JP4735539B2 - 多成分系薬剤の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は多成分系薬剤の評価方法に関し、更に詳しくは、多成分系薬剤を構成する各成分の相違の程度を、三次元高速液体クロマトグラフィー(以下、「3D−HPLC」と略記することがある)によって測定されたデータに、特定の解析手段を加えることによって得られた数値を用いる多成分系薬剤の評価方法に関するものである。
多成分系薬剤、特に漢方製剤等の天然物由来の製剤の定量的、定性的プロフィールは、使用する原料生薬についての、地質学的要因、生態学的要因、収集時期、収集場所、収集年代、生育期の天候等が原因で変化する。そのため、漢方製剤等の多成分系薬剤については、その品質、安全性、効力等の評価のために一定の判定基準を規定し、その基準に基づいて、国家の監督機関、化学的組織、製造業者等が評価を行っている。
しかしながら、多成分系薬剤の品質等の判定基準は、多成分系薬剤中のある特徴的な成分の一つないしは複数を適当に選択して、その含有量等に基づいて作成することが一般的であった。
例えば、月刊薬事 vol.28, No.3, 67-71 (1986) には、多成分系薬剤において本質的成分の同定ができていない場合は、定量分析が可能、水に溶けやすい、熱水中で分解しない、他の成分と化学反応をしない等の物性を持った複数の成分を選択して、それら成分の含有量を化学分析し、得られた数値を評価の基準とすることが記載されている。
一方、多成分系薬剤のクロマトグラフィーを測定し、各溶出時間ごとに紫外可視吸収スペクトル(以下、「フィンガープリントデータ」と略記する)を得て、その成分情報から評価の基準を作成することも知られている。例えば、特開2002−214215号公報には、フィンガープリントデータの中からいくつかのピークを選択し、バーコード化することによって多成分系薬剤を評価することが記載されている。
しかしながら、上記した方法には、「特定成分の含有量」又は「特定成分のクロマトピーク」という概念があって、その定量を行っているため、特定成分のクロマトピークをクロマトチャート上で、他の成分のクロマトピークから分離したり、特定成分のピーク面積や高さを求めるために、コンピューターによる波形処理操作が必要になり、このことがデータの正確さを低下させる一因になっていた。すなわち、ピークの溶出時間には厳密な意味での再現性がなく、そのためピークの波形処理にはバラツキ(dispersion)が生じていた。特に、このバラツキは、小さくブロードなピークや連続したピークを波形処理するときに著しく、評価方法として信頼性に欠けるものであった。更には、コンピューターによる波形処理は、一般に膨大な時間が必要であった。
また上記した方法では、情報量(データポイント数)が特定成分のピーク数に限定されるため、情報量の増減が自由にはできず、データ処理時間の調整もできないため、最適な評価方法が確立できない場合があった。
更に上記した方法では、複数の特定成分の含有量が複数の数値として得られるため、それらの数値を総合して判断する必要があり、多成分系薬剤を一の数値で評価することはできなかった。すなわち、評価すべき一の多成分系薬剤が、複数の多成分系薬剤群から、どの程度相違しているかの程度を、一の数値で表すことができなかった。
そこで、バラツキが少なく信頼性が高く、データ処理時間も改善され、また、一の数値で判定することができる多成分系薬剤の評価方法が望まれていた。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討を行った結果、3D−HPLCのフィンガープリントデータを用い、このフィンガープリントデータの各項目を特定の方法で処理し、数理解析を行うことで、多成分系薬剤の品質、安全性、効力等を一の数値で評価できる方法を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、少なくとも、工程(1)ないし(5)
(1)評価すべき多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータを
得る工程
(2)上記(1)で得られたフィンガープリントデータを、基準群を構成する他
の同種の多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータと組み
合わせる工程
(3)前記(2)のフィンガープリントデータについて、多成分系薬剤の番号と、
溶出時間又は検出波長とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナ
ル強度をMT法における特徴量とする工程
(4)前記(3)の特徴量から、MT法を用いて単位空間を得る工程
(5)前記(4)で得た単位空間から、評価すべき多成分系薬剤のマハラノビス
距離をMT法を用いて得る工程
により得られたマハラノビス距離を用い、前記評価すべき多成分系薬剤の、基準群として選ばれた複数の多成分系薬剤からの相違の程度を判定することを特徴とする多成分系薬剤の評価方法を提供するものである。
また本発明は、少なくとも、工程(1)ないし(8)
(1)評価すべき多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータを
得る工程
(2)上記(1)で得られたフィンガープリントデータを、基準群を構成する他
の同種の多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータと組み
合わせる工程
(3)前記(2)のフィンガープリントデータについて、多成分系薬剤の番号と、
溶出時間又は検出波長の何れか一方とに対してMT法における変数軸を割り
振り、シグナル強度をMT法における特徴量とする工程
