以下、本発明に係る映像表示装置の実施形態であるプロジェクタについて図面を用いて詳細に説明する。各図面に付した符号は、同一の機能を有するものは同一とした。
図1に示されるように、プロジェクタ10は、そのプロジェクタ本体内に備えられた光源ユニット12と、プロジェクタ本体11の前面に取り付けられた投射レンズ部13とを備えている。光源ユニット12は、映像を表示するための投射光L(図2参照)を投射する光源12aと、後述する映像処理部27からの信号に基づいて光源12aを制御する光源制御部12bとを備えている。そして、投射レンズ部13は、投射レンズ14を備えており、投射光Lは投射レンズ14によってスクリーンSなどに投射されるようになっている。
図2に示されるように、投射光Lによって映像を投射できるエリアの形状すなわち投射エリアAの形状は横長の長方形である。そして、この投射エリアAは、後述するコントローラ20(図4参照)によって、図3(A)に示されるように複数の分割領域Bの集合として認識される。具体的には、投射エリアAは上下4段、左右4列の、合計16区画の分割領域Bの集合として認識される。各分割領域Bの形状は、横長の長方形であり、投射エリアAの形状と相似形である。個々の分割領域Bを特定する場合は、分割領域Bの位置を示す添え字を付す。たとえば、「分割領域B21」は、プロジェクタ10の光源12aからスクリーンSに向かって左側から、第2列目で上から第1段目に位置する分割領域Bを示す。
なお、投射エリアAとは、実際には、光源12aからの投射光Lが進行する空間のことであるが、ここでは、投射光Lの投射方向Xに直交している平面を設置したと仮定した場合に、当該平面に投射される投射光Lの投射範囲の形状を投射エリアAの形状としている(図2参照)。また、分割領域Bや後述する投射候補領域Cおよび投射領域Dも、光源12aからの投射光Lが進行する所定空間のことであるが、投射エリアAと同様、投射光Lの投射方向Xに直交している平面に投射された分割領域B等の各領域の形状を分割領域Bの形状としている。
また、図1に示されるように、プロジェクタ10は、投射レンズ部13に設けられたズームユニット15およびフォーカスユニット16と、プロジェクタ本体11内に設置された光量調節器17と、プロジェクタ本体11の前面に設置されたセンサユニット18と、プロジェクタ10のオンオフスイッチおよび電源ユニット(いずれも不図示)とを備えている。また、プロジェクタ10は、動作制御用のコントローラ20をプロジェクタ本体11内に備えている。なお、電源から各機器への電力供給用の配線などは省略した。
ズームユニット15は、スクリーンSに投射する映像を拡大したり縮小したりするためのものであり、ズーム機構15aと当該ズーム機構15aを動作させるためのズーム用モータ15bとを備えている(図4参照)。また、フォーカスユニット16は、いわゆるヘリコイド機構を用いたフォーカス調整機構16aと、当該調整機構を動作させるフォーカス用モータ16bを備えている(図4参照)。これらのモータ15b,16bでズーム機構15aやフォーカス調整機構16aを動作させることで、投射レンズ14のズームやフォーカス調整を行う。なお、これらの機構は公知のものであり、その詳細な説明を省略した。
光量調節器17は、電圧可変式のものであり、光源12aに供給する電力の電圧を調整することで光量を調整するものである。これにより、スクリーンSに適切な明るさの映像を表示できる。なお、光量調節方法は、電圧可変式に限られず、絞りやフィルタを用いる方法など、種々の方法を用いることができる。
センサユニット18は、プロジェクタ10からの距離を測定する距離センサ19を複数備えている。具体的には、分割領域Bの数に等しい16個の距離センサ19を備えている。各距離センサ19は、プロジェクタ10の投射エリアA内に向けて赤外線(検出波)Irを出射する出射部19aと、赤外線Irの反射波を検出する反射波検出部19bとを備えている。また、センサユニット18は、検出した情報に基づいて赤外線Irの反射点Pr(図3(B)参照)までの距離を求める反射点距離演算部18a(図4参照)を備えている。
図3(A)に示されるように、各距離センサ19の出射部19aは、それぞれ、対応する分割領域Bの中央Bcに向けて赤外線Irを出射している。したがって、投射光Lの投射方向にスクリーンSがある場合、距離センサ19から出射された赤外線Irは、対応する分割領域Bの中央Bcの位置であってスクリーンSの表面において反射される。そして、赤外線Irの反射波(以下、反射赤外線)Rrが距離センサ19の反射波検出部19bで検出される。
なお、投射光Lを投射する投射レンズ14の位置と、赤外線Irを出射する距離センサ19の出射部19aの位置は異なる位置である。したがって、図3(B)に示されるように、赤外線Irの実際の反射点Prの位置が対応する分割領域Bの中央Bcの位置からずれることがある。ただし、投射レンズ14と距離センサ19との間の距離はプロジェクタ10から反射点Prまでの距離に比べて小さい距離であり、反射点Prの中央Bcからのズレは僅かである。そこで、ここでは、各距離センサ19の赤外線Irの出射方向は対応する分割領域Bの中央Bcの位置の方向と説明する。
センサユニット18の反射点距離演算部18a(図4参照)は、各距離センサ19における赤外線Irの出射方向と、反射点Prからの反射赤外線Rrの入射方向とに基づいて、距離センサ19から反射点Prまでの距離を求める。また、反射点距離演算部18aは、求めた反射点Prまでの距離と、赤外線Irの出射方向および/または反射赤外線Rrの入射方向とに基づいて、距離センサ19の位置に対する各反射点Prの位置を求める。距離センサ19から反射点Prまでの距離と、距離センサ19に対する反射点Prの位置は、コントローラ20を介して、後述するメモリ20bの中央位置記憶部42に記憶させる。距離センサ19から反射点Prまでの距離は、赤外線Irの出射方向と反射点Prからの反射赤外線Rrの入射方向とが解れば、三角測量の原理などを用いることで求められるものであるので、ここでは求める方法についての説明を省略する。
なお、先に説明したが、図3(B)に示されるように、実際の反射点Prの位置は必ずしも分割領域Bの中央Bcに位置するとは限らない。したがって、実際の反射点Prの位置に対して補正を施してもよい。たとえば、反射点が分割領域Bの中央Bcに位置していたと仮定した場合の反射点位置を補正により求めることができるのであれば、補正によって求めた補正反射点位置を中央位置記憶部42に記憶させてもよい。
次にコントローラ20について説明する。
図4に示されるように、コントローラ20は、各種の処理を行う演算処理部20aと、各種のデータが記憶されるメモリ20bを備えている。
演算処理部20aは、投射エリアAを複数の分割領域Bの集合として認識する分割領域認識部21と、距離センサ19で測定した反射点の位置に基づいて各分割領域Bの評価用位置Pe(図5等参照)を求める評価用位置演算部22と、各分割領域Bに存在する障害物Wや凹凸を検出する障害物検出部23と、各分割領域Bについて、投射面としての適性値Rを求める適性値演算部24と、分割領域Bの中から投射候補領域Cを決定する候補領域判断部25と、投射候補領域Cの中から投射領域Dを選択する投射領域判断部26と、選択された投射領域D内に映像を表示できるように映像処理を行う映像処理部27と、投射レンズ14のフォーカス用モータ16bの制御を行うフォーカス制御部28と、光源の光量調節器の制御を行う光量制御部29とを備えている。
