JP4727149B2 - 体液中の遊離浮遊dnaについて組織特異性を決定するための方法および装置 - Google Patents

体液中の遊離浮遊dnaについて組織特異性を決定するための方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、細胞増殖性疾患を診断するために、体液、例えばヒトまたは動物血液の血漿または血清画分中またはヒトまたは動物身体由来の任意の他の組織試料中で細胞非結合性核酸として存在する遊離浮遊核酸を検出する方法に関する。詳細には本発明は、体液中の核酸の増加の検出に関する。さらに本発明は、DNAのメチル化パターンを特定することにより、特定の体液試料中の特定器官由来のDNAと他の器官由来のトータルDNAとの比を測定して豊富化DNAのソースを決定することを可能にする。これは、特定の生物試料のDNA濃度が増加するか否かにかかわらず行うことができる。好ましい態様では、このメチル化パターンをさらに分析することにより、当該器官における腫瘍性または別の増殖性疾患の存在を検出することができる。
癌を検出するDNAに基づくアッセイ
腫瘍組織由来のDNA試料中では、多数の遺伝的変化、例えば特定遺伝子における突然変異、ならびに特定座位の異型接合性の喪失およびマイクロサテライトの不安定性が検出可能である。これらのDNA変化は、患者の腫瘍組織から回収したDNA中で検出できる。いつくかの事例では、これらの変化が腫瘍患者らの血清または血液または痰由来のDNA試料中で発見されたと報告されている。
タバコ喫煙者では、気管支樹由来の剥離細胞を含む気管支分泌物が増加していることが知られている。これらの剥離細胞の分析から、肺癌のハイリスク患者と臨床診断される数年も前に、前癌状態の細胞学的変化は検出できる(非特許文献1)。しかし、これらの研究を再現するのは容易ではなく、それら試料の分析者の特別な専門技術が必要であった。したがって、痰試料による予測値を高めるために、分子アッセイ、例えば腫瘍に特異的なK-ras遺伝子内突然変異またはマイクロサテライト変化を検出するアッセイを使用することが示唆されている(非特許文献2および3)。肺癌患者および慢性喫煙者の痰および気管支洗浄液の細胞学的試料中で発見されたK-rasならびにp53突然変異が体液中で検出された(非特許文献4および5)。特定型の癌、例えば肺癌に関与する特異的マーカー遺伝子の核酸配列が判明したことにより、これら痰試料の分析が可能になり、またハイリスク患者における肺癌の発生を予測することが可能になった。この件についてのさらなる関連情報はMaurice Stroun, Philippe AnkerおよびValeri Vasioukhinらの特許文献1に見出すことができる。しかしながら、これらの方法は、感度が乏しく、また非小細胞肺癌ではこれら変化の全体的な有病率が25%より未満であり、理想的ではない(非特許文献6)。また、前立腺癌では、HPC2/ELAC2遺伝子のLOHによる不活性化は比較的に稀異常な現象であることが報告されている(非特許文献7)。腫瘍の発生と非常に関連する別の因子は、特定プロモーターおよびプロモーター領域の高度メチル化である。
メチル化
最近十年間の分子生物学の研究では、主に遺伝子、これら遺伝子のRNAへの翻訳およびRNAのタンパク質への転写が重点的に取り扱われてきた。これに比べて、遺伝子制御に関連する調節メカニズムの解析は限られている。遺伝子調節、例えば、個体発生のどの段階で、ある遺伝子が活性化または阻害されるかということ、ならびにこの調節の組織特異的な性質はよくわかっていない。しかしながら、遺伝子調節が遺伝子またはゲノムのメチル化の程度および性質に関連している可能性は非常に高い。この知見から、病理的な遺伝子障害を遺伝子の不規則なメチル化パターンから検出することができると推測するのは合理的であり、このことは多数のケースで示されている。さらに、本発明は、メチル化パターンの分析によって体液中のDNAの起源を決定する方法に関し、その目的は、特定器官由来のDNAの異常なレベルを検出することによって当該器官の細胞増殖性疾患を判示することである。
高等真核生物では、DNAは、殆どの場合にCpGジヌクレオチドのグアノシンに対して5'側に位置するシトシンでメチル化される。この修飾には遺伝子発現に対する重要な調節作用があり、特に、多数の遺伝子のプロモーター領域に位置するCpGアイランドとして知られるCpGリッチ領域に関与する場合にその作用がある。常染色体上でほとんどすべての遺伝子関連アイランドはメチル化から保護されるが、選択された刷り込み遺伝子の転写不活性化および雌の不活性X染色体上の遺伝子にはCpGアイランドの大規模なメチル化が関連している。正常にメチル化されていないCpGアイランドが異常にメチル化されることは、不死化細胞および形質転換細胞において頻繁に見られる現象であると記述されており、またこれは、ヒト癌における特定の腫瘍抑制遺伝子の転写不活性化と関連している。
一般にヒト癌細胞には体細胞で変化したゲノムが含まれており、これは重要な遺伝子の突然変異、増幅、または欠失を特徴とする。さらに、ヒト癌細胞由来のDNA鋳型が、DNAメチル化の体細胞での変化を示すことが多い(非特許文献8〜15)。しかしながら、ヒト腫瘍形成における異常なDNAメチル化の正確な役割は証明されていない。DNAメチラーゼは、一般的なメチルドナーであるS-アデノシルメチオニンからDNAの特定部位へメチル基を転移させる。
いくつかの生物学的機能はDNAのメチル化された塩基に起因していると考えられる。最も確立されている生物学的機能は、系統の同じ制限酵素による消化からDNAを保護することである。制限修飾現象は、これまで、細菌においてのみ観察されてきたものである。しかしながら、哺乳類細胞には別のメチラーゼがあり、これは専らグアニンと5'で隣接する(CpG)DNA上のシトシン残基をメチル化する。このメチル化は、遺伝子活性、細胞分化、腫瘍形成、X染色体不活性化、ゲノムインプリンティングおよび他の主要な生物学的プロセスにおいて役割を担うことがいくつかの系統の証拠によって示されている(非特許文献16)。
DNAメチル化がDNA転写に作用する正確なメカニズムは未知であるが、疾患とメチル化の関連性は十分に実証されている。遺伝子の調節ミスは、遺伝子のメチル化パターンを表現型が「正常な」発現パターンとを比較することによって予測することができる。以下は、修飾されたメチル化パターンに関連する疾患事例であり、次の段落では、癌におけるメチル化の特定の役割を説明する:
ホジキン病(非特許文献17)
プラダー-ウィリ/エンジェルマン(Prader-Willi/Angelman's) 症候群 (非特許文献18)
ICF症候群(非特許文献19)
皮膚線維腫(非特許文献20)
高血圧症(非特許文献21)
自閉症(非特許文献22)
脆弱性X症候群(非特許文献23)
ハンチントン病(非特許文献24)
本明細書中で引用される全ての文献は、引用によりその内容全体が本明細書中に編入される。
高度メチル化および癌
DNAメチル化により遺伝子発現の抑制が可能であり、その制御が不適切である場合には、例えば腫瘍抑制遺伝子の発現が停止され、癌が発生する恐れがある。結果的に、腫瘍組織ではゲノムの特定領域が高度にメチル化されており、この場合には隣接する影響を受けていない細胞ではメチル化していないことが頻繁に示されている。CpGアイランドの高度メチル化によるGSTP1(グルタチオン-S-トランスフェラーゼプロモーター1)の不活性化は、十分に調査された系であって、これはヒト前立腺癌に関して今でも報告されている最も一般的な体細胞性ゲノム変化である。CpGアイランドの高度メチル化によるGSTP1の不活性化は、ヒト前立腺癌形成の早期に生じ、結果的にはGSTP1の管理機能が失われ、前立腺細胞はオキシダントおよび求電子性発癌物質に対する防御が不十分な状態のままとなる。GSTP1のメチル化状態を検出することによる前立腺癌の遺伝子診断は、特許文献2に記載されている。さらに多くのものから別の例を選べば、以下の文献に記載されているものである:非特許文献25。
高度メチル化と癌の相関に関する最近の例は、Maruyamaらによって示されており、彼らは2001年12月に多数の選択した遺伝子のメチル化指数中央値と膀胱癌発症の予後との間の正の相関を報告した(非特許文献26)。CDH1、FHITのメチル化、および高いMIのメチル化は生存率の短縮に関連していた。CDH1メチル化の陽性状態と低い生存率とは多変量解析において関連性がなかった。著者らは、メチル化プロファイルが膀胱癌の危険予測の有望な新規生体マーカーであり得ると結論しているが、彼らは生検試料を分析しただけであるから、その結論には患者に対する外科手術が必要である。しかしながら、より最近の研究では、腫瘍組織そのもの由来ではなく、体液由来のDNAでのDNAメチル化を検出する可能性が強調されている。
体液中のDNAメチル化
例えば肺癌患者または発症するリスクの高い患者の痰試料中の剥離細胞由来のDNAにおいて、p16腫瘍抑制遺伝子プロモーターおよび/またはO6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーターが異常にメチル化されていることが示された。異常メチル化は、100%の扁平上皮細胞性肺癌患者の臨床診断の3年前までに、その痰由来のDNA中に検出された(非特許文献27)。
また肝臓癌患者由来の腫瘍DNAおよび血液(血漿、血清および軟膜試料)DNA由来p15およびp16プロモーター領域のメチル化状態を調査したところ、腫瘍メチル化を伴う患者の87%において血流中にメチル化DNAが存在した。コントロール試料はいずれもメチル化陽性ではなかった(非特許文献28)。さらに、頭部および頚部癌に関する研究では、血清DNAのメチル化と腫瘍DNAのメチル化との間の相関は42%であることが示された(非特許文献29)。
腫瘍マーカーとしてのメチル化DNAは痰または血流に限られず、少なくとも前立腺癌患者において、尿または射精試料中に見出すことができる。この研究では、前立腺癌患者由来の腫瘍DNA試料の94%、血漿または血清試料の72%、射精試料の50%および尿試料の36%がメチル化されていた(前立腺分泌物を放出するための前立腺マッサージ後)が、コントロール群由来の試料中ではメチル化が検出されなかった(非特許文献30)。
プロモーター領域の異常メチル化の検出は、一般的なヒト癌の早期検出を目的としてDNAメチル化に基づくマーカーアッセイを使用する有望なアプローチを構成する。 高度メチル化は広範な癌タイプに関連しているので、他のタイプの癌へも同様のアプローチが多数考えられる。概要に関しては次を参照のこと:非特許文献31あるいはこの件に関する最近の刊行物を選択するために:非特許文献32〜35。
(メチル化DNAの検出方法)
前の諸段落では、遺伝子活性、細胞分化、腫瘍形成、X染色体不活性化、ゲノムインプリンティングおよび他の主要な生物学的プロセスに関する特定シトシン塩基メチル化の重要性(非特許文献36)を説明した。メチル化形式でのシトシンの修飾には重要な情報が含まれている。メチル化されていないシトシンとは対照的に、DNA配列中の5-メチルシトシンを同定することがその役割をさらに解析するために極めて重要であるのは明らかである。しかし5-メチルシトシンは、そのハイブリッド形成優先度(配列分析の際に基礎とされる性質)に関してシトシンと全く同じ挙動をするために、その位置を通常の配列決定反応では同定できない。
さらにPCR増幅においては、これに関する後成的情報、すなわちメチル化シトシンであるか、あるいは非メチル化シトシンであるかは完全に失われている。
この問題を解決するいくつかの方法は知られている。通常、ゲノムDNAは化学物質または酵素で処理するとシトシン塩基が変換するので、その結果後にこの塩基を識別することが可能になる。いくつかの制限酵素はメチル化DNAおよび非メチル化DNAを識別することができる。
5-メチルシトシンに関してDNAを分析するための、比較的新しい、現在最も頻繁に使用される方法は、重亜硫酸塩とシトシンの特異反応を基礎にしており、すなわちその反応の後にアルカリ加水分解するとシトシンはウラシルに変換されるが、同じ条件下では5-メチルシトシンは無修飾のままである(非特許文献37)。ウラシルはその塩基対形成の挙動ではチミンに対応するが、一方この処理下で5-メチルシトシンはその化学的性質を変化しないので、グアニンに対応する。したがって、メチルシトシンは、本来そのハイブリッド形成の挙動によってシトシンと区別することはできないが、元のDNAがこのように変換しているので今や唯一残存するシトシンとして、「通常の」分子生物学的技術、例えば増幅およびハイブリッド形成または配列決定によって検出することができる。これらの技術はすべて、塩基対形成に基づくものであり、現在これは完全に利用可能である。重亜硫酸塩処理されたDNAと処理されていないDNAの配列を比較することにより、メチル化されている塩基を容易に同定できる。
さらに別の既知の5-メチルシトシン検出方法の概要については、次のレビュー文献から知ることができる:非特許文献38。
感度の点では、従来技術は以下の方法によって規定される。その方法とは分析すべきDNAをアガロースマトリクスに封入し、これによりDNAの拡散および再生を防ぎ(重亜硫酸塩は一本鎖DNAとのみ反応する)、すべての沈殿および精製の段階を高速透析に置き換えた方法である(非特許文献39)。この方法を用いて個別の細胞の分析が可能であり、これはこの方法の可能性を示す。
現在まで、わずかにしかない例外(例えば非特許文献40)を除いて、重亜硫酸塩技術は研究においてのみ用いられている。しかしながら、この場合はいつも、既知遺伝子の短い特異的断片が重亜硫酸塩処理後に増幅され、さらに完全に配列決定される(非特許文献41)か、あるいは個々のシトシン位置がプライマー伸長反応(非特許文献42、特許文献3)または酵素消化(非特許文献43)によって検出される。
別の高度メチル化検出技術は、いわゆるメチル化特異的PCR(MSP)である(非特許文献44)。この技術は、プライマーの使用を基礎としており、このプライマーは当該DNA配列を重亜硫酸塩処理後に使用するとメチル化配列と非メチル化配列を識別する。このプライマーがシトシンに対応する位置にグアニンを含有している場合には、配列中のシトシンの位置がメチル化されたときにのみ重亜硫酸塩処理後に結合する。またはこのプライマーが対応するシトシンの位置にアデニンを含有している場合には、配列中のシトシンがメチル化されておらず、その結果重亜硫酸塩処理によりアデニンとハイブリッド形成するように変化したときにのみ重亜硫酸塩処理後にDNA配列と結合する。これらのプライマーを使用すれば、特定シトシンのメチル化状態に特異的に応じた単位増幅配列が作成可能であり、それがそのメチル化状態を表す。
別の新規技術は、Taqman PCRによるメチル化の検出であり、これはMethyLightとしても知られる(特許文献4)。この技術により、単一の、またはいくつかの位置のメチル化状態をPCR時に直接決定することが可能になり、追加段階でPCR産物を分析する必要がなくなった。
さらに、ハイブリッド形成による検出もまた記載されている(Olek et al., 特許文献5)。
