JP4728739B2 - ピペットチップの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピペットチップの製造方法に関し、さらに詳しくは、試料に含まれる分析対象成分の抽出等の処理に適したピペットチップの製造方法に関する。
血液、尿、培養体等の試料に含まれる特定成分の分析に際しては、分析用サンプルの作製のため、所定量の試料を採取する必要がある。このような試料の吸引、保持および吐出には、ピペット装置に装着されたピペットチップが用いられることが多い。ピペットチップは、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成形される。
ピペットチップに要求される基本的な特性の一つは、少量の試料を正確に吸引できること、である。試料を吸引する開口(小孔)近傍のチップ外壁および端面への試料の付着を少なくするため、通常、ピペットチップの上記開口側の先端は肉薄となるように成形される。液切れを改良し、所定量の試料を正確に採取するため、特許文献1は、先端の外形を曲面状としたピペットチップを開示している。
ピペットチップ内に配置した固定相を用い、試料に含まれる所定の成分、例えばペプチド、タンパク質、の濃縮、精製、その他の処理を行うことも提案されている。例えば、特許文献2は、ピペットチップの先端近傍に配置したイオン交換樹脂により試料に含まれるアミノ酸を担持し、その後、これを溶離媒体で解放するステップを含む方法、を提案している。イオン交換樹脂は、樹脂スラリとしてピペットチップの開口から吸引され、チップ内に予め配置された多孔性バリアと開口との間の空間に保持される。
特開平8−112537号 特開2000−310626号
固定相の種類によっては、試料を吸引するための開口(小孔)からピペットチップ内に導入できない場合がある。例えば固定相が予め成形した一体型の多孔性固体である場合、あるいは固定相が小孔の内径よりも大きい複数の粒子状の多孔性固体からなる場合、多孔性固体は、小孔とは反対側の相対的に大きな開口からチップ(チップ本体)の中空部へと投入し、チップを加熱して軟化させ、必要に応じてチップを周囲から押圧することにより、チップ内に固定しなければならない。
少量の試料についての固定相による処理を迅速に行うためには、固定相とする多孔性固体をピペットチップ先端の狭小な空間に固定すること、が求められる。しかし、チップ先端近傍に収容できるように加工した微小な多孔性固体は、わずかな応力で破損するため、ピペットチップを過度に変形させることなくその先端近傍に固定することは容易ではない。特にシリカ等の無機系材料により形成した一体型の多孔性固体は破損しやすいため、大きな応力を加えずに固定する必要がある。しかし、単にヒータを用いて外部からの応力を制限しながらチップを軟化させて多孔性固体を固定しようとすると、肉薄に加工されているチップ小孔近傍の形状が崩れ、時には開口が閉塞する。このため、無機系材料からなる一体型の多孔性固体についてはチップ先端の肉薄部分に固定すること自体が困難であった。
そこで、本発明は、無機系材料からなる一体型の多孔性固体に代表される破損しやすい多孔性固体であっても、チップ本体の小孔側先端近傍に固定できるピペットチップの製造方法を提供することを目的とする。
応力を加えずに、あるいは多孔性固体が破損しない程度の小さい応力を加えながら、ピペットチップを加熱することにより、チップ本体を部分的にかつ適度に軟化させるには、ピペットチップの適所を局部的に加熱する必要がある。
即ち、本発明は、中空部を有するチップ本体と、前記チップ本体に接して前記中空部内に固定された多孔性固体と、を含むピペットチップの製造方法であって、
a)貫通孔を有するとともに前記貫通孔の開口端面が3mm以下の厚さを有する板状の加熱部材の前記貫通孔に、前記中空部内に多孔性固体が配置された前記チップ本体を挿入し、前記加熱部材と前記チップ本体の側面とを近接または当接させた状態で、前記加熱部材により前記チップ本体を部分的に加熱し軟化させることにより、または
