JP4732569B2 - コーティングの光学的な層厚さを連続的に決定するための方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる球半径R1とR2とを有するコンカーブコンベックスレンズの両側の球面に施されたコーティングの光学的な層厚さを連続的に決定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板又はそれに類似したものに蒸着された層の厚さを測定するフォトグラフィックな方法は公知である。DE−OS3627232号明細書には、チョッパによって測定位相、反射位相及び暗位相が生ぜしめられ、これらの異なる位相が時間的にずらされており、すべての位相のために唯一の検出器を設けることのできるフォトメータが記載されている。この場合には第1と第2の光導装置が設けられ、これらの光導装置の各一端の間に、測定しようとする対象物が配置される。さらに、一端で検出器に向き合って位置しかつ他端でチョッパと結合された第3の光導装置が設けられている。前記チョッパは第1の光導装置の他端とも結合されている。この場合の欠点は複数の光源が配置されなければならないことである。
【0003】
J. Roland Jacobsson: PROCEEDINGS, 巻652,Thin film technolo-gies II、1986、24頁には、反射と光学的な層厚さとの間の機能的な関係が記載されている。この場合、実験はなかんづく、TiO2とMgF2との複数の層が交互に基板に施される成層システムにおいて説明されている。この機能的な関連性は種々異なる層材料のために、一般的に公知である光学的な法則性にしたがって理論的に算出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はコンカーブコンベックスレンズの両側に施されたコーティングの光学的な層厚さを連続的に決定する方法を、比較的に簡単に実施可能でかつ比較基板における比較測定を省略できるように改良することである。さらに本発明の方法はコンカーブコンベックスレンズの上に複数の層からなる成層系が配置されるときにも使用できるようにしたい。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、異なる球半径R1とR2とを有するコンカーブコンベックスレンズの両側の球面に施されたコーティングの光学的な層厚さを連続的に決定する方法において、各コンカーブコンベックスレンズをコーティングプロセスの間、偏心的に光線ビームで負荷し、コンベックスな球面とコンカーブな球面とにおける反射又は透過をフォトダイオードを用いて連続的に測定し、そのつどの光学的な層厚さを、反射又は透過と光学的な層厚さとの間の機能的な関係から求めることによって解決された。光学的な層厚さとは幾何学的な層厚さとそのつど選ばれた波長に関するそのつどの屈曲指数とから求められる。成層系としては単層又は多層の層系を使用することができる。この方法では幅0.1mmから5mmまでの幅を有する光線ビームが使用される。反射又は透過と各光学的な層厚さとの間の機能的な関係は一般的に公知であるか又はあらかじめ算出され得るので、反射又は透過の求められた値から光学的な層厚さを求めることができる。さらに驚くべきことにはコンカーブコンベックスレンズの両側における光学的な層厚さはコーティングプロセスの間、連続的に決定されかつ監視され得ることが判明した。この場合には1つの光源しか必要でなく、比較基板における比較測定は有利な形式で省略することができる。これは、コンベックスな球面とコンカーブな球面とに異なる層厚さを有する異なる層が層系として設けられておりかつ両側のコーティングが同時に行われる場合に特に有利である。
【0006】
本発明の有利な実施例の特徴は、コンカーブコンベックスレンズが縁部領域において光線ビームで負荷されることである。縁部領域とは、コンカーブコンベックスレンズの外縁からその中心へ向かって幅1〜12mmで延在する外側領域のことである。このような形式で反射は特に有利な形式で求めることができる。何故ならばコンベックスな球面における反射角とコンカーブな面における反射角は、コンカーブコンベックスレンズの縁部領域ではコンカーブコンベックスレンズの中心の直ぐ近くの領域よりも大きいからである。このような形式でコンカーブコンベックスレンズの両方の球面における反射は2つの別個のフォトダイオードによって個別に決定されることができる。これから両方の球面の上の光学的な層厚さが直接的に得られる。これに対し、本発明では行われないように光線ビームがコンカーブコンベックスレンズの中心に正確に入射させられると、コンカーブコンベックスレンズの両方の球面における反射は同じ方向を持ち、反射の別々の決定はたとえ可能ではあってもきわめて困難である。しかしながら反射の別々の決定はコーティングプロセスの効果的な監視にとって不可欠な条件である。したがって両方の球面の曲率半径が異なっていると、反射の別個の検出はコンカーブコンベックスレンズの縁部領域を片側から光線で負荷した場合に特に有利な形式で可能である。
【0007】
