JP4732640B2 - 枠付き建築用パネル体とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は枠付き建築用パネル体とその製造方法に関し、特に、面材として標準寸法の単一化した窯業系建築板を用いながら、異なった縦長さのパネル体を外観意匠を損なうことなく施工することができる枠付き建築用パネル体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の構造法の1つとして、パネル工法が住宅用の建築物の壁面に用いる工法として広く普及している。このパネル工法は、通常、四方の枠材と必要に応じその内部に設けた補強材とからなる四方組みした枠体の一面または両面に構造用の面材を貼って壁パネルとし、それを壁構造体として建築物躯体に取り付け固定していく工法である。この工法は、建物の外壁面を構成する場合にも採用されており、上記のように四方組みした枠材の屋外側となる面に直接的に外装材を取り付けることによって、建築物の外面仕上げが行われる。
【0003】
上記のパネル工法において、前記壁パネルは原則的にほとんどが工場で生産される。すなわち、四方組みした枠材と、面材としての例えば窯業系建築板とが、それぞれ工場で製造され、必要に応じて窯業系建築板に適宜の切断加工が施された後、枠材と建築板とを一体に組み付ける。このようにして工場で生産された壁パネルが建築現場に運び込まれ、四方組みした枠材を利用して基礎土台に固定していくことにより、建築物の壁面あるいは外壁面が構築される。
【0004】
最近では、この種の壁パネルに用いる外装材面材(例えば、窯業系建築板)に高い外観意匠性が求められるようになってきており、表面柄模様として、自然石のような天然模様が好まれる傾向が強くなり、その一つとして、レンガ貼り模様が多くなってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、住宅用の建築物において、その壁面高さ(階高さ)は施主の希望もあり、一棟毎に異なることが多い。そのために、前記した従来のパネル工法においても、その壁面の高さに合わせた種々の寸法の枠体が作られ、同時に、外装材面材も高さの違う多くの種類のものが必要となっている。外装材面材として窯業系建築板を用いる場合に、標準寸法に単一化したものを寸法合わせの目的で上下方向で適宜切断しながら用いることも考えられるが、例えば表面が多段横貼りレンガ模様の場合に、1つの段のレンガ模様の中間に切断線が生じて外観意匠が低下しやすくなることから、そのような用い方は現実的とはいえない。実際の施工においては、高い外観意匠性を維持するために、柄模様が分断されないようにして種々の高さの成形型を準備し、種々の高さ寸法の建築板を生産するようにしており、製造コストが高くなり、また作業工程的にも不合理となっている。
【0006】
さらに、表面模様が多段横貼りレンガ模様である建築板の場合、上下方向の長さが3000mm程度の大形の建築板となると、各段のレンガ模様を形成する横凹溝を順次渉り越えて次第に下端側に流下してくる雨水が、どうしても建築板の下端近傍では滞留しがちとなり、汚れが生じやすくなる。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、標準寸法の単一化した窯業系建築板を用いながら、異なった縦長さの枠体に面材として貼り付けた場合にも、その外観意匠が損なわれることのない枠付き建築用パネルとその製造方法を提供することを目的とする。それにより、施工コストの低減も可能となる。また、本発明の他の目的は、表面模様が多段横貼りレンガ模様である建築板において、その下端近傍での雨水の流れを良好にして汚れが生じ難くした建築板を備えた枠付き建築用パネル体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明による枠付き建築用パネル体は、四方組みした枠体の片面に、多段横貼りレンガ模様の最下段に縦凹溝で区画された縦貼りレンガ模様が形成されている建築板が面材として取り付けられており、少なくとも前記枠体の前記縦貼りレンガ模様側となる下辺枠部分には、建物躯体への接合用孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による上記の枠付き建築用パネル体の製造方法は、枠体の縦長さがそこに取り付けるべき建築板の縦長さよりも短いものである場合に、少なくとも建築板の縦貼りレンガ模様をカットして長さ合わせをした後、その建築板を面材として枠体に取り付けることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、住宅用の建築物の階高さよりも幾分長さの長い1種類の窯業系建築板を標準品として用意するのみで、階高さの異なる建物に取り付けるための多種類の枠付き建築用パネル体を、外観意匠性を損なうことなく製造することが可能となり、製造コストは低減される。すなわち、施工現場での建物の階高さに応じた枠体を用意し、該枠体の上下方向の長さに合うようにして、上記建築板における縦貼りレンガ模様部分をカットした後、該建築板を適宜の手段により枠体に固定する。
