JP4730023B2 - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP4730023B2
JP4730023B2 JP2005247883A JP2005247883A JP4730023B2 JP 4730023 B2 JP4730023 B2 JP 4730023B2 JP 2005247883 A JP2005247883 A JP 2005247883A JP 2005247883 A JP2005247883 A JP 2005247883A JP 4730023 B2 JP4730023 B2 JP 4730023B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cell
cell
flow rate
stoichiometric ratio
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005247883A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007066565A (ja
Inventor
英世 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2005247883A priority Critical patent/JP4730023B2/ja
Publication of JP2007066565A publication Critical patent/JP2007066565A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4730023B2 publication Critical patent/JP4730023B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
従来から、例えば特表2000−509882号公報には、予め作成した反応ガス利用率とネルンスト電圧との関係から表を作成し、測定した燃料電池の電圧と作成した表から反応ガス利用率を求め、この方法により燃料電池内の流量や流れの分布を求める技術が記載されている。
特表2000−509882号公報 特開2002−260704号公報
しかしながら、特表2000−509882号公報に開示された技術では、使用領域が低電流密度域に限定されるため、中電流密度域、高電流密度域で発生する流量分配性、流量分布を求めることができないという問題がある。中電流密度域、高電流密度域では、流量の増加によって圧力損失が増大するため、流量分布を正確に求めることが困難となる。
また、電圧に基づいてガスの分布を求める場合、セル電圧は短絡、膜の劣化、クロスリーク等により変動してしまうため、電圧からガス流量への換算には困難が伴う。従って、電圧に基づいてガスの流量分布を正確に求めることは困難である。
例えば、セル電圧低下の要因としてカソードガスの供給不足が挙げられるが、電圧に基づく判定では、カソードガスの供給不足による電圧低下と、他の要因(短絡、膜の劣化、クロスリーク等)による電圧低下を切り分けることができず、カソードガスの供給不足の原因を特定することは困難である。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、燃料電池が備える複数の単位セルのそれぞれに供給されるガス量を高精度に求めることを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、複数の単位セルを備え、所定ガスの供給を受けて発電を行う燃料電池と、各単位セルのセル電圧を取得するセル電圧取得手段と、各単位セルの前記セル電圧を平均して平均セル電圧を算出する平均セル電圧算出手段と、前記燃料電池に供給される前記所定ガスのストイキ比を基準値から変化させるストイキ比可変手段と、前記ストイキ比を前記基準値から変化させた際に、前記ストイキ比と前記平均セル電圧の変化率との関係を表す近似式を取得する近似式取得手段と、前記ストイキ比を前記基準値から所定値に変化させた際に、各単位セルのセル電圧の変化率を算出するセル電圧変化率算出手段と、前記近似式を用いて、前記セル電圧の変化率から各単位セル毎に前記所定ガスのストイキ比を算出するストイキ比算出手段と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記セル電圧変化率算出手段は、前記基準値における各単位セルのセル電圧を基準として第1の変化率を求めるとともに、前記基準値における平均セル電圧を基準として第2の変化率を求め、前記ストイキ比算出手段は、前記第1及び第2の変化率の各々から第1及び第2のストイキ比を算出し、前記第1のストイキ比と前記第2のストイキ比が相違している単位セルでは、前記所定ガスの流量変化以外の要因による異常が生じていると判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、各単位セル毎に算出された前記ストイキ比に基づいて、各単位セル毎に前記所定ガスの流量を算出するガス流量算出手段を更に備えたことを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量の最小値を算出する最小値算出手段と、前記最小値が所定値以上となるように前記燃料電池に供給される前記所定ガスの流量を制御するガス流量制御手段と、を更に備えたことを特徴とする。
第5の発明は、第3又は第4の発明において、各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量の経時変化に基づいて、前記燃料電池の劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする。
第6の発明は、第3〜第5の発明のいずれかにおいて、前記燃料電池の内部温度を取得する内部温度取得手段と、各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量と、前記内部温度とに基づいて、フラッディングの発生を判別するフラッディング判別手段とを更に備えたことを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、フラッディングを回避するための回避ガス流量を算出する回避ガス流量算出手段を備え、前記フラッディング判別手段により、フラッディングが発生していることが判別された場合は、前記所定のガスの流量を前記回避ガス流量へ制御するガス流量制御手段とを更に備えたことを特徴とする。
第8の発明は、第6又は第7の発明において、前記フラッディング判別手段により、フラッディングが発生していることが判別された場合は、前記燃料電池の冷却液の温度を上昇させる冷却液温度上昇手段を更に備えたことを特徴とする。
第9の発明は、第3〜第8の発明のいずれかにおいて、前記燃料電池の内部温度を取得する内部温度取得手段と、各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量と、前記内部温度とに基づいて、ドライアップの発生を判別するドライアップ判別手段とを更に備えたことを特徴とする。
第10の発明は、第9の発明において、前記燃料電池に供給される前記所定ガスを加湿する加湿手段を備え、前記ドライアップ判別手段により、ドライアップが発生していることが判別された場合は、前記加湿手段による加湿量を増加することを特徴とする。
第11の発明は、第9又は第10の発明において、前記ドライアップ判別手段により、ドライアップが発生していることが判別された場合は、前記燃料電池の冷却液の温度を低下させる冷却液温度低下手段を更に備えたことを特徴とする。
第12の発明は、第1〜第11の発明のいずれかにおいて、前記燃料電池は、酸素を含む第1のガス及び水素を含む第2のガスの供給を受けて発電を行うものであり、前記所定ガスは前記第1のガスであることを特徴とする。
第13の発明は、第12の発明において、前記第1のガスを前記燃料電池に供給するためのポンプを有し、前記ポンプの回転数を変化させた際の前記燃料電池の総電圧の変化率に基づいて前記ポンプの劣化判定を行うポンプ劣化判定手段を更に備えたことを特徴とする。
第1の発明によれば、所定ガスのストイキ比を各単位セル毎に求めることができるため、各単位セルのストイキ比の分布が明らかになる。従って、各単位セルのストイキ比の分布を分配管、マニホールドなどの設計にフィードバックすることができ、ガスが流れる経路の形状を最適に設計することができる。
第2の発明によれば、所定ガスの流量変化以外の要因で異常が生じている単位セルでは、基準値におけるセル電圧が平均セル電圧から乖離するため、基準値における各単位セルのセル電圧から求めた第1の変化率と基準値における平均セル電圧から求めた第2の変化率とに基づいて第1及び第2のストイキ比を求めることで、第1のストイキ比と第2のストイキ比が相違している単位セルでは、所定ガスの流量変化以外の要因による異常が生じていると判定することが可能となる。
