JP4729382B2 - 多管式貫流ボイラ - Google Patents
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更に、前記多管式貫流ボイラに於いては、燃焼室22壁面が水管20a,21aとヒレ20b,21bとにより凹凸状に形成されているため、水管20a,21aの下流側に発生する渦流によりガス燃料Fと燃焼用空気Aの混合が促進されるうえ、サイクロン火炎Cが燃焼室22内を旋回する長い火炎であり、COが燃焼室22内で燃え切るまでの滞留時間を稼げる。その結果、この多管式貫流ボイラに於いては、燃焼室22内でのCOの発生が抑制されて低CO化を図ることができる。
このような、高負荷燃焼条件下に於いて、燃焼速度が速くて火炎温度が上昇する空気比1.1〜1.2の低空気比にて低NOx化を達成するには、火炎温度の上昇を抑えてサーマルNOxの生成を抑える必要がある。
例えば、燃焼室を円筒状に形成した場合(図7(A)参照)、燃焼室の直径及び高さを500mm(直径)×1000mm(高さ)とし、この燃焼室での火炎充填率を100%とすると、火炎表面積は約1.6m2 となる。
これに対して、燃焼室を細長い矩形状に形成した場合(図7(B)参照)、この燃焼室の容積が前記円筒状の燃焼室の容積と同じに成るように燃焼室の幅、高さ及び奥行の長さを100mm(幅)×500mm(高さ)×4000mm(奥行の長さ)とし、この燃焼室での火炎充填率を100%とすると、火炎表面積は4m2 となる。
又、幅を狭くした燃焼室に合わせて図8に示すように縦長細幅のバーナを使用し、表面積の広い火炎を形成して水冷壁への熱吸収を促進するようにする。
このように、燃焼室の幅を狭くして表面積の広い火炎を形成する縦長細幅のバーナを使用することによって、火炎温度の上昇を抑えてサーマルNOxの発生を抑制することができる。
又、前記多管式貫流ボイラに於いては、バーナ28の先端部開口が外側の水冷壁21内面の近傍位置にあるため、バーナ28先端からの噴出火炎が広がって内側の水冷壁20に衝突することにより、図9に示すようにバーナ28先端と内側の水冷壁20との間に火炎噴出方向と逆向きの渦流が発生し、この渦流が環状の燃焼室22を旋回する燃焼ガスGの再循環を妨げることになる。その結果、燃焼ガスGの再循環量が少なくなり、燃焼ガスGによる排ガス再循環作用があまり得られず、火炎Cの温度が上昇してNOxの生成を大幅に抑制することができないと云う問題があった。
又、本発明の請求項1の多管式貫流ボイラは、バーナから燃焼室の上部側にガス燃料と燃焼用空気又はガス燃料と燃焼用空気を混合させて成る予混合ガスを燃焼室壁面に沿ってその接線方向へ噴出して燃焼させ、燃焼室内に燃焼室壁面に沿う火炎を形成すると共に、燃焼ガスを燃焼室内で旋回させながら燃焼室の下部側へ流して排出するようにしているため、火炎による輻射伝熱によって内側の水冷壁と外側の水冷壁の両方に熱を与えると共に、火炎が遠心力により外側の水冷壁内面を嘗めることによる接触伝熱によっても外側の水冷壁へ熱を与えることになる。その結果、本発明の請求項1の多管式貫流ボイラは、水冷壁への熱吸収率が大幅に向上し、ボイラ自体の小型化を図ることができる。
更に、本発明の請求項1の多管式貫流ボイラは、火炎が燃焼室内を旋回する長い火炎であり、バーナから噴出されたガス燃料が燃焼室内で燃え切るまでの滞留時間を稼げるため、COの発生を抑制することができる。
又、本発明の請求項1の多管式貫流ボイラは、縦長細幅のバーナを外側の水冷壁に深く挿着し、バーナ先端からの噴出火炎が内側の水冷壁に当たるのを抑制するようにしているため、バーナからの火炎が広がって内側の水冷壁に当たることにより形成される火炎噴出方向と逆向きの渦流の発生を抑えることができ、環状の燃焼室内を旋回して来た燃焼ガスの再循環量を増やすことができる。その結果、本発明の請求項1の多管式貫流ボイラは、燃焼ガスによる排ガス再循環作用が確実且つ良好に得られることになり、NOxの発生をより一層抑制することができる。
即ち、本発明の請求項2の多管式貫流ボイラは、外側の水冷壁の下端部を内方側へ折り曲げて燃焼室の下部空間を絞り込み、火炎及び燃焼ガスの降下を抑制して火炎及び燃焼ガスの燃焼室出口へのショートパスを防止するようにしているため、燃焼ガスの旋回が促進されると共に、水冷壁への熱伝達が促進され、燃焼ガスから熱を確実且つ良好に回収することができる。
