JP4734451B2 - 放射性フッ素アニオン濃縮装置及び方法 - Google Patents

放射性フッ素アニオン濃縮装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、サイクロトロンで加速した陽子を[18O]H2O水に照射することで得られる18-イオンを[18O]H2O水から分離し、18-イオンの有機溶媒溶液を製造する放射性フッ素アニオン濃縮装置に関するものである。
放射性トレーサー化合物を使用する医療診断法の中で、PET(ポジトロン放出断層撮影法)診断に使用される放射性核種は半減期が短いものが多く、例えば18-イオンの半減期は約110分である。これらの放射性核種を効率よくトレーサー化合物に導入して放射化するためには、時間を節約した作業が必要である。
また、18-イオンの原料となる[18O]H2O水は高価であり、PET診断のコストダウンのためには再利用を行いたいという要望がある。
使用する放射性核種の短寿命のためにPET等で利用できる時間は限られており、18Fで標識された化合物の合成は、分単位での時間短縮と高い合成率が同時に要求されている。
18O]H2O水から18-イオンを分離し、分離した18-イオンの有機溶媒溶液を製造する方法は二種類存在する(従来方法1及び2)。
従来方法1としては、陰イオン交換樹脂を充填したカラムに18-イオンを含む[18O]H2O水を通し、樹脂上に18-イオンを捕捉させて[18O]H2O水を分離する方法である。捕捉された18-イオンを、炭酸カリウム水溶液を使用して水溶液中に再溶出させて回収する。回収した水溶液を減圧濃縮し、完全に水を除いた後に有機反応で使用する有機溶媒を用いて18-イオンを溶解し、18-イオンの有機溶媒溶液を得る。このとき加える有機溶媒の量によって18-イオンの濃度を調節することができる。
従来方法2としては、グラッシーカーボン棒状電極に18-を捕捉し、[18O]H2O水から有機溶媒へ溶媒交換する方法である。この方法で18-を分離した[18O]H2O水は、溶出した有機物を含むことが無いため再利用できることが期待できる。[18O]H2O水溶液から18-イオンを分離する装置が特許文献1及び非特許文献1において報告されている。
この装置の基本構造は非特許文献1に詳細に記述されている。グラッシーカーボン棒状電極とプラチナ電極を有するセルを用い、グラッシーカーボン棒状電極を陽極として電圧を印加することによって18-イオンを電極上に析出させ、[18O]H2O水から18-イオンを分離する。そして、陽極上へ析出させた18-イオンを有機溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO))に回収して、18-イオンと有機化合物の反応を行っている。
なお、非特許文献2は、グラファイト状カーボン電極と白金電極の組み合わせについて、グラファイト状カーボン電極上に18-イオンを析出させる手法を初めて報告したものである。
特表2005−519270号公報 Appl. Radiat. Isot. 2006 (64) 989-994. Appl. Radiat. Isot. 1989 (40) 1-6.
従来方法1の場合、イオン交換樹脂による[18O]H2O水と18-イオンの分離は速やかに行うことができるが、イオン交換樹脂から回収した18-イオンを有機溶媒に溶解させるまでに作業が多く、要する時間が長くなる。また、作業が多くなることで、使用する装置と試薬の種類及び量が多くなる。また、このとき分離した[18O]H2O水は、イオン交換樹脂から微量の有機物が溶出するため、再利用することができない。
従来方法2の場合、上述の文献で使用されているセルはバッチ処理用のセルであるため、[18O]H2O水をフローさせながらグラッシーカーボン棒状電極へ18-イオンを捕捉することはできず、一度に処理できる[18O]H2O水の量はセル内に充填できる量と同じ程度しかない。また、セルに18-イオンを捕捉する際に、グラッシーカーボン棒状電極に印加する電圧を20V程度にした場合、捕捉に要する時間は約8分間となる。また、グラッシーカーボン棒状電極から18-イオンを含んだ溶液を回収する際の時間は約5分間かかる。
さらに、得られる18-イオンの有機溶媒溶液の体積は、18-イオンを含有した[18O]H2O水の体積に対して数分の1程度にしか濃縮できず、濃縮率はあまり高くない。
