JP4725353B2 - 車両用パワートレインの支持構造 - Google Patents
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Description
エンジン、トランスミッション等の駆動系要素により組み立てられたユニットを車両用パワートレインと称することがある。
こうした車両用パワートレイン(以後、単に「パワートレイン」と表記する。)を車体に組付けるにあたっては、例えば、図8に示すインシュレータ組立体105を用いてパワートレインを車体100に支持することがある。
インシュレータ組立体105は、パワートレイン101からの振動を車体100へ伝達しにくくするための緩衝機構である。
パワートレイン101は、インシュレータ組立体105を保持するための保持ブラケット102を有する。
保持ブラケット102は、パワートレイン101に固定されたブラケットであり、互いに対向する一対のフランジ部103、104を備えており、一方のフランジ部103にはボルト用通孔103aが形成され、他方のフランジ部104にはボルト孔104aが形成されている。
一方のフランジ部103におけるボルト用通孔103aと、内筒106の貫通孔106aに連結ボルト109を挿通し、さらに、連結ボルト109をフランジ部104のボルト孔104aに螺締する。
連結ボルト109が保持ブラケット102に固定されることにより、インシュレータ組立体105は保持ブラケット102に保持される。
取付用ボルト111を用いて取付用ブラケット110を車体100に取り付けると、パワートレイン101が車体100へ取り付けられた状態となる。
因みに、インシュレータ組立体105おける内筒106の両端は、連結ボルト109の締め付けを受けるフランジ部103、104により押圧された状態にある。
このため、インシュレータ組立体105は、連結ボルト109の軸芯を支点とし、保持ブラケット102に対して回動することはない。
この揺動支持装置では、車輪保持体に設けたボルトに支持本体を介して車輪懸架部材が保持され、インシュレータ組立体の内筒(内側スリーブ)と連結ボルト(ボルト)との間に金属スリーブが設けられている。
しかも、連結ボルトを挿通するとパワートレインの重量に基づく荷重がボルト用通孔のフランジ部を通じて連結ボルトに集中するおそれがあった。
一方、予めインシュレータ組立体をパワートレインに組み付けてから、パワートレインを車体に組み付ける場合、パワートレインを車体に搭載してからインシュレータ組立体を組み付ける場合に生じる問題は解消される。
しかしながら、取付用ブラケットと車体の取り付け位置との位置ずれが生じていると、常態では水平の状態にある取付用ブラケットが傾斜されて車体の取り付け先に固定される場合がある。
因みに、インシュレータ組立体における内筒と外筒との間に弾性体が介在されていることから、外筒は内筒に対し連結ボルトの軸芯を中心として互いに相対する方向へ僅かに回動することを可能としており、このために取付用ブラケットの傾斜が可能である。
しかしながら、取付用ブラケットの傾斜は、インシュレータ組立体における弾性体の捩じりを招くことから、弾性体としての性能や耐久性を低下させる可能性がある。
つまり、保持ブラケットのようにボルトを両持ちで支持する技術ではなく、特許文献1の技術では従来のパワートレインの支持構造の問題点を解決することはできない。
次に、フランジ部の貫通孔に筒状スペーサを挿通させ、嵌合機構により筒状スペーサと前記内筒が相互に嵌合させる。
筒状スペーサと内筒との嵌合により、インシュレータ組立体が仮保持状態で位置決めされる。
この状態から、インシュレータ組立体を車体に固定するが、インシュレータ組立体を車体に固定するとき、インシュレータ組立体が保持ブラケットから位置ズレしても、筒状スペーサと内筒との嵌合によりインシュレータ組立体は保持ブラケットに対し仮保持状態が維持される。