個々の遺伝子におけるメチル化検出のための重亜硫酸塩技術の使用に関する別の刊行物は以下のものである:非特許文献45〜48、特許文献6〜8。
(循環DNAの増加)
癌および他の細胞増殖性疾患の別の特徴的性質は、血液および/または血清中の遊離浮遊循環DNAの量が増加することである。また、例えば有毒量の細菌性リポ多糖、HgCl2、CCl4、シクロホスファミドおよびヒドロキシ尿素によって生じる細胞死を契機として、染色質の異化作用の産物、特にDNAが細胞外空間に放出される。少なくともこれらが原因となって、細胞外DNAがマウス血漿中に用量依存的にて放出れることが示されている。したがって、有毒物質および薬物によって誘発されるインビボの細胞死現象の研究にあたって、細胞外DNAの定量を使用することが提案された(非特許文献49)。
血漿DNA含有量は、全身に生じている細胞死の量を反映しており、これは癌を含む破壊的な病理学的プロセス中に増加することが知られている。血清中の増加したDNA含有量は、全身性紅斑性狼瘡(非特許文献50)、悪性胃腸疾患(非特許文献51)、膵癌(非特許文献52)および肺癌(非特許文献53および非特許文献54)と相関して見出されている。健康なヒトは、2-30ng/mlの範囲の遊離浮遊DNAレベルを有するが、癌患者、より詳細には、全身性紅斑性狼瘡の患者は、1977年からの初期研究にて、180ng/mlまでのレベルを示した(非特許文献55)。Jahrらの刊行物では、12の各種の腫瘍群にグループ化される23患者の血漿DNAレベルを記載する表が示されている。最も極端なケースでは、該DNAレベルは、健康な患者のDNAレベルの平均値と比較して100倍増加していた。彼らは、循環DNAの増加はすべてではないがほとんどの癌疾患の顕著な特徴であるようだと結論付けた。循環DNAの測定レベルだけでは癌の型または臨床状態と相関しないかもしれない。しかし述べなければならないのは、Jahrsの研究では、いずれの腫瘍についてもわずか4回の反復研究しか行われなかったことである(非特許文献56)。
Jahrらは、前記循環DNAのどの程度が腫瘍細胞由来であるかの分析を試みた。腫瘍特異的なマイクロサテライトの変化に基づく研究から、ほとんどすべての循環血漿DNAが腫瘍細胞由来であったことが報告された(非特許文献57)。これに反して、他の研究では、ほとんどすべての癌患者の血漿中で野生型DNAが検出された。メチル化DNAは腫瘍組織のみに由来し、非メチル化DNAは健康細胞に由来すると仮定し、腫瘍DNAと非腫瘍DNAを識別可能にするために、彼らはDNAのメチル化状態を測定した。血漿中のDNA総数が非常に高い場合には、メチル化の割合は非常に低く、一方、DNAレベルが非常に低い場合には、メチル化DNAの割合は、少なくとも1ケースにて、90%を超えるまでであることが発見された。「特定細胞型を識別するDNAマーカーが入手不能であるために」非メチル化DNAが隣接腫瘍組織由来であるか、あるいはいくつかの他のソース由来であるかを調査することは、困難であろうと著者らは強調する。前記文献では、循環DNAがアポトーシス細胞および壊死細胞由来であるとの見解を支持する証拠が考察されている。
循環DNA放出の正確なメカニズムは依然として証明されていないが、高増殖性細胞から循環DNAが能動的に放出されることも提唱されている(非特許文献58)。ここでは著者らは、なぜ癌患者の血流中循環DNAの起源が、循環性癌細胞の溶解、壊死またはアポトーシスよりはむしろ、「能動的放出(activerelease)」である可能性が最も高いかを考察する。
Botezatuらは、癌を診断するために、どのように尿中の細胞外DNAの検出し、どのようにこのDNAを分析するかについて記載している(非特許文献59)。癌検出のための尿の診断的使用を示す従来の研究(非特許文献60および61)と異なり、Botezatuらが選択した癌のタイプ、すなわち膵癌および大腸癌は泌尿器起源ではない。従来の研究は、膵癌および大腸癌細胞(非特許文献62)が腫瘤DNAを血漿中へ放出できることを示すものであった。Botezatuらの新たな結果は、腫瘍DNAは血流への放出後に、PCR分析に十分なほど大量に尿中へ排出されることを示す、さらに一段階進むものであり、メチル化パターンの決定方法に関する我々の技術に適用可能である。
Botezatuらのデータには、比較的進行した疾患(ステージIIIおよびIV)の患者のみが含まれており、尿DNA分析を早期非泌尿器悪性腫瘍の検出に適用できるか否かは将来の研究の課題である(非特許文献63)。
核酸の定量方法
粗製の染色体または精製プラスミドDNA試料のDNA濃度を正確に測定することは、DNAの定量的操作における必須の段階である。調製物中の核酸の量を測定する2タイプの方法が広く使用されている。試料が純粋である(すなわち有意な量の混入物、例えばタンパク質、フェノール、アガロースまたは他の核酸を含まない)場合、塩基によって吸収される紫外線照射量の分光学的測定が単純かつ正確である。2つの異なる技術は分光学的および/または蛍光定量的分析に基づく。例えば、臭化エチジウム-塩化セシウム(EtBr-CsCl)遠心分離勾配に2回通して精製されたプラスミドDNAの希釈試料の濃度を測定する。試料は、例えばLKB Biochrom Ultrospec II分光光度計で波長260nmおよび280nmでの吸光度に関して検査することができ、あるいはHoeferTKO100ミニ蛍光光度計で、ビスベンズイミダゾール、これはDNAとの結合時に、356nmで最大励起および458の最大発光を有するHoechstH33258(米国HoechstCorporation製)として既知の蛍光色素の存在下、460nmの発光で検査することができる(非特許文献64)。蛍光光度計で使用されるHoechst色素は、DNAのアデノシンおよびチミジン残基と特異的に相互作用するが、分光光度計では、RNAならびにDNAによる吸光度を検出するが、。Hoechst色素の高度に特異的な性質により、ミニ蛍光光度計は、粗製の染色体DNAの定量に関して最も正確であるようだが、プラスミドおよび限られた複雑さの他のDNAに関しては信頼性が低い。
DNAまたはRNAの量が非常に少ないか、あるいは試料が有意な量の不純物を含有する場合、核酸の量は、DNA内に導入した臭化エチジウム分子によって発光される蛍光の強度から評価することができる(非特許文献65)。この一般的アプローチの単純な適用では、EtBrアガロースプレートを使用する。2-10μlのDNA試料を、ペトリ皿内0.5μg/mlEtBrを含有する1%アガロース上にスポットする。次いで、このプレートを紫外線に曝露し、撮影する。別のバリエーションでは、EtBrの5-10μlの0.5μg/ml溶液を、UVトランスイルミネータの上部に設置されたプラスチックフィルムラップまたはシリコン処理スライドガラス上にスポットした10μlのDNAと混合する。この方法の利点は、1-10ngほどのDNAしか含まないDNA試料を数分以内に定量できることである。欠点は、DNAと同様のRNAへの色素の導入であり、それが二本鎖DNAに限られることである。
他のDNA定量方法は、例えば、Invitrogen核酸定量化DNA Dipstick [TM]キットである。該方法は0.1 ng/μlほど少量の核酸を検出するのに十分な感度を有すると言われている。残念なことに、該方法は10ng/μl以上の核酸を含有する試料では使用できない(参照:非特許文献66)。
(特異的DNAの検出方法)
特異的核酸を検出し、定量する方法は、微生物、ウイルスおよび生物学的分子の検出に使用される。したがってこれらは、ヒトの医学および獣医学、食物加工および環境検査で用いられる。さらに、生物試料(例えば組織、痰、尿、血液、精液、唾液)からの特異的生体分子の検出および/または定量は、科学捜査、例えば犯罪の容疑者の同定および排除および親子鑑定ならびに医学診断に応用される。しかしながら、このような方法の大多数は、2つの技術:ハイブリッド形成法およびPCRに基づくものである。これら両者は、ゲノムDNAの特定の特異的部分を検出し、定量するものである。
ハイブリッド形成法は、特定の塩基配列を有する核酸(以後「標的核酸」と称する)を検出する方法の1つとして既知である。この方法は、検出プローブとして標的核酸とハイブリッド形成可能な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いてハイブリッドを形成させ、多様な検出手段を介してこのハイブリッドを検出することにより、標的核酸の検出を行う。
特許文献9では、この技術の欠点が記述されており、これは特にこれらを、周囲環境、例えば生物学的活性を有する液体中または特に生細胞中での特異的配列の検出に適用しようとする場合である。検出プローブが細胞質内に導入されると、これはa)急速に核へ移動し、そしてb)該プローブまたは、検出プローブと標的核酸のハイブリッドは、細胞質に存在する多様な種類のヌクレアーゼによって急速に消化され、これにより標的核酸の検出が困難になる。この欠点は、標的核酸の特定の塩基配列とハイブリッド形成可能な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプローブであって、リンカーを介して核膜不透過性分子に結合し、蛍光色素で標識され;標的核酸と該プローブのハイブリッドを形成するプローブ、を使用することによって回避できる。ハイブリッドの形成によって蛍光色素の蛍光度が変化すれば、それにより、生細胞の細胞質中またはDNA分解酵素が混入する任意の他のバックグラウンド中に標的核酸が存在していることが検出される。
ハイブリッド形成した核酸の検出のための別タイプのプロセスは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の利用するものである。PCRプロセスは当分野に周知である(特許文献10〜12)。PCRを簡単に説明すると、核酸増幅標的配列の反対鎖と相補的な核酸プライマーは、変性試料にアニールすることができる。DNAポリメラーゼ(典型的には熱安定性)は、ハイブリッド形成したプライマーからDNA二重鎖を伸長する。このプロセスが反復されると、標的核酸が増幅される。核酸プライマーが試料とハイブリッド形成しない場合、対応する増幅PCR産物は存在しない。この場合、PCRプライマーはハイブリッド形成プローブとして働く。PCRに基づく方法は、配列未知の核酸を検出するための使用には限界がある。
PCR法では、増幅された核酸産物は、多数の方法、例えば標識プライマーを使用し、増幅鎖の中に標識ヌクレオチドを取り込むことによって検出することができる。PCRで使用するプライマーは、放射能、蛍光色素、ジゴキシゲニン(digoxygenin)、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アクリジニウムエステル、ビオチン、およびタチナタマメウレアーゼで標識されている。非標識プライマーから構成されるPCR産物は、別の方法、例えば電気泳動ゲル分離およびそれに続く色素に基づく可視化によって検出することができる。
また、核酸ハイブリッド検出用の蛍光技術が既知である。特許文献13には、蛍光性ハイブリッド形成プローブの使用が記載されており、該プローブは標的核酸配列とハイブリッド形成しない場合には蛍光が消光している。特許文献14に記載の蛍光性ハイブリッド形成プローブは、標的核酸配列とハイブリッド形成するまで、あるいはプローブが消化されるまで蛍光消光している。このような技術は、当該プローブとハイブリッド形成する標的が存在についての情報を提供し、配列内に複数存在する単一塩基の変異決定の有用性水準はいろいろである。いくつかの蛍光技術では、核酸ハイブリッドが5'から3'方向に消化され、蛍光消光剤、例えばTaqManRTM(PerkinElmer;特許文献15および16)の近辺から蛍光シグナルが放出される。
(リアルタイムPCR)
蛍光を用いるリアルタイムPCRモニタリングはいくつかの様式で記載されている。まず、二本鎖DNA特異的蛍光色素、例えば臭化エチジウムを結合すれば、蛍光増加との相関によりPCR産物の蓄積をモニタリングすることができる。第二の検出方法、ポリメラーゼを介するエキソヌクレアーゼ切断のために、ポリメラーゼ、例えばTaqの5'エキソヌクレアーゼ活性を利用する。PCR産物に相補的ではあるが、PCRプライマーとは異なるオリゴヌクレオチドプローブをFRET対で標識すると、ドナー分子がアクセプター分子によって消光される。PCR増幅の際に5'エキソヌクレアーゼが該プローブを消化し続けると、FRET対が分離され、蛍光が増加する。この技術のバリエーションで使用する核酸では、そのFRET対が、例えばヘアピンコン構造を有することによって内部的に消光している。目的の配列とハイブリッドを形成すると、該FRET対は分離され、ドナー分子は蛍光を発する。この技術は、例えばSNPの分析のために使用可能である。
別の技術は、二種のハイブリッド形成プローブの使用に基づくものであり、各プローブをFRET対のメンバーで標識する。両プローブが十分に近接して標的配列にハイブリッド形成すると、蛍光シグナルが発光される。この技術もまた、SNPの検出のために使用することができる。
このようなFRETに基づくPCR技術を使用する主な利点は、閉管反応中で反応をモニターすることができ、高処理量および中処理量での使用に適しており、混入の恐れが減少することである。
(体液中DNAの抽出と検出の方法)
循環DNAの検出方法は多くの論文に記載されている。生物試料からDNAを分離する大多数のケースでは、科学者はQiagenが供給するキット、いわゆるQIAamp Blood Kit (Qiagen, Hilden, Germany)を利用している:
例えば非特許文献67では:「3000 gで20分間遠心分離して、血液細胞血漿を分離した後、非特許文献68および69を参照した血液および体液プロトコールを利用し、QIAamp Blood Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて血漿由来DNAを抽出できる。」
非特許文献70では:「血液試料を3000 gで遠心分離し、血漿および血清を、それぞれEDTA含有チューブおよびプレーンチューブから慎重に取り出し、プレーンポリプロピレンチューブに移す。また末梢血中の循環腫瘍細胞の存在について検討するためにEDTA含有チューブ由来の軟膜画分を収集する。この試料は-70Cまたは-20Cで次の処理まで保存する。血漿および血清試料由来のDNAは、製造元が推奨する血液および体液プロトコールを利用し、QIAamp Blood Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて抽出した(非特許文献71)。」
Chen et al.では:「新たに凍結した組織をSDSおよびプロテイナーゼKで処理し、次いでフェノールおよびクロロホルム抽出した。パラフィン包埋組織をスライドガラスから掻き出し、キシロール中で洗浄し、パラフィンを除去した。一容量のエタノールを添加した後、混合物を遠心分離し、ペレットをプロテイナーゼKおよびSDSで消化し、次いでフェノールおよびクロロホルム抽出した。コントロールリンパ球および血漿DNAは、「血液および体液プロトコール」にしたがってQiagenカラム(Qiamp Blood Kit, Basel, Switzerland)で精製した。血漿(1-3 ml)を同カラムに通した。精製後、血漿1 mlから平均39 ngのDNAが得られる。