また、メモリ20bは、投射エリアAを複数の分割領域Bに区分する分割線についての情報が記憶された分割線記憶部41と、各距離センサ19で測定した反射点Prの位置が記憶される中央位置記憶部42と、各分割領域Bについて求められた評価用位置Peが記憶される評価用位置記憶部43と、各分割領域Bの評価用位置Peまでの距離Leが記憶される評価用距離記憶部44と、各分割領域Bに障害物Wや凹凸が存在するかに関する情報が記憶される障害物情報記憶部45と、各分割領域Bについて求められた適性値Rが記憶される適性値記憶部46と、各分割領域Bについて、投射候補領域Cとして決定されたか否かの情報が記憶される候補領域記憶部47と、各投射候補領域Cについて、投射領域Dとして選択されたか否かの情報が記憶される投射領域記憶部48と、演算処理部20aでの演算で用いられるデータやテーブルが記憶されている基礎情報記憶部49とを備えている。
コントローラ20は、分割領域認識部21において、先に説明したように、分割線記憶部41に記憶された分割情報に基づき、投射エリアAを複数の分割領域Bの集合として認識する。図3(A)に示されるように、投射エリアAは、上下4段、左右4列に分割されており、合計16区画の分割領域Bの集合として認識される。したがって、投射光Lの投射方向Xに直交している平面に、投射光Lを投射したとき、投射エリアAの上下方向に並ぶ分割領域Bの中央Bcの位置は一直線上に位置し、同様に、左右方向に並ぶ分割領域Bの中央Bcの位置も一直線上に位置する。なお、分割線記憶部41に記憶されている分割情報とは、たとえば、投射エリアAを分割する格子状の分割線の位置情報である。
評価用位置演算部22は、各距離センサ19で測定された各分割領域Bの反射点Prの位置に基づいて、各分割領域Bの評価用位置Peを求めるものである。距離センサ19で測定した反射点Prの位置は、距離センサ19の位置に対する相対位置として中央位置記憶部42に記憶されている。記憶されている反射点Prの位置をそのまま評価用位置として用いてもよく、その場合、この評価用位置演算部22は必要ない。本実施形態では、評価用位置演算部22を用いて、各反射点Prの位置を、投射レンズ14の位置に対する相対位置として表されるように変換し、変換後の位置を各分割領域Bの評価用位置Peとしている。このように、各評価用位置Peを特定するための基準を共通にしておくと、その後の演算が容易である。なお、後述する距離センサ19の位置などの各種位置は、特に説明がなければ、投射レンズ14の位置に対する位置である。
評価用位置演算部22では、まず、演算対象の分割領域Bを選び、選んだ分割領域Bに対応する反射点Prの位置を中央位置記憶部42から読み取る。また、選んだ分割領域Bの反射点Prの位置を測定する距離センサ19の位置および投射レンズ14の位置を、メモリ20bの基礎情報記憶部49から読み取る。これらの位置に基づいて各分割領域Bの評価用位置Peを求める。そして、求めた評価用位置Peを、対応する分割領域Bの評価用位置Peとして評価用位置記憶部43に記憶させる。また、評価用位置演算部22では、投射レンズ14から各評価用位置Peまでの距離を求めている。そして、求めた距離を、対応する分割領域Bまでの評価用距離Leとして評価用距離記憶部44に記憶させる。このような処理を全ての分割領域Bについて行う。なお、反射点Prの位置と、距離センサ19の位置と、投射レンズ14の位置が解れば、評価用位置Peや評価用距離Leは、三角測量の原理などを用いることによって求められるものであるので、ここではその説明を省略する。
障害物検出部23は、各分割領域B内の障害物Wや凹凸を検出する処理を実行する(S03、図12参照)。
図13のフローチャートに示されるように、障害物検出部23では、投射エリアAを複数の分割領域Bとして認識し(S03−1)、認識した分割領域Bから3つの分割領域Bを選択する(S03−2)。選択方法は種々考えられるが、本実施形態では、上下方向または左右方向に並んだ3つの分割領域Bを選択する。次に、選択した3つの分割領域Bの評価用位置Peを評価用位置記憶部43から読み取る(S03−3)。そして、読み取った3つの評価用位置Peが一直線上(すなわち一平面上)に位置するか否かを判断し(S03−4)、その判断結果を障害物情報記憶部45に記憶させる。その後、選択されていない分割領域Bがあるか否かを判断し(S03−5)、存在していれば、それらの中から3つの分割領域Bを選択するステップ(S03−2)に戻り、全ての分割領域Bについての評価が 完了(S03−5)するまで繰り返す。なお、全ての分割領域Bについての評価が完了するまでに、同じ分割領域Bが複数回選択することがあってもよいし、重複しないように選択できればそれでもよい。また、図13のフローチャートをはじめとする各フローチャートでは、検出や判断などの処理の流れを説明しており、記憶部に記憶させる処理などについては省略している。
ところで、先に説明したように、投射光Lがその投射方向Xに直交する平面に投射されたとき、上下方向に並ぶ分割領域Bの中央Bcの位置あるいは左右方向に並ぶ分割領域Bの中央Bcの位置は一直線上に位置する。そして、本実施形態では、各分割領域Bの中央Bcに位置する反射点Prの位置を各分割領域Bの評価用位置Peとして用いている。したがって、投射光Lが投射されたスクリーンSが平面であれば3つの評価用位置Peは一直線上に位置し、障害物W(図5参照)や凹凸があれば一直線上に位置しない。この説明から解るように、3つの評価用位置Peが一直線上に位置するか否かの判断は、3つの評価用位置Peが投射方向Xに前後しているか否かを判断するものであるということができ、障害物や凹凸を検出する判断手法として適しているということができる。
3つの評価用位置Peが一直線上に位置するか否かの判断方法としては、種々の方法が考えられる。ここでは、投射エリアAの左から第1列目に位置する3つの分割領域B11,B12,B13(図3(A)参照)を選択した場合を例に挙げて基本的な判断方法を説明する。図5(A)に示されるように、例えば、真ん中に位置する分割領域B12の評価用位置Pe2の座標(x2,y2)は、次の式2に示されるように、対応する距離センサ19の位置から当該評価用位置Pe2までの距離L2と、当該評価用位置Pe2の方向と投射方向Xとのなす角度θ2とで特定される。そして、他の分割領域B11,B13の評価用位置Pe1,Pe3の座標も、同様に、次の式1,3によって特定される。
このように特定される3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3から2つを選び、選んだ2つを結ぶ直線上に残る1つが位置するか否かを判断する。これにより3つの評価用位置Peが同一直線上に位置するか否かを判断できる。例えば、図5(B)に示されるように、分割領域B12内に障害物Wがあれば、分割領域B12の評価用位置Pe2は、他の評価用位置Pe1,Pe3を結んで得られる線分よりも前方に位置すると判断されるので、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3は一直線上に位置しないと判断される。
本実施形態のプロジェクタ10では、次のような方法で判断する。図14のフローチャートに示されるように、まず、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3から選んだ2つを結んで得られる合計3本の線分の延在方向を求める(S03−4−1)。具体的には、図6に示されるように、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3のうちの両端に位置する評価用位置Pe1,Pe3を結んで得られる長線分FLと、真ん中に位置する評価用位置Pe2と残るいずれかの評価用位置Pe1,Pe3とを結んで得られる2本の短線分FS1,FS2を特定し、各線分FL,FS1,FS2の位置および延在方向を求める。次に、各線分FL,FS1,FS2の延びる方向と投射光Lの投射方向Xとの関係を判断する(S03−4−2,4,6,7)。本説明の例のように、上下方向に並ぶ3つの分割領域Bを選択した場合は、投射方向Xと直交する第1基準線Vと平行か否かを判断する。左右方向に並ぶ3つの分割領域を選択した場合は、投射方向Xと直交する第2基準線Hと平行であるか否かを判断する。なお、ここでは、第1基準線Vとして投射方向Xと直交する第1基準線を用い、第2基準線Hとして第2基準線を用いる状態を図示したが、基準線は必ずしも垂直や水平ではなくてもよい。