b)前記中空部内に多孔性固体が配置された前記チップ本体に赤外線照射装置から赤外線を照射するに際し、貫通孔を有する板状部材の前記貫通孔に前記チップ本体を挿入して前記板状部材により前記赤外線の一部を遮蔽し、前記赤外線を照射する領域を、試料を吸引し、吐出するための前記チップ本体の小孔側における前記チップ本体の端面と、前記チップ本体の長手方向について3mm以下の長さを有するとともに前記チップ本体の側面を周回するように定めた前記チップ本体の側面の一部と、からなるように設定して、前記チップ本体を部分的に加熱し軟化させることにより、
前記多孔性固体を前記中空部内に固定することを特徴とするピペットチップの製造方法、を提供する。
本発明によれば、中空部を有するチップ本体と、前記チップ本体に接して前記中空部内に固定された多孔性固体と、を含むピペットチップであって、前記多孔性固体が単一の多孔性固体であり、前記中空部の少なくとも一部の横断面が前記単一の多孔性固体により占められており、当該少なくとも一部の横断面における当該単一の多孔性固体の平均径が2mm以下であり、当該単一の多孔性固体が無機物を主成分とすることを特徴とするピペットチップ、を提供することができる
ここで、中空部の横断面とは、チップ本体の長手方向と直交する面である。チップ本体の長手方向とは、試料を吸引し、吸引した試料を吐出するためのチップ本体の小孔(第1開口)と、試料を吸引するための吸引装置との接続に用いるチップ本体の開口(第2開口)とを結ぶ方向である。主成分とは、慣用のとおり、過半を占める成分、具体的には50重量%を超える成分をいう。
本発明者の検討によると、単にヒータを用いてチップ本体を加熱するような従来の方法では、無機物を主成分とし、平均径が2mm以下である単一の多孔性固体をチップ本体に固定することはできなかった。本発明のピペットチップは、本発明の方法によって製造が可能になったものであり、微小な多孔性固体をチップ先端近傍に固定できるため、少量の試料の多孔性固体(固定相)による処理を迅速に行うことができる。
本発明の製造方法では、厚さが制限された加熱部材を用いてチップ本体をその側面から局部的に、あるいは広さが制限された領域に赤外線を照射してチップ本体を局部的に、加熱することとしたため、微小な多孔性固体をチップ先端近傍の狭小な空間に容易に固定できる。この製造方法を用いれば、それ自体の特性が優れているにもかかわらず破損しやすいがために従来はピペットチップ内の微小空間に固定できなかった多孔性固体、例えば無機系の材料からなる微小な一体型の(即ち単一の)多孔性固体、であってもチップ先端近傍の中空部に固定できる。ただし、本発明の製造方法は、無機物を主成分とする単一の多孔性固体以外の固定相をチップ本体に固定するために用いてもよい。本発明の製造方法によれば、多孔性固体の種類・形状によらず、破損を防ぎながら多孔性固体をチップ本体に固定できる。
本発明の製造方法において上記a)の方法を用いる場合には、前記加熱部材を、前記チップ本体の側面の一部を囲むように配置するとよい。具体的には、前記加熱部材が貫通孔を有する板状部材であり、前記貫通孔に前記チップ本体を挿入した状態で、前記チップ本体を部分的に加熱し軟化させることが好ましい。チップ本体の外周側面を周方向について均一に加熱しやすいからである。
本発明の製造方法において前記b)の方法を用いる場合には、例えば、前記赤外線を光収束手段により集光して前記領域に照射してもよい。また例えば、前記領域が、試料を吸引し、吐出するための前記チップ本体の小孔側における前記チップ本体の端面と、前記チップ本体の側面を周回するように定めた前記側面の一部と、からなることとしてもよい。
また例えば、前記赤外線の一部を部材により遮蔽することにより前記領域を設定して前記赤外線を照射してもよい。また例えば、前記チップ本体の側面の一部を囲み、当該側面の一部に接するように配置した部材と、前記多孔性固体との間に狭持された前記側面の一部の近傍を含むように前記領域を設定してもよい。前記の例において、前記部材は、例えば貫通孔を有する板状部材であってもよい。前記の例に記載した条件の2以上を満たす方法により多孔性固体を固定してもよい。
本発明の製造方法を用いれば、前記チップ本体が、前記多孔性固体と接する部分において、1mm以下の厚さを有する程度に肉薄であっても、チップ本体を破損することなく多孔性固体をチップ本体に固定できる。
