JP4727532B2 - タービンロータの製造方法および排気ターボ過給機用タービンロータの製造方法 - Google Patents
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Description
図5は、かかる排気ターボ過給機用タービンロータの電子ビーム溶接による製作方法として、特許文献1(特開2001−254627号公報)等で提供されているタービンロータの製作手順を示すフローチャートである。
即ち、タービン翼部は精密鋳造によって製作する(図5のステップ(4))。
ロータ軸は、先ず、シールリング用溝を含む外周部の切削及び仕上加工を行なう(ステップ(1))。次いでロータ軸の切削、仕上加工品に焼入れ等の表面硬化処理を行う(ステップ(2))。次いで表面硬化処理後のロータ軸について外周面の研削仕上げを行なう(ステップ(3))。以上のステップによって、ロータ軸は単体最終寸法に仕上げられる。
かかるタービン翼部とロータ軸との電子ビーム溶接にあたっては、前記特許文献1においては、タービン翼部とロータ軸との接合部分にボス及びボス穴を形成して嵌め合せ、該接合部分を周方向に等角度隔てた複数点で同時に電子ビーム溶接する。
次に、以上のステップで製作したタービンロータについて、最終的にタービン翼部の外周面を研削してタービンロータを完成する(ステップ(6))。該タービンロータの完成品は、動的バランス調整装置に取り付けて動的バランスの調整を行なう(ステップ(7))。
そして、かかる従来技術にあっては、前述のようなリング状溝の溶接歪みの発生に伴って、シール部材のリング状溝が主として軸方向に拡張されて、シール部材がリング状溝に「ガタ」が形成された状態で嵌入されることとなって、シール部のシール不良が誘発され、シール部からのガス洩れやシール部材の嵌合不良による該シール部材の焼付き等の不具合が発生し易い。
前記ロータ軸に前記溝の加工を除いた第1次加工を施してから、該ロータ軸に表面硬化処理を施し、次いで、かかる表面硬化処理後のロータ軸について外表面の研削仕上げを行いロータ軸の半製品を製作し、その後、別個に製作した前記タービン翼部を電子ビーム溶接により接合して前記タービンロータの半製品を製作し、次いで前記半製品のタービンロータのタービン翼部に研削を施してから前記溝の加工形成を施し、その後、前記溝の外周部に研削加工を施して完成するとともに、
前記電子ビーム溶接は、前記ロータ軸とタービン翼部との溶接接合部の周方向において互いに水平方向で反対側の2箇所に電子ビームを放射するように、該電子ビームを放射する電子銃を前記ロータ軸の両側に対をなして配置し、対をなす前記電子銃の電子ビーム発射中心と前記タービンロータの中心とを結ぶ電子銃中心線と電子ビームの放射中心線とのなす角を、前記タービン翼部及びロータ軸の回転方向に対して後退する方向の後退角αに保持して電子ビームを放射することを特徴とする。
前記ロータ軸を前記溝の加工を除いた第1次加工を施してから、該ロータ軸に表面硬化処理を施し、次いで、かかる表面硬化処理後のロータ軸について外表面の研削仕上げを行いロータ軸の半製品を製作し、その後、別個に製作した前記タービン翼部を電子ビーム溶接により接合して前記タービンロータの半製品を製作し、次いで前記半製品のタービンロータのタービン翼部に研削を施してから前記溝の加工形成を施し、その後、前記溝の外周部に研削加工を施し、前記電子ビーム溶接にあたっては、前記ロータ軸とタービン翼部との溶接接合部の周方向において互いに水平方向で反対側の2箇所に電子ビームを放射するように、該電子ビームを放射する電子銃を前記ロータ軸の両側に対をなして配置し、対をなす前記電子銃の電子ビーム発射中心と前記タービンロータの中心とを結ぶ電子銃中心線と電子ビームの放射中心線とのなす角を、前記タービン翼部及びロータ軸の回転方向に対して後退する方向の後退角αに保持して電子ビームを放射することを特徴とする。
以上により、電子ビーム溶接接合をワーク(タービン翼部及びロータ軸)の全周に亘ってむらなく均一に行なうことができ、品質の安定したタービンロータが得られる。
図4は本発明が適用される排気ターボ過給機のタービンロータの軸心に沿う断面図、図3は前記実施例におけるタービンロータの側面図である。
図4,3において、1はタービンハウジング、5はコンプレッサハウジング、6は該タービンハウジング1とコンプレッサハウジング5との間に配置されて両者を結合する軸受箱である。
2はタービンロータで、図3のように、精密鋳造で製作されたタービン翼部21と該タービン翼部21寄りの外周に1個または軸方向に沿って複数個(この例では2個)のリング状の溝22,23が刻設されたロータ軸4とを電子ビーム溶接により接合して形成される。24は溶接接合部である。
3は前記タービンロータ2の前記タービン翼部21とは反対側の端部にボルトにより固定されたコンプレッサホイールである。7,7は前記タービンロータ2を前記軸受箱6に回転自在に支持する軸受である。また、4zはタービンロータ2の回転軸心である。
そして、該タービンロータ2の回転により、これに固定されたコンプレッサホイール3が回転駆動され、空気入口通路10から吸入した空気を加圧する。該コンプレッサホイール3で高圧に加圧された空気(給気)はコンプレッサハウジング5内の渦巻状の空気出口通路11から図示しないエンジンのシリンダに供給される。
