JP4733111B2 - 弾性表面波モータ - Google Patents

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Description

本発明は、弾性表面波モータに関し、特にエネルギ回収型弾性表面波モータに関する。
従来、アクチュエータとして超音波モータが知られている。超音波モータの一つに、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を用いるモータ、すなわち弾性表面波モータがある。弾性表面波は、例えば、弾性体の表面に生成された楕円運動による振動が弾性体の表面を伝搬する波(レイリー波)である。モータとしての駆動力は、この楕円運動に基づく摩擦力として取り出される。弾性表面波モータは、高速、高応答、高推力という優れた動作特性を有する小型リニアモータとして、その応用が期待されている。その特性として、例えば、1m/秒の移動速度が実現されており、また、自重の30倍以上の推力を発生できることが実証されている。
弾性表面波モータは、例えば、ステータとなる弾性表面波基板と、その表面に弾性表面波を発生させる交差指電極(IDT:Interdigital Transducer)と、弾性表面波基板上に配置されて走行するスライダと、摩擦力を得るためにスライダを弾性表面波基板に所定の圧力で接触させる予圧手段と、を備えて構成される(例えば、特開平09−233865号公報参照)。
また、弾性表面波モータにおいて、弾性表面波を生成するために、弾性表面波基板の一端に設けた交差指電極を用いてエネルギを供給し、駆動に使われなかった弾性表面波のエネルギを、他端で回収して再利用するエネルギ回収型の弾性表面波モータが知られている(例えば、特開平11−146665号公報参照)。
従来のエネルギ回収型の弾性表面波モータを、FIG.25A,25Bを参照して説明する。この弾性表面波モータは、ステータとなる弾性表面波基板2と、その表面S上で駆動されて直線移動するスライダ3と、を備えたリニアモータである。弾性表面波基板2の表面Sには、交差指電極4a,4bから成るエネルギ補填用の交差指電極4と、交差指電極4を挟んで互いに離れて配置された一対の交差指電極5と、が設けられている。
弾性表面波基板2は、厚さ1mm程度の圧電材料からなる。交差指電極4,5は、薄膜導体をパターニングして櫛の歯を互いに噛み合わせる形状に形成されている。交差指電極5は、弾性表面波のエネルギを回収すると共に弾性表面波を発生させるエネルギを供給する。スライダ3は、交差指電極4と交差指電極5の間に設けられた走行部21に配置される。スライダ3は、予圧付与手段30からの予圧Nによって表面Sに押圧されている。
上述の状態で、交差指電極4bに外部電源V1からv1=v0・cosωt、交差指電極4aに外部電源V2からv2=v0・sinωtの所定の周波数ωの高周波(MHz帯)電圧を印加すると、交差指電極4a,4bによって電気的エネルギが波の機械的エネルギに変換され、表面S上を図の右向きに進む弾性表面波Wが発生する。なお、弾性表面波Wの楕円運動に基づく表面S上の点の運動方向は、弾性表面波Wの進行方向とは逆である。右向きに進行する弾性表面波Wの楕円振動による摩擦力がスライダ3に作用し、スライダ3が、弾性表面波Wの進行方向とは逆の方向(図の左方)に駆動される。弾性表面波Wは、スライダ3を駆動するエネルギを失いつつ、スライダ3の右側に通過し、弾性表面波wとなってさらに右方に進む。
右方の交差指電極5は、弾性表面波wから機械的エネルギを受け取って電気的エネルギとする、いわゆる機械電気変換を行う。電気的エネルギとして回収されたエネルギは、配線7を介して電気接続された左方の交差指電極5に送られる。左方の交差指電極5は、この電気的エネルギを機械的エネルギとする電気機械変換を行ってエネルギを表面S上に供給し、弾性表面波Wの生成に寄与する。この弾性表面波モータは、一対の交差指電極5を用いて、エネルギを環流(エネルギの回収と供給)し、交差指電極4を用いて、エネルギの消費分を補填するので、交差指電極5を用いない場合に比べて、より少ない消費エネルギで動作する。
しかしながら、上述したFIG.25A,25Bや特開平11−146665号公報に示されるようなエネルギ回収型の弾性表面波モータにおいては、以下に示すような問題がある。これをFIG.26,FIG.27A〜FIG.30Bを参照して説明する。FIG.26は、スライダ3が表面Sに接触している部分の拡大イメージを示し、表面Sに発生している弾性表面波W,w1,w2の振幅が拡大して示されている。スライダ3が弾性表面波基板2の表面Sと接触する部分において、もとの弾性表面波Wに対して位相差ΔXの位相変化を受けた弾性表面波w2が発生する。
従って、スライダ3を通過した弾性表面波wには、弾性表面波Wと同位相の弾性表面波w1と共に、位相変化を受けた弾性表面波w2が含まれている。このため、右方の交差指電極5に到達した弾性表面波wは、その進行方向に直交する幅方向に沿って位相が異なり、交差指電極5において機械的エネルギから電気的エネルギに変換されるときに一部の波が打ち消しあい、エネルギ損失が生じる。弾性表面波wが弾性表面波w1,w2の混合状態となって表面Sに発生するのは、FIG.25Aに示すように、交差指電極4,5によって形成される弾性表面波の幅gよりもスライダ3の幅fが小さいからである。
上述の弾性表面波w2の存在によるエネルギの損失発生をさらに説明する。まず、エネルギ回収効率について説明する。弾性表面波w1,w2に位相差がない場合、個々の波w1,w2のエネルギe1=e(w1),e2=e(w2)、及び全体の波wから回収される波のエネルギe=e(w)は、FIG.27A,27Bに示すようになる。ここで、e(*)は波のエネルギを求める操作を示す。同様に、弾性表面波w1,w2に位相差がある場合、個々の波w1,w2のエネルギe1,e2、及び全体の波wから回収される波のエネルギeα=e(w)は、FIG.28A,28Bに示すようになる。
後者のように、弾性表面波wに位相差が含まれている場合、FIG.26における位相差ΔXに対応して、エネルギe1,e2に位相差Δt1が発生する。この位相差Δt1の影響によって、エネルギeαはエネルギeよりも小さくなり(eα<e)、エネルギ回収効率が悪くなる。また、エネルギeの位相は、交差指電極4から供給される補填エネルギの位相と同相であるが、エネルギeαには位相差Δt2が発生する。
次に、エネルギ供給効率について説明する。交差指電極4から供給される補填エネルギE0と左方の交差指電極5から供給される環流エネルギeが同相の場合、これらのエネルギE0,e、及び、これらのエネルギによって生成された波WのエネルギE1=e(W(E0+e))は、FIG.29A,29Bに示すようになる。ここで、W(*)は波を生成する操作を示す。また、上述のように位相差Δt2がある場合、補填エネルギE0と、位相差Δt2を有して供給される環流エネルギeαと、これらのエネルギE0,eαの供給によって生成された波WのエネルギEβ=e(W(E0+eα))は、FIG.30A,30Bに示すようになる。
補填エネルギE0と環流エネルギeとが同相の場合、互いに悪影響を及ぼすことはないが、同相でない場合、エネルギEβがエネルギE1よりも小さくなり(Eα<E1)、エネルギ供給効率が悪くなる。また、エネルギEβの位相は、エネルギE1に対して位相差Δt3が発生する。
上述のように、スライダ3が弾性表面波基板2の表面Sと接触することにより発生する位相差ΔXに起因して、環流エネルギeαや生成された弾性表面波WのエネルギEβの低下、及び位相差Δt1,Δt2,Δt3の存在によるエネルギ損失や駆動特性の劣化が発生する。また、このような位相差は、スライダ3が表面Sに接触すること以外に、例えば、周囲の温度変化によって弾性表面波基板2の特性が変化したり、表面Sに設けられた交差指電極パターンが設計値からずれたりすることによっても生じる。このため、従来の弾性表面波モータには、依然として、スライダ3を駆動する電力の低減に限界がある。
本発明は、上記課題を解消するものであって、エネルギの回収と供給に際し位相変化を調整してエネルギ効率の向上を実現したエネルギ回収型の弾性表面波モータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、弾性表面波基板と、前記弾性表面波基板の表面に予圧を付与された状態で接触して配置されるスライダと、前記弾性表面波基板表面に設けられ、外部電源に接続されて前記弾性表面波基板に駆動用の弾性表面波を発生させ、前記弾性表面波と前記スライダに対する予圧とに基づいて前記スライダの前記弾性表面波基板との接触面に発生する摩擦力により前記スライダを駆動する駆動用交差指電極と、前記弾性表面波基板表面の前記弾性表面波の進行方向の前後に配置され、前記弾性表面波におけるスライダの駆動に利用されない弾性表面波のエネルギを回収し、その回収したエネルギを用いて弾性表面波を発生させる回収用交差指電極と、を備えた弾性表面波モータにおいて、前記回収用交差指電極により発生される弾性表面波の位相と、前記駆動用交差指電極が発生する駆動用の弾性表面波の位相とを合わせる位相調整手段を備え、前記位相調整手段は、前記回収用交差指電極により発生される弾性表面波の位相と前記駆動用交差指電極が発生する駆動用の弾性表面波の位相との位相差であって、前記スライダが前記弾性表面波基板の表面に接触することによって発生する位相差、又は前記弾性表面波基板と前記スライダの動作特性の変動によって発生する位相差をなくすように位相を合わせるものである。
このような構成によれば、回収用交差指電極により発生される弾性表面波の位相を、駆動用交差指電極が発生する駆動用の弾性表面波の位相に合わせる位相調整手段を備えるので、位相の揃った駆動用の弾性表面波によってエネルギ効率良く弾性表面波モータを駆動できる。本発明における位相調整手段による位相の調整は、回収用交差指電極によって弾性表面波のエネルギを回収する前の段階、回収したエネルギを環流させる間、回収用交差指電極にエネルギを供給して弾性表面波を発生させる段階、等のいずれの段階においても行うことができる。
回収する前の段階で位相の調整を行う場合、効率的に弾性表面波のエネルギを回収できる。また、回収後、及び供給段階で位相の調整を行う場合、エネルギ効率の良い駆動用の弾性表面波、すなわち、スライダに有効に使用される駆動用の弾性表面波を発生させることができる。このように、本発明のエネルギ回収型の弾性表面波モータは、位相調整手段を用いてエネルギの回収と供給に際し位相変化を調整して弾性表面波の位相を合わせることができ、従って、異なる位相の弾性表面波の干渉によるエネルギの無効化を排除してエネルギ効率の向上を実現できる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記回収用交差指電極を少なくとも一対有し、その一方を用いて弾性表面波の機械的エネルギを電気エネルギに変換して回収し、他方を用いて前記回収した電気エネルギを機械的エネルギに変換し、駆動用の弾性表面波を発生するものである。