本発明の別の有利な構成によれば、光線ビームはチョッパによって分割されるか又はフォトダイオードに達成する前に狭幅バンドフィルタを通して導かれる。チョッパとしては例えばチョッパ円板を使用することができる。これでコンカーブコンベックスレンズを光線ビームで連続的にパルス化して負荷することが可能になる。この結果、コーティングプロセスによって、非連続的な強いバックグラウンド照明が存在し、このバックグラウンド照明が強い妨害ファクタとして、光線ビームの反射の他に同様にフォトダイオードにより捉えられる限り、測定結果の評価が簡易化される。バックグラウンド照明は通常は、光線ビームがチョッピングされることなくコンカーブコンベックスレンズの上へ導かれる限り、測定結果の正確な評価に不都合な影響を及ぼす。したがって本発明によりバックグラウンド照明の不利な作用が回避される。
【0008】
本発明の別の有利な構成によれば、光線ビームはコンカーブコンベックスレンズに当たる前に、ビームスプリッタを通して導かれ、光線ビームの一部分の強度が別のフォトダイオードによって決定されるようになっている。このような形式で測定結果に誤差をもたらす、光源からの光放射変動を監視することができるようになる。
【0009】
本発明の別の有利な実施例の特徴は、光線ビームがビームスプリッタとして使用された変向鏡を通して導かれることである。変向鏡を使用することにより光線ビームは所望の強さで特に有利に分割することができるようになる。
【0010】
本発明の別の実施例によれば、光線ビームとして白光が使用される。白光は可視範囲で390nmと770nmとの間の領域のすべての波長を含む。この場合には、反射又は透過の測定を、測定技術的に特に有利に検出できる特別な波長に合わせて行うことができるという利点がある。
【0011】
本発明の別の有利な構成は光線ビームがコンベックスな球面に垂直に導かれることを特徴としている。このような形式で反射は、特に例えばコーティング室として小さな真空室しか存在せず、反射角がスペースの関係から検出することが困難である場合に、特に簡単に検出できるようになる。これは特にわずかな数のコンカーブコンベックスレンズしか同時にコーティングされないコーティング設備の場合である。
【0012】
本発明の別の構成の特徴は、直径が0.1mmから2mmまでの光線ビームが使用されることである。この領域にて反射又は透過の測定はほぼ誤差なく実施される。
【0013】
本発明の別の有利な構成によれば、コンカーブコンベックスレンズとしてメガネレンズが使用されている。このメガネレンズはガラス又はプラスチックから成っていることができる。メガネレンズをコーティングする場合にはコーティングの各光学的な層厚さはきわめて正確に調節されなければならないので、メガネレンズは提案されている方法でコーティングされるコンカーブコンベックスレンズとして特に有利な形式で適する。
【0014】
本発明の別の有利な構成によれば、光線ビームは調節可能な鏡を介しフォトダイオードに導かれている。調節可能な鏡を用いることによりフォトダイオードは良好に位置決めされて光線ビームで負荷されるようになる。この結果、測定結果の質は高められる。
【0015】
本発明の有利な別の構成の特徴はコンベックスな球面又はコンカーブな球面における反射又は透過がフォトダイオードとして配置された位置感応性の検出器で連続的に測定されることである。フォトダイオードとしての位置感応性の検出器は同様に有利な形式で当該方法の測定精度を高める。
【0016】
本発明の別の構成によれば、コンベックスな球面にて反射された光線ビームの方向の変化が連続的に測定されかつ調整系を介して補償されるようになっている。コーティング室における処理しようとするコンカーブコンベックスレンズに対する熱的な作用によってコンベックスな球面又はコンカーブな球面における曲率半径がわずかに変化する可能性がある。これは同時にそのつど反射される光線ビームの方向の変化をもたらす。この方向の変化は反射又は透過の測定に不都合に作用する。したがってこの方向の変化を連続的に監視することが有利である。この監視は簡単な調整回路で行うことができる。この場合には前記方向の変化はただちに修正されることができる。このためには調整装置と直接的に結合された測定兼調整装置を使用することができる。これは光学的な層厚さを連続的に決定する当該方法の精度を高める。
【0017】