(4)前記(3)の特徴量から、MT法を用いて単位空間を得る工程
(5)前記(4)で得た単位空間から、検出波長又は溶出時間ごとに、全ての多
成分系薬剤のマハラノビス距離をMT法を用いて得る工程
(6)多成分系薬剤の番号と、工程(3)で変数軸を割り振らなかった他方に対
してMT法における変数軸を割り振り、工程(5)で得られたマハラノビス
距離をMT法における特徴量とする工程
(7)前記(6)の特徴量から、MT法を用いて第2の単位空間を得る工程
(8)前記(7)で得た第2の単位空間から、評価すべき多成分系薬剤のマハラ
ノビス距離をMT法を用いて得る工程
により得られたマハラノビス距離を用い、前記評価すべき多成分系薬剤の、基準群として選ばれた複数の多成分系薬剤からの相違の程度を判定することを特徴とする多成分系薬剤の評価方法を提供するものである。
また更に本発明は、上記評価方法を実施するためのプログラム及び/又は単位空間を得るための基準群のフィンガープリントデータが記録された記録媒体を提供するものである。
本発明は、フィンガープリントデータを、MT法を用いて数理解析して得られたマハラノビス距離によって、多成分系薬剤を評価する方法である。
本発明方法には、工程(1)ないし(5)を含み、変数軸割り振りを1回行う方法(以下、「本発明1方法」という)と、工程(1)ないし(8)を含み、変数軸割り振りを2回行う方法(以下、「本発明2方法」という)がある。
本発明1方法を実施するにはまず、工程(1)として、多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータを得る必要がある。
ここで、多成分系薬剤とは、複数の有効化学成分を含有する薬剤と定義され、特に限定されるものではないが、好ましくは、植物抽出物、生薬や、これらを使用する漢方製剤等が例示される。また剤形も特に限定されず、例えば、湯剤、漢方エキス顆粒、漢方エキス液、漢方錠剤、漢方カプセル剤等が含まれる。
本発明において用いられる3D−HPLCとは、所定の複数の溶出時間ごとに得られる溶出成分のスペクトルを意味する。
この3D−HPLCに使用されるカラムとしては、通常、高速液体クロマトグラフィーに用いられるものが使用される。
また、3D−HPLCでの検出波長は、特に限定はないが、好ましくは150nm〜900nmの範囲であり、特に好ましくは200nm〜400nmの紫外可視吸領域、更に好ましくは200nm〜300nmから選ばれた複数の波長である。
スペクトルのシグナル強度については、透過率(transmittance)であっても、吸光度(absorbance)であってもよいが、吸光度が好ましい。
工程(1)で得られるフィンガープリントとは、上記3D−HPLCを用い、例えば、溶出時間と検出波長に対して、上記スペクトルのシグナル強度が3次元的に表示されたものであり、例えば図1(a)に示したようなものである。従ってフィンガープリントデータとは、少なくとも、多成分系薬剤の番号(ロット番号)、溶出時間、検出波長及びシグナル強度をデータとして有するものである。
3D−HPLCを用いたフィンガープリントデータは、市販の装置によっても得ることができ、かかる市販の装置としては、島津製作所社製LC−VPシステム等が挙げられる。
本発明1方法における工程(2)は、上記(1)で得られたフィンガープリントデータを、基準群を構成する他の同種の多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータと組み合わせる工程である。
基準群を構成する他の同種の多成分系薬剤の3D−HPLCのフィンガープリントデータも上記した方法で得ることができる。測定条件等の差には特に限定はないが、評価すべき多成分系薬剤も基準群を構成する他の同種の多成分系薬剤も、同一カラムを用いて同条件で測定することが好ましい。
基準群を構成する他の同種の多成分系薬剤とは、例えば漢方製剤の場合、同じ名称で呼ばれているものであっても、収集時期、収集場所、収集年代、生育期の天候等が異なるため、地質学的要因、生態学的要因、気候学的要因等によって、その成分組成に変動が生じるので、それらの要因が異なっていてもよい複数の多成分系薬剤をいう。
基準群は、複数の多成分系薬剤から選ばれるが、ある一の会社が製造した多成分系薬剤の群であることが好ましい。また、フィンガープリントデータが得られている全ての多成分系薬剤の群であることも好ましい。
更に、標準となる地質学的要因、生態学的要因、気候学的要因等が分かっている場合には、その要因の範囲に入っている多成分系薬剤を基準群として選択することも好ましい。例えば採取年を限定したり、採取場所を限定することもできる。また、一定期間内に特定の会社から販売された多成分系薬剤を選択することも好ましい。さらに特に一定の薬効があったり、基準としたい複数の多成分系薬剤がある場合には、それらを選択することも好ましい。また、複数の会社から同一名で販売等されている全ての多成分系薬剤を選択することも好ましい。また、評価したい一の多成分系薬剤自身も、基準群を構成するために用いられていてもよい。
基準群を構成する多成分系薬剤の数は特に限定はないが、5以上が好ましく、100以上が特に好ましい。
本発明1方法における工程(3)は、前記フィンガープリントデータのうち、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検出波長の一方とに対して、MT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法における特徴量とする工程である。