血漿DNAの量は、非特許文献72の方法にしたがい、例えば単一コピー遺伝子に関する典型例であるLaminB2座位を用いて競合的PCRにより測定できる。20bpを挿入した競合分子を、オーバーラップ伸長法によって二つの増幅産物から直接得た(非特許文献73)。
競合鋳型の定量はOD260測定によって得られる。血漿DNAの一定量は競合鋳型の増加量と混合可能である。競合的PCRでは、2つの追加プライマーを設計する必要がある。PCR増幅およびPAGEをすると、2つの産物は明らかにゲノムおよび競合鋳型に対応する。増幅産物の割合は、ゲノムDNAの初期濃度に対する添加競合鋳型の初期濃度を正確に反映する。競合鋳型およびゲノムの各バンドの定量は、臭化エチジウム染色ゲルの濃度測定(デンシトメーター)走査によって得ることができる。
競合PCRによって得られる結果は、LightCycler System (Roche Diagnostics)でのコントロールKit DNAを用いる定量化によって確認でき、ここではLightCycler ControlKit DNAを用いて110 bpのヒトベータグロビン遺伝子を増幅する。単位複製配列(amplicon)は、ハイブリッド形成プローブ(LC-Red640)の特異的ペアを用いる蛍光によって検出できる。
同様のアプローチはLeeらによって用いられ、HIVアッセイキット(HIV Monitor Assay, Roche Molecular Systems, Emeryville,CA)の試薬を用いて血清および血漿試料DNAのゲノムDNAを定量化した。解凍後すぐに、血漿および血清試料を、最大速度で5分間微量遠心分離(MicrofugeII, Beckman Instruments)して、凝集および非特異的沈殿を含まない浄化血漿または血清を作成した。血漿および/または血清(100μl)を取り出し、常用溶解試薬300μlを含有する1.5ml微量遠心チューブに入れた。該チューブを次いで3〜5秒間強く攪拌し、室温で10〜15分間インキュベートした。インキュベート後、100%イソプロパノール400μlを各チューブに加え、次いでこれを3〜5秒間攪拌し、室温にて15から30分間、10000gで微量遠心分離(12000rpm MicrofugeII, Beckman Instruments)した。上清を除去し、70%エタノール1mlを各チューブに加えた;これらの諸段階の後に、室温で5〜10分間、10.000gで微量遠心分離した。上清を除去した後、DNAペレットを室温で一晩放置し、残留エタノールをすべて蒸発させた。該ペレットをPCR溶液A(100mMKCl、10mMTris、2.5mM MgCl2;pH 8.3)およびPCR溶液B(10 mM Tris、2.5 mM MgCl2、1%Tween-20、1%ノニデットP-40;pH8.3)100μlに再懸濁した。
精製DNAはHLA DQ-アルファプライマーまたはヒトY染色体プライマーを用いて増幅した。標準曲線を作成したが、これは各増幅に含まれる定量化に関するものである(非特許文献74)。
特許文献17(Gocke et al.)もまた、血漿または血清画分中の腫瘍関連細胞外核酸の検出に関し、ここでは、血液および血清試料中の循環DNAを抽出および検出するいくつかの方法について概要を提供している。
尿試料中のDNA濃度を測定するためには、試料は新鮮である必要があり、理由はヒト尿がヌクレアーゼ活性を含むからである(Botezatu et al.2000)。新鮮な試料を800gで10分間遠心分離し、上清からDNAを単離するが、これはLabarcaおよびPaigenが記載する通りである(非特許文献75)。
また、ヒト糞便試料には胃腸細胞由来のDNAが含有されていることが当分野に既知である。前記DNAは、特定種類のK-ras遺伝子変異の有無を検査するのに利用でき、これにより提供者が大腸癌を発症している可能性があるかどうか決定することができる。
WO 95/16792 米国特許第5,552,277号 WO 95/00669 WO 00/70090 WO 99/28498 WO 97/46705 WO 95/15373 WO 97/45560 米国特許第6,228,592号 米国特許第4,683,195号 米国特許第4,683,202号 米国特許第4,800,159号 米国特許第5,691,146号 米国特許第5,723,591号 米国特許第5,691,146号 米国特許第5,876,930号 米国特許第6156504号 Saccomanno et al. (1974) Cancer (Phila.), 33: 256-270 Mao et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 9871-9875 Mao et al.(1994)Cancer Res., 54: 1634-1637 Kersting et al. (2000) J. Clin. Oncol., 18: 3221-3229 Ahrendt et al. (1999) J.Natl.Cancer Inst. (Bethesda), 91: 332-339 Palmisano et al. (2000), Cancer Res. 60: 5954-5958 Wuet et al. (2001) Cancer Res 61: 8651-8653 E.R.Fearon, et al., Cell, 61:759, 1990 P. A. Jones, et al., Cancer Res., 46:461,1986 R. Holliday, Science, 238: 163, 1987 A. De Bustros, et al., Proc.Natl.Acad. Sci., USA, 85: 5693, 1988 P. A. Jones, et al., Adv. Cancer Res.,54:1,1990 S. B. Baylin, et al., Cancer Cells, 3 :383, 1991 M. Makos, et al.,Proc.Natl. Acad. Sci., USA, 89: 1929, 1992 N. 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概して最新技術は、腫瘍指標タンパク質または腫瘍関連遺伝子のcDNA、いわゆる血液または他の体液中の腫瘍マーカー遺伝子の有無を検出するための、核酸に基づくアッセイの更なる開発である。発癌に関与する癌特異的な遺伝子の変化、例えば発癌遺伝子の変異または欠失、腫瘍抑制遺伝子の変異または欠失、またはマイクロサテライトの変化の検出は、後に、患者が腫瘍を保有するか否かの予測を可能にする(例えば特許WO95/16792または米国特許第5,952,170号Stroun et al.)。進んだ段階では、科学者が短時間にかつ高精度で大量の試料をスクリーニングするのを可能にするキットを作成することが目的になる。これらのキットは、癌の予防薬および早期検出の改善だけでなく、治療後の腫瘍動態のモニターにとって重要である。
また、特定遺伝子、特に特定プロモーター領域の高度メチル化の検出は、腫瘍の有無に関する重要な指標であると認識されている。我々のこれまでの知識では、メチル化分析を扱ったすべての研究が、特定腫瘍マーカー遺伝子のみのメチル化状態を考察したものであった。これらの遺伝子は発癌の制御において役割を担うことが既知であり、換言すれば、腫瘍形成のスイッチのオンおよびオフを決定すると考えられている。最も進んでいるのは、メチル化および前立腺癌についての知識である。それ故に、体液由来のDNAを用いて前立腺癌を示す特定のマーカー遺伝子(GSTP1)のメチル化分析を使用する方法が特許を受けている(米国特許第5,552,277号)。特定の、まだ同定されていない指標遺伝子のメチル化状態を決定することは、化学療法および放射線治療に対する患者の応答性を予測する有用なツールにさえなるかもしれない(Hanna et al.(2001) Cancer Res 61: 2376-2380)。しかしながら、これらすべてのスクリーニングアプローチは、特定タイプの癌に限られる。これは、これらがすべて、特定マーカー遺伝子を探すことに限定されていて、該マーカー遺伝子は、特定種類の体液中で発見された場合の一種類の癌に対して非常に特異的であるからである。別の例はUsadelらによって記載されている。彼らは、肺癌患者の血清試料中で、大腸腺腫性(adenomatous polyopsis coli, APC)と称される遺伝子のプロモーター領域中に腫瘍特異的メチル化パターンを検出できるが、健康なドナーの血清試料中では、メチル化APCプロモーターDNAが検出できないことを記載した(Usadel et al.(2002) Cancer Research 6, 371-375)。したがってこのマーカーは肺癌の良好な指標として適し、肺癌と診断された人のスクリーニングに、あるいはもしかすると、腫瘍の外科的除去後の患者についての、その肺における転移発生に関するモニタリングに特異的に使用することができる。しかしながら、Usadelはまた、遺伝子APCの後成的変化は、胃腸腫瘍発生の共通の現象であり、したがって腫瘍マーカーとしてAPCを用いる血液選別は患者が腫瘍を発症しつつあることを示すのみであり、腫瘍がどこに位置するであろうかは未知であると記載している。これでは、内科医がこの情報を直接利用してより詳細な診断の追跡、あるいはそれぞれの医学的状態の処理さえできない。これは診断または治療の利用可能な対策は、関与する器官に特異的であるからである。特に、病変の大きさがまだ小さい場合には、さらなる診断および治療はどの器官を標的とすべきかを内科医が見出すことは非常に困難である。したがって癌マーカーの存在は、可能性のある多数の療法のうちいずれかの処置が必要であるかを示すが、この情報をどのように扱うかを決定する際には内科医および患者に全く役立たない。内科医はすべての可能性のある器官について病変の存在をさらに調査しなければならないであろうし、何かを発見した場合であっても、病変がこの特定器官にのみ限られたものであるかは不明瞭である。これは最新技術の問題の一つであるが、本発明の実施形態は器官特異的な疾患についての情報を提供することによってこれを解決する。
また米国特許第6,156,504号 (Gocke et al.)に記載される発明は、血漿または血清画分中の細胞外核酸の検出に関するが、該特許は、血中の変異細胞外K-ras核酸を検出する方法に及ぶのみである。これは、ほとんどのアッセイが特異的腫瘍マーカー遺伝子、この特許のケースでは発癌遺伝子K-ras、に基づくことの別の例である。しかしながら、多くのタイプの癌では、特異的遺伝子がまだ知られてさえない。
典型的に「癌マーカー」は、腫瘍または他の細胞増殖性疾患の存在を示すが、これらは特定種類の組織に特異的ではない。典型的な癌マーカーは、一群の種々の可能性のある腫瘍のうちの一種類の腫瘍が発症している可能性を検出するが、特定型の腫瘍または起源器官に関して決定することはできない。すなわち、腫瘍マーカーは、腫瘍の検出に関して特異的であるが、組織、器官または細胞タイプに関しては特異的ではない。
したがって早期スクリーニングでは、患者が特定種類の癌を患っていると仮定する理由がない場合に、腫瘍の位置を予測できない腫瘍特異的マーカーを用いた選別、あまり患者には役立たず、患者は全身をスクリーニングする別の診断検査の結果を待たなければならないはずである。
一方、一種類の腫瘍に特異的な腫瘍マーカーが存在し、罹患した特定位置または特定組織タイプに合わせた診断が作成されるとしても、きわめて早期の選別をするには、可能性のあるすべての既知の癌特異的遺伝子の変化に関して同時に検査する必要がある。これは実行不可能であるとみなすことができる。
細胞増殖性疾患では、血液および他の体液中の細胞外DNAレベルの上昇が生じる。発明者の知識では、ヒトにおける細胞外DNAの定量は、患者が、例えば癌のような細胞増殖性疾患を保有する危険を予測するために用いられることは決してない。癌患者の血中の高レベル循環DNAが記述されているいくつかの報告が公開されているが、これらは単に、比較的容易にアクセス可能なDNAのソースとして、その性質をさらに分析するために利用されている(Jahretal.2001)。また既知であるが、これらDNA分子は何らかの理由で細胞が死につつある組織由来である(上で考察)。それにもかかわらず、現在まで、DNAの起源を決定するためのノウハウが欠如し、したがって体液、例えば血液中のDNAレベルの増加という一般的結果を特定器官における細胞増殖性疾患の危険と結び付けることができなかった。この欠如は、DNAの起源を決定することができる組織特異的マーカーが入手不能であったせいであり(Jahretal.2001)。これはまさに、本発明が埋めることができるギャップである。
組織、細胞タイプまたは器官特異的マーカーとして働き得る遺伝子はすでに説明されている(例えば Adorjan et al.「マイクロアレイに基づくDNAメチル化分析による腫瘍クラスの予測および発見」(2002) Nucleic Acids Res. 30, e21)。また、特定の医学的症状、例えば細胞増殖性または炎症性疾患が体液中の遊離浮遊DNAのレベル増加を生じさせることが知られている。しかしながら、当該遊離浮遊DNAのソースを決定し、これにより、このような医学的症状を患う器官、組織または細胞タイプの検出に関する高速かつ正確な診断検査を可能にするためにこれらのマーカーを用いる考えは、最新技術に対して極めて有益である。
従来マーカー遺伝子は、特定の医学的症状の早期診断のために使用されてきたが、これは具体的な特定の医学的症状にのみ対処できるものであった。例えば、大腸癌を発症していることが疑われる患者は、自身の糞便試料を、癌マーカー、例えばK-rasを用いる検査に付することができる。前立腺癌を発症していることが疑われる患者は、自身の射精試料を、前立腺癌マーカー、例えばGSTPiに関する検査に付することができる。しかしながら、いずれの器官または組織に細胞増殖性疾患または同様の疾患を発症しているかに関して患者に特定の疑惑がない(例えば、たまたま大量の放射能を被曝した個体の)場合の全体的スクリーニングについては、発明者らの知る限り、このような医学的症状を高速かつ正確な様式で検出する方法が従来技術に記載されていない。
血中の遊離浮遊DNAレベルの上昇が癌または他の細胞増殖性疾患の指標であることは記載されているが、遊離浮遊DNAレベルの検出は、得られる情報があまりに非特異的に過ぎていかなる役にも立たないため、単独では有用な診断方法として機能しない。