このような構成によれば、エネルギを電気的エネルギの状態で回収し、環流するので、電気回路による位相調整ができ、位相調整手段による位相調整が容易になる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記位相調整手段は、前記回収用交差指電極の一方と他方との間に接続された電気回路により構成されているものである。
このような構成によれば、電気回路により電気的エネルギの状態で位相調整を行うので、適宜の位相調整が容易であり、スライダの寸法変更への対応や、機械的な位相調整に対する微調整への対応が容易である。
本発明は、上述の改良された発明において、前記位相調整手段は、前記回収用及び駆動用の各交差指電極のいずれかにより挟まれた弾性表面波基板の前記スライダが走行する領域の走行方向の長さにより設定され、その長さを、当該領域に前記スライダを配置しない状態で共振状態の弾性表面波を発生する長さに、当該領域に前記スライダを配置することにより生じる共振状態の弾性表面波の位相変化分の長さを加えた長さとしたものである。
このような構成によれば、スライダの配置によって弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離を予め走行部の長さに加えることにより位相調整手段を構成するので、弾性表面波基板の表面に配置する交差指電極のパターン設計によって容易にエネルギ効率の向上を実現できる。ここで、共振状態の弾性表面波を発生するとは、弾性表面波の発生側と回収側における境界が、周期境界条件を満たしている状態で弾性表面波を発生しているということに相当する。
本発明は、上述の改良された発明において、前記回収用交差指電極を少なくとも一対有し、その一方を用いて弾性表面波を反射させて前記駆動用交差指電極側に戻すことによりその弾性表面波のエネルギを回収し、他方を用いて前記戻された弾性表面波を再度反射することにより、駆動用の弾性表面波を発生するものである。
このような構成によれば、弾性表面波のエネルギを回収し、供給する手段を弾性表面波基板に作り込むことができる。弾性表面波基板の表面を用いて機械的に回収してエネルギを環流するので、環流のための電気回路が不要である。位相調整手段による位相調整は、例えば、回収用交差指電極にインピーダンス変更用の受動素子を接続して行うことができる。本発明の弾性表面波モータは、多重反射する波の内、駆動用の弾性表面波と同じ方向に向かう波の位相を互いに揃え、これらの波のエネルギを反対方向に向かう波のエネルギよりも大きくしてスライダを駆動するものである。従って、反射率の調整によって、スライダの走行速度を変更することができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記回収用交差指電極の駆動用交差指電極側は、前記駆動用交差指電極を兼ねているものである。
このような構成によれば、交差指電極の構造を簡単にでき、弾性表面波モータを小型化できる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記位相調整手段は、前記一対の回収用交差指電極の等価反射面間の長さにより設定され、前記長さが前記回収用交差指電極により発生する弾性表面波の半波長の整数倍に実質的に等しいものである。
このような構成によれば、弾性表面波が2回反射して、再度駆動用の弾性表面波となる際に、自動的に位相調整を行うことができる。また、複数の櫛歯状電極を用いて構成する交差指電極に対して、等価反射面間の長さを用いて回収用交差指電極間の距離を設定するので、交差指電極全体として最適の条件設定を実現できる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記位相調整手段は、駆動用の弾性表面波の進行方向前方に配置された前記回収用交差指電極に接続された電気回路により構成され、その電気回路のインピーダンスを設定することにより当該交差指電極で反射される反射波の位相を調整するものである。
このような構成によれば、位相の調整が容易である。
本発明は、上述の改良された発明において、前記回収用交差指電極によって反射される反射波の反射率は、当該交差指電極の電極間隔の調整、その交差指電極の電極指数の調整、前記スライダに付与する予圧の大きさ調整の内の少なくとも1つにより調整されるものである。
このような構成によれば、反射率の調整により、スライダの走行を容易に制御できる。交差指電極の電極間隔や電極指数は、設計に基づいて弾性表面波基板に作り込むことができる。また、予圧の調整による反射率の調整は、弾性表面波モータの駆動に際して、適宜行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記回収用交差指電極に接続された電気回路によってインピーダンスを設定することにより、その交差指電極で反射される反射波の反射率を調整するものである。
このような構成によれば、反射率の調整を、弾性表面波モータの駆動中に、又は駆動前に、適宜、容易に行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記駆動用交差指電極は、前記弾性表面波基板表面の駆動用の弾性表面波の進行方向の前後に設けられており、これらの駆動用交差指電極のいずれかに選択的に前記外部電源を接続するスイッチと、前記一対の回収用交差指電極のいずれかに選択的に前記電気回路を接続するスイッチと、を備え、これらのスイッチにより、駆動用の弾性表面波の進行方向を切り替えるものである。
このような構成によれば、駆動用の弾性表面波を発生させるための外部電源を1つにすることができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記駆動用交差指電極は、前記一対の回収用交差指電極の間に配置されると共に、いずれも前記スイッチを介することなく前記外部電源に接続され、前記一対の回収用交差指電極のいずれかに前記スイッチを用いて選択的に前記電気回路を接続することにより、駆動用の弾性表面波の進行方向を切り替えるものである。
このような構成によれば、外部電源の切り替えを行わないので、単一のスイッチでスライダの走行方向を切り替えて、往復運動させることができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記電気回路のインピーダンスが可変のものである。
このような構成によれば、スライダの走行速度や走行方向のリアルタイム制御が可能である。弾性表面波モータを駆動する際に、例えば、外部電源の電圧変動等から生じる波の振幅の変動、弾性表面波基板の特性変動、交差指電極寸法の製造変動による波長の変動や位相差の発生、スライダの予圧の変動等から生じる位相の変動、等によって発生する条件変動に対応して反射率を調整してスライダを動作させることができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記弾性表面波基板に対する前記スライダの相対速度を検出する速度検出装置と、前記スライダの目標移動速度を入力する速度入力装置と、前記速度検出装置によって検出された相対速度と前記速度入力装置によって入力された目標移動速度とが一致するように前記電気回路のインピーダンスを変化させるフィードバック制御を行うフィードバック装置と、を備えたものである。
このような構成によれば、外部電源を調整することなく、電気回路のインピーダンス、例えば、抵抗成分を変化させて、スライダの速度制御を容易に行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記外部電源からの弾性表面波発生用の電圧波形の位相と実際に発生した駆動用の弾性表面波の位相との差を検出する位相差検出装置と、目標とする位相差を入力する位相差入力装置と、前記位相差検出装置によって検出された位相差と前記位相差入力装置によって入力された目標位相差とが一致するように前記電気回路のインピーダンスを変化させるフィードバック制御を行うフィードバック装置と、を備えたものである。
このような構成によれば、外部電源を調整することなく、電気回路のインピーダンス、例えば、リアクタンス成分を変化させることにより弾性表面波の位相を調整して、スライダの速度制御を容易に行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記駆動用交差指電極は、前記弾性表面波基板表面の弾性表面波の進行方向の前後に設けられており、これらの駆動用交差指電極の少なくとも一方は、当該駆動用交差指電極が発生する弾性表面波が交差指電極の両側に均等に出ていくことなく、一方側に出ていく弾性表面波の振幅が、他方側に出ていく弾性表面波の振幅よりも大きくなるようにする一方向化手段を備えているものである。
このような構成によれば、一方向性化手段を備えることによって、従来損失となっていたエネルギを駆動用に利用でき、エネルギ効率が向上する。すなわち、通常、交差指電極の両側に発生する弾性表面波のうち、スライダを駆動する側に向かわない弾性表面波が捨てられてエネルギの損失となっているが、一方向性化手段を備えることによって、損失を回避できる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記スライダの前記弾性表面波基板の表面に接触する部分の、弾性表面波の進行方向と直交する方向の幅は、前記駆動用交差指電極における電極重なり幅と実質的に等しいものである。
このような構成によれば、交差指電極によって生成される弾性表面波の幅とスライダの弾性表面波基板への接触部分の幅とを略等しくするので、回収用交差指電極に到達する弾性表面波が同一位相の弾性表面波となり、従って、弾性表面波から、利用効率の高いエネルギを回収できる。すなわち、スライダと交差指電極の寸法関係の調整によって、位相調整手段が構成されている。このような位相調整手段によって、弾性表面波の位相変化を調整するで、従来損失となっていたエネルギを回収でき、また、供給するエネルギの位相に対して環流するエネルギの位相を同じくできるので、弾性表面波を生成するときに干渉によるエネルギ損失を抑制でき、エネルギ効率を向上できる。
本発明は、上述の改良された発明において、前記スライダは、当該スライダの前記弾性表面波基板の表面と接触する部分に、弾性表面波の進行方向と直交する方向に一様に分布した接触突起を持つものである。
このような構成によれば、スライダの弾性表面波基板の表面と接触する部分が、弾性表面波の進行方向と直交する幅方向の全幅にわたり一様な構造とされているので、スライダの幅方向において生じる位相変化は略等しくなり、従って、弾性表面波が、回収用交差指電極に一様な位相で到達し、そのエネルギを効率良く回収できる。
