JP4733049B2 - 映像品質客観評価装置、評価方法およびプログラム - Google Patents
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Description
パケット損失や遅延ゆらぎなど通信ネットワークの品質劣化による映像劣化は、空間内で局所的に発生したり、時間軸上で局所的に発生したりする特徴がある。
図1は、空間内で局所的に劣化が発生した映像の1例を示す図である。通信ネットワークのパケット損失や符号誤りによる映像劣化は、映像の動きのある領域を中心として局所的に生じるため、空間的な局所性を考慮する必要がある。図1のP1は、劣化発生箇所である。
アライメント部11は、劣化映像信号PIと基準映像信号RIのフレーム表示間隔とフォーマットを合わせた上で、基準映像信号RIをフレーム単位で時間方向に検索することにより、劣化映像信号PIと同一フレームの基準映像信号RIを探索し、さらに探索した基準映像信号RIを上下左右方向に動かすことにより、劣化映像信号PIと基準映像信号RIとが画素単位で最も等しくなるように調整した上で、調整した基準映像信号RIと劣化映像信号PIを時空間特徴量導出部12に渡す(図4ステップS1)。
まず、評価対象フレーム内に生じる空間内の局所的映像劣化を考慮した空間特徴量DSの導出方法の詳細を説明する。図5は、空間特徴量DSの導出方法を示すフローチャートである。
DS=A・Xave_all+B・Xave_bad ・・・(1)
式(1)において、Aは空間内に局所的な映像劣化が生じていない場合の主観評価特性により予め求められた係数、Bは空間内に局所的な映像劣化が生じている場合の主観評価特性により予め求められた係数である。
Y=F(X1,X2,・・・・Xn) ・・・(2)
式(2)において、Yは客観評価値、X1,X2,・・・・Xnは時空間特徴量PC、Fは客観評価値導出関数である。
Y=F(X1,X2)=αX1+βX2+γ ・・・(3)
X1は、例えば劣化量Cとして空間特徴量DSを用いたときに、空間特徴量DSからステップS21〜S24の処理によって得られた時空間特徴量PCである。X2は、例えば劣化量Cとしてフレームレートを用いたときに、フレームレートから得られた時空間特徴量PCである。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図17は、空間内で局所的に劣化が発生した映像の他の例を示す図である。図17は、被写体である車170の移動をカメラで追っているために、背景が右から左へ速い速度で移動している映像を示している。空間内の局所的映像劣化の場合、動きが速く、目に追えないような箇所に局所的映像劣化171が発生したとしても、ユーザの主観評価に与える影響が小さいといったように、映像の動きの速さによりユーザの主観評価に違いが生じる。また、背景領域で発生した局所的映像劣化171と被写体領域で発生した局所的映像劣化172とでは被写体領域で発生した劣化172の方がユーザの主観評価に与える影響が大きいといったように、映像に対するユーザの注目レベル(注目度)によりユーザの主観評価に違いが生じる。
まず、第1の場合は、被写体の動きに合わせてカメラが上下左右(パン、チルト)に動く場合である。被写体の動きに合わせてカメラが上下左右に動く場合、背景領域はカメラの移動方向と逆の向きに移動することになる。そこで、第1の導出手段121は、動きベクトルの方向と長さが互いに等しい複数のブロックからなる領域が存在し、かつこの領域に属するブロックが一定数以上の場合は、この領域を背景領域とする。なお、この注目レベルの判定法によると、被写体が動かない場合も背景領域として判定することになる。
DS=(1/N)×Σ(F1i×F2i×Si) ・・・(4)
式(4)において、Nは対象ブロック数、F1i はブロックi(iは1〜Nまでの自然数)の動きベクトルの方向や長さに依存した重み付け係数、F2i はブロックiの注目レベルに依存した重み付け係数、Si はブロックiの劣化量である。式(4)は、劣化量Sを重み付け係数F1,F2で重み付けした結果をブロック毎に求めて、このブロック毎の結果を評価対象フレーム全体で平均した値を空間特徴量DSとすることを意味する。
重み付け係数F1は、式(4)の対象ブロック毎(iがインクリメントされる毎)に、ブロック毎の動きベクトルの長さに対して、予め求められた劣化映像の動きベクトルの長さと重み付け係数F1との対応関係から導出される。このF1は図20に示すように映像に動きがない場合(動きベクトルが短い場合)、あるいは映像の動きが目で追えないくらい速い場合(動きベクトルが長い場合)には、弱く重みを付け、映像が中程度である場合には強く重みをつける係数である。なお、劣化映像の動きベクトルの長さと重み付け係数F1との対応関係は、動きベクトルの長さが異なる領域に特定の局所劣化を加えた場合に得られる主観評価特性(これを空間特徴量DSの平均値とする)から導出する。
