JP4726654B2 - インバータ駆動モータの絶縁評価方法及びその方法を利用した設計方法、検査方法、診断方法並びにそれらの装置 - Google Patents

インバータ駆動モータの絶縁評価方法及びその方法を利用した設計方法、検査方法、診断方法並びにそれらの装置 Download PDF

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本発明は、インバータ駆動モータの絶縁評価方法及びその方法を利用した設計方法、検査方法、診断方法並びにそれらの装置に関する。
近年、省エネルギー及び高効率化の観点から、インバータ電源を用いてモータを可変速運転することが盛んに行われている。ところで、インバータ電源からモータに印加される電圧はパルス電圧(以下、インバータパルス電圧という。)であるから、モータ絶縁材料の絶縁性能の評価はパルス電圧を考慮する必要がある。
しかし、正弦波に対するモータ絶縁材料の絶縁評価データ、設計方法、検査方法、診断方法は確立されているが、インバータパルス電圧に対する絶縁評価データ、設計方法、検査方法、診断方法は必ずしも確立されておらず、現在、様々な分野によって鋭意検討がなされている。例えば、非特許文献1に、インバータパルス電圧下における絶縁材料の部分放電特性の評価が紹介されている。
また、特許文献1には、従来から蓄積されてきた正弦波の絶縁寿命データをベースとして、インバータパルス電圧下の絶縁材料の寿命を推定する方法が提案されている。これによれば、インバータパルス電圧に伴う絶縁劣化は、パルス電圧の立ち上がり時間が最も重要な電圧パラメータであると考えている。また、インバータパルス電圧の立ち上がり時間は正弦波電圧に比べて短いため、部分放電開始電圧が増加し、部分放電開始電圧の増加分だけ正弦波に比べて絶縁物の寿命特性が高電圧側にシフトすると考えている。
電気学会技術報告第739号、p.22〜29,1999年8月 特開平9−80006号公報
しかし、インバータパルス電圧に対する絶縁性能を評価するにあたって、インバータパルス電圧の立ち上がり時間以外に、インバータパルス電圧の立下り時間、パルス幅、単極性/両極性、極性反転の有無、周波数などの種々の電圧パラメータが関係してくる。それにもかかわらず、従来の絶縁評価では、電圧パラメータが個々の検討毎に異なっているため、どの電圧パラメータが部分放電特性に影響しているのか必ずしも明確ではなく、かつ実際の製品にどのように適用してよいかも不明確であった。そのため、従来の測定結果を、必ずしも直ちにインバータ駆動モータの絶縁設計、検査、診断に反映することができなかった。
仮に、電圧パラメータの中からインバータパルス電圧に起因する絶縁劣化において、最も影響が大きいと考えられる電圧パラメータを1つもしくは複数仮定し、絶縁材料やモータの絶縁特性、とりわけ絶縁材料やモータの寿命を計測するとすれば、長期間の試験時間が必要となり、近年普及が著しいインバータ駆動モータの設計等に適用するのは困難である。
また、特許文献1の従来技術のように、インバータパルス電圧の立ち上がり時間で評価するとしても、実際のフィールドでは、同じ立ち上がり時間のインバータパルス電圧が印加された場合でも、絶縁破壊に至るモータと絶縁破壊に至らないモータとが存在する。したがって、必ずしもインバータパルス電圧の立ち上がり時間だけに着目してモータの絶縁寿命を評価することはできない。
これらのことから、少なくともインバータ駆動モータの場合、モータ端子で観測されるインバータパルス電圧に対する絶縁材料の寿命を評価するだけなく、モータ機器内部の電圧波形や絶縁特性を検討して、絶縁評価、設計、検査、診断を行う必要があることが考えられる。
そこで、本発明は、従来技術の状況に鑑み、インバータ駆動モータの絶縁評価方法を確立することを課題とする。
また、本発明は、その絶縁評価方法を利用した設計方法、検査方法、診断方法並びにそれらの装置を提供することを他の課題とする。
本発明の課題は、次の手段により解決することができる。
本発明のインバータ駆動モータの絶縁評価方法は、基本的に、インバータ駆動モータの巻線ターン間に発生するピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧とし、該試験電圧を試料絶縁材に連続課電して前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tpを計測し、前記ピーク電圧Vmと前記寿命時間tpとの関係を前記試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得し、取得した前記絶縁寿命特性に基づいて前記試料絶縁材の絶縁性能を評価することを特徴とする。
すなわち、モータに印加されるインバータサージ電圧がモータ巻線に印加されると、サージ電圧はモータ巻線を伝播する電圧波となる。この際、モータ巻線の巻き始めから巻き終わりまで伝播するときの伝播遅れが原因となり、同一巻線の巻線ターン間に大きなサージ電圧が分担される。モータ巻線に印加される電圧が正弦波の場合は、電圧の立ち上がり時間が巻線のサージ伝播時間に比し長いため、伝播遅れは発生せず、正弦波電圧は各巻線ターン間で均等に分担される。しかし、立ち上がりが急峻なサージ電圧の場合は、巻線の口出し側のターンにはサージ電圧波が到達していても、内部側ターンにはサージ電圧波が到達していない状態が発生し、巻線ターン間に大きな電圧が発生する。一般に、巻線ターン間の絶縁は巻線とコアを絶縁する対地絶縁などに比し1/10程度の厚みであり、インバータ駆動モータでは、巻線ターン間の絶縁が最も厳しいことになる。また、インバータサージ電圧がモータ巻線に印加されたとき巻線ターン間に発生する電圧を計測したところ、巻線ターン間にはパルス幅の狭い両極性交互パルス電圧が発生している。
そこで、本発明は、巻線ターン間に発生するモータ巻線ターン間分担電圧のピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧として試料絶縁材の寿命時間tpを計測し、ピーク電圧Vmに対する寿命時間tpの変化をその試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得することにより、インバータパルス電圧に対するモータ巻線ターン間の絶縁に使用される絶縁材の性能を評価することができる。
また、本発明の絶縁評価方法の他の態様として、インバータ駆動モータの巻線ターン間に発生するピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧とし、該試験電圧を試料絶縁材に課電して前記両極性交互パルス電圧の1サイクルあたりの部分放電発生頻度Npを計測するとともに、前記ピーク電圧Vmを有する周波数fpの正弦波電圧を前記試料絶縁材に課電して該正弦波電圧の1サイクルあたりの部分放電発生頻度Nsと前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tsを計測し、前記両極性交互パルス電圧を前記試料絶縁材に課電したときの前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tpを、次式(1)により推定し、
tp=(Ns/Np)・ts (1)
該推定された前記寿命時間tpと前記ピーク電圧Vmとの関係を前記試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得し、取得した前記絶縁寿命特性に基づいて前記試料絶縁材の絶縁性能を評価することを特徴とする。
すなわち、絶縁破壊までの時間の計測では、低電圧領域では寿命が長くなり、絶縁破壊までの寿命時間の計測が長期にわたる場合がある。この点、同一の絶縁材試料に対する正弦波電圧の破壊までの寿命時間tsは、パルス幅の狭いパルス電圧に比して比較的短いから、低電圧・長寿命領域では正弦波電圧の寿命時間tsに基づいて、上記式(1)によりtpを推定することができる。上記式(1)は、言い換えれば、正弦波の試験電圧で計測した寿命時間tsを(Ns/Np)だけシフトさせて、両極性交互パルス電圧下における絶縁寿命特性を得ることを意味する。なお、正弦波電圧の寿命時間tsのデータは、同一の絶縁材試料について、過去に計測したデータがあれば、その過去の計測データを用いることができる。