本発明は、かかる構成をそなえたタービンロータの電子ビーム溶接による製造方法に係るものである。
図1において、前記タービン翼部21とロータ軸4とを次のステップで別個に製作する。
即ち、前記タービン翼部21は精密鋳造によって製作する(図1のステップ(4))。
ロータ軸4は、図3に示されるように、電子ビーム溶接の溶接接合部24寄りの外周に配置される2個のリング状の溝22,23の加工形成しない状態で切削する該ロータ軸4の第1次加工を行なう(ステップ(1))。次いで、このロータ軸4の第1次仕上加工品に焼入れ等の表面硬化処理を施す(ステップ(2))。次いで、かかる表面硬化処理後のロータ軸4について外周面4b(図3参照)の研削仕上げを行なう(ステップ(3))。
以上のステップによって、単体最終寸法に仕上げられたロータ軸4の半製品が得られる。
次いで、以上のステップで電子ビーム溶接接合したタービンロータ2について、タービン翼部21の外周面21a(図3参照)を研削する(ステップ(6))。
以上の工程により、前記タービンロータ2は前記リング状の溝22,23のみを残した状態での半製品となる。
そして、このタービンロータ2について、前記リング状の溝22,23を加工形成し、必要に応じて該ロータ軸4の溝22,23の外周部に研削加工を施タービンロータ2を完成する(ステップ(7))。
該タービンロータ2の完成品は、動的バランス調整装置に取り付けて動的バランスの調整を行なう(ステップ(8))。
この第2実施例においては、前記タービン翼部21とロータ軸4とを、該タービン翼部21及びロータ軸4を回転させながら、次の方法によって電子ビーム溶接を行なう。
即ち、図2において、4zはタービンロータ2の回転中心であり、タービン翼部21とロータ軸4とを図のN矢印のように回転させながら、次のようにして電子ビームを放射することにより電子ビーム溶接を行なう。
さらに該電子ビーム25b,25bの放射方向を、対をなす前記電子銃25,25の電子ビーム発射中心と前記タービンロータ2の回転中心4zとを結ぶ電子銃中心線25zと電子ビーム25b,25bの放射中心線とのなす角を、前記タービン翼部21及びロータ軸4の回転方向Nに対して後退する方向の後退角αに保持して電子ビーム25b,25bを放射する。
以上により、電子ビームによる溶接接合をワーク(タービン翼部及びロータ軸)の全周に亘ってむらなく均一に行なうことができる。
2 タービンロータ
21 タービン翼部
22,23 溝
24 溶接接合部
25 電子銃
25b 電子ビーム
3 コンプレッサホイール
4 ロータ軸
4z 回転中心
5 コンプレッサハウジング
6 軸受箱
7 軸受
Claims (2)
- タービン翼部と該タービン翼部寄りの外周に1個または軸方向に沿って複数個の溝が刻設されたロータ軸とを、前記タービン翼部及びロータ軸を回転させながら電子ビーム溶接により接合するタービンロータの製造方法であって、
前記ロータ軸に前記溝の加工を除いた第1次加工を施してから、該ロータ軸に表面硬化処理を施し、次いで、かかる表面硬化処理後のロータ軸について外表面の研削仕上げを行いロータ軸の半製品を製作し、その後、別個に製作した前記タービン翼部を電子ビーム溶接により接合して前記タービンロータの半製品を製作し、次いで前記半製品のタービンロータのタービン翼部に研削を施してから前記溝の加工形成を施し、その後、前記溝の外周部に研削加工を施して完成するとともに、
前記電子ビーム溶接は、前記ロータ軸とタービン翼部との溶接接合部の周方向において互いに水平方向で反対側の2箇所に電子ビームを放射するように、該電子ビームを放射する電子銃を前記ロータ軸の両側に対をなして配置し、対をなす前記電子銃の電子ビーム発射中心と前記タービンロータの中心とを結ぶ電子銃中心線と電子ビームの放射中心線とのなす角を、前記タービン翼部及びロータ軸の回転方向に対して後退する方向の後退角αに保持して電子ビームを放射することを特徴とするタービンロータの製造方法。 - タービン翼部と該タービン翼部寄りの外周に1個または軸方向に沿って複数個の溝が刻設されたロータ軸とを、前記タービン翼部及びロータ軸を回転させながら電子ビーム溶接により接合する排気ターボ過給機用タービンロータの製造方法であって、
前記ロータ軸を前記溝の加工を除いた第1次加工を施してから、該ロータ軸に表面硬化処理を施し、次いで、かかる表面硬化処理後のロータ軸について外表面の研削仕上げを行いロータ軸の半製品を製作し、その後、別個に製作した前記タービン翼部を電子ビーム溶接により接合して前記タービンロータの半製品を製作し、次いで前記半製品のタービンロータのタービン翼部に研削を施してから前記溝の加工形成を施し、その後、前記溝の外周部に研削加工を施し、前記電子ビーム溶接にあたっては、前記ロータ軸とタービン翼部との溶接接合部の周方向において互いに水平方向で反対側の2箇所に電子ビームを放射するように、該電子ビームを放射する電子銃を前記ロータ軸の両側に対をなして配置し、対をなす前記電子銃の電子ビーム発射中心と前記タービンロータの中心とを結ぶ電子銃中心線と電子ビームの放射中心線とのなす角を、前記タービン翼部及びロータ軸の回転方向に対して後退する方向の後退角αに保持して電子ビームを放射することを特徴とする排気ターボ過給機用タービンロータの製造方法。
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