しかしながら、前記遊離浮遊DNAが由来する場所を決定する場合には、これは従来記載されていないことであるが、このようなアッセイの診断価値は劇的に増加する。この理由は、このようなアッセイが該DNAの位置および可能性のある原因を解明するからである。このように、細胞増殖性疾患に罹患した器官、組織または細胞タイプをまさに示す早期スクリーニングは非常に有益である。得られる情報はさらに進んだ診断方法を支援するであろう。該情報から、実施者はより特化した診断に向けて次にステップするには何が必要かを極めて正確に教えられ、また該患者をどの臨床専門家に紹介すべきかに関する手引きが与えられる。
したがって、本発明の課題は、患者の血液または他の体液中の遊離浮遊循環DNAの有意部分を放出する組織、器官または細胞タイプを決定することにより、患者が、特定器官、組織または細胞タイプにて医学的症状、例えば細胞増殖性疾患を患っている可能性があるとの予測を可能にする方法を提供することである。
本発明は、体液中の、循環性の遊離浮遊核酸を分析するための方法を提供する。これは、いずれの器官、組織または細胞タイプが医学的症状を発症しているかを、ヒト身体の種々の健康な、あるいは種々の罹患した組織、器官または細胞タイプ由来のDNAを識別する手段を用いることによりいかに予測するかについての手段を開示するものである。特定遺伝子の特徴的メチル化パターンは、特定器官、組織および細胞タイプと相互に関連付けることが可能である。好ましくは、遊離浮遊DNAの起源の同定、あるいは換言すれば、当該体液中の循環核酸の有意部分の有機ソースの決定は、特定CpG部位のメチル化を検出するアッセイによって行われる。特に好ましいのは、核酸に基づく方法、例えばハイブリッド形成法、配列決定およびPCRによって、あるいは、さらにより好ましくはリアルタイムPCR法を用いることによってメチル化を検出することである。前記分析の結果は、より特化した診断戦略をいかに作成するかに関して、実施者にさらなる手引きを与える。
本明細書中の「体液」とは、生体から得られる高分子の混合物を表す。これには以下のものが含まれるがこれらに限定されない:
血液、血漿、血清、尿、痰、射精物、精液、涙、汗、唾液、リンパ液、気管支洗浄液、胸水、腹膜液、髄膜液(meningal fluid)、羊水、腺液、細針吸引物、乳頭吸引液、髄液、結膜液、膣液、十二指腸液、膵液、胆汁および脳脊髄液。またこれには、先行するすべての実験的に分離された画分が含まれる。「体液」にはまた、ホモジナイズされた固形材料、例えば糞便を含有する溶液または混合物が含まれる。
本明細書中の「メチル特異的薬剤」とは、核酸と相互作用または反応する任意の化学物質または酵素であるが、ただしその様式によるとメチル化核酸塩基と非メチル化核酸塩基とでは反応が異なり、その結果それら核酸塩基が異なった修飾を受けるものを言う。一方または他方いずれかと特異的に作用することによって、あるいは両者と異なる様式で相互作用することにより、これら核酸塩基の識別は、現在入手可能な方法による方が、当該「メチル特異的薬剤」との相互作用以前の従来法よりも容易になる。「メチル特異的薬剤」での処理例は、いわゆる「重亜硫酸塩処理」またはメチル化感受性制限酵素での処理である。本明細書中では、該処理はまた、「化学的前処理」とも言う。
用語「重亜硫酸塩処理」とは、当業者に通常知られている方法を言う。該処理の例は、例えば本明細書中で引用されるいくつかの参考文献中に見出せる。
用語「遊離浮遊DNA」とは通常、細胞外デオキシ核酸、例えば上に定義する体液中に存在する非結合性DNAまたは循環核酸に関すると理解されるべきである。該DNAが当該体液中のタンパク質と結合能を有するとしても、本発明の関連では、これもまた「遊離浮遊」と理解される。例えば、器官または組織由来(例えば吐き出された肺細胞)ならびに分析用体液中に存在する単一細胞または細胞群由来のDNAの分析のような、いくつかのまれな例では、該細胞はそのDNAを遊離するために破壊する必要がある。当該体液中のこれらの細胞から遊離されたDNAはまた、本発明の関連では、「遊離浮遊」と理解される。
本発明の関連では、用語「ハイブリッド形成」とは、試料DNA中のオリゴヌクレオチドがワトソン-クリック塩基対形成にしたがって完全に相補的な配列と結合し、二重鎖構造を形成することと理解されるべきである。
本発明の関連では、用語「本質的画分」とは、定量的画分と異なり、混合物全体の定性的(または統計的)画分である、化合物混合物(例えば体液中のトータルDNA)の部分と理解されるべきである。換言すれば、「本質的画分」とは、少量にもかかわらず、当該トータルDNA中の種々のDNA分子の統計的分布を反映するトータルDNAである。
本発明は、個体の組織、細胞タイプまたは器官中の医学的症状の有無を検出するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
a)個体から体液試料を回収する段階、b)該試料中の当該組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在を測定する段階およびc)当該組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在に基づいて医学的症状の有無を決定する段階。
本発明は、医学的症状、例えば炎症性疾患または細胞増殖性疾患、および特に癌の有無を決定する方法を提供する。該方法では、組織試料または生物学的液体、例えば血液、血清、尿または上記で定義する他の液体形式の個体試料の回収で始まるいくつかの段階を用いる。第二の段階は、浮遊DNAの有意部分が由来する器官、組織または細胞タイプの決定である。特定器官、組織または細胞タイプ由来の遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在の測定は、遊離浮遊DNAの特異的な特徴を測定し、これを特定器官、組織または細胞タイプ由来のDNAの特徴と比較することによって行われる。この測定から、医学的症状の有無に決定することができる。つまり第三の段階は、当該器官、組織または細胞タイプ由来である遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在に基づく医学的症状の有無の決定である。
特定器官、組織または細胞タイプと例えばマーカー遺伝子またはマーカー配列の特異的な特徴の相関に関する知見により、前記遊離浮遊DNAの有意部分の起源が決定できる。
具体的態様では、本方法はさらに、試料中のトータルの遊離浮遊DNAの量を測定する段階を用いる。これは、個体が疾患を発症している可能性があるとの予測を可能にし、該疾患は、上記で定義する体液中のトータル遊離浮遊DNAレベルの増加を示すことによって特定される。トータル遊離浮遊DNAレベルが増加するとは、遊離浮遊DNAレベル(これは一連の実験で測定されるべきであるが、例えば血清試料中では、およそ10〜100ng/mlの範囲で特定され得る)が健康な人の体液中の平均レベルより有意に高いことと理解され、これにより情報性の豊かなDNAメチル化分析の実施が可能になる。体液中のDNAレベルの増加と疾患、例えば癌の有無との相関は、図3に見ることができ、これは発明者らの研究の結果を示す。
別の好ましい態様ではまた、特定器官、組織または細胞タイプ由来のDNAの量が定量され、これによりこの画分を遊離浮遊DNAの総量と比較することが可能になり、この割合から医学的症状の有無に関して結論が下される。
好ましい態様では、前記医学的症状は細胞増殖性疾患および/または腫瘍性疾患である。特に好ましくは、前記医学的症状はあるタイプの癌である。
達成される知識は、個体が、当該組織、器官または細胞タイプ中に医学的症状、例えば細胞増殖性疾患を保有するかどうか予測することを可能にするものである。例えば、肝臓由来の実質量の遊離浮遊DNAを有する患者は肝腫瘍を発症している可能性がある。これを検証するため、次の段階では、例えば、当該器官または組織特異的な疾患指標マーカー遺伝子発現に関するオーダーメード検査アッセイを用いることができる。
特に好ましい態様では、特定器官、組織または細胞タイプ特異的な前記遊離浮遊DNAの特徴が、特定マーカー遺伝子または核酸の特異的メチル化状態として特徴付けされる。該遊離浮遊DNAの起源の決定は、試料から獲得されたDNAのメチル化パターン分析に基づく。この方法は、遊離浮遊DNAに対し組織特異的メチル化パターンを検出することによって、生物学的液体中の遊離浮遊DNAの総量に有意に寄与する組織を決定することに基づく。したがって本発明の好ましい態様では、この方法の特徴は、特定器官または組織由来のDNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在が、当該器官、組織または細胞タイプに特徴的なDNAメチル化パターンの分析によって測定される点にある。特に好ましくは、該メチル化パターンが、目的の医学的症状に関与する他の器官、組織または細胞タイプでは発見されないことである。この理由は、例えば、肝臓癌と診断された個体の遊離浮遊DNAを分析する場合、尿試料検査時には、尿は通常、非常に少量の肝細胞由来腎臓通過DNAしか含有しないであろうから、検査は癌が腎臓に伝播しているか否かを示し得るからである。この場合、メチル化パターンは肝細胞と任意の尿路細胞間で相違していなければならない。しかしながら該メチル化パターンは、例えば肺のような排除器官に関してまで特異的である必要はない。
前記方法は、いわゆる腫瘍マーカーの使用とは独立している。この場合、腫瘍マーカーとは、腫瘍細胞から単離された場合に、健康な細胞と異なり測定可能な特異的特徴を示す遺伝子または核酸と理解され、組織マーカーとは、単離元の特定組織(器官または細胞タイプ)に関する測定可能な特異的特徴を示す遺伝子または核酸と理解される。組織特異的マーカーが、通常、これらが検出できないか、あるいは低いレベルである体液中において該組織特異的マーカーが存在するか、あるいはその量が増加することは、その特定組織に疾患が存在することの指標であり、これには疾患特異的マーカー、例えば腫瘍マーカーを要しない。
組織特異的メチル化パターンは、単一遺伝子または遺伝子群いずれかのメチル化状態の分析によって測定することができ、これらは自身が由来する特定の器官、組織または細胞タイプに応じて識別可能なメチル化CpG位置を示す。好ましくは、制限酵素分析により特異的CpG部位のメチル化を検出するアッセイを行うことにより体液中の循環核酸に基づく組織、器官または細胞タイプ特異的メチル化パターンの解析を行なう。しかしながら、特に好ましいのは、核酸に基づく方法、例えばハイブリッド形成法、配列決定およびPCRによって、あるいはさらにより好ましくはリアルタイムPCR法を用いてメチル化を検出することである。
好ましい態様では、前記方法の特徴は、遊離浮遊DNAを化学処理または酵素処理に付し、DNA中のすべての非メチル化シトシンをウラシルに変換し、5位-メチル化シトシンは不変のまま残すことによってメチル化パターンを決定する点にある。
特に好ましい態様では、当該処理は「重亜硫酸塩処理」である。さらに好ましくは、該DNAはこの処理前に単離される。
また本発明の好ましい態様では、本発明に基づく方法の特徴は、前記体液試料を調整してからトータル遊離浮遊DNAの量の測定または特定器官、組織または細胞タイプ由来の遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在の測定をする点にある。
本発明は、体液中の遊離浮遊DNAのソースを識別する能力を用いて、癌の診断、予後、段階分けおよび等級分けが分子レベルで改善されるための手段を提供する。該能力はまた、体液、例えば血液または血清中の核酸が増加した実際の理由を発見するのに使用可能である。
さらに、現行の癌の診断、予後、段階分けおよび等級分けの方法は主に組織学的および細胞学的分析に基づいており、このため十分な量の組織を得る組織診を必要とする点で、従来技術を超える改良が開示した発明により得られる。メチル化分析技術もまた、最近までは、組織診試料によってしか提供し得ない量のDNAを必要としていた。リアルタイムPCR(Usadel et al.Cancer Research 62, 371-375)によって、例えば体液試料中に存在する程度の少量のDNAであってもメチル化分析することが可能になって初めて、記載される方法は実行可能になった。したがって本発明の方法を使用することによって、例えば体液のように容易にアクセスできる試料を分類するに当たり組織診を回避することができる。
本発明はさらに、ゲノムDNAの遺伝的および/または後成的パラメータを確認するための方法を利用可能にする。
本方法を以後、さらに詳細に説明する。この方法は、以下の段階を含むものであり、本発明に基づく方法のフローチャートを示す図1を参照してこれを説明する:
この方法の第一の段階では、(上記で定義する)前記体液形式の試料を患者または個体から収集する。試料の収集は当業者に既知の任意の方法で行うことができる。詳細な説明は、従来技術を記載する関連の技術文献および教科書中に見出すことができる。この方法には以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
心室穿刺、これは脳脊髄液(CSF)の検体を得るための手法であるCSF収集としても知られる;胸腔穿刺、これは、局所麻酔薬を用いて肋骨間の胸腔内へ針を挿入し、胸水液を得ることを表す;羊水穿刺、これは、腹壁を通して中空針を子宮内へ挿入し、胎児周囲の袋から少量の液体を回収することによって行われる手法を表す;ならびに尿、精子および痰収集。
好ましい態様では、試料は上記の定義で記載した任意の体液から得られる。さらに別の特に好ましい態様では、試料は個体由来の全血、血液、血清、尿、唾液または射精物から得られる。
第二の段階では、特定組織、器官または細胞タイプ由来の前記試料中の遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在を測定する。しかしながら、好ましい態様では、試料はこの段階の前に調整される。したがって、段階2を説明する前にまず、該調整をより詳細に説明する。しかしながら以後の段階は、ここで調整として説明する処理をまったく行わなくても実施可能である:
遊離浮遊核酸は、必要であれば、抽出することができ、ならびに/あるいはRNAから分離することができる。しかしながら以後の段階は、上述の処理をまったく行わなくても実施可能である。また、DNAのソースの決定前またはその定量化の前に、DNAは精製することができ、あるいは調整および調製することができる。精製は、例えば文献に記載されるようにQiamp Blood Kit中で供給されるQiagenカラムで行うことができる(Chen et al.(1996)Nature medicine 2,1033-1035)。定量化は、試料の回収後すぐにか、あるいは該試料を不特定期間貯蔵した後に行うことができる。本方法の好ましい態様では、遊離浮遊DNAは、試料中のトータルDNA(細胞結合物を含む)の量が測定された後か、あるいは細胞結合DNAをまったく測定せずに、遠心分離によって細胞結合DNAから分離される。
前記選択段階の調整では、記載される任意のプロセスは、当業者に標準的な手段によって行うことができ、これらには、界面活性剤可溶化液、超音波処理および、ガラスビーズを用いるボルテックスの使用が含まれる。