本発明の有利な別の構成の特徴は、光線ビームが光源として配置された1つのレーザダイオードから放射されることである。このような形式で構成部材を節減することができる。したがって例えばチョッパの配置を省略することができる。さらにレーザダイオードを配置するための所要スペースはきわめてわずかであり、これも同様にきわめて有利である。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例を図1から図3を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1にはコンカーブコンベックスレンズが簡易化されて横断面図で略示されている。この場合にはハッチングは図面を見やすくするために省略した。コンカーブコンベックスレンズは球半径R1のコンベックスな球面1を有している。反対側ではコンカーブコンベックスレンズは球半径R2を有するコンカーブな球面2で制限されている。異なる球半径R1とR2を有するコンカーブコンベックスレンズの球面に両側で施されたコーティングの光学的な層厚さを連続的に決定する方法においては、コンカーブコンベックスレンズはコーティングプロセスの間、コンカーブコンベックスレンズの中心と合致しない、特に有利な形式ではコンカーブコンベックスレンズの縁範囲に選ばれた測定点3にて、光源4から光線ビームでビームスプリッタ8を介して負荷される。ビームスプリッタ8によって光線ビームは2つのビーム部分に分けられる。第1のビーム部分は光源4を監視するために役立つ別のフォトダイオード9に導かれる。第2のビーム部分はコンカーブコンベックスレンズの縁部範囲にある測定点3に垂直にあたり、まずコンベックスな球面1にて反射させられる。反射したこの光線ビームは方向を変えない。コンベックスな球面1を通過した光線ビームはコンカーブな球面2の上に達し、この球面2にて反射させられる。この場合、反射させられた光線ビーム(破線で図示)は反射角度ωで示したように方向が変化させられる。コンカーブな球面2にて反射させられた光線ビームはフォトダイオード13に導かれる。コンベックスな球面1にて反射させられた光線ビームはフォトダイオード5へ導かれる。コンベックスな球面1とコンカーブな球面2とにおける反射もしくは透過の測定値には直接的に、球面の上におけるコーティングの光学的なそのつどの層厚さのための値を関係付けることができる。この場合には公知の機能的な関係を応用することができる。このような形式で光学的な層厚さはコーティングプロセスの間、コンベックスな球面1とコンカーブな球面2との上で同時に連続的に決定することができるので、本来のコーティングプロセスを比較的に簡単な形式で監視しかつ場合によっては適正化することができる。反射した光線ビームはフォトダイオード5,13に達する前に場合によってはラインフィルタを通して導かれるか又は位相選択的に増強されることができる(図示せず)。
【0020】
図2にはコンカーブコンベックスなレンズが配置されている真空室12が横断面図で示されている。真空室12内ではコンカーブコンベックスレンズの両面コーティングが行なわれる。真空室12の外側には光源4が配置されている。光線ビームは光線源4から発してチョッパディスクとして配置されたチョッパ7へ導かれる。チョッピングされた光線ビームはビームスプリッタ8へ達する。このビームスプリッタ8によって光線ビームは2つのビーム部分に分けられる。第1のビーム部分は、時折り放射光線の強度が変動することのある光源4を監視するために役立つ。第2のビーム部分は変向鏡10とのぞきガラス11とを介して真空室12内に達し、コンカーブコンベックスレンズの縁範囲に位置する測定点3にて、まずコンベックスな球面1にあたる。コンベックスな球面1にて反射させられた光線はのぞきガラス11と変向鏡10とビームスプリッタ8とを介して、反射を決定するフォトダイオード5に直接的に達する。フォトダイオード5において検出された測定値は公知の機能的な関係に従って層厚さに関係付けられている。同様の形式でコンカーブな球面2にて反射された光線ビーム(破線で図示)の反射光線も決定される。この場合には反射するこの光線ビームはフォトダイオード13に供給される。方法技術的な変動に基づき、運転の間に、コンベックスな球面1にて反射された光線ビームの方向が変化することがあるので、この方向の変化を連続的に測定しかつ調整系14,15を介して補償することが有利である。フォトダイオード5において、反射する光線ビームが当たる点は連続的に監視される。この場合、測定された値は測定兼調整装置15に供給される。方向の変化が生じると、適当な信号が測定兼調整装置から調節装置14へ導かれる。この調節装置は自動的に変向鏡10の位置を、方向の変化が補償されるように変化させる。これは唯一の調整回路を用いて行なうことができる。変向鏡10と調節装置14は統合した装置部分に配置されていることができる。これは図2において、両方の部分を囲む4角形で示されている。フォトダイオード5としては有利な形式で、位置感応性の検出器が配置されていることができる。この場合、位置感応性の検出器とは、フォトダイオードのように光強度を測定するために役立ち、同時に光過敏性の面における光線ビームの位置を測定することのできる光学的な構成部分である。方向の変化の補償により、有利な形式で、反射させられた光線ビームの総量を実質的にフォトダイオード5によって検出することができるようになる。一般的には光線ビームの方向付けは本来のコーティング時相の前に真空室12内で行なわれる。このような形式でコンカーブコンベックスレンズを比較的に接近しにくい真空室12においてコーティングするコーティング方法を比較的に簡単な形式で監視するか又は最適化することができる。この場合、コンカーブコンベックスレンズとしては有利な形式でメガネレンズを使用することができる。
【0021】