第3の発明によれば、所定ガスの流量を各単位セル毎に求めることができるため、各単位セルの流量の分布が明らかになる。従って、各単位セルの流量の分布を分配管、マニホールドなどの設計にフィードバックすることができ、ガスが流れる経路の形状を最適に設計することができる。また、各単位セルにおける流量に基づいて、燃料電池に供給する所定ガスの流量を最適に制御することが可能となる。
第4の発明によれば、各単位セル毎に算出された所定ガスのストイキ比又は流量の最小値が所定値以上となるように所定ガスの流量を制御するため、各単位セルにおける出力の低下を確実に抑えることができる。従って、システムの信頼性を高めることができ、システムを安定して運転することが可能になる。
第5の発明によれば、各単位セル毎に算出された所定ガスのストイキ比又は流量の経時変化に基づいて燃料電池の劣化を判定するため、システムの劣化を確実に判定することができ、システムの信頼性を高めることができる。
第6の発明によれば、ストイキ比又は流量が少ない単位セルでは、燃料電池の内部温度が低い場合にフラッディングが発生し易いため、各単位セル毎に算出された所定ガスのストイキ比又は流量と燃料電池の内部温度とに基づいて、フラッディングの発生を判別することができる。
第7の発明によれば、フラッディングが発生していることが判別された場合は、ガスの流量を回避ガス流量へ制御するため、フラッディングが発生している単位セルのセル電圧を上昇することができる。また、ガスの流量を増加することで、燃料電池内に滞留している水分を外部に排出することが可能となる。
第8の発明によれば、フラッディングが発生していることが判別された場合は、燃料電池の冷却液の温度を上昇させるため、燃料電池内に滞留する水分を気化して外部に排出することができる。
第9の発明によれば、ストイキ比又は流量が多い単位セルでは、燃料電池の内部温度が高い場合にドライアップが発生し易いため、各単位セル毎に算出された所定ガスのストイキ比又は流量と燃料電池の内部温度とに基づいて、ドライアップの発生を判別することができる。
第10の発明によれば、ドライアップが発生していることが判別された場合は加湿手段による加湿量を増加するため、所定ガスに水分を含ませるこことができ、ドライアップの発生を抑えることが可能となる。
第11の発明によれば、ドライアップが発生していることが判別された場合は、燃料電池の冷却液の温度を低下させるため、燃料電池内における水分の気化を抑えることができる。従って、気化した水分が外部に排出されることを抑えることができ、ドライアップの発生を抑えることが可能となる。
第12の発明によれば、各単位セルにおいて、酸素を含むガス(カソードガス)のストイキ比、流量を求めることが可能となる。従って、各単位セルにおけるカソードガスの分布に応じて、燃料電池を最適に制御することが可能となる。
第13の発明によれば、ポンプの回転数を変化させた際の燃料電池の総電圧の変化に基づいてポンプの劣化判定を行うため、ポンプの劣化以外の要因による影響を排除することができ、ポンプの劣化を高精度に行うことが可能になる。また、ポンプの劣化を判定するために別途流量センサ等を設ける必要がないため、システムのコストを低減することができる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の各実施形態に係る燃料電池システム10の構成を示す模式図である。燃料電池システム10は、例えば燃料電池自動車に搭載されるものである。燃料電池システム10は燃料電池12を備えている。本実施形態において、燃料電池(FC)12は固体高分子分離膜を備えた燃料電池(PEMFC)であり、2つの燃料電池スタック(スタック12aとスタック12b)から構成されている。
各スタック12a,12bは、電解質膜、アノード、カソード、およびセパレータとから構成される単位セルを複数積層して構成される。図1及び図2において、矢印Aは単位セルの積層方向を示している。本実施形態において、スタック12a,12bのそれぞれは200個の単位セルを備えている。
単位セルに設けられた電解質膜は、例えばフッ素系の固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。アノードおよびカソードは、共に炭素繊維を織成したカーボンクロスにより形成されており、触媒層、拡散層を備えている。また、セパレータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されている。隣接する単位セル同士は、一方のセルのアノードと他方のセルのカソードがセパレータを介して対向した状態で積層されている。
図1に示すように、燃料電池12には、アノードガス流路14及びカソードガス流路16が導入されている。アノードガス流路14は高圧の水素タンク18と接続されており、水素タンク18から各スタック12a,12b内のアノードへ水素リッチなアノードガスが送られる。アノードガス流路14には、水素タンク18の下流にレギュレータ20が設けられている。レギュレータ20は、燃料電池12の入口におけるアノードガスの圧力を要求される適正圧力に調圧するものである。また、アノードガス流路14には、レギュレータ20の下流に圧力センサ22が接続されている。
カソードガス流路16にはポンプ24が設けられており、ポンプ24の駆動により各スタック12a,12b内のカソードへ酸素を含む酸化ガスとしてのカソードガスが送られる。
図2は、アノードガス流路14、カソードガス流路16と各スタック12a,12bとの接続部を詳細に示す模式図である。ここで、図2(A)は、アノードガス流路14と各スタック12a,12bとの接続部を示している。図2(A)に示すように、アノードガス流路14は分配管26を介して各スタック12a,12bと接続されている。分配管26は、アノードガス流路14から送られたアノードガスをスタック12aとスタック12bに分配する機能を有している。
図2(B)は、カソードガス流路16と各スタック12a,12bとの接続部を示している。図2(B)に示すように、カソードガス流路16は分配管28を介して各スタック12a,12bと接続されている。分配管28は、カソードガス流路16から送られたカソードガスをスタック12aとスタック12bに分配する機能を有している。
また、図2は、各スタック12a,12bが備える400個の単位セルの配置を示している。図2(A)及び図2(B)に示すように、スタック12aにはセル番号#1〜#200のセルが設けられており、スタック12bにはセル番号#201〜#400のセルが設けられている。スタック12aにおいては、セル番号#1のセルは分配管26,28が接続された端部の反対側に配置され、分配管26,28に近づくほどセル番号は増加し、最も分配管26,28に近接したセルの番号は#200となる。一方、スタック12bにおいては、セル番号#201のセルは分配管26,28が接続された端部側に配置され、分配管26,28から離れるほどセル番号は増加し、最も分配管26,28から離れたセルの番号は#400となる。
図3は、各単位セルとその周辺の平面構成を示す模式図であって、単位セルの積層方向から各スタック12a,12bの内部を見た状態を模式的に示している。すなわち、図3は、セルの積層方向と直交する方向に沿った断面を模式的に示したものであり、例えば図2(A)中の一点鎖線I−I’に沿った断面に対応している。
図3に示すように、各単位セルには、アノードガスの流路30とカソードガスの流路32が設けられている。流路30,32は単位セルの積層方向に沿って重なるように設けられているため、図3では各流路30,32を破線で略式に示している。図3に示すように、各流路30,32はセルの一端から他端に向けて直線状に延在している。
各流路30,32の両端には、各流路30,32のそれぞれと個別に接続される分配部34,35が単位セルの積層方向に重なるように設けられている。分配部34,35の更に外側には、マニホールド36,38,42,44が設けられている。マニホールド36は分配部34を介してアノードガスの流路30と接続されている。また、マニホールド38は分配部35を介してカソードガスの流路32と接続されている。マニホールド36,38及び後述するマニホールド42,44は、単位セルの積層方向に貫通する孔として設けられている。マニホールド36の端部は分配管26と接続され、マニホールド38の端部は分配管28と接続されている。
また、燃料電池12の各単位セルには冷却液が循環している。これにより、発電に伴う燃料電池12の過度な温度上昇が抑えられ、燃料電池12の温度が最適値に設定される。
このような構成によれば、アノードガス流路14から分配管26を経由して各スタック12a,12bに送られたアノードガスは、マニホールド36に送られ、マニホールド36から分配部34および流路30を経由して各単位セルのアノードに送られる。同様に、カソードガス流路16から分配管28を経由して各スタック12a,12bに送られたカソードガスは、マニホールド38に送られ、マニホールド38から分配部35および流路32を経由して各単位セルのカソードに送られる。
