JP4733867B2 - 往復動ポンプのストローク量調整装置 - Google Patents
往復動ポンプのストローク量調整装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラム、プランジャ、ベローズ等を往復動せしめてポンプ動作を行う往復動ポンプのストローク量調整装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポンプ部を作動させるべく駆動ボックス内に往復移動自在に収容されたポンプシャフトと、該ポンプシャフトを往復移動させる偏心カム機構を備えた駆動伝達手段と、前記ポンプシャフトのストローク量を調整するためのストローク量調整手段とを備えた往復動ポンプが周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の往復動ポンプは、設置場所が限定されその設置スペースが小さい場合が多い。また、前記ストローク量調整手段を操作するスペースを確保する必要があると共に、往復動ポンプをメンテナンス等する場合には、ポンプ部と駆動ボックスとを分離して行っているのが現状であり、メンテナンスを容易且つ迅速に行えるようにする必要もある。
本発明は、ストローク量調整手段の操作及びメンテナンスのそれぞれの作業スペースを兼用して有効に利用できるようにして、それぞれの作業を容易且つ迅速に行え、往復動ポンプの設置スペースを小さくできることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために講じた技術的手段は、ポンプ部を作動させるべく駆動ボックス内に往復移動自在に収容されたポンプシャフトと、該ポンプシャフトを往復移動させる偏心カム機構を備えた駆動伝達手段と、前記ポンプシャフトのストローク量を調整するためのストローク量調整手段とを備えた往復動ポンプのストローク量調整装置において、
前記ストローク量調整手段は、前記駆動ボックスのポンプ部側に設けられ、しかも、ポンプ部吐出工程において偏心カム機構に当接する流量調整軸を備え、該流量調整軸の位置をポンプシャフトの移動方向に位置変更させることにより、前記ポンプシャフトのストローク量を調整し得るように構成されてなることにある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1において、1はポンプ部2、駆動伝達手段4及びストローク量調整手段5とを備える往復動ポンプを示す。
【0006】
前記ポンプ部2は、例えば、ポンプ室(図示省略)を往復動するダイヤフラム6により、ポンプ室に連通する吸入孔から流体が吸入され、且つ吐出孔から外部に吐出し得るように構成されている。
【0007】
前記駆動伝達手段4は駆動ボックス8に収容され、該駆動伝達手段4は、往復移動自在なポンプシャフト10を備えている。ポンプシャフト10の後端部(前記ポンプ部2と反対側)10aは、駆動ボックス8の後壁8b内面に形成された軸受部12により、摺動自在に支持されている。ポンプシャフト10の略中央には環状部13が設けられている。
【0008】
前記駆動ボックス8の後壁8bの内面には、環状収容溝15が形成され、該環状収容溝15に収容された弾性体(コイルバネ)16の一端は、前記環状部13に形成された係止部22に係合するようになっている。従って、駆動ボックス8と環状部13間に介装されたコイルバネ16の弾性力により、ポンプシャフト10は先端側(ポンプ部2側)へ押圧付勢されている。
【0009】
前記環状部13内には、ポンプシャフト10を往動移動させるための偏心カム機構20が設けられている。偏心カム機構20は、ポンプシャフト10の下方に配置された減速機の回転軸21に固着される偏心カム23と、該偏心カム23に外嵌着されて環状部13の後端側内周面に設けられた当接部24に係合する軸受(玉軸受)25とからなる。尚、偏心カム機構20は、前記ポンプシャフト10と共に駆動伝達手段4を構成し、図1に示す如く、偏心カム23の中心Oは減速機の回転軸21の回転中心O1からe(偏心量)だけ偏心している。
【0010】