そこで本発明は、迅速に高効率で18-イオンを濃縮することができる放射性フッ素アニオン濃縮装置及びそれを用いた方法を提供することを目的とする。
具体的には、(1)[18O]H2O水から18-イオンを分離し、有機溶媒溶液に18-イオンを回収する操作に要する時間を従来方法1,2と比較して短縮すること、(2)18-イオン含有[18O]H2O水をフローで処理することにより、従来方法2と比較して、より多くの18-イオン含有[18O]H2O水を処理できるようにすること、(3)従来方法2と比較して、[18O]H2O水から18-イオンを分離する際に要する電圧を低くすること、及び(4)従来方法2と比較して、得られる18-イオンの有機溶媒溶液の体積を減少させて濃縮率を高めること、を目的とする。
本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置は、互いに平行に対向して配置された一対の平板電極のうち少なくとも一方がカーボン平板電極であり、両電極間が500μm以下の間隔を取る流路になっており、上記流路には18-イオンを含有する[18O]H2O水溶液が流されるフローセルと、上記平板電極間を接続して直流電圧を印加するとともにその極性を反転できるようにした電源と、上記流路に溶液を送液する送液装置と、を備えたものである。
上記カーボン平板電極として、グラッシーカーボン電極又はグラファイト電極を挙げることができる。実施例ではフローセルに用いるカーボン平板電極としてグラッシーカーボン電極とグラファイト電極をそれぞれ用いた。本発明はカーボンを含有する電極であれば実施可能である。
上記平板電極の一例として、平板電極の一方が絶縁平板基板上に金属材料が成膜された金属平板電極であるものを挙げることができる。金属材料としては、例えば白金、金、アルミニウム、タングステン、銅、銀、導体シリコン、チタン、クロムなどを挙げることができる。
上記平板基板間には、上記流路となる溝が切り抜かれた絶縁性シートが挟まれているようにしてもよい。その場合、平板電極に溝等の加工を施さなくても電極間に流路を形成できるので好ましい。
本発明の放射性フッ素アニオン濃縮方法は、本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置を用い、上記一対の平板電極のうち一方のカーボン平板電極を陽極として電圧を印加し、上記流路内に放射性核種である18-イオンを含有する[18O]H2O水溶液を流すことで、18-イオンを上記カーボン平板電極へ捕捉する捕捉工程と、その後上記カーボン平板電極を陰極として電圧を印加し、上記流路内に回収用の溶液を流すことで、18-イオン又は18-イオンで標識された反応生成物を含んだ溶液を回収する回収工程と、を含むものである。
上記回収用の溶液の一例としては、18-イオン回収剤又は有機反応基質を含む溶液を挙げることができる。
本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置は、フローセルに組み込んだ電極間の距離を500μm以下にすることで、低い電圧印加でも電極間の電位勾配は大きくなるため、18-イオンに作用する影響力が大きくなり、また、フローセルに組み込んだ流路の体積を数百μm以下の空間にすることで、流路体積に対するグラッシーカーボン電極の比表面積が大きくなる。そのため、(1)従来方法よりも短時間で、(2)多くの18-イオン含有の[18O]H2O水を、(3)低い電圧で処理できるようになり、(4)得られる18-イオンの有機溶媒溶液の体積を減少させることで濃縮効率の向上も達成できるようになる。
一実施例における放射性フッ素アニオン濃縮装置の概略構成図である。 同実施例におけるフローセルの分解斜視図である。 PDMSシートに成型される流路図の一例を示している。 PDMSシートに成型される流路図の一例を示している。 PDMSシートに成型される流路図の一例を示している。 18-イオンの捕捉実験の結果である。
符号の説明
11 フローセル
13 電源
15 送液装置
17 ドレイン
19 加熱装置
21 金属平板電極
23 絶縁シート
25 グラッシーカーボン電極、グラファイト電極
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は一実施例における放射性フッ素アニオン濃縮装置の概略構成図である。