ここで本発明のMT法とは、現在品質工学でMT法として一般に知られている計算手法を意味するものであるが、例えば、「品質工学の数理」日本規格協会発行(2000)第136−138頁、品質工学応用講座「化学・薬学・生物学の技術開発」日本規格協会編(1999)第454−456頁及び品質工学,11(5),78−84(2003)に記載の方法が挙げられる。
また一般に市販されているMT法プログラムソフトも使用できる。市販のMT法プログラムソフトとしては、(株)プローブ社のPRAT for Research V1.0、PRAT for Development V1.0;(財)日本規格協会のTM−ANOVA;(株)オーケンのMTS Ver.2.0 for Excel、MT for windows等が挙げられる。
本発明1方法では、少なくとも、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検出波長の何れか一方とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法における特徴量とすることが必要である。
変数軸の割り振りには特に限定はないが、MT法におけるいわゆる項目軸(x軸)に溶出時間を割り振り、いわゆる番号列軸(y軸)に多成分系薬剤の番号を割り振り、MT法におけるいわゆる特徴量にシグナル強度を割り振ることが好ましい。
ここで、上記項目軸(x軸)と番号列軸(y軸)は、以下のように定義される。すなわちMT法においては、下記表1中のデータセットXijについて、平均値mjと標準偏差σjを求め、Xijを規準化した値であるxij=(Xij−mj)/σjから、iとjの相関係数rを求めて、単位空間やマハラノビスの距離を得るが、この時、「平均値mjと標準偏差σjは、項目軸(x軸)の値ごとに、番号列軸(y軸)の値を変化させて求める」というように項目軸(x軸)と番号列軸(y軸)は定義される。
Figure 0004735539
本発明1方法における工程(4)は、工程(3)で軸が割り振られたデータと特徴量から、MT法を用いて、基準点と単位量(以下、「単位空間」と略記することがある)を得る工程である。ここで、基準点、単位量及び単位空間は、上記MT法の文献に記載に従い定義される。
本発明1方法における工程(5)は、評価すべき多成分系薬剤の、前記単位空間からのマハラノビス距離(MT法においてDと記載される)をMT法を用いて得る工程である。ここでマハラノビス距離(D)は、上記MT法の文献の説明と同様に定義され、またマハラノビス距離は、上記文献に記載の方法で求められる。
変数軸として多成分系薬剤の番号と溶出時間を選択したときは、各検出波長ごとに、各多成分系薬剤のマハラノビス距離が得られ、変数軸として多成分系薬剤の番号と検出波長を選択したときは、各溶出時間ごとに各多成分系薬剤のマハラノビス距離が得られる。例えば、項目軸(x軸)に溶出時間を割り振り、番号列軸(y軸)に多成分系薬剤の番号を割り振り、MT法における特徴量にシグナル強度を割り振った場合には、各検出波長ごとにマハラノビス距離(D)が得られる。
このようにして得られたマハラノビス距離を用いて、評価すべき多成分系薬剤の、基準群として選ばれた複数の多成分系薬剤からの相違の程度を好適に判定することができる。
更に本発明2方法は、一般に分割合成法、マルチMT法又は多階MT法と呼ばれている方法の適用である。
本発明2方法を実施するには、工程(1)ないし工程(5)は、本発明1方法と同様に行われる。
更に本発明2方法における工程(6)は、多成分系薬剤の番号と、工程(3)で変数軸を割り振らなかった他方に対してMT法における変数軸を割り振り、マハラノビス距離をMT法における特徴量とする工程である。
例えば、工程(3)において、MT法におけるいわゆる項目軸(x軸)に溶出時間を割り振り、いわゆる番号列軸(y軸)に多成分系薬剤の番号を割り振り、MT法におけるいわゆる特徴量にシグナル強度を割り振った場合、各検出波長ごとに、各多成分系薬剤の番号に対するマハラノビス距離が得られるが、次いで新たに、項目軸(x軸)に検出波長を割り振り、いわゆる番号列軸(y軸)に多成分系薬剤の番号を割り振り、MT法におけるいわゆる特徴量に、上記工程(1)ないし工程(5)で得られたマハラノビス距離を割り振る方法が、好ましい方法として挙げられる。
本発明2方法における工程(7)は、前記工程(4)と同様に、新たに軸を割り振られたデータ群に基づき、第2の単位空間を得る工程である。
本発明2方法における工程(8)は、前記(7)で得た第2の単位空間から、評価すべき多成分系薬剤のマハラノビス距離をMT法を用いて得る工程である。
工程(8)で得られたマハラノビス距離(以下「合成マハラノビス距離」ということがある)を用い、前記一の評価すべき多成分系薬剤の、基準群として選ばれた複数の多成分系薬剤からの相違の程度を好適に判定することができる。
合成マハラノビス距離を用いると、溶出時間、検出波長及び多成分系薬剤の番号のすべてを考慮した評価が可能になるので、3D−HPLCの特長が生かせるので特に好ましい。
本発明の好ましい態様としては、特定の会社から同一名称で製造又は販売された多成分系薬剤で基準群を構成させ、3D−HPLCフィンガープリントデータを得ておき、別会社の販売した評価すべき一の多成分系薬剤の単位空間からのマハラノビス距離を求め、その別会社の多成分系薬剤が、基準群からどれだけ相違しているかの程度を判断する態様である。また、一定の基準群を選択し、その基準群から得られた単位空間を全国的に又は国際的に一定に定めておけば、漢方製剤等の多成分系薬剤を、全国的に又は国際的に、一律に客観的に評価できるので好ましい。