本発明の製造方法は、2以上の多孔性固体、例えば粒子状の多孔性固体群、をピペットチップの中空部に固定する場合にも有用であるが、単一の多孔性固体、換言すれば予め所定形状に成形した一体型の多孔性固体、の固定に適している。
本発明の製造方法の一形態では、前記中空部の少なくとも一部の横断面が前記単一の多孔性固体により占められ、当該少なくとも一部の横断面における当該単一の多孔性固体の平均径が2mm以下であり、試料を吸引し、吐出するための前記チップ本体の小孔近傍の前記中空部内に前記単一の多孔性固体が位置するように、前記単一の多孔性固体を配置し、前記チップ本体が軟化する部分を前記中空部側から前記単一の多孔性固体により支持しながら、前記チップ本体を加熱し軟化させる。中空部の少なくとも一部の横断面を単一の多孔性固体が占めている状態では、当該横断面においてチップ本体の内周と当該単一の多孔性固体の外周とが密着している。
少量の試料から多くのデータを迅速に得るためには、上記程度に平均径が小さい、さらには平均径が1.5mm以下である、単一の多孔性固体をチップの小孔近傍に固定することが好ましい。多孔性固体の平均径の好ましい範囲の下限は、特に制限されないが、例えば0.1mmである。チップ本体の長手方向についての多孔性固体の長さについても、特に制限はないが、0.5mm〜2mm程度が好適である。
前記単一の多孔性固体は、イオン交換樹脂等の有機物であってもよいが、無機物を主成分とする脆い材料からなる多孔性固体の固定に本発明の方法は特に適している。有機無機ハイブリッド材料からなる多孔性固体の場合、その材料の過半が無機成分であれば、当該材料は無機物を主成分とするものとする。
上記程度に平均径が小さく、無機物を主成分とする一体型の多孔性固体を、ピペットチップの小孔近傍にチップ本体が多孔性固体を囲むように固定することは、本発明により初めて実現できた。ピペットチップの小孔近傍では、チップ本体が肉薄に成形されているため、この近傍を全体的に加熱するとチップ本体が過度に変形する。チップ本体を軟化させることなく応力に頼って多孔性固体を固定しようとすると、多孔性固体は容易に破損する。
しかし、本発明を用いれば、上記のとおり、前記チップ本体が、前記単一の多孔性固体に接する部分において、1mm以下である程度に肉薄であっても、上記程度に微小な無機系多孔性固体をチップ内に固定することが可能となる。さらに、このチップでは、試料を吸引し、吐出する小孔側において、前記チップ本体の端部と前記微小な無機系多孔性固体の端部との間の距離、より具体的にはチップ本体の端部からチップ本体の内部側へと多孔性固体の端部が後退している距離、を2mm以下とすることもできる。チップ本体の端部から多孔性固体の端部が大きく後退して容積の大きな凹部が形成されていると、この凹部に吸引され保持される試料の比率が高くなり、測定の精度を損なうことがある。この観点からは、前記小孔側において、前記チップ本体の端部と前記多孔性固体の端部とが実質的に一致していることが好ましい。本明細書において、端部が実質的に一致しているとは、その距離(間隔)が0.5mm以下であることをいう。
単一の多孔性固体の形状は、特に制限されず、角柱、円柱、円錐台、角推台状であってよいが、チップ先端近傍に固定することを考慮すると、平均径よりも高さが大きい円柱または円錐台であることが好ましい。多孔性固体が円錐台である場合、円錐台の高さの半分の位置における横断面である円の直径が平均径となる。
本発明を適用して得たピペットチップは、チップ本体が、前記単一の多孔性固体と接する部分において、周方向を周回するように形成された外周側への凸部を有する特徴的な形態を示すことがある。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。
図1および図2に示した形態では、多孔性固体30の固定のため、加熱プレート20の貫通孔23にピペットチップ10の小孔(第1開口)11側の先端が貫挿され、この先端近傍のチップ中空部13に多孔性固体30が配置されている。多孔性固体30は、第1開口11と反対側の相対的に大きい第2開口12から投入して配置すればよい。多孔性固体30の形状および大きさとチップ中空部13の内径との関係を適切に調整すると、投入するだけで多孔性固体30を自己整合的にチップ内の所定の位置に配置できる。図示した形態では、先端に向かうにつれて徐々に狭くなる内径を有するピペットチップ10が、その内径と多孔性固体30の径とがほぼ一致する部分で多孔性固体30を支持している。