重み付け係数F2は、式(4)の対象ブロック毎(iがインクリメントされる毎)に、ブロック毎の動きベクトルの長さと方向より、ステップS31で導出した閾値から注目レベルを判定し、予め求められている注目レベルと重み付け係数F2との対応関係から導出される。この重み付け係数F2は、図21に示すように被写体領域のように注目レベルが高い領域では強く重みを付け、背景領域のように注目レベルが低い領域では弱く重みがつけられる係数である。なお、注目レベルと重み付け係数F2との対応関係は、予め注目レベルを分類(動きベクトルを用いて先に述べたように被写体の動きあわせたカメラワークに応じて分類)した映像に対して特定の局所劣化を加えた場合に得られる主観評価特性(これを空間特徴量DSの平均値とする)から重み付け係数F1の影響も考慮に入れて最適な対応関係を導出する。
こうして、空間特徴量DSの導出が終了する。時空間特徴量導出部12の第1の導出手段121は、以上の処理を時間の推移に合わせてフレーム毎に行う。ステップS2のうち空間特徴量DSの導出を除く処理、及びステップS1、S3の処理は第1の実施例と々である。
なお、決まった場所で行う映像コミュニケーションサービス(背景が固定されている環境)においては、ステップS31,S32の処理を被写体部分についてのみ行えば済むため、ステップS30において動きベクトルではなく、フレーム間差分を求め、フレーム間差分がある領域を被写体領域、フレーム間差分がない領域を背景領域として簡易に計算することも考えられる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本実施例は、第1の実施例で説明した空間特徴量DSの導出方法と第2の実施例で説明した空間特徴量DSの導出方法とを組み合わせるものである。
Claims (11)
- 評価対象となる劣化映像信号とこの劣化映像信号の劣化前の信号である基準映像信号とから、前記劣化映像信号に生じた劣化の特徴量である時空間特徴量を導出する時空間特徴量導出部と、
予め得られている劣化映像とユーザの主観評価値との関係に基づいて前記時空間特徴量に重み付けを行うことにより前記劣化映像信号についての主観品質を推定する主観品質推定部とを備え、
前記時空間特徴量導出部は、前記劣化映像信号の評価対象フレームに生じた劣化の空間的な局所性を考慮した空間特徴量を導出する第1の導出手段と、前記劣化映像信号の評価対象フレームに生じた劣化の時間特徴量を導出する第2の導出手段と、前記空間特徴量と時間特徴量とを用いて、前記評価対象フレームに生じた劣化の空間的な局所性と時間軸上の局所性とを考慮した前記時空間特徴量を導出する第3の導出手段とを備え、
前記第3の導出手段は、前記空間特徴量と時間特徴量の各々を劣化量とし、時間軸上の局所的な劣化量と、時間軸上に局所的な劣化が生じていない場合の平均劣化量と、予め得られている劣化量とユーザの主観評価値との関係に基づいて、前記時空間特徴量を前記空間特徴量と時間特徴量の各々について導出することを特徴とする映像品質客観評価装置。 - 前記時空間特徴量導出部の第1の導出手段は、前記評価対象フレーム内の空間的な劣化量分布の統計量と、予め得られている前記統計量とユーザの主観評価値との関係に基づいて、前記空間特徴量を求めることを特徴とする請求項1記載の映像品質客観評価装置。
- 前記劣化量分布の統計量として、評価対象フレーム全体で劣化量を平均した値であるフレーム平均劣化量、前記評価対象フレームのうち所定の劣化強度範囲に含まれる劣化が生じた領域の大きさ、この領域に属する劣化量を平均した値である局所的劣化領域平均劣化量、前記フレーム平均劣化量と前記局所的劣化領域平均劣化量との差分値のうちのいずれかあるいはこれらの値の中の任意の組み合わせを用いることを特徴とする請求項2記載の映像品質客観評価装置。
- 前記時空間特徴量導出部の第3の導出手段は、予め得られている劣化量とユーザの主観評価値との関係に基づいて局所劣化判別閾値を決定し、現時点の劣化量と現時点までの前記平均劣化量との差分値が前記局所劣化判別閾値以上のとき、前記局所的劣化が発生したと判断することを特徴とする請求項1記載の映像品質客観評価装置。
- 前記平均劣化量に対する前記局所的劣化の変動量及び継続時間がユーザの主観評価に与える影響を考慮して決定された、前記局所的劣化の変動量及び継続時間と劣化強度との関係を記憶する劣化強度データベースを備え、前記時空間特徴量導出部の第3の導出手段は、前記局所的劣化が発生する度に、この局所的劣化の変動量及び継続時間に対応する劣化強度を前記劣化強度データベースから取得することを特徴とする請求項4記載の映像品質客観評価装置。