判断の結果、全ての線分FL,FS1,FS2が第1基準線Vと平行である場合(S03−4−2)、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3が一直線(一平面)上に位置するとの検出結果を得る。選択した分割領域Bに障害物や凹凸がないときにこのような結果になる。そして、検出結果を得ると、各評価用位置Pe1,Pe2,Pe3から第1基準線Vと平行な線分までの離間距離G(図6参照)を求め、障害物情報記憶部45記憶させる。ただし、全ての線分が第1基準線Vと平行である場合、各評価用位置Pe1,Pe2,Pe3から第1基準線Vと平行な線分までの離間距離Gは0であると求められ(S03−4−3)、これが障害物情報記憶部45に記憶される。
また、長線分FLと一方の短線分FS1(FS2)は第1基準線Vと平行であるが、他方の短線分FS2(FS1)は第1基準線Vと平行でない場合(S03−3−4)、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3は一直線上に位置していないとの判断結果を得る。例えば、図6に示されるように、真ん中の分割領域B12に障害物Wがあるときこのような結果になる。この場合、評価用位置Pe1,Pe3についての離間距離Gは0である。そして、真ん中の評価用位置Pe2から第1基準線Vと平行な線分FLまでの離間距離Gが求められ(S03−4−5)、障害物情報記憶部45に記憶される。
また、長線分FLは第1基準線Vと平行であるが、2つの短線分FS1,FS2は第1基準線Vと平行でない場合(S03−4−6)、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3は一直線上に位置していないとの検出結果を得る。真ん中に位置する分割領域B12に障害物Wがあるときこのような結果になる(図6参照)。この場合、評価用位置Pe1,Pe3についての離間距離Gは0である。そして、真ん中の評価用位置Pe2から第1基準線Vと平行な線分FLまでの離間距離Gが求められ(S03−4−5)、障害物情報記憶部45に記憶される。ただし、一方の短線分が第1基準線Vと平行でなければ、通常は、他方の短線分も第1基準線Vと平行でない。したがって、一方の短線分が第1基準線Vと平行でない場合と、両方の短線分が第1基準線Vと平行でない場合とを区別することなく、いずれか一方の場合について判断するようにしてもよい。
また、一方の短線分FS1(FS2)は第1基準線Vと平行であるが、他方の短線分FS2(FS1)と長線分FLは第1基準線Vと平行でない場合(S03−4−7)、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3は一直線上に位置していないとの判断結果を得る。例えば、分割領域B13に障害物または凹凸が存在し、短線分FS2が第1基準線Vと平行でない状態であるときこのような結果になる。この場合、評価用位置Pe1,Pe2についての離間距離Gは0である。そして、評価用位置Pe3から第1基準線Vと平行な線分FS1までの離間距離Gが求められ(S03−4−8)、障害物情報記憶部45に記憶される。
また、全ての線分FL,FS1,FS2が第1基準線Vと平行でない場合、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3は一直線上に位置していないと検出結果を得る。例えば、全ての分割領域B11,B12,B13にまたがるような障害物や凹凸があるときこのような検出結果になる。この場合、全ての評価用位置Pe1,Pe2,Pe3について、第1基準線Vと平行な線分までの離間距離Gは測定不能であることが求められ(S03−4−9)、全ての評価用位置Pe1,Pe2,Pe3について測定不能であることが障害物情報記憶部45に記憶される。
なお、3つの評価用位置Peが一直線上に位置するか否かの判断では、必要に応じて誤差を考慮する。誤差を考慮する方法としては、種々の方法が考えられる。たとえば、各線分FL,FS1,FS2と第1基準線Vなどの基準線とが平行か否かを判断するときに、判断基準に許容範囲を設ける方法を挙げることができる。具体的に説明すると、各線分FL,FS1,FS2と基準線とのなす角度が正確に0°でない場合であっても±15°であれば平行であると判断するというような方法である。
適性値演算部24は、評価用距離記憶部44および障害物情報記憶部45の記憶データに基づいて、各分割領域Bの適性値Rを検出するものである。評価用距離記憶部44には、投射レンズ14から各評価用位置Peまでの距離(評価用距離)Leが記憶されている。そして、障害物情報記憶部45には、各分割領域Bの評価用位置Peについて、基準線V,H(図6参照)と平行な線分までの離間距離Gが記憶されている。離間距離Gを測定できなかった場合は、測定不能であることが記憶されている。
また、適性値演算部24では、適性値Rを求めるときに、メモリ20bの基礎情報記憶部49に記憶された評価用距離テーブルT1と、離間距離テーブルT2を用いる。評価用距離テーブルT1は、図7(A)に示されるようなものであり、各分割領域Bについて求めた評価用距離Leを適性値演算用の数値R1に換算するためのものである。なお、このテーブルT1において、「すこし離れている」は、投射距離が仕様投射距離の半分以上、仕様投射距離未満のことであり、「たくさん離れている」は、投射距離が仕様投射距離以上のことである。そして、離間距離テーブルT2は、図7(B)に示されるようなものであり、障害物情報記憶部45に記憶された離間距離Gを適性値Rに演算用の数値R2に換算するものためのものである。なお、このテーブルT2において、「すこし離れている」は、離間距離Gが5mm以上、20mm未満のことであり、「たくさん離れている」は、離間距離が20mm以上のことである。
図15のフローチャートに示されるように、適性値演算部24では、まず、適性値Rを算出する分割領域Bを選び、選んだ分割領域Bの評価用距離Leを評価用距離記憶部44から読み取る(S04−1)。そして、読み取った評価用距離Leを図7(A)に示される評価用距離テーブルT1に参照して適性値演算用の数値R1を求める(S04−2)。例えば、評価用距離Leが仕様投射距離以上であれば、この数値R1は2点になる。次に、障害物情報記憶部45から、対応する分割領域Bの評価用位置Peについての離間距離Gを読み取る(S04−3)。そして、読み取った離間距離Gを図7(B)に示される離間距離テーブルT2に参照して適性値演算用の数値R2を求める(S04−4)。たとえば、離間距離Gが10mmであれば、この数値R2は3点になる。そして、両数値R1,R2を合計して適性値Rを求める(S04−5)。この例であれば、適性値Rは5点になる。そして、求めた適性値Rを対応する分割領域Bの適性値として、適性値記憶部46に記憶させる。これを全分割領域Bについて行う(S04−6)。なお、図8は、全ての分割領域Bについて求めた適性値Rを各分割領域Bの位置に記載して示した具体例である。
候補領域判断部25は、適性値記憶部46に記憶されている適性値Rに基づいて、全ての分割領域Bの中から投射候補領域Cを決定するものである。この決定では、分割領域Bが投射候補領域Cとして適するか否かの判断基準になる基準適性値Rcを用いる。この基準適性値Rcは、メモリ20bの基礎情報記憶部49に記憶されている。なお、本実施形態における基準適性値Rcは5点である。