また、本発明の上記のいずれの絶縁評価方法においても、前記ピーク電圧Vmと前記パルス幅twは、前記モータの端子における対地間サージ電圧の大きさΔVと立ち上がり時間tr及び繰り返し周波数fpをシミュレーション又はモータを用いた計測により求め、該求めた対地間サージ電圧の大きさΔVと立ち上がり時間trを有するサージ電圧をモータ端子の対地間に印加したときのピーク電圧Vmとパルス幅twをシミュレーション又はモータを用いた計測により求めることにより得ることができる。この場合において、前記対地間サージ電圧に代えて、前記モータの端子における相間サージ電圧を用いることができる。
また、本発明の絶縁評価方法において、前記モータの巻線ターン間に発生する電圧が振動波形の場合は、前記両極性交互パルス電圧として前記振動波形の周波数及び減衰時定数を反映した幅の狭い両極性交互パルス電圧を用いることが好ましい。また、本発明の絶縁評価方法において、前記試料絶縁材が初期から絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度を計測及び記録しておくことが望ましい。
以上述べたように、本発明の絶縁評価方法によれば、インバータサージ電圧が印加されたときにモータ巻線ターン間に発生する幅の狭い両極性繰り返し交互パルス電圧を用いて絶縁材料の部分放電特性、絶縁寿命特性を評価しているため、インバータ駆動モータの巻線ターン間の絶縁材料の正確な評価及び設計が可能となる。特に、幅の狭いパルス電圧下における部分放電発生頻度及び絶縁寿命時間に着目しているため、高精度のモータ巻線ターン間の絶縁寿命特性を得ることができる。
本発明のインバータ駆動モータの絶縁設計方法は、本発明の絶縁評価方法を応用して実現できる。まず、上記のいずれかのインバータ駆動モータの絶縁評価方法により取得された試料絶縁材の絶縁寿命特性を準備する。そして、設計対象のモータの巻線ターン間に発生する分担電圧のピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを設定し、設定したピーク電圧Vmにおける寿命時間tpを前記試料絶縁材の絶縁寿命特性(Vm−tp特性)に基づいて求め、求めた寿命時間tpが製品に要求される寿命に比し長い場合には、その試料絶縁材を用いたモータの耐サージ電圧仕様と絶縁材の厚み、材質の設計仕様を決定する。そして、その設計仕様に従って製品を設計して、生産する。
また、本発明のインバータ駆動モータの絶縁検査方法は、本発明の絶縁評価方法を応用して実現できる。まず、上記のいずれかのインバータ駆動モータの絶縁評価方法により取得された試料絶縁材の絶縁寿命特性を準備する。具体的には、ピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを有する両極性交互パルス電圧の1サイクルあたりのピーク電圧Vmと部分放電発生頻度Npの関係データ、及びモータ巻線ターン間のピーク電圧Vmと絶縁寿命時間tpの関係データを準備し、これらの関係データのVmを、該電圧を対象モータの巻線ターン間に印加するのに必要な大きさΔVのサージ電圧に変換して標準品モータの絶縁寿命特性として設定する。次いで、モータ端子における対地間サージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間tr、周波数fpのパルス電圧又は実際のインバータ電源のパルス電圧を検査対象に課電し、前記パルス電圧の1サージ電圧サイクルあたりの部分放電発生頻度Nxを計測する。そして、計測した部分放電発生頻度Nxと前記標準品モータの絶縁寿命特性に基づいて大きさΔVのサージ電圧を課電したときの絶縁寿命時間tpと部分放電発生頻度Npを求めて、次式(2)により、検査対象の絶縁寿命時間txを求め、求めた絶縁寿命時間txと設定された要求寿命時間とを比較して検査対象の絶縁を検査する。
tx=(Np/Nx)・tp (2)
なお、検査対象製品の絶縁寿命特性は、標準品の絶縁寿命特性を(Np/Nx)だけシフトして作成する。得られた検査対象製品の絶縁寿命特性(ΔV―tx)において、絶縁寿命時間txが要求寿命以上であれば合格とし出荷する。
一方、不良品となった場合には、インバータ駆動モータのモータ端サージ電圧の大きさΔVを小さくするか、立ち上がり時間trを長くできるかどうかを検討し、可能であれば仕様を限定した上で合格として出荷する。また、モータ端サージ電圧が振動波形の場合には、その振動周波数、減衰時定数を反映したサージ電圧をモータに印加する。なお、モータ試験用のパルス電源の電圧立ち上がり時間が、実際にインバータでモータを駆動したときにモータ端で観測されるサージ電圧の立ち上がり時間と異なる場合には、モータ巻線ターン間に前記ピーク電圧Vmを印加するのに必要なだけ、モータ試験用パルス電源のサージ電圧の大きさΔVを高くあるいは低くする。
このように、本発明のインバータ駆動モータの絶縁検査方法によれば、検査対象の製品毎に部分放電発生頻度及び絶縁寿命特性を計測しているため、寿命が短い不良品の出荷を防止できる。さらに、不良品については絶縁破壊するまで課電し続けることで、製品の課電寿命推定精度を向上できるとともに、不良箇所を探索して特定し、材料及び生産工程における不良原因を排除することができる。
また、本発明のインバータ駆動モータの診断方法は、本発明の絶縁評価方法を応用して実現できる。まず、ピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を課電して得られた試料絶縁材が絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度の経時変化データと、絶縁寿命特性を準備し、Vmを、該電圧を対象モータの巻線ターン間に印加するのに必要な大きさΔVサージ電圧に変換し、これを標準品のモータの部分放電信号強度の経時変化データ及び絶縁寿命特性として設定する。
次に、診断対象のインバータ駆動モータの製品(以下、フィールド製品という。)について、絶縁破壊に至る前に機器を交換することを推奨するマージン時間xを決める。一方、標準品の部分放電信号強度の経時変化データにおいて、絶縁寿命tpよりもx年前の部分放電信号強度を求め、これを製品交換の部分放電信号強度の閾値θthとする。そして、フィールド製品の部分放電を、常時もしくは定期的に計測し、これを部分放電信号強度の閾値θthと比較し、部分放電信号強度が閾値θthを超えた場合には、製品を新品に交換する。
このように、本発明のフィールド製品の診断方法によれば、巻線ターン間の絶縁材料の正確な評価で得た部分放電信号強度の経時変化に基づいて、絶縁劣化診断及び故障前部品交換を行うことができるため、フィールド製品の故障を未然に防ぐことができる。また、フィールド劣化品の劣化状況、及び継続して課電し絶縁破壊させたときの破壊箇所を観察して劣化原因を特定することにより、劣化に強いモータの材料、設計・生産技術を開発することができる。
本発明によれば、インバータ駆動モータの絶縁評価方法を確立することができる。
また、本発明の絶縁評価方法を利用したインバータ駆動モータの設計方法、検査方法、診断方法を実現できる。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1に、本発明のインバータ駆動モータの巻線ターン間の絶縁評価方法、絶縁設計方法、生産、絶縁検査方法、保全診断方法の関連概念図を示す。図1に示すように、モータ製品の製造フローとしては、始めに材料の評価を行い、得られたデータを基に製品を設計して生産する。製作された製品はそれぞれ品質検査されて出荷される。出荷された製品は常時もしくは定期的に絶縁劣化の診断が行われ、絶縁破壊に至る劣化の兆候が認められた場合には故障前に製品あるいは製品の部品交換を行う。これらの製品フローの各段階において、絶縁材料や製品の絶縁評価が必要となる。
ここで、本発明の特徴に係るインバータ駆動モータの絶縁評価は、図2及び図3に示す評価方法及び装置により実施される。また、インバータ駆動モータの絶縁検査は、図7及び図8に示す検査方法及び装置により実施される。さらに、インバータ駆動モータの絶縁劣化診断と故障前部品交換は、図16及び図17に示す診断方法及び装置により実施される。各方法及び装置では、絶縁材料やプロセスの評価結果及び改良に必要なデータが測定される。
絶縁材料の評価段階では、絶縁寿命−電圧特性の測定、部分放電発生頻度−電圧特性の測定、初期から絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度の経時変化の測定が行われる。
また、絶縁検査の段階では、それぞれの製品の絶縁寿命−電圧特性の測定、不良品の実寿命測定と製品寿命推定精度の向上、製品絶縁破壊・不良箇所の探索、不良原因の特定が行われる。
また、保全及び診断の段階では、絶縁劣化診断及び故障前製品あるいは製品の部品交換に必要な評価が行われる。例えば、フィールド製品の部分放電劣化特性の測定、回収品の残存寿命の測定、データの蓄積、絶縁劣化し易い弱点箇所の探索と原因特定が行われる。これらの測定データは、再び製品製造フローにフィードバックされ、各段階で、あるいは段階間で連携を取りながら、絶縁材料、設計及び生産、検査、診断技術、製品品質の向上が行われる。以下、各段階の実施例について詳細に説明する。
図2及び図3を参照して、本発明のインバータ駆動モータの絶縁評価方法及び装置の一実施例を説明する。図2は、本発明の一実施例の絶縁評価装置の構成を示している。本実施例の絶縁評価装置は、試験電源部1と、部分放電計測部2と、データ計測記録装置3で構成される。評価対象の試料絶縁材4は、モータ巻き線ターン間の絶縁部を模擬した要素モデルが用いられる。例えば、巻き線に用いる絶縁電線を撚り合わせた要素モデル、あるいは、平行巻電線試料などが使用される。
試験電源部1は、ピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpの両極性交互パルス電圧を発生するように構成されている。試験電源部1は、ピーク値で0〜15kV以上のピーク電圧Vmを発生できることが望ましい。また、パルス幅twは5μs以下であり、特に0.1〜1.0μsの範囲では0.1μs以下の刻みでパルス幅twを常時もしくは電圧停止時に可変できることが望ましい。また、周波数fpは、インバータ電源のスイッチング周波数によって決まる。
部分放電計測部2は、パルス電圧を試料絶縁材4に印加したときの部分放電発生頻度−電圧特性、及び継続して一定のパルス電圧を課電した際に試料が絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度と絶縁破壊に至るまでの絶縁寿命時間を計測するようになっている。
データ計測記録装置3は、コントロールライン5を介して試験電源部1のパルス電圧のピーク電圧Vm、パルス幅tw、周波数fpを制御すると同時に、試験電圧に同期して部分放電計測部2から部分放電計測データを取り込んで記録するようになっている。また、計測データは、部分放電発生頻度−電圧特性、絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度、絶縁破壊までの絶縁寿命時間−電圧特性のグラフにプロットするようになっている。
図3に、本実施例の絶縁評価装置で実施する絶縁評価方法のフローチャートを示す。
(ステップS1)
ここで、モータがインバータ駆動されるときのモータ端子における対地間サージ電圧の大きさΔVと、立ち上がり時間trと、繰り返し周波数fpをシミュレーションもしくはモータを用いた計測によって求める。
(ステップS2)
ステップS1の処理が不可能な場合は、ステップS2の処理により、異相間のサージ電圧の大きさΔVと、立ち上がり時間trと、繰り返し周波数fpを求めて代用する。これは、インバータ電源とモータの接地インピーダンスが小さい場合には、対地間サージ電圧が相間サージ電圧とほぼ一致することを種々の検討によって得ており、そこで、ステップS1の処理が不可能な場合は、相間サージ電圧を対地間サージ電圧の代わりとして使用する。
(ステップS3)
ここで、求めた対地間サージ電圧がモータ巻線に印加された際のモータ巻線ターン間に発生する分担電圧のピーク電圧Vmと、パルス幅twと、周波数fpをシミュレーションもしくはモータを用いた計測によって求める。
また、得られたモータ巻線ターン間分担電圧のピーク電圧Vmと、対地間サージ電圧の大きさΔVとを用いて、後述の製品検査段階で用いる電圧分担率α(tr)を、次式(3)により求める。
α(tr)=Vm/ΔV (3)
ただし、α(tr):立ち上がり時間trのサージ電圧を印加したときのモータ巻線ターン間電圧分担率
Vm:モータ巻線ターン間分担電圧のピーク電圧
ΔV:対地間サージ電圧の大きさ
なお、巻線ターン間分担電圧のシミュレーションあるいは計測が困難な場合は、次のように簡易的に求めることができる。つまり、巻線ターン間分担電圧のピーク電圧Vmについては、次式(4)により求める。
Vm=ΔV・τ/tr (4)
ただし、τ:巻線ターン間分担電圧に伴う劣化を検討すべきモータ巻線部のサージ電圧伝播時間
また、パルス幅twについては、次式(5)により求める。
tr≦τの場合、 tw=τ
tr>τの場合、 tw=tr (5)
ただし、τ:巻線ターン間分担電圧に伴う劣化を対象とするモータ巻線部分のサージ電圧伝播時間
tr:サージ電圧立ち上がり時間
なお、図2(a)のパルス電圧のパルス幅twを5μs以下、特に0.1〜1.0μsの範囲では0.1μs以下の刻みで可変できるようにしている。その理由は、一般のモータのサージ電圧伝播時間τは、巻線ターン間の分担電圧に伴う劣化を検討すべきモータ巻線部では、種々の計測の結果、サージ電圧伝播時間τは多くとも5μsであり、一般には0.1〜1.0μsであったことによる。
(ステップS4)
ここにおいて、データ計測記録装置3は、試験電源部1を制御して、巻線ターン間分担電圧と同じピーク電圧Vm、パルス幅tw、繰り返し周波数fpの両極性交互パルス電圧を作成して試料絶縁材4に課電する。
そして、データ計測記録装置3は、部分放電計測部2を制御して、両極性交互パルス電圧のピーク電圧Vmの1サージ電圧サイクルにおける部分放電発生頻度Npを計測して、図2(b)に示すピーク電圧Vm―部分放電発生頻度Npの特性データを取得する。また、図示していない一般的な正弦波電源装置で発生したピーク電圧Vmの正弦波電圧の1電圧サイクルにおける部分放電発生頻度Nsを計測して、ピーク電圧Vm−部分放電発生頻度Nsの特性データを取得する。
(ステップS5)
ステップS4の部分放電特性の計測後、試料絶縁材4には継続して同じピーク電圧Vmのパルス電圧及び正弦波電圧を印加し、試料絶縁材4の絶縁が破壊するまで部分放電信号強度Vpを計測するとともに、絶縁破壊に至るまでの絶縁寿命時間tp、tsを計測する。
ステップS4、S5においては、ピーク電圧Vmを変化させて計測する。なお、正弦波電圧に対する部分放電特性及び絶縁寿命時間について、すでに過去に計測したデータがあればこれを使用することができる。
また、ステップS5において、図2(c)に示すように、ピーク電圧Vmを一定としたときの、試料絶縁材4が初期から絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度Vpの経時変化を計測及び記録する。
(ステップS6)
ステップS5における絶縁寿命時間tpの計測の場合、低電圧・長寿命領域ではパルス電圧による絶縁破壊までの時間が長くなるから、実用的でない。そこで、このような低電圧領域では、比較的短時間に計測できる正弦波電圧による絶縁寿命時間tsと、この電圧における部分放電発生頻度Nsと、パルス電圧課電時の部分放電発生頻度Npを用いて、次式(6)により、絶縁寿命時間tpを推定する。
tp=(Ns/Np)・ts (6)
同様の計算を繰り返すことで、パルス電圧下の絶縁寿命特性を、正弦波電圧下の絶縁寿命特性を(Ns/Np)だけシフトすることにより、図2(c)に示す絶縁寿命時間tp、tsとピーク電圧Vmとの関係を求めることができる。このようにして、試料絶縁材4について、ピーク電圧Vmに対する絶縁寿命時間tpの変化を表す絶縁寿命特性を得ることができる。
(ステップS7〜S9)
ステップS6で得られたピーク電圧Vmの両極性交互パルス電圧に対する試料絶縁材4の絶縁寿命特性に基づいて、設計対象のインバータ駆動モータの絶縁設計を行うことができる。すなわち、ステップS7において、試料絶縁材4の絶縁寿命特性に基づいて、実際のモータ駆動時の巻線ターン間分担電圧のピーク電圧Vmにおける絶縁寿命時間tpを求める。次いで、ステップS8において、求めた絶縁寿命時間tpが、設計対象のモータの要求寿命に比べて長い場合には、ステップS9に進んで、モータの使用電圧や材料仕様などの設計データを決定し、製品の設計・生産工程に移行する。
(ステップS10)
ステップS8の判断で、絶縁寿命時間tpが要求寿命に比して短い場合には、ステップS10に移行して、サージ電圧の大きさΔVを小さくするか、立ち上がり時間trを緩やかにして巻線ターン間分担電圧のピーク電圧Vmを低減する。あるいは、モータ巻線ターン間分担電圧が小さくなるように巻回数、巻線配列などのモータの巻線仕様を変更する。また、絶縁材料を放電劣化に強い材料に改良するか、絶縁厚みを厚くしたり、ワニス処理を施すなどして、絶縁寿命時間tpを長くする。放電劣化に強い材料に関しては、具体的には有機絶縁体中に占める無機フィラーの量を増加するなどの改良が考えられる。以上のような改良を施した後、再度、材料評価を実施、検討する。
(試験電源部1の実施例)
図4に、図2の試験電源部1の第一例を示す。本例の試験電源部1は、直流電源41の出力をパルススイッチ42で+側と−側を交互に切り替えて矩形波のパルス電圧を作成する。さらに、パルス電圧をハイパスフィルタ部43で所定のパルス幅の両極性交互パルス電圧になるように波形整形して、出力端子44から試料絶縁材4に出力する。パルススイッチ42には、正負2個のスイッチ素子を使用し、出力パルス電圧が正負対称になるようにしている。なお、直流電源41とパルススイッチ42は破線で示したコントロールライン45に接続されたデータ計測記録装置3よって制御される。図4では、直流電源41を1つの電源で構成し−側を接地しているが、直流電源41を+と−の2つの直流電源で構成し、これらの直列接続部の中間点を接地しても同様の波形を得ることができる。
図5に、試験電源部1の第二例を示す。本例の試験電源部1は、直流電源51の出力をパルススイッチ52にてON/OFFして矩形波のパルス電圧を作成し、さらにハイパスフィルタ部53で所定のパルス幅の両極性交互パルス電圧になるように波形整形し、出力端子54から試料絶縁材4に出力する。本例のパルススイッチ52は、スイッチ素子1個で構成される。しかし、本例では、パルススイッチの出力インピーダンス55を100Ω以下の低インピーダンスにしてあり、パルススイッチ52のスイッチ素子が切れる際に負極性の急峻な電圧変化が生じるため、ハイパスフィルタ処理後には正負対称の出力パルス電圧が得られる。なお、直流電源51とパルススイッチ52は破線で示したコントロールライン55に接続されたデータ計測記録装置3によって制御される。図5では直流電源51は1つの電源で構成し−側を接地しているが、直流電源51を+と−の2つの直流電源で構成し、これらの直列接続部の中間点を接地しても同様の波形を得ることができる。
(部分放電計測部2の実施例)
図6に、部分放電計測部2の回路構成の一例を示す。図6の部分放電計測回路は、電圧計測用分圧器61と、結合コンデンサ62、試料接続端子63、高周波電流プローブ64、部分放電電流波形計測用のデジタルオシロスコープ65で構成される。結合コンデンサ62の静電容量は、試料接続端子63に接続される試料絶縁材4の静電容量(図中、点線で示す。)に近づけるように調整される。高周波電流プローブ64には電線貫通式の電磁結合型の電流センサが用いられている。特に、結合コンデンサ62と試験電源部1の端子44との接続線、及び試料接続端子63と試験電源部1の端子44との接続線を、互いに逆方向に高周波電流プローブ64を貫通させている。これにより、パルス電圧に伴う充電電流をキャンセルし、試料絶縁材4で発生した部分放電電流のみを計測できるようにしている。パルス幅twの短いパルス電圧では、このように充電電流をキャンセルすることで高精度に部分放電を計測することができる。なお、高周波電流プローブには、クランプ式を用いることもできる。
部分放電を計測する高周波電流プローブ64の周波数帯域は1MHz〜1GHz、少なくとも10MHz〜100MHzである必要がある。なお、図では電流プローブに貫通させる結合コンデンサ62と試料接続端子63の接続線には低圧側の接続線を使用しているが、高圧側の接続線を使用してもよい。電流プローブ64と分圧器61で計測した部分放電電流強度Vp、発生頻度および印加電圧は、デジタルオシロスコープ65にて計測及び記録される。また、コントロールライン66に接続されたデータ計測記録装置3に記録される。ここで、デジタルオシロスコープ65の帯域は、DC〜1GHz以上、サンプリング速度は2GS/s以上あることが望ましく、少なくとも帯域はDC〜100MHz、サンプリング速度は200MS/sある必要がある。なお、デジタルオシロスコープ65は、同等の帯域、サンプリング速度、データ計測メモリ長を有するA/Dカードで代用することもできる。デジタルオシロスコープ65もしくはデジタルオシロスコープ65を制御するデータ計測記録装置3では、所定の波高値の電圧を試料に印加できなくなるか、放電にともなう電圧降下が0V近くに達するか、電流があらかじめ設定したリミット値を超えた場合に、試料絶縁材4の絶縁が破壊したと判断する。
ここで、本発明のインバータ駆動モータの絶縁評価方法の技術的な意義について、図18に示す実測データに基づいて説明する。図18は、モータ端子と対地間にインバータサージ電圧を課電し、巻線ターン間分担電圧を計測した例を示す。同図(a)の横軸は1μs/divの時間を示し、縦軸は電圧を示す。同図(b)の横軸は50μs/divの時間を示し、縦軸は電圧を示す。
同図(b)に示す時間目盛が大きな場合の波形では、対地間サージ電圧の立ち上がり及び立下り部分において、巻線ターン間に正極性と負極性の両極性交互電圧が発生している。同図(b)の点線部を同図(a)の時間目盛が詳細な波形に拡大すると、モータ巻線の口出し側ターン181と内部側ターン182の間にサージ電圧の伝播時間遅れが認められ、この伝播時間遅れにともない巻線ターン間の分担電圧が発生している。巻線ターン間分担電圧のパルス幅は、約0.8μsであり、電圧持続時間がきわめて短いことが判る。
図19に、パルス電圧が空気に課電されたときの火花放電遅れのモデルを示す。一般に、空気に高電圧を印加した場合、空気は必ずしも直ちに火花放電(絶縁破壊)するわけではなく、一定の時間遅れを伴って火花放電に至る。この時間遅れを火花放電遅れ、あるいは火花遅れと呼び、この火花放電遅れは電極間に初期電子が偶然現れるまでの統計時間遅れと、電子が電界によって加速されながら、電子なだれを形成し、さらに電極からの二次電子放出や、ストリーマの形成によって火花放電が形成されるまでの形成時間遅れから構成される。ここで、火花放電遅れと電圧持続時間の関係を考察する。始めに、電圧印加時間が火花放電遅れに比し十分長い場合を考えると、例え電圧の立ち上がり時間が速くても、時間の経過とともに必ず放電に至る。一方、電圧の持続時間を短くし、電圧持続時間が火花放電遅れ未満になると、空気で火花放電が生じる前に電圧が低下してしまうため、火花放電が発生しない可能性(確率)が高くなる。同様のことが絶縁物中の空気にも発生し、パルス幅が狭い電圧では、絶縁物中の空気の放電(部分放電)が発生しない可能性(確率)が高くなり、絶縁物の劣化が抑制される可能性が高くなる。
これらのことから、少なくとも絶縁材料の部分放電劣化特性を支配する電圧パラメータは、従来考えられてきた電圧立ち上がり時間ではなく、電圧持続時間、すなわちパルス電圧ではパルス幅であると考えられる。なお、この火花放電遅れは、これまでの検討の結果、数μs〜msオーダーに亘っていることを知見した。
一方、図18のモータ巻線ターン間に発生する分担電圧のパルス幅は1μs以下であり、火花放電遅れに比して十分短い。したがって、インバータ駆動時のモータ巻線ターン間では、従来の幅の広いパルス電圧や正弦波電圧に比し、部分放電が発生し絶縁劣化、破壊に至る可能性(確率)が低いと考えられる。なお、火花放電遅れは電圧が高くなると短くなることも、これまでの検討の結果、明らかになっている。本発明では、巻線ターン間の分担電圧を変化させて部分放電発生頻度を測定することで、このような火花放電遅れの電圧依存性も含めて評価している。
以上の考察から、インバータ駆動モータでは、早期故障の原因となる巻線ターン間の絶縁材料を評価する場合には、少なくとも、モータ巻線ターン間の分担電圧のパルス幅を考慮した電圧で検討しなければならないことが判る。
また、従来、パルス電圧の極性についても、単極性、両極性のデータが混在し議論されてきたが、少なくともモータ巻線ターン間の絶縁材料を評価する場合には、両極性の交互パルス電圧を課電して評価しなければならないことが判る。
さらに、従来のモータ巻線試験には、一般に市販されている立ち上がり時間のみが高速で立下りでは指数関数的に電圧低下する雷インパルス電圧、もしくは波尾に振動波形が重畳したインパルス電圧が使用されてきた。しかしながら、図18を見ると、インバータパルス電圧では電圧の立ち上がり時間だけでなく、立ち下がり時間も高速であり、立ち上がりと立下り部分の両方に巻線ターン間分担電圧が発生している。したがって、モータ巻線ターン間にインバータ駆動時と同じ電圧を発生させ、モータ製品の検査や診断をする場合には、従来の立ち上がり時間のみが高速な電源で試験するのではなく、立ち上がり時間と立ち下がり時間がともに高速なパルス電圧を使用しなければならないことが判る。
以上説明したように、本発明のインバータ駆動モータの絶縁評価方法及び装置は、インバータ駆動モータの絶縁で最も厳しいのは、インバータパルス電圧がサージ電圧として作用する同一巻線の巻線ターン間であることに鑑み、しかも、立ち上がりが急峻なサージ電圧の伝播過程で各巻線ターン間に加わるサージ電圧の分担率が異なってくることに鑑みなされたものである。
そこで、本実施例は、巻線ターン間に発生するモータ巻線ターン間分担電圧のピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧として試料絶縁材の寿命時間tpを計測し、ピーク電圧Vmに対する寿命時間tpの変化をその試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得することにより、インバータパルス電圧に対する絶縁材の性能を評価することができ、信頼性の高い絶縁評価方法を確立することができる。
図7及び図8を参照して、本発明のインバータ駆動モータの絶縁検査方法及び装置の一実施例を説明する。図7は、本実施例の絶縁検査方法が適用された製品絶縁寿命検査装置を示す。製品絶縁寿命検査装置は、試験電源部71と、部分放電計測部72と、これらの試験電源部71と部分放電計測部72を制御する機能を兼ね備えたデータ計測記録装置73で構成される。検査対象の試料モータ75には、個々の製品を使用する。試験電源部71は、インバータ駆動時のモータ端子におけるサージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間trを模擬したサージ電圧を発生する。サージ電圧の大きさΔVには0〜15kV以上の電圧を発生できることが望ましい。また、立ち上がり時間trは1μs以下であり、特に0.1〜1.0μsの範囲内で0.1μs以下の刻みで常時もしくは電圧停止時に可変できることが望ましい。あるいは、立ち上がり時間trを固定した装置では、試験中のモータ巻線ターン間分担電圧が、インバータ駆動時の巻線ターン間分担電圧と同じになるように、次式(7)に示す換算式にて換算したサージ電圧にて試験する。
ΔV(試験装置)=
ΔV(Inv)・α(tr(Inv))/α(tr(試験装置)) (7)
ただし、ΔV(試験装置):試験装置のサージ電圧の大きさ
ΔV(Inv):インバータ駆動モータのモータ端のサージ電圧の大きさ
α(tr(試験装置)):
試験装置のサージ電圧を印加したときのモータ巻線ターン間電圧分担率
α(tr(Inv)):
インバータ駆動モータのモータ端サージ電圧を印加したときのモータ
巻線ターン間電圧分担率
tr(試験装置):試験装置のサージ電圧立ち上がり時間
tr(Inv):
インバータ駆動モータのモータ端のサージ電圧立ち上がり時間
なお、サージ電圧の立ち下がり時間には、立ち上がり時間と同じ時間を採用することが望ましい。また、サージ電圧のパルス幅pwには、製品に回転子を組み込み回転試験ができる状態では、1μs〜10msの範囲を採用できる。しかし、回転子を組み込んでいない状態では、逆起電力が発生せず、モータ巻線に過大な電流が流れるため、パルス幅pwには1μs〜10μsの範囲を採用することが望ましい。サージ電圧の波形の一例を、図7(a)に示す。
部分放電計測部72は、サージ電圧を試料モータ75に印加したときの部分放電発生頻度−モータ課電電圧特性を計測する。データ計測記録装置73は、試験電源部71のサージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間tr、パルス幅pw、繰り返し周波数fpを制御し、試験電源電圧に同期して部分放電計測データを部分放電計測部72からコントロールライン74を介して取り込み、データを記録する。得られたデータは、図7(b)に示す部分放電発生頻度Np、Nx−課電電圧特性のグラフにプロットされる。
図8に、本実施例の製品絶縁検査装置で実施する絶縁検査方法のフローチャートを示す。
(ステップS21)
まず、試料モータ75がインバータ駆動されるときのモータ端子の対地間サージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間tr、繰り返し周波数fpをシミュレーションもしくはモータを用いた計測によって求める。
(ステップS22)
ステップS21の処理が不可能な場合は、ステップS22において、インバータ電源とモータの接地インピーダンスが小さい場合には、対地間サージ電圧が相間サージ電圧とほぼ一致することが種々の検討によって得られていることから、相間サージ電圧を対地間サージ電圧の代わりとして使用する。
(ステップS23)
ステップS21又はS22で求めたサージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間tr、繰り返し周波数fpのサージ電圧を模擬した電圧、あるいは実際のインバータ電圧を個々の製品である試料モータ75に課電し、1サージ電圧サイクルあたりの部分放電発生頻度Nxを求める。
(ステップS24)
ステップ23の処理と並行して、図2の絶縁材評価で得られたモータ巻線ターン間のピーク電圧Vmと部分放電発生頻度Npのグラフ、及びピーク電圧Vmと絶縁寿命時間Npにおけるピーク電圧Vmを、次式(8)によって大きさΔVのサージ電圧に変換し、これを標準品の絶縁寿命特性とする。
ΔV=Vm/α(tr) (8)
ただし、ΔV:サージ電圧の大きさ
α(tr):立ち上がり時間trのサージ電圧を印加したときのモータ巻
線ターン間電圧分担率
Vm:モータ巻線ターン間分担電圧のピーク電圧
(ステップS25)
個々の製品の絶縁が破壊されるまでの絶縁寿命時間txは、個々の製品に大きさΔVのサージ電圧を課電したときの部分放電発生頻度Nxと、標準品に大きさΔVのサージ電圧を課電したときの絶縁破壊までの時間tpと部分放電発生頻度Npを用いて、次式(9)により求める。
tx=(Np/Nx)・tp (9)
異なるサージ電圧の大きさΔVに対する部分放電発生頻度Nxを用いて、同様にして標準品の絶縁寿命特性を(Np/Nx)だけシフトすることで、個々の製品の絶縁寿命特性が作成できる。
(ステップS26〜S32)
ステップS25で得られた絶縁寿命特性において、絶縁寿命時間txが製品の要求寿命以上であれば、ステップS27に進んで合格とし出荷する。
一方、不良品となった場合には、ステップS28に進んで、インバータ駆動モータのモータ端子のサージ電圧の大きさΔVを小さくするか、電圧立ち上がり時間trを長くできるかどうかを検討する。この検討の結果が可能であれば、ステップS29に進んで、仕様を限定した上で合格として出荷する。
ステップS28で、さらに不合格になった製品については、ステップS30からステップS31に進み、絶縁破壊するまでサージ電圧を計測して課電し、絶縁破壊に至るまでの絶縁寿命時間、及び絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度を計測する。得られた絶縁寿命時間と、先の検査で予測した不良品の絶縁寿命特性を比較し、実測データと予測データの補正係数を導出して、予測方法を補正することにより、寿命予測精度を向上させる。