燃料電池12のアノードでは、アノードガスが送り込まれると、このアノードガス中の水素から水素イオンを生成し(H→2H+2e)、カソードは、カソードガスが送り込まれると、このカソードガス中の酸素から酸素イオンを生成し、燃料電池12内では電力が発生する。また、これと同時にカソードにおいて、上記の水素イオンと酸素イオンとから水(生成水)が生成される((1/2)O+2H+2e→HO)。この水のほとんどは、燃料電池12内で発生する熱を吸収して水蒸気となり、カソードオフガス中に含まれて排出される。
アノードから排出されたアノードオフガスは、図3に示すマニホールド42に送られ、マニホールド42を経由して図1に示すアノードオフガス流路46に送られる。アノードガス流路46にはポンプ48が設けられており、アノードオフガスは、ポンプ48の駆動により再びアノードガス流路14へ戻される。アノードガス流路14に戻されたアノードオフガスは、水素タンク18からの水素の補充を受けて、再度燃料電池12へ送られる。アノードオフガスを燃料電池12送ることで、アノードオフガス中に含まれる未反応の水素を燃料電池12内で反応させることができ、水素の利用効率を高めることができる。
アノードオフガス流路46には、アノードオフガス中の水分を捕集する気液分離器50が設けられている。気液分離器50には排水弁52が接続されている。気液分離器50に捕集されたアノードオフガス中の水分は、排水弁52を開くことで排出される。
ポンプ48の下流において、アノードオフガス流路46には排気弁54が接続されている。アノードオフガス流路46→アノードガス流路14→燃料電池12の経路からなるアノード循環系に窒素(N)等の不純物成分が多く含まれる場合は、排気弁54を間欠的に開くことでパージを行い、これらの成分を排出する。
また、排気弁54が接続された箇所の下流には、逆止弁56が設けられている。逆止弁56は、アノードガス流路14からポンプ48へ向かう流れを阻止する機能を有している。
一方、各単位セルのカソードから排出されたカソードオフガスは、図3に示すマニホールド44に送られ、マニホールド44から図1に示すカソードオフガス流路58に送られる。カソードオフガスは、カソードオフガス流路58を通り、最終的にはマフラー60から排出される。カソードオフガス流路58には、カソードオフガスの圧力を調整する制御弁62、および制御弁62の上流におけるカソードオフガス圧力を検出する圧力センサ64が設けられている。制御弁62によれば、燃料電池12から排出されるカソードオフガスの圧力を制御することができる。また、燃料電池12に送られるカソードガスの流量はポンプ24により制御することができる。
また、カソードオフガス流路58において、マフラー60の上流には加湿器66が設けられている。加湿器66にはカソードガス流路16が導入されている。加湿器66は、燃料電池12内で生成されてカソードオフガスに含まれる水分を吸収し、吸収した水分によりカソードガス流路16中のカソードガスを加湿する機能を有している。
図1に示すように、本実施形態のシステムはECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、システムの運転状態を把握すべく、燃料電池12の出力(電圧値、電流値)、冷却水温などを検出するための各種センサ(不図示)が接続されており、ECU40は、燃料電池12が備える400個の単位セルのそれぞれのセル電圧を検知することができる。また、ECU40には、上述した圧力センサ22,64、レギュレータ20、排水弁52、排気弁54、制御弁62などが接続されている。ECU40は、燃料電池12の出力、各ガスの圧力、各ガスの流量を制御することで、燃料電池12を所望の運転状態で運転することができる。
燃料電池12は、上述したようにアノードガス中の水素とカソードガス中の酸素が各単位セル内で反応することで発電を行うため、発電効率を高めるためには、各単位セルに供給されるガス量を正確に制御することが必要である。しかし、燃料電池12に供給される各ガスは、様々な経路を通って流れるため、各単位セルに供給されるガス量には厳密な意味ではバラツキが生じている。
例えば、アノードガス、カソードガスは、上述したように各分配管26,28、各マニホールド36,38などを通って各単位セルに送られるため、これらの経路における圧力損失が各単位セル毎に相違すると、各単位セルに流れるガス量にバラツキが発生する。
また、カソードガスは分配管28で分離され、カソードガス流路16を流れるカソードガスの50%が一方のスタック12aに送られ、残りの50%が他方のスタック12bに送られるように構成されている。しかし、分配管28の形状等に起因して、分配管28での分配の比率が50%とならない場合は、スタック12aとスタック12bとでカソードガスの供給量が相違する場合がある。アノードガスについても同様に、分配管26における分配の比率が50%とならない場合は、スタック12aとスタック12bとでアノードガスの供給量に相違が生じる場合がある。
また、分配管28から各スタック12a,12bに送られたカソードガスは、マニホールド38を通って各単位セルに供給されるが、カソードガスがマニホールド38を通る際に生じる圧力損失は、マニホールド38の形状、各単位セルまでの距離等によって異なるため、これらの要因により各単位セルへのカソードガスの供給量にバラツキが発生する。特に、分配管28から離れたセルほど、カソードガスが供給される際の圧力損失が大きくなるため、分配管28からの距離に応じてカソードガスの供給量が変化してしまうことが想定される。アノードガスについても同様に、マニホールド36の形状、各単位セルまでの距離等によって各単位セルにおけるアノードガスの供給量にバラツキが生じる場合がある。
従って、各単位セルに供給されるガス量を検出し、各単位セルに均一にガスを供給することは、燃料電池12の発電効率を最大限に発揮させるために非常に重要である。各セルへの供給ガス量を検知する方法として、各単位セルのセル電圧に基づいて供給ガス量を推定することが考えられる。しかしながら、セル電圧はガス量以外の要因によっても変化するため、セル電圧に基づいて各セルへの供給ガス量を正確に推定するには困難が伴う。
例えば、ある単位セルにおいて、電解質膜、またはアノード、カソードを構成する触媒層、拡散層が何らかの要因により劣化している場合は、その単位セルにおける供給ガス量が適正値に保たれている場合であっても、セル電圧は低下してしまう。また、アノード、カソードの流路30,32、分配部34,35に異物が付着したような場合、供給ガス量は適正値であっても、セル電圧は低下してしまう。
従って、セル電圧に基づく判定では、供給ガス量に起因するセル電圧の変動と、他の要因によるセル電圧の変動とを切り分けて判定することは困難であり、セル電圧に基づいて各単位セルへの供給ガス量を正確に検知することは困難である。
このような点に鑑みて、本実施形態では、各単位セルへの供給ガス量を単位セル毎のセル電圧の変化率に基づいて算出するようにしている。以下、セル電圧の変化率に基づいて各単位セルの供給ガス量を求める方法を詳細に説明する。以下の説明では、各単位セルへのカソードガス供給量を求める方法を説明するが、アノードガスの供給量についても同様の方法で求めることができる。
図4は、燃料電池12に供給されるカソードガスのストイキ比と、燃料電池12の出力との関係を示す特性図であって、燃料電池12の定常運転中に実測して得られた特性を示している。図4の特性は、燃料電池12の単体状態で取得しても良いし、燃料電池システム10を燃料電池自動車に搭載した状態で取得しても良い。
図4において、横軸は、カソードガス流路14を流れるカソードガスのストイキ比を示している。このストイキ比は、カソードガス流量の理論値に対する実際のカソードガス流量の比率である。カソードガス流量の理論値は、燃料電池12の駆動負荷に基づいて算出される値である。通常、高電流密度域でのカソードガスのストイキ比は1.2〜1.5程度の値とされ、理論値よりも実際のカソードガス流量を多くすることで、燃料電池12を安定して運転することができる。
また、図4の縦軸は、燃料電池12が備える全ての単位セルのセル電圧値の平均値(平均セル電圧)を示している。上述したようにECU40は各単位セルのセル電圧を検出することができ、これらのセル電圧を平均することで平均セル電圧が求まる。
図4の特性を取得する際には、アノードガス流路14におけるアノードガスの流量は一定値に固定されている。図4の特性を取得する際には、先ず、ストイキ比を基準ストイキ比S0に設定した状態で平均セル電圧(基準電圧V0)を検出する。ここで、基準ストイキ比S0は、通常運転時のストイキ比SAよりも大きな値に設定されている。その後、ストイキ比を基準ストイキ比S0から減少させ、各ストイキ比S1,S2,S3毎に平均セル電圧を検出する。