候補領域判断部25では、まず、基礎情報記憶部から基準適性値Rcを読み取る。次に、1つの分割領域Bを選び、選んだ分割領域Bの適性値Rを適性値記憶部46から読み取る。そして、読み取った適性値Rが基準適性値Rc以上の値であるか否かを判断し、基準適性値Rc以上であれば、判断対象の分割領域Bは投射候補領域Cであると決定され、そのことが候補領域記憶部47に記憶される。他方、適性値Rが基準適性値Rc未満であれば、判断対象の分割領域Bは投射候補領域Cでないということが候補領域記憶部47に記憶される。このような処理を全ての分割領域Bについて行って、0個以上の投射候補領域Cを決定する。例えば、図8に示した例の場合、候補領域記憶部47には、点数(基準適性値Rcの数値)に丸印が付された複数の分割領域(5点の分割領域)Bについて、投射候補領域Cとして決定されていることが記憶されることになる。
なお、基準適性値Rcに照らした結果、投射候補領域Cが全くないと決定された場合(投射候補領域Cが0個の場合)、本実施形態では、全ての分割領域Bを投射候補領域Cとする。投射候補領域Cが全くない場合、映像を投射しないという処理をしてもよいが、それでは映像を全く見ることができない。そこで、このような場合に、任意のまたは適当な1以上の分割領域Bを投射領域Dとして選択することが考えられる。本実施形態では、最終的に、投射エリアA全体が投射領域Dとして選択する。このようにすると、投射エリアA全体に映像が表示されることとなり、映像を見ることができる。
投射領域判断部26は、投射候補領域Cの中から実際に映像を表示させる投射領域Dを選択するものである。ところで、実際に表示される映像は、拡大または縮小されて表示されるとしても、映像を表示できる最大範囲である投射エリアAの形状とアスペクト比は同じである。そこで、投射領域Dの選択方法は種々考えられるが、本実施形態では、次に説明するように、投射エリアAの形状と相似する相似形のうち投射候補領域Cからなる領域に収まる最大の相似形を、投射候補領域Cからなるエリアに重ねたときに、この最大の相似形と重なる投射候補領域Cを前記投射領域Dとして選択している。なお、投射エリアAの形状は、投射光Lの投射範囲の形状として、メモリ20bの基礎情報記憶部49に記憶されている。
図16のフローチャートに示されるように、投射領域判断部26では、まず、投射候補領域Cでない分割領域(以下、非投射候補領域)UCがあるか否かを候補領域記憶部47から読み取る(S06−1)。そして、全ての分割領域Bが投射候補領域Cであれば(S06−2)、全投射候補領域Cを投射領域Dとして選択する(S06−3)。他方、非投射候補領域UCがある場合は、次のようにして、映像を表示する範囲の中心になる投射候補領域Cを検出する。これについて、図9および図10を参照しつつ説明する。
まず、全ての非投射候補領域UCについて、各非投射候補領域UCを中心とする図10(A)に示されるような第1除外領域E1を求める。そのために、まず、基礎情報記憶部49から第1除外候補領域Ed1の初期設定を読み込む(S06−4)。第1除外候補領域Ed1の形状は投射エリアAの形状と相似形であり、大きさは、投射エリアAの最外周に位置する分割領域Bが非投射候補領域UCであった場合であっても、投射エリアAの中心を覆うことができる大きさに設定されている。本実施形態では、図9(A)において斜線で示されるものであり、分割領域B11を取り囲む2層分の分割領域Bの範囲と一致する。
また、第1除外領域E1を求めるのと合わせて、投射エリアAの外周縁から所定厚さ内側に広がる図10(B)に示されるような枠形状の第2除外領域E2を求める。そのために、まず、基礎情報記憶部49から第2除外候補領域Ed2の初期設定を読み込む(S06−4)。初期設定の第2除外候補領域Ed2の大きさは、本実施形態では、図9(B)に斜線で示される大きさである。投射エリアAの外周側2層分の分割領域Bの範囲と一致するということができるが、投射エリアAの全範囲を覆う大きさである。
次に、両除外候補領域Ed1,Ed2を投射エリアAに重ねて、いずれの領域Ed1,Ed2にも含まれない投射候補領域Cを検出する(S06−5)。そして、そのような投射候補領域Cが存在すれば、そのうちの1つを投射範囲の中心になるものとして検出する(S06−6)。説明の例では、図9(C)に示されるように、全分割領域Bはいずれかの領域Ed1,Ed2に含まれているので、そのような投射候補領域Cは存在していない。
この場合、続けて、分割領域Bの分割線の交点Pxを対象として、映像を表示する範囲の中心になるものを検出する。より具体的に説明すると、交点Pxのうちでいずれの除外候補領域Ed1,Ed2にも含まれないものを検出する(S06−7)。そして、そのような交点Pxが存在すれば、そのうちの1つを投射領域Dの中心になるものとして検出する(S06−8)。しかし、説明の例ではこのような交点Pxも存在しない。
中心になる投射候補領域Cおよび交点Pxを検出できなかった場合は、今の処理で用いた除外候補領域Ed1,Ed2よりも、一段階小さい大きさの除外領域を用意して、これを除外候補領域Ed1,Ed2として読み込む(S06−9)。そして、第1除外候補領域Ed1が1つの分割領域Bの大きさでなく(S06−10)、または、第1除外候補領域Ed1が1つの分割領域Bの大きさであっても第2除外候補領域Ed2の大きさが0でなければ(S06−11)、新たに読み込んだ除外候補領域Ed1,Ed2を用いて、上記処理と同じ処理を行い、中心になる投射候補領域Cまたは交点Pxを検出する。このような処理を、中心になる投射候補領域Cまたは交点Pxを検出できるまで繰り返す(S06−5、7、9〜11)。
説明の例では、一段階小さい大きさの第1除外候補領域Ed1として、図10(A)に斜線で示される領域を用意する。これは、分割領域B11を取り囲む1層分の分割領域Bの範囲である。なお、小さくする割合は適宜選択できるが、新たに用意した第1除外候補領域Ed1が投射エリアAの形状と相似形になるようにする。また、一段階小さい第2除外候補領域Ed2として、図10(B)に斜線で示される領域を用意する。これは、投射エリアAの外周側1層分の分割領域Bの範囲である。小さくする割合は適宜選択できるが、用意した第2除外候補領域Ed2は、これに取り囲まれる内側の領域の形成が投射エリアAの形状と相似形になるようにする。
このようにして、必要に応じ、徐々に小さい除外候補領域Ed1,Ed2を用意する。そして、中心になる投射候補領域Cまたは交点Pxを検出する前に、第1除外候補領域Ed1の範囲が投射候補領域Cではない分割領域Bすなわち非投射候補領域UCのみになり(S06−10)、かつ第2除外候補領域Ed2の範囲が0になったときは(S06−11)、投射候補領域Cのいずれか1つを投射領域Dとして選択する(S06−12)。
図10(C)に示されるように、一段階小さい除外候補領域Ed1,Ed2を投射エリアAに重ねると、いずれの除外候補領域Ed1,Ed2にも含まれていない投射候補領域Cとして、3つの分割領域B23,B32,B33があるので(S06−5)、そのうちの1つを投射範囲の中心になるものとして選択する(S06−6)。この例では、分割領域B33を選択した。なお、いずれの除外候補領域Ed1,Ed2にも含まれていない交点Pxとは、例えば、図10(C)に示される交点Pxのことである。本説明の例では、投射範囲の中心になる投射候補領域Cを先に検出したので、交点Pxを検出する処理は行わない。
次に、選択した分割領域B33が中心に位置しており、投射エリアAの形状と相似形であり、しかも非投射候補領域UCと重ならないという条件で、最大の大きさの投射領域選択用領域Ddを検出する(S06−13)。本説明の例では、分割領域B11を取り囲む分割領域Bを何層まで増やすことができるかによって定めることができる。そして、図11において斜線で示される領域が投射領域選択用領域Ddとして検出される。
そして、この投射領域選択用領域Ddと重なる投射候補領域Cを投射領域Dとして選択し(S06−14)、選択された分割領域Bを投射領域Dであるとして投射領域記憶部48に記憶させる。図11に示される例では、9つの分割領域B22、B23、B24,B32、B33,B34,B42、B43,B44が投射領域Dとして投射領域記憶部48に記憶される。このように、本実施形態のプロジェクタ10では、候補領域判断部25および投射領域判断部26の全体が領域選択手段に該当すると考えることができる。
