JP4735222B2 - 窓用空気調和機 - Google Patents

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Description

この発明は窓用空気調和機の換気構造に関するものである。
窓用空気調和機は枠体内にエバボレータ・コンデンサ・圧縮機からなる冷凍サイクルを備え、枠体は前後に仕切られており、室外側にコンデンサを、室内側にエバボレータを配置し、室内送風機によって室内空気が室内空気吸入口から枠体内に送られてエバボレータを通過するときに冷却され、この冷却された室内空気を室内空気吹出口から室内に戻すことによって室内空気の空気調和が行われている。
そして、前記コンデンサが配置される室外側空気流路や前記エバポレータが配置される室内側空気流路の空気流路天板には室内送風機や室外送風機の軸受けが配置されており、この軸受けによって室内送風機や室外送風機は空気流路天板に固定されている(特許文献1参照)。
特開2004−361048号 公報
近年室内空気のきれいさが重要視されており、一般の室内においても、建材に含まれる有害物質の除去や、タバコや調理によって発生する煙等の迅速な処理が要求されている。このため、空気清浄機などを使ってこれらの物質の除去も最近では一般化してきているものの、建材などに含まれる有害物質の除去は極めて困難であり、換気による室外への排出が最も効果的である。
このような換気機構を、室内と室外との間に設置されるエアコンのような空気調和機に要求する使用者は年々増えてきているが、この空気調和機の中で、窓に設置場所が限定される窓用空気調和機にこの機能が要求される場合には、窓用空気調和機では構造上窓の寸法の規制を受け、また、設置時に日照を妨げることにより、近年小型化の要求が強く、この流れに逆行して窓用空気調和機に換気機構を併設して枠体を大きくすることは難しかった。
特に、窓用空気調和機は冷凍サイクルを構成する全てを一つの枠体内に組み込まれているから、多くの部品が複雑に配置されており、この小型化された枠体内に更に換気機能を組み込むためには枠体の大型化は避けられず、換気機能の付加価値をアピールしても、市場の小型化の要求に相反するから、直ちに受け入れられるものではなかった。
また、換気が行われるということはせっかく空気調和した室内の空気を、室外に排出したり、空気調和されない空気を室内に供給することであるから、空気調和機としての効率の低下は避けられないものであり、この点においても解決すべき課題がある。
この発明は上記課題を解決するもので、
枠体1には室内送風機2と、室外送風機3と、冷凍サイクルを構成する圧縮機4・コンデンサ5・エバボレータ6とを備えるとともに、前記枠体1は室内側にフロントパネル1aと、室外側に向けたリアパネル1bと、枠体1内を二室に分割する仕切板7とを設け、前記フロントパネル1aには室内空気吸入口8と室内空気吹出口9とを配置し、前記仕切板7で仕切られて室内空気吸入口8から室内空気吹出口9を連絡する室内側空気流路10には、前記エバボレータ6と前記室内送風機2とを配置し、前記リアパネル1bには室外空気吸入口11と室外空気吹出口12とを配置し、前記仕切板7で仕切られて室外空気吸入口11から室外空気吹出口12を連絡する室外側空気流路13には、前記コンデンサ5と前記室外送風機3とを配置し、前記圧縮機4で高温高圧に圧縮された冷媒はコンデンサ5によって液化し、液化した冷媒はエバボレータ6で気化して室内側空気流路10を通過する室内空気を冷却する窓用空気調和機において、
前記枠体1内の室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板14の上方に、室内側と室外側に開口を備えた換気通路を配置し、該換気通路内に換気ファンを設け、 該換気ファンの駆動軸25は前記枠体1内に配置した前記室内送風機2もしくは前記室外送風機3に連動しており、前記室内送風機2もしくは前記室外送風機3の運転時に、前記換気通路を使って換気運転を行うことを特徴とする。