FIG.1は本発明の弾性表面波モータの構成を説明する概念図。 FIG.2は本発明の第1の実施形態に係る弾性表面波モータの平面図。 FIG.3Aは本発明の第2の実施形態に係る弾性表面波モータの平面図、FIG.3Bは同弾性表面波モータの断面図。 FIG.4Aは同上弾性表面波モータにおけるスライダの弾性表面波基板との接触部分とその拡大部分の断面図、FIG.4Bは同スライダの接触面の平面図。 FIG.5Aは本発明の第3の実施形態に係る弾性表面波モータの概略説明図、FIG.5Bは同弾性表面波モータの要部の平面図、FIG.5Bはスライダの斜視図。 FIG.6Aは交差指電極の反射率の周波数特性グラフ、FIG.6Bは交差指電極の組数を変化させた際の反射率の周波数特性グラフ、FIG.6Cは交差指電極の組数と反射率の最大値との関係を示すグラフ。 FIG.7Aは本発明の第4の実施形態に係る弾性表面波モータの概略説明図、FIG.7Bはスライダに付与された予圧と弾性表面波の透過率との関係を示すグラフ。 FIG.8Aは本発明の第5の実施形態に係る弾性表面波モータの概略説明図、FIG.8Bは同弾性表面波モータの要部の説明図。 FIG.9Aは同上弾性表面波モータの一方向性交差指電極の反射率を2つの交差指電極の寄与に分けて表示した周波数特性グラフ、FIG.9Bは同弾性表面波モータの一対の一方向性交差指電極の各反射率の周波数特性グラフ。 FIG.10は本発明の第6の実施形態に係る弾性表面波モータの交差指電極を示す部分上面図。 FIG.11は同上弾性表面波モータの交差指電極の他の例を示す部分上面図。 FIG.12Aは同上弾性表面波モータの交差指電極のさらに他の例を示す部分上面図、FIG.12Bは同交差指電極の部分断面図。 FIG.13は本発明の第7の実施形態に係る弾性表面波モータの回収用交差指電極の反射率の調整を説明する周波数特性グラフ。 FIG.14A,14Bは同上弾性表面波モータの回収用交差指電極の反射率をインピーダンスにより調整してスライダを移動させる様子を示す概略説明図。 FIG.15A〜15Dは同上弾性表面波モータの回収用交差指電極がそれぞれ異なる例であり、各回収用交差指電極の反射率又は位相をインピーダンスの調整により調整してスライダを移動させる様子を示す概略説明図。 FIG.16は同上弾性表面波モータの交差指電極へのインピーダンス調整用電気回路の接続方法の他の例を示す概略説明図。 FIG.17A,17Bは本発明の第8の実施形態に係る弾性表面波モータにおける反射弾性表面波の位相調整の例を示す交差指電極部の概略説明図。 FIG.18A,18Bは本発明の第9の実施形態に係る弾性表面波モータにおけるスライダの移動方向をスイッチで切り替える様子を示す概略説明図。 FIG.19A,19Bは本発明の第10の実施形態に係る弾性表面波モータの動作を説明する概略説明図。 FIG.20は、同上弾性表面波モータにおけるスライダの移動方向をスイッチで切り替える様子を示す概略説明図。 FIG.21A,21Bは本発明の第11の実施形態に係る弾性表面波モータの動作を説明する概略説明図。 FIG.22は本発明の第12の実施形態に係る弾性表面波モータの動作を説明する概略上面図。 FIG.23は本発明の第13の実施形態に係る弾性表面波モータの制御ブロック構成図。 FIG.24は本発明の第14の実施形態に係る弾性表面波モータの制御ブロック構成図。 FIG.25Aは従来の弾性表面波モータの平面図、FIG.25Bは同弾性表面波モータの断面図。 FIG.26は従来の弾性表面波モータにおけるスライダと弾性表面波の関係を示す模式的斜視図。 FIG.27Aは同位相の2つの弾性表面波のエネルギの時間変化を示すグラフ、FIG.27Bは前記2つの弾性表面波を合成した波のエネルギの時間変化を示すグラフ。 FIG.28Aは位相差のある2つの弾性表面波のエネルギの時間変化を示すグラフ、FIG.28Bは前記2つの弾性表面波を合成した波のエネルギの時間変化を示すグラフ。 FIG.29Aは2つの位相の揃ったエネルギ源から供給される弾性表面波生成用のエネルギの時間変化を示すグラフ、FIG.29Bは前記2つのエネルギにより生成された弾性表面波のエネルギの時間変化を示すグラフ。 FIG.30Aは位相差のある2つの弾性表面波のエネルギの時間変化を示すグラフ、FIG.30Bは前記2つのエネルギにより生成された弾性表面波のエネルギの時間変化を示すグラフ。
以下、本発明のエネルギ回収型の弾性表面波モータを、図面を参照して説明する。FIG.1は弾性表面波モータ1の概念的な構成を示す。弾性表面波モータ1は、弾性表面波基板2と、弾性表面波基板2の表面Sに予圧Nを付与された状態で接触して配置されるスライダ3と、表面Sに設けられ、外部電源Vに接続されて表面Sに駆動用の弾性表面波Wを発生させ、弾性表面波Wとスライダ3に対する予圧Nとに基づいてスライダ3の弾性表面波基板2との接触面に発生する摩擦力によりスライダ3を駆動する駆動用交差指電極4と、表面Sの弾性表面波Wの進行方向の前後に配置され、弾性表面波Wにおけるスライダ3の駆動に利用されない弾性表面波wのエネルギを回収し、その回収したエネルギを用いて弾性表面波Wを発生させる回収用交差指電極5と、を備えている。
また、弾性表面波モータ1は、回収用交差指電極5により発生される弾性表面波の位相と、駆動用交差指電極4が発生する駆動用の弾性表面波Wの位相とを合わせる位相調整手段10と、回収したエネルギを供給側に環流するためのエネルギ環流手段11と、備えている。弾性表面波基板2は、弾性表面波モータ1の固定子であり、スライダ3は、移動子である。両者が相対的に移動する。これらの固定子及び移動子としての役割は、もちろん、逆であってもよい。以下、弾性表面波モータ1の各構成要素を説明する。
弾性表面波基板2は、電気機械結合係数が高い圧電材料を用いて形成される。圧電材料として、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO)の単結晶板が用いられる。弾性表面波基板2は、全体が圧電材料により形成されたものに限らず、非圧電材料の基板の表面にZnOやPZT等の圧電薄膜を形成したものであってもよい。もちろん他の形状や材質の圧電材料であってもよい。弾性表面波基板2は、例えば、厚さ1mm程度の矩形状である。外形は、平板でなく曲面でもよく、また矩形でなく円形や任意形状でもよい。
スライダ3は、通常、シリコンのような硬い材料でできている。スライダ3の弾性表面波基板2との接触面には、複数の突起が設けられている(FIG.4A,FIG.5C参照)。このような突起は、例えばシリコンを用いる場合、エッチング加工によって容易に形成される。材料は、シリコンでなくとも十分な機械的強度や耐摩耗性の材料であればよい。弾性表面波によって楕円運動する弾性表面波基板2の表面Sとスライダ3の接触面との間で十分な摩擦力が発生するのであれば、スライダ3の接触面の構造は突起を有するもに限らない。
スライダ3に予圧Nを加える予圧付与手段30は、例えば、板ばねやスプリングコイル等の弾性体を用いて構成される。また、スライダ3を磁性体で形成したり、スライダ3にソレノイドコイルを備えたりして、永久磁石や電磁石による磁力によって予圧を加えるようにしてもよい。
駆動用交差指電極4と回収用交差指電極5は、それぞれ、電源接続の有無、弾性表面波基板2上の配置位置、個別電極の個数など、用途に基づく差異があるが、基本的に類似構造の交差指電極(IDT:Interdigital Transducer)から構成される。なお、反射用電極として、はしご状の電極を用いることもある(FIG.10)。交差指電極は、櫛の歯状の個別電極をまとめて櫛状電極とし、2つの櫛状電極を櫛の歯を互いに噛み合わせるように向かい合わせて組み合わせて形成されている(FIG.2参照)。
交差指電極は、弾性表面波基板2の表面Sに形成した薄膜導体をパターニングして形成される。隣接する個別電極は、通常、互いに異極とされる。なお、反射用電極として、フロート電位の個別電極を用いることもある。また、個別電極間の配置間隔(ピッチ)は、通常、弾性表面波の半波長とされる。交差指電極によって発生される弾性表面波の進行方向は、個別電極に直交する方向である。同様に、弾性表面波のエネルギを吸収する交差指電極の個別電極は、弾性表面波の進行方向に直交する方向である。なお、本明細書では、説明の便宜上、図の左右方向によって、弾性表面波モータ1の左又は右を指すことがあるが、本発明の弾性表面波モータ1は一般に左右上下を含む任意方向の姿勢で駆動可能である。
回収用交差指電極5は、2つあり、これらは、エネルギの回収用と回収したエネルギの供給用である。ところで、FIG.1に示す弾性表面波モータ1は、説明の便のために、図の右向きの駆動用弾性表面波Wによってスライダ3を左向きに走行させる状況を想定したものである。この図において、右側の回収用交差指電極5が回収用であり、左側の回収用交差指電極5が供給用である。エネルギ供給用の回収用交差指電極5は、駆動用交差指電極4と兼ねて構成することができる。また、右側に駆動用交差指電極4を設け、左側の回収用交差指電極5を回収用とし、右側の回収用交差指電極5を供給用とすれば、スライダ3を右向きに走行させることができる。
上述の駆動用交差指電極4や回収用交差指電極5は、通常、これらの電極から出ていく弾性表面波の方向が一方向と成るように構成され、又は、使用時に方向性を制御できるように構成されている。交差指電極に反射電極や反射器を備えたものが前者であり、追加の電源と交差指電極とを備えてアクティブに方向性を設定できるようにしたものが後者である。なお、「弾性表面波の方向が一方向」とは、「弾性表面波が交差指電極の両側に均等に出ていくのではなく、一方に出ていく弾性表面波の振幅が、他方に出ていく弾性表面波の振幅よりも大きい」という意味である。FIG.1において、駆動用交差指電極4と左側の回収用交差指電極5は、右向きにのみ弾性表面波が出ていく一方向性の交差指電極となっており、右側の回収用交差指電極5は、弾性表面波が右向きには出ていかない一方向性の交差指電極となっている。
次に、弾性表面波モータ1の動作を説明する。上述のFIG.1の状態で、駆動用交差指電極4に、外部電源Vから所定のMHz帯の高周波電圧を印加すると、その高周波電圧の電気的エネルギE0に基づいて、表面S上を右向きに進行する弾性表面波Wが発生する。弾性表面波Wが励振されると、スライダ3が左方に向けて駆動される。スライダ3の駆動に一部のエネルギを消費した弾性表面波Wは、弾性表面波wとなってスライダ3の右方に進む。他の条件が一定の場合、スライダ3の移動速度は印加電圧の大きさで決まり、移動距離は印加電圧の大きさと電圧印加時間で決まる
右側の回収用交差指電極5は、弾性表面波wの機械的エネルギEからエネルギ回収し、その回収されたエネルギは、環流手段11によって、左側の回収用交差指電極5に環流される。左側の回収用交差指電極5は、環流されたエネルギを供給され、そのエネルギeに基づいて、駆動用の弾性表面波Wを生成する。
回収したエネルギは、環流に際して、電気的エネルギの状態とされる場合と、機械的エネルギの状態とされる場合がある。エネルギ環流手段11は、電気的エネルギの場合、電気回路を用いて環流し、機械的エネルギの場合、弾性表面波基板2の表面を弾性表面波の状態、つまり反射波として環流する。
上述の弾性表面波Wは、駆動用交差指電極4からのエネルギE0と、回収用交差指電極5からのエネルギeとに基づく。これらのエネルギに基づく弾性表面波は、位相調整手段10によって、互いに同位相とされている。位相調整手段10による位相の調整は、回収用交差指電極5によって弾性表面波wのエネルギを回収する前の段階、回収したエネルギを環流させる間、回収用交差指電極5にエネルギを供給して弾性表面波Wを発生させる段階、等のいずれの段階においても行うことができる。