本発明においては、前記フィンガープリントデータを、適当に圧縮することも好ましい。すなわち、フィンガープリントデータの情報量を任意に減量することも好ましい。本発明においては、シグナル強度、多成分系薬剤の番号(ロット番号)、溶出時間、検出波長等の各データ(測定点)の数を圧縮することが好ましい。特に溶出時間については、有効成分がカラムから溶出する時間範囲が限定されている場合があるので、その溶出時間帯のデータのみを選択する等により圧縮することが好ましい。検出波長についても有効成分の吸収スペクトルが限定された波長域にある場合があるので、その限定された波長域のみのデータを選択すること等によって圧縮することが好ましい。また、データの圧縮は、データの選択範囲を限定することのほか、多くのデータポイントから適当な数のデータポイントを、等間隔に抜き取る方法等によってもなされる。
溶出時間については、有効成分がカラムから溶出し始める時間から溶出し終わる時間までのデータに限定することが好ましい。
具体的には、溶出時間については、有効成分がカラムから溶出する時間範囲のデータのみを選択したり、また通常の市販の3D−HPLC装置は、溶出時間約0.3秒〜1秒ごとにシグナル強度等のデータが得られるが、そのデータから、好ましくは、溶出時間約3秒〜30秒から選ばれる等間隔の秒数ごとのデータだけを採取する方法、特に好ましくは5秒〜20秒から選ばれる等間隔の秒数ごとのデータを採取する方法等が挙げられる。
更に、通常得られる3D−HPLCフィンガープリントデータのデータポイントの数を、1/4〜1/100に減じることが好ましい。また、データポイントの数としては、100〜1000個とすることが好ましい。特に好ましくは、200〜800個である。
検出波長については、重要な有効成分が特徴的な吸収を有する波長域を選択することが好ましい。例えば200nm〜400nmのデータのみに限定することが好ましい。特に好ましくは200nm〜300nmに限定することである。
また、通常得られる3D−HPLCフィンガープリントデータのデータポイントの数を、1/2〜1/50に減じることが好ましい。更に、データポイントの数としては、10〜100個とすることが好ましい。特に好ましくは、20〜80個である。具体的には、通常、3D−HPLC装置で得られる波長1nmオーダーごとのシグナル強度等のデータから、好ましくは波長2nm〜25nmから選ばれる一定の波長間隔ごと、特に好ましくは5nm〜20nmから選ばれる一定の波長間隔ごとのデータのみを採取する方法等が挙げられる。
上記多成分系薬剤の評価方法は、品質管理に好ましく用いることができる。この場合、品質管理の対象となる一の多成分系薬剤の単位空間からのマハラノビス距離が、一定の範囲から選ばれたある値より大きい場合に、その一の多成分系薬剤を不合格にする品質管理方法が特に好ましい。また上記一定の範囲とは、多成分系薬剤の種類によって異なるが、例えば2〜1000が好ましく、特に好ましくは10〜100の範囲が挙げられる。
また、上記多成分系薬剤の評価方法は、多成分系薬剤の製造に好ましく用いることができる。この場合、単位空間からのマハラノビス距離が、一定の範囲から選ばれたある値以下となるように製造することが好ましい。また上記一定の範囲とは、多成分系薬剤の種類によって異なるが、例えば2〜1000が好ましく、特に好ましくは10〜100の範囲が挙げられる。
具体的には、評価すべき一の多成分系薬剤の単位空間からのマハラノビス距離がある値以下の場合のみ、その一の多成分系薬剤を製品として選択する多成分系薬剤の製造方法や、ある値以下となるように、複数の多成分系薬剤又はそれらの原料を混合する多成分系薬剤の製造方法等が挙げられる。
本発明の評価方法は、その手段をプログラムとしてコンピューターに読み込ませて計算させることができる。
すなわち、コンピューターに、少なくとも、手段(A)ないし(D)
(A)基準群を形成する複数の多成分系薬剤の3D−HPLCから得られるフィ
ンガープリントデータを保存する手段
(B)評価すべき多成分系薬剤の3D−HPLCから得られるフィンガープリン
トデータを入力し、保存された上記(A)のフィンガープリントデータと組
み合わせ一つのデータ群とする手段
(C)上記(B)のデータ群について、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検
出波長とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法
における特徴量として、MT法を用いて単位空間を得る手段
(D)MT法を用いて、評価すべき多成分系薬剤の、前記単位空間からのマハラ
ノビス距離を得る手段
を実行させるための、一の多成分系薬剤の複数の多成分系薬剤からの相違の程度を一元的に判定するプログラムが好適に使用できる。
このプログラムが記録された情報記録媒体又は伝送される情報伝送媒体としても活用できる。ここで、情報記録媒体とは、汎用コンピュータが読み書き可能な情報格納手段(半導体メモリ、フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光読出手段(CD−ROM、DVD等)等を言い、情報伝送媒体とは、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワーク等)、システムにおける通信媒体(光ファイバや無線回線等)等を言う。
更に、上記記録媒体には上記プログラムの他に、基準群のデータが記録されていてもよい。
すなわち、(I)及び(II)
(I)上記手段(A)及び手段(B)を実行させるプログラム
(II)基準群を構成する複数の同種の多成分系薬剤の3D−HPLCから得られるフィンガープリントデータ
が記録された情報記録媒体である。
また、各多成分系薬剤ごとに、例えば各漢方製剤ごとに、上記(II)のフィンガープリントデータのみが記録された記録媒体も評価に有用である。