また、圧縮機4の停止時においても、換気ファンを駆動する室内送風機2もしくは室外送風機3が送風運転可能になっているから、空気調和運転を必要としないときでも、換気運転が可能になった。
また、枠体1の上板を構成する枠体天板15と空気流路天板14と間に換気用空間16が形成されており、該換気用空間16内に換気通路を配置したから、実質的に窓用空気調和機の本体の構造を変更しなくとも、換気機能が付加できた。
また、換気通路は、室外側に開口する給気口17と室内側に開口する吹出口18とを連続する給気通路19と、室内側に開口する換気口20と室外側に開口する排気口21とを連続する排気通路22とによって構成するとともに、換気ファンは、前記給気通路19内に配置した給気ファン19aと、前記排気通路22内に配置した排気ファン22aとで構成したから、換気運転は吸気運転と排気運転の併用ができる。
また、給気通路19と排気通路22とは熱交換用隔壁23を介して隣接して配置されており、給気と排気との間で熱交換が行われるようにしたから、室内に取り込まれる室外空気の温度を室内の空気の温度に近づけることができた。
また、室内と室外を連絡する換気通路を開閉するダンパー機構を備えており、圧縮機4の運転時において、換気機能が前記ダンパー機構によって停止できるようにしたから、空気調和運転時に換気機能を必要としないときにも直ぐに対応できるようになった。
さらに、換気通路の室内側の開口は換気用空間16内に位置しており、枠体天板15の正面側に位置した可動天板15aは開閉自在となして前記換気用空間16を開閉するダンパー機構を構成し、前記可動天板15aの開路時に前記換気用空間16を経て空気が換気されるから、窓用空気調和機のフロントパネル1aを変更せずに換気機能が付加できた。
この発明では、枠体1内の室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板14の上方に、室内側と室外側に開口を備えた換気通路を配置し、この換気通路内に換気ファンを設け、この換気ファンの駆動軸25は枠体1内に配置した室内送風機2もしくは室外送風機3と連動して回転する構成となっており、室内送風機2もしくは室外送風機3の運転時に、換気運転を行うものである。
そして、換気機能部分は窓用空気調和機の空気流路天板14の上方に構成していることによって、空気調和機本体の構成部品の配置機構はほとんど変更させる必要がなくなり、例えば、室内用送風機2の回転軸2aを長くして換気ファンの駆動軸25とすることのよって実施できるようになった。
また、このように室内用送風機2によって換気ファンの駆動軸25が回転することによって、換気ファンは室内用送風機2を運転すれば同時に回転して、換気機能を発揮するものであり、換気機能部分に換気ファンを駆動する専用モータなどが不要となるから、換気機能部分は非常にコンパクトに構成できるようになった。
また、この換気機能部分は窓用空気調和機の室内側の空気流路天板14の上部に位置させているから、窓用空気調和機を窓枠への取り付け構造については変更しなくともよくなり、また、この換気機能部分の位置は従来品では何等利用されていなかった空間であるから、この位置に配置されていても、窓用空気調和機のコンパクト性の犠牲にはならないという効果がある。
また、換気ファンを駆動する室内送風機2もしくは室外送風機3が圧縮機4の運転と直接連動するのではなく、また、圧縮機4の停止時においても、室内送風機2もしくは室外送風機3によって換気ファンが駆動できる構成であるから、換気機能部分に換気ファンの駆動用モータを持たない構成でも、空気調和機能と換気機能とを併用したり、また、換気機能運転だけを選択して使用できるようになった。
また、空気流路天板14の上方に換気通路を配置するにあたり、枠体1の上板を構成する枠体天板15をこの空気流路天板14の上方に位置させて、空気流路天板14と枠体天板15との間隔によって換気用空間16を形成しており、この換気用空間16内に独立させて前記換気通路を配置したから、例えば換気ファンの上板が枠体の外表面を構成する天板を構成する時のように、美麗さを要求される枠体天板15が換気通路の換気ファンのファンケーシングを兼ねる設計をしなくともよくなり、性能本位に設計された換気通路をそのまま換気用空間16に収納すればよいから、優れた換気機能が発揮できるようになった。