放射性フッ素アニオン濃縮装置は、フローセル11と、フローセル11に直流電圧を印加する電源13と、フローセル11に溶液を送液する送液装置15から構成されている。フローセル11に送液された溶液はドレイン17に回収される。フローセル11は温度調節装置としての加熱装置19上に載置されている。
[フローセルの構成]
図2は同実施例におけるフローセル11の分解斜視図である。
フローセル11は、金属平板電極21、絶縁性シート23及びグラッシーカーボン電極25が、絶縁性シート23を間に挟んで両電極21,25の電極側が向き合うように配置されたものである。なお、図2は一方の電極をグラッシーカーボン電極、他方の電極を金属平板電極として構成しているが、両方の電極をグラッシーカーボン電極で構成してもよい。本発明のフローセル11は、少なくとも一方の電極がカーボン電極で構成されていれば良い。
金属平板電極21の一例は絶縁性の平板上に金属材料(例えば白金、金、アルミニウム、タングステン、銅、銀、導体シリコン、チタン、クロムなど)が成膜されたものである。絶縁性シート23の一例は流路26となる溝が切り抜かれたPDMS(ポリジメチルシロキサン)などのゴムシートである。絶縁性シート23の厚さは、フローセルの使用条件にもよるが、100μmから500μm程度が好ましい。また、フローセル11は上面から固定用ジグ27によって、下面から固定用ジグ29によって固定されている。
金属平板電極21には試料導入口31及び試料排出口33が設けられ、両口31,33は流路26の両端と導通している。固定用ジグ27にも試料導入口31に対応した穴35と試料排出口33に対応した穴37が設けられている。
電源13は金属平板電極21とグラッシーカーボン電極25間を接続しており、両電極21,25間に直流電圧を印加するとともにその極性を反転させることができる。
[フローセルの作製]
図3A〜図3Cは同実施例におけるPDMSシートに成型される流路図を示している。
フローセルは図2に示すようにチップ(平板電極21,25)及びそれを固定する治具(固定用ジグ27,29)から構成されている。なお、チップのサイズは一例として25mm×48mmとした。
図3Aの場合、試料導入口31及び試料排出口33に対応する流路26の端部分の幅は2mmで、流路26の中央部分の流路幅は16mmである。図3Bの場合、流路26の幅は4mmである。図3Cの場合、流路の幅は2mmである。なお、図3A,図3B,図3Cにおける流路26の面積比は6:2:1である。
また、流路26を形成するゴムシートとしてはPDMSシートを使用した。チップは、金属電極を成膜した石英部材からなる金属電極21とグラッシーカーボン電極25によりPDMSシートを上下から挟む形とした。
次に、フローセル11に使用する部材の作製方法を以下に説明する。
白金を用いた金属平板電極21は、25mm×48mmの大きさにダイシングした厚さ1mmの石英部材にスパッタ法により白金を成膜することにより作製した。グラッシーカーボン電極25は25mm×48mm×1mmの成型品を使用した。PDMSシートはスピンコート法により100μmの厚みにしたものを作製し、カッティングプロッターを使用して、外形(縦幅25mm×横幅48mm)と流路26のパターンを成型した。流路26についての検討は後述する。
次にフローセルの組み立て手順を説明する。
(1)金属平板電極21と流路26を成型したPDMSシート23を酸素プラズマ処理して表面を活性化した後、貼り合わせを行い、12時間以上静置する。この処理により、金属平板電極21とPDMSシート23が固着する。
(2)グラッシーカーボン電極25の表面と、上述の操作(1)で貼り付け作業を行ったPDMSシート23の表面を、酸素プラズマ処理した直後に貼り合わせる。この処理により、絶縁性シート23とグラッシーカーボン電極25が固着する。
次に18-イオンの濃縮操作の手順を図1、2を参照しながら説明する。
[実施例1]
(1)フローセル11の試料導入口31から18-イオンを含む溶液を導入する。
(2)電源13により金属平板電極21とグラッシーカーボン電極25間に電圧を印加し、グラッシーカーボン電極25に18-イオンを捕捉する。
(3)フローセル11の試料排出口33から流路26内の溶液を排出する。