まず、エネルギを回収する前の段階で、位相調整手段10によって位相の調整を行う場合について説明する。これは、回収用交差指電極5の位置を、駆動用交差指電極4から所定距離離して位相調整のできる位置に予め設定しておき、弾性表面波wを位相の調整された状態で受け取るものである。このような位相調整方法は、いわば、空間的調整方法である。回収用交差指電極5のインピーダンスを電気的に調整して、回収用交差指電極5の実効的な位置を調整することもできる。これは、電気的調整方法である。また、回収用交差指電極5が受け取る弾性表面波wそのものを、位相差のない波面の揃った状態で受け取れるように、弾性表面波wの伝播領域とスライダ3の空間的配置関係を調整することも行われる。この場合、効率的に弾性表面波のエネルギを回収できる。
次に、回収後、及び供給段階で、位相調整手段10によって位相の調整を行う場合について説明する。エネルギを電気的な状態で環流する場合、電気回路によって容易に位相調整ができる。位相調整用の電気回路として、例えば、抵抗、キャパシタ、インダクタ等の受動素子を直列乃至並列に接続したものを用いることができる。また、エネルギを、波の反射によって、弾性表面波の状態で機械的に回収する場合、交差指電極における実効的な反射位置の調整によって、位相の調整ができる。実効的な反射位置の調整は、回収用交差指電極5の空間的な配置位置の設定や、回収用交差指電極5に受動素子を接続してインピーダンスを変更する、電気的な調整によって行うことができる。
上述のように、本発明のエネルギ回収型の弾性表面波モータ1は、エネルギの回収と供給に際し、位相調整手段10を用いて、空間的、又は電気的調整方法によって、回収前後のエネルギの位相変化を調整して弾性表面波の位相を合わせることができ、エネルギ効率の向上を実現できる。例えば、異なる位相の弾性表面波の干渉によるエネルギの無効化を回避できる。また、エネルギ効率の良い駆動用の弾性表面波、すなわち、スライダ3に有効に使用される駆動用の弾性表面波Wの生成を行うことができる。以下、各実施形態により、具体的に弾性表面波モータ1を説明する。
(第1の実施形態)
FIG.2は、第1の実施形態の弾性表面波モータ1を示す。弾性表面波モータ1は、弾性表面波基板2と、その表面Sの弾性表面波進行方向(図の左右方向)の前後に配置されて電気的エネルギと機械的エネルギの電気機械変換を行ってエネルギの回収と供給を行う回収用交差指電極5と、2つの回収用交差指電極5の間に配置され外部電源V1,V2に接続されてエネルギを補填する駆動用交差指電極4と、予圧付与手段30によって予圧Nが付与された状態で弾性表面波基板2の表面Sに接触、配置されたスライダ3と、2つの回収用交差指電極5を接続する配線7と、配線7に挿入された位相調整回路8と、を備えている。
この実施形態の弾性表面波モータ1における弾性表面波基板2やスライダ3は、上述のFIG.1に示したものと同様であり、その説明は省略する。また、交差指電極の構造は、FIG.25A,25Bに示した従来例のものと同様であり、説明の一部を省略する。なお、各回収用交差指電極5に反射器を付属させて設けてもよい。
配線7は、FIG.1におけるエネルギ環流手段11を構成する。一対の回収用交差指電極5は、弾性表面波基板2の表面と配線7とともに、エネルギが循環する閉回路を形成している。ここで、回収用交差指電極5のインピーダンス整合について述べる。一対の回収用交差指電極5は、通常、同一形状に形成されており、その対称性、及び相対性から、抵抗成分のインピーダンス整合は自然に満足されている。また、各回収用交差指電極5には、それぞれ制動容量があり、これを打ち消す必要がある。そこで、各回収用交差指電極5と並列にインダクタLを挿入することにより、各回収用交差指電極5の、それぞれの制動容量を打ち消すことができ、インピーダンス整合が実現される(特開平11−146665号公報参照)。
位相調整回路8は、4端子回路からなり、FIG.1における位相調整手段10を構成する。位相調整回路8は、例えば、抵抗、キャパシタ、インダクタ等の受動素子を、直列乃至並列に接続した電気回路により構成され、配線7を環流する電気的エネルギの位相調整を行う。すなわち、位相調整回路8は、回収したエネルギを左側の回収用交差指電極5に供給して弾性表面波Wを生成するときに、生成した波の位相が、駆動用交差指電極4によって生成される弾性表面波Wの位相と同じになるように、予め電気エネルギの位相を調整する。
次に、弾性表面波モータ1の動作を説明する。上述の状態で、駆動用交差指電極4の各交差指電極4a,4bに、例えば、それぞれ外部電源V1,V2からv1=v0・cosωt、v2=v0・sinωtの所定の周波数の高周波(MHz帯)電圧を印加する。すると、交差指電極4a,4bによって、表面S上を図の右向きの進行波である弾性表面波Wが発生する。つまり、この駆動用交差指電極4は、アクティブに方向性を設定できる一方向性の交差指電極となっている。右向きの弾性表面波Wが励振されると、スライダ3が図の左方に向けて駆動される。この状態において、スライダ3の駆動に一部のエネルギを消費した弾性表面波Wは、弾性表面波wとなってスライダ3の右方に進む。
右側の回収用交差指電極5は、上述の弾性表面波wから機械的エネルギを受け取って電気的エネルギとして回収し、そのエネルギを、配線7を介して、左側の交差指電極5に環流する。その環流の際に、位相調整回路8が位相の調整を行う。左側の回収用交差指電極5は、電気的エネルギを受け取ると共に、駆動用の弾性表面波Wを生成するためのエネルギとして弾性表面波基板2に供給する。すなわち、一対の回収用交差指電極5と配線7と位相調整回路8とによってエネルギの回収、環流、位相調整、及び供給が行われ、駆動用交差指電極4によってエネルギの消費分が補填され、これらのエネルギに基づき、位相を揃えた状態で駆動用の弾性表面波が生成され、スライダ3が駆動される。
このような位相調整回路8を備えた弾性表面波モータ1によれば、エネルギ効率の向上を実現できる。また、電気回路によって電気的エネルギの状態で位相調整を行うので、適宜の位相調整が容易であり、スライダ3の寸法変更への対応や、機械的な位相調整に対する微調整への対応が容易である。
ところで、上述の弾性表面波モータ1において、外部電源V1,V2のいずれかの電圧入力の極性を反転させることにより、FIG.1に示した弾性表面波Wとは逆向きの、左向きの進行波を励振できる。これは、駆動用交差指電極4が、アクティブに方向性を設定できる一方向性の交差指電極であることを利用している。この場合、左側の回収用交差指電極5が、直ちに、弾性表面波Wから機械的エネルギを回収して電気的エネルギに変換する。右側の回収用交差指電極5は、電気的エネルギを配線7を介して受け取り、そのエネルギを機械的エネルギとして弾性表面波基板2に供給する。この場合、スライダ3は右方に進むことになる。
(第2の実施形態)
FIG.3A,3Bは第2の実施形態の弾性表面波モータ1を示し、FIG.4A,4Bは弾性表面波モータ1におけるスライダ3の弾性表面波基板2との接触部分の構造を示す。この弾性表面波モータ1は、上述の第1の実施形態の弾性表面波モータ1とは異なり、位相調整回路8は備えていない。この弾性表面波モータ1における位相の調整は、スライダ3の幅と各交差指電極の幅との調整、及び、弾性表面波W,wの存在する領域の長さの調整によって行われる。すなわち、この弾性表面波モータ1における位相調整手段10は、空間的調整方法により、エネルギ回収前に位相調整を行うものである。第2の実施形態の弾性表面波モータ1は、これらの点以外は、上述の第1の実施形態の弾性表面波モータ1と同様である。
上述の空間的な位相調整のために、スライダ3の幅aと各交差指電極の幅bとが略等しい寸法とされている。ここで、スライダ3の幅aは、弾性表面波基板2の表面Sと接触するスライダ3の接触面31の、弾性表面波の進行方向と直交する幅方向における幅である。また、交差指電極の幅bは、個別電極の重なり幅である。この幅bの範囲内で、駆動用交差指電極4によって弾性表面波が実効的に生成され、また、各回収用交差指電極5によってエネルギが回収される。
また、スライダ3の接触面31には、FIG.4A,4Bに示すように、スライダ3の接触面31の幅aの全体にわたって一様に分布する所定の間隔で配置された接触突起32が設けられている。接触突起32の先端部分の接触突起面33が、弾性表面波基板2の表面Sに実質的に接触する部分であり、駆動力となる摩擦力が発生する部分である。
本実施形態の弾性表面波モータ1において、接触面31に設けられた接触突起32が接触面31の幅aの全体にわたって一様に分布しており、スライダ3の接触面31の幅aが電極重なり幅bと略等しくされているので、回収用交差指電極5に到達する弾性表面波wは、弾性表面波の進行方向と直交する幅方向において同一位相の弾性表面波となり、弾性表面波wから、駆動用の弾性表面波Wを生成するために有効なエネルギを回収でき、エネルギ効率の向上を実現できる。
また、本実施形態の弾性表面波モータ1では、上記の幅方向における位相調整の他に、長さ方向における位相調整が、同じく空間的調整方法によって行われている。スライダ3が配置され駆動されて走行する走行部21の幅は、上述により、スライダ3の幅aによって規定されている。そして、走行部21の長さは、以下のようにして設定されている。
走行部21は、一般に、回収用及び駆動用の各交差指電極4,5のいずれかにより挟まれた弾性表面波基板2の領域である。本実施形態の弾性表面波モータ1では、駆動用交差指電極4aと右側の回収用交差指電極5とによって挟まれた領域が走行部21である。そして、走行部21を挟んで、弾性表面波の生成とそのエネルギの回収を行う交差指電極4,5の間の距離は、エネルギの環流を効率良く行うために、共振状態の弾性表面波を生成する距離とされる。ここで、共振状態の弾性表面波を発生するとは、弾性表面波の発生側と回収側における境界が、周期境界条件を満たしている状態で弾性表面波を発生しているということに相当する。言い換えれば、弾性表面波の位相が、弾性表面波を回収するときと、弾性表面波を生成するときとで同じということである。
ところで、従来例のFIG.26に示したように、一般に、弾性表面波の伝播している表面Sにスライダ3などの接触物が接触すると、その接触部分において弾性表面波の位相が変化する。そこで、本実施形態の弾性表面波モータ1では、モータの駆動状態において上述の周期境界条件を実現するために、走行部21の長さが、スライダ3の配置によって弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離を予めに加えた長さとされている。
すなわち、走行部21を挟む交差指電極4,5の間の距離である走行部長dは、走行部21にスライダ3を配置しない状態で走行部21に共振状態の弾性表面波を発生する電極間の距離をd0とし、走行部21にスライダ3を配置することにより共振状態の弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離である位相差ΔX(FIG.26参照)を加えた長さ、すなわちd=d0+ΔX、とされている。ここで、ΔXは、その正負の符号を考慮してd0に加えられる。ここで、電極間の距離d0、及びdは、一般に、電極パターン間の距離そのものとは限らず、実質的あるいは実効的に共振状態を実現する距離である。
上述のように、本実施形態の弾性表面波モータ1では、弾性表面波wのエネルギの回収前に、空間的位相調整方法に基づく位相調整手段10によって、2種類の位相調整を行っており、エネルギ損失の少ない効率的な動作を実現して、エネルギ効率の向上を実現できる。2種類の位相調整の1つは回収する弾性表面波wを単一位相状態にする調整であり、他の1つは周期境界条件を満たすようにする調整である。