また、換気通路は一箇所であれば、外気の取り入れ、もしくは、室内空気の排出だけが可能になるが、この発明のように、換気通路を構成する室外側に開口する給気口17と室内側に開口する吹出口18とを連続する給気通路19と、室内側に開口する換気口20と室外側に開口する排気口21とを連続する排気通路22とを設け、それぞれの給気通路19と排気通路22内に給気ファン19aと排気ファン22aを設けることによって、同時に吸・排気運転が実現でき、換気効率が向上することになった。
また、上記のように給気通路19と排気通路22とを備えるときには、二つの換気通路19・22を独立せずに、熱交換用隔壁23を介して隣接して一体に構成することもでき、高温側の空気に含まれる熱量は熱交換隔壁23を介して低温側の空気に伝熱することができるから、換気機能運転時において、空気調和機としての効率の低下を抑制することができた。
なお、この熱交換用隔壁23として熱伝導性のよい金属性の素材を使う顕熱交換のほかに、吸湿性を持たせた素材を使えば、水分の交換も可能な全熱交換が可能となる。
一方、この発明は室内送風機2もしくは室外送風機3の回転によって換気ファンが駆動される構成であるから、空気調和機として機能しているときには、必ず換気ファンが回転するものである。この発明の実施例では、室内と室外を連絡する換気通路には、この換気通路を開閉するダンパー機構を備えており、このダンパー機構によって換気通路を閉路にすれば、空気調和機運転中であっても換気機能を停止することが可能になり、使い勝手が非常に良くなった。
さらに、換気用空間16内に換気通路を配置した実施例において、換気通路の室内側の開口を換気用空間16内に位置させると共に、枠体天板15の正面側に位置した可動天板15aを回動自在に取付けて、可動天板15aの開閉でダンパー機構を実現している。そして、前記可動天板15aが開路となった時に室内空気が換気できるから、窓用空気調和機は主として枠体1の天板部分の変更だけで全ての機能が実施できるという特徴が得られた。
実施例を示す図によってこの構成を説明すると、1は窓用空気調和機を構成する枠体、 1aは枠体1の室内側を構成するフロントパネル、1bは枠体1の室外側を構成する室外側に向けたリアパネル、7は枠体1内を室内側と室外側の二室に分割する仕切板である。
8は空気調和するために枠体1内に室内空気を取り込む室内空気吸入口、9は空気調和後の空気を室内に吹出す室内空気吹出口であり、共に前記フロントパネル1aに設けられている。10は前記仕切板7で仕切られて室内空気吸入口8から室内空気吹出口9を連絡するよう構成された室内側空気流路、2はこの室内側空気流路10内に配置した室内送風機である。
11は室内空気を空気調和するための処理空気を室外から取り込む室外空気吸入口、12はこの処理空気を室外に排出する室外空気吹出口であり、共に前記リアパネル1bに設けられている。13は前記仕切板7で仕切られて室外空気吸入口11から室外空気吹出口12を連絡するよう構成された室外側空気流路、3はこの室外側空気流路13内に配置した室外送風機である。
4は枠体1内に設置された圧縮機、5は前記室外側空気流路13内に設置したコンデンサ、6は前記室内側空気流路10内に設置したエバボレータ、4aは圧縮機4とコンデンサ5とエバポレータ6とを接続する冷媒配管であり、この圧縮機4によって圧縮されて高圧高温のガス状となった冷媒はコンデンサ5に送られて液化し、この液体の冷媒は次にエバポレータ6に送られて気化し、この時の気化熱で室内側空気流路10の室内空気を冷却する。そして、エバポレータ6で気化した冷媒は再び圧縮機4に送られて圧縮されてコンデンサ5に送られており、冷凍サイクルを構成している。