前記環状部13の先端には内周面に雌ねじ部28を有する筒状の取付部27が突設され、該雌ねじ部28には、流量調整軸30の後部に設けられたねじ部29が、出退自在に螺合されている。即ち、流量調整軸30を回転させることにより、該流量調整軸30はポンプシャフト10に対してポンプシャフト10の移動方向と同じ方向に移動させることができる。
【0011】
前記駆動ボックス8の前壁8aには、外周に雄ねじ部31aを有する筒状の保持部31が、ポンプシャフト10の移動方向に突設され、該保持部31内に前記取付部27が摺動自在に嵌合されている。前記保持部31の雄ねじ部31aには、調整ダイヤル33の内周面に形成された雌ねじ部34が螺合されている。調整ダイヤル33の中央には、例えばスプライン溝からなる開口35が形成され、該開口35には、前記流量調整軸30の中途部に設けられたスプライン部37が相対回転不可能で且つ軸方向に移動自在に挿通されている。尚、流量調整軸30及び調整ダイヤル33により、前記ストローク量調整手段5が構成されている。
【0012】
前記流量調整軸30の先端部(前記調整ダイヤル33よりも突出する部分)38には、金属板材を筒状に形成してなる係止部材40が外嵌固定されている。該係止部材40の先端側は、図2(イ)及び(ロ)に示す如く弾性力で径外方向に拡径するようになっている。係止部材40の先端側は、例えば、スリットを複数条間隔をおいて形成することにより、径外方向の拡径状態を維持できる。
【0013】
また、係止部材40の先端には、前記ポンプ部2のダイヤフラム軸41の先端部の周方向に形成された周溝からなる被係合部43に、着脱自在に係合する係合部44が形成されている。係止部材40には筒状のジョイント46がスライド自在に外嵌されている。従って、ジョイント46を流量調整軸30の先端側に移動させた際に、係止部材40の先端側を縮径させて係合部44をダイヤフラム軸41の被係合部43に係合させることができ、ダイヤフラム軸41を流量調整軸30に同一軸心上に連結し、ポンプシャフト10と共に移動させることができる。
【0014】
また、係止部材40の係合部44をダイヤフラム軸41の被係合部43に係合させていても、係合部44を被係合部43に沿って軸周方向に摺動させることができ、ダイヤフラム軸41に対して流量調整軸30を相対回転させることができる。尚、係止部材40及びジョイント46により、ダイヤフラム軸41と流量調整軸30とを解除自在に連結する連結手段が構成されている。
【0015】
本実施形態は以上のような特定事項からなり、基本的なポンプ動作は以下のようにして行われる。
【0016】
先ず、ポンプの流量を最大にする場合について図3を参照しながら説明する。尚、同図の上部分はポンプ吸入最終行程を、下部はポンプ吐出最終行程をそれぞれ示す。
調整ダイヤル33を、その目盛を参照しつつ後退する方向(保持部31にねじ込む方向)に回転させると、流量調整軸30は、調整ダイヤル33とスプライン嵌合していることから、調整ダイヤル33と一体回転する。この結果、流量調整軸30は、そのねじ部29がポンプシャフト10の取付部27の雌ねじ部28に螺合しているため、ポンプシャフト10に対して偏心カム機構20側に回転しながら移動し、ねじ部29の端面が前記偏心カム機構20の玉軸受25の外輪に当接する。即ち、偏心カム機構20、ポンプシャフト10及び流量調整軸30との係合状態が常時維持されるので、偏心カム23の回転により、ポンプシャフト10のストローク量Sは前記偏心量eの2倍となる。
【0017】
尚、調整ダイヤル33の回転と共に流量調整軸30も回転するが、流量調整軸30は、前記連結手段により、ダイヤフラム軸41に相対回転自在に連結されているため、ダイヤフラム軸41が回転しなくても、何ら支障となることはない。
【0018】
かかる状態でのポンプ吐出行程は、モータにより駆動する減速機の回転軸21を介して回転駆動された偏心カム機構20が、流量調整軸30を突出させる側へと押圧して往動させ、ポンプ部2の流体がダイヤフラム6により吐出孔から吐出され、ポンプの吐出量が最大となる。尚、コイルバネ16の弾性力もポンプ吐出時のポンプシャフト10の推力に寄与しているため、ポンプの小型化を効果的に図ることができる。
【0019】
一方、ポンプ吸入行程は、回転駆動される偏心カム機構20の玉軸受25がポンプシャフト10の環状部13の当接部24に係合してるため、玉軸受25によりポンプシャフト10がコイルバネ16の弾性力に抗して後壁8b側へと押圧されて復動し、ダイヤフラム6により流体が吸入孔からポンプ室内に吸入される。かかるポンプ吸入行程においては、流体をポンプ室に取り込むに要するだけの駆動力で十分であり、前記ポンプ吐出行程に比し、小さな駆動力でコイルバネ16を収縮させることができる。
【0020】
次に、ポンプシャフト10のストローク量Sを変更する場合には、調整ダイヤル33を前記と反対の方向に回転させると、ポンプシャフト10のストローク量Sを無段階に少なくすることができる。
【0021】
具体的に説明すると、例えばストローク量Sを50%に変更したい場合は、図4に示す如く、ポンプシャフト10が最も突出した位置(ポンプ吐出最終行程)を基準として、調整ダイヤル33を回転させると、該調整ダイヤル33は、保持部31に対してポンプ2側に移動するため、流量調整軸30を回転させながら所定量だけ突出させることができる。ポンプ吸入最終行程には偏心カム機構20の玉軸受25と流量調整軸30間に偏心量eだけの間隙が形成されることになる。この結果、同図の下部に示す如く、ポンプシャフト10のストローク量Sは50%に調整されて、ポンプの吐出量も半分に減少する。
【0022】
更に、図5に示す如く、調整ダイヤル33を回転させると、流量調整軸30を回転させながら所定量だけ突出させることができ、前記間隙が偏心量eの2倍となって図の二点鎖線に示す如く偏心カム23は空転するため、ポンプシャフト10のストローク量Sは0となり、ポンプ動作も行われないのである。このようにストローク調整は、ポンプシャフト10が最も突出した位置を基準として行えることから、ポンプ効率が良くなる利点がある。
【0023】
尚、かかる一連の流量調整操作はポンプ停止時のみならず、運転時においても行うことができる。調整ダイヤル33を適宜任意の方向(流体の吐出量を増加又は減少させる方向)に所定量(所定角度)回転させることにより、流量調整軸30をポンプシャフト10の移動方向の任意の位置に変更して、流量を無段階に調整することができる。
【0024】
また、ストローク量調整手段5は、駆動ボックス8の前壁8a側、即ち、駆動ボックス8とポンプ部2との間の空間に設けられているため、調整ダイヤル33を操作するのに支障となることはない。しかも、駆動ボックス8の両側壁8c及び上壁にストローク量調整手段5を設けていないため、駆動ボックス8の両側壁及び上壁と、他の装置との間隙を必要以上に設ける必要はない。
【0025】
更に、ポンプのメンテナンスを行う際には、前記ジョイント46を後退移動させると、係止部材40の係合部44は、ダイヤフラム軸41の被係合部43から離間するため、ダイヤフラム軸41とポンプシャフト10側との係合を解除できる。また、ジョイント46を前記と反対方向に移動させると、ダイヤフラム軸41とポンプシャフト10側とを係合でき、着脱作業をワンタッチで容易且つ迅速に行える。
【0026】
また、ダイヤフラム軸41と流量調整軸30の連結又は離脱作業は、駆動ボックス8とポンプ部2との間に設けられた空間で行えるため、該空間を有効に利用してストローク調整作業とメンテナンス作業とを容易且つ迅速に行うことができる。
【0027】
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、ポンプ部は、ダイヤフラム式以外に、プランジャー式等のものであっても良く、その種類は特に限定されるものではない。
【0028】
また、ストローク調整手段5は、前記のものに限定されるものではなく、図6に示すものであっても良い。具体的には、前記流量調整軸30は、内軸30aと該内軸30aに相対回転自在で且つ軸方向に相対移動不可能に外嵌された外筒30bとからなる。そして、内軸30aの端面が前記偏心カム機構20の玉軸受25の外輪に当接している。しかも、前記ダイヤフラム軸41は内軸30aの先端部に直接連結されている。前記外筒30bには、前記調整ダイヤル33の開口35がスプライン嵌合するスプライン部37が設けられている。また、前記外筒30bには、前記ポンプシャフト10の取付部27の雌ねじ部28に螺合するねじ部29が形成されている。