本発明によると、HPLCピークを波形処理しないので、データにバラツキが少なく信頼性が高く、情報量(データポイント数)が特定成分のピーク数に限定されないため、情報量の増減が自由にでき、また、複数の成分の含有量の数値を組み合わせて判定する必要がなく、一の数値で判定することができるので、簡単に評価すべき一の多成分系薬剤の基準群からの相違の程度を、正確に、客観的に、簡便に、一元的に判定できる。
以下に実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
[工程(1)]及び[工程(2)]
株式会社ツムラ社が1998年から2003年の期間に製造した桂枝茯苓丸漢方製剤(エキス顆粒)(以下、「TJ−25」と略記する)344ロット及びA社製の桂枝茯苓丸漢方製剤について、下記の方法で測定試料を調製し、下記の条件で3D−HPLCフィンガープリントデータを取得した。
<測定試料の調製方法>
各ロットのエキス顆粒3gとメタノール100mLを混合し、ホモジナイザーで100秒間撹拌した。2分間放置後、液面と底面の中間位置から抽出液を採取し、プレフィルター付きメンブランフィルターで濾過して測定試料を調製した。
<3D−HPLCフィンガープリントデータ取得条件>
測定装置 :LC−VPシステム(島津製作所社製)
展開カラム:TSK−GEL 80TS(東ソー社製)
移動相 :A液 50mM 酢酸−酢酸アンモニウム バッファー
B液 アセトニトリル
グラジエント条件:リニアグラジエント
カラム温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
注入量 :30μL
検出器 :SPD−M10Avp(島津製作所社製)
測定波長 :200nm〜400nm
解析ソフトウェア:CLASS−VP (島津製作所社製)
取得された3D−HPLCフィンガープリントデータについて、表2に示すようにデータの圧縮を行った。
Figure 0004735539
これにより、データポイント数は以下のようになった。
多成分系薬剤の番号・・・・344個
検出波長・・・・・・・・・・・・・・・11個
溶出時間・・・・・・・・・・・・・・108個
データ圧縮前後のフィンガープリントの1例を図1に示す。これにより、問題なくMT法で単位空間、マハラノビス距離が計算できるようになった。
[工程(3)]
取得された3D−HPLCフィンガープリントデータについて、表3の右欄に示すように、各検出波長ごとにMT法における軸の割り振りを行った。
「各検出波長ごと」として、200nm〜300nmの範囲を、10nmごとに等分割して得られる11波長ごととした。
Figure 0004735539
これによって、通常取得されるフィンガープリントデータが、MT法による数値解析に適した形式になった。
[工程(4)]
「品質工学の数理」日本規格協会発行(2000)第136−138頁、品質工学応用講座「化学・薬学・生物学の技術開発」日本規格協会編(1999)第454−456頁及び品質工学,11(5),78−84(2003)に記載されたように、MT法を用いて、単位空間、すなわち基準点と単位量を得た。
計算には、(株)オーケン社のMT for windows を用いた。
[工程(5)]
A社製の桂枝茯苓丸漢方製剤の、工程(4)で得た基準点からのマハラノビス距離を、上記文献の記載に従ってMT法により求めた。
次いで工程(1)において、A社製の桂枝茯苓丸漢方製剤に代えて、表4に記載した他の12個を「評価すべき一の多成分系薬剤」としたほかは、上記工程(1)ないし工程(5)と同様にして、それぞれの桂枝茯苓丸漢方製剤のマハラノビス距離を計算した。
マハラノビス距離は、200nmないし300nmの範囲を10nmごとに等分割して得られる11波長ごとに得られたが、一例として、230nmにおけるマハラノビス距離を表4に示す。
Figure 0004735539
工程(1)ないし工程(5)で得られた各検出波長ごとのマハラノビス距離を用いることによって、ある一の桂枝茯苓丸の基準群からの相違の程度が判定できた。これによりこの評価方法が品質管理に有効であることが示された。
実 施 例 2
実施例1では、各検出波長ごとに、各多成分系薬剤の番号に対するマハラノビス距離が得られたが、実施例1で得られたマハラノビス距離をMT法における特徴量とすることにより、以下のように多階MT法により合成マハラノビス距離を求めた。
[工程(1)]ないし[工程(5)]
実施例1と同様に行った。
[工程(6)]
表5に示すように、MT法における軸の割り振りを行った。
Figure 0004735539
すなわち、データセットしては、表6のようになる。
Figure 0004735539
表中、(Di,j)2は、多成分系薬剤の番号i、検出波長jにおける、実施例1で得られたマハラノビス距離である。
[工程(7)]及び[工程(8)]
実施例1と同様にして、単位空間を求め、合成マハラノビス距離を算出した。
図2に、単位空間を得るために共通して使用したツムラ社製桂枝茯苓丸(TJ−25)の344ロットの合成マハラノビス距離を横軸に、そのマハラノビス距離を有する試料の個数を縦軸にして作成した図を示す。なお、単位空間を得るために使用したTJ−25の344ロットのマハラノビス距離の平均値は、その定義から常に1である。
評価すべき一の多成分系薬剤に該当する、ツムラ社製桂枝茯苓丸2個とツムラ社製以外の桂枝茯苓丸漢方製剤11個の、基準点からの合成マハラノビス距離を表7に示す。

Figure 0004735539
得られた合成マハラノビス距離を用いることによって、344個のツムラ社製桂枝茯苓丸漢方製剤(TJ−25)からの相違の程度が、一の数値で判定できた。そして例えば、G社製やC社製−IIは、344個のTJ−25からなる基準群から最も相違していること等も明らかになった。
また、合成マハラノビス距離を用いることで、広い検出波長範囲による網羅的評価が可能であった。