最近では人が生活する環境である室内空気の質の改善が重要視されており、なかでも、室内においては建材に含まれる揮発性の有害物質や、タバコや調理によって発生する煙等の不快なガスの迅速な処理が要求されており、換気による室外への排出が強く望まれているものであった。このような換気要求のために室内用換気扇が一般化しているが、この器具の設置のためには専用の換気口がないときには窓パネルを利用することになり、窓用空気調和機と換気扇の併用は躊躇されるところであった。
このため、個別設置の換気扇に代えて、換気機能を窓用空気調和機に要求することもあったが、窓用空気調和機においては窓に据え付けられて窓の大きな面積を塞いでしまう構造上、日照を妨げることや設置する場所の条件から小型に設計されることが重要であるが、換気扇の機能を盛り込むということは、枠体内に多くの部品が複雑に配置されることから、窓用空気調和機の本来の小型化の要求と相反する要求となり、従来では空気調和機能を実現しながら換気機能を追加するには、器具の大型化は避けることができなかった。
この発明は、このような問題点を改善できる新たな部品配置にかかる換気機能の実現を提案するものであり、窓用空気調和機は設置形態で窓の開閉を要求されることから、窓用空気調和機を窓に取付けた時は、その枠体の多くは室内側に位置し、その室内側の上部の空間の多くがデッドスペースとなっている。また、窓用空気調和機の室内送風機2や室外送風機3はその上部が空気流路天板によって固定されており、この空気流路天板と枠体天板とは一般に別部材で構成され、その間に隙間が形成されている。
図に示す実施例は、このような窓用空気調和機独自の構成や、その設置状態を利用してその部品配置を特定することで窓用空気調和機に換気機能を実施しており、14は前記枠体1内の室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板、15は前記枠体1の上板を構成する枠体天板である。19は窓用空気調和機が設置される窓などで区画された室外と室内とを連絡するための換気通路を構成する給気通路、17は給気通路19の室外側の開口である給気口、18は給気通路19の室内側の開口である吹出口であって、この換気通路(給気通路19)は窓用空気調和機が設置された時の室内側に位置する前記空気流路天板14の上方に配置されている。
2aは室内側空気流路10に配置した室内送風機2の回転軸、3aは室外側空気流路13に配置した室外送風機3の回転軸、19aは前記給気通路19内に配置した換気ファンを構成する給気ファン、25は換気ファンの駆動軸であり、図1に示す実施例では、室内送風機2の回転軸2aは空気流路天板14から更に上方に伸ばされ、この回転軸2aと前記換気ファンの駆動軸25とは同軸で構成されており、前記室内送風機2が回転すると換気ファンも一緒に回転する構成となっている。
なお、この換気ファンの駆動軸25は他の実施例として室外送風機3の回転軸3aと同軸となって構成されてもよく、また、これらの回転軸2a・3aと駆動軸25が同軸接続ではなく、軸芯が外れた時には回転ギヤや回転ベルトで駆動される構成であっても良い。この回転ギヤや回転ベルトで駆動されるときには、換気ファンの駆動軸25の位置が回転軸2a・3aの位置に規制されなくなり、換気通路の最適位置に換気ファンを配置できるようになる。
このため、窓用空気調和機の室内送風機2を運転するときには、同時に換気ファンを構成する給気ファン19aが回転し、前記給気通路19内に室外の給気口17から室内の吹出口18へ向う空気流を発生させることができ、窓用空気調和機を運転しながら室内の空気の入れ替えをする換気運転ができるようになったものである。
一般に、空気調和機の実施形態において、普通は閉路空間として冷房などの空気調和運転をする時に要求される換気機能であるから、本願発明のように室内送風機2や室外送風機の運転時に換気ファンを駆動することは非常に有効であり、また、換気機能を達成するための専用の換気ファンを駆動する専用のファンモータをなくすことができ、製品は非常にコンパクトに構成できるようになった。また、高価なモータを追加することが無いから非常に安価に換気機能付きの高付加価値製品を提供できるものとなった。