(第3の実施形態)
FIG.5A〜5Cは第3の実施形態の弾性表面波モータ1を示し、FIG.6A〜6Cは交差指電極の反射率特性を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、回収したエネルギを、機械的エネルギの状態で供給側に環流するものであり、この点が上述の第1及び第2の実施形態の弾性表面波モータ1と異なっている。すなわち、エネルギの回収と環流は、弾性表面波基板2の表面Sを逆進する弾性表面波、つまり反射波によって、電気的エネルギの状態ではなく、機械的エネルギの状態で行われる。本実施形態におけるエネルギ環流手段11は、弾性表面波基板2の表面Sである。
本実施形態の弾性表面波モータ1は、弾性表面波基板2と、弾性表面波基板2の表面Sに所定距離を隔てて対向配置され、弾性表面波基板2に弾性表面渡を発生させる一対の交差指電極4と、交差指電極4に挟まれた表面Sに載置されて弾性表面波により駆動されるスライダ3と、スライダ3を表面Sに所定の予圧Nで接触させる予圧付与手段(不図示)とを備えている。
弾性表面波基板2、及び予圧付与手段等の基本的な構成は、上述のFIG.1や第1の実施形態で示したものと同様であり説明は省略する。スライダ3は、FIG.5Cに示すように、例えばシリコン等を用いて形成されており、略直方体の本体3aと、弾性表面波基板2の表面Sからの推力を得やすくするために表面Sに対向配置される本体3aの面に突設された複数の突起3bとを一体に備えている。
また、弾性表面波モータ1の一対の交差指電極4は、FIG.1における、駆動用の弾性表面波を発生する駆動用交差指電極4であると共に、弾性表面波を反射して弾性表面波のエネルギを回収したり、供給したりする、回収用交差指電極5でもある。FIG.5A、5Bおいて交差指電極4は簡略化して示してある。これらの一対の交差指電極4に反射器等を付属させて、一方向性の交差指電極とすることができる(第5、第6の実施形態参照)。
交差指電極4の内、左側の交差指電極4は、スイッチSW1を介して外部電源V1の両端に接続され、右側の交差指電極4は、スイッチSW2を介して外部電源V2の両端に接続される。スイッチSW1,SW2は、弾性表面波を発生させる交差指電極4の切り替えを行う切換手段となっている。つまり、スイッチSW1,SW2を切り替えることにより、弾性表面波基板2上における弾性表面波の進行する方向、従ってスライダ3の移動する方向を切り替えることができる。
一対の交差指電極4は、互いの交差指電極4間の等価反射面間の距離が、交差指電極4により励振される弾性表面波の半波長の整数倍となるように、表面Sに対向配置されている。つまり、弾性表面波の波長λ、等価反射面間の距離dについて、d=n×λ/2(n:自然数)が成り立つように等価反射面間の距離dが設定されている。ここで、等価反射面とは、物理学において大きさのある物体を質点に置き換えるように、交差指電極4が弾性表面波を反射する機能に着目して、交差指電極4による代表的な反射位置に配置した反射面のことである。
上述したように、等価反射面問の距離dを半波長の整数倍に設定することで、左の交差指電極4で励振されて右に向かう弾性表面波W1、及び各交差指電極4で反射されて多重反射した結果右に向かう弾性表面波W3,W5,W7,・・のいずれもが同一位相を有し、同様に、左へ向かう弾性表面波W2,W4,W6,・・のいずれもが同一の位相を有することになる。そして、これらのいずれの弾性表面波W1,W2,・・も、同一位相とすることができる。本実施形態における位相調整手段10は、空間的位相調整方法を用いるもである。
(交差指電極の設計)
次に、各交差指電極4の設計方法について説明する。交差指電極4は、同極の個別電極の間隔D、すなわちピッチによって、弾性表面波を生成する交差指電極としての共振周波数が決定される。また、異極の個別電極の組数mによって波の反射率Rの周波数特性が変化する。FIG.5Aに簡略化して示された交差指電極4の組数mは、m=5である。これらの間隔D及び組数mと、交差指電極4の共振周波数、アドミタンス特性(コンダクタンス及びサセプタンス)、及び反射率Rの周波数特性との関係は、計算機シミュレーションにより求めることができる。これにより、所望の共振周波数や反射率の周波数特性を有する交差指電極4の設計を行うことができる。
例えば、間隔D=132.64μm、組数m=20とした場合、シミュレーション結果から、交差指電極4の共振周波数(コンダクタンスのピーク)f0が、f0=28.9MHzのように得られる。この場合、FIG.6Aに示すような反射率特性を有する交差指電極が得られる。この交差指電極は、周波数が28.9MHzの弾性表面波に対して約0.21の反射率を有していることがわかる。ここで、間隔Dを大きくすると共振周波数が低くなり、これに伴なって反射率Rの周波数特性が全体的に低周波数側にシフトし、間隔Dを小さくすると共振周波数が高くなり、これに伴なって反射率Rの周波数特性が全体的に高周波数側へとシフトする。
交差指電極4の設計において、まず、反射率Rの周波数特性が所望の値に近くなるように間隔Dを仮設定する。間隔Dの仮設定によって大まかな反射率Rの周波数特性を設定した後、組数mを変化させることで反射率Rの大きさの設定を行う。FIG.6Bは、組数mを、m=5〜30のように変えた場合の反射率特性を示している。この場合、間隔Dは、D=132.64μmである。また、FIG.6Cは、組数mの値と反射率Rの最大値との関係を示す。
組数mを増やせば、反射率Rの最大値を大きくすることができ、組数mが30を越えると反射率Rが約1となることがわかる。また、FIG.6Bから分かるように、組数mを変化させると反射率Rの最大値をとる周波数が徐々に低周波数側へシフトする。そこで、反射率Rが最大値をとる周波数が所望の値からずれた場合、組数mを決定した後に、所望の周波数で反射率が最大になるように間隔Dの再設定を行い、最適な間隔Dに設定し直せばよい。
このように間隔D、組数mの設定を行うことにより、所望の共振周波数、及び反射率Rの周波数特性を有する交差指電極4を設計できる。
(多重反射波のエネルギ)
スイッチSW1を閉じて、外部電源V1から上述の交差指電極4に高周波電圧を印加し、エネルギPの弾性表面波W1を励振させた場合、弾性表面波基板2には以下に示すような多重反射波が生じる。ここで、弾性表面波W1と同じ周波数の弾性表面波に対し、左側の交差指電極4の反射率をη(0<η≦1)、右側の交差指電極4の反射率をγ(0<γ≦1)とし、伝搬中の弾性表面波の減衰は無視できるものとする。
すなわち、左の交差指電極4で励振された弾性表面波W1は、右の交差指電極4に到達すると、一部が反射されてエネルギγPの弾性表面波W2となる。弾性表面波W2が左の交差指電極4に到達すると、一部が反射されてエネルギγηPの弾性表面波W3となる。同様に、このような反射が繰り返される。
そして、上述したように、右に向かう各弾性表面波W1,W3,・・がそれぞれ同位相であり、これらの波の全体からなる進行波WFのエネルギPFは、各波のエネルギの総和であり、PF=P(1+γη+(γη)+・・)となる。また、左に向かう各弾性表面波W2,W2、・・がそれぞれ同位相であり、これらの波の全体からなる反射波WRのエネルギPRは、各波のエネルギの総和であり、PR=γP(1+γη+(γη)+・・)となる。一般に、γη<1なので、エネルギPF,PRは、等比級数の公式により、
PF=P/(1−γη)、
PR=γP/(1−γη)、
と求められる。
また、弾性表面波基板2に生じる波の全エネルギPSは、進行波WFのエネルギPFと反射波WRのエネルギPRの合計、PS=PF+PR、である。このうち、スライダ3の移動に寄与するエネルギを進行波成分PHとすると、PH=PF−PR、である。また、スライダ3の移動に寄与しないエネルギを定在波成分PVとすると、PV=PS−PH、である。そこで、PF,PR,PS,PH,PVの関係は、
PS=PF+PR=(1+γ)P/(1−γη)、
PH=PF−PR=(1−γ)P/(1−γη)、
PV=PS−PH=2PR=2γP/(1−γη)、
となる。
上述のPF,PR,PS,PH,PVなどの式から明らかなように、本実施形態の弾性表面波モータ1では、反射率γ,ηを調整することにより、進行波成分PHと定在波成分PVの比率を設定することができる。そして、右の交差指電極4の反射率γを設定することにより、進行波WFのエネルギPFが、反射波WRのエネルギPRよりも大きく、PF>PR(従って、PH=PF−PR>0)、なるようにできる。反射率γの設定は、上述のように、交差指電極の間隔D、及び組数mの設定で行うことができる。
上述の反射率γは、進行波WFのエネルギPFに対して、例えば、反射波WRのエネルギPRが0.5倍以上0.98倍以下となるように設定することが好ましい。このときの反射率γの値は、上述のPH,PVの式を参照すると、0.5≦γ≦0.98、の範囲とすればよい。なお、スイッチSW1の代わりに、スイッチSW2を閉じて、外部電源V2を右側の交差指電極4に接続し、スライダ3を右方向に移動させる状況は上述と同様であり、説明を省略する。
(弾性表面波モータの動作)
次に、弾性表面波モータ1の動作を説明する。スイッチSW1を閉じて外部電源V1から左の交差指電極4に高周波電圧を印加すると、交差指電極4から供給される電気的エネルギによって弾性表面波基板2に歪が生じ、これにより電気的エネルギが機械的エネルギに変換されて弾性表面波であるレイリー波が発生する。レイリー波は、弾性表面波基板2の表面Sを伝播し、2つの交差指電極4の間で多重反射し、定常状態において、右向きに進行する進行波WFと、左向きに進行する反射波WRが生成される。このような弾性表面波は、定在波成分PVと進行波成分PHのエネルギを有し、進行波成分PHのエネルギによって、スライダ3が左方向へと移動する。また、弾性表面波モータ1は、スイッチSW1,SW2の切り替えにより、スライダ3を左右に駆動できる。
(第4の実施形態)
FIG.7Aは第4の実施形態の弾性表面波モータ1を示し、FIG.7Bはスライダ3に付与された予圧Nと弾性表面波の透過率αとの関係を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、上述の第3の実施形態と同様の構成であって、スライダ3に付与する予圧Nの大きさが弾性表面波の伝播に及ぼす影響を考慮する点が異なり、他の点は同様である。
すなわち、スライダ3が接触している弾性表面波基板2の表面Sを、左又は右から通過する弾性表面波w1,w2,w3,w4,・・は、エネルギの一部を消費して減衰する。その減衰量はスライダ3にかかる予圧Nとともに増加する。そして、スライダ3の下面を通過する弾性表面波エネルギの透過率αは、FIG.7Bに示すように、予圧Nの増加にともなって減少する。
ここで、左の交差指電極4に高周波電圧を印加してエネルギPの弾性表面波W1を励振させた場合の多重反射波の定常状態の様子を、スライダ3にかけた予圧Nによる弾性表面波の透過率α(0<α<1)を考慮して説明する。上記同様に、弾性表面波W1と同じ周波数の弾性表面波に対する、左の交差指電極4の反射率をη(0<η≦1)、右の交差指電極4の反射率をγ(0<γ≦1)とし、伝播中の弾性表面波の減衰は無視できるものとする。