好ましい態様では、試料はまた、保存手段によって調整される。該保存手段は例えば、デオキシリボヌクレアーゼまたは他の核酸分解酵素を不活性化または阻害する加熱または化学物質添加;低温(室温より低い)または非低温での貯蔵;冷却;加熱;界面活性剤添加;ろ過および/または遠心分離である。例えば試料は、48℃で一晩、プロテイナーゼK(Boehringer Mannheim製)およびドデシル硫酸ナトリウムで処理することができ、その後文献記載のように血清試料からDNAが分離される(Eisenberger et al(1999)J Natl Cancer Inst 91: 2028-2032)。
またこの関連での調整は、試料中のDNAを濃縮する方法の適用を含む。これらの方法は、従来技術についての説明に記載される1つまたはいくつかの方法であり得て、当業者に標準的な手段によるいずれかの方法であってよい。これらのうちいくつかは、周知のラボマニュアルである、Sambrook,Fritschand Maniatis(1989) Molecular Cloning - A Laboratory Manual (第二版)の付録E:微量遠心管におけるDNAの沈殿、エタノールを用いるRNAの沈殿、ブタノールでの抽出による核酸の濃縮(それぞれvol2:E.12,E.15およびE.16)に詳細に説明されている。
好ましい態様では、調整とは、任意の種類の化学的処理をも意味し得るものであり、これには例えば、抗凝血剤の添加、還元剤での処理、導入用化学物質またはDNAと共有結合を構築する化学物質での処理がある。
好ましい態様では、DNAは化学的処理の前に分解させることができ、これは従来技術にて標準的な任意の手段、特に制限エンドヌクレアーゼを用いる手段により行うことができる。
本方法の第二の段階では、遊離浮遊DNAのメチル化パターンの測定により、有意量のDNAが由来する場所が発見される。
好ましくは、核酸試料はまず、「メチル特異的薬剤」、例えば重亜硫酸塩、これに限定されないが、または、例えばメチル化感受性制限酵素で処理される。好ましい態様では、細胞外核酸は化学的に処理され、5'位置でメチル化されていないシトシン塩基がウラシル、チミン、またはハイブリッド形成動態に関してシトシンと異なる別の塩基に変換される。これは「メチル特異的薬剤」での処理または「化学的前処理」として理解されよう。該化学的変換は、当分野で標準的な任意の形式で行うことができる。これには、アガロースゲル内または変性溶液中での修飾が含まれるがこれらに限定されない。必ず必要なわけではないが、核酸試料を当該薬剤で処理する前に、この核酸を濃縮し、ならびに/あるいは別の方法で調整することができる。当該方法の第二の段階では、好ましくは、上記細胞外核酸の処理は、重亜硫酸塩(亜硫酸塩、二亜硫酸塩)およびその後のアルカリ加水分解を用いて行われ、非メチル化シトシン核酸塩基がウラシルまたは塩基対形成動態に関してシトシンと異なる別の塩基に変換される。
二本鎖DNAは選択的に変性される。これは、種々の温度で行われる熱変性形式をとり得る。変性温度は一般に、緩衝液に依存するが、高分子量DNAに関しては、90℃まで高くすることができる。しかしながら、当該分析は比較的小さい断片に対するものであり得、そのような高い温度を必要としない。さらに、反応が進行し、シトシン残基がウラシルに変換されるにつれて、鎖間の相補性は減少する。したがって、サイクル反応プロトコールは可変的な変性温度から構成することができる。
次いで重亜硫酸塩変換は2つの重要な段階、すなわちシトシンのスルホン化とその後の脱アミノから構成される。反応の各段階のための2つの異なる温度で、反応の平衡は正しい側に存在する。各段階が実行される温度および時間は、条件の具体的必要性に応じて変化させることができる。しかしながら、この方法の好ましいバリエーションは、4℃(10分間)から50℃(20分間)への温度変化を含む。この重亜硫酸塩処理形式はWO99/28498を参照する従来技術である。
好ましくは、WO 02/072880に記載されるように亜硫酸水素ナトリウムが用いられる。特に好ましいのはいわゆるアガロースビーズ法であり、ここではDNAはアガロースのマトリクスに封入され、これによりDNAの拡散および再生(重亜硫酸塩は一本鎖DNAとのみ反応する)が防がれ、沈殿および精製のすべての段階が高速透析に置き換えられる(OlekA, et al.,重亜硫酸塩に基づくシトシンメチル化分析の修正方法および改良方法、Nucleic Acids Res. 24:5064-6, 1996)。さらに好ましくは、重亜硫酸塩処理はラジカルトラップまたはDNA変性剤、例えばオリゴエチレングリコールジアルキルエーテルまたは、好ましくはジオキサンの存在下で行われる。
前記化学的変換は、当分野で標準的な任意の形式で行うことができる。これには、アガロースゲル内、変性溶媒中またはキャピラリー内での修飾が含まれるが、これらに限定されない。
好ましい態様では、アガロースゲル内の重亜硫酸塩変換は、Olek et al., Nucl. Acids. Res. 1996, 24, 5064-5066に記載されるように行われる。DNA断片はアガロースゲル中に包埋され、シトシンのウラシルへの変換は亜硫酸水素塩およびラジカル・スカベンジャーを用いて行われる。次いでDNAは、追加の精製段階を要せずに増幅することができる。
対応するDNA配列が一つの細胞タイプ、例えば腎細胞から単離された場合にのみCpG位置が特異的にメチル化されるが、DNAが別の細胞タイプ、例えば肝細胞、血液細胞、膀胱細胞または大腸細胞等から単離された場合には当該CpG位置がメチル化されないならば、該CpG位置は「情報性CpG位置」である。この関連して一以上の情報性CpG位置を有するDNA配列は、これが通常の意味の遺伝子であるか否かにかかわらず、「マーカー遺伝子」と称される。多くの健康な器官および組織に関して、特異的にメチル化される情報性CpG部位が同定されている(例えば図5および図7を参照)。体液中を循環する種々の核酸のプールから、これらの部位がそのメチル化状態に関してテストされる。これら前処理された核酸における該処理によって生じる特異的修飾は、以下に記載の標準的方法を用いて検出される。
本方法の好ましい一態様では、化学的に前処理されたDNAの特異的増幅産物を、前記修飾を特異的に検出するオリゴを含有するオリゴアレイとハイブリッド形成させることによって段階2を実行する。
化学的に前処理されたDNAの断片は、プライマーオリゴヌクレオチドセットおよび、好ましくは熱安定性の、ポリメラーゼを用いて増幅される。いくつかのDNA断片の増幅は、1つの同一反応容器中で同時に行うことができる。統計学上および実施上の配慮から、好ましくは2以上の異なる、75〜2000塩基対長を有する断片が同時に増幅される。通常、増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行われる。
増幅は少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを用いて行われ、これらは、化学的に前処理された塩基配列の少なくとも18塩基対長断片に対し、一方のオリゴヌクレオチド配列は逆相補的であり、他方は同一である。前記プライマーオリゴヌクレオチドは、好ましくは、CpGまたはTpGジヌクレオチドをまったく含有しないことを特徴とする。本発明の一態様では、増幅の間、少なくとも1つのプライマーオリゴヌクレオチドは固相に結合されている。
本方法の特に好ましい態様では、該プライマーオリゴヌクレオチド、および任意的に他のオリゴヌクレオチドプローブ、の配列は、種々の組織または器官の間で識別可能にメチル化されているDNA配列とのみ選択的にアニールしかつ増幅し、これによりバックグラウンドまたは非関連DNAの増幅を最小化するように設計されている。本発明の関連では、バックグラウンドDNAとは、関連の組織特異的メチル化パターンを有さないゲノムDNAを意味するよう用いられ、これは出願WO02/072880(引用によりこの文献を編入する)に詳細に記載されている。
好ましい態様では、増幅によって得られる断片は、直接的または間接的に検出可能な標識を有する。好ましい標識は、蛍光標識、放射性核種、または、質量分析計で検出可能な典型的質量を有する分離可能分子断片であり、作成される当該断片は、質量分析計にて良好に検出可能であるために、単一の正または負の正味電荷を有するのが好ましい。この検出は、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化質量分析(MALDI)または電子スプレー質量分析(ESI)を用いて実行し、可視化することができる。
得られた増幅産物は次いで、一組のオリゴヌクレオチドおよび/またはPNA(ペプチド核酸)プローブとハイブリッド形成される。好ましくは、このプローブセットは固相上に配列されている。当該種々のオリゴヌクレオチド配列は、直方または六方晶系格子形式の平面状固相上に配置することができる。当該固相表面は好ましくは、ケイ素、ガラス、ポリスチレン、アルミニウム、鋼、鉄、銅、ニッケル、銀、または金から構成される。しかしながら、ペレット形式または樹脂マトリクス状態をとり得るニトロセルロースならびにプラスチック、例えばナイロンもまた使用することができる。
この関連では、ハイブリッド形成は好ましくは、以下に記載される様式で行われる:
ハイブリッド形成時に用いられるプローブセットは好ましくは、少なくとも10オリゴヌクレオチドまたはPNA-オリゴマーから構成される。このプロセスでは、増幅産物は、あらかじめ固相に結合されているオリゴヌクレオチドまたはPNA-オリゴマーとハイブリッド形成する。該オリゴヌクレオチドは、増幅産物の塩基配列の特異的断片と逆相補的または同一な、10ヌクレオチド長を有する少なくとも1つの塩基配列を含有し、該断片は少なくとも1つのCpGまたはTpGジヌクレオチドを含有する。CpGジヌクレオチドのシトシンおよびTpGジヌクレオチドのチミジンはそれぞれ、10量体の5'末端から5番目から9番目のヌクレオチドである。各CpGまたはTpGジヌクレオチドに関して1つのオリゴヌクレオチドが存在する。PNA-オリゴマーは、増幅産物の塩基配列の断片と逆相補的または同一な、9核酸塩基長を有する少なくとも1つの塩基配列を含有し、該断片は少なくとも1つのCpGまたはTpGジヌクレオチドを含有する。CpGジヌクレオチドのシトシンおよびTpGジヌクレオチドのチミジンはそれぞれ、9量体の5'末端から見て4番目から6番目のヌクレオチドである。好ましくは、各CpGまたはTpGジヌクレオチドに関して1つのオリゴヌクレオチドが存在する。
この関連でのTpGなる記載箇所はまた、増幅産物が二本鎖DNAであるから、反対鎖が分析される場合にはCpAによって置換可能であることが理解されよう。これは当業者には明らかであり、したがって明示的に記載されていなくても、本発明の範囲内にて均等であると理解さる。
次いで、非ハイブリッド形成増幅産物は除去される。最終的に、ハイブリッド形成増幅産物が検出される。この関連では、好ましくは、増幅産物に結合した標識は、オリゴヌクレオチド配列またはPNA-オリゴマーが配置された固相の各位置で同定可能である。
本発明によれば、好ましくは、増幅産物の標識は蛍光標識、放射性核種、または、質量分析計で検出可能な典型的質量を有する分離可能分子断片である。質量分析計は、増幅産物、増幅産物の断片または、増幅産物と相補的なプローブの検出用に好ましく、該検出はマトリクス支援レーザ脱離/イオン化質量分析(MALDI)または電子スプレー質量分析(ESI)を用いて実行し、可視化することができる。作成される断片は、質量分析計にて良好に検出可能であるために、単一の正または負の正味電荷を有し得る。
本発明の段階2は試料中の組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在を測定するが、これを実行する好ましい別の態様は、定量化可能な増幅方法、例えばPCRまたは等温性増幅を使用して前処理されたDNA中の特徴的修飾を検出することである。適切なプライマー、プローブおよび反応条件の選択は従来技術により認識できるが、本明細書中ではより具体的に記載される。
この態様では、得られる増幅断片のサイズは75〜200塩基対長の範囲であるのが特に好ましい。また特に好ましくは、当該増幅産物は、少なくとも3つのCpGジヌクレオチドを含む20塩基対配列を少なくとも1つ含む。当該増幅は、プライマーオリゴヌクレオチドセットおよび好ましくは熱安定性ポリメラーゼを用いて行われる。いくつかのDNA断片の増幅は、1つの同一の反応容器中で同時に行うことができる。典型的に、増幅がポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を用いて行われる場合、プライマーオリゴヌクレオチドのセットは少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、その配列は各々、適切なマーカー遺伝子の塩基配列の少なくとも18塩基対長断片に対して、逆相補的であるか、同一であるか、あるいは、厳密または高度に厳密な条件下で該断片とハイブリッド形成するものであり、該断片は種々の組織、器官または細胞タイプにて識別可能にメチル化されている。
本方法の一態様では、マーカー遺伝子の核酸配列内のCpG位置のメチル化状態は、メチル化特異的プライマーオリゴヌクレオチドを使用して検出することができる。この技術(MSP)はHermanの米国特許第6,265,171号に記載されている。重亜硫酸塩処理DNAを増幅するためのメチル化状態特異的プライマーの使用は、メチル化および非メチル化核酸の識別を可能にする。MSPプライマー対は、重亜硫酸塩処理CpGジヌクレオチドとハイブリッド形成するプライマーを少なくとも1つ含有する。したがって該プライマーの配列は、少なくとも1つのCpG、TpGまたはCpAジヌクレオチドを含む。非メチル化DNAに特異的なMSPプライマーは、そのCpGのC位置の3'位に"T'を含有する。したがって、好ましくは、該プライマーの塩基配列は、マーカー遺伝子およびその相補配列の化学的に前処理された核酸配列と少なくとも18ヌクレオチド長を有する配列およびその相補配列を含むことを必要とし、ここにこのオリゴマーの塩基配列は少なくとも1つのCpG、TpGまたはCpAジヌクレオチドを含む。本発明に基づく方法のこの態様では、特に好ましくは、MSPプライマーは2から4の範囲のCpG、TpGまたはCpAジヌクレオチドを含む。さらに好ましくは、このジヌクレオチドはプライマーの3'末端付近に位置し、例えば、ここにプライマーは18塩基長であり、特定されるジヌクレオチドは好ましくは、該分子の3'末端から最初の9塩基以内に位置する。CpG、TpGまたはCpAジヌクレオチドに加えて、さらに好ましくは、前記プライマーはさらに、いくつかの重亜硫酸塩変換を受ける塩基(すなわち、チミンに変換されるシトシン、またはハイブリッド形成する鎖上では、アデニンに変換されるグアニン)を含むのが望ましい。さらに好ましい態様では、前記プライマーは、たった2つのシトシンまたはグアニン塩基しか含まないように設計される。