基準ストイキ比S0からストイキ比を減少させていくと、カソードガスの流量が低下し、燃料電池12内での反応量が低下するため、平均セル電圧は基準電圧V0から低下していく。図4に示すように、ストイキ比がS0からS1に低下すると平均セル電圧はV1となり、基準電圧V0からの平均セル電圧の変化量ΔV1は(V0−V1)となる。同様に、ストイキ比がS0からS2に低下すると平均セル電圧はV2となり、平均セル電圧の変化量はΔV2(=V0−V2)となる。また、ストイキ比がS0からS3に低下すると平均セル電圧はV3となり、平均セル電圧の変化量はΔV3(=V0−V3)となる。このように、平均セル電圧の変化量は、ストイキ比が基準ストイキ比S0から低下するほど増加する。
図5は、平均セル電圧の変化率とストイキ比との関係を示す特性図(近似式)であって、図4の特性に基づいて得られるものである。図5において、横軸は平均セル電圧の変化率を示している。平均セル電圧の変化率は、例えば図4に示す各ストイキ比S1,S2,S3において、平均セル電圧の変化量ΔV1,ΔV2,ΔV3をそれぞれ基準電圧V0で除算することにより求めることができる。すなわち、ストイキ比S1における電圧変化率はΔV1/V0となり、ストイキ比S2における電圧変化率はΔV2/V0となり、ストイキ比S3における電圧変化率はΔV3/V0となる。図5の近似式は、各ストイキ比S1,S2,S3において電圧変化率をプロットし、近似曲線(直線)で結ぶことにより得られたものである。
図5の特性によれば、単位セルの電圧変化率とカソードガスのストイキ比との関係が明らかになる。従って、各単位セルにおいて、セル電圧の変化率が求まれば、電圧変化率に基づいて各単位セルのストイキ比を求めることが可能になる。
各単位セルにおけるセル電圧は、燃料電池12に供給されるカソードガスのストイキ比を可変することで変化する。従って、ストイキ比を可変した際の各単位セルのセル電圧の変化量から、セル電圧の電圧変化率を求めることができる。
以下、各単位セルにおいてセル電圧の変化率を求める方法を説明する。各単位セルの電圧変化率を求める際には、先ずカソードガス流路14におけるカソードガスのストイキ比を図4で説明した基準ストイキ比S0に設定し、この状態で各単位セルにおいて基準電圧V0(n)を求める。その後、カソードガス流路14におけるストイキ比を基準ストイキ比S0から通常運転時のストイキ比SAまで低下させる。そして、ストイキ比をSAとした状態で、各単位セルにおいてセル電圧VA(n)を求める。これにより、ストイキ比がS0からSAに変化した際のセル電圧の変化量(V0(n)−VA(n))が求まり、変化量(V0(n)−VA(n))を基準電圧V0(n)で除算することで、各単位セルのセル電圧の変化率P(n)を求めることができる。すなわち、電圧変化率P(n)は以下の(1)式から求められる。
P(n)=(V0(n)−VA(n))/V0(n) ・・・(1)
但し、上式において、nはセル番号である。
このようにして求められた各単位セルのセル電圧の変化率P(n)は、図5の特性(横軸)に当てはめられる。これにより、各単位セルにおいてカソードガスのストイキ比を求めることが可能になる。
上述したように、燃料電池12が必要とするカソードガス流量の理論値は、燃料電池12の負荷に基づいて算出され、これに基づいて各単位セルにおけるカソードガス流量の理論値が算出される。従って、図5の特性から各単位セルにおける実際のストイキ比が求まると、これを各単位セルにおけるカソードガス流量の理論値に乗算することで、各単位セルにおける実際のカソードガス流量を求めることが可能となる。
なお、全ての単位セルに均等にカソードガスを供給することを想定した場合、各単位セルにおけるカソードガス流量の理論値は、燃料電池12全体へのカソードガス供給量の理論値をセル数で除算した値となる。
このように、本実施形態の手法によれば、各単位セルのセル電圧の変化率に基づいて、各単位セルにおけるストイキ比、及びカソードガス流量を求めることができる。従って、各単位セルのそれぞれに対してカソードガスの供給が良好に行われているか否かを判定することが可能になる。
また、本実施形態の手法では、セル電圧の変化率は基準電圧V0からの電圧変化量を基準電圧V0で除算することにより算出されるため、ガスの供給量以外の要因、例えば電解質膜、アノード、カソードを構成する触媒層、拡散層などの劣化、短絡、流路への異物混入などの要因でセル電圧が変動した場合であっても、その影響が及ぶことはない。従って、本実施形態の手法によれば、これらの要因を排除した状態で各単位セルにおけるストイキ比、カソードガス流量を正確に求めることができる。
図6は、燃料電池12の各単位セル(#1〜#400)において、上述した方法でストイキ比(カソードガス流量)を算出した結果を示す模式図である。図6において、横軸はセル番号を、縦軸はストイキ比(カソードガス流量)を示している。
図6に示す結果では、スタック12bの各単位セル(#201〜400)のストイキ比(カソードガス流量)はほぼ均一であるが、スタック12aの各単位セル(#1〜200)では、セル番号が比較的小さい#26,#59,#87のセルにおいて、ストイキ比(カソードガス流量)が他のセルよりも低下している。これは、異物等が混入してガス供給量(ストイキ比)が低下していることが想定できる。また、上述したように各単位セルにカソードガスを供給するマニホールド38内の圧力損失は分配管28から離れるほど大きくなるため、分配管28から離れたこれらの単位セル(#26,#59,#87)においては、圧力損失の影響によりストイキ比(カソードガス流量)が低下していることが判断できる。
燃料電池12を安定して運転するためには、各単位セルにおけるストイキ比(カソードガス流量)が図6に示す限界セルストイキ比(限界セル流量)以上となるように運転を行う必要がある。本実施形態の手法によれば、各単位セルにおけるストイキ比(カソードガス流量)を高い精度で求めることができるため、各単位セルにおけるストイキ比(カソードガス流量)の最小値が常に限界セルストイキ比(限界セル流量)よりも多くなるようにカソードガスを供給することで、燃料電池12を安定して運転することができる。
また、各単位セルにおけるカソードガス流量が正確に判別できない状況下では、各単位セルに必要以上にカソードガスが供給されてしまい、カソードガス流量が図6に示す限界セル流量を大きく超えてしまう場合がある。しかし、本実施形態の手法によれば、各単位セルにおけるカソードガス流量を正確に求めることができるため、各単位セルにカソードガスが必要以上に供給されてしまうことを回避できる。従って、カソードガスを供給するためのポンプ24の駆動負荷を最小限に抑えることができ、燃費を向上することができる。
このように、本実施形態の手法によれば、各単位セル毎にストイキ比(カソードガス流量)を求めることができ、ストイキ比(カソードガス流量)が適正値であるか否かを判定することができる。従って、各単位セルにおけるカソードガス流量(ストイキ比)に応じてガス流量を制御することで、燃料電池12の運転状態を最適に制御することが可能となる。
また、本実施形態の手法によれば、各単位セル毎のカソードガス流量(ストイキ比)の評価のみならず、複数の単位セル毎にカソードガス流量(ストイキ比)を一括して評価することも可能である。図7は、スタック12aにおけるストイキ比の平均値と、スタック12bにおけるストイキ比の平均値を示す特性図である。
図7において、スタック12aにおけるストイキ比の平均値は、上述した方法でスタック12a内の各単位セルのストイキ比を求め、これを平均することで算出したものである。スタック12bにおけるストイキ比も同様の方法で求めたものである。
また、図7では、スタック12a,12bにおけるカソードガス流量とともに、燃料電池12全体のストイキ比を示している。燃料電池12全体のストイキ比は、カソードガス流量の理論値に対するカソードガス流路16内の流量の比率であって、上述した方法で得られた全ての単位セルのストイキ比を平均して得られる値とほぼ同一である。
図7の結果によれば、スタック12aに比べてスタック12bのストイキ比の方が大きいため、カソードガスが分配管28で均等に分配されていないことが判別できる。
図8は、各スタック12a,12bへ送られたカソードガスの分配差を示す特性図であって、燃料電池12全体のストイキ比に対する各スタック12a,12bのストイキ比の偏差を比率(%)で表したものである。
図7及び図8の結果によれば、スタック12aとスタック12bへのカソードガスの分配が均一であるか否かを判別することができる。従って、この結果に基づいて分配管28の形状の見直し、設計変更を行うことができる。
図9は、各スタック12a,12bにおいて、20セル毎にストイキ比(カソードガス流量)の平均値を求めた結果を示している。図9の結果は、図6の場合と同様の方法でスタック12a,12b内の各単位セルのストイキ比(カソードガス流量)を求め、これを20セル毎に平均することで求めたものである。図9の結果によれば、単位セルの積層方向において、ストイキ比(カソードガス流量)が変化する傾向を求めることができる。従って、カソードガスが通過するマニホールド38、分配部35などにおける圧力損失を求めることができ、マニホールド38、分配部35などの形状設計に反映させることができる。