さらにこの評価方法を用い、品質の安定した桂枝茯苓丸漢方製剤が製造可能であることが判った。
さらにこのツムラ社製桂枝茯苓丸漢方製剤(TJ−25)について、MT法の単位空間のデータが記録された記録媒体は、評価に有用であることが判った。
実 施 例 3
株式会社ツムラ社が1998年から2003年の期間に製造した補中益気湯(以下、「TJ−41」と略記する)100ロットについて、実施例1、2と同様の方法で測定試料を調製し、同様の条件で3D−HPLCフィンガープリントデータを取得し、MT法を用いて、単位空間、すなわち基準点と単位量を得た。
上記単位空間を得るために使用した全TJ−41とツムラ社製以外の補中益気湯6試料の単位空間からのマハラノビス距離を求めた。マハラノビス距離を用いると、一の補中益気湯の、基準点からの相違の程度が簡単に正確に客観的に判断できることが判った。
図3(a)にマハラノビス距離が1.0の補中益気湯(TJ−41)のフィンガープリントを示す。また、図3(b)にマハラノビス距離が2704の補中益気湯のフィンガープリントを示す。フィンガープリントを見ただけでは、それらの相違の程度は不明であったが、本発明により得られたマハラノビス距離では、1.0と2704というように数値が大きく相違していることから、マハラノビス距離が、多成分系薬剤同士の相違を定量的に判断するために有力であることが判った。
実 施 例 4
[工程(1)]及び[工程(2)]
株式会社ツムラ社が1999年から2003年の期間に製造した桃核承気湯漢方製剤(エキス顆粒)(以下、「TJ−61」と略記する)251ロットおよびA社製の桃核承気湯漢方製剤について、下記の方法で測定試料を調製し、下記の条件で3D−HPLCフィンガープリントデータを取得した。
<測定試料の調製方法>
各ロットのエキス顆粒2gとメタノール100mLを混合し、ホモジナイザーで100秒撹拌した。2分間放置後、液面と底面の中間位置から抽出液を採取し、プレフィルター付きメンブランフィルターで濾過して測定試料を調製した。
<3D−HPLCフィンガープリントデータ取得条件>
測定装置 :LC−VPシステム(島津製作所製)
展開カラム:TSK−GEL 80TS(東ソー社製)
移動相 :A液 50mM 酢酸−酢酸アンモニウム バッファー
B液 アセトニトリル
グラジエント条件:リニアグラジエント
カラム温度 :40℃
流速 :1.0mL/min
注入量 :30μL
検出器 :SPD−M10Avp(島津製作所製)
測定波長 :200nm〜400nm
解析ソフトウェア:CLASS−VP(島津製作所製)
取得された3D−HPLCフィンガープリントデータについて、表8に示すようにデータの圧縮を行った。
Figure 0004735539
これにより、データポイント数は以下のようになった。
多成分系薬剤の番号・・・・・・・・251個
検出波長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21個
溶出時間・・・・・・・・・・・・・・・・・145個
[工程(3)]
取得された3D−HPLCフィンガープリントデータについて、表9の右欄に示すように、各検出波長ごとにMT法における軸の割り振りを行った。
「各検出波長ごと」として、200nm〜400nmの範囲を、10nmごとに等分割して得られる21波長ごととした。
Figure 0004735539
これによって、通常取得されるフィンガープリントデータが、MT法による数値解析に適した形式になった。
[工程(4)]
MT法を用いて、単位空間、すなわち基準点と単位量を得た。
計算には(株)オーケン社の MT for windowsを用いた。
[工程(5)]
A社製の桃核承気湯漢方製剤の、工程(4)で得た基準点からのマハラノビス距離を、MT法により求めた。
次いで工程(1)において、A社製の桃核承気湯漢方製剤に代えて、表10に記載した他の9個を「評価すべき一の多成分系薬剤」としたほかは、上記工程(1)ないし工程(5)と同様にして、それぞれの桃核承気湯漢方製剤のマハラノビス距離を計算した。
マハラノビス距離は、200nmないし400nmの範囲を10nmごとに等分割して得られる21波長ごとに得られたが、一例として、280nmにおけるマハラノビス距離を表10に示す。
Figure 0004735539
工程(1)ないし工程(5)で得られた各検出波長ごとのマハラノビス距離を用いることによって、ある一の桃核承気湯の基準群からの相違の程度が判定できた。これによりこの評価方法が品質管理に有効であることが示された。
[工程(6)]
各検出波長ごとに、各多成分系薬剤の番号に対するマハラノビス距離が得られたが、工程(1)ないし工程(5)で得られたマハラノビス距離をMT法における特徴量とすることにより、以下のように多階MT法により合成マハラノビス距離を求めた。
表11に示すように、MT法における軸の割り振りを行った。
Figure 0004735539
すなわち、データセットとしては、表12のようになる。
Figure 0004735539
表中、(Di,j)2は、多成分系薬剤の番号i、検出波長jにおける、工程(5)で得られたマハラノビス距離である。
[工程(7)]および[工程(8)]
工程(1)ないし工程(5)と同様にして、単位空間を求め、合成マハラノビス距離を算出した。
図4に、単位空間を得るために共通して使用したツムラ社桃核承気湯(TJ−61)の251ロットの合成マハラノビス距離を横軸に、そのマハラノビス距離を有する試料の個数を縦軸にして作成した図を示す。なお、単位空間を得るために使用したTJ−61の251ロットのマハラノビス距離の平均値は、その定義から常に1である。
評価すべき一の多成分系薬剤に該当する、ツムラ社製桃核承気湯3個とツムラ社製以外の桃核承気湯漢方製剤7個の、基準点からの合成マハラノビス距離を表13に示す。
