気中の生ガスが短い第2エキゾーストパイプ20、合流エキゾーストパイプ21を経てマフラー22に流れ、マフラー22内でアフタバーンが発生するという不具合があった。
【0023】
しかし、この実施例では、第2シリンダ3bに接続している第2エキゾーストパイプ20を、第1エキゾーストパイプ19側に屈折して長くし第1エキゾーストパイプ19に接続する構成したので、第2シリンダ3bからマフラー22までの排気距離が長くなり、また、第2エキゾーストパイプ20及び合流エキゾーストパイプ21を流れる間に排気が冷却されて、エンジン停止時の生ガスのマフラー22への流れを減少させると共に排気温度を下げることができて、アフタバーンを少なくすることができる。
【0024】
なお、図11に示すように、第1・第2エキゾーストパイプ19,20に局部的な傍出部27を構成すると、冷却風の当たりがよく冷却効果をより高めることができる。また、前記実施例では、第1エキゾーストパイプ19、第2エキゾーストパイプ20、合流エキゾーストパイプ21が、図7に示すように、側面視前上り傾斜で、平面視で夫れ夫れが重ならないように配置されているので、前側に流れる冷却風がこれらエキゾーストパイプにむらなく当たり効果的に冷却することができる。
【0025】
また、従来装置は、図9に示すように、マフラー22は第1室22a及び第2室22bで構成されていて、エンジン3からの排気は先ず第1室22aに入り、連通路22cを経て第2室22bに流れる構成であり、第2室22bでアフタバーンが発生するという不具合があった。
【0026】
この実施例では、マフラー22の第1室22aにおける排気の流入部位に、例えば丸パイプを貫通溶接して冷却パイプ25を設け、冷却パイプ25内に冷却風が流れる構成としている。しかして、マフラー22の冷却パイプ25内に冷却風を通して冷却し、排気がマフラー22の第1室22a内に流入し冷却パイプ25に当たることにより冷却され、マフラー22内での排気のアフタバーンを防止し、合わせて騒音の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用管理機の側面図である。
【図2】 要部の側面図である。
【図3】 要部の正面図である。
【図4】 要部の正面図である。
【図5】 要部の平面図である。
【図6】 要部の背面図である。
【図7】 要部の右側面図である。
【図8】 要部の切断側面図、斜視図である。
【図9】 従来装置の要部の切断側面図である。
【図10】 従来装置の要部の斜視図である。
【図11】 要部の斜視図である。
【符号の説明】
1 乗用管理機(移動農機)
2 機体フレーム
3 エンジン
3a 第1シリンダ
3b 第2シリンダ
18 ボンネット
19 第1エキゾーストパイプ
20 第2エキゾーストパイプ
21 合流エキゾーストパイプ
22 マフラー22
22a 第1室
22b 第2室
25 冷却パイプ
26 冷却ファン

Claims (2)

  1. 機体フレームV型2シリンダで構成されるエンジンを搭載してボンネット18で被覆し、前記エンジンには後側に冷却ファン26を設けて後方から前方に冷却風を送る構成とし、前記エンジン左右一側に設ける第1シリンダ(3a)と左右他側に設ける第2シリンダ(3b)の排気口にそれぞれ第1エキゾーストパイプ(19)と第2エキゾーストパイプ(20)を前方へ突出するように延出し、前記第1エキゾーストパイプ19の終端側を上り傾斜に前方延出し、前記第2エキゾーストパイプ20の始端側を上り傾斜に前方に延出し、中途部を前記第1エキゾーストパイプ19側に屈折して第1エキゾーストパイプ19の終端部に接続し、前記第1エキゾーストパイプ19の終端部に合流エキゾーストパイプ21を接続し、前記合流エキゾーストパイプ21の始端部を前上り傾斜に構成し中途部から第2エキゾーストパイプ20側に屈曲し、その終端部をエンジンの第2エキゾーストパイプ20の側方に配置したマフラー22に接続したことを特徴とする移動農機の冷却装置。
  2. マフラー22を第1室22aと第2室22bとで構成し、合流エキゾーストパイプ21の終端部をマフラー22の第1室22aに接続し、第2室22bの排気口に排気パイプ23を接続し、前記第1室22aにおける排気の流入部位に貫通状態の冷却パイプ25を配設し、該冷却パイプ25内に冷却風が流れることを特徴とする請求項1記載の移動農機の冷却装置。
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