増幅によって得られる断片は、直接的または間接的に検出可能な標識を有することができる。好ましい標識は、蛍光標識、放射性核種、または、質量分析計で検出可能な典型的質量を有する分離可能分子断片である。該標識が質量標識である場合、標識された増幅産物は単一の正または負の正味電荷を有し、質量分析計にて良好に検出可能であるのが好ましい。検出は、例えば、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化質量分析(MALDI)または電子スプレー質量分析(ESI)を用いて実行し、可視化することができる。
本方法の特に好ましい態様では、増幅は少なくとも1種類のブロッカーオリゴヌクレオチドの存在下で行われる。このようなブロッカーオリゴヌクレオチドの使用は、Yu et al., Bio Techniques 23: 714-720, 1997に記載されている。ブロッキングオリゴヌクレオチドの使用により、亜集団の核酸の増幅について特異性の改善が可能になる。核酸とハイブリッド形成したブロッキングプローブは、この核酸のポリメラーゼ媒介性増幅を抑制、または妨害する。本方法の1態様では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、バックグラウンドDNA、すなわち組織、細胞タイプまたは器官特異的にメチル化されていないDNAとハイブリッド形成するように設計される。本方法のさらに別の態様では、該オリゴヌクレチドは、メチル化核酸とは反対に、非メチル化核酸の増幅を妨害または抑制するか、あるいはその逆であるように設計される。
ブロッキングプローブオリゴヌクレオチドは、PCRプライマーと共に重亜硫酸塩処理核酸とハイブリッド形成させる。該核酸のPCR増幅は該ブロッキングプローブの5'位で終結し、核酸の増幅は該ブロッキングプローブの相補配列が存在する箇所で抑制される。該プローブは、メチル化状態特異的様式で、重亜硫酸塩処理核酸とハイブリッド形成するように設計してよい。例えば、非メチル化核酸集団内のメチル化核酸を検出するには、「CpG」ではなく、問題の位置に「TpG」を含むブロッキングプローブを用いれば、問題の位置でメチル化されていない核酸の増幅抑制が行われる。
ブロッカーオリゴヌクレオチドを用いるPCR法では、ポリメラーゼ媒介性増幅を効率的に崩壊させるには、ブロッカーオリゴヌクレオチドが該ポリメラーゼによって伸長されないことが必要とされる。好ましくは、これは、3'-デオキシオリゴヌクレオチド、または3'位が「遊離の」ヒドロキシル基以外で誘導体化されているオリゴヌクレオチドであるブロッカーの使用によって達成される。例えば、3'-O-アセチルオリゴヌクレオチドは代表的な好ましいクラスのブロッカー分子である。
さらに、前記ブロッカーオリゴヌクレオチドのポリメラーゼ媒介性分解を排除するのが望ましい。好ましくは、この排除は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠いているポリメラーゼの使用、または、例えば、このブロッカー分子にヌクレアーゼ耐性を与えるチオ酸塩(thioate)架橋をその5'末端に有する修飾ブロッカーオリゴヌクレオチドの使用のいずれかを含む。具体的適用では、当該ブロッカーの5'修飾は必要とされない。例えば、ブロッカーおよびプライマー結合部位が重複し、これにより(例えば過剰のブロッカーを用いて)プライマーの結合が排除される場合、ブロッカーオリゴヌクレオチドの分解は実質的に排除される。この理由は、ポリメラーゼが該プライマーをブロッカー方向へ、および(5'-3'方向に)ブロッカーを通して伸長しないからであり、このプロセスが通常、ハイブリッド形成したブロッカーオリゴヌクレオチドの分解を生じるのである。
本発明のために、かつ本明細書中で提供される特に好ましいブロッカー/PCR態様は、ブロッキングオリゴヌクレオチドとしてペプチド核酸(PNA)オリゴマーの使用を含む。このようなPNAブロッカーオリゴマーは、これらがポリメラーゼによって分解も伸長もされないので、理想的に適している。
本方法の1態様では、ブロッキングオリゴヌクレオチドの結合部位は、プライマーの結合部位と同一であるか、あるいは重複し、これによりプライマーがその結合部位とハイブリッド形成するのを妨害する。本方法のさらに好ましい態様では、2つまたはそれ以上のこのようなブロッキングオリゴヌクレオチドが使用される。特に好ましい態様では、一方のブロッキングオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成はフォワードプライマーのハイブリッド形成を妨害し、別のプローブ(ブロッカー)オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成は、当該フォワードプライマーの増幅産物と結合するリバースプライマーのハイブリッド形成を妨害する。
本方法の別の態様では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、処理されたバックグラウンドDNAのリバースおよびフォワードプライマー位置間の位置とハイブリッド形成し、これによりプライマーオリゴヌクレオチドの伸長を妨害する。
特に好ましくは、ブロッキングオリゴヌクレオチドはプライマー濃度の少なくとも5倍濃度で存在する。
得られた増幅産物は、処理前の、情報性CpGジヌクレオチドのメチル化状態を確認するために分析される。
増幅産物がMSP増幅および/またはブロッキングオリゴヌクレオチドを用いて得られる態様では、増幅産物の有無はそれ自体、プライマーおよびまたはブロッキングオリゴヌクレオチドの塩基配列にしたがい、それらによってカバーされるCpG位置のメチル化状態を示す。この検出のために、すべての可能な、既知の分子生物学的方法を用いることができ、これらには、ゲル電気泳動、配列決定、液体クロマトグラフィ、ハイブリッド形成、リアルタイムPCR分析またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本方法のこの段階はさらに、先行する段階の定性的コントロールとして機能する。
標準およびメチル化特異的PCRの両者によって得られた増幅産物は、試料中の遊離浮遊DNAのCpGメチル化状態を測定するためにさらに分析される。これは、これらに限定されないが、ハイブリッド形成に基づく方法、例えばアレイ技術およびプローブに基づく技術、ならびに配列決定および鋳型統制伸長(template directed extension)のような技術によって行うことができる。
本方法のさらに別の態様では、ゲノムの、情報性CpG位置のメチル化状態は、重亜硫酸塩処理DNAとハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドプローブを、PCR増幅プライマー(このプライマーはメチル化特異的または標準的のいずれかであり得る)とともに用いて確認することができる。
本方法の特に好ましい態様は、蛍光に基づくリアルタイム定量的PCR(Real Time Quantitative PCR, Heid et al., Genome Res.6:986-994, 1996;また米国特許第6,331,393号を参照のこと)の使用である。この方法の利用には、2つの好ましい態様がある。1態様は、TaqManTMアッセイとして知られ、二重標識された蛍光オリゴヌクレオチドプローブを用いる。TaqManTMPCR反応は、伸長不能なインテロゲイティング(interrogating)・オリゴヌクレオチド、いわゆるTaqManTMプローブを使用し、該プローブは、フォワードおよびリバース増幅プライマー間に位置するCpGリッチ配列とハイブリッド形成するように設計されている。TaqManTMプローブはさらに、TaqManTMオリゴヌクレオチドのヌクレオチドと結合したリンカー部分(例えばホスホルアミダイト)と共有結合した蛍光「レポーター部分」および「消光(quencher)部分」を含む。ハイブリッド形成したプローブは増幅反応のポリメラーゼによって置換および破壊され、これにより蛍光の増加が生じる。重亜硫酸塩処理後の核酸内のメチル化の分析では、米国特許第6,331,393号(これは引用によりその開示内容全体が本明細書中に編入される)に記載されるように、当該プローブはメチル化特異的であることが必要とされ、これはまたMethylLightTMアッセイとして知られる。この技術の第二の好ましい態様では、二重プローブ技術(LightcyclerTM)を使用し、各プローブはドナーまたは受容蛍光部分を有する。2つのプローブが互いに近接してハイブリッド形成したことは、蛍光の増加または減少によって示される。これら両技術は、重亜硫酸塩処理DNAを伴う用途、およびさらに、CpGジヌクレオチド内のメチル化分析に適した様式に合わせることができる。
前記メチル化測定アッセイの定量化は、既知の量および既知のメチル化状態の内部標準DNAを導入することによって容易に実行可能であり、これは当分野で日常的に行われる通りである(説明のための図6およびNakao et al. (2000 ) Cancer Research 60: 3281-9を参照のこと)。
本方法のさらに別の態様では、遊離浮遊DNAに有意に寄与する組織、器官または細胞タイプを同定する本方法の第二段階において、鋳型を標的とするオリゴヌクレオチド伸長、例えばGonzalgo&Jones, Nucleic Acids Res. 25: 2529-2531, 1997に記載のMS-SNuPEの使用が含まれる。
本方法のさらに別の態様では、遊離浮遊DNAに有意に寄与する組織、器官または細胞タイプを同定する本方法の第二段階において、上記方法を用いて作成された増幅産物の配列決定およびその後の配列分析が含まれる(SangerF et al.(1977)Proc Nat lAcad Sci USA 74: 5463-5467)。
検査試料中に見出されたメチル化パターンは、特定組織、細胞タイプまたは器官に帰属するものとして同定される。
これは、該分析より得られた個別データセットを、以前の研究で得られたデータまたは1つまたは、好ましくはそれ以上のコントロール液に関する平行実験で得られたデータセット、のいずれかと比較することによって行われる。以前の実験で得られたデータは、種々の器官、細胞タイプまたは組織由来の種々のDNA試料中で測定される、単一マーカー遺伝子または1セットのマーカー遺伝子群のいずれかの典型的なメチル化パターンを含む。DNAメチル化パターンについてのこれらの特徴的相違は、該DNAが由来する組織、器官または細胞タイプのソースと相関させることができるものであり、該特徴的相違は価値あるデータセットとして同定保存される。図4に模式図を挙げて、この原理を視覚化する。
対応するDNA配列が腎細胞から単離された場合にのみCpG位置が特異的にメチル化されていて、該DNAが肝細胞、血液細胞、膀胱細胞または大腸細胞等から単離された場合には該CpG位置がメチル化されていないならば、該CpG位置は情報性CpG位置である。1つまたはそれ以上の情報性CpG位置を有する遺伝子は、マーカー遺伝子と称される。起源の組織と相関するこの位置のメチル化状態について、比較研究が行われるにつれて、対応するマーカー遺伝子の質はますます高くなる。DNAの起源に関する最も信頼のおける情報は、このようなマーカー遺伝子のパネルを用いていくつかのこれらマーカー遺伝子を同時に分析することから得られる。
この分析により、分析された遊離浮遊DNAの有意部分が、特定組織、器官または細胞タイプに帰属するものとして同定可能かどうかが明らかになる。
本方法の第三の段階では、特定されるソースでの医学的症状、例えば細胞増殖性または炎症性疾患が体液中へのDNA放出を引き起こしているか否かが決定される。当該器官における医学的症状の有無は、個体の検査結果を、以前の研究において自家に蓄積されたデータセットと比較することによって決定される。細胞外DNAが明瞭に主要ソースとしての特定器官または組織と関連付け可能である場合、該器官または組織をさらに分析−あるいは当該DNAを癌マーカー遺伝子を用いてさらに分析する−これは別の箇所で記載されている通りである−ことが非常に指示される。
好ましい態様では、本発明に基づく方法に追加の選択段階が加えられる。
この好ましい態様では、スクリーニングから得られる体液分析の第一の結果は、循環DNAのレベルに関する情報である。これが正常値(健康な人由来の平均値)より高い場合、これは従来、それ自体が重要な危険因子と理解されていなかったが、今はメチル化分析に関してさらに分析することを促すであろう。どの種類の器官が罹患している可能性があるか、ならびにそうであればDNAレベルの放出の原因であり得るかどうか、推測を要することなく、ならびに特定の腫瘍マーカー遺伝子に関するアッセイの使用を要せずに、本発明を用いてこのDNAの起源を示すことが可能である。これは、あらかじめ選択された組織マーカー遺伝子に関する組織特異的メチル化パターンの検出に基づくものである。このような遺伝子は情報性CpG位置を含有し、該CpG位置は、該DNAの単離元の組織に特異的にかつ識別可能的にメチル化されている。このようなマーカー遺伝子はAdorjanらによって記載されている(2002, Nucleic Acids Res. 30, e21)。組織、器官または細胞タイプ特異的メチル化マーカー遺伝子の使用により、特異的メチル化パターンを、特定組織タイプに帰属するものと解釈することが可能である。
図2には、フローチャートにより前記態様の概要が示されている。記載の方法に加えられる第一の選択段階は、遊離浮遊DNAの総量の測定であり、この後に、特定組織由来の遊離浮遊DNAの量が測定される。該選択追加段階では、段階2の前に、以下に記載するように体液中の遊離浮遊DNAが定量される:
遊離浮遊DNA総量の定量化は、当業者に標準的な任意の手段によって行うことができる。一般に使用される技術は、分光学的および/または蛍光定量的分析に基づき、例えば:臭化エチジウム-塩化セシウム(EtBr-CsCl)遠心分離勾配に2回通すことによって精製されたプラスミドDNAの希釈試料の濃度は、例えばLKB Biochrom Ultrospec II分光光度計で波長260nmおよび280nmでの吸光度に関して測定できる。あるいはビスベンズイミダゾール(bisbenzimidizole)、Hoechst H3 3258(米国Hoechst Corporation製)として知られる蛍光色素、これはDNAと結合した際に356nmでの最大励起および458の最大発光を有する、の存在下、Hoefer TKO 100ミニ蛍光光度計で460nmの発光に関して検査可能である。分光光度計では、RNAならびにDNAによる吸光度を検出するが、一方、蛍光光度計で使用されるHoechst色素は、DNAのアデノシンおよびチミジン残基と特異的に相互作用する。好ましい態様では、Invitrogen核酸定量化DNA DipstickTMキットが使用され、これは0.1ng/μlほど少量の核酸を検出するのに十分な感度を有することを主張する。残念ながら、この方法は10ng/μl以上の核酸を含有する試料を用いて使用不能である(HengenPN (1994)Trends in Biochemical Sciences19, 93-94およびその考察pp 46-47)。