第1開口11は、試料を吸引し、吐出するための相対的に小さい内径を有する開口であり、第2開口12は、試料を吸引するための吸引装置(ピペット装置)との接続に用いられる相対的に大きい内径を有する開口である。
貫通孔23を形成する加熱プレート20の側面22は、ピペットチップ10の先端近傍において、チップ本体15の外周側面に近接しており、この外周側面を局部的に加熱する。貫通孔23のほぼ中央にチップ本体15を配置すれば、加熱プレート20による加熱は、チップの周方向についてほぼ均一となる。
チップ本体15を局部的に加熱するため、加熱プレート20は、貫通孔23に接する部分(チップ本体15に近接する開口端面)22において、制限された厚さ、具体的には3mm以下、さらには2mm以下、特に1.5mm以下、を有することが好ましい。この厚さの下限は、特に制限されないが、例えば0.1mmである。
加熱プレート20は、軟化したチップ本体15が内側へと変形して中空部13の望ましい形状を損なうことがないように、チップ本体15の内周と多孔性固体30とが接している部分において、チップ本体15の外周を囲むように配置するとよい。多孔性固体30を、少なくともチップ本体15が軟化する部分においてその中空部13に配置しておくと、チップ本体15の内側への収縮を防止できる。
チップ本体15と多孔性固体30とが接するピペットチップ10の第1開口11側の先端近傍では、通常、チップ本体15は肉薄に成形される。肉薄のチップ先端近傍において多孔性固体を固定することは容易ではないが、本発明を用いれば、チップ本体15の厚さDが薄くても、具体的にはDが1mm以下、0.5mm以下、さらには0.2mm以下であっても、多孔性固体30をチップ先端近傍に固定できる。
チップ先端に近づくにつれてチップ本体15が薄くなるように成形されている場合、厚さDは、多孔性固体30が接しているチップ本体15のチップ長手方向中央部における厚さとする。
図示した形態では、多孔性固体30の第1開口11側の端部31が、チップ本体15の端部11よりもやや後退している。両端部31,11のチップの長手方向における距離Lは、2mm以下、特に1mm以下、が好ましい。距離Lが小さいと、チップ先端近傍の窪み14が解消され、多孔性固体30を通過しない試料等がチップ内に保持されにくくなる。これを考慮し、両端部31,11を同長手方向について実質的に一致させてもよい(L≦0.5mm、好ましくはL≒0)。
窪み14近傍で軟化したチップ本体15が変形すると、チップ10の開口11が閉塞するおそれがある。従って、両端部31,11が一致しない場合には、加熱プレート20の第1開口11側の端部21は、多孔性固体30の端部31よりも第1開口11から遠くなるように配置することが好ましい。
図3に示すように、加熱プレート20は、例えば中央部に貫通孔23を有する円板状であってよい。ただし、加熱プレート20の形状はこれに限らず、平面視で楕円、多角形等であってもよい。加熱プレート20は、2以上の部材から構成されていてもよく、例えば平面視半円状の2以上の部材20a,20bにより構成されていてもよい。チップの周方向におけるほぼ均一な加熱が実現できる限り、2以上の部材20a,20bを離して配置しても構わない。当接部25に加熱に直接関与しない別の部材を介在させてもよい。
加熱プレート20に対してピペットチップ10を所定の位置に保持するため、別の部材を用いてもよい。例えば、図4に示すように、加熱プレート20を下部支持部材40により支持し、加熱プレート20上に上部支持部材50を配置すると、プレート20とチップ10との位置関係を制御しやすい。図示した装置では、上部支持部材50に設けられた貫通孔53と、加熱プレート20に設けられた貫通孔23と、下部支持部材40に設けられた凹部43とが、部材50,20,40を一体として保持すると、互いに連通して1つの孔60を形成する。
図5に示すように、孔60に、ピペットチップ10および多孔性固体30をこの順に投入すると、あるいは予め多孔性固体30を収容したピペットチップ10を投入すると、図1に示した配置を容易に実現できる。上部支持部材50の貫通孔53と加熱プレート20の貫通孔23との中心を一致させ(例えば同心円状とする)、貫通孔53でチップ10の側面を支持すれば、投入しただけで貫通孔23のほぼ中央にチップ10が配置される。