次に、筒状スペーサのボルト用通孔及び内筒における挿通孔に連結ボルトを挿通させるが、筒状スペーサと内筒が嵌合されていることにより、連結ボルトは挿通の際に一方のフランジ部を通じたパワートレインからの荷重を殆んど受けることがなく、また、ボルト用通孔及び内筒に対して円滑に挿通される。
そして、ボルト挿入孔に通した連結ボルトが保持ブラケットに固定されることにより、インシュレータ組立体が保持ブラケットに保持される。
一方のフランジ部に筒状スペーサが設けられていることにより、インシュレータ組立体が保持ブラケットに保持された状態でも、連結ボルトは一方のフランジ部を通じたパワートレインからの荷重を殆んど受けることがない。
これにより、筒状スペーサと内筒が嵌合され、貫通孔とボルト用通孔の位置合わせが簡単に行えるほか、前記連結ボルトを用いることなくインシュレータ組立体を保持ブラケットに対して仮保持することが可能である。
なお、筒状スペーサの端部に嵌合凹部が設けられる場合、内筒の端部には嵌合凹部に挿入される挿入端部が設けられる。
逆に、内筒の端部に嵌合凹部が設けられる場合、筒状スペーサの端部には嵌合凹部に挿入される挿入端部が設けられる。
このため、例えば、インシュレータ組立体を予めパワートレインに組み付けてから、パワートレインを車体に取り付ける場合において、従来のように車体に対するインシュレータ組立体との取り付け位置が僅かにずれることがあっても、インシュレータ組立体が連結ボルトに対して回動すれば、内筒と外筒が連結ボルトの軸芯を中心として互いに相対する方向へ僅かに回動が生じるおそれが少なくなる。
これにより、インシュレータ組立体の弾性部材が捩れてしまうこともなく弾性部材の耐久性や振動吸収性を性能低下が抑制される。
以下、第1の実施形態に係る車両用パワートレインの支持構造について図1〜図4に基づき説明する。
図1に示すこの実施形態の車両用パワートレイン(以下、単に「パワートレイン」と表記する。)は、車両に用いるエンジンとトランスミッションを有する駆動系ユニットである。
この明細書におけるパワートレインは、車両走行のために必要な駆動系ユニットの他、作動により振動を生じる走行以外の動力系ユニットを含む意味で使用される。
この実施形態に係る車両は、図1に示すように、パワートレイン2を搭載することができる車体1を備えている。
この実施形態に係るパワートレイン2は、側部(図1において右側であり、一方の側部のみ示す。)のインシュレータ組立体3と、前部(図1において左側)のインシュレータ組立体4により車体1に支持される。
この実施形態における発明の適用対象は、前部のインシュレータ組立体4を用いたパワートレイン2の支持構造である。
パワートレイン2の側部には、図示はしないが別のブラケットが取り付けられている。
側部のブラケットは前部に設けたインシュレータ組立体4とは異なる構造のインシュレータ組立体3を保持する。
この実施形態では、パワートレイン2の前部及び側部2箇所の合計3箇所においてパワートレイン2を車体1に支持するようにしている。
パワートレイン2は各インシュレータ組立体3、4を介して車両に取り付けられる。
インシュレータ組立体3、4は、パワートレイン2からの振動を車体1へ伝達しにくくするための緩衝機構である。
前部に設けた保持ブラケット5には、後述する連結ボルト8及び筒状スペーサ16を介してインシュレータ組立体4が保持される
保持ブラケット5は、図2に示すように、平面視断面コ字形状の屈曲された金属板である。
保持ブラケット5は、パワートレイン2の前部に固定される固定板部5aと、固定板部5aの両端において固定板部5aと直角な一対のフランジ部5b、5cを有する。
一方のフランジ部(図2において下側のフランジ部であり、説明の便宜上、以後「通し側フランジ部」と表記する。)5bには、貫通孔6が形成されている。
貫通孔6は筒状スペーサ16の外径に対応する径に設定されている。
他方のフランジ部(図2において上側のフランジ部であり、説明の便宜上、以後「止め側フランジ部」と表記する。)5cには、貫通孔6と同軸のボルト挿入孔としてのボルト孔7が形成されている。