すなわち、エネルギPの弾性表面波W1は、FIG.7Aに示すように、右に向かい、スライダ3を通過してエネルギαPの弾性表面波w1となり、右の交差指電極4によって反射されてエネルギγαPの弾性表面波W2となる。弾性表面渡W2は、スライダ3を通過してエネルギγαPの弾性表面波w2となり、左の交差指電極4によって反射されてエネルギγηαPの弾性表面波W3となる。同様に、このような反射が繰り返される。
右に向かう進行波WFのエネルギPFは、弾性表面波W1,W3,・・のエネルギの総和であり、PF=P(1+γηα+(γηα+・・)となる。また、左に向かう反射波WRのエネルギPRは、弾性表面波W2,W4,・・エネルギの総和であり、PR=γαP(1+γηα+(γηα+・・)となる。一般に、γηα<1なので、エネルギPF,PRは、等比級数の公式により、
PF=P/(1−γηα)、
PR=γαP/(1−γηα)、
と求められる。
従って、弾性表面波基板2に生じる波の全エネルギPS=PF+PR、スライダ3の移動に寄与するエネルギである進行波成分PH、スライダ3の移動に寄与しないエネルギである定在波成分PV、などの関係は、上述同様に、
PS=PF+PR=(1+γα)P/(1−γηα)、
PH=PF−PR=(1−γα)P/(1−γηα)、
PV=PS−PH=2PR=2γαP/(1−γηα)、
となる。
上式から明らかなように、本実施形態の弾性表面波モータ1では、反射率η,γに加えて、透過率αを調整することにより、進行波成分PHと定在波成分PVとの比率を設定することができる。透過率αの設定は予圧付与手段により付与する予圧Nの設定で行える。また、反射率γと透過率αの値は、進行波WFのエネルギPFに対して、反射波WRのエネルギPRが、0.5倍以上0.98倍以下となるように設定することが好ましく、例えば、0.5≦γα≦0.98とすればよい。
(第5の実施形態)
FIG.8A,8Bは第5の実施形態の弾性表面波モータ1を示し、FIG.9A,9Bは弾性表面波モータ1の一方向性交差指電極の反射率を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、上述の第3、第4の実施形態において、交差指電極4を一方向性交差指電極としたものである。
交差指電極4は、弾性表面波を励振するための交差指電極4aと一方向性を付与するための反射用電極4bとを備えて構成されている。すなわち、上述の第3、第4の実施形態における左右の交差指電極4の外側に反射用電極4bが設けられている。左右の交差指電極4の位置関係や、これらに接続する外部電源V1,V2、及びスイッチSW1,SW2(不図示)などは、上述の第3、第4の実施形態と同様である。反射用電極4bは、交差指電極4aと同様に構成された交差指電極である。
(反射用電極の設計)
反射用電極4bの説明の前に、励振用の交差指電極4aについて説明する。以下では、FIG.8Bに示すように、左側の交差指電極4を参照して説明する。交差指電極4aは左右対称であると仮定する。交差指電極4aが励振する波は、右側へ進む弾性表面波Waと、左側に進む弾性表面波Wbの2種類あり、それぞれのエネルギは等しく、これをP/2とする。交差指電極4aに入射する弾性表面波に対する反射率をRa、反射用電極4bに入射する弾性表面波に対する反射率をRbとする。
すると、交差指電極4aから右側へ進む弾性表面波のエネルギの総和PTは、
PT=P/2+P(1−Ra)Rb/(1−RaRb)/2、
となる。ここで、Rbが1に近付くほど、エネルギの総和PTがPに近付くので、反射用電極4bの反射率Rbが1に近い程好ましい。そこで、交差指電極4aの励振周波数である28.9MHzの周波数の弾性表面波に対し、反射率Rb=1に近づくようにシミュレーションを行い、反射用電極4bの個別電極の間隔Dと組数mとを設定する。
例えば、間隔Dを136.5μm、組数mを40とした場合、FIG.9A中にRbで示すように、周波数が28.9MHzの弾性表面波に対し、0.999の反射率を有する反射用電極4bが得られる。周波数が28.9MHzの弾性表面波に対する交差指電極4aの反射率Raは、FIG.9Aによると約0.20である。この交差指電極4全体としての反射率Rtは、
Rt=Ra+(1−Ra)/(1−RaRb)、
の式で与えられる。
このようにして間隔D、及び組数mがそれぞれ設定された交差指電極4aと反射用電極4bとは、所定の間隔を隔てて弾性表面波基板2上に配置され、交差指電極4となる。ところで、電極4a,4b間の距離(異極の個別電極間の距離)を変化させたとき、この距離が、交差指電極4aにより励振される弾性表面波の半波長の整数倍となったときに、交差指電極4aを駆動する高周波電流に対するアドミタンスが最大になる、という結果が得られている。これは、交差指電極4aで励振されて右に進む弾性表面波Waと、一旦左に進んで、反射用電極4bで反射された後、交差指電極4aを通過して右に進む弾性表面波とが同位相となって重なり合うことにより、電流が流れやすくなるためである。従って、これらの電極4a,4b間の距離は、半波長の整数倍に実質的に等しい距離とするのが好ましい。
上述のように、左側の交差指電極4の設計がなされる。右側の交差指電極4についても同様に設計される。しかしながら、右側の交差指電極4の設計は、左側の交差指電極4の設計とは異なる条件として、上述の第3、第4の実施形態で説明した進行波成分PHが得られるようにする。これは、左右の交差指電極4の間隔Dや組数mなどが同じであると、反射率Rtが0.999となって進行波成分PHが大幅に減少してしまい、多重反射によりエネルギを回収する弾性表面波モータ1において、スライダ3を移動できなくなるからである。
そこで、右側の交差指電極4の交差指電極4aと反射用電極4bでは、間隔Dと組数mとを次のように設定する。すなわち、右側の交差指電極4aの共振周波数を、左側の交差指電極4において反射率が低くなる値とし、さらに、28.9MHzの周波数に対する右側の交差指電極4aの反射率が低くなるように、間隔Dと組数mとを設定する。例えば、間隔D=133.84μm、組数m=20、と設定し、交差指電極4aの共振周波数が28.64MHzとなるようにする。
次に、右側の反射用電極4bの設定を上述同様に行う。この反射用電極4bは、上述同様に交差指電極4aにより励振される弾性表面波に対する反射率が1に近い程好ましい。シミュレーションにより28.64MHzの周波数の弾性表面波に対して1に近い反射率を有するように反射用電極4bの間隔Dと組数mとを設定する。例えば、間隔Dを約137.69μm、組数mを40とする。これにより、28.64MHzの周波数の弾性表面波に対して0.999の反射率を有する反射用電極4bが得られる。
以上のように、左右の交差指電極4が設計され、左側の交差指電極4の反射率Rtと右側の交差指電極4の反射率Ruの周波数特性は、FIG.9Bに示すようになる。FIG.9Bから明らかなように、左側の交差指電極4は、自身で励振する周波数28.9MHzの弾性表面波に対しては約1の反射率を有し(28.9MHzでRt=約1)、右側の交差指電極4で励振される周波数28.64MHzの弾性表面波に対しては約0.64の反射率を有している(28.64MHzでRt=約0.64)。また、右側の交差指電極4は、自身で励振する周波数28.64MHzの弾性表面波に対しては約1の反射率を有し(28.64MHzでRu=約1)、左側の交差指電極4で励振される周波数28.9MHzの弾性表面波に対しては約0.64の反射率を有している(28.9MHzでRu=約0.64)。
ここで、左側の交差指電極4が一方向性の電極であることによる特質を説明する。左側の交差指電極4の交差指電極4aに所定の高周波電圧を印加すると、FIG.8Bに示すように、交差指電極4aから右側に進む弾性表面波Waと左側に進む弾性表面波Wbとが励振される。これらの弾性表面波Wa,Wbは、ともに28.9MHzの周波数とP/2のエネルギを有している。上述の第3、第4の実施形態では、弾性表面波Wbは、そのまま弾性表面波基板2の左端部へ伝播して熱となり、無駄となっていた。本実施形態では、反射用電極4bを設けているので、この弾性表面波Wbを反射用電極4bで右方向へ反射して有効利用することができる。そのため、同じ投入電力であれば、第3、第4の実施形態に比べて、約2倍の大きさのエネルギを有する駆動用の弾性表面波を励振させることができる。この点は、右側の交差指電極4についても同様である。
また、各交差指電極4において、互いに異なる共振周波数を有するように間隔Dを設定していることにより、右側の交差指電極4が、左側の交差指電極4で励振される周波数28.9MHzの弾性表面波に対してRu=0.64の反射率を有しているので、左側の交差指電極4を励振させた際に、十分な大きさの定在波成分PVと進行波成分PHとを有する弾性表面波をスライダ3に与えることができる。
また、同様に左側の交差指電極4が右側の交差指電極4で励振される周波数28.64MHzの弾性表面波に対してはRt=約0.64の反射率を有しているので、右側の交差指電極4を励振させた際に、十分な大きさの定在波成分PVと進行波成分PHを有する弾性表面波をスライダ3に与えることができる。
以上述べたように、本実施形態の弾性表面波モータ1によれば、第3、第4の実施形態と同様の利点に加えて、励振用の交差指電極4aと反射用電極4bとを備える一方向性電極からなる交差指電極4を用いることにより、第3、第4の実施形態の交差指電極4に比べて、およそ2倍のエネルギを有する駆動用の弾性表面波を励振することができ、さらに低電力でスライダ3を駆動できる。しかも各交差指電極4において、共振周波数を異ならせることにより、進行波成分PHが反射波によって減少するのを抑えているので、スライダ3を移動させるのに十分な進行波成分PHが得られる。このように、多重反射型のエネルギ回収を行う弾性表面波モータ1において、スライダ3の移動を確実に行える。
(第6の実施形態)
FIG.10,FIG.11,及び、FIG.12A,12Bは、一方向性の交差指電極4の他の3種類の構成例を示す。FIG.10に示す一方向性の交差指電極4は、上述同様に、励振用の交差指電極4aと反射用電極4bとで構成されている。しかしながら、この交差指電極4の反射用電極4bの構造は、FIG.8Aにおける交差指電極からなる反射用電極4bとは異なり、はしご状の電極によって構成されたものである。
また、FIG.11に示す一方向性の交差指電極4は、互いに異極となる一対の交差指電極42,43の個別電極の間に、反射用のフロート電位の電極43を配置して構成されている。ここで、反射用の電極43は、角張ったU字状、又はI字状の電極群からなっている。
また、FIG.12A,12Bに示す一方向性の交差指電極4は、例えばアルミ薄膜のパターンからなる、互いに異極となる一対の交差指電極41,42を所定間隔で配置し、これらの電極の各個別電極部分の一部表面と弾性表面波基板2の一部表面とにまたがる表面領域に、シリコン酸化物SiO膜からなる反射部40を設けて構成されている。
これらFIG.10,11,12A,12Bに示す一連の一方向性交差指電極4は、いずれも構成が異なるものであるが、その動作については、第の実施形態で説明した交差指電極4(FIG.8A)と同様であり、説明は省略する。