好ましくは、遊離浮遊DNAの総量は、DNAと結合するとその蛍光特性が変化する蛍光色素または他の色素を挿入することによって、または、これらに限定されないがオリゴヌクレオチドまたはPNA(ペプチド核酸)オリゴマーを含むDNA特異的プローブとのハイブリッド形成、リアルタイムPCRアッセイまたは他のリアルタイム増幅手法、UV-Vis吸光度または通常の増幅手法およびその後の生成物量の測定によって測定される。
選択段階が実行された場合には更に追加の第四段階において、特定ソース由来の遊離浮遊DNAの割合に関し個体の検査結果を以前の研究において自家で蓄積したデータセットと比較し、それによって当該器官中の医学的症状の有無を決定するのが好ましい。該割合は、ソースとしての特定の細胞タイプ、組織または器官と関連付け可能な遊離浮遊DNAの量とトータル遊離浮遊DNAの量との比を作成して決定する。これらの結果に基づき、体液中の、「正常」と定義される値を超えて10%以上増加した、異常な量の特定器官または組織のDNAを有する患者を同定することが可能である。好ましい態様では、正常と定義される値を超えて、非限定的に少なくとも20%増加した遊離浮遊DNAレベルを有する患者を明確に同定することが可能である。さらに好ましい態様では、正常を超えて非限定的に少なくとも40%増加として特定される増加レベルの遊離浮遊DNAを有する患者を同定することが可能である。
さらに、かつ最も重要なことに、前記分析は、患者のDNAレベルが増加していることを示すだけでなく、この細胞外DNAが由来する場所を特定し、可能な原因を明らかにする。この分析から担当の内科医または臨床家は、疾患をその経過日数の早いうちに、顕著な徴候が現われる前に同定するための価値あるツールを得る。
本発明は、当該メチル化パターンが、他の器官、細胞タイプまたは組織と比べて、当該器官、細胞タイプまたは組織特異的であることがわかっていることを特徴とする上記方法を提供する。例えば、ある特異的CpGメチル化パターンは、分析したDNAが大腸細胞由来の場合にのみ生起し、分析したDNAが任意の他の細胞由来の場合は生起しない。
特に好ましい態様では、本方法の特徴は、他の器官または組織由来のDNA中で見出せるメチル化パターンとの関連で言えば、当該メチル化パターンは当該器官または組織に特異的に見出されることである。すなわち特異的な事実としてこのパターンは目的の医学的症状に関与している他の器官または組織中では見られず、したがって患者がおそらく診断されるはずの医学的症状には関係がない。
例えば、あるCpG位置は、腎臓の炎症性細胞由来DNAではメチル化されていても、腎臓の周辺の他の炎症性細胞ではメチル化されていないことはあり得る、しかしながら、このCpG位置は癌性肺細胞でメチル化されたかもしれない。
さらに好ましい態様では、本方法の特徴は、患者が罹患していると診断される医学的症状が腫瘍または別の細胞増殖性疾患である場合には、他の器官または組織との関連で言えば、当該メチル化パターンは当該器官または組織に特異的に見出されることである。
本発明は、器官、組織または細胞タイプ中の医学的症状の有無を検出するための方法であって、以下の諸段階を行うことを特徴とする方法を提供する:第一に、上記、個体から体液試料を収集する段階;第二に、組織、細胞タイプまたは器官特異的DNAメチル化パターンを有する遊離浮遊DNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在を測定する段階;第三に、当該組織、細胞タイプまたは器官由来の異常レベルの遊離浮遊DNAが存在するか否かを決定する段階。好ましい態様では、追加の第四段階にて、当該組織、細胞タイプまたは器官に関連する医学的症状が存在するか否かを決定する。
本発明の好ましい態様では、器官、細胞タイプまたは組織中の医学的症状の有無を検出するための方法は、さらに選択段階を行うことを特徴とする:第一に、上記、個体から体液試料を回収する段階;第二に、上記、該試料中のトータル遊離浮遊DNAの量を検出する段階;第三に、当該組織、細胞タイプまたは器官に特徴的なDNAメチル化パターンを有する遊離浮遊DNAの量を測定することによって、特定組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAの量を測定する段階;第四に、トータル遊離浮遊DNAのうち、当該特定組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAの割合を決定する段階;第五に、異常レベルのトータル遊離浮遊DNAが存在するか否かおよびトータル遊離浮遊DNAの有意部分が当該組織、細胞タイプまたは器官由来であるか否かを決定する段階および第六に、当該組織または器官に関連する医学的症状が存在するか否かを決定する段階。
さらに別の態様では、本発明は、目的の器官、細胞タイプまたは組織由来の体液中の遊離浮遊DNAの割合を測定するための方法であって、以下の段階を行うことを特徴とする方法を提供する:第一に、個体から体液試料を回収する段階;第二に、試料を調整し、表面への遊離浮遊DNAの結合を調製する段階;第三に、この表面に結合したDNAの量を測定することによって、トータル遊離浮遊DNAの量を検出する段階;第四に、当該固定化DNAを含む表面を、上記、DNA中のすべての非メチル化シトシンをウラシルに変換するが、5位メチル化シトシンは不変のままにする化学処理および/または酵素処理に付する段階;第五に、処理されたDNAを増幅する段階;第六に、該処理されたDNA中の数箇所の位置を分析し、組織、器官または細胞タイプ特異的DNAメチル化パターンを有するDNAの量または(規定の閾値を超えて検出可能な)存在を測定する段階;第七に、トータル遊離浮遊DNAのうち、当該組織または器官由来の遊離浮遊DNAの割合を決定する段階。
さらに別の態様では、上記方法は以下の追加段階を含む:異常レベルのトータル遊離浮遊DNAが存在する場合、このDNAが当該組織または器官由来であるか否かおよび当該組織または器官に関連する医学的症状が存在するか否かを決定する段階。
本発明はまた、本発明に開示されている方法のいずれかを含む疾患または医学的症状の診断方法に関する。
好ましくは、本発明に基づく方法は、疾患または医学的症状の診断のために使用される。また好ましくは、この方法は、さらに診断検査を行う際、内科医または実施者の選択の手引きとして使用される。
さらに、本発明は、体液中の遊離浮遊DNAの総量を測定する装置であって、体液の試料容量中の浮遊DNAと結合する表面およびこの固形表面に結合したDNAの量を検出するための手段を含む装置を作成する手段を開示する。該装置はさらに、表面および、該表面に結合したDNAを化学的または酵素的に修飾する試薬を含むチャンバーおよびこのチャンバー中の温度を制御および調整する手段を含むことを特徴とする。
このような表面は、DNA DipStickTMキット(供給元はInvitrogen)にて説明され、使用されるものと同一、あるいは移動性または固定されていてよい不特定の数種類のキャリアに適用された材料にDNAが選択的に結合することを可能にする他の手段の表面であってよい。該結合は、例えば、核酸の非特異的ハイブリッド形成に基づくものであり得る。この表面に結合したDNAの定量化は、当業者に標準的な任意の手段によって、あるいは例えばDNADipStickTMキット中で提供される指示書にしたがって行うことができる。さらに本発明は、該表面を、該固形表面に結合したDNAを修飾する必要な試薬および/または酵素とともに含むチャンバーまたは類似種類の閉鎖環境を作成する手段を開示する。
このチャンバー中の温度を制御および調整する手段は、当業者に標準的な手段、例えば電気温度計または温度の読み取りが可能な任意の装置を設置し、該装置を、一定方式で反応し、冷却または加温ユニットのスイッチを入れるようにプログラムされたチップと連結することによって実行することができる。
しかしながら、本発明に基づくキットはまた、上記コンポーネントのパーツのみを含有可能であり、装置を含まない。該キットは、例えば重亜硫酸塩含有試薬、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含有するプライマーオリゴヌクレオチドセット(その配列は各ケースで、特定塩基配列の18塩基長断片に一致するか、あるいはこれと相補的である)、オリゴヌクレオチドおよび/またはPNA(ペプチド核酸)-オリゴマー、ならびに記載の方法を実行し、評価するための指示書から構成されていてよい。
生物試料、例えば血液中の遊離浮遊DNAの分析を、メチル化状態分析によるその起源についての後の分析と結び付ける考えは、別の徴候がまったく観察されず、患者または内科医に対し、何を探すべきかについての手がかりが入手できない臨床段階前ですら、例えば癌の、非常に早期の徴候に関して、大集団をスクリーニングする新たな可能性を導くものである。早期検出は癌のような疾患との闘病において最も重要な段階であり、この方法は、これら疾患に対する闘病の成功に向けて重要な改善を提供する。さらに本方法は、例えば、処置後の腫瘍の進行(転移)をモニターするために用いることができ、これにより患者特異的な個別様式で該処置の用量の最適化または別の処置への適応を可能にする。
配列番号1はベータアクチンに関する第一のプライマーを示し:
TGGTGATGGAGGAGGTTTAGTAAGT;
配列番号2はベータアクチンに関する第二のプライマーを示し:
AACCAATAAAACCTACTCCTCCCTTAA;そして
配列番号3はベータアクチンに関するプローブを示す:
ACCACCACCCAACACACAATAACAAACCA。
配列番号4はEYA4遺伝子に関するフォワードプライマーを示し:
GGTGATTGTTTATTGTTATGGTTTG;
配列番号5はEYA4遺伝子に関するリバースプライマーを示し:
CCCCTCAACCTAAAAACTACAAC;
配列番号6はEYA4遺伝子に関するフォワードブロッカーを示し:
GTTATGGTTTGTGATTTTGTGTGGG;
配列番号7はEYA4遺伝子に関するリバースブロッカーを示し:
AAACTACAACCACTCAAATCAACCCA;そして
配列番号8はEYA4遺伝子に関するプローブを示す:
AAAATTACGACGACGCCACCCGAAA。
実施例1
血漿試料に関する器官特異的メチル化パターン分析
軍隊での服役中に、気付かないうちに高レベルの放射能に曝露されていた患者から血液試料を採取した。現在、当人は腫瘍性疾患、例えば腫瘍を発症しているかどうか知ることを望んでいる。担当の内科医は、患者が、頭痛を含む、種々の器官での不特定の疼痛について訴えた以外いかなる典型的症状をも発見していない。
血液試料20 mlをヘパリン中で収集した。血漿およびリンパ球をフィコール勾配によって分離した。コントロールリンパ球および血漿DNAを「血液および体液プロトコール(blood and body fluid protocol)」にしたがってQiagenカラム(Qiamp Blood Kit, Qiagen, Basel, Switzerland)で精製した。血漿を同カラムに通した。血漿約10mlを精製後、DNA350ngを得た。このDNAをOlekA, Oswald J, Walter J. (1996)「重亜硫酸塩に基づくシトシンメチル化分析の修正方法および改良方法」Nucleic Acids Res. 24:5064-6に記載されているように亜硫酸水素ナトリウム処理に付した。当該重亜硫酸塩処理DNAの一定量を配列決定に基づくメチル化分析に用いた。個体の検査結果を、図7に示されるように以前の既知組織および細胞タイプの試料から得られたデータセットと比較した。この結果、患者の血液中のDNAの有意部分が肺由来であると決定することができた。該結果を内科医に返信し、そして内科医は、肺の炎症性または細胞増殖性疾患に特化した病院に該患者を紹介した。
実施例2
血清試料に関する器官特異的メチル化パターン分析
腫瘍性疾患、例えば腫瘍を発症しているかどうか知ることを望んでいる患者から血液試料を採取した。担当の内科医は、患者が、ランダムに発生する不特定の胃痛、反復性の頭痛および腎臓痛について訴えた以外いかなる典型的症状をも発見していない。
この患者から血清試料を採取した。Qiampキットを使用してDNAを血清から単離し、実施例1に記載のように重亜硫酸塩処理した。
典型的メチル化パターンは、比較的多数の種々の情報性CpG部位のメチル化状態を分析して決定でき、この部位は種々の組織および器官に関するマーカーとして同時に使用した。これはまず、情報性CpG位置を含有する重亜硫酸塩処理DNAの断片をのみ特異的に増幅するよう設計された特異的プライマーを用いて関連する断片を増幅することによって行った。これらの増幅産物を蛍光色素で標識した。一組の検出オリゴはそれぞれ、特定器官に特徴的であるようにメチル化されていた重亜硫酸塩処理核酸の増幅産物とのみ特異的にハイブリッド形成するよう設計されている。この検出オリゴは、当該CpG位置が特定器官または組織にてメチル化されている場合にCG(あるいは該CpG位置が特定器官または組織にてメチル化されていない場合にはTG)を含有する。これらのオリゴを固形表面に固定し、チップを提供した。標識した増幅産物を該チップとハイブリッド形成させ、ハイブリッド形成しない増幅産物を除去した。チップ上のシグナルパターンを次いでメチル化パターンに変換したが、これが特定器官を示すものである。
前記患者のDNAメチル化パターンの分析から、該DNAの有意部分は大腸由来であるとの結論を得た。
これにしたがって、内科医は前記重亜硫酸塩処理DNAに対する第二の分析を開始した。該内科医は前記患者のDNAに二度目の検査を要し、この場合は、大腸マーカーEYA4にのみ特異的な検査であった。主要なシグナルは、以下のEYA4-HeavyMethyl MethyLightアッセイを用いて検出することができた。該メチル化状態は、EYA4大腸マーカー遺伝子のCpGアイランドおよびコントロール遺伝子を平行して検定するように設計されたHM MethyLightアッセイを用いて測定した。該CpGアイランドアッセイは両ブロッキングオリゴおよびtaqmanRスタイルプローブ中のCpG部位に適用されるが、コントロール遺伝子はそうでない。
(方法)
前記CpGアイランドアッセイ(メチル化アッセイ)は以下のプライマーおよびプローブを用いて行った:
コントロール遺伝子:ベータアクチン(Eads et al., 2001):
プライマー:TGGTGATGGAGGAGGTTTAGTAAGT (配列番号1);
プライマー:AACCAATAAAACCTACTCCTCCCTTAA (配列番号2);および
プローブ:ACCACCACCCAACACACAATAACAAACCA (配列番号3)
EYA4遺伝子
フォワードプライマー:GGTGATTGTTTATTGTTATGGTTTG (配列番号4)
リバースプライマー:CCCCTCAACCTAAAAACTACAAC (配列番号5)
フォワードブロッカー:GTTATGGTTTGTGATTTTGTGTGGG (配列番号6)
リバースブロッカー:AAACTACAACCACTCAAATCAACCCA (配列番号7)