特に、換気機能の配置位置を空気流路天板14の上方に特定しており、この部分は窓用空気調和機を窓へ取付ける窓枠のよりも室内側に位置して、少しばかり背が高くなることがあっても、窓枠や空気調和機本体の改造がほとんどなく実施できる構造であり、このような換気機能付きの機種と換気機能なしの機種を併用して製造販売が可能となる特徴が生まれた。
上記のように、空気調和機において、換気機能の要求は窓用空気調和機の運転中がほとんどであるが、エアコンなどの空気調和を実施しないときにおける換気機能の要求に対して、この発明の実施例では、前記圧縮機4を停止した状態でも、室内送風機2もしくは室外送風機3を運転する換気ファンを駆動する運転モードを設けており、このモードを換気運転モードとしている。
このような運転モードを設けることによって、冷房運転するまでもない気候のときでも、窓を開けることなく室内の換気ができるものであり、換気ファンが室内送風機2によって運転される時には、室内空気のサーキュレーター効果が期待できるものとなった。また、換気ファンが室外送風機3によって運転される時には室内送風機2は停止できるから、換気専用運転が可能になるものである。
また、換気通路を空気流路天板14の上部に配置するに当たり、16はこの空気流路天板14と前記枠体天板15との間に形成した換気用空間であり、前記換気通路はこの換気用空間16内に配置してある。
従来、空気流路天板14と枠体天板15との間は隙間を介して対峙するだけであったが、この間の寸法を大とすることで、換気通路を収納する換気用空間を構成してある。このため、枠体1内に配置される換気通路が存在しても、実質的に窓用空気調和機の本体部分の構造にかかる設計変更は全く必要がなくなり、一方、換気通路の形状は空気の誘導部分やファンケーシングの形状を外観にとらわれずに、性能本位に最適な形状で構成することができる。
一般に、外部の新鮮な空気を取り入れる給気構造や、室内の汚れた空気を排出する排気構造にかかる換気機能ではなく、使用者によっては高気密高断熱住宅に適する本格的な給排気の換気機能が同時に可能な換気を期待するときがあり、図3と図4に示す実施例は、換気通路として吸気と排気が可能な本格的な換気機能が実現できるものである。
22は窓用空気調和機が設置される窓などで区画された室外と室内とを連絡するための換気通路を構成する排気通路、20は排気通路22の室内側の開口である換気口、21は排気通路22の室外側の開口である排気口であって、この換気通路(排気通路22)も前記空気流路天板14の上方で前記枠体天板15との間の換気用空間16に配置してある。22aは前記排気通路22内に配置した換気ファンを構成する排気ファンであり、給気ファン19aと同様に、前記室内送風機2の回転軸2aもしくは室外送風機3の回転軸3aに換気ファンを構成する排気ファン22aが取付けられている。
図4の実施例のように、換気ファンを構成する給気ファン19aと排気ファン22aの羽根はファンベース板を共通してその両側に配置されており、このファンベース板が前記回転軸2a・3aに取付けられて回転できるようになっている。
このように給気通路19と排気通路22を構成して、同時に給気と排気がファンベース板を共通する換気ファンによって実現できたから、建物の構造が高気密高断熱住宅であっても、効率よく換気運転が可能になり、更に、この換気通路は隣接した給気通路19と排気通路22によって構成することにより、換気通路の全体はコンパクトに構成することができ、前記換気用空間16に換気通路を配置したときでも、空気流路天板14から枠体天板15までの寸法を狭くすることができ、窓用空気調和機の室内側に位置する枠体天板15の位置が低くでき、本格的に同時に給気と排気を行う換気機能を実現しても、窓用空気調和機の大きさが巨大化することはない。
上記のように換気ファンとして、共通するファンベース板の両側に羽根を形成して給気ファン19aと排気ファン22aとが一体に形成されるように、この図4の実施例では、前記給気通路19と排気通路22は隣接して配置されており、23はその給気通路19と排気通路22との間に介在させた熱交換隔壁である。この熱交換隔壁23は良熱伝導性ある金属板などで構成され、必要に応じてこの壁面からそれぞれの給気通路19と排気通路22に向けて熱交換フィンが取付けてある。