なお、投射範囲の中心になるものとして、投射候補領域Cではなく、交点Pxを検出した場合も、同様の手順で投射領域Dが選択される。この場合、図16のフローチャートのステップ「S06−13」に対応するステップでは、検出された交点Pxの中から1つの交点Pxを選択し、選択した交点Pxを取り囲む分割領域Bを何層まで増やせるかを検討して、投射領域選択用領域Ddを検出する。そして、ステップ「S06−14」に対応するステップでは、投射領域選択用領域Ddと重なる投射候補領域Cを投射領域Dに選択して、そのことを投射領域記憶部48に記憶させる。なお、基本的なフローチャートは、図16のフローチャートと同様であるので、その説明を省略する。
映像処理部27は、選択された投射領域Dからなる投射範囲に映像が表示されるように、映像の拡大・縮小率を求める映像サイズ制御部27aと、投射光Lの投射方向Xを求める投射方向制御部27bとからなるものである。そして、拡大・縮小率や投射方向Xを求めるために、まず投射領域記憶部48から投射領域Dとして選択された分割領域Bを読み取る。
映像サイズ制御部27aでは、読み取った投射領域Dから構成される投射範囲の大きさを求める。そして、求めた投射範囲の大きさと、投射エリアAの大きさとを比較して、投射する映像の拡大率あるいは縮小率を求め、求めた拡大・縮小率を基礎情報記憶部49に記憶ささせる。投射エリアA内であって映像が投射されない範囲には純黒の映像を表示させるように画像処理を行う。このようにすることで、映像に、その周囲から余分な光が入り込んでくることが防止され、表示した映像がより見やすくなる。なお、本実施例では、ここで求めた拡大率または縮小率は、投射レンズ部13のズームユニット15のズーム用モータ15bの制御に用いられる。
投射方向制御部27bでは、読み取った投射領域Dから構成される投射範囲の中心位置を求め、求めた中心位置に映像を投射する投射方向Xを求める。求めた投射方向Xは、光源ユニット12の光源制御部12bの制御に用いられる。
フォーカス制御部28は、投射レンズ14のフォーカスを制御するものである。フォーカス制御部28では、評価用距離記憶部44から投射領域Dの中心または中心付近に位置する分割領域Bの評価用距離Leを読み取ると共に、基礎情報記憶部49から拡大・縮小率を読み取る。そして、これらのデータに基づいて、スクリーンSに表示される映像が鮮明なものとなる投射レンズ14のポジションを求め、求めたポジションを基礎情報記憶部49に記憶させる。なお、求めたポジションはフォーカスユニット16の制御に用いられる。
光量制御部29は、光源12aの光量を調節するものである。光量制御部29では、まず、投射領域Dのうち、実際に映像を表示する投射範囲の最も中心に近い分割領域Bの評価用距離Leを評価用距離記憶部44から読み取る。そして、この評価用距離Leに基づいて、スクリーンSに表示される映像が見やすい明るさになる光量を求め、求めた光量は基礎情報記憶部49に記憶させる。求めた光量は、光源12aの光量の制御に用いられる。なお、基礎情報記憶部49に記憶されている映像の拡大・縮小率をも考慮して光量を制御してもよい。
このようなプロジェクタ10でスクリーンSに映像を投射する場合の動作を、図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
プロジェクタ10の電源スイッチがオンされると、まず、図1などに示されるセンサユニット18の各距離センサ19によって、投射エリアA内の各分割領域Bの中央Bcの位置を測定する(S01)。
各分割領域Bの中央Bcの位置を測定すると、図4に示されるコントローラ20の評価用位置演算部22で、各分割領域Bの評価用位置Peおよび評価用距離Leを求める(S02)。ここでは、各分割領域Bの中央Bcに向けて出射した距離検出用の赤外線センサIrによって中央Bcの位置(反射点位置)を測定し、測定した位置に基づいて、評価用位置Peおよび評価用距離Leを求める。この評価用位置Peおよび評価用距離Leは、投射レンズ14に対する位置および距離として表されるように変換されている。
評価用位置Peおよび評価用距離Leを求めると、次に、障害物検出部23で、各分割領域Bの評価用位置Peを用いて各分割領域Bの障害物Wや凹凸を検出する。概略的には、選択した3つの評価用位置Peが一直線上に位置するか否かの判断を行なうと共に、当該判断の際に求められる基準となる線分から各評価用位置Peまでの離間距離Gを求める(S03)。離間距離Gを求める手順は、図14のフローチャートで詳細に説明しているのでここでは詳細な説明を省略する。
全ての評価用位置Peについて離間距離Gを求めると、適性値演算部24で、離間距離Gおよび評価用距離Leを用いて、各分割領域Bの投射面としての適性値Rを求める(S04)。離間距離Gは、対応する分割領域B内に障害物があるか否かや、対応する分割領域Bに凹凸があるか否かを判断する数値として適している。また、評価用距離Leは、スクリーンSの位置がプロジェクタ10にとって適切な範囲内か否かを判断するための数値として適している。したがって、このような数値を用いることで、対応する分割領域Bについて、投射面としての適性値Rを的確に求めることができる。なお、適性値Rを求める手順は、図15に示されるフローチャートを用いて詳細に説明している。
各分割領域Bの適性値Rを求めると、次に、候補領域判断部25によって、適性値Rを用いて16区画ある分割領域Bの中から投射候補領域Cを決定する(S05)。具体的には、各分割領域Bの適性値Rと基準適性値Rcとを比較し、適性値Rが基準適性値Rc以上である分割領域Bを投射候補領域Cと決定する。
投射候補領域Cを決定すると、投射領域判断部26で、投射候補領域Cに決定された分割領域Bの中から、実際に映像を表示する投射領域Dを選択する(S06)。投射候補領域Cは、投射エリアAのうち投射面として適性を一応有する部分である。ただし、全ての投射候補領域Cが映像を表示する投射範囲に含まれるとは限らない。この点、本実施形態のプロジェクタ10では、投射候補領域Cの中から実際に映像を投射する投射領域Dを自動的に選択するので、障害物や凹凸がないエリアだけに、迅速かつ確実に映像を表示できる。なお、投射領域Dを選択する手順は、図16に示されるフローチャートを用いて詳細に説明している。
投射領域Dを選択すると、映像処理部27で、選択された投射領域Dから構成される投射範囲に表示対象の映像を表示できるように、映像処理を行う(S07)。具体的には、映像サイズ制御部27aによって、表示する映像を拡大・縮小するなどして変形し、また映像を投射範囲に表示できるように、投射方向制御部27bで、表示する映像の投射方向Xを決定する。これにより、選択した投射領域Dからなる投射範囲に、適切な大きさの映像を確実に表示できる。
たとえば、図17(B)に示されるように、水平に広がるスクリーンSに向けてその上方に設置されたプロジェクタ10から映像を投射する場合、投射エリアAの左上隅にノートパソコンWpが置かれている場合を考える。このとき、分割領域B11の障害物WとしてノートパソコンWpを検出すれば、図11に斜線で示される分割領域Bが投射領域Dに選ばれることとなり、図17(B)に示されるような状態で、映像が表示される。そして、全ての分割領域Bが投射領域Dとして選択されている場合は、図17(A)に示されるように、投射エリアA全体に映像が表示される。また、投射エリア内に、ノートパソコンWpなどの障害物Wが複数ある場合は、図17(C)に示されるように、投射エリアAの一部に映像が表示される。