また、不良品の絶縁破壊までの部分放電信号強度の経時変化は、絶縁寿命時間txで規格化した上で、同じく絶縁寿命時間tpで規格化した標準品の部分放電信号強度の経時変化と比較する。そして、それらに差があれば、補正計数を求めて標準品の部分放電信号強度の経時変化データを補正するとともに、部分放電信号強度の経時変化のばらつきを把握する。ステップS31で絶縁破壊させた不良品については絶縁破壊箇所を探索し、絶縁材料もしくは生産方法のどこに原因があったか特定し、絶縁材料及び製品生産工程にフィードバックする。
(試験電源部71の実施例)
図9に、製品絶縁寿命検査装置の試験電源部71の第一例を示す。試験電源部71は、直流電源91、92の出力をパルススイッチ93で交互に切り替え、立ち上がり時間と立ち下がり時間が同じ正負対称な矩形波のパルス電圧を作成し、さらにこれを立ち上がり/立ち下がり時間調整部94でサージ電圧の立ち上がり/立ち下がり時間が所定の値になるように調整し、一方の出力端子95に出力する。すなわち、図9の回路では実際の2レベルインバータに近い正負対称なサージ電圧を出力することができる。他方の低圧側電圧の出力端子96は、試料モータ75の他相の巻線に接続され、他相の巻線の電位が変動しないようにすると同時に、モータ内に電荷を充/放電する働きをする。但し、パルススイッチ93の電流容量が大きく、パルススイッチ93を通してモータ内に蓄積した電荷を充/放電できるか、あるいはモータ巻線の静電容量が小さい場合には端子96を設けたり、他相に接続する必要はない。直流電源91、92とパルススイッチ93は破線で示したコントロールライン97に接続されたデータ計測記録装置73によって制御される。
図10に、製品絶縁寿命検査装置の試験電源部71の第二例を示す。試験電源部71は、直流電源101、102の出力をパルススイッチ103でON/OFFして正負対称な矩形波のパルス電圧を作成し、さらにこれを立ち上がり/立ち下がり時間調整部104でサージ電圧の立ち上がり/立ち下がり時間が所定の値になるように調整、出力端子105に出力し、実際の2レベルインバータに近い正負対称なサージ電圧を出力することができる。本例のパルススイッチ103のスイッチ素子は1個のみである。しかし、本例では、パルススイッチ103の出力インピーダンス108が100Ω以下の低インピーダンスにしてあり、パルススイッチ103が切れる際、矩形波に負極性の急峻な電圧変化が生じるため立ち上がりと立ち下がりの両方が急峻な矩形波電圧が得られる。他方の低圧側電圧の出力端子106は、モータの他相の巻線に接続され、他相の巻線の電位が変動しないようにすると同時に、モータ内に電荷を充/放電する働きをする。但し、第一例と同じく、パルススイッチ103の電流容量が大きいか、モータ巻線の静電容量が小さい場合には端子106を設けたり、他相に接続する必要はない。直流電源101、102とパルススイッチ103は破線で示したコントロールライン107に接続されたデータ計測記録装置73によって制御される。
図11に、製品絶縁寿命検査装置の試験電源部71の第三例を示す。試験電源部71は、直流電源111の出力をパルススイッチ113で交互に切り替えて立ち上がり時間と立ち下がり時間が同じ矩形波のパルス電圧を作成し、さらにこれを立ち上がり/立ち下がり時間調整部114でサージ電圧の立ち上がり/立ち下がり時間が所定の値になるように調整し、出力端子115に出力する。他方の低圧側電圧の出力端子116は、モータの他相の巻線に接続され、他相の巻線の電位が変動しないようにすると同時に、モータ内に電荷を充/放電する働きをする。直流電源111とパルススイッチ113は破線で示したコントロールライン117に接続されたデータ計測記録装置73によって制御される。なお、本例では、直流電源が1つになった点を除けば、図9の第一例と同じ回路構成である。しかし、本例では、直流電源の一端が接地されているため、パルススイッチ113の少なくとも一方については、コントロールラインの信号をパルススイッチに適した信号に変換するドライバをアースに対して高電圧に浮かせる必要はなくなり、パルススイッチの内部絶縁構成が図9のパルススイッチに比し簡単になる。
図12に、製品絶縁寿命検査装置の試験電源部71の第四例を示す。試験電源部71は、直流電源121の出力をパルススイッチ123でON/OFFして矩形波のパルス電圧を作成し、さらにこれを立ち上がり/立ち下がり時間調整部124でサージ電圧の立ち上がり/立ち下がり時間が所定の値になるように調整し、出力端子125に出力する。本例のパルススイッチ103のスイッチ素子は1個のみである。しかし、本例ではパルススイッチ123の出力インピーダンス128が100Ω以下の低インピーダンスにしてあり、パルススイッチ123が切れる際、矩形波に負極性の急峻な電圧変化が生じるため、立ち上がりと立ち下がりの両方が急峻な矩形波電圧が得られる。他方の低圧側電圧の出力端子126は、モータの他相の巻線に接続され、他相の巻線の電位が変動しないようにすると同時に、モータ内に電荷を充/放電する働きをする。直流電源121とパルススイッチ123は破線で示したコントロールライン127に接続されたデータ計測記録装置よって制御される。
(部分放電計測回路72の実施例)
図13に、製品絶縁寿命検査装置の部分放電計測回路72の一例を示す。部分放電計測回路72は、電圧計測用分圧器131と、結合コンデンサ132と、高周波電流プローブ134と、部分放電電流波形計測用のデジタルオシロスコープ135と、三相巻線を有する試料の被試験相を切り替えるUVW切り替えスイッチユニット136で構成される。
結合コンデンサ132の静電容量は、試料モータ75の対地間静電容量と同程度が望ましく、具体的には10pF〜1000pFの間に設定される。高周波電流プローブ134には、結合コンデンサ132の2本の出力線を逆方向に貫通させ、試料の二相に課電したパルス電圧に伴う充電電流をキャンセルし、試料内部で発生した部分放電電流のみを計測できるようにしている。高周波電流プローブ134の周波数帯域は1MHz〜1GHz、少なくとも10MHz〜100MHzあることが望ましい。UVW切り替えスイッチユニット136の入力には、電流プローブに逆方向に貫通させた2本の高圧線と、試験電源71から供給される低圧線が入力される。
一方、出力端子137は、試料のU、V、Wの3相巻線の各入力に接続され、試験時にはUVW切り替えスイッチユニット136は、コントロールライン138の制御信号によって、(U、V−W)、(V,W−U)、(W,U−V)のように、三相巻線を有する試料の二相を高圧、残りの一相を低圧にするように試験相を切り替える。
電流プローブ134と分圧器131で計測した部分放電電流強度、発生頻度及び印加電圧は、デジタルオシロスコープ135にて計測、記録されるとともに、コントロールライン138に接続されたデータ計測記録装置73によって記録される。デジタルオシロスコープ135の帯域はDC〜1GHz以上、サンプリング速度は2GS/s以上あることが望ましく、少なくともDC〜100MHz、サンプリング速度は200MS/sである必要がある。なお、デジタルオシロスコープ135は、同等の帯域、サンプリング速度、メモリ長を有するA/Dカードで代用することもできる。デジタルオシロスコープ135もしくはデジタルオシロスコープ135を制御するデータ計測記録装置73では、所定の波高値の電圧が試料に印加されなくなるか、放電にともなう電圧降下が0V近くに達し、かつ、部分放電電流があらかじめ設定したリミット値を超えた場合に試料モータの絶縁が破壊したと判断する。
図14に、UVW自動切換えスイッチユニット136の回路構成例を示す。入力端子141には、高周波電流プローブに逆方向に貫通させた2本の高圧線と、低圧線の計3本の入力線が接続される。これらの端子は、スイッチユニット142の3つの各スイッチに供給される。スイッチユニット142の3つのスイッチの切り替え端子は、試料モータのU、V、W相にそれぞれ接続される。スイッチユニット142は、コントロールライン148の制御信号によって、U、V、W相を、高周波電流プローブに逆方向に貫通させた2本の高圧線と、低圧線の3ラインのいずれかに接続される。