窓用空気調和機に組み込まれた換気機能を動作させるときには、例えば、外気と遮断された室内で空気調和された空気をそのまま外部に排出すると共に、空気調和されていない空気を室内に供給するから、空気調和の能力の劣化を止めることはできなかった。この発明では、給気通路19と排気通路22とを熱交換用隔壁23を介して隣接して配置したから、空気調和によって低温となって排出される冷気は熱交換用隔壁23を冷却し、空気調和されていない室外の空気が室内に吹出すときには、この冷却された熱交換用隔壁23に冷やされて低温度になってから室内に吹出すから、空気調和された室内に外気が取り入れられたことによる影響を抑えることができた。
また、この熱交換用隔壁23として、上記の金属製の素材に代えて、吸湿性のある素材で構成したときには、上記の温度に係る顕熱交換だけではなく、更に、湿度の熱交換を可能にすることができ、空気調和された室内に外気が取り入れられたときには温度と湿度が回収できるようになり、室内の空気調和された空間の換気による変動を最小限に抑えることができた。
上記の換気機能の要求は、先に説明したように窓用空気調和機の運転中がほとんどであるが、換気運転による空気調和能力の低下を避けたいという要求もある。特にこの発明のように、窓用空気調和機の運転中は必ず換気ファンが回転する構成では、そのままではこの要求に答えることができない。
図4において、24は給気通路19や排気通路22に取付けてダンパー機構を構成する開閉板、24aは前記開閉板24を開閉操作するために開閉操作軸、24bはこの開閉操作軸24aを駆動するソレノイドであり、図4の実施例ではソレノイド24bが非通電時に開閉操作軸24aが下位に位置して開閉板24は換気通路を開き、ソレノイド24bが通電時に開閉操作軸24aが上動して開閉板24は換気通路を閉ざしている。
このように図4の実施例ではソレノイド24bによって、この開閉操作軸24aを操作して開閉板24によって給気通路19や排気通路22を閉路とすれば、窓用空気調和機が運転中に前記換気ファンが回転しても、給気通路19や排気通路22には空気流が発生しないから、換気運転が停止できるようになった。
特に、外気温が高いときの冷房運転のように、室内を冷房するための窓用空気調和機の能力が限界のときに、高温の外気が室内に入る換気運転を止めることができるから、使用者の好みに合った能力によって窓用空気調和機が利用可能になる。
図1に示す実施例は他のダンパー機構を開示しており、15aは枠体天板15の枠体1の正面側に位置した可動天板、15bはこの可動天板15aの回動軸であり、この可動天板15aが回動軸15bを中心に可動した時に前記換気用空間16を室内側に開放することができる。そして、この可動天板15aによって室内に開放された換気用空間16内には、前記換気通路を構成する給気通路19の吹出口18や、排気通路22の換気口20が開口しており、この換気用空間16を介して室内空気の換気動作が行われる。
したがって、前記ダンパー機構を構成する可動天板15aを閉ざした状態では、実質的に給気通路19の吹出口18や、排気通路22の換気口20は室内に開口しなくなり、窓用空気調和機を運転しても、換気機能は得ることができない。
また、室内側に給気通路19の吹出口18や排気通路22の換気口20が開口する構成であっても、この開口は枠体のフロントパネル1aに開口しているのではないから、空気調和機の外観は換気機能のないものと全く同じにすることができ、通常タイプの空気調和機をそのまま利用して高価格で販売できる換気機能付き機種が安価に製造できるようになった。
また、この換気用空間16に給気通路19と排気通路22を一緒に構成する実施例にあっては、ダンパー機構を閉ざした状態では、給気通路19の吹出口18と、排気通路22の換気口20が同じ閉空間である換気用空間16内に開口しているから、吹出口18から吐出した空気がそのまま換気口20から吸込まれて排気口21から室外に流れるようになる。