なお、上述したように図4及び図5の特性は燃料電池12の単体状態、または燃料電池自動車への搭載後に取得することができるが、燃料電池12の組立前にこれらの特性を取得しても良い。例えば燃料電池12を組み立てる過程において、各単位セル毎にストイキ比を可変して各単位セルの電圧変化率を求め、これに基づいて電圧変化率とストイキ比との関係を求めても良い。同様に、燃料電池12を組み立てる過程において、複数の単位セル毎にストイキ比を可変してこれらの複数の単位セルにおける平均セル電圧の変化率を求め、これに基づいて電圧変化率とストイキ比との関係を求めても良い。これにより、単位セル毎、又は複数の単位セル毎に図5に相当する特性を求めることができる。従って、単位セル毎、又は複数のセル毎に求められたこれらの特性に各単位セルの電圧変化率を当てはめることで、各単位セルのストイキ比をより高い精度で求めることが可能となる。
以上説明したように実施の形態1によれば、燃料電池12が備える各単位セル毎にストイキ比、ガス流量を求めることが可能となる。従って、各単位セルのストイキ比、ガス流量に基づいて燃料電池12を最適に制御することが可能となる。また、各単位セルへ供給されるガス量の分布を正確に求めることができるため、ガスが通過する経路の形状を最適に設計することが可能となる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1の方法で求めた各単位セルのガス流量(ストイキ比)に基づいて、燃料電池システム10が搭載された燃料電池自動車の限界走行距離を求めるものである。
燃料電池システム10が継続して使用された場合に、経時変化等により燃料電池12内の流路30,32、分配部34,35に異物等が混入してしまうと、ガスの流れが阻害されるため、各単位セルへのガス供給量(ストイキ比)が低下する。そして、各単位セルのカソードガス流量が限界セル流量以下となると、燃料電池12を安定して運転できなくなることが想定される。
このため、実施の形態2では、燃料電池自動車が所定の走行距離を走行する毎に、実施の形態1の方法で各単位セルのカソードガス流量を求め、カソードガス流量が限界セル流量に到達していないかを判定するようにしている。
図10は、燃料電池自動車の走行距離が所定距離を経過する毎に、全ての単位セルにおけるカソードガス流量から最小値(最小ストイキ比)を求め、その最小値をプロット(図10中に△で示す)した結果を示している。
図10の結果によれば、カソードガス流量の最小値の変化に基づいて、最小値が限界セル流量に到達する限界走行距離を推定することができる。従って、限界走行距離に到達する以前に点検、整備等を実施することで、燃料電池システム10の信頼性を向上することが可能となる。
また、カソードガス流量が限界セル流量に近づいた場合は、カソードガス流量を増加する制御を行う。これにより、カソードガス流量が少ないセルのセル電圧低下を抑制することができ、燃料電池12を安定して運転することが可能となる。
また、本実施形態によれば、カソードガス流量の最小値に基づいてカソードガス流量を制御することで、最小値が常に限界セル流量付近となるように制御することができる。従って、燃料電池12の運転が可能な範囲でカソードガス流量を必要最小限に抑えることができ、ポンプ24の駆動負荷を最小限に抑えることができる。これにより、無駄な駆動負荷の発生を抑えることができ、システム効率、燃費を向上することが可能となる。
以上説明したように実施の形態2によれば、各単位セルのカソードガス流量(ストイキ比)の最小値に基づいて、燃料電池自動車の限界走行距離を推定することができる。従って、燃料電池自動車の走行距離が限界走行距離に近づいた場合は、点検、整備を行ったり、ガス流量を増加させることで、燃料電池12の信頼性を向上することが可能となる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態1の方法で各単位セルのカソードガス流量を求めた後、カソードガス流量以外の要因で異常が生じている単位セルを抽出するものである。
実施の形態1で説明したように、各単位セルのストイキ比を求める場合は、(1)式から電圧変化率P(n)を求め、これを図5の特性に当てはめることで各単位セルのストイキ比を求める。すなわち、この場合は、各単位セルにおける基準電圧V0(n)からの電圧変化量(V0(n)−VA(n))に基づいて電圧変化率P(n)が算出される。
一方、本実施形態では、カソードガス流量以外の要因でセル電圧に影響が生じているセルを抽出するため、基準電圧V0(n)からの変化量ではなく、基準ストイキ比S0における全ての単位セルの平均セル電圧V0aveからの電圧変化量(V0ave−VA(n))を用いて電圧変化率を求める。すなわち、本実施形態では、電圧変化率は以下の式から表される。
電圧変化率=(V0ave−VA(n))/V0(n) ・・・(2)
但し、(2)式においてnはセル番号である。
そして、(2)式から求めた電圧変化率を図5の特性に当てはめることで、各単位セルにおいてストイキ比に相当する値を求める。(2)式から電圧変化率を求めた場合は、平均電圧V0aveからの変化量(V0ave−VA(n))を用いて電圧変化率を算出しているため、基準ストイキ比S0における基準電圧V0(n)が平均電圧値V0aveよりも低下しているセルでは、電圧変化量(V0ave−VA(n))が実際の電圧変化量(V0(n)−VA(n))よりも大きな値となる。このため、このようなセルにおいては、(1)式から算出した電圧変化率よりも、(2)式から算出した電圧変化率の方が大きくなる。従って、このようなセルにおいては、(2)式から算出した電圧変化率を図5の特性に当てはめて得られたストイキ比の方が、(1)式から算出した電圧変化率を図5の特性に当てはめて得られたストイキ比よりも小さくなる。
このように、(2)式から求めた電圧変化率に基づいて、図5の特性からストイキ比を求めた場合は、基準ストイキ比S0における基準電圧V0(n)が他のセルよりも低下しているセルにおいては、その低下分を反映させた状態でストイキ比を求めることができる。換言すれば、(2)式に基づいて図5から求められたストイキ比は、セル電圧の低下分がストイキ比に換算されたものであり、単位セルの性能劣化を表すパラメータとなる。従って、このパラメータによれば、基準ストイキ比S0において基準電圧V0(n)が低下している単位セルを抽出することが可能になる。
図11は、(1)式から電圧変化率を求めた場合と、(2)式から電圧変化率を求めた場合のそれぞれにおいて、図5の特性からストイキ比を求めた結果を示している。ここで、図11(A)は(1)式から算出された電圧変化率に基づいてストイキ比を求めた結果を示している。図11(A)に示す結果は、図6の結果と同一である。一方、図11(B)は、(2)式から算出された電圧変化率に基づいてストイキ比を求めた結果を示している。
図11(B)に示すように、(2)式から算出した電圧変化率に基づいてストイキ比を求めた場合は、図11(A)の場合と同様に、#26、#59、#87のセルのストイキ比が他のセルに比べて低下していることが判別できる。このように、基準流量F0における基準電圧V0(n)が、平均セル電圧V0aveと同程度の値であり、他のセルの基準電圧から大きく乖離していないセルにおいては、図11(B)の結果と図11(A)の結果は同様になる。従って、#26、#59、#87のセルにおいては、ストイキ比は低下しているが、それ以外の要因による異常は発生していないと判断できる。
一方、図11(B)の結果によれば、#1のセルのストイキ比が低下していることが更に判別できる。ここで、図11(A)の結果からは、#1のセルのストイキ比が低下していることは示されていない。これは、上述したように基準流量F0における#1のセルの基準電圧V0(1)が平均セル電圧V0aveよりも大きく低下していることに起因している。
従って、図11(A)によれば、#1セルではストイキ比の低下による異常は生じていないと判定でき、図11(B)によれば、ストイキ比の低下以外の要因によって基準ストイキ比S0における#1セルの基準電圧V0(1)が低下していることが判別できる。よって、ストイキ比(カソードガス流量)の低下以外の要因で#1セルのセル電圧に異常が生じていることが判別できる。
このように、本実施形態の手法によれば、カソードガス流量の変動以外の要因で異常が生じている単位セルを特定することができる。従って、電解質膜、またはアノード、カソードを構成する触媒層、拡散層などの膜の劣化、短絡等により異常が生じているセルを確実に特定することができる。
実施の形態1で説明したように、各単位セルのセル電圧は、カソードガス流量による要因と、カソードガス流量以外の要因の双方によって変化してしまうため、各単位セルのセル電圧に基づいて異常を判定した場合は、いずれの要因によってセルに異常が生じているのかを判別することはできない。
本実施形態によれば、図11(A)の結果からストイキ比が低下している単位セルを特定することができ、更に、図11(A)と図11(B)の結果を比較し、図11(A)の結果よりも図11(B)の結果の方がストイキ比が低下している単位セルについては、ストイキ比の変動以外の要因でセル電圧に異常が生じていると判断することができる。従って、ストイキ比による要因で異常が生じている単位セルと、ストイキ比以外の要因で異常が生じている単位セルの双方を確実に抽出することが可能となる。