Figure 0004735539
得られた合成マハラノビス距離を用いることによって、251個のツムラ社製桃核承気湯漢方製剤(TJ−61)からの相違の程度が、一の数値で判定できた。そして例えば、F社製−IやD社製は、252個のTJ−61からなる基準群から最も相違していること等も明らかとなった。
図5(a)にマハラノビス距離が1.0の桃核承気湯(TJ−61)のフィンガープリントを示す。また、図5(b)にマハラノビス距離が35178330の桃核承気湯のフィンガープリントを示す。
本発明によれば、信頼性が高く、情報量の増減が自由にできるためデータ処理時間を適当に短縮でき、一の数値で簡単に評価すべき一の多成分系薬剤の基準群からの相違を判定できる。従って、多成分系薬剤の相違の程度を容易に評価できるため、社内での品質管理に使用できるものである。また、これを用いて好適に多成分系薬剤が製造できるものである。
また更には、全国的又は国際的統一基準を本発明の単位空間で定義しておくことによって、ある多成分系薬剤のその基準からの相違を判定できるものであり、安定品質の漢方製剤等の多成分系薬剤を供給することができる。

データ圧縮前後の桂枝茯苓丸漢方製剤フィンガープリントを示す図である。図中、(a)はデータ圧縮前、(b)はデータ圧縮後のものを示す。 344個の桂枝茯苓丸漢方製剤(ツムラ社製TJ−25)のマハラノビス距離と個数との関係を示す図である。 マハラノビス距離が1.0の補中益気湯(ツムラ社製TJ−41)とマハラノビス距離が2704の補中益気湯のフィンガープリントを示す図である。図中、(a)はマハラノビス距離が1.0、(b)はマハラノビス距離が2704のものを示す。 251個の桃核承気湯漢方製剤(ツムラ社製TJ−61)のマハラノビス距離と個数との関係を示す図である。 マハラノビス距離が1.0の桃核承気湯(ツムラ社製TJ−61)とマハラノビス距離が35178330の桃核承気湯のフィンガープリントを示す図である。

Claims (19)

  1. 少なくとも、工程(1)ないし(5)
    (1)評価すべき多成分系薬剤および基準群を構成する他の同種の多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーのフィンガープリントデータを得る工程
    (2)上記(1)で得られたフィンガープリントデータから、等間隔ごとのデータポイントを採取して圧縮したフィンガープリントデータを得る工程
    (3)前記(2)の圧縮したフィンガープリントデータについて、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検出波長とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法における特徴量とする工程
    (4)前記(3)の特徴量から、MT法を用いて単位空間を得る工程
    (5)前記(4)で得た単位空間から、評価すべき多成分系薬剤のマハラノビス距離をMT法を用いて得る工程
    により得られたマハラノビス距離を用い、前記評価すべき多成分系薬剤の、基準群として選ばれた複数の多成分系薬剤からの相違の程度を判定することを特徴とする多成分系薬剤の評価方法。
  2. 少なくとも、工程(1)ないし(8)
    (1)評価すべき多成分系薬剤および基準群を構成する他の同種の多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーのフィンガープリントデータを得る工程
    (2)上記(1)で得られたフィンガープリントデータから、等間隔ごとのデータを採取して圧縮したフィンガープリントデータを得る工程
    (3)前記(2)の圧縮したフィンガープリントデータについて、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検出波長の何れか一方とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法における特徴量とする工程
    (4)前記(3)の特徴量から、MT法を用いて単位空間を得る工程
    (5)前記(4)で得た単位空間から、検出波長又は溶出時間ごとに、全ての多成分系薬剤のマハラノビス距離をMT法を用いて得る工程
    (6)多成分系薬剤の番号と、工程(3)で変数軸を割り振らなかった他方に対してMT法における変数軸を割り振り、工程(5)で得られたマハラノビス距離をMT法における特徴量とする工程
    (7)前記(6)の特徴量から、MT法を用いて第2の単位空間を得る工程
    (8)前記(7)で得た第2の単位空間から、評価すべき多成分系薬剤のマハラノビス距離をMT法を用いて得る工程
    により得られたマハラノビス距離を用い、前記評価すべき多成分系薬剤の、基準群として選ばれた複数の多成分系薬剤からの相違の程度を判定することを特徴とする多成分系薬剤の評価方法。
  3. 工程(2)において、MT法における項目軸(x軸)に溶出時間を割り振り、MT法における番号列軸(y軸)に多成分系薬剤の番号を割り振り、特徴量をシグナル強度とする請求項1記載の多成分系薬剤の評価方法。
  4. 工程(6)において、MT法における項目軸(x軸)に検出波長を割り振り、MT法における番号列軸(y軸)に多成分系薬剤の番号を割り振り、特徴量を、工程(5)で得られた各検出波長ごとのマハラノビス距離とする請求項2記載の多成分系薬剤の評価方法。