図4の実施例では、ダンパー機構を構成する開閉板24によって直接換気通路を閉止する時には、換気ファンを駆動するための送風トルクが開閉板24の開閉によって変動するものであるが、この可動天板15aを使う実施例で、給気通路19と排気通路22を換気用空間16に構成するときには、ダンパー機構を構成する可動天板15aが枠体天板15の位置にあって換気用空間16が閉ざされた時でも、この換気ファンは通常の送風状態を続けているから、換気ファンにかかる送風トルクの変動は発生しない。
このため、換気ファンが室内送風機2や室外送風機3の回転軸2a・3aによって作動する構成であっても、ダンパー機構の作動が室内送風機2や室外送風機3の送風能力に与える影響がなくなり、常に安定した送風力が維持できるという効果が得られる。
また、可動天板15aが枠体天板15の一部で構成していることによって、換気機能を付加していない窓用空気調和機との部品の共通化を図ることはでき、この可動天板15aの構造は、窓用空気調和機の外装を構成する枠体天板15の意匠の一部としてデザインすることが可能となり、製品の機能とデザインが融合できるものである。
また、前記給気通路19に配置した給気口17と、前記排気通路22に配置した換気口20が換気用空間16に開口して、可動天板15aが開かれたときに換気機能が発揮できるから、室内空気吸入口8と室内空気吹出口9とが存在する窓用空気調和機のフロントパネル1aに、換気通路の開口が形成されず、また、ダンパー機構の開閉部が枠体天板15に形成されたから、このフロントパネル1aのデザインを従来品のようにすっきりと纏めることができた。
さらに、この換気通路を構成する排気通路22の換気口20が枠体1の上部に配置されているから、タバコの煙等の上方に立ち上っていく汚れに対して特に有効であり、排煙する状態が目視できるという視覚的な効果を同時にもつことが可能となった。
また、図1に示す実施例に示すように、換気通路の室外側の開口を、窓用空気調和機の室外側空気流路13内に開口することができる。このような開口の位置であれば、換気通路の吹出口18や排気口21を枠体1のリアパネル1bまで伸ばす必要がなくなると共に、このリアパネル1bと、このリアパネル1b付近に配置される窓用空気調和機を設置する窓枠は、換気機能が付加されていない窓用空気調和機に使用するものが、そのまま利用できるようになり、部品の共通化が促進できる。
また、換気通路の室外側の開口を、窓用空気調和機の室外側空気流路13内に開口するときにおいて、給気通路19の給気口17を室外側空気流路13の入口に近く、また、排気通路22の排気口21を室外側空気流路13の室外送風機3の吸込み側に近く配置すると共に、換気ファンの回転時に室外送風機3が回転する構成とすれば、排気通路22を流れる排気空気はこの室外送風機3によっても吸引されるようになり、換気ファンの能力以上の排気が実現できる特徴が得られる。
また、図5に示す実施例では、換気通路を構成する給気通路19を下側に、排気通路22を上側に配置しており、給気通路19の下板を前記空気流路天板14で構成している。そして、換気ファンを前記室内送風機2の回転軸2aで回転するときには、空気流路天板14の下面には前記エバポレータ6で冷却された室内空気が流れている。
この構成において、この空気流路天板14として熱伝導機能素材で構成したときには、室外から室内に給気される室外空気はこの室内側空気流路10を流れる冷却空気と熱交換することができ、室外の空気の温度が高いときでも、吹出口18から吹出す空気の温度が低くなり、暖かい風が冷房された室内に吹出すことを改善することができた。
この発明の実施例を示す窓用空気調和機の側断面図である。 この発明の実施例を示す窓用空気調和機の横断面図である。 この発明の実施例を示す部品の斜視図である。 この発明の図3に関係する部品の縦断面図である。 この発明の実施例を示す窓用空気調和機の要部の側断面図である。
符号の説明
1 枠体
1a フロントパネル
1b リアパネル
2 室内送風機