図3には真空室12が、その内部に配置されたコンカーブコンベックスレンズと真空室12の外に位置する、1つの構成部分内に統合された光源4と共に横断面図で示されている。この場合には光源4はレーザダイオードとして構成されている。レーザダイオードは通常は、放射する光線ビームの強度の変動がわずかであるので、チョッパと変向鏡との配置は省略することができる。コンベックスな球面1において反射させられた光源ビームの反射を測定するために配置されたフォトダイオード5は光源4,調節装置14及びビームスプリッタ8と共に1つの構成ユニットにまとめられている。これはこれらの部分をほぼ完全に取囲む4角形で図3に簡略化して示してある。測定兼調節装置15とコンカーブな球面2において反射した光線ビームを測定するために設けられたフォトダイオード13は前記構成ユニットの外に位置している。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンベックスな球面とコンカーブな球面とを有するコンカーブコンベックスレンズを横断面で示した図。
【図2】真空室を、その中に配置されたコンカーブコンベックスレンズと真空室の外側に配置された光源と共に示した横断面図。
【図3】真空室を、1つの構成ユニットに統合された、その中に配置されたコンカーブコンベックスレンズと該真空室の外に配置された光源と共に示した横断面図。
【符号の説明】
1 コンベックスな球面、 2 コンカーブな球面、 3 測定室、 4 光源、 5 フォトダイオード、 6 中心、 7 チョッパ、 8 ビームスプリッタ、 9 フォトダイオード、 10 変向鏡、 11 のぞきガラス、 12 真空室、 13 フォトダイオード、 14 調節装置、 15 調整装置
Claims (13)
- コンカーブコンベックスレンズの、異なる球半径R1とR2とを有する両側の球面に施されたコーティングの光学的な層厚さを連続的に決定する方法であって、コーティングプロセスの間、各コンカーブコンベックスレンズに偏心的に光線ビームを当て、コンベックスな球面(1)における光線ビームの反射を第1のフォトダイオード(5)で連続的に測定し、コンカーブな球面(2)における光線ビームの反射を第2のフォトダイオード(13)で連続的に測定して、各光学的な層厚さを、反射と光学的な層厚さとの間の機能的な関係から求めることを特徴とする、コーティングの光学的な層厚さを連続的に決定する方法。
- コンカーブコンベックスレンズの縁部領域にて光線ビームをコンカーブコンベックスレンズに当てる、請求項1記載の方法。
- 前記光線ビームをチョッパ(7)でチョッピングするか又はフォトダイオード(5,13)に達する前に狭幅ベルトフィルタを通して導く、請求項1又は2記載の方法。
- 光線ビームがコンカーブコンベックスレンズに当たる前に、ビームスプリッタ(8)を通して導き、光線ビームの1部の強さを別のフォトダイオード(9)で決定する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 光線ビームをビームスプリッタ(8)として使用された変向鏡を通して導く、請求項4記載の方法。
- 光線ビームとして白光を使用する、請求項4記載の方法。
- 光線ビームをコンベックスな球面(1)に垂直に導く、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 直径が0.1mmから2mmの光線ビームを使用する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- コンカーブコンベックスレンズとしてメガネレンズを使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 光線ビームを、調節可能な変向鏡(10)を介してフォトダイオード(5)へ導く、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- コンベックスな球面(1)又はコンカーブな球面(2)における反射をフォトダイオード(5,13)として配置された位置感応性の検出器によって連続的に測定する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- コンベックスな球面(1)にて反射する光線ビームの方向の変化を連続的に測定しかつ補償するためにはフォトダイオード(5)を位置感応性の検出器として構成し、反射する光線ビームが該検出器に当たる個所を検出し、目標位置と比較し、次いでこの偏差を、入射する光線ビームの方向の変化によって補償するために、変向鏡(10)の調節によって又は光源(4)並びにフォトダイオード(5)を有する構成ユニットの角度位置の調節によって光線ビームの方向を変化させる、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
- 光線ビームを光源として配置されたレーザーダイオードから放射する、請求項1から5及び7から12までのいずれか1項記載の方法。
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