更に、本発明の請求項3の多管式貫流ボイラは、内側の水冷壁の下端部外面及び外側の水冷壁の下端部内面に火炎及び燃焼ガスの降下を抑制するフィンを設け、火炎及び燃焼ガスの燃焼室出口へのショートパスを防止するようにしているため、燃焼ガスの旋回が促進されると共に、水冷壁への熱伝達が促進され、燃焼ガスから熱を確実且つ良好に回収することができる。
図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係る多管式貫流ボイラを示し、当該多管式貫流ボイラは、複数の水管1a及びヒレ1bから成る横断面形状が円形の内側の水冷壁1と、内側の水冷壁1の外周位置に同心円状に配設されて複数の水管2a及びヒレ2bから成る横断面形状が円形の外側の水冷壁2と、内側の水冷壁1と外側の水冷壁2との間に形成された環状の燃焼室3と、両水冷壁1,2の各水管1a,2aの上端部及び下端部に夫々連通状に接続された上部ヘッダー4及び下部ヘッダー5と、内側の水冷壁1で囲まれた空間内に配設されて上端部及び下端部が上部ヘッダー4及び下部ヘッダー5に夫々連通状に接続された複数の伝熱水管6aから成る伝熱水管群6と、伝熱水管群6と内側の水冷壁1との隙間及び伝熱水管群6の隙間に形成されて燃焼室3に連通する燃焼ガス通路7と、外側の水冷壁2に貫通状に設けたバーナ8等から構成されており、バーナ8から燃焼室3の上部側にガス燃料Fと燃焼用空気Aを混合させて成る予混合ガスF′を燃焼室3内に燃焼室3壁面に沿ってその接線方向へ噴出して燃焼させ、燃焼室3内に燃焼室3壁面に沿う火炎C(サイクロン火炎)を形成すると共に、燃焼ガスGを旋回させながら燃焼室3内を上方から下方へ向かって流した後、燃焼ガス通路7内へ流入させるようにしたものである。
又、内側の水冷壁1の下端部には、ヒレ1bの下端部を切り欠くことにより燃焼室3内の燃焼ガスGを燃焼ガス通路7内へ均一に流入させる複数の燃焼ガス通過口9が形成されていると共に、内側の水冷壁1の上端部には、燃焼ガス通路7を通過した燃焼ガスGを煙道11へ導く燃焼ガス出口10が形成されている。
又、外側の水冷壁2は、内側の水冷壁1の外周位置に内側の水冷壁1と同心円状に配置されており、内側の水冷壁1との間で環状の燃焼室3を形成するようになっている。この環状の燃焼室3は、水冷壁1,2への火炎Cによる輻射伝熱を促進するために狭く形成されている。実験により確認したところでは、燃焼室3の高さと幅(内側の水冷壁1と外側の水冷壁2の間隔)の比率は5:1〜10:1にするのが好ましい。この実施形態に於いては、燃焼室3の高さと幅の比率を10:1としている。
更に、外側の水冷壁2の上端部には、煙道11と内側の水冷壁1に形成した燃焼ガス出口10とに夫々連通する燃焼ガス出口12が形成されており、燃焼ガス通路7内の燃焼ガスGが両水冷壁1,2に形成した燃焼ガス出口10,12から煙道11へ流れるようになっている。
尚、内側の水冷壁1に形成した燃焼ガス出口10と外側の水冷壁2に形成した燃焼ガス出口12との間には、燃焼ガスGが燃焼室3内へ流入しないように両燃焼ガス出口10,12と燃焼室3とを区画する耐火物13が設けられている。
尚、上部ヘッダー4には、気水分離器等を備えた蒸気管が接続されていると共に、下部ヘッダー5には、給水ポンプ等を備えた給水管が接続されている(何れも図示省略)。又、上部ヘッダー4の下面側及び下部ヘッダー5の上面側には、耐火物13が夫々内張りされており、高温の燃焼ガスGから保護されている。
尚、伝熱水管群6の各伝熱水管6aにフィン(図示省略)を取り付けて熱交換率の向上を図るようにしても良いことは勿論である。
即ち、バーナ8は、縦長長方形状の燃焼筒8a内にガス燃料噴射孔8b′を形成したガス燃料供給管8bを上下方向へ一定間隔ごとに配設すると共に、燃焼筒8aの開口付近に保炎板8cを配設して成り、送風機(図示省略)から燃焼筒8a内に燃焼用空気Aを流すと共に、燃焼筒8a内の燃焼用空気A中にガス燃料供給管8bのガス燃料噴射孔8b′からガス燃料Fを燃焼用空気Aの流動方向と直交する方向へ噴射してガス燃料Fと燃焼用空気Aを混合し、この混合した予混合ガスF′を燃焼筒8aの先端部開口から噴出させて燃焼させ、燃焼筒8a先端に縦長細幅の火炎Cを形成するように構成されている。
又、バーナ8は、火炎Cの表面積を増やして火炎Cからの放熱を促進するために縦長細幅に形成されている。実験により確認したところでは、バーナ8の先端部開口(燃焼筒8aの先端部開口)の高さと幅の比率は5:1〜10:1にすると共に、燃焼室3の幅とバーナ8の先端部開口の幅の比率は1〜1.5:1にするのが好ましい。この実施形態に於いては、燃焼室3の高さと幅の比率を5:1とすると共に、燃焼室3の幅とバーナ8の先端部開口の幅の比率を1.5:1としている。