ボルト孔7は連結ボルト8の雄ねじ部8cに対応する雌ねじにより形成されている。
止め側フランジ部5cは、連結ボルト8を固定する雌ねじ部をある程度必要とするため、板厚が通し側フランジ部5bよりも厚く設定されている。
図2に示す連結ボルト8は頭部8aと軸部8bを有する公知のボルトであり、軸部8bの長さは一対のフランジ部5b、5c間の距離も長く設定されている。
また、軸部8bの端部寄りには一定範囲の雄ねじ部8cが形成されている。
内筒9及び外筒11は共に金属材料から形成されている。
内筒9の長さは、一対のフランジ部5b、5c間の距離よりも僅かに短く設定されている。
内筒9の挿通孔10は連結ボルト8の軸部8bを挿通させることができる径に設定されている。
内筒9と外筒11の間に介在させた弾性部材12は弾性を有するゴム系材料により形成されている。
弾性部材12は、内筒9の外周面と外筒11の内周面と加硫凝着されていることから、内筒9、外筒11、弾性部材12は一体化されている。
図3に示すように、外筒11の外周面には板状の取付用ブラケット13が固定されている。
取付用ブラケット13は、インシュレータ組立体4を車体1に固定するためのブラケットであり、取付用ブラケット13の両端寄りには固定用ボルトのための通孔13aが穿孔されている。
嵌合凹部15は、連結ボルト8の挿入方向への一定の深さにて設定されており、次に説明する筒状スペーサ16の挿入端部16aが挿入される凹部である。
嵌合凹部15における連結ボルト8の挿通方向と直角な断面形態は円形となっている。
嵌合凹部15は、筒状スペーサ16の挿入端部16aとともにパワートレイン2の支持構造における嵌合機構を構成する。
嵌合凹部15の内径は、筒状スペーサ16の挿入端部16aの径と対応する径に設定され、さらに言うと、通し側フランジ部5bにおける貫通孔6の径と略一致する。
筒状スペーサ16を挿入し易くするため、嵌合凹部15の径を貫通孔6の径よりも僅かに大きな径にて設定することが好ましい。
嵌合凹部15の外側端部は面取り加工が施され、図4に示すように、面取り部15aが形成されており、筒状スペーサ16をさらに挿入し易くしている。
筒状スペーサ16は連結ボルト8の軸部8bを挿通するボルト用通孔17を有する筒体である。
筒状スペーサ16は、金属材料又は硬化樹脂等、十分な剛性を有する材料により形成されている。
筒状スペーサ16の外径は、通し側フランジ部5bの貫通孔6に対して圧入による挿入が可能なように、貫通孔6と略一致する径に設定されている。
また、筒状スペーサ16の外径は、内筒9における嵌合凹部15に挿入可能な径に設定されている。
筒状スペーサ16の長さは、通し側フランジ部5bの板厚と嵌合凹部15の深さを加えた長さよりもやや長く設定されている。
筒状スペーサ16における連結ボルト8の挿通方向と直角な断面形態は円形となっていると言える。
筒状スペーサ16の両端における外周縁部には、内筒9における嵌合凹部15および通し側フランジ部5bの貫通孔6に対する挿通を容易にするために面取り加工が施され、面取り部16bが形成されている。
従って、貫通孔6へ挿入する筒状スペーサ16の向きは特定されず、筒状スペーサ16の両端部のいずれもが挿入端部16aとしての機能を有する。
パワートレイン2における保持ブラケット5の両フランジ部5b、5c間にインシュレータ組立体4を入れる。
図7(a)に示すように、保持ブラケット5における貫通孔6及びボルト孔7が内筒9の挿通孔10と一致するように両フランジ部5b、5c間のインシュレータ組立体4の位置を調整する。
貫通孔6に圧入された筒状スペーサ16は、締まりばめ状態となり、通し側フランジ部5bに対して固定された状態となる。
さらに、筒状スペーサ16の挿入端部16aを内筒9の嵌合凹部15に嵌め込む。
筒状スペーサ16の外周端部の面取り部16bと、内筒9における嵌合凹部15の外側端部の面取り部15aの存在により、内筒9と筒状スペーサ16の軸心を合わせつつ、筒状スペーサ16の挿入端部16aを内筒9の嵌合凹部15に嵌め込むことが比較的容易である。