そして、スクリーンS上に鮮明な映像が表示されるように、フォーカス制御部28で投射レンズ14のフォーカスを調整する(S08)。また、スクリーンS上に見やすい明るさの映像が表示されるように、光量制御部29で光源12aからの光量を調整する(S09)。このような制御を行うことで、スクリーンS上の投射範囲に、鮮明で適切な明るさの映像を確実に表示できる。
以上のように、本実施形態のプロジェクタ10によれば、プロジェクタの投射エリアのうち、障害物Wや凹凸がなく投射面としての適正を有する範囲を検出できる。そして、投射面としての適正を有する範囲に向けて投射光Lを投射し、この投射範囲に映像を表示できる。障害物Wや凹凸がある領域に映像を表示すると、映像が歪んだ状態で表示されたり、映像の途中に段差が生じたりしてしまい、映像を正確に視認できないことがある。この点、本実施形態のプロジェクタ10によれば、障害物Wや凹凸がなく投射面として適した範囲に映像を表示できるので、映像に歪みや段差が生ずるようなことが防止され、見やすい映像を表示できる。
なお、本実施形態のプロジェクタ10では、検出波として赤外線Irを用いたが、これに限られるものではなく、たとえばレーザ光や超音波などを用いることができる。
また、上記実施形態のプロジェクタ10では、各分割領域Bの中央Bcの位置に向けて距離センサ19の距離検出用の赤外線Irを出射して、対応する分割領域Bの評価用位置Peを求めているが、評価用位置Peは、分割領域Bの中央Bcに関するものでなくてもよい。例えば、対応する分割領域B内の任意の位置について求めた評価用位置を用いてもよい。そして、上記実施形態では、位置測定箇所は各分割領域Bにつき中央Bcの1箇所だけであり、その1箇所に基づいて各分割領域Bの評価用位置Peを求めているが、評価用位置Peを求める方法はこれに限られるものではない。たとえば、各分割領域Bの複数個所の位置を測定し、測定した複数箇所の位置に基づいて、対応する分割領域Bの評価用位置Peを求めるようにしてもよいし、測定した複数位置の平均位置を評価用位置として用いるようなことを行ってもよい。
次に、本発明に係るプロジェクタの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の説明では、上記実施形態のプロジェクタ10と異なる構成を中心に説明することとし、共通の構成については同一の符号を付し、その説明を省略することとする。
図18に示されるように、第2実施形態のプロジェクタ60は、投射エリアAの分割領域Bまでの距離を測定する手段として、CCDカメラ61a,61bを備えた撮像ユニット61を有しており、この点で上記実施形態と異なっている。そして、第2実施形態のプロジェクタ60は、後述するように、投射エリアA内の各分割領域Bの色を検出する色検出器62と、この色検出器62で検出した色に関するデータを記憶するための色記憶部81とを備えており、この点で上記実施形態と異なっている(図19参照)。
また、後述するように、本実施形態では、各分割領域Bの投射面としての適性値Rを求めるときに、色を考慮するようになっており、各分割領域Bの色を検出する色演算部71を備えている。そして、本実施形態では、適性値Rを求める方法が上記実施形態とは異なっており、コントローラ70は、上記実施形態とは異なる適性値演算部72を備えている。
図18および図19に示されるように、撮像ユニット61は、右側CCDカメラ61aと、左側CCDカメラ61bと、撮像範囲の所定位置について位置や距離を演算する撮像点位置演算部61cとを備えている。
右側CCDカメラ61aおよび左側CCDカメラ61bは、投射レンズ部13を挟んでその両側に位置するように設置されている。そして、両CCDカメラ61a,61bは、いずれも、スクリーンSなどの投射面がプロジェクタ60の投射適正距離の範囲内に設置されているとき、投射面上の投射エリアA全体を撮影できる向きに向けられている。投射適正距離は、通常、プロジェクタの光源の出力等に基づいて、プロジェクタごとに予め定められている。また、両CCDカメラ61a,61bで撮影された映像は、撮像点位置演算部61cに入力される。
撮像点位置演算部61cは、視差映像に基づいて距離を検出する検出方法を用いて投射エリアA内の障害物Wや凹凸を検出するものである。この検出方法は、概略的には、異なる視点から被写体を見た場合に得られる複数の視差映像に基づいて視差映像間の視差を検出し、検出した視差に基づいて被写体の凹凸などの奥行きを検出する方法であり、映像処理や映像認識の分野において広く一般に知られた方法である。したがって詳細な説明については省略する。
撮像ユニット61では、まず、入力された2つの映像を視差映像として用いてマッチングを行い、視差映像間の視差量を検出する。具体的に説明すると、例えば右側CCDカメラ61aで撮影した映像上で、投射エリアA内の各分割領域Bの中央Bcの位置に対応する一方の特定点を求め、左側CCDカメラ61bで撮影した映像上で、一方の特定点に対応する他方の特定点を求める。このようにして相互に対応する両特定点を求めると、各分割領域Bの中央Bcの位置について、視差映像上の移動距離すなわち視差量を求める。
そして、求めた視差量に基づき、三角測量の原理を利用して、各分割領域Bの中央Bcの位置を求めると共に、各分割領域Bの中央Bc(図3(A)参照)と右側CCDカメラ61a(および/または左側CCDカメラ62a)との間の距離を求める。求められた位置および距離は、コントローラ70を介して、後述するメモリ70bの中央位置記憶部42に記憶される。
撮像ユニット61は、各分割領域Bの色を検出する色検出器62の一部を構成する。
色検出器62は、プロジェクタ60の光源12aと、投射エリアAを撮影するための右側CCDカメラ61aと、演算処理部70aに備わる色演算部71とからなるものである。
光源12aは、投射エリアA内に向けて白色光を投射する手段として用いられる。そして、右側CCDカメラ61aは、白色光が投射された状態の各分割領域Bを撮影し、撮影した映像を色演算部71に入力する。なお、色検出器62を構成するCCDカメラとして左側CCDカメラ61bを用いてもよいし両CCDカメラ61a,61bを用いてもよい。
また、色演算部71は、右側CCDカメラ61aが出力する映像についての信号に基づいて各分割領域Bの色を求める。色には、明度、色相および彩度という三属性があり、この色演算部71では、これらのうちの明度Mと色相Nとを求める。そして、各分割領域Bについて求められた明度Mおよび色相Nは、メモリ70bの色記憶部81に記憶される。CCDカメラとしては種々のものを用いることができるが、本実施形態では、RGB信号を出力するものを用いた。したがって、色演算部71では、出力されたRGB信号に基づいて、明度Mおよび色相Nを求めている。明度Mや色相Nを求める方法としては、たとえばRGB参照テーブルを用いる方法など映像機器の分野では様々な周知の方法が存在するので、ここでは、その説明を省略する。なお、ここでは、明度Mを100(純白)から0(純黒)の間の数値で特定し、色相Nの色彩の度合いを100(無彩色)から0(いずれかの三原色そのものの色)の間の数値で特定した。そして、各分割領域Bについて求めた明度Mおよび色相Nをメモリ70bの色記憶部81に記憶させるようにした。
なお、本実施形態は、色演算部71がコントローラ70に備えられた構成であるが、このような構成に限られない。例えば、色(相)信号および輝度信号を出力するCCDカメラなどの撮像手段を用いる場合であれば、コントローラ70の色演算部71は、簡易的に、色信号の強度により色相を求め輝度信号の強度で明度を求めてもよい。
適性値演算部72は、各分割領域Bの評価用位置Peについて求めた離間距離G、明度Mおよび色相Nに基づいて、各分割領域Bの適性値Rを求めるものである。