【0011】
本発明では、長さ合わせを建築板の下端側にある縦貼りレンガ模様の部分をカットすることで行うことができ、横貼りレンガ模様が高さ方向の途中でカットされることはないので、外観意匠性が損なわれることはない。寸法の差が大きく縦貼りレンガ模様の部分のカットのみでは十分な距離がとれない場合には、横貼りレンガ模様部分を上段側から少なくとも1段分、場合によっては複数段分、その横方向に走る凹溝に沿ってカットし、その後、必要に応じて、縦貼りレンガ模様部分のカットを行うようにする。
【0012】
上記の枠付き建築用パネル体では、建築板の周囲は四方組みした枠体により裏面から支持されており、上下方向の長さが3000mm程度の大形であり、かつ薄手の窯業系建築板であっても、十分な強度を備える。そのために、建物躯体側への固定作業は容易である。建物躯体側への枠付き建築用パネル体の留め付けは、枠体の縦貼りレンガ模様側となる下辺枠部分に形成した接合用孔を利用して行われるので、施工作業が容易であるとともに、建築板に傷や破損が生じることもない。
【0013】
また、建築板の表面には、多段横貼りレンガ模様とその最下段に縦凹溝で区画された縦貼りレンガ模様が形成されており、全体として高い外観意匠性を備えるばかりでなく、表面を流下してきた雨水は、その下端近傍において、縦貼りレンガ模様を区画している縦凹溝に沿って速やかに流れ出るので、そこに滞留が生じることはなく、汚れが生じ難くなる。寸法合わせのための縦貼りレンガ模様のカットは部分的なものであり、寸法調整後も、上記した水切りが良好であり雨水の滞留が生じることはない、という効果はそのまま維持される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。図1は本発明による枠付き建築用パネル体に用いられる面材の一例を示す平面図であり、図2は図1のII−II線による断面図である。この例において、面材は窯業系の建築板10であり、例えば、原料であるセメントと木質補強材との混合物を、湿式法、乾式法、押出成形法などによって板状に成形した後、養生硬化と乾燥を行い、最後に塗装仕上げして製品とされている。
【0015】
この建築板10は、990mm×3030mm×16mm程度の大きさのものであり、表面には、横凹溝11が多段(図示の例では42段)に形成され、また、横凹溝11に直交する縦凹溝12が、2本あるいは複数本の横凹溝11間に渡るように形成されていて、それにより、表面に多段横貼りレンガ模様の領域が形成されている。
【0016】
最下段の横凹溝11aは、建築板10の下辺13よりも上位に位置しており、該横凹溝11aと建築板10の下辺13とを結ぶように第2の縦凹溝14が所定間隔で形成されていて、その部分に縦貼りレンガ模様を形成している。好ましくは、縦貼りレンガ模様領域の上下方向幅Wは、上位に形成されているレンガ模様の縦幅aの3段分程度とされるのが実用的である。
【0017】
このような大形でかつ薄手の窯業系建築板10は、通常、図3および図4に示すように、四方組みした枠体20の一面に生産工場で組み付けられ、枠付き建築用パネル体40として施工現場に運び込まれて、それが壁構造体として建築物躯体に取り付け固定される(パネル工法)。
【0018】
前記したように、住宅用の建築物において、その壁面高さ(階高さ)は施主の希望もあり、一棟毎に異なることが多い。そのために、窯業系建築板10を取り付ける枠体20も種々の高さ寸法のものが作られる。図3には、その例として、高さの異なる2つの枠体20、20aを示している。いずれの枠体も、この例では、C型チャンネルである下枠21と上枠22とを、同じくC型チャンネルである左右の縦枠23、24で連結した四方枠材と、中央に配置した補強用縦枠25と、上端近傍に横張りされた取り付けプレート26とで構成されている。下枠21の側壁裏面側には、図示しない建物の土台とボルト締めなどによって接合するときに用いられる接合用孔27が形成され、また、底面には吊り上げや組み立て時に利用される補助孔28が形成されている。なお、このような孔は、必要な場合には、上枠22にも形成される。また、枠体20を形成する材料はC型チャンネルに限られることはなく、I型鋼やL型鋼、あるいはそれらの組み合わせによってもよい。
【0019】
図3において、仮想線で示す枠体20aの外寸は990mm×3030mmであり、窯業系建築板10の外寸と実質的に同じである。一方、実線で示す枠体20は、横幅は枠体20aと同じであるが、縦長さが枠体20aよりも短い。そこで、枠体20aに対しては、適宜に手段により、窯業系建築板10をその縦貼りレンガ模様側が下側となるようにして、そのままで、すなわち寸法合わせのための上下方向での切断を行うことなく取り付けることにより、枠付き建築用パネル体40は完成する。