(第7の実施形態)
FIG.13は第7の実施形態の弾性表面波モータ1の回収用交差指電極5の反射率Rを示し、FIG.14A,14Bは弾性表面波モータ1の回収用交差指電極5の反射率の調整によるスライダ3の移動を示し、FIG.15A〜15D,FIG.16は種々の構造の回収用交差指電極5とインピーダンスの調整の例を示す。
本実施形態の弾性表面波モータ1は、スライダ3の駆動に利用されない弾性表面波のエネルギを回収用交差指電極5による弾性表面波の反射によって回収し、より低消費電力(小さな入力)でスライダ3を駆動するものである(FIG.1)。
ところで、回収用交差指電極5によって弾性表面波を全反射させてしまうと、弾性表面波基板2において進行波成分が小さくなるので、スライダ3を動かすことができなくなる。そこで、回収用交差指電極5に、例えば、抵抗を接続して交差指電極5のインピーダンスを変えることにより反射率を下げて、弾性表面波の進行波を確保し、その進行波により、スライダ3を動かすことができる。回収用交差指電極5のインピーダンスを調整するための電気回路15として、抵抗、インダクタ、キャパシタなどの受動素子やこれらの組合せたものを用いることができる。また、はしご状の電極のように、回収用交差指電極5の異極間をショートして、インピーダンスの値を0とすることも行われる。
FIG.13は、反射率の調整例を示す。横軸は駆動用交差指電極4に印加する電圧の周波数、縦軸は回収用交差指電極5の反射率Rである。曲線r0は、駆動用交差指電極4の共振周波数である15MHzで発生させた弾性表面波に対する、回収用交差指電極5の反射率を示す。この曲線r0の場合、回収用交差指電極5のインピーダンス調整は行っていない。また、周波数15MHzにおいて、全反射するように回収用交差指電極5の櫛の歯(電極指)の組数と等価反射面の距離dとが設定されている。曲線r1は、回収用交差指電極5に電気回路15として抵抗を接続して反射率Rを下げた例を示す。曲線r1は、周波数15MHzにおいて、反射率RをR=0.9に下げることができている。
FIG.14Aは、スライダ3を挟むように設けた駆動用交差指電極4と、交差指電極4の外側に設けた回収用交差指電極5と、を備えた弾性表面波モータ1において、右側の回収用交差指電極5に反射率調整のための抵抗(電気回路15)を接続し、左側の駆動用交差指電極4に外部電源Vを接続して、スライダ3を左方に移動する様子を示す。この状態で、抵抗Rの効果によって、右方に進む弾性表面波WLが、左方に進む弾性表面波WRよりも十分優勢となり、十分な大きさの定在波成分PVと進行波成分PHを有する弾性表面波をスライダ3に与えることができる。すなわち、弾性表面波の多重反射によるエネルギ回収型の弾性表面波モータ1において、スライダ3を移動させるのに十分な進行波成分PHが得られる。FIG.14Bは、電気回路15と外部電源Vの接続を切り替えて、スライダ3を右方に移動させる様子を示す。
FIG.14A,14B,FIG.15A,15B,FIG.16に示す弾性表面波モータ1における回収用交差指電極5は、隣接する駆動用交差指電極4を一方向性の交差指電極を形成する反射用電極となっている。FIG.15Bの反射用電極は、FIG.10に示した構造の例である。また、FIG.15C,15Dに示す弾性表面波モータ1における駆動用交差指電極4は、それぞれ、一方向性の交差指電極を構成するための構造が作り込まれている。前者は、FIG.11に示した構造の例であり、後者は、FIG.12A,12Bに示した構造の例である。
上述した本実施形態のいずれの回収用交差指電極5(FIG.16の場合は駆動用交差指電極4)においても、インピーダンスを調整するための、例えば、抵抗やインダクタなどの受動素子からなる電気回路15が接続されている。この電気回路15が抵抗の場合は、回収用交差指電極の反射率を調整する作用があり、インダクタやキャパシタの場合は、回収用交差指電極5によって反射する弾性表面波の位相を調整する作用がある。後者の場合、等価反射面の距離dの調整を行うことができる。
なお、本実施形態のFIG.15Aなどにおける駆動用交差指電極4を第5の実施形態におけるFIG.8Aの交差指電極4aと見倣し、回収用交差指電極5を同じく第5の実施形態におけるFIG.8Aの反射用電極4bと見倣すことができる。
(第8の実施形態)
FIG.17A,17Bは、互いに異極となる一対の交差指電極41,42からなる交差指電極4にインダクタLやキャパシタCを接続して、交差指電極4によって反射する弾性表面波の位相を変化させる様子を示す。この場合、位相の変化は、反射面の位置の変化によって発生する。反射面の位置を変化できることは、第3の実施形態(FIG.5A)において説明した等価反射面間の距離dを、交差指電極のパターン形成後に調整できるということを意味する。
FIG.17Aに示すように、交差指電極41,42間にインダクタLを接続した場合、反射前の弾性表面波の位相に対して反射後の弾性表面波の位相が遅れるので、左方から入射して反射する弾性表面波Wrのみかけの反射位置が位置R0から左方の位置R1に移動したと見倣すことができる。ここで、インダクタLのインダクタンス値による位相の遅れをθとすると、等価反射面間の距離dとθとが、2d−θλ/2π=nλを満たすときに、多重反射波する弾性表面波W1,W2,W3,W4・・に対して、周期境界条件を満たす反射を実現できる。なお、位置R0,R1間の距離はθλ/4πである。
また、FIG.17Bに示すように、交差指電極41,42間にキャパシタCを接続した場合、反射前の弾性表面波の位相に対して反射後の弾性表面波の位相が進むので、左方から入射して反射する弾性表面波Wrのみかけの反射位置が位置R0から右方の位置R2に移動したと見倣すことができる。ここで、キャパシタCのキャパシタンス値による位相の遅れをφとすると、等価反射面間の距離dとφとが、2d+φλ/2π=nλを満たすときに、多重反射する弾性表面波W1,W2,W3,W4・・に対して、周期境界条件を満たす反射を実現できる。なお、位置R0,R2間の距離はφλ/4πである。
(第9の実施形態)
FIG.18A,18Bは第9の実施形態の弾性表面波モータ1におけるスライダ3の移動方向をスイッチSW1,SW2で切り替える様子を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、第5実施形態のFIG.15Aに示した弾性表面波モータ1と同様に、多重反射によりエネルギを回収するものである。本実施形態の特徴的な点のみを説明する。
弾性表面波モータ1は、駆動用交差指電極4が、弾性表面波基板2の表面Sの駆動用の弾性表面波の進行方向の前後に設けられており、これらの駆動用交差指電極4のいずれかに選択的に外部電源Vを接続するスイッチSW1と、一対の回収用交差指電極5のいずれかに選択的に電気回路15を接続するスイッチSW2と、を備えている。これらのスイッチSW1,SW2により、駆動用の弾性表面波の進行方向を切り替えて、スライダ3の移動方向を切り替えることができる。また、駆動用の弾性表面波を発生させるための外部電源Vを1つにすることができる。
(第10の実施形態)
FIG.19A,19B,FIG.20は第10の実施形態の弾性表面波モータ1を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、上述の第9の実施形態において、複数の回収用交差指電極5を用いるようにしたものである。回収用交差指電極5を複数にするため、外部電源に接続されない駆動用交差指電極4を回収用交差指電極に兼用している。そして、複数の回収用交差指電極5にそれぞれインピーダンス調整用の電気回路15,16を接続している。FIG.20の場合、3つのスイッチSW1,SW2,SW3を設けて、これらの切り替えにより、スライダ3の移動方向の切り替え可能としている。なお、スイッチとして、応答速度の速いPhoto−MOSリレーなどが適している。
(第11の実施形態)
FIG.21A,21Bは第11の実施形態の弾性表面波モータ1を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、上述の第9の実施形態において、スイッチSW1,SW2を1つに減らすようにしたものである。すなわち、弾性表面波モータ1において、駆動用交差指電極4は、一対の回収用交差指電極5の間に配置されると共に、いずれもスイッチを介することなく外部電源Vに接続される。また、一対の回収用交差指電極5のいずれかにスイッチSWを用いて選択的に電気回路15を接続することにより、駆動用の弾性表面波の進行方向を切り替えることができる。この弾性表面波モータ1は、外部電源Vの切り替えを行わないので、単一のスイッチSWでスライダ3の走行方向を切り替えて、往復運動させることができる。
(第12の実施形態)
FIG.22は第12の実施形態の弾性表面波モータ1を示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、例えば、上述の第7の実施形態のFIG.15Aの構造の弾性表面波モータ1において、電気回路15のインピーダンスを可変として、スライダ3の走行速度や走行方向のリアルタイム制御が可能とするものである。このようなリアルタイム制御のために、例えば、弾性表面波の発生エリアAにおいて、弾性表面波の振幅と外部電源Vの出力する電圧の位相に対する位相のずれとを測定する。測定された情報に基づいて、電気回路15のインピーダンスを調整してスライダ3の動きを制御する。電気回路15の可変インピーダンスZは、Z=R+iX、と表される。ここで、Rは可変抵抗によるレジスタンス値であり、Xは可変キャパシタや可変インダクタによるリアクタンス値である。レジスタンスRを調整して制御する例は、第13の実施形態で、また、リアクタンスXを調整して制御する例は、第14の実施形態で示す。
弾性表面波モータ1を駆動する際に、例えば、外部電源Vの電圧変動等から生じる波の振幅の変動、弾性表面波基板2の品質変動、交差指電極寸法の製造変動による波長の変動や位相差の発生、スライダ3の予圧Nの変動等から生じる位相の変動、等によって条件変動が発生する。そこで、条件変動に対応して、電気回路15のインピーダンスを調整することにより、例えば、回収用交差指電極5の反射率や反射波の位相を調整し、スライダ3の動作をリアルタイムに制御できる。
(第13の実施形態)
FIG.23は第13の実施形態の弾性表面波モータ1の制御ブロックを示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、上述の第12の実施形態におけるスライダ3のリアルタイム制御をより具体的に示すものである。弾性表面波モータ1は、弾性表面波基板2に対するスライダ3の相対速度vを検出する速度検出装置12と、スライダ3の目標移動速度v0を入力する速度入力装置13と、速度検出装置12によって検出された相対速度vと速度入力装置13によって入力された目標移動速度v0とが一致するように受動素子からなる電気回路15のインピーダンスを変化させるフィードバック制御を行うフィードバック装置14と、を備えている。