  5. 工程(2)において、基準群が、ある一の会社が製造した多成分系薬剤の群である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  6. 工程(2)において、基準群が、フィンガープリントデータが得られている全ての多成分系薬剤の群である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  7. データの圧縮を、多成分系薬剤の有効成分がカラムから溶出する時間範囲に限定し、溶出時間3秒〜30秒から選ばれる一定の秒数ごとのデータポイントを選択採取することにより行う請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  8. データの圧縮を、溶出時間として、100〜1000個のデータポイントを選択採取することにより行う請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  9. データの圧縮を、200nm〜300nmの範囲から選ばれた複数の検出波長におけるデータに限定することにより行う請求項ないし請求項の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  10. データの圧縮を、検出波長2nm〜25nmから選ばれる等間隔の波長ごとのデータポイントを選択採取することにより行う請求項ないし請求項の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  11. データの圧縮を、検出波長として、10〜100個のデータポイントを選択採取することにより行う請求項ないし請求項1の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  12. 多成分系薬剤が、漢方製剤である請求項1ないし請求項1の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  13. 多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーのフィンガープリントデータを、多成分系薬剤の各化学成分ごとのシグナル強度に分離しないで行う請求項1ないし請求項1の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法。
  14. 請求項1ないし請求項1の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法を用い、一の多成分系薬剤の単位空間からのマハラノビス距離が、所定の値より大きい場合に、その一の多成分系薬剤を不合格にする多成分系薬剤の品質管理方法。
  15. 請求項1ないし請求項1の何れかの請求項記載の多成分系薬剤の評価方法を用い、一の多成分系薬剤の単位空間からのマハラノビス距離が、所定の値以下となるように製造する多成分系薬剤の製造方法。
  16. コンピューターに、少なくとも、手段(A)ないし(D)
    (A)基準群を形成する複数の多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーから得られるフィンガープリントデータから、等間隔ごとのデータポイントを採取して圧縮したフィンガープリントデータを保存する手段
    (B)評価すべき多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーから得られるフィンガープリントデータから、等間隔ごとのデータポイントを採取して圧縮したフィンガープリントデータを入力し、保存された上記(A)の圧縮したフィンガープリントデータと組み合わせ一つのデータ群とする手段
    (C)上記(B)のデータ群について、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検出波長とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法における特徴量として、MT法を用いて単位空間を得る手段
    (D)MT法を用いて、評価すべき多成分系薬剤の、前記単位空間からのマハラノビス距離を得る手段
    を実行させるための、一の多成分系薬剤の複数の多成分系薬剤からの相違の程度を一元的に判定するプログラム。
  17. 請求項1記載のプログラムが記録されている情報記録媒体。
  18. 請求項1記載のプログラムを伝送する情報伝送媒体。
  19. (I)及び(II)
    (I)コンピューターに、手段(A)ないし(D)
    (A)基準群を形成する複数の多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーから得られるフィンガープリントデータから、等間隔ごとのデータポイントを採取して圧縮したフィンガープリントデータを保存する手段
    (B)評価すべき多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーから得られるフィンガープリントデータから、等間隔ごとのデータポイントを採取して圧縮したフィンガープリントデータを入力し、保存された上記(A)の圧縮したフィンガープリントデータと組み合わせ一つのデータ群とする手段
    (C)上記(B)のデータ群について、多成分系薬剤の番号と、溶出時間又は検出波長とに対してMT法における変数軸を割り振り、シグナル強度をMT法における特徴量として、MT法を用いて単位空間を得る手段
    (D)MT法を用いて、評価すべき多成分系薬剤の、前記単位空間からのマハラノビス距離を得る手段
    を実行させるプログラム
    (II)基準群を構成する複数の同種の多成分系薬剤の三次元高速液体クロマトグラフィーから得られるフィンガープリントデータ
    が記録された情報記録媒体。
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