プローブ:AAAATTACGACGACGCCACCCGAAA (配列番号8)。
反応は、個体DNA試料に対して各3回、以下の検定条件で行った:
反応溶液:(400 nMプライマー;400 nMプローブ;10μM両ブロッカー;3.5 mM塩化マグネシウム;1x ABI Taqman バッファー;1単位のABI Taq Goldポリメラーゼ;200μMdNTP;およびDNA50ng含有溶液7μl、最終反応容量20μl中);
サイクル条件:(95℃で10分間);(95℃で15秒間、64℃で1分間(2サイクル));(95℃で15秒間、62℃で1分間(2サイクル);(95℃で15秒間、60℃で1分間(2サイクル));および(95℃で15秒間、58℃で1分間、60℃で40秒間(41サイクル))。
当該断片の増幅は、(EYA 4の)当該情報性CpG位置における特異的メチル化パターンの存在を示した。検査結果および蛍光シグナルの強度を、他の試料から得たデータセットと比較した結果、当該患者の試料中のDNAの有意部分は大腸由来であると決定することができた。この結果から、内科医は該患者を胃腸疾患の専門医に紹介することができた。
実施例3
別のケースにて、前記内科医は別の戦略にしたがった。該内科医はまず、前記患者の血清中の遊離浮遊DNAの総量に関して検査したが、これは該検査があまり高い費用を要せず、かつ該患者の保険によってまかなえたからである。該血液試料は研究室に送られた。3000gで20分間遠心分離することによって血液細胞から血漿を分離した後、Wong et al.(1999),Cancer Res 59: 71-73およびLo et al. (1998) Am. J. Genet. 62: 768-775参照の血液および体液プロトコールにしたがい、QIAamp Blood Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて血漿由来のDNAを抽出した。該血清試料中のトータル遊離浮遊核酸のレベルは、細胞増殖性疾患を患っていない健康なドナー由来の試料中の通常値より20倍高いことを決定した。この「正常」値を確立したデータは、多数の試料に基づく以前の研究にて得たものであり、これは規制官庁によって承認されたものである。これらのデータはそのデータセットに保存された。
前記患者が平均より20倍高い血清中の遊離浮遊DNAのレベルを有するという知見により、内科医は該患者が細胞増殖性疾患を患っている可能性が高いことを診断できた。この診断により、疾患の種類をさらに特定する、より有益な検査のために保険の支払いが下りた。
該内科医は次いで、該患者の血清中の遊離浮遊DNAが由来する場所を決定する目的で該DNAのメチル化分析を依頼した。このDNAを上記のように亜硫酸水素ナトリウムで処理した。メチル化パターン分析は、マーカー核酸を含有する多数の情報性CpG部位および他の試料から収集された、結果比較用データセットを用いて(図4で説明されているように)行った。該分析は、該遊離浮遊DNAの有意部分が肝臓由来であることを示した。この時点で内科医は該患者を肝臓腫瘍について指定の癌専門医に紹介した。
実施例4
ある研究チームは、特定環境条件にさらされてきた集団における肺特異的疾患、例えば肺癌の発症の危険を同定することに関係している。これらの条件は近年にしか発生していないため、該集団におけるこれまでに蓄積された癌の発生に関するデータは入手できない。したがって彼らは、発症疾患の早期徴候を発見できるかどうかに関して、個体の体液の分析を用いる。多数の個体から痰試料を収集した。
これらの痰試料を以下のように分析した:痰試料を3000 x gで5分間回転させ、リン酸緩衝食塩水で2回洗浄した。細胞ペレットを1% SDS/プロテイナーゼKで消化し、DNAを抽出し、「血液および体液プロトコール」にしたがいQiagenカラム(Qiamp Blood Kit,Qiagen, Basel, Switzerland)を用いて精製した。得られたDNAを、Olek A, Oswald J,Walter J.(1996)重亜硫酸塩に基づくシトシンメチル化分析の修正方法および改良方法、Nucleic Acids Res. 24: 5064-6に記載のように、亜硫酸水素ナトリウム処理に付した。この重亜硫酸塩処理DNAの一定量をメチル化分析に用いた。当該研究は肺疾患を探すためにのみ設計したため、該分析は、肺細胞で特異的にメチル化されているが、痰試料中に存在する可能性がある他の細胞ではメチル化されていない、情報性CpG部位の使用に限定した。該メチル化分析は高感度検出アッセイに基づく。本明細書中に記載されるようにHMアッセイを用いて第一の結果を得た。プライマーは、肺細胞由来のDNA中のみにてすべてメチル化されている7つの種々CpG部位を含有する断片を増幅するよう設計した。ブロッキングオリゴは、該CpG部位が重亜硫酸塩処理前にメチル化されていなかった場合にのみ、重亜硫酸塩処理DNA中のこれらの部位のうち2つとハイブリッド形成するよう設計した。一対のLightcyclerプローブは、2つの異なる情報性CpG部位がメチル化されていた場合の重亜硫酸塩処理DNAの増幅断片とのみ結合するよう設計した。このように、蛍光シグナルの生成によって存在を示し、DNAの総量中の肺由来DNAの量は、標準化された量のコントロールDNAによって生成されるシグナルと比較して、検出可能なシグナルを生成するのに要するサイクル数によって定量した。
一次検査の結果は、MSPプライマーを、Taqmanプローブの使用と組み合わせて用いて確認した。MSPプライマーは、肺細胞にてメチル化されているが、他の細胞ではメチル化されていないCpG部位のうち2つおよび3つを含有する重亜硫酸塩処理配列と特異的に結合するよう設計した。Taqmanプローブは、該増幅産物中の他の2CpG部位と、これらが重亜硫酸塩での処理後に無修飾(処理前のメチル化シトシン)である場合にのみ結合するよう設計した。これにより、Taqmanプローブの蛍光シグナルによって増幅産物の存在を示し、第一の結果を確認した。
大多数の個体は、その痰試料中に、肺に特徴的なメチル化パターンを示す遊離浮遊DNAを示さなかったので、彼らはその痰試料中に肺由来DNAを含有しないと決定した。該集団は肺特異的細胞増殖性疾患を発症しておらず、それゆえ該環境条件が腫瘍性または炎症性疾患、例えば肺癌または肺炎を発症する危険を増加させていると考える理由はないと決定した。
図1は、記載される本発明の対象である方法の概要を提供するフローチャートを示す。 図2は、好ましい態様として記載される選択段階を含む方法の概要を提供するフローチャートを示す。 図3は、血清試料中の遊離浮遊DNAのレベルを、疾患の有無と関連して測定した実験の結果を示す。DNAはQiagen Ultra Sensキットを用いて抽出し、ピコグリーン蛍光アッセイを用いて定量した。Y軸で示される値は、ナノグラム/ミリリットルで与えられる。種々カラムは試料ソースと関連する:健康なドナー由来の血清試料中のDNAレベル(カラムB)を18肺癌患者(カラムC)、19大腸癌患者(カラムD)および24乳癌患者(カラムE)の血清試料中のDNAレベルと比較した(カラムAは健康なドナーの血漿試料中のDNAのレベルに関する値を提供する)。各罹患群(カラムC、DおよびE)由来の血清中の遊離DNAのレベルは約200ナノグラム/ミリリットルまたはそれより高い。これは第一に、癌患者由来の血清試料中の平均レベルが、健康なドナー由来の血清試料中のDNAの平均レベルより有意に高いことを確認するものであり、第二に、メチル化パターンの分析用に十分な量のDNAが存在することを示す。 図4は、種々のメチル化パターンがどのように種々の器官と関連付け可能かを示す模式図である。円はメチル化CpG位置を示す。種々の数字は、ゲノム内の種々の情報性CpG位置を示し、これは器官特異的メチル化パターンを示す。同カラムの異なる列に円がない場合、同一CpGはメチル化されていない。右側の文字は以下の通り種々の器官を示す:A:脂肪、B:乳房、H:肝臓、L:肺、M:筋肉およびP:前立腺。 図5は、特異的マーカーDNAに関して検出された腎臓由来DNA中の特定CpG (1-10)のDNAメチル化パターンを、該DNAが前立腺由来である場合に同一マーカーDNAに関して検出されたDNAメチル化パターンと比較した研究の結果を示す。このイメージの上の文字は、試料が腎臓試料(Z)であるか、または前立腺試料(Y)であるかを示す。イメージの下の文字は分析された種々の試料を示す。20の種々前立腺試料(A〜S)および18の種々腎臓試料(A〜R)を分析した。識別可能にメチル化されていると予測された特定CpG位置を、これら組織の識別能に関して分析した。単離され、重亜硫酸塩処理されたDNAを増幅し、その組織ソースにしたがって標識した。該増幅産物を固形表面上に配列されたオリゴセットとハイブリッド形成させた(Adorjan et al.(2002) Nucleic Acids Res. 30, e21)。該オリゴは、特定CpG含有配列に対して、これらが処理前にメチル化されていた場合にのみ、あるいはこれらが処理前にメチル化されていなかった場合にのみハイブリッド形成するように設計された。この図の右側の数字は種々のCpG位置を示し、これらのうちいくつかは同一遺伝子に帰属する。検査されたCpGはいずれの遺伝子から関連付け可能であるかを以下のリストに挙げる: 情報性CpG位置を次の遺伝子またはその調節領域いずれかにて見出した:1: APOC 22: WT 1 (ウィルムス腫瘍遺伝子)3: DAD 14: c-myc5: UBB6: ATP67〜10: GP1 BB (4つの異なるCpG位置)さらに詳細な情報に関しては、Adorjan et al. (2002) Nucleic Acids Res. 30, e21を参照のこと。 図6は、リアルタイムPCR法にてハイブリッド形成プローブを用い、どのように特定DNAを定量可能であるかを示す。当該方法は増幅産物内の規定の配列に対する両標識オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成を必要とし、Lightcycler技術などで蛍光が生成され、これはこの特定断片の増幅を示す。次いで、このシグナルが劇的に増加するまでに何サイクル要するかを測定する。これはいわゆる「閾値サイクル数」と称される。該閾値サイクル数を既知のDNA量の標準試料の閾値サイクル数と比較することによって、鋳型量を容易に決定できる。図6では、x軸で増幅サイクル数が示される。y軸では、蛍光のレベルが提供される。曲線Aは、104コピーの濃度の鋳型に関するLightcyclerの結果であり、曲線Bは10コピーの濃度に関する結果、そして曲線Cは鋳型がまったく存在しない場合(0コピー)に関する結果を示す。非常に低い鋳型濃度でさえ、30サイクル以上の後にも非特異的シグナルは実質的に観察できない。したがって、ハイブリッド形成プローブを用いるDNA定量化は、感度が良く、かつ非常に特異的である。 図7は、4つの異なる組織由来のDNA中の特定CpG (1-10)のDNAメチル化パターンを分析した研究の結果を示す。このイメージの上の文字は、分析された試料が脳組織(R、4試料)、乳房組織(B、6試料)、肝臓組織(H、2試料)または筋組織(M、5試料)由来のいずれであるかを示す。図7は、ゲノム内の特定の情報性CpG位置が、分析されたDNAが由来する器官、組織または細胞タイプに応じてどれほど特異的にメチル化されているかを示す。各列は1CpG位置に関する特異的メチル化分析の結果を示す。これらのデータは重亜硫酸塩配列決定によって得、可視化ツールを用いてこのイメージに変換し、このイメージでは、そのCpG位置の高度のメチル化は、図の左に提供される色片の上部の色によって示され、非常に低度のメチル化は該色片の底部の色によって示される。

Claims (5)

  1. 特定器官、細胞タイプまたは組織中の細胞増殖性疾患および炎症性疾患の存在を、当該特定組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAのレベルに異常が存在するか否かに基づいて検出するための方法であって、以下の諸段階:
    a)体液試料中のトータル遊離浮遊DNAの量を検出する段階;
    b)組織、細胞タイプまたは器官に特徴的なDNAメチル化パターンを示す遊離浮遊DNAを測定することによって、当該特定組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAの量を測定する段階;
    c)特定の組織、細胞タイプまたは器官に特徴的であるDNAメチル化パターンを分析することを含む、トータル遊離浮遊DNAのうちの、当該特定組織、細胞タイプまたは器官由来の割合を決定する段階;
    を含む方法。
  2. 体液中の、目的の器官、細胞タイプまたは組織由来の遊離浮遊DNAの割合を測定するための方法であって、以下の諸段階:
    a)体液試料を調整し、固形表面への遊離浮遊DNAの結合を可能にする段階;
    b)トータル遊離浮遊DNAの本質的画分を該表面と結合させる段階;
    c)表面に結合したDNAの量を測定することによって、トータル遊離浮遊DNAの量を検出する段階;
    d)結合したDNAを含む表面を、DNA中のすべての非メチル化シトシンをウラシルに変換するが、5位メチル化シトシンは不変のままにする化学処理および/または酵素処理に付する段階;
    e)処理されたDNAを増幅する段階;
    f)処理されたDNA中の数箇所のメチル化特異的位置を分析し、これにより組織、細胞タイプまたは器官に特徴的なDNAメチル化パターンを示すDNAの量を測定する段階;および
    g)トータル遊離浮遊DNAのうち、当該組織、細胞タイプまたは器官由来の割合を決定する段階、
    を含む方法。
  3. 特定の器官、細胞タイプまたは組織中の細胞増殖性疾患および炎症性疾患の存在を、当該特定組織、細胞タイプまたは器官由来の遊離浮遊DNAのレベルに異常が存在するか否かに基づいて検出する方法であって、請求項に記載の方法を含む方法。
  4. DNAと結合するとその蛍光特性が変化する蛍光色素または他の色素の導入、オリゴヌクレオチドおよびPNAオリゴマーを含む群から選択されるDNA特異的プローブとのハイブリッド形成、リアルタイムPCRアッセイまたは他のリアルタイム増幅手法、UV-Vis吸光度、または増幅反応後に生成物量を測定する手法、によって遊離浮遊DNAの総量を測定することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1に記載の方法に用いるための、血清中の遊離浮遊DNAの総量を測定するためのキットであって、
    −体液の試料体積中に浮遊するDNAと結合する固形表面
    表面に結合したDNAの量を検出するための手段
    表面に結合したDNAを化学的または酵素的に修飾する試薬
    表面および試薬を含む容器、および
    −当該容器中の温度を制御および調整する手段
    を含むキット。
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