そして、本実施形態によれば、単位セルの異常に応じて最適な処置を行うことができる。例えば、#26、#59、#87のセルについては、カソードガス流量が他のセルよりも低下しているため、カソードガス流量を増加することで、限界セル流量に対するマージンを増加することができ、燃料電池12を安定して運転することができる。
また、#1のセルについては、カソードガスの流量以外の要因でセル電圧の低下が生じていると判断できるため、故障の発生を最小限に抑えるため、燃料電池12の出力制限を実施するなどの適切な対処を行うことが可能となる。
また、図10と同様の方法で、図11(B)に示す特性値の最小値を所定の走行距離毎に求め、所定のしきい値と比較することで、カソードガス流量の変動以外の要因による限界走行距離を求めることが可能となる。従って、限界走行距離に近づいた場合は、点検、整備等を実施することで故障を回避することができ、燃料電池システム10の信頼性をより高めることが可能となる。
以上説明したように実施の形態3によれば、カソードガス流量による要因で異常が生じている単位セルと、カソードガス流量以外の要因で異常が生じている単位セルの双方を確実に抽出することができる。従って、異常の要因に応じた適切な処置を行うことが可能となり、システムの信頼性を向上することが可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4は、カソードガス流路16におけるポンプ24の劣化判定を行う方法に関するものである。燃料電池12の運転中は、燃料電池12にカソードガスを供給するため、ポンプ24が駆動される。
ポンプ24は、その総駆動時間が長時間になると劣化が生じる場合がある。本実施形態では、カソードガス流量を変化させた際の燃料電池12の総電圧の変化に基づいてポンプ24の劣化判定を行う。
ポンプ24の劣化判定を行う前提として、ポンプ24の初期状態の性能を取得する。ここでは、定常運転時にアノードガス流路14におけるアノードガス流量を所定値に固定し、この状態でポンプ24の回転数を変化させ、回転数と燃料電池12の総電圧との関係を取得する。
図12は、ポンプ24の初期状態の性能を示す特性図であって、ポンプ24の回転数と燃料電池12の総電圧との関係を示している。図12に示すように、ポンプの回転数が低下するほど、カソードガスの流量が低下するため、燃料電池12の総電圧は低下する。
図12に示すように、ポンプ24の回転数を基準回転数N0に設定すると、燃料電池12の総電圧はV10となる。この状態からポンプ24の回転数を減少させていくと、燃料電池12内での反応量が低下するため、燃料電池12の総電圧はV10から低下していく。そして、ポンプ24の回転数がN1に低下すると、総電圧はV11となる。この際、総電圧の変化率は、(V10−V11)/V10となる。
ポンプ24の劣化判定を行う場合は、初期状態の性能を取得したときと同じ条件でポンプ24の回転数を基準回転数N0からN1まで低下させ、そのときの総電圧の変化率を算出する。そして、初期性能における総電圧の変化率(=(V10−V11)/V10)と比較し、初期性能の電圧変化率に対して判定時の電圧変化率が小さい場合は、ポンプ24の回転数の変化に対してカソードガス流量の変化が減少しているため、ポンプ24が劣化していると判定する。
なお、劣化判定の精度をより高めるためには、ポンプ24の回転数を基準回転数N0からN1以外の他の回転数N2,N3に低下させた際の総電圧の変化率を初期状態の性能としてそれぞれ取得しておき、劣化判定の際には各回転数における各電圧変化率との比較を行うことが好適である。これにより、複数の回転数における電圧変化率に基づいて劣化判定を行うことができ、劣化判定をより高精度に行うことが可能となる。
このように、本実施形態の手法によれば、ポンプ24の回転数を変化させた際の燃料電池12の総電圧の変化率に基づいて、ポンプ24の劣化判定を行うことができる。
一方、ポンプ24の回転数と燃料電池12の総電圧のみに基づいて劣化判定を行った場合、総電圧はポンプ24の劣化以外の要因で変化してしまうため、総電圧のみに基づいてポンプ24の劣化判定を正確に行うことはできない。本実施形態の手法によれば、ポンプ24の劣化以外の要因を排除することができ、ポンプ24の劣化判定を高い精度で行うことが可能となる。
図13は、燃料電池自動車の走行距離に応じて、ポンプ24の劣化判定を行った結果を示す特性図である。図13に示すように、経時変化等によりポンプ24の性能が劣化すると、走行距離の増加に応じて総電圧の変化率が低下する。そして、ポンプ24が故障したか否かを判定するための劣化判定値を予め定めておくことで、総電圧の変化率が劣化判定値に到達する限界走行距離(または限界駆動時間)を推定することができる。従って、限界走行距離に到達する以前に、ポンプ24の点検、交換等を行うことで、燃料電池システム10の信頼性を向上することができる。
また、本実施形態の手法によれば、ポンプ24の近傍に流量計などのセンサを設けることなく、ポンプ24の劣化を判定することが可能となり、システムの製造コストを低減することが可能となる。
以上説明したように実施の形態4によれば、燃料電池12にカソードガスを供給するポンプ24の劣化を判定することができ、ポンプ24の劣化を予測することができる。従って、ポンプ24の劣化に応じて適切な対処を行うことで、システムの信頼性を向上することが可能となる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は、各単位セルのガス流量(ストイキ比)に基づいて、燃料電池12内でフラッディング、またはドライアップが生じているか否かを判定するものである。
実施の形態1で説明したように、燃料電池12内ではアノードガス中の水素とカソードガス中の酸素が反応し、水が生成される。生成された水は主としてカソードオフガス流路58に排出されるが、燃料電池12内のカソードガスの流路32に水分が滞留してしまうと、フラッディングの現象が生じる。フラッディングが発生するとカソードが水分で覆われてしまうため、単位セルへのカソードガスの供給が阻害され、発電効率が低下してしまう。
また、燃料電池12内での反応を効率良く行うためには、カソードガスにある程度の水分が含まれていることが必要である。このため、カソードガスは、加湿器66により加湿される。しかし、燃料電池12の内部温度が過度に上昇した場合など、カソードガスの温度が高くなると、カソードガスが乾燥してドライアップの現象が生じる。そして、ドライアップが発生すると、発電効率が低下してしまう。
このため、実施の形態5では、実施の形態1と同様の方法で各単位セルのカソードガス流量(ストイキ比)を求め、各単位セルのカソードガス流量に基づいてフラッディングまたはドライアップが生じているか否かを判定する。
図14は、燃料電池12の始動後、任意の単位セルにおけるカソードガス流量(ストイキ比)の時間的な変化を示す特性図である。ここで、図14(A)は、フラッディングが発生した単位セル(図14(A)中に破線で示す)と、正常な単位セル(図14(A)中に実線で示す)を比較して示している。正常な単位セルでは、カソードガス流量に若干の変動は生じるものの、カソードガス流量は十分に大きな値で安定している。
一方、燃料電池12の始動直後におけるカソードガスの初期流量が比較的少ない単位セルでは、フラッディングが生じ易くなる傾向がある。これは、元々のカソードガス流量が低いセルでは、カソードガスの流れに伴う水分の排出が不十分になり、燃料電池12内に水分が滞留し易くなることに起因している。このような単位セルでは、図14(A)中に破線で示すように、始動後、時間の経過とともに燃料電池12内に水分が溜まり、フラッディングが発生する。この場合、滞留した水分によってカソードガスの供給が阻害され、カソードガス流量は次第に低下していく。
また、フラッディングが生じた単位セルでは、滞留した水分がカソードオフガス流路58に排出された後、発電により生成された水分が燃料電池12内に溜まるという現象が繰り返されるため、図14中に破線で示すように、フラッディングが発生した単位セルでは増加と減少を交互に繰り返しながらカソードガス流量が低下していく。従って、フラッディングが発生した単位セルでは、カソードガス流量が変化する際の変動幅(極大値と極小値との偏差)が大きくなる。
更に、フラッディングの発生は、燃料電池12の内部温度と密接に関係する。燃料電池12の内部温度が比較的低い場合は、燃料電池12内で生成された水分が水蒸気となる割合が低下し、水分が液体の状態で燃料電池12内に滞留するため、フラッディングが生じ易い状態となる。
以上の観点から、本実施形態では、カソードガス流量の初期値、カソードガス流量が変化する際の偏差、および燃料電池12の内部温度に基づいてフラッディングを判定することとしている。