上部支持部材40および下部支持部材50を構成する材料に制限はなく、加熱プレート20を加熱する方法等に応じ、熱伝導率が低く、加熱プレート20の加熱温度に耐えうる程度の耐熱性を有する材料から適宜選択するとよい。
加熱プレート20を加熱する方法にも制限はなく、従来から公知の方法、例えば通電によるプレートの発熱、周囲の部材からの熱伝導、電磁誘導による加熱(誘導加熱)を適用するとよい。誘導加熱は、温度の制御性等に優れ、本発明の実施に適している。加熱プレート(加熱部材)20の材料は、加熱方法に応じて適宜選択すればよく、例えば誘導加熱による場合には、鉄、アルミニウム、ステンレス等の導電体、あるいは各種の磁性体から形成するとよい。
ピペットチップは、従来と同様、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成形したものを用いるとよい。チップ本体15は、少なくとも多孔性固体30と接してこれを固定する部分においては、熱可塑性樹脂から形成されていることが好ましい。
多孔性固体30は、無機材料、有機材料、無機有機複合材料のいずれから形成されていてもよい。相対的に脆い無機系材料からなる微小な多孔性固体を用いても、本発明による方法を用いれば、破損することなくチップ内の所望の位置に固定できる。
加熱プレート20の加熱温度は、ピペットチップの材料等に応じて適宜定めればよい。この温度は、チップ本体15を構成する材料が適度に軟化する範囲に設定するとよい。例えばポリプロピレンからなるピペットチップを用いる場合、好ましい加熱温度は、120〜210℃である。
多孔性固体30を固定するためのチップ本体15の軟化はごくわずかでよいため、大きく変形する程度にまでチップを加熱する必要はない。チップ本体15の過度な変形はチップの機能を損なう場合がある。チップ本体15は、多孔性固体30と接する部分が軟化し、その後に再び固まって多孔性固体30を溶着すれば足りる。一方、温度が低くチップ本体15の軟化が不足すると、わずかな衝撃で多孔性固体30がチップ10から抜け落ちてしまう。
図5に示したように、孔60に、ポリプロピレンからなるピペットチップ(チップ本体)を投入し、さらに、予めシリカゲルを直径約0.5mm、高さ約1mmの略円柱状に切り出して得た多孔性固体30を投入し、多孔性固体30を加熱プレート20の近傍に配置した。加熱プレート20としては厚み1mmの鉄プレートを、下部および上部支持部材40,50としてはフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)を用いた。加熱プレート20とチップ本体15との間の距離は0mmとした(即ち、当接した)。多孔性固体30が接している部分におけるチップ本体15の厚さDは約0.2mmであった。多孔性固体30とチップ本体の端部11との間の距離Lは約0〜0.2mmであった。
次いで、加熱プレート20の外周に導電線(図示省略)を周回させ、これに高周波電流を流し、誘導加熱により加熱プレート20を昇温した。加熱プレート20を160℃で4秒間保持したところ、多孔性固体30はチップ本体10に固定(固着)された。こうして得たチップ10の外観は加熱前(図1)とほぼ同様であった。
一方、加熱プレート20を、200℃で3秒間保持したところ、図6に示すとおり、多孔性固体30はチップ本体15に固定されたものの、チップ本体15が部分的に外側に盛り上がり、チップの外周を周回するリング状の凸部17が形成された。
以上では厚さが制限された加熱部材を用いた方法を説明したが、本発明のピペットチップは、赤外線を局部的に照射する方法によっても製造できる。以下、赤外線を照射する方法の一例について説明する。
厚み方向に貫通する穴82を形成した板状部材80(図8参照)と、多孔性固体30をチップ本体の先端に配置したチップ10とを準備し、図7に示すように、板状部材80の穴82にチップ10の先端を挿入する。図示したように、チップ10の小孔側先端が上方を向く場合は、多孔性固体30が落下しないように支持棒90で多孔性固体30を支持するとよい。図7に示した配置は、上下を反転させてチップ10の小孔側先端が下方を向くようにしてもよく、この場合には支持棒90を用いる必要はない。なお、板状部材80は、例えば図3に示したような形状であってもよく、図3を参照して上記で説明したように2以上の部材から構成されていてもよい。