- 劣化量とユーザの主観評価値との関係に基づいて決定された、劣化強度の合計値を記憶する第1のテーブルと、劣化量とユーザの主観評価値との関係に基づいて決定された、劣化強度の合計値と時空間特徴量との関係を記憶する第2のテーブルとを備え、前記時空間特徴量導出部の第3の導出手段は、前記劣化強度データベースから取得した劣化強度を前記第1のテーブルに基づいて単位測定期間毎に合計し、この劣化強度の合計値から前記第2のテーブルに基づいて前記時空間特徴量を導出することを特徴とする請求項5記載の映像品質客観評価装置。
- 前記時空間特徴量導出部の第1の導出手段は、フレームを分割したブロック毎のフレーム間差分値に基づいて前記基準映像信号における映像の動きをブロック毎に検出し、前記劣化映像信号のブロックの劣化量を、対応する前記基準映像信号のブロックで検出した映像の動きと、予め得られている劣化映像の動きの速さとユーザの主観評価値との関係に基づいてブロック毎に重み付けすることにより、前記空間特徴量を求めることを特徴とする請求項1記載の映像品質客観評価装置。
- 前記時空間特徴量導出部の第1の導出手段は、フレームを分割したブロック毎の動きベクトルに基づいて前記基準映像信号における映像の動きをブロック毎に検出し、前記劣化映像信号のブロックの劣化量を、対応する前記基準映像信号のブロックで検出した映像の動きと、予め得られている劣化映像の動きの速さとユーザの主観評価値との関係に基づいてブロック毎に重み付けすることにより、前記空間特徴量を求めることを特徴とする請求項1記載の映像品質客観評価装置。
- 前記時空間特徴量導出部の第1の導出手段は、フレームを分割したブロック毎の動きベクトルに基づいて前記基準映像信号に対するユーザの注目度をブロック毎に導出し、前記劣化映像信号のブロックの劣化量を、対応する前記基準映像信号のブロックで導出した注目度と、予め得られている劣化映像に対するユーザの注目度とその劣化映像に対するユーザの主観評価値との関係に基づいてブロック毎に重み付けすることにより、前記空間特徴量を求めることを特徴とする請求項1記載の映像品質客観評価装置。
- 評価対象となる劣化映像信号とこの劣化映像信号の劣化前の信号である基準映像信号とから、前記劣化映像信号に生じた劣化の特徴量である時空間特徴量を導出する時空間特徴量導出手順と、
予め得られている劣化映像とユーザの主観評価値との関係に基づいて前記時空間特徴量に重み付けを行うことにより、前記劣化映像信号についての主観品質を推定する主観品質推定手順とを備え、
前記時空間特徴量導出手順は、前記劣化映像信号の評価対象フレームに生じた劣化の空間的な局所性を考慮した空間特徴量を導出する第1の導出手順と、前記劣化映像信号の評価対象フレームに生じた劣化の時間特徴量を導出する第2の導出手順と、前記空間特徴量と時間特徴量とを用いて、前記評価対象フレームに生じた劣化の空間的な局所性と時間軸上の局所性とを考慮した前記時空間特徴量を導出する第3の導出手順とからなり、
前記第3の導出手順は、前記空間特徴量と時間特徴量の各々を劣化量とし、時間軸上の局所的な劣化量と、時間軸上に局所的な劣化が生じていない場合の平均劣化量と、予め得られている劣化量とユーザの主観評価値との関係に基づいて、前記時空間特徴量を前記空間特徴量と時間特徴量の各々について導出することを特徴とする映像品質客観評価方法。 - 評価対象となる劣化映像信号とこの劣化映像信号の劣化前の信号である基準映像信号とから、前記劣化映像信号に生じた劣化の特徴量である時空間特徴量を導出する時空間特徴量導出手順と、
予め得られている劣化映像とユーザの主観評価値との関係に基づいて前記時空間特徴量に重み付けを行うことにより、前記劣化映像信号についての主観品質を推定する主観品質推定手順とをコンピュータに実行させ、
前記時空間特徴量導出手順は、前記劣化映像信号の評価対象フレームに生じた劣化の空間的な局所性を考慮した空間特徴量を導出する第1の導出手順と、前記劣化映像信号の評価対象フレームに生じた劣化の時間特徴量を導出する第2の導出手順と、前記空間特徴量と時間特徴量とを用いて、前記評価対象フレームに生じた劣化の空間的な局所性と時間軸上の局所性とを考慮した前記時空間特徴量を導出する第3の導出手順とからなり、
前記第3の導出手順は、前記空間特徴量と時間特徴量の各々を劣化量とし、時間軸上の局所的な劣化量と、時間軸上に局所的な劣化が生じていない場合の平均劣化量と、予め得られている劣化量とユーザの主観評価値との関係に基づいて、前記時空間特徴量を前記空間特徴量と時間特徴量の各々について導出することを特徴とする映像品質客観評価プログラム。
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