(4)18-イオンの回収剤を含むアセトニトリルをフローセル11内に充填し、グラッシーカーボン電極25に印加する電圧は反転させる。これにより、18-イオンをグラッシーカーボン電極25からアセトニトリルに回収する。
(5)18-イオンを含んだアセトニトリルを試料排出口33からフローセル11外に排出する。
(6)アセトニトリルを試料導入口31からフローセル11内に充填し、フローセル11内を洗浄する。
(7)洗浄液(アセトニトリル)を試料排出口33からフローセル11外に排出する。
(8)アセトニトリル溶液による洗浄を2回行なう。
図1に示すフローセル11を用いた場合、18-イオンを含有する[18O]H2O水溶液は送液装置15により流路26内に流され、ドレイン17により回収される。
次に同実施例1におけるフッ素濃縮実験の一例を図1、図2を参照しながら説明する。なお、フローセル11の流路26の形状としては図3Bに示した形状を用い、カーボン電極としてグラッシーカーボン電極25を用いた。
[濃縮実験]
(1)[18O]H2O水溶液を送液装置15(例えばシリンジポンプ)に導入し、送液量を500μL/分に設定してシリンジポンプを使用してフローセル11内に送液する。[18O]H2O水溶液として、1355μCiの18-イオンを含む2000μLを用いた。
(2)直流電源13により、グラッシーカーボン電極25に10.0Vの電圧を印加する。
(3)[18O]H2O水溶液の送液が終了した後、圧縮ガスによってフローセル11内の[18O]H2O水溶液をフローセル11の外に押し出す。このとき、グラッシーカーボン電極25に捕捉された18-イオンの量は1238μCi(初期線量測定から2分経過)であった。
(4)フローセル内に0.34mgの4,7,13,16,21,24-hexaoxa-1,10-diazabicyclo-[8,8,8]-hexacosane(Kryptofix 222(登録商標)、[K⊂2.2.2]2CO3)を含むアセトニトリル溶液17.6μLを充填し、直流電源13の電圧極性を反転させて−3.3Vを印加し、加熱装置19により80℃で1分間加熱する。
(5)1分経過後、圧縮ガスによってフローセル11内のアセトニトリル溶液をセル外に押し出して回収し、フローセル11の流路26内を17.6μLのアセトニトリル溶液で2回洗浄する。
[濃縮実験の結果]
図4は同実施例における18-イオンの捕捉実験の結果である。
室温における18-イオンのグラッシーカーボン電極25への捕捉率(%)を印加電圧とチップ内への溶液の流速(mm/秒)を変えながら検討した。
グラッシーカーボン電極25への印加電圧を3.3V、6.7V、10.0Vの3段階に変化させたところ、印加電圧が10.0Vのときは捕捉率の目標とする90%を超えた。そのため、本実施例では、18-イオンをグラッシーカーボン電極25に捕捉する際には10.0Vの電圧を印加する。
また、18-イオンをグラッシーカーボン電極25から回収液に回収する際は、−3.3Vの電圧を印加し、80℃で1分間加熱する条件を用いる。
上述の濃縮方法でアセトニトリル溶液中に回収できた18-イオンは1032μCi(初期線量測定から4分経過)であった。なお、この時のフローセル11の電極21,25間の距離は100μmである。
フローセル11の電極21,25間の距離を500μm以下、流路26の体積を数100μL以下のマイクロ空間にした場合、低い印加電圧でも電極21,25間の電位勾配を大きく保つことができ、18F-イオンに作用する静電力が大きくなった。これは、流路体積に対する電極の比表面積を大きくすることで、18-イオンに静電力が作用する領域を増加させたものと考えられる。
上述の実施例1に記載の方法では、2.0mLの[18O]H2O水溶液の処理時間を約4分まで短縮することができ、従来よりも処理時間を短縮することができた。また、この時にグラッシーカーボン電極25に捕捉できる18-イオンは[18O]H2O水溶液が含有する量の約93%であり、充分な量であった。
グラッシーカーボン電極25に析出させた18-イオンの内、約84%はアセトニトリル溶液中に回収でき、この時の所要時間は約3分であった。
回収した18-イオン含有アセトニトリル溶液の体積は約53μLであり、[18O]H2O水溶液中に存在した18-イオンの約78%を含んでいる。
この結果、18-イオン濃度の変化率を計算すると、2000/53×0.78≒29となり、濃度は約29倍に増加していることが確認された。