チップの小孔側先端11は、チップ本体の長手方向(図面上下方向)について、板状部材80の表面81よりも上方に(上下を反転させた配置とする場合には下方に)突き抜けるように配置してもよく、図7の部分拡大図である図9に示すように、板状部材80の表面81と実質的に一致するように(実質的に同じ高さに)配置してもよい。なお、図9に示した例では、チップ先端11と多孔性固体30の端部31とが実質的に一致している。
この状態で、赤外線照射装置70からチップ本体15の長手方向(図面上下方向)に沿って図示上方から赤外線71を照射すると、チップ本体15の先端11近傍のみが局所的に加熱され、軟化して多孔性固体30と溶着する。赤外線71が照射される領域72には、チップ本体15の小孔側の端面11と、部材の表面81からごく僅かに突き出たチップ本体15の側面とが含まれている。この側面は、チップ本体15を周回するように定められている。
レンズ等の光収束手段を配置すれば、図示したように、赤外線71を照射部分に向けて収束するように照射できる。赤外線の集光照射は、局部的な強い加熱を可能とするため、多孔性固体30の固定に好適である。図7に示した例では、赤外線照射装置70が光収束手段を内蔵するが、光収束手段は装置の外部に配置してもよい。
板状部材80は、多孔性固体30を中空部に配置したチップ本体15を位置決めし、かつ赤外線が照射される部分を定める赤外線遮蔽部材として機能している。このような機能を発揮できるものであれば、板状ではなく他の形状の部材を用いてもよい。
板状部材80の穴82の内径は、チップ本体15の先端11近傍よりもやや小さく形成されている。このため、チップ本体15の先端11を穴82に挿入すると、チップ本体15と多孔性固体30とは密着した状態となり、赤外線71の照射に伴ってチップ本体15が軟化するとチップ本体15と多孔性固体30とが強く固定される。図9に示したように、チップ本体15の小孔側端面近傍のみに赤外線71が照射される形態であっても、実用上十分な強度で、多孔性固体30を固定することは可能である。このように、チップ本体15の側面において赤外線が照射される領域は、チップ本体の長さ方向について3mm以下であればよいが、例えば2mm以下、1.5mm以下、さらには0.5mm以下であってもよい。
図7〜図9に示したような配置により、赤外線照射装置70としてKubota Research Associates, Inc.製「P−Wave300H−STD」を用いて、ポリプロピレンからなるピペットチップ(チップ本体)先端へのシリカゲル多孔性固体(直径約0.5mm、高さ約1mmの略円柱状)の固定を行った。上記と同様、多孔性固体30が接している部分におけるチップ本体15の厚さDは約0.2mmとした。「P−Wave300H−STD」は、内蔵する赤外線ランプ(最大出力270W)から出射される赤外線を、同じく内蔵する光学系により、スポット径4×7mmの範囲に集光して照射できる装置である。
上記赤外線照射装置70と板状部材80の表面81との間の距離を、赤外線71の焦点距離として、ピペットチップの先端近傍のみに、上記装置の最大出力により赤外線71を6秒間照射したところ、多孔性固体30がチップ本体15に固定(固着)された。一方、照射時間を3秒間としたところ、ポリプロピレンの軟化が十分ではなく多孔性固体30がチップ本体15から脱落した。照射時間を12秒とすると、ポリプロピレンが大きく変形してチップ先端の形状が損なわれることとなった。
ピペットチップ先端への多孔性固体の固定には、局所的に強く加熱することが望ましく、かつこの加熱は短時間で終了させるべきである。加熱の強さ等にも依存するが、加熱時間は、一般に、10秒以内に制限することが好ましい。