具体的には、カソードガスの初期流量が図14(A)に示す所定のしきい値F11よりも低く、カソードガス流量が変化する際の偏差が所定のしきい値よりも大きい場合であって、且つ、燃料電池12の内部温度が所定温度Ts以下である場合は、フラッディングが生じているものと判定する。ここで、燃料電池12の内部温度は冷却液温度とすることができる。また、燃料電池12の内部温度を判定するための温度Tsは、例えば55℃〜75℃程度の値であって、冷却液の水収支が0になる冷却液温度である。温度Tsは、燃料電池12の大きさ、冷却液量などのパラメータに基づいて設定される。
フラッディングが生じている場合は、カソードガスの流量を一時的に増加する制御を行う。これにより、燃料電池12内部に滞留した水分をカソードオフガス流路58に排出することができ、フラッディングを解消することができる。また、既に単位セルの電圧変化率とカソードガス流量との関係(図5の特性)を取得しているため、フラッディングが生じている単位セルにおいて、目標とするセル電圧と現在のセル電圧から電圧変化率を求め、これを図5の特性に当てはめることで、フラッディングを回避するために必要なカソードガス流量(回避ガス流量)を求めることができる。従って、フラッディングが生じている単位セルのカソードガス流量を回避がス流量に制御することで、フラッディングを回避することが可能になる。
カソードガス流量を増加してもフラッディングが解消されない場合は、水分が単位セルのアノード側に透過して滞留していることが想定できるため、アノードガス流量を増加してアノード側に滞留した水分をアノードオフガス流路46に排出する。
また、フラッディングが発生している場合は、冷却液の温度を上昇させる制御を行い、燃料電池12内に滞留した水分の気化を促進するようにする。具体的には、冷却液の循環を一時的に停止したり、ラジエターのファンを停止するなどの制御を行う。これにより、燃料電池12内の水分を水蒸気の状態でカソードオフガス流路58に排出することができ、フラッディングを解消することが可能になる。
図14(B)は、ドライアップが発生した単位セル(図14(B)中に一点鎖線で示す)と、正常な単位セル(図14(B)中に実線で示す)を比較して示している。実線の特性は、図14(A)のものと同様である。
燃料電池12の始動直後におけるカソードガスの初期流量が比較的多い単位セルでは、ドライアップが発生し易くなる傾向がある。これは、元々のカソードガス流量が多いセルでは、燃料電池12から水分が多く排出され、カソードガスが乾燥し易くなることに起因している。このような単位セルでは、ドライアップの進行により、図14(B)中に一点鎖線で示すようにカソードガス流量は次第に低下していく。
また、ドライアップの発生も燃料電池12の内部温度と密接に関係しており、燃料電池12の内部温度が高い場合は、燃料電池12内で生成された水分が水蒸気となってカソードオフガス流路58へ排出されるため、燃料電池12内のカソードガスが乾燥し、ドライアップが発生し易い状態となる。
以上の観点から、本実施形態では、カソードガス流量の初期値、初期値からのカソードガス流量の低下量、および燃料電池12の内部温度に基づいてドライアップを判定することとしている。
具体的には、カソードガスの初期流量が図14(B)に示す所定のしきい値F12以上であり、初期値からのカソードガス流量の低下量が所定のしきい値よりも大きい場合であって、且つ、燃料電池12の内部温度が所定温度Tsを超えている場合は、ドライアップが生じているものと判定する。所定温度Tsは、フラッディングの判定に用いたものと同様の値である。
そして、ドライアップが生じている場合は、加湿器66によるカソードガスの加湿を促進するように制御を行う。これにより、カソードガスに十分な量の水分を含ませることができ、ドライアップの発生を抑えることが可能となる。
また、ドライアップが発生している場合は、冷却液の温度を低下させる制御を行い、燃料電池12内での水分の気化を抑えるようにする。具体的には、冷却液の循環量を一時的に増加したり、ラジエターへの冷却量を増加するなどの制御を行う。これにより、燃料電池12内からカソードオフガス流路58に排出される水蒸気量を低下させることができ、燃料電池12内に適度な量の水分を残存させることができる。従って、ドライアップを解消することができ、ドライアップに起因する燃料電池12の出力低下を抑止することができる。
各単位セルにおけるカソードガス流量は実施の形態1の方法で算出されるため、求められたカソードガス流量には、他の要因による影響が排除されている。従って、カソードガス流量に基づいてフラッディング、ドライアップを高精度に判定することが可能である。
以上説明したように実施の形態5によれば、各単位セルのカソードガス流量(ストイキ比)と、燃料電池12の内部温度に基づいて、フラッディング、またはドライアップが発生しているか否かを判定することが可能となる。そして、フラッディング、またはドライアップが発生している場合は、現象に応じて適切な処置を行うことで、発電効率の低下を抑止することができる。
本発明の各実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す模式図である。 アノードガス流路、カソードガス流路と各スタックとの接続部を詳細に示す模式図である。 各単位セルとその周辺の平面構成を示す模式図である。 燃料電池に供給されるカソードガスの流量と、燃料電池の出力との関係を示す特性図である。 各単位セルの平均電圧の変化率とカソードガス流量との関係を示す特性図である。 燃料電池の各単位セル(#1〜#400)において、カソードガス流量(ストイキ比)を算出した結果を示す模式図である。 各スタック毎にカソードガス流量(ストイキ比)を求めた結果を示す特性図である。 各スタックへ送られたカソードガスの分配差を示す特性図である。 各スタックにおいて、20セル毎にカソードガス流量(ストイキ比)の平均値を求めた結果を示す特性図である。 燃料電池自動車の走行距離が所定距離を経過する毎に、各単位セルのカソードガス流量の最小値(最小ストイキ比)を求め、その最小値をプロットした結果を示す特性図である。 カソードガス流量以外の要因で異常が生じている単位セルを特定する際に用いる特性図である。 ポンプの初期状態の性能を示す特性図であって、ポンプの回転数と燃料電池の総電圧との関係を示す特性図である。 燃料電池自動車の走行距離に応じて、ポンプの劣化判定を行った結果を示す特性図である。 任意の単位セルにおけるカソードガス流量(ストイキ比)の時間的な変化を示す特性図である。
符号の説明
10 燃料電池システム
12 燃料電池
14 アノードガス流路
24 ポンプ
40 ECU
62 制御弁

Claims (13)

  1. 複数の単位セルを備え、所定ガスの供給を受けて発電を行う燃料電池と、
    各単位セルのセル電圧を取得するセル電圧取得手段と、
    各単位セルの前記セル電圧を平均して平均セル電圧を算出する平均セル電圧算出手段と、
    前記燃料電池に供給される前記所定ガスのストイキ比を基準値から変化させるストイキ比可変手段と、
    前記ストイキ比を前記基準値から変化させた際に、前記ストイキ比と前記平均セル電圧の変化率との関係を表す近似式を取得する近似式取得手段と、
    前記ストイキ比を前記基準値から所定値に変化させた際に、各単位セルのセル電圧の変化率を算出するセル電圧変化率算出手段と、
    前記近似式を用いて、前記セル電圧の変化率から各単位セル毎に前記所定ガスのストイキ比を算出するストイキ比算出手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記セル電圧変化率算出手段は、前記基準値における各単位セルのセル電圧を基準として第1の変化率を求めるとともに、前記基準値における平均セル電圧を基準として第2の変化率を求め、
    前記ストイキ比算出手段は、前記第1及び第2の変化率の各々から第1及び第2のストイキ比を算出し、
    前記第1のストイキ比と前記第2のストイキ比が相違している単位セルでは、前記所定ガスの流量変化以外の要因による異常が生じていると判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 各単位セル毎に算出された前記ストイキ比に基づいて、各単位セル毎に前記所定ガスの流量を算出するガス流量算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池システム。
  4. 各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量の最小値を算出する最小値算出手段と、
    前記最小値が所定値以上となるように前記燃料電池に供給される前記所定ガスの流量を制御するガス流量制御手段と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  5. 各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量の経時変化に基づいて、前記燃料電池の劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池の内部温度を取得する内部温度取得手段と、