なお、内筒9は筒状スペーサ16の周りで回動自在の嵌合状態にある。
筒状スペーサ16と内筒9が嵌合されることにより、図5(b)に示すように、インシュレータ組立体4は保持ブラケット5に仮保持された状態にある。
保持ブラケット5に仮保持されたインシュレータ組立体4は、嵌合凹部15と挿入端部16aとの僅かなクリアランスに対応して保持ブラケット5に対して微小移動ができる状態にある。
このとき、車体1とインシュレータ組立体4との固定を行い易くするように、パワートレイン2の位置を調整しておく。
パワートレイン2の位置を調整した後、車体1とインシュレータ組立体4を固定する。
具体的には、図7(b)に示すように、車体1におけるインシュレータ組立体4の取付先に臨ませた取付用ブラケット13に固定用ボルト14を挿通し、車体1に固定用ボルト14を螺入する。
従って、車体1の取付先には固定用ボルト14のボルト孔が設けられていることは言うまでもない。
なお、車体1にインシュレータ組立体4を固定する時点では固定用ボルト14を仮締めとしておくことが好ましい。
固定用ボルト14の仮締め状態は、車体1に対するインシュレータ組立体4の僅かな移動を許容する。
完全に固定用ボルト14を締め付けて固定すると、取付先と取付用ブラケット13との位置ずれが存在する場合には、内筒9の嵌合凹部15と筒状スペーサ16の挿入端部16a、あるいは貫通孔6における位置ずれとして反映され、これらの部位において過度の力が働くおそれがあるためである。
内筒9の挿通孔10と筒状スペーサ16のボルト用通孔17が両者9、16の嵌合により一致する状態にあるから、連結ボルト8の挿通は容易である。
次いで、両孔10、17に挿通された連結ボルト8を止め側フランジ部5cに形成されたボルト孔7に螺入する。
最後に、連結ボルト8と固定用ボルト14を完全に締め付ける。
このとき、通し側フランジ部5bにおいて、筒状スペーサ16が通し側フランジ部5bから荷重を受ける場合がある。
連結ボルト8は筒状スペーサ16から荷重を受けるが、筒状スペーサ16と連結ボルト8との接触面は、通し側フランジ部5bと筒状スペーサ16の接触面よりも遥かに広い。
このため、過度の荷重が連結ボルト8に作用するおそれは少ない。
さらに、別にパワートレイン2に設けたインシュレータ組立体3を車体1に固定する。
このような手順によりパワートレイン2が車体1に対して取り付けられ、パワートレイン2はインシュレータ組立体4と、別に設けられるインシュレータ組立体3と共に車体1に支持される。
従って、パワートレイン2が生じる振動はインシュレータ組立体3、4により減衰吸収される。
逆に、車体1からの振動もインシュレータ組立体3、4により減衰吸収される。
(1)パワートレイン2を車体1に搭載してからインシュレータ組立体4を組み付ける場合であっても、パワートレイン2の保持ブラケット5とインシュレータ組立体4との相互の位置決めを従来よりも簡単に行えるほか、パワートレイン2を車体1に取り付ける際に、連結ボルト8に対する通し側フランジ部5bからの集中荷重を回避することができる。
(2)インシュレータ組立体4をパワートレイン2に組み付けてから、パワートレイン2を車体1に取り付ける場合であっても、インシュレータ組立体4が連結ボルト8の軸芯周りに回動し易い状態で保持ブラケット5に保持されているから、弾性部材12が捩じられるおそれは少ない。このため、弾性部材12の捩じれによる弾性部材12の振動性能や耐久性の低下が抑制される。
(4)通し側フランジ部5bに挿通された筒状スペーサ16に、内筒9を嵌合させることにより、連結ボルト8を用いることなくインシュレータ組立体4を保持ブラケット5に対して仮保持の状態で保持することができる。パワートレイン2を車体1に取り付ける際、パワートレイン2の重量は筒状スペーサ16が受けるため、連結ボルト8には通し側フランジ部5bからの集中荷重が回避でき、連結ボルト8の挿通と締結がスムーズに行える。
(6)連結ボルト8のねじ込み作用により、筒状スペーサ16を介して止め側フランジ部5cへの内筒9の押し付けが密接となるため、内筒9は軸方向へ移動することがなく、パワートレイン2等からの振動の伝播による内筒9の共振音の発生を阻止する事が可能となる。
次に、第2の実施形態に係る車両用パワートレインの支持構造について図6に基づき説明する。
この実施形態は、第1の実施形態の筒状スペーサと内筒との嵌合部分の形状を変更した例である。
したがって、インシュレータ組立体の内筒と筒状スペーサ以外の構成は第1の実施形態と同一であるので同一の要素は説明を第1の実施形態の説明を援用し省略する。
また、第1の実施形態と同一の要素は符号を共通して用いる。
筒状スペーサ20において内筒23を臨む一方の端部には、嵌合凹部22が形成されている。
嵌合凹部22の径は、筒状スペーサ20の外径より小さく、かつ、ボルト用通孔21より大きく設定されている。
嵌合凹部22は、筒状スペーサ20の内筒23側から通し側フランジ部5bへ一定の深さに設定され、連結ボルト8の挿通方向と直角な嵌合凹部22の断面形状は円形となっている。
従って、連結ボルト8の挿通方向と直角な内筒の断面形状は円形となっている。
内筒23の外径は、筒状スペーサ20における嵌合凹部22の径と僅かに小さく設定されている。
内筒23の外径と嵌合凹部22の径の関係は、嵌合凹部22と対向する内筒23の端部が嵌合凹部22に挿入された状態で、筒状スペーサ20に対して内筒23が回動自在の嵌合状態を実現する。
嵌合凹部22と対向する内筒23の端部は、嵌合凹部22に対し余裕を持って嵌合自在であり、嵌合凹部22に対する挿入端部23aとしての機能を有する。
嵌合凹部22と挿入端部23aは、この実施形態のパワートレイン2の支持構造における嵌合機構を構成する。
なお、嵌合凹部22の外側端部と、内筒23の外周端部に面取り加工を施し、夫々面取り部22a、23bを形成しておくことが好ましい。
さらに言うと、インシュレータ組立体4の内筒23を支持する筒状スペーサ20の肉厚を厚くすれば、連結ボルト8の挿通するまでの間において筒状スペーサ20よるインシュレータ組立体4の保持力をより高めることができる。
また、筒状スペーサ20に嵌合凹部22を設けることにより、内筒23の両端部を同一形状にすることができる。
これにより、インシュレータ組立体4は、連結ボルト8の挿通方向について正逆の向きを考慮する必要がなく、作業性向上の一助となる。
次に、第3の実施形態に係る車両用パワートレインの支持構造について図7に基づき説明する。
この実施形態は、第1の実施形態の筒状スペーサと内筒との嵌合部分の形状を変更した例である。
したがって、筒状スペーサと内筒以外の構成は第1の実施形態と同一であるので同一の要素は説明を第1の実施形態の説明を援用し省略する。
また、第1の実施形態と同一の要素は符号を共通して用いる。
筒状スペーサ30において内筒33を臨む一方の端部には、嵌合凹部32が形成されている。
嵌合凹部32の径は、筒状スペーサ30の外径より小さく、かつ、ボルト用通孔31より大きく設定されている。
嵌合凹部32は、筒状スペーサ30の内筒33側から通し側フランジ部5bへ一定の深さにて設定され、連結ボルト8の挿通方向と直角な嵌合凹部32の断面形状は円形となっている。
挿入端部35は、本体部34よりも小径であって本体部34の挿通孔36よりも大きく設定された外径を有する。
挿入端部35と本体部34との間には径方向へ拡径する環状面34aが形成されている。
挿入端部35の外径は、筒状スペーサ30における嵌合凹部32の径より僅かに小さく設定されている。
従って、連結ボルト8の挿通方向と直角な挿入端部35の断面形状は円形となっている。
内筒33の環状面は、筒状スペーサ30における嵌合凹部32側の端面と対向する。
嵌合凹部32と対向する挿入端部35は、嵌合凹部32に対し余裕を持って嵌合自在である。
嵌合凹部32と挿入端部35は、この実施形態のパワートレイン2の支持構造における嵌合機構を構成する。
なお、嵌合凹部32の外側端部と、挿入端部35の外周端部に面取り加工を施し、夫々面取り部32a、35aを形成しておくことが好ましい。
さらに言うと。筒状スペーサ30の嵌合凹部32側の端面と内筒33における環状面34aを突合せるように寸法に設定すれば、嵌合凹部32と挿入端部35の嵌合のほかに、嵌合凹部32側の端面と内筒33における環状面34aがパワートレイン2の荷重に対抗する要素となる。
○上記の第1〜第3の実施形態では、筒状スペーサは、通し側フランジ部の貫通孔に挿通されているが、内筒の両端面に上記実施形態と同様の形状を成す嵌合凹部を形成し、保持ブラケットの止め側フランジ部に別の貫通孔を形成し、貫通孔に筒状スペーサを挿通してもよい。連結ボルトの挿通するまでの間、両端の筒状スペーサによりインシュレータ組立体の保持ブラケットに対する保持力を高める構造であってもよい。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、通し側フランジ部におけるボルト挿入孔は、雌ねじ部を有するボルト孔としたが、ボルト挿入孔は、必ずしもねじ部を必要とするボルト孔としなくてもよく、例えば、ねじ部がない通孔としてもよい。この場合、連結ボルトは、連結ボルトの軸端部が止め側フランジ部の外側面に突出される程度の長さとし、止め側フランジ部の外側面に突出される連結ボルトの軸端部をナット締めしてもよい。
○ 上記の第1〜第3の実施形態では、単に車両用パワートレインの支持構造としたが、本発明は、例えば、フォークリフト等の荷役車両、ブルドーザ等の建設車両、自動車、トラック等に適用できる。
2、101 パワートレイン
3、4、105 インシュレータ組立体
5、102 保持ブラケット
5b、103 フランジ部
5c、104 フランジ部
6 貫通孔
8、109 連結ボルト
9、106 内筒
10 挿通孔
11、107 外筒
12、108 弾性部材
15、22、32 嵌合凹部
16、20、30 筒状スペーサ
16a、23a、35 挿入端部
17、21、31 ボルト用通孔
Claims (3)
- 連結ボルト用の挿通孔を有する内筒と、該内筒を収容するとともに該内筒と同心円状に配置された外筒と、前記内筒と前記外筒の間に介在させた弾性部材とを有するインシュレータ組立体を設け、パワートレインに設けた保持ブラケットに対して連結ボルトを介して前記インシュレータ組立体を保持させ、前記インシュレータ組立体を車体に固定することにより、前記車体に前記パワートレインを支持する車両用パワートレインの支持構造であって、
前記保持ブラケットは一対のフランジ部を有し、
一方のフランジ部は、前記連結ボルトの軸径より大径であって、かつ、該ボルトの頭部の径より小径の貫通孔を備え、
他方のフランジ部は、前記連結ボルトの挿入用のボルト挿入孔を備え、
前記貫通孔と前記ボルト挿入孔は互いに同軸であり、
前記連結ボルトが挿通されるボルト用通孔を有し、前記貫通孔に挿入される筒状スペーサを設け、
前記筒状スペーサと前記内筒が相互に嵌合する嵌合機構を備え、
前記筒状スペーサを介して前記インシュレータ組立体を前記保持ブラケットに仮保持させた後、前記連結ボルトを前記ボルト用通孔及び前記挿通孔に通し、
前記連結ボルトの固定により前記インシュレータ組立体を前記保持ブラケットに固定することを特徴とする車両用パワートレインの支持構造。 - 前記嵌合機構は、互いに対向する前記筒状スペーサ又は前記内筒の端部に形成された嵌合凹部と、該嵌合凹部に対して前記連結ボルトの挿通方向に沿って挿入される前記筒状スペーサ又は前記内筒の挿入端部から構成されることを特徴とする請求項1記載の車両用パワートレインの支持構造。
- 前記嵌合凹部及び前記挿入端部における前記連結ボルトの挿入方向に対する直角方向の断面形状が互いに略一致する円形であり、前記筒状スペーサと前記内筒が相互に嵌合するとき、内筒が筒状スペーサに対して回動自在とすることを特徴とする請求項2記載の車両用パワートレインの支持構造。
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