更に、バーナ8は、バーナ8先端からの噴出火炎Cが広がって内側の水冷壁1に当たるのを防止するために外側の水冷壁2の上部に深く挿着されており、バーナ8からの火炎Cが内側の水冷壁1に当たることにより形成される火炎噴出方向と逆向きの渦流の発生を抑制できるようになっている。このとき、バーナ8の向きは、燃焼筒8aの先端部開口から予混合ガスF′を燃焼室3壁面に沿ってその接線方向へ噴出できるように設定されている。
又、この多管式貫流ボイラは、燃焼ガスGの一部が環状の燃焼室3内を周回してバーナ8の先端部に戻るため、燃焼ガスGによる排ガス再循環作用が得られる。特に、この多管式貫流ボイラは、バーナ8を外側の水冷壁2に深く挿着し、バーナ8先端から噴出する火炎Cが内側の水冷壁1に当たるのを抑制するようにしているため、バーナ8からの火炎Cが広がって内側の水冷壁1に当たることにより形成される火炎噴出方向と逆向きの渦流の発生を抑えることができ、環状の燃焼室3内を旋回して来た燃焼ガスGの再循環量を増やすことができる。その結果、燃焼ガスGによる排ガス再循環作用が確実且つ良好に得られることになり、NOxの発生がより一層抑制されることになる。このとき、バーナ8の燃焼筒8aの幅が狭いほど燃焼ガスGの再循環の量が多くなる。又、バーナ8の燃焼筒8a内の予混合ガスF′の通過流速が定格時30m/sec以上であるため、燃焼筒8aは予混合ガスF′によって冷却され、再循環した燃焼ガスGの輻射熱による燃焼筒8aの焼損の問題を回避することができる。
更に、この多管式貫流ボイラは、火炎Cによる輻射伝熱によって内側の水冷壁1と外側の水冷壁2の両方に熱を与えると共に、火炎Cが遠心力により外側の水冷壁2を嘗めることによる接触伝熱によっても外側の水冷壁2へ熱を与えるため、水冷壁1,2の熱吸収率が大幅に向上することになり、ボイラ自体の小型化を図ることができる。
加えて、この多管式貫流ボイラは、火炎Cが燃焼室3内を旋回しながら下降する長い火炎Cであり、バーナ8から噴出された予混合ガスF′が燃焼室3内で燃え切るまでの滞留時間を稼げるため、COの発生を抑制することができる。
このとき、外側の水冷壁2の折り曲げによる燃焼室3横断面の絞り比(燃焼室3の絞られていない部分の横断面積と燃焼室3の絞られた部分の横断面積の比率)は、3:1以上となるようにしている。
このとき、フィン14による燃焼室3横断面の絞り比(燃焼室3の絞られていない部分の横断面積と燃焼室3のフィン14により絞られた部分の横断面積の比率)は、3:1以上となるようにしている。
Claims (3)
- 複数の水管及びヒレから成る二つの環状の水冷壁を同心円状に配設して内側の水冷壁と外側の水冷壁との間に環状の燃焼室を形成すると共に、両水冷壁の各水管の上端部及び下端部を上部ヘッダー及び下部ヘッダーに夫々連通状に接続し、又、前記外側の水冷壁の上部にバーナを貫通状に設け、当該バーナから燃焼室の上部側にガス燃料と燃焼用空気又はガス燃料と燃焼用空気を混合させて成る予混合ガスを燃焼室壁面に沿ってその接線方向へ噴出して燃焼させ、燃焼室内に燃焼室壁面に沿う火炎を形成すると共に、燃焼ガスを燃焼室内で旋回させながら燃焼室の下部側へ流して排出するようにした多管式貫流ボイラに於いて、前記燃焼室の高さと幅の比率を5:1〜10:1とし、又、前記バーナを縦長細幅のバーナとし、当該バーナの燃焼室に臨む先端部開口の高さと幅の比率を5:1〜10:1とすると共に、燃焼室の幅とバーナの先端部開口の幅の比率を1〜1.5:1とし、バーナの先端部開口が外側の水冷壁内面から離間した位置になるようにバーナを外側の水冷壁に深く挿着し、バーナ先端からの噴出火炎が内側の水冷壁に当たるのを抑制し、火炎が内側の水冷壁に当たることにより形成される火炎噴出方向と逆向きの渦流の発生を抑えて環状の燃焼室内を旋回して来た燃焼ガスの再循環量を増やすようにしたことを特徴とする多管式貫流ボイラ。」
- 外側の水冷壁の下端部を内方側へ折り曲げて燃焼室の下部空間を絞り込み、火炎及び燃焼ガスの降下を抑制して火炎及び燃焼ガスの燃焼室出口へのショートパスを防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多管式貫流ボイラ。
- 内側の水冷壁の下端部外面及び外側の水冷壁の下端部内面に火炎及び燃焼ガスの降下を抑制するフィンを設け、火炎及び燃焼ガスの燃焼室出口へのショートパスを防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多管式貫流ボイラ。
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