    各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量と、前記内部温度とに基づいて、フラッディングの発生を判別するフラッディング判別手段とを更に備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の燃料電池システム。
  7. フラッディングを回避するための回避ガス流量を算出する回避ガス流量算出手段を備え、
    前記フラッディング判別手段により、フラッディングが発生していることが判別された場合は、前記所定のガスの流量を前記回避ガス流量へ制御するガス流量制御手段とを更に備えたことを特徴とする請求項6記載の燃料電池システム。
  8. 前記フラッディング判別手段により、フラッディングが発生していることが判別された場合は、前記燃料電池の冷却液の温度を上昇させる冷却液温度上昇手段を更に備えたことを特徴とする請求項6又は7記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池の内部温度を取得する内部温度取得手段と、
    各単位セル毎に算出された前記所定ガスのストイキ比又は流量と、前記内部温度とに基づいて、ドライアップの発生を判別するドライアップ判別手段とを更に備えたことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料電池に供給される前記所定ガスを加湿する加湿手段を備え、
    前記ドライアップ判別手段により、ドライアップが発生していることが判別された場合は、前記加湿手段による加湿量を増加することを特徴とする請求項9記載の燃料電池システム。
  11. 前記ドライアップ判別手段により、ドライアップが発生していることが判別された場合は、前記燃料電池の冷却液の温度を低下させる冷却液温度低下手段を更に備えたことを特徴とする請求項9又は10記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料電池は、酸素を含む第1のガス及び水素を含む第2のガスの供給を受けて発電を行うものであり、
    前記所定ガスは前記第1のガスであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池システム。
  13. 前記第1のガスを前記燃料電池に供給するためのポンプを有し、
    前記ポンプの回転数を変化させた際の前記燃料電池の総電圧の変化率に基づいて前記ポンプの劣化判定を行うポンプ劣化判定手段を更に備えたことを特徴とする請求項12記載の燃料電池システム。
JP2005247883A 2005-08-29 2005-08-29 燃料電池システム Expired - Fee Related JP4730023B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005247883A JP4730023B2 (ja) 2005-08-29 2005-08-29 燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005247883A JP4730023B2 (ja) 2005-08-29 2005-08-29 燃料電池システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007066565A JP2007066565A (ja) 2007-03-15
JP4730023B2 true JP4730023B2 (ja) 2011-07-20

Family

ID=37928538

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005247883A Expired - Fee Related JP4730023B2 (ja) 2005-08-29 2005-08-29 燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4730023B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5475218B2 (ja) 2007-03-15 2014-04-16 カルソニックカンセイ株式会社 複合センサ
JP5186794B2 (ja) * 2007-04-19 2013-04-24 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システムおよび燃料電池システムにおけるガス圧力調節方法
JP5509728B2 (ja) * 2009-08-24 2014-06-04 日産自動車株式会社 燃料電池システム
KR101601443B1 (ko) * 2014-07-02 2016-03-22 현대자동차주식회사 연료전지 시스템의 운전 제어 방법
KR101822275B1 (ko) 2016-04-27 2018-01-25 현대자동차주식회사 연료전지 핀홀 진단방법 및 시스템

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH087911A (ja) * 1994-06-22 1996-01-12 Osaka Gas Co Ltd リン酸型燃料電池の不良セル検出方法
JP3455392B2 (ja) * 1997-04-25 2003-10-14 三菱電機株式会社 燃料電池の特性診断方法および燃料電池の運転方法
JP3636068B2 (ja) * 2000-02-16 2005-04-06 日産自動車株式会社 燃料電池制御装置
JP4649730B2 (ja) * 2000-11-22 2011-03-16 株式会社デンソー 燃料電池システム
JP4085805B2 (ja) * 2002-12-25 2008-05-14 日産自動車株式会社 燃料電池システム
JP4882198B2 (ja) * 2003-09-25 2012-02-22 日産自動車株式会社 燃料電池システム
JP4634071B2 (ja) * 2004-06-15 2011-02-16 東芝燃料電池システム株式会社 燃料電池発電システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007066565A (ja) 2007-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4978007B2 (ja) 燃料電池システム
JP5168848B2 (ja) 燃料電池システム
US7862935B2 (en) Management via dynamic water holdup estimator in a fuel cell
JP4871219B2 (ja) スタック入口のrhを増大させるためのシステムレベル調整
JP5481991B2 (ja) 燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法
US8993186B2 (en) Fuel cell system
US9306230B2 (en) Online estimation of cathode inlet and outlet RH from stack average HFR
JP2006351506A (ja) 燃料電池システム
US10333161B2 (en) Low-temperature startup method for fuel cell system
JP2007172971A (ja) 燃料電池システム
JP2013258111A (ja) 燃料電池システム
JP2005222854A (ja) 燃料電池システム
KR101272511B1 (ko) 연료전지 성능 향상을 위한 공기 공급량 제어 방법
JP4730023B2 (ja) 燃料電池システム
JP2009170229A (ja) 燃料電池の製造方法、燃料電池システム、燃料電池
JP4868095B1 (ja) 燃料電池システム
JP5070830B2 (ja) 燃料電池システム
JP4945882B2 (ja) 燃料電池の性能解析方法
JP5310739B2 (ja) 燃料電池システム
JP2007220527A (ja) 燃料電池システム
JP5509728B2 (ja) 燃料電池システム
JP2010177078A (ja) 燃料電池の性能判断方法
JP2008041624A (ja) 燃料電池システム
JP2021128866A (ja) 燃料電池システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110404

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4730023

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees