JP4726521B2 - 移動体運転装置 - Google Patents
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Description
ところで近年、操縦性の多様化に伴い、これとは別に、左右一対のジョイスティックを操作することによって、ステアリング装置を操舵することができる技術の開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。
図10(a),(b)は従来の移動体運転装置の概要図である。従来の移動体運転装置100は、車両(移動体)の運転席101における左右のアームレスト102,102に、各々ジョイスティック103,103を備え、これら左右のジョイスティック103,103同士をケーブル104で連結することによって、互いに機械的に連動するようにし、このケーブル104に操作量検出センサ105を接続したというものである。
運転者は必要に応じて、両手で対応するジョイスティック103,103を操作する、又は、片手運転時に左右の手を持ち替えることができる。また、運転者の利き腕で片手運転をすることができる。
これに対して、左右一対のジョイスティック103,103を1個だけにすることも考えられるが、操作性を確保するには改良の余地がある。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、制御手段は、予め設定されている所定時間内において、前記他方の操作信号を発する操作部材の操作位置の補正を行うことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、片手運転時に左右の手を持ち替えたとき、すなわち、一方の操作部材の操作から他方の操作部材の操作へ切り替えたときに、切り替わる直前の一方の操作信号に基づいて、移動体を制御することができる。このため、運転者は両操作部材の切り替えタイミングに細心の注意を払う必要がない。必要に応じて、左右の手を容易に持ち替えることができるので、切り替え操作性が高まる。従って、左右一対の操作部材の操作性を十分に確保することができる。しかも、左右の操作部材を互いに機械的に連結させる必要はない。このため、移動体運転装置を簡単な構成にすることができる。
図1に示すように、移動体運転装置10は、移動体20(例えば自動車等の車両)に設けられた左右一対の操作部材34L,34Rを、運転者がそれぞれ対応する手で個別に操作することにより、その操作量に基づいて移動体20を運転(制御)できるようにしたものである。
左右一対の操作部材34L,34Rは、互いに連動することなく、独立して操作可能な構成である。
ステア・バイ・ワイヤ式ステアリング装置とは、操作部材34L,34Rから転舵装置60を機械的に分離し、操作部材34L,34Rの操作量に応じて転舵用の電動モータ61が転舵用動力を発生し、この転舵用動力によって転舵装置60が左右の転舵車輪66L,66Rを転舵する方式の、ステアリング装置である。
図2及び図3(a)に示すように、右の操作機構31Rは、アームレスト22Rに固定したベース32Rから上方へ円柱状のグリップ33Rを延ばし、このグリップ33Rの上端に操作部材34Rを取り付けた構成である。グリップ33Rはベース32Rとの一体成形品である。
詳しく説明すると、操作部材34Rは、(1)通常状態において図に示す中立位置Neに保持でき、(2)白抜き矢印にて示す左Le又は右Riにスイング操作したときに、左の操作端Enl又は右の操作端Enrまで、一定角度だけスイング可能であり、(3)その後にスイング操作力を解除すると元の中立位置Neに自動的に復帰するための、自己保持機構(図示せず)を備える。
中立位置Neから左側にスイング操作する操作量(左の操作量)はQleである。一方、中立位置Neから右側にスイング操作する操作量(右の操作量)はQriである。
転舵量センサ52は、転舵装置60の転舵量(すなわち、転舵軸63の変位量)を計測するセンサである。
ST01;初期設定をする。具体的には左の操作量Qle=0、右の操作量Qri=0、新操作量Qne=0、旧操作量Qbe=0、フラグFL=0、第1タイマのカウント時間Tc=0、第2タイマのカウント時間Td=0にセットする。
ST02;左右の接触センサ41L,41Rの接触信号を読み込む。左右の操作部材34L,34Rにそれぞれ親指が触っているときに、それぞれ接触有りの信号(オン信号)になる。
すなわち、左の接触信号のみ有るときには、左の操作部材34Lだけが操作状態にあると判断して、ST04に進む。右の接触信号のみ有るときには、右の操作部材34Rだけが操作状態にあると判断して、ST09に進む。左右共に接触信号が有るときには、左右の操作部材34L,34Rが操作状態にあると判断して、ST14に進む。左右共に全く接触信号が無い(オフ信号)ときには、左右の操作部材34L,34Rが操作状態に無い(中立位置にある)と判断して、ST22に進む。
ST06;新操作量Qneの値を、新たな左の操作量Qleの値に変更する。
ST07;フラグFLを「Le」とした後に、図5のST101に進む。