【0029】
この構成からなるストローク調整手段5は、調整ダイヤル33を所定の方向に回転させると、外筒30bも一体的に回転する。外筒30bは、ポンプシャフト10の取付部27に螺合されているため、回転しながら内軸30aを移動させることができる。外筒30bは、内軸30aと相対回転するため、内軸30aが回転することはない。かかる構成のストローク調整手段5は、内軸30aが回転しないため、内軸30aに連結されるポンプ側のダイヤフラム軸41等の軸が回転をしない場合に最適である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明のストローク量調整手段は、前記駆動ボックスのポンプ部側に設けられ、しかも、ポンプ部吐出工程において偏心カム機構に当接する流量調整軸を備え、該流量調整軸の位置をポンプシャフトの移動方向に位置変更させることにより、前記ポンプシャフトのストローク量を調整し得るように構成されているので、ポンプ部と駆動ボックス間に形成される空間を兼用してストローク調整作業とメンテナンス等の作業とを容易且つ迅速に行えることとなり、往復動ポンプの設置スペースを小さくできる利点がある。
【0031】
しかも、前記流量調整軸は、駆動ボックスに出退自在に螺合され、しかも、駆動ボックスには、調整ダイヤルが回転自在に螺合され、該調整ダイヤルに前記流量調整軸が相対回転不可能で且つ軸方向に移動自在に挿通されている場合には、調整ダイヤルを任意の方向に所定量回転させて流体の吐出量を無段階で調整できる。
【0032】
更に、前記流量調整軸の先端部には、該先端部をポンプ部側の駆動軸に相対回転自在に連結する連結手段が設けられている場合には、例えばダイヤフラム式のように駆動軸が回転不可能のようなポンプであっても、ストローク調整時に、流量調整軸が回転しても、駆動軸に対して流量調整軸の相対回転を許容するため、何ら支障となることはなく、ポンプの種類に関係なく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す全体断面図である。
【図2】連結手段を示し、(イ)は駆動軸と流量調整軸とを連結した状態の断面図、(ロ)は同連結を解除した状態の断面図である。
【図3】ポンプシャフトのストローク量が最大の場合を示す断面図である。
【図4】ポンプシャフトのストローク量が50%の場合を示す断面図である。
【図5】ポンプシャフトのストローク量が0%の場合を示す断面図である。
【図6】ストローク調整手段の他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2…ポンプ部、4…駆動伝達手段、5…ストローク量調整手段8…駆動ボックス、10…ポンプシャフト、20…偏心カム機構、30…流量調整軸、33…調整ダイヤル、41…ダイヤフラム軸(駆動軸)、S…ストローク量、e…偏心量
Claims (3)
- ポンプ部を作動させるべく駆動ボックス内に往復移動自在に収容されたポンプシャフトと、該ポンプシャフトを往復移動させる偏心カム機構を備えた駆動伝達手段と、前記ポンプシャフトのストローク量を調整するためのストローク量調整手段とを備えた往復動ポンプのストローク量調整装置において、前記ストローク量調整手段は、前記駆動ボックスのポンプ部側に設けられ、しかも、ポンプ部吐出工程において偏心カム機構に当接する流量調整軸を備え、該流量調整軸の位置をポンプシャフトの移動方向に位置変更させることにより、前記ポンプシャフトのストローク量を調整し得るように構成されてなることを特徴とする往復動ポンプのストローク量調整装置。
- 前記流量調整軸は、前記ポンプシャフトに出退自在に螺合され、しかも、駆動ボックスには、調整ダイヤルが回転自在に螺合され、該調整ダイヤルに前記流量調整軸が相対回転不可能で且つ軸方向に移動自在に挿通されている請求項1に記載の往復動ポンプのストローク量調整装置。
- 前記流量調整軸の先端部には、該先端部をポンプ部側の駆動軸に相対回転自在に連結する連結手段が設けられている請求項1又は2に記載の往復動ポンプのストローク量調整装置。
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