次に本発明の他の実施例における放射性フッ素アニオン濃縮装置について説明する。
[実施例2]
放射性フッ素アニオン濃縮装置の装置構成は、上述の図1及び図2に示した構成と同じであり、フローセル11のカーボン平板電極としてグラファイト電極25を用いている。
フローセル11は、金属平板電極21、絶縁性シート23及びグラファイト電極25が、絶縁性シート23を間に挟んで両電極21,25の電極側が向き合うように配置されたものである。
なお、図2は一方の電極をグラファイト電極、他方の電極を金属平板電極として構成しているが、一方の電極をグラッシーカーボン電極、他方の電極をカーボン電極としてもよいし、両方の電極をカーボン電極で構成してもよい。
次に18-イオンの濃縮操作の手順を図1、2を参照しながら説明する。
(1)フローセル11の試料導入口31から流路26内に18-イオンを含む溶液を導入する。
(2)電源13により金属平板電極21とグラファイト電極25間に電圧を印加し、グラファイト電極25に18-イオンを捕捉する。
(3)フローセル11の試料排出口33から流路26内の溶液を排出する。
(4)18-イオンの回収剤を含むアセトニトリル溶液を試料導入口31からフローセル11内に充填し、グラファイト電極25に印加する電圧は反転させる。これにより、18-イオンをグラファイト電極25からアセトニトリルに回収する。
(5)18-イオンを含んだアセトニトリル溶液を試料排出口33からフローセル11外に排出する。
(6)アセトニトリルを試料導入口31からフローセル11内に充填し、フローセル11内を洗浄する。
(7)洗浄液(アセトニトリル)を試料排出口33からフローセル11外に排出する。
(8)アセトニトリル溶液による洗浄を2回行なう。
図1に示すフローセル11を用いた場合、18-イオンを含有する[18O]H2O水溶液は送液装置15により流路26に流され、ドレイン17により回収される。
次に同実施例2におけるフッ素濃縮実験の一例を図1、図2を参照しながら説明する。なお、フローセル11の流路26の形状としては図3Bに示した形状を用いた。
[濃縮実験]
(1)[18O]H2O水溶液を送液装置15に導入し、送液量を500μL/分に設定してシリンジポンプを使用してフローセル11内に送液する。[18O]H2O水溶液として、717μCiの18-イオンを含む2000μLを用いた。
(2)直流電源13により、グラファイト電極25に10.0Vの電圧を印加する。
(3)[18O]H2O水溶液の送液が終了した後、圧縮ガスによってフローセル11内の[18O]H2O水溶液をフローセル11の外に押し出す。このとき、グラファイト電極25に捕捉された18-イオンの量は612μCi(初期線量測定から2分経過)であった。
(4)フローセル内に0.34mgの4,7,13,16,21,24-hexaoxa-1,10-diazabicyclo-[8,8,8]-hexacosane(Kryptofix 222(登録商標)、[K⊂2.2.2]2CO3)を含むアセトニトリル溶液17.6μLを充填し、直流電源13の電圧極性を反転させて−3.3Vを印加し、加熱装置19により80℃で1分間加熱する。
(5)加熱から1分経過後、圧縮ガスによってフローセル11内のアセトニトリル溶液をセル外に押し出して回収し、フローセル11の流路26内を17.6μLのアセトニトリル溶液で2回洗浄する。
[濃縮実験の結果]
上述の濃縮方法でアセトニトリル溶液中に回収できた18-イオンは313μCi(初期線量測定から4分経過)であった。
上述の実施例2に記載の方法では、[18O]H2O水溶液の処理時間を従来よりも処理時間を短縮することができた。
また、この時にグラファイト電極25に捕捉できる18-イオンは[18O]H2O水溶液が含有する量の約85.3%であり、充分な量であった。
また、グラファイト電極25に析出させた18-イオンの内、約51.2%はアセトニトリル溶液中に回収できた。
次に、フローセル11に用いる流路26の形状について検討する。
[流路形状についての検討]
18-イオンの捕捉効率はフローセル11の電極面積が大きくなるほど高くなると予測されるので、図3A〜図3Cに示す流路形状について電極面積比を6:2:1として3パターンで検討した。このときの流路体積は、それぞれ50μL、17.6μL、8.8μLであった。また、グラッシーカーボン電極25(図1及び図2参照。)への捕捉電圧を3.3V、溶液流量を200μL/分、反応温度を室温という条件に設定して18-イオンの捕捉率を求めた。