【0020】
枠体20については、窯業系建築板10との高さの違い分だけ窯業系建築板10の寸法合わせ、すなわち切断除去を行った後、枠体20に組み付ける。高さの違いが上位に形成されているレンガ模様1枚分の縦幅aよりも小さい場合には、下辺13から違い分の幅だけ、縦貼りレンガ模様部分を切り落とす。切り落とし片の1例が図1および図3においてP1として示される。
【0021】
高さの違いが、縦貼りレンガ模様領域の上下方向幅Wを越えるものである場合には、レンガ模様1枚分の縦幅aの整数倍の距離については、該整数倍分のレンガ模様の段数を横凹溝11に沿って上辺15側から切り落とし(その切り落とし片の1例が図1および図3においてP2として示される)、残り分を縦貼りレンガ模様部分から切り落とす(前記P1に相当する)。ただし、高さの違いが縦貼りレンガ模様領域の上下方向幅Wと等しい場合に、寸法合わせを縦貼りレンガ模様領域のすべてを除去することで行うことは好ましくない。その理由は、縦貼りレンガ模様領域に形成される第2の縦凹溝14は、建築板10の表面を流下してきた雨水を速やかに流下させる流路としての機能を持つものであり、第2の縦凹溝14を全くなくしてしまうことは、雨水が流れ出るのを阻害して、そこに滞留を生じさせ、汚れを生じ易くするからである。
【0022】
枠体20を用いて製造された枠付き建築用パネルの全体が図4に示される。図示のように、住宅用の建築物の階高さよりも幾分長さの長い1種類の窯業系建築板10を高さ合わせの目的で切断処理したにもかかわらず、切断線がレンガ模様1枚分の縦幅aの中間に形成されることはなく、その見た目の外観意匠性は、枠体20aに窯業系建築板10をそのままで組み付けた場合とまったく同じものとなる。そして、この外観意匠性は、枠体20の高さがどのようなものであっても容易に維持できる。
【0023】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、階高さの異なる建物に取り付けるための高さの異なる多種類の枠付き建築用パネル体を、標準品である1種類の窯業系建築板を用意するのみで、外観意匠性を損なうことなく製造することが可能となる。すなわち、レンガ模様のような凹凸表面模様を持つ建築板を形成するには、原料を板状に成形する際に、表面に逆凹凸模様を形成した型板を使用しており、特に、乾式法においては、養生硬化までの時間、多数枚を積層した状態でクランプしておく関係から、相当数の型板を必要としている。そして、成形される窯業系建築板の表面模様が持つ外観意匠性を損なわないために、従来、このような多数枚の型板を高さの異なる型枠ごとにそれぞれ用意する必要があったため、高い製造コストを要していた。しかし、本発明によれば、1種類の窯業系建築板を用意するのみで、異なった高さの枠付き建築用パネルを外観意匠性を損なうことなく製造することが可能となり、大幅なコストの削減が可能となる。
【0024】
また、建物躯体側への枠付き建築用パネル体の留め付けは、枠体の縦貼りレンガ模様側となる下辺枠部分に形成した接合用孔を利用して行われるので、施工作業が容易であるとともに、建築板に傷や破損が生じることもない。さらに、建築板の表面を流下してきた雨水は、その下端近傍において、縦貼りレンガ模様を区画している縦凹溝に沿って速やかに流れ出るので、そこに滞留が生じることはなく、汚れが生じ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による枠付き建築用パネル体に用いられる面材の一例である窯業系建築板を示す平面図。
【図2】図1のII−II線による断面図。
【図3】本発明による枠付き建築用パネル体を分解して示す斜視図。
【図4】本発明による枠付き建築用パネル体の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
10…面材(窯業系建築板)、11…横凹溝、11a…最下段の横凹溝、12…縦凹溝、14…第2の縦凹溝、20…枠体、27…接合用孔、40…枠付き建築用パネル体

Claims (2)

  1. 四方組みした枠体の片面に、多段横貼りレンガ模様の最下段に縦凹溝で区画された縦貼りレンガ模様が形成されている建築板が面材として取り付けられており、少なくとも前記枠体の前記縦貼りレンガ模様側となる下辺枠部分には、建物躯体への接合用孔が形成されていることを特徴とする枠付き建築用パネル体。
  2. 四方組みした枠体の片面に多段横貼りレンガ模様の最下段に縦凹溝で区画された縦貼りレンガ模様が形成されている建築板を面材として取り付けて枠付き建築用パネル体を製造するに際して、枠体の縦長さが建築板の縦長さよりも短いものである場合に、少なくとも建築板の縦貼りレンガ模様をカットして長さ合わせをした後、枠体に建築板を取り付けることを特徴とする枠付き建築用パネル体の製造方法。
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