図23のフローチャートに示されるように、適性値Rを求めるときは、対応する分割領域Bの離間距離Gを障害物情報記憶部45から読み取る(S15−1)。そして、離間距離テーブルT2(図7(B)参照)を基礎情報記憶部49から読み取り、読み取った離間距離Gを離間距離テーブルT2に参照して、適性値算出用の数値R2を求める(S15−1)。また、各分割領域Bの明度Mおよび色相Nを色記憶部81から読み取る(S15−3)。基礎情報記憶部49には、図20に示されるような色テーブルT3が記憶されており、適性値演算部72は、この色テーブルT3を読み取る。そして、読み取っていた明度Mおよび色相Nの各数値を掛け合わせて100で割った値をテーブルT3に参照して適性値演算用の数値R3を求める(S15−4)。そして、両数値R2,R3を合計して選んだ分割領域Bの適性値Rを求める(S15−5)。例えば、「たくさん離れている」が白色の面であるある場合、R2は2点であり、R3は5点であるので、適性値Rは7点になる。そして、求めた適性値Rを適性値記憶部46に記憶させる。このような処理を、全ての分割領域Bについて行う(S15−6)。なお、図21は、全ての分割領域Bについて求めた適性値Rを各分割領域Bのところに記載して示したものの具体例である。
このような異なる構成を有する第2実施形態のプロジェクタ60でスクリーンSに映像を投射する場合の動作を、図22のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図12と共通の処理については、説明を省略している。
プロジェクタ10の電源スイッチがオンされると、撮像ユニット61の両CCDカメラ61a,61bによって投射エリアAを撮影し、撮影した映像に基づいて各分割領域Bの中央Bcの位置を測定する(S11)。測定された中央Bcの位置と、当該位置までの距離は、中央位置記憶部42に記憶される。
次に、図19に示されるコントローラ70の評価用位置演算部22において、中央位置記憶部42に記憶された位置を、投射レンズ14に対する位置で表される位置に変換し、変換により求めた位置を対応する分割領域Bの評価用位置Peとして(S12)、評価用位置記憶部43に記憶させる。なお、同時に評価用距離Leを求めて適当な記憶部に記憶させてもよい。
評価用位置Peを求めると、次に、障害物検出部23で、各分割領域Bの評価用位置Peについて、基準となる線分からの離間距離Gを求める(S13)。離間距離Gは、対応する分割領域B内に障害物Wがあるか否か、また、対応する分割領域Bに凹凸があるか否かを判断する数値として適している。なお、離間距離Gを求める手順は、先の実施形態の説明で用いた図14に示されるフローチャートを用いて詳細に説明している。したがって、ここでは詳細な説明を省略する。
また、色演算部71で、各分割領域Bの明度Mおよび色相Nを求める(S14)。明度Mおよび色相Nは、スクリーンS表面が投射面として適しているか否かを判断する数値として適している。
評価用位置Peの離間距離G、明度Mおよび色相Nを求めると、適性値演算部24で、まず、離間距離Gに基づいて適性値演算用の数値R2を求め、明度Mおよび色相Nに基づいて適性値演算用の数値R3を求める(S15)。そして、これらの数値R2,R3に基づいて、各分割領域Bの投射面としての適性値Rを求める。なお、適性値Rを求める手順は、図23のフローチャートを用いて説明したので、説明を省略する。
各分割領域Bの適性値Rを求めると、次に、候補領域判断部25で、適性値Rを用いて、16区画ある分割領域Bの中から投射候補領域Cを決定する(S16)。次に、投射領域判断部26で、投射候補領域Cに決定された分割領域Bの中から、実際に映像を表示する投射領域Dを選択する(S17)。そして、映像処理部27で、選択された投射領域Dからなる投射範囲に映像を表示できるように映像処理を行う(S18)。そして、スクリーンS上に鮮明な映像が表示されるように、フォーカス制御部28で投射レンズ14のフォーカスを調整し(S19)、スクリーンS上に見やすい明るさの映像が表示されるように、光量制御部29で光源12aからの光量を調整する(S20)。
このようにすることで、障害物Wや凹凸がなく投射面として適した領域に、歪みや段差のない見やすい映像を表示できる。各分割領域Bの適性値Rに基づいて、投射候補領域Cを決定した後、光量を調整するまでの処理(S16〜S20)は、第1実施形態のプロジェクタ10における処理と同じであるので、ここではその説明を省略する。
なお、上記第2実施形態のプロジェクタ60では、撮像点位置演算部61cは撮像ユニットに備えられているが、例えば、コントローラ70に備えられていてもよい。そして、上記第2実施形態のプロジェクタ60では、視差量を求める方法として、いわゆるマッチング処理法を用いているが、この方法に限られず、たとえば対応点決定処理を必要としないハフ変換処理法など、種々の方法を用いることができる。
また、以下の点については、上記2つの実施形態のプロジェクタ10,60のいずれにも適用することができる。
たとえば、上記実施形態では、投射エリアAの形状(図2、3参照)および分割領域Bの形状は横長の長方形であったが、このような形状に限られるものではなく、円形をはじめとする種々の形状を採用することができる。ただし、分割領域Bの形状については、投射エリアAの有効利用の観点から、投射エリアAの形状と相似形が好ましく、四角形特に長方形や正方形が好ましい。複数の分割領域Bの数は16区画であったが、その数に上限はなく必要に応じて適宜決定することができる。
そして、上記実施形態では、位置を測定した箇所の数は各分割領域Bにつき中央Bcの1箇所だけであり、その1箇所に基づいて各分割領域Bの評価用位置Peを求めているが、評価用位置Peを求める方法はこれに限られるものではない。たとえば、各分割領域Bの複数個所の位置を測定し、測定した複数箇所の位置に基づいて、対応する分割領域Bの評価用位置を求めるようにしてもよいし、測定した複数位置の平均位置を評価用位置Peとして用いるようなことを行ってもよい。
第1実施形態では、分割領域Bの数と同数の距離センサ19を設け、各距離センサ19で対応する分割領域Bの中央Bcの位置(反射点位置)を測定しているが、このような構成に限られず、例えば、スキャニングによって多数の位置について距離測定できる距離センサを設け、これにより各分割領域Bの中央Bcの位置までの距離を測定するようにしてもよい。また、第2実施形態の場合は、視差量を求める位置の数を複数にしてもよい。そして、評価用位置Peは、投射レンズ14の位置を基準位置とする位置として表されるものであるが、基準位置は投射レンズ14の位置に限られず、例えば、光源12aの位置など種々の位置を用いることができる。
また、上記実施形態の障害物検出部23では、先に説明したように、全ての線分FL,FS1,FS2が第1基準線Vと平行でないとき、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3について離間距離Gは測定不能であると判断している(図14、S03−3−9参照)。そして、測定不能の場合、図7(B)の離間距離テーブルT2に示されるように、適性値Rを算出するための数値R1は「1」と低くなっており、障害物Wや凹凸が存在する場合と同様に扱われている。例えば、スクリーンS全体の向きが投射方向Xと直交する状態になるようにスクリーンSを設置した後、障害物検出部23で障害物Wや凹凸を検出する装置では、測定不能であれば、選択した3つの分割領域Bの全てに障害物Wや凹凸が存在している可能性が高い。したがって、測定不能である場合と障害物Wや凹凸が存在する場合とを同様に扱うことができる。しかし、スクリーンSの設置状態を検出することなく障害物Wや凹凸を検出する場合は、スクリーンS全体が投射方向Xに対して傾いた状態である場合があることを考慮する必要がある。つまり、スクリーンS全体が投射方向Xに対して傾いている場合、仮に全ての線分FL,FS1,FS2が第1基準線Vと平行でない場合であっても、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3だけに着目すると一直線上に位置しているという場合があり得る。