上述の条件で捕捉率を計算すると、図3A及び図3Bの場合は86%超となり、図3Cの場合は70%程度となった。
そこで、図3A〜3Cの流路パターンにおける18-イオン分布を確認するためにラジオグラフを撮像した(図示は省略)。その場合、図3Aの結果からは流路内上部側面に気泡の存在が疑われ、18-イオンの捕捉は流路前半部分でほとんど終了していることがわかった。
一方、図3B及び図3Cのラジオグラフを見ると、気泡の滞留は無く、流路全体で18-イオンの捕捉を行なっていることが確認できた。
これらの結果から最も効率のよい流路パターンを検討したところ、図3Aのパターンは18-イオンの捕捉率に関しては良い結果を得たが、電極表面の一部しか捕捉に使用されておらず、気泡が存在することも確認された。そのため、上述の図4に示す結果においては除外した。また、図3Cの流路パターンは図3Bに比べて流路幅が狭く、捕捉率が低いため、実験条件にもよるが図4に示す結果においては除外した。
以上の結果から、図3Bの流路パターンを用いると最もよいと判断できるが、実験条件によっては図3Aや図3Cのような流路パターンでも良い結果が得られると推測される。
本発明で作製したフローセルは、[18O]H2O水と18-イオンの分離をフロー状態で行える構造にしており、任意の量の18-イオン含有[18O]H2O水を1度に分離処理することができる。
また、任意の有機溶媒を流路内に流すことで溶媒交換が速やかに行え、イオン交換樹脂を使用する従来の技術よりも操作方法が簡便化している。
さらに、フローセル11に組み込んだ電極21,25間の距離を500μm以下にすることで、低い電圧印加であっても電極21,25間の電位勾配は大きくなるため、18-イオンに作用する静電力が大きく、捕捉に要する時間は短くなった。また、フローセル11に組み込んだ流路26の体積を数100μL以下のマイクロ空間にすることと流路体積に対するカーボン電極25の比表面積が大きくなるため、18-イオンの捕捉効率が向上した。
また、18-イオンを電極から回収する際に流路中に充填する有機溶媒の体積が小さくなるため、濃縮効率も向上した。
本発明は、サイクロトロンで加速した陽子を[18O]H2O水に照射することで得られる18-イオンを[18O]H2O水から分離し、18-イオンの有機溶媒溶液を製造するフローセルに利用することができる。

Claims (5)

  1. 互いに平行に対向して配置された一対の平板電極のうち少なくとも一方がカーボン平板電極であり、前記平板電極間が500μm以下の間隔を取る流路になっており、前記流路には18-イオンを含有する[18O]−H2O水溶液が流されるフローセルと、
    前記平板電極間に挟まれ、前記平板電極間の間隔を規定する厚さをもち、前記流路となる溝が切り抜かれた絶縁性シートと、
    前記平板電極間をつないで直流電圧を印加するとともにその極性を反転できる電源と、
    前記流路に溶液を送液する送液手段と、
    を備えた放射性フッ素アニオン濃縮装置。
  2. 前記カーボン平板電極はグラッシーカーボン電極又はグラファイト電極である請求項1に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置。
  3. 前記平板電極の一方は絶縁平板基板上に金属材料が成膜された金属平板電極である請求項1又は2に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置を用い、
    前記一対の平板電極のうち一方のカーボン平板電極を陽極として電圧を印加し、前記流路内に放射性核種である18-イオンを含有する[18O]−H2O水溶液を流すことで、18-イオンを前記カーボン平板電極へ捕捉する捕捉工程と、
    その後、前記カーボン平板電極を陰極として電圧を印加し、前記流路内に回収用の溶液を流すことで、18-イオン又は18-イオンで標識された反応生成物を含んだ溶液を回収する回収工程と、
    を含む放射性フッ素アニオン濃縮方法。
  5. 前記回収用の溶液は18-イオン回収剤又は有機反応基質を含む溶液である請求項に記載の放射性フッ素アニオン濃縮方法。
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