以上では、回転子を組み込んでいない状態で製品モータを試験する装置構成を示した。しかし、回転子を組み込み製品モータの回転試験をできる状態では、実際のインバータ電源を試験電源に採用することができる。図7の製品絶縁寿命検査装置の試験電源及び部分放電計測部76に、実際のインバータ電源を組み込んだ例を図15に示す。インバータ電源151の出力には、電圧計測用分圧器152と部分放電計測用の高周波電流プローブ153が接続された後、U、V、W出力端子154に接続される。電流プローブ153と分圧器152で計測した部分放電電流強度、発生頻度及び印加電圧は、Compact PCIユニット155に組み込まれたA/D変換ボード156にて計測、記録される。計測データはI/O信号変換部157に接続されたコントロールライン158を介してデータ計測記録装置73に記録される。インバータ電源151及びCompact PCIユニットはコントロールライン158を介して送られてくる「試験開始」、「データ送受信」、「試験終了」などのコマンドによって制御される。
試験中にインバータ電源151が所定の電圧を出力できなくなるか、過電流エラーを発生するか、分圧器152で計測した電圧波形において、所定の波高値の電圧が試料に印加できないか、放電にともなう電圧降下が0V近くに達するか、あるいは電流プローブ153にて、予め設定したリミット値を超える電流が検出された場合に、インバータ電源151、Compact PCIユニット155、もしくはこれらを制御するデータ計測記録装置73は、試料モータの絶縁が破壊したと判断する。
図16及び図17を参照して、本発明のインバータ駆動モータの診断方法及び装置の一実施例を説明する。図16は、本実施例の診断方法が適用された診断装置を示す。本実施例の診断装置は、試験電源部161と、部分放電計測部162と、これらの試験電源部161と部分放電計測部162の制御機能を兼ね備えたデータ計測記録装置164で構成される。
診断対象の試料モータ163は、フィールドで絶縁劣化した製品モータとする。試験電源部161と部分放電計測部162で構成される試験電源・部分放電計測部165には、インバータ電源を使用した図15の構成を採用することができ、実際のインバータ電圧波形下における部分放電信号をオンラインで常時計測することができる。また、試験電源・部分放電計測部165には、製品絶縁寿命検査装置の図9〜14の試験電源部71、部分放電計測部72を使用することもできる。この場合、絶縁診断の際に、フィールドに試験装置を運搬し、試料モータ163に接続して診断するオフライン定期診断となる。いずれの場合についても、試験電源・部分放電計測部165の部分放電計測部162では部分放電信号強度の経時変化を計測する。データ計測記録装置164は、試験電源部161の電圧を制御するとともに、試験電源電圧に同期して部分放電信号強度の計測データを部分放電計測部162からコントロールライン166を介して取り込み記録する。得られた計測データは、部分放電信号強度−課電時間特性のグラフにプロットされる。
図17に、本実施例の診断装置の診断フローを示す。
(ステップS41)
ステップS41においては、絶縁破壊又は故障前に製品を交換する閾値年数xを決める。例えば、自動車用モータの場合、車検期間が2年であるため、xには2年を選択することができる。
(ステップS42、S43)
ここで、標準品の部分放電信号強度の経時変化データにおいて、絶縁寿命tpのx年前の部分放電信号強度を求めて、これを製品交換の部分放電信号強度の閾値θthとする。フィールド製品の部分放電は、図16の装置によって常時もしくは定期的に計測し、これを部分放電信号強度の閾値θthと比較し、部分放電信号強度が閾値を超えた場合には、ステップS43に進んで、製品を新品に交換するとともに、劣化品を回収する。
(ステップS44)
回収した劣化品は、絶縁が破壊するまで継続してインバータサージ電圧を課電する。このとき、部分放電信号強度及び残存の絶縁寿命時間を計測し、絶縁寿命時間txで規格化した部分放電信号強度の経時変化において、信号強度のばらつきを把握するとともに、製品交換の部分放電信号強度の閾値を補正する。
(ステップS45)
絶縁破壊させた劣化品について、絶縁破壊した劣化弱点箇所を探索し、劣化原因を特定する。
(ステップS46)
ステップS45で得られたデータを基に、次期製品では絶縁劣化箇所に電圧が加わらないようにモータ設計、絶縁構造設計を変更する。あるいは、絶縁劣化しやすい弱点箇所の絶縁を強化する。あるいは、絶縁劣化しやすい弱点箇所の製品製造時の検査を強化する。
本発明のインバータ駆動モータの巻線ターン間の絶縁評価方法、絶縁設計方法、生産、絶縁検査方法、保全診断方法の関連概念図を示す。 本発明のインバータ駆動モータの絶縁評価装置の一実施例の構成図を示す。 図2の絶縁評価装置で実施する絶縁評価方法のフローチャートを示す。 図2の試験電源部の具体的な構成の一例を示す図である。 図2の試験電源部の具体的な構成の他の例を示す図である。 図2の部分放電計測部の回路構成の一例を示す図である。 本発明のインバータ駆動モータの製品絶縁検査装置の一実施例の構成図を示す。 図7の製品絶縁寿命検査装置で実施する絶縁検査方法のフローチャートである。 図7の製品絶縁寿命検査装置の試験電源部の第一例の構成を示す図である。 図7の製品絶縁寿命検査装置の試験電源部の第二例の構成を示す図である。 図7の製品絶縁寿命検査装置の試験電源部の第三例の構成を示す図である。 図7の製品絶縁寿命検査装置の試験電源部の第四例の構成を示す図である。 図7の製品絶縁寿命検査装置の部分放電計測回路の一例を示す図である。 図7の製品絶縁寿命検査装置のUVW自動切換えスイッチユニットの回路構成例を示す図である。 図7の製品絶縁寿命検査装置の試験電源及び部分放電計測部に、実際のインバータ電源を組み込んだ例を示す図である。 本発明のインバータ駆動モータの診断装置の一実施例の構成図である。 図16の診断装置の診断フローを示す図である。 本発明のインバータ駆動モータの巻線ターン間の絶縁評価方法等の効果を説明する実測データを示す図である。 パルス電圧が空気に課電されたときの火花放電遅れのモデルの説明図である。
符号の説明
1 試験電源部
2 部分放電計測部
3 データ計測記録装置
4 試料絶縁材
5 コントロールライン

Claims (14)

  1. インバータ駆動モータの巻線ターン間に発生するピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧とし、該試験電圧を試料絶縁材に課電して前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tpを計測し、前記ピーク電圧Vmと前記寿命時間tpとの関係を前記試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得し、取得した前記絶縁寿命特性に基づいて前記試料絶縁材の絶縁性能を評価するインバータ駆動モータ絶縁の評価方法。
  2. インバータ駆動モータの巻線ターン間に発生するピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧とし、該試験電圧を試料絶縁材に課電して前記両極性交互パルス電圧の1サイクルあたりの部分放電発生頻度Npを計測するとともに、前記ピーク電圧Vmを有する周波数fpの正弦波電圧を前記試料絶縁材に課電して該正弦波電圧の1サイクルあたりの部分放電発生頻度Nsと前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tsを計測し、前記両極性交互パルス電圧を前記試料絶縁材に課電したときの前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tpを、tp=(Ns/Np)・tsにより推定し、該推定された前記寿命時間tpと前記ピーク電圧Vmとの関係を前記試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得し、取得した前記絶縁寿命特性に基づいて前記試料絶縁材の絶縁性能を評価することを特徴とするインバータ駆動モータの絶縁評価方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記モータの端子における対地間サージ電圧の大きさΔVと立ち上がり時間tr及び繰り返し周波数fpをシミュレーション又はモータを用いた計測により求め、該求めた対地間サージ電圧の大きさΔVと立ち上がり時間trを有するサージ電圧をモータ端子の対地間に印加したときの前記ピーク電圧Vmと前記パルス幅twをシミュレーション又はモータを用いた計測により求めることを特徴とするインバータ駆動モータの絶縁評価方法。