ST08;左持ち替えモードで操舵制御を実行する。このST08を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図6にて示す。
ST11;新操作量Qneの値を、新たな右の操作量Qriの値に変更する。
ST12;フラグFLを「Ri」とした後に、図5のST101に進む。
ST13;右持ち替えモードで操舵制御を実行する。なお、このST13の制御については、上記ST08の左持ち替えモードと実質的に同様の制御ステップであり、左持ち替え制御の代りに右持ち替え制御を実行するものである。
ST16;左の操作量Qleが右の操作量Qriよりも大きいか否かを調べ、YESならST17に進み、NOならST19に進む。
ST17;新操作量Qneの値を、新たな左の操作量Qleの値に変更する。
ST18;フラグFLを「PLe」とした後に、図5のST101に進む。
ST20;フラグFLを「PRi」とした後に、図5のST101に進む。
ST21;持ち替えタイミング判断モードを実行する。このST21を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図7にて示す。
ST22;新操作量Qneの値を、0(零)とする。
ST23;フラグFLを「Ne」とした後に、図5のST101に進む。
ST101;新操作量Qneと旧操作量Qbe(直前の操作量Qbe)との差を微小な一定時間ti(例えば、制御ループの1サイクル時間ti)で除算した値の絶対値が、予め設定された単位時間当たりの基準最大操作量SQよりも小さいか否かを調べ、YESならST102に進み、NOならST103に進む。
YESなら、旧操作量Qbeに対する新操作量Qneの瞬間的な変化量が、適正であると判断することになる。NOなら、瞬間的な変化量が過大である(瞬間的に過大に変化した)と判断することになる。
ST103;旧操作量Qbeによって、操舵制御を実行する。具体的には、旧操作量Qbeに応じた転舵指令を電動モータ61に発することで、電動モータ61にて転舵軸63をスライドさせて、転舵する。
ST104;旧操作量Qbeの値を、新たな新操作量Qneの値に変更する。
ST106;新操作量Qneに対して転舵量STeが不一致であるか否かを調べ、YESならST107に進み、NOなら上記図4のST02に戻る。
ST107;フラグFLの態様を調べ、態様に応じた次のステップに進む。すなわち、フラグFLが「Le」又は「PLe」であるときにはST108に進む。フラグFLが「Ri」又は「PRi」であるときにはST109に進む。フラグFLが「Ne」であるときにはST110に進む。
ST109;右の操作部材34Rの位置を転舵量STeの値によって補正した後に、上記図4のST02に戻る。具体的には上記ST108と同様である。
ST110;左右の操作部材34L,34Rの位置を転舵量STeの値によって補正した後に、上記図4のST02に戻る。具体的には上記ST108と同様である。
ST201;制御部53に内蔵されている第1タイマの、カウント時間Tc=0であるか否かを調べ、YESなら第1タイマが停止状態にあると判断してST202に進み、NOならカウント中であると判断してST203に進む。
ST203;カウント時間Tc(経過時間Tc)が予め設定されている一定の第1基準時間Ts1を経過したか否かを調べ、YESならST204に進み、NOならST208に進む。
ST204;第1タイマをストップさせる。
ST205;カウント時間Tc=0にリセットする。
ST206;フラグFLを「Le」とする。
ST207;報知器81をストップする。これによって、後述するST212で作動を開始した報知器81を停止することができる。
ST209;左の操作部材34Lによる操作量Qle(左の操作量Qle)を計測する。
ST210;左の操作量Qleと旧操作量Qbeとの差の絶対値が、予め設定された一定の基準差αよりも大きいか否かを調べ、YESならST211に進み、NOならST213に進む。YESなら、旧操作量Qbeに対して左の操作量Qleの変化が過大であり、戻す必要があるとの判断になる。
ST212;左の操作部材34Lの位置を補正中であることを、報知器81によって報知する。
ST214;第2タイマのカウント時間Td=0にリセットした後に、上記図5のST105に戻る。
ST206では、フラグFLを「Ri」とする。
ST209では、右の操作部材34Rによる操作量Qri(右の操作量Qri)を計測する。
ST210では、右の操作量Qriと旧操作量Qbeとの差の絶対値が、予め設定された一定の基準差αよりも大きいか否かを調べ、YESならST211に進み、NOならST213に進む。
ST211では、右の操作部材34Rの位置を旧操作量Qbeの値によって補正する。
ST301;旧操作量Qbeによって、操舵制御を実行する。具体的には、旧操作量Qbeに応じた転舵指令を電動モータ61に発することで、電動モータ61にて転舵軸63をスライドさせて、転舵する。
ST302;制御部53に内蔵されている第2タイマの、カウント時間Td=0であるか否かを調べ、YESなら第2タイマが停止状態にあると判断してST303に進み、NOならカウント中であると判断してST304に進む。
ST304;カウント時間Td(経過時間Td)が予め設定されている一定の第2基準時間Ts2を経過したか否かを調べ、YESならST305に進み、NOなら上記図4のST02に戻る。なお、カウント時間Tdは、一方の操作部材34R(又は34L)から他方の操作部材34L(又は34R)に持ち替えるタイミングをみるための、微小な時間(例えば1秒程度)である。
ST305;第2タイマをストップさせる。
ST306;カウント時間Td=0にリセットした後に、上記図4のST15に戻る。
例えば、右の操作部材34Rを操作中に、左右の操作部材34L,34Rの両方に触ると、図4のST14からST21に進む。この結果、図7の第2タイマがスタートする。
第2タイマが微小な時間のカウントを完了したときには、図7のST304において、第2基準時間Ts2が経過しても左右の操作部材34L,34Rが操作状態にあると判断する。この結果、ST305及びST306を経た後に、図4のST15以降に進んで、両手操作による操舵モードに移行する。
一方、第2タイマのカウント中に、左の操作部材34Lの操作に切り替わったときには、図4のST04からST08の左持ち替えモードに移行する。
なお、左の操作部材34Lから右の操作部材34Rへ持ち替えた場合も、同様に制御する。
図8は本発明に係る移動体運転装置の作用を示す作用図(その1)であり、横軸を時間としたタイムチャートで各部の作動を示す。
左右の接触信号が共にオン(接触有り)の状態において、左の操作量Qle(操作位置)が右の操作量Qri(操作位置)よりも大きいので、左の操作量Qleが優先する。つまり、左の操作量Qleのデータ信号を「優先操作信号」とする。このときの操舵出力は、左の操作量Qleと同等の制御量である。この操舵出力によって、移動体20を制御する。
時点t2以降の操舵出力は、右の操作量Qriと同等の制御量になる。この操舵出力によって、移動体20を制御する。
としたタイムチャートで各部の作動を示す。
制御部53は、先に右の接触信号がオン(接触有り)の信号を受けているとき、時点t11で左の接触信号がオン(接触有り)の信号を受け、この時点t11から微小の時間Tdが経過する前の時点t12で、右の接触信号がオフ(接触無し)の信号に切り替わったときに、右の接触信号オンから左の接触信号オンに切り替わったという条件を満たしたと判断する。そして、制御部53は、この切り替わった時点t12から一定の経過時間Tcが経過した時点t13まで、この解除される直前の右の操作量Qriに基づいて、移動体20を制御する。
時点t13以降の操舵出力は、左の操作量Qleと同等の制御量になる。この操舵出力によって、移動体20を制御する。
また、移動体運転装置10は、ステアリング装置に限定されるものではなく、例えば走行速度制御、ブレーキ制御、エンジンのスロットル制御を行う装置に適用することができる。
また、操作部材34L,34Rはシーソー形式の部材に限定されるものではなく、例えばジョイスティックであってもよい。
また、報知器81の有無は任意である。
また、図6で破線にて囲んだステップST210及びST212の有無は任意である。
Claims (3)
- 移動体に設けられた左右一対の操作部材を、運転者がそれぞれ対応する手で個別に操作することにより、その操作量に基づいて制御部により移動体を制御する移動体運転装置において、
前記左右一対の操作部材は、互いに連動することなく、独立して操作可能な構成であり、
前記左右一対の操作部材の操作面に前記運転者の手の指が個別に触っていることを検出して接触信号を発する、左右一対の接触センサを有し、
前記制御部は、前記左右一対の接触センサから受ける接触信号のうち、先に一方の接触信号を受け、その後に両方の接触信号を予め設定されている所定の基準時間にわたり継続して受けたという条件を満たしたときには、片手操作による操舵モードから両手操作による操舵モードに移行するように構成したことを特徴とする移動体運転装置。 - 前記制御部は、前記左右一対の操作部材から受ける各操作信号のうち、先に一方の操作部材により接触信号を受け、その後に前記一方の操作部材による接触信号が無くなり、他方の操作部材により接触信号を受け、操作部材が切り替わったという条件を満たしたときに、少なくとも切り替わった時点では、切り替わる直前の一方の操作信号に基づいて、前記移動体を制御して、前記他方の操作部材の操作位置を、前記一方の操作部材における切り替わり直前の操作位置に、位置補正手段を介して補正するように構成したことを特徴とする請求項1記載の移動体運転装置。
- 前記制御手段は、予め設定されている所定時間内において、前記他方の操作信号を発する操作部材の操作位置の補正を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の移動体運転装置。
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