したがって、スクリーンSの設置状態を検出することなく障害物検出部23で障害物Wや凹凸の有無を検出するときは、図24のフローチャートに示されるように、3つの評価用位置Pe1,Pe2,Pe3を選んで3本の線分FL,FS1,FS2の延在方向を特定する処理(S03−4−1)を行う前に、まず、スクリーンS全体の向きが投射方向Xに対して直交しているか否かを判断するスクリーン状態判断処理を行う(S03−4−A)。判断方法としては、種々の方法が考えられるが、例えば、投射エリアAの四隅の分割領域B11,B14,B41,B44の評価用位置Peに基づいてスクリーンS全体の向きを求める方法などを挙げることができる。
判断の結果、スクリーンS全体が投射方向Xと直交していれば、先に説明したようにして、3つの評価用位置Peが一直線上に位置するか否か判断する(S03−4−1以降)。他方、スクリーンS全体が投射方向Xに対して直交していなければ、スクリーンS全体が投射方向Xに対して直交するように修正し(S03−4−B)、再びスクリーンSの状態を判断する(S03−4−A)。修正方法は、自動的であってもよいし、プロジェクタ設置作業の一環として設置者が行うようにしてもよい。このような修正を必要に応じて行うようになっていれば、スクリーンSの設置状態を問わないプロジェクタにおいても、上記障害物検出部23を用いることができる。
また、上記実施形態では、障害物WとスクリーンS上の凹凸の両方を同一の基準で検出しているが、それぞれ異なるものとして検出してもよい。障害物Wと凹凸は、適切な映像表示を妨げるものであるという点で共通しているが、映像に与える影響は異なる。したがって、適性値Rを求めるときに、それぞれ別の基準を用いることが考えられる。それぞれ異なるものとして検出する方法としては種々の方法が考えられるが、例えば、上記実施形態において、各分割領域Bの評価用位置Peについて求めた離間距離Gが20mm以上のときは障害物を検出したと判断し、20mm未満のときはスクリーンS上の凹凸を検出したと判断することが考えられる。また、このように、それぞれ異なるものとして検出すれば、重み付けをする場合にも、より適切な重み付けを行うことができるという利点がある。
上記実施形態では、求めた適性値演算用の数値R1,R2,R3をそのまま合計して適性値Rを求めているが、各適性の重要度に応じた重み付けを加えた数値を用いて適性値Rを求めるようにしてもよい。例えば、離間距離Gに基づいて求められる適性値演算用の数値R2に重み付けをするのであれば、求めた数値R2に重み係数を乗じた値を、実際に用いる適性値演算用の数値R2とする。これにより、より実用的な適性値を求めることができ、投射候補領域Cをより実用的な基準で決定することができる。
各分割領域Bの投射面としての適性値Rを求める方法であるが、上記2つの実施形態のプロジェクタ10,60で用いた方法に限られず、評価用距離Leに基づいて求めた適性値演算用の数値R1と、離間距離Gに基づいて求めた適性値演算用の数値R2と、明度に基づいて求めた適性値演算用の数値R3とに基づいて求める方法でもよい。この場合、3数値R1,R2,R3を求めるためのテーブルT1,T2,T3と、当該方法に対応した基準適性値Rcを用意する。
上記実施形態では、投射候補領域Cから投射領域Dを選択するとき、実際に映像を表示する投射範囲ができるだけ広くなるように投射領域Dを選択したが、これ以外の選択基準を用いてもよい。たとえば、投射範囲ができるだけ投射エリアAの中心を含む範囲になるように、そして、中心を含まない場合でもできるだけ中心寄りになるように投射領域Dを選択するという選択基準を用いてもよい。広い投射範囲を確保できれば、より大きい映像を表示することで、より見やすい映像を表示できる。他方、投射範囲の位置ができるだけ投射エリアAの中央寄りになるように投射領域Dを選択するという選択基準を用いれば、投射レンズ部13の光学系の中心部を使って、映像を含む投射光Lを投射できる。光学系では、一般に中心部分ほど光学性能が優れているところ、光学系の中心部を遣って映像を含む投射光Lを投射できれば、より見やすい映像を表示できる。いずれの選択基準を採用してもよいし、両選択基準を採用しても良い。両選択基準を採用する場合、いずれの選択基準を優先させてもよい。
投射範囲ができるだけ投射エリアAの中心に位置するように投射領域Dを選択する方法としては、例えば次のような方法を挙げることができる。全ての分割領域Bが投射候補領域Cである場合は投射エリアA全体に映像を表示させればよいので、この方法は、投射候補領域Cでない分割領域Bが存在するときに用いられる。まず、投射候補領域Cのうちから投射エリアAの最も中心寄りに位置する投射候補領域Cを検出する。そして、この投射候補領域Cを含んでおり、投射エリアAの形状と相似形であり、しかも非投射候補領域UCと重ならないという条件で、最も大きいサイズの投射領域選択用領域Ddを検出する。そして、この投射領域選択用領域Ddと重なる投射候補領域Cを投射領域Dとして選択すればよい。
投射領域Dによって定められた投射範囲に映像が投射されるように投射光Lの投射方向を制御する方法としては、上記投射方向制御部27bを用いて行う方法に限られず、種々の方法を用いることができる。例えば、光源12aおよび投射レンズ部13を含むプロジェクタ10の投射レンズ部13の光学系を、投射方向Xを変更可能な状態でプロジェクタ本体11に設置すると共に、投射レンズ部13を移動させるアクチュエータなどの駆動手段を設置し、必要に応じアクチュエータなどの駆動手段を作動させて投射方向を変更するようにしてもよい。
上記実施形態のプロジェクタ10,60は、可搬タイプであり、垂直に広がったスクリーンSなどの投射面に映像を表示させるものであるが、据付タイプのプロジェクタなど、可搬タイプ以外のタイプのプロジェクタであってもよい。
たとえば、図25に示されるように、机上Taに設置されて用いられるものであり、机上Taに水平に広がるスクリーンSに映像を表示するタイプのプロジェクタ90にも適用できる。また、このタイプのプロジェクタ90では、図25に示されるように、必要に応じて、スクリーンSが広がる方向と平行である方向に赤外線Irなどの検出波を出射するセンサ91を設置してスクリーンS上の障害物Wを検出するようにしてもよい。
図26(A)に示されるように、机上Taに設置するタイプのプロジェクタ90では、机上Ta上のスクリーンSに向けて光を投射する光源12aおよび投射レンズ14を備えたプロジェクタ本体11を台座92に対して垂直軸Vaを回転軸として回転できるように取り付けたり、水平軸Haを回転軸として回転できるように取り付けたりしてもよい。このように取り付けておけば、プロジェクタ90を机上Taに設置した後、プロジェクタ本体11を垂直軸Vaや水平軸Haを回転軸として回転させることで、よりよい投射面を容易に選択することができる。
図26(B)に示されるように、プロジェクタ本体11を台座92に対して上下動可能に取り付けてもよい。このように取り付けておけば、プロジェクタ90を机上Taに設置した後、プロジェクタ本体11を上下動させることでスクリーンSに投射される映像の範囲の大きさを容易に調整することができる。
図27に示されるように、天井から下方に延びる支持部材95によって吊り下げられた状態で設置されるタイプのプロジェクタ96があり、プロジェクタとしては、このタイプのものでもよい。図27のプロジェクタ96は、障害物Wや凹凸を検出ための手段として、下端用距離センサ96aと、中段用距離センサ96bと、上端用距離センサ96cとを備えるものである。そして、図27に示されるように、スクリーンS上の映像を、投射光Lを投射した側から見るタイプのスクリーンSに映像を投射するプロジェクタであってもよいし、スクリーンS上の映像を、投射光Lを投射した側とは反対側から見るタイプのスクリーンSに映像を投射するプロジェクタでもよい。