  4. 請求項3において、
    前記対地間サージ電圧に代えて、前記モータの端子における相間サージ電圧を用いることを特徴とするインバータ駆動モータの絶縁評価方法。
  5. 請求項1又は2において、
    前記モータの巻線ターン間に発生する電圧が振動波形の場合は、前記両極性交互パルス電圧として前記振動波形の周波数及び減衰時定数を反映した両極性交互パルス電圧を用いることを特徴とするインバータ駆動モータの絶縁評価方法。
  6. 請求項1又は2において、
    前記試料絶縁材が初期から絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度を計測及び記録することを特徴とするインバータ駆動モータの絶縁評価方法。
  7. インバータ駆動モータの巻線ターン間に発生するピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧として発生する試験電源部と、該試験電源部の試験電圧を試料絶縁材に課電して前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tpを計測する計測部と、該計測部により計測された前記ピーク電圧Vmと前記寿命時間tpとの関係を前記試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得するとともに、前記試験電源部と前記計測部を制御するデータ計測記録部とを備えてなるインバータ駆動モータの絶縁評価装置。
  8. インバータ駆動モータの巻線ターン間に発生するピーク電圧Vmとパルス幅twと周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を試験電圧として発生する試験電源部と、該試験電源部の試験電圧を試料絶縁材に課電して前記両極性交互パルス電圧の1サイクルあたりの部分放電発生頻度Npを計測するとともに、前記ピーク電圧Vmを有する周波数fpの正弦波電圧を前記試料絶縁材に課電して該正弦波電圧の1サイクルあたりの部分放電発生頻度Nsと前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tsを計測する計測部と、前記両極性交互パルス電圧を前記試料絶縁材に課電したときの前記試料絶縁材が絶縁破壊するまでの寿命時間tpを、tp=(Ns/Np)・tsにより推定し、該推定された前記寿命時間tpと前記ピーク電圧Vmとの関係を前記試料絶縁材の絶縁寿命特性として取得するとともに、前記試験電源部と前記計測部を制御するデータ計測記録部とを備えてなるインバータ駆動モータの絶縁評価装置。
  9. 請求項7又は8において、
    前記計測部は、前記試験電源部の出力端子にそれぞれ接続された試料接続端子及び結合コンデンサと、前記試料接続端子に接続される前記試料絶縁材に流れる電流を検出する貫通型又はクランプ型の電流センサとを備え、
    前記電流センサの貫通部又はクランプ部に、前記結合コンデンサと前記試験電源部の出力端子との接続線と、前記試料接続端子と前記試験電源部の出力端子との接続線が、互いに逆方向に貫通されてなることを特徴とするインバータ駆動モータの絶縁評価装置。
  10. 請求項1乃至6のいずれかに記載のインバータ駆動モータの絶縁評価方法により取得された前記試料絶縁材の絶縁寿命特性に基づいて、モータの巻線ターン間の絶縁設計を行うインバータ駆動モータの絶縁設計方法。
  11. 請求項1乃至6のいずれかに記載のインバータ駆動モータの絶縁評価方法により取得された前記試料絶縁材の絶縁寿命特性を準備し、
    設計対象のモータの巻線ターン間に発生する分担電圧のピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを設定し、設定したピーク電圧Vmにおける寿命時間tpを前記試料絶縁材の絶縁寿命特性(Vm−tp特性)に基づいて求め、求めた寿命時間tpが製品に要求される寿命に比し長い場合には、その試料絶縁材を用いたモータの耐サージ電圧仕様と絶縁材の厚み、材質の設計仕様を決定するインバータ駆動モータの絶縁設計方法。
  12. 請求項1乃至6のいずれかに記載のインバータ駆動モータの絶縁評価方法により取得されたピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを有する両極性交互パルス電圧のピーク電圧Vmと1サイクルあたりの部分放電発生頻度Npの関係データ、及びモータ巻線ターン間のピーク電圧Vmと絶縁寿命時間tpの関係データを準備し、これらの関係データのVmを、該電圧を対象モータ巻線に印加するのに必要な大きさΔVのサージ電圧に変換して標準品モータの絶縁寿命特性として設定し、モータ端子における対地間サージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間tr、繰り返し周波数fpを有するパルス電圧又は実際のインバータ電源のパルス電圧を検査対象に課電し、前記パルス電圧の1サージ電圧サイクルあたりの部分放電発生頻度Nxを計測し、該計測した部分放電発生頻度Nxと前記標準品モータの絶縁寿命特性に基づいて大きさΔVのサージ電圧を課電したときの絶縁寿命時間tpと部分放電発生頻度Npを求めて、検査対象の絶縁寿命時間txを、tx=(Np/Nx)・tpにより求め、求めた絶縁寿命時間txと設定された要求寿命時間とを比較して検査対象の絶縁を検査するインバータ駆動モータの絶縁検査方法。
  13. モータ端子における対地間サージ電圧の大きさΔV、立ち上がり時間tr、繰り返し周波数fpを有するパルス電圧又は実際のインバータ電源のパルス電圧を試験電圧として発生する試験電源部と、該試験電源部の試験電圧を検査対象のインバータ駆動モータに課電した際にパルス電圧の1サージ電圧サイクルあたりの部分放電発生頻度Nxを計測する計測部と、該計測した部分放電発生頻度Nxと前記インバータ駆動モータの標準品の絶縁寿命特性に基づいて大きさΔVのサージ電圧を課電したときの絶縁寿命時間tpと部分放電発生頻度Npを求めて、検査対象の絶縁寿命時間txをtx=(Np/Nx)・tpにより求め、求めた絶縁寿命時間txと設定された要求寿命時間とを比較して検査対象の絶縁を検査するデータ計測記録部を備え、
    前記インバータ駆動モータの標準品の絶縁寿命特性は、ピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を前記標準品のインバータ駆動モータの巻線ターン間絶縁材に課電し、1サイクルあたりのピーク電圧Vmと部分放電発生頻度Npの関係データ、及びモータ巻線ターン間のピーク電圧Vmと絶縁寿命時間tpの関係データを予め計測し、該計測された関係データのVmを大きさΔVのサージ電圧に変換して設定されてなるインバータ駆動モータの絶縁検査装置。
  14. 請求項6に記載のインバータ駆動モータの絶縁評価方法により標準品のインバータ駆動モータの巻線ターン間絶縁材に、ピーク電圧Vm、パルス幅tw及び周波数fpを有する両極性交互パルス電圧を課電し、絶縁破壊に至るまでの部分放電信号強度の経時変化データとモータ巻線ターン間のピーク電圧Vmと絶縁寿命時間tpの関係データを準備し、これらの関係データのVmを、該電圧を対象モータ巻線に印加するのに必要な大きさΔVのサージ電圧に変換して標準品モータの絶縁寿命特性として設定し、診断対象のインバータ駆動モータについての絶縁破壊に至る前に機器を交換することを推奨するマージン時間xを決めるとともに、前記標準品モータの部分放電信号強度の経時変化データから絶縁寿命時間tpよりもx年前の部分放電信号強度を求めて閾値θthを設定し、診断対象のインバータ駆動モータの部分放電を、常時もしくは定期的に計測し、計測された部分放電信号強度を前記閾値θthと比較して診断対象のインバータ駆動モータを診断することを特徴とするインバータ駆動モータの診断方法。
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