この実施形態において変化させるインピーダンスは、レジスタンスRである。上述の第7の実施形態のFIG.14A,14Bで示したように、抵抗によって回収用交差指電極5の反射率を調整し、スライダ3を移動させるための進行波成分PHの大きさを制御することができる。また、一般に、スライダ3の速度制御は、外部電源Vから出力する電圧の振幅やパルス幅を変えることでも行えるが、本実施形態の多重反射型のエネルギ回収を行う弾性表面波モータ1において、外部電源Vを調整することなく、電気回路15の抵抗成分を変化させて、スライダ3の速度制御をリアルタイムに容易に行うことができる。
上述のように、インピーダンス、特にレジスタンス可変の電気回路15を備えた弾性表面波モータ1は、組み立てられた最初の動作時に、目標とする駆動力、速度、及び弾性表面波の振動分布などが得られるように、インピーダンスの調整によって調整される。また、上述のようなリアルタイム制御が可能であると、弾性表面波モータ1を長時間動作させている間に発生する、速度や駆動力の低下などの駆動特性の劣化に対応することができる。スライダ3の移動速度vをリアルタイムに測定し、その低下により駆動特性の劣化を検知し、インピーダンスZの中でも特にレジスタンスRを調整することにより、速度の低下を補正することができる。駆動特性の劣化は、例えば、スライダ3の弾性表面波基板2との接触部分の磨耗が考えられるがこの限りではない。
(第14の実施形態)
FIG.24は第14の実施形態の弾性表面波モータ1の制御ブロックを示す。本実施形態の弾性表面波モータ1は、上述の第13の実施形態と同様に、第12の実施形態におけるスライダ3のリアルタイム制御をより具体的に示すものである。記載の弾性表面波モータ1は、外部電源Vからの弾性表面波発生用の電圧波形の位相φvと実際に発生した駆動用の弾性表面波の位相φwとの差θを検出する位相差検出装置16と、目標とする位相差θ0を入力する位相差入力装置13と、位相差検出装置16によって検出された位相差θと位相差入力装置13によって入力された目標位相差θ0とが一致するように電気回路15のインピーダンスを変化させるフィードバック制御を行うフィードバック装置14と、を備えている。
この実施形態において変化させるインピーダンスは、リアクタンスXである。上述の第8の実施形態のFIG.17A,17Bで示したように、インダクタLやキャパシタCを用いて、境界条件を調整することにより、回収用交差指電極5によって反射される弾性表面波の位相を調整し、スライダ3を移動させるための進行波成分PHの大きさを制御することができる。
上述の第13の実施形態と同様に、インピーダンス、特にリアクタンス可変の電気回路15を備えた弾性表面波モータ1は、組み立てられた最初の動作時に、目標とする駆動力、速度、及び弾性表面波の振動分布などが得られるように、リアクタンスの調整によって調整される。また、上述のようなリアルタイム制御が可能であると、弾性表面波モータ1を長時間動作させている間に発生する、弾性表面波の位相のずれをリアルタイムに測定し、その位相のずれにより駆動特性の劣化を検知し、インピーダンスZの中でも特にリアクタンスXを調整することにより、位相のずれを補正しスライダ3の速度の低下を補正するこおができる。
位相ずれは、主にスライダ3に付与する予圧Nのばらつきにより発生するが、この限りではない。予圧Nのばらつきは、予圧付与手段の劣化、例えば、予圧Nを発生するスプリングの劣化や、磁石の劣化などが考えられる。なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の個々の内容を相互に組み合わせて弾性表面波モータ1を構成することができる。
この出願は2005年3月28日付けの特許出願、及び2005年7月19日付けの特許出願に基づいて優先権主張を行う。その出願の内容の全体が参照によって、この出願に組み込まれる。

Claims (18)

  1. 弾性表面波基板と、
    前記弾性表面波基板の表面に予圧を付与された状態で接触して配置されるスライダと、
    前記弾性表面波基板表面に設けられ、外部電源に接続されて前記弾性表面波基板に駆動用の弾性表面波を発生させ、前記弾性表面波と前記スライダに対する予圧とに基づいて前記スライダの前記弾性表面波基板との接触面に発生する摩擦力により前記スライダを駆動する駆動用交差指電極と、
    前記弾性表面波基板表面の前記弾性表面波の進行方向の前後に配置され、前記弾性表面波におけるスライダの駆動に利用されない弾性表面波のエネルギを回収し、その回収したエネルギを用いて弾性表面波を発生させる回収用交差指電極と、を備えた弾性表面波モータにおいて、
    前記回収用交差指電極により発生される弾性表面波の位相と、前記駆動用交差指電極が発生する駆動用の弾性表面波の位相とを合わせる位相調整手段を備え
    前記位相調整手段は、前記回収用交差指電極により発生される弾性表面波の位相と前記駆動用交差指電極が発生する駆動用の弾性表面波の位相との位相差であって、前記スライダが前記弾性表面波基板の表面に接触することによって発生する位相差、又は前記弾性表面波基板と前記スライダの動作特性の変動によって発生する位相差をなくすように位相を合わせることを特徴とする弾性表面波モータ。
  2. 前記回収用交差指電極を少なくとも一対有し、その一方を用いて弾性表面波の機械的エネルギを電気エネルギに変換して回収し、他方を用いて前記回収した電気エネルギを機械的エネルギに変換し、駆動用の弾性表面波を発生することを特徴とする請求項1に記載の表面弾性波モータ。
  3. 前記位相調整手段は、前記回収用交差指電極の一方と他方との間に接続された電気回路により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の弾性表面波モータ。
  4. 前記位相調整手段は、前記回収用及び駆動用の各交差指電極のいずれかにより挟まれた弾性表面波基板の前記スライダが走行する領域の走行方向の長さにより設定され、その長さを、当該領域に前記スライダを配置しない状態で共振状態の弾性表面波を発生する長さに、当該領域に前記スライダを配置することにより生じる共振状態の弾性表面波の位相変化分の長さを加えた長さとしたことを特徴とする請求項2に記載の弾性表面波モータ。
  5. 前記回収用交差指電極を少なくとも一対有し、その一方を用いて弾性表面波を反射させて前記駆動用交差指電極側に戻すことによりその弾性表面波のエネルギを回収し、他方を用いて前記戻された弾性表面波を再度反射することにより、駆動用の弾性表面波を発生することを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波モータ。
  6. 前記回収用交差指電極の駆動用交差指電極側は、前記駆動用交差指電極を兼ねていることを特徴とする請求項5に記載の弾性表面波モータ。
  7. 前記位相調整手段は、前記一対の回収用交差指電極の等価反射面間の長さにより設定され、前記長さが前記回収用交差指電極により発生する弾性表面波の半波長の整数倍に実質的に等しいことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の弾性表面波モータ。
  8. 前記位相調整手段は、駆動用の弾性表面波の進行方向前方に配置された前記回収用交差指電極に接続された電気回路により構成され、その電気回路のインピーダンスを設定することにより当該交差指電極で反射される反射波の位相を調整することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の弾性表面波モータ。
  9. 前記回収用交差指電極によって反射される反射波の反射率は、当該交差指電極の電極間隔の調整、その交差指電極の電極指数の調整、前記スライダに付与する予圧の大きさ調整の内の少なくとも1つにより調整されることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の弾性表面波モータ。
  10. 前記回収用交差指電極に接続された電気回路によってインピーダンスを設定することにより、その交差指電極で反射される反射波の反射率を調整することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の弾性表面波モータ。
  11. 前記駆動用交差指電極は、前記弾性表面波基板表面の駆動用の弾性表面波の進行方向の前後に設けられており、これらの駆動用交差指電極のいずれかに選択的に前記外部電源を接続するスイッチと、前記一対の回収用交差指電極のいずれかに選択的に前記電気回路を接続するスイッチと、を備え、これらのスイッチにより、駆動用の弾性表面波の進行方向を切り替えることを特徴とする請求項10に記載の弾性表面波モータ。
  12. 前記駆動用交差指電極は、前記一対の回収用交差指電極の間に配置されると共に、いずれも前記スイッチを介することなく前記外部電源に接続され、前記一対の回収用交差指電極のいずれかに前記スイッチを用いて選択的に前記電気回路を接続することにより、駆動用の弾性表面波の進行方向を切り替えることを特徴とする請求項11に記載の弾性表面波モータ。
  13. 前記電気回路のインピーダンスが可変であることを特徴とする請求項10に記載の弾性表面波モータ。
  14. 前記弾性表面波基板に対する前記スライダの相対速度を検出する速度検出装置と、
    前記スライダの目標移動速度を入力する速度入力装置と、
    前記速度検出装置によって検出された相対速度と前記速度入力装置によって入力された目標移動速度とが一致するように前記電気回路のインピーダンスを変化させるフィードバック制御を行うフィードバック装置と、を備えたことを特徴とする請求項13に記載の弾性表面波モータ。
  15. 前記外部電源からの弾性表面波発生用の電圧波形の位相と実際に発生した駆動用の弾性表面波の位相との差を検出する位相差検出装置と、
    目標とする位相差を入力する位相差入力装置と、
    前記位相差検出装置によって検出された位相差と前記位相差入力装置によって入力された目標位相差とが一致するように前記電気回路のインピーダンスを変化させるフィードバック制御を行うフィードバック装置と、を備えたことを特徴とする請求項13に記載の弾性表面波モータ。
  16. 前記駆動用交差指電極は、前記弾性表面波基板表面の弾性表面波の進行方向の前後に設けられており、
    これらの駆動用交差指電極の少なくとも一方は、当該駆動用交差指電極が発生する弾性表面波が交差指電極の両側に均等に出ていくことなく、一方側に出ていく弾性表面波の振幅が、他方側に出ていく弾性表面波の振幅よりも大きくなるようにする一方向化手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波モータ。
  17. 前記スライダの前記弾性表面波基板の表面に接触する部分の、弾性表面波の進行方向と直交する方向の幅は、前記駆動用交差指電極における電極重なり幅と実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波モータ。
  18. 前記スライダは、当該スライダの前記弾性表面波基板の表面と接触する部分に、弾性表面波の進行方向と直交する方向に一様に分布した接触突起を持つことを特徴とする請求項17に記載の弾性表面波モータ。
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