以上本欄における記述は、本発明の好ましい形態の説明に過ぎず、本発明を限定的に解釈する基礎となるべきものではない。ピペットチップ、加熱部材その他の部材の形状、材料、配置等は、上記例示に限られるわけではない。また、上記で説明した方法は、例えばレーザ光の照射がチップ本体の損傷を伴うおそれがあること等を考慮するとチップ本体の局所的な強い加熱に極めて適してはいるが、本発明によるピペットチップが上記に例示した方法により製造されたものに限られるわけではない。また、本発明により得られるピペットチップ10の形状が図示した範囲に限られるわけでもない。
以上説明したとおり、本発明は、微小な多孔性固体をチップ先端近傍の微小な空間に容易に固定することを可能とし、さらには、従来はチップ先端近傍の微小空間に配置できなかった脆い多孔性固体の固定を可能にするものとして、当該技術分野において多大な利用価値を有する。
本発明の方法を実施するためのピペットチップおよび加熱部材の配置の一例を示す断面図である。 図1におけるチップ先端近傍を拡大して示す部分拡大図である。 図1に示した加熱部材の平面図である。 本発明の方法を実施するための装置の一例を示す断面図である。 図4に示した装置にピペットチップ(チップ本体)と多孔性固体とを配置した状態を示す断面図である。 本発明のピペットチップの一例を示す断面図である。 本発明の方法を実施するための装置の別の一例を示す断面図である。 図7に示した装置に用いる板状部材の斜視図である。 図7の部分拡大図である。
符号の説明
10 ピペットチップ
11 第1開口
12 第2開口
13 中空部
14 窪み
15 チップ本体
17 凸部
20 加熱プレート(加熱部材)
23 貫通孔
30 多孔性固体
40 下部支持部材
50 上部支持部材
60 孔
70 赤外線照射装置
71 赤外線
72 赤外線照射領域
80 板状部材
81 (板状部材の)表面
82 (板状部材の)穴
90 支持棒

Claims (6)

  1. 中空部を有するチップ本体と、前記チップ本体に接して前記中空部内に固定された多孔性固体と、を含むピペットチップの製造方法であって、
    a)貫通孔を有するとともに前記貫通孔の開口端面が3mm以下の厚さを有する板状の加熱部材の前記貫通孔に、前記中空部内に多孔性固体が配置された前記チップ本体を挿入し、前記加熱部材と前記チップ本体の側面とを近接または当接させた状態で、前記加熱部材により前記チップ本体を部分的に加熱し軟化させることにより、または
    b)前記中空部内に多孔性固体が配置された前記チップ本体に赤外線照射装置から赤外線を照射するに際し、貫通孔を有する板状部材の前記貫通孔に前記チップ本体を挿入して前記板状部材により前記赤外線の一部を遮蔽し、前記赤外線を照射する領域を、試料を吸引し、吐出するための前記チップ本体の小孔側における前記チップ本体の端面と、前記チップ本体の長手方向について3mm以下の長さを有するとともに前記チップ本体の側面を周回するように定めた前記チップ本体の側面の一部と、からなるように設定して、前記チップ本体を部分的に加熱し軟化させることにより、
    前記多孔性固体を前記中空部内に固定することを特徴とするピペットチップの製造方法。
  2. 前記b)により前記多孔性固体を前記中空部内に固定し、
    前記赤外線を光収束手段により集光して前記領域に照射する請求項に記載のピペットチップの製造方法。
  3. 前記チップ本体が、前記多孔性固体と接する部分において、1mm以下の厚さを有する請求項1または2に記載のピペットチップの製造方法。
  4. 前記多孔性固体が単一の多孔性固体である請求項のいずれか1項に記載のピペットチップの製造方法。
  5. 前記中空部の少なくとも一部の横断面が前記単一の多孔性固体により占められ、当該少なくとも一部の横断面における前記単一の多孔性固体の平均径が2mm以下であり、試料を吸引し、吐出するための前記チップ本体の小孔近傍の前記中空部内に前記単一の多孔性固体が位置するように、前記単一の多孔性固体を配置し、
    前記チップ本体が軟化する部分を前記中空部側から前記単一の多孔性固体により支持しながら、前記チップ本体を加熱し軟化させる請求項に記載のピペットチップの製造方法。
  6. 前記単一の多孔性固体が無機物を主成分とする請求項またはに記載のピペットチップの製造方法。
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