2a 回転軸
3 室外送風機
3a 回転軸
4 圧縮機
5 コンデンサ
6 エバボレータ
7 仕切板
8 室内空気吸入口
9 室内空気吹出口
10 室内側空気流路
11 室外空気吸入口
12 室外空気吹出口
13 室外側空気流路
14 空気流路天板
15 枠体天板
15a 可動天板(ダンパー機構)
16 換気用空間
17 給気口(開口)
18 吹出口(開口)
19 給気通路(換気通路)
19a 給気ファン(換気ファン)
20 換気口(開口)
21 排気口(開口)
22 排気通路(換気通路)
22a 排気ファン(換気ファン)
23 熱交換用隔壁
24 開閉板(ダンパー機構)
25 駆動軸

Claims (7)

  1. 枠体には室内送風機と、室外送風機と、冷凍サイクルを構成する圧縮機・コンデンサ・エバボレータとを備えるとともに、
    前記枠体は室内側にフロントパネルと、室外側に向けたリアパネルと、枠体内を二室に分割する仕切板とを設け、
    前記フロントパネルには室内空気吸入口と室内空気吹出口とを配置し、前記仕切板で仕切られて室内空気吸入口から室内空気吹出口を連絡する室内側空気流路には、前記エバボレータと前記室内送風機とを配置し、
    前記リアパネルには室外空気吸入口と室外空気吹出口とを配置し、前記仕切板で仕切られて室外空気吸入口から室外空気吹出口を連絡する室外側空気流路には、前記コンデンサと前記室外送風機とを配置し、
    前記圧縮機で高温高圧に圧縮された冷媒はコンデンサによって液化し、液化した冷媒はエバボレータで気化して室内側空気流路を通過する室内空気を冷却する窓用空気調和機において、
    前記枠体内の室内側空気流路と室外側空気流路の上板である空気流路天板の上方に、室内側と室外側に開口を備えた換気通路を配置し、該換気通路内に換気ファンを設け、
    該換気ファンの駆動軸は前記枠体内に配置した前記室内送風機もしくは前記室外送風機に連動しており、
    前記室内送風機もしくは前記室外送風機の運転時に、前記換気通路を使って換気運転を行うことを特徴とする窓用空気調和機。
  2. 前記圧縮機の停止時においても、前記換気ファンを駆動する前記室内送風機もしくは前記室外送風機が送風運転可能になっている請求項1に記載の窓用空気調和機。
  3. 前記枠体の上板を構成する枠体天板と前記空気流路天板と間に換気用空間が形成されており、該換気用空間内に前記換気通路を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の窓用空気調和機。
  4. 前記換気通路は、室外側に開口する給気口と室内側に開口する吹出口とを連続する給気通路と、室内側に開口する換気口と室外側に開口する排気口とを連続する排気通路とによって構成するとともに、
    前記換気ファンは、前記給気通路内に配置した給気ファンと、前記排気通路内に配置した排気ファンとで構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窓用空気調和機。
  5. 前記給気通路と排気通路とは熱交換用隔壁を介して隣接して配置されており、給気と排気との間で熱交換が行われることを特徴とする請求項4に記載の窓用空気調和機。
  6. 室内と室外を連絡する前記換気通路を開閉するダンパー機構を備えており、前記圧縮機の運転時において、換気機能が前記ダンパー機構によって停止できる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の窓用空気調和機。
  7. 前記換気通路の室内側の開口は前記換気用空間内に位置しており、前記枠体天板の正面側に位置した可動天板は開閉自在となして前記換気用空間を開閉するダンパー機構を構成し、前記可動天板の開路時に前記換気用空間を経て空気が換気されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の窓用空気調和機。
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