JP4725138B2 - 熱輸送装置及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、毛細管力を推進力として作動流体を循環させることにより、発熱体の熱を吸収して熱を輸送する熱輸送装置及びこれを搭載した電子機器に関する。
PC(Personal Computer)等の電子機器を冷却するために、その電子機器の発熱部から発生する熱を放熱部に輸送するデバイスとして、従来からCPL(Capillary Pumped Loop)等が用いられている。これらの熱輸送デバイスは、電子機器の高温の発熱部(または蒸発部)で発生する熱によって蒸発した気相の作動流体が、低温の放熱部へ移動し、その放熱部(または凝縮部)で凝縮して液体になって熱を放出するものであり、これにより、発熱体が冷却される。
CPLはヒートパイプの原理を用いた熱輸送装置で、その形状はパイプ状のものに限られない。例えば、CPLには、蒸発器と凝縮器とが物理的に分離され、蒸発器と凝縮器とが、気相の作動流体が流通する気相管と液相の作動流体が流通する液相管とによって接続された装置がある(例えば、特許文献1参照。)。CPLは、発熱体の熱により作動流体が蒸発するときの圧力及び流路の毛細管力を作動流体の推進力としているので、重力による影響が少ないという利点がある。
従来の熱輸送デバイスでは、例えば発熱部(蒸発部)の近傍にリザーバタンクを設けるものが数多く見られる。中には、作動液の逆流防止のために、リザーバタンクを作動液の逆止弁として機能させているもある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−85186号公報(段落[0041]、図1) 特開平7−127982号公報(段落[0014]、図1)
しかしながら、CPL方式であっても、発熱体からの熱負荷がない非動作時には重力の影響を受け、作動流体が熱輸送デバイスの重力方向に溜まりやすい。例えば、蒸発部が凝縮部より重力中心側(地面側)に近い姿勢になった場合、蒸発部に作動流体が溜まりすぎると、作動流体が蒸発しにくくなり、良好に動作しないという問題がある。
このような問題を解消するため、熱輸送デバイスに、例えばメカニカルなポンプ機構や、発熱体とは別途の加熱機構等のスタータを持たせて、起動時にそれらのスタータを作動させるという方法が考えられる。しかし、スタータを設けると装置が大きくなり、複雑化するという欠点がある。
また、液相の作動流体量に対して蒸発部の内容積を大きくすることで、当該内容積の空間率を上げて問題を解決することも考えられる。しかし、発熱体周辺のスペースがない場合は、そのように蒸発部の内容積を上げることは困難である。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、熱輸送装置の姿勢によらないで、また、スタータを設けることなく動作する熱輸送装置及びこれを搭載した電子機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る熱輸送装置は、作動流体を流通させ、前記作動流体の蒸発作用により熱を吸収する蒸発部と、前記作動流体を流通させ、前記作動流体の凝縮作用により熱を放出する凝縮部と、前記蒸発部で蒸発した前記作動流体を前記凝縮部へ流通させるための第1の流路と、前記凝縮部で凝縮した前記作動流体を前記蒸発部へ流通させるための第2の流路と、前記蒸発部より前記凝縮部に近い位置に配置され、前記作動流体を貯留する貯溜部とを具備する。
本発明では、貯留部が蒸発器より凝縮器に近い位置に配置されているので、貯溜部から蒸発部へ作動流体が流れ出ることを極力防止することができる。例えば熱輸送装置の非動作時に作動流体が重力や遠心力によって蒸発部に溜まり過ぎてしまうことを防止することができる。したがって、スタータを要することなく熱輸送装置が動作することができる。本発明に係る熱輸送装置は、蒸発部と凝縮部とが物理的に分離した構造であってもよいし、1枚のプレート状であってもよい。
本発明の一の形態によれば、当該熱輸送装置は、少なくとも前記凝縮部と前記貯溜部とを内蔵するプレートをさらに具備してもよい。プレートが凝縮部と貯溜部とを内蔵し、蒸発部、第1及び第2の流路を内蔵しない場合は、熱輸送装置は、そのプレートと、蒸発部を内蔵する第2のプレートと、第1の流路を構成するための第1の管と、第2の流路を構成するための第2の管とを備えていればよい。プレートは、蒸発部、第1及び第2の流路をさらに内蔵する場合は、当該熱輸送装置は、1枚のプレート状の熱輸送装置となる。
本発明の他の観点に係る熱輸送装置は、作動流体を流通させ、前記作動流体の蒸発作用により熱を吸収する蒸発器と、前記作動流体を貯溜する貯溜部を内部に有し、前記作動流体の凝縮作用により熱を放出する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続され、前記蒸発器で蒸発した前記作動流体を前記凝縮器へ流通させるための第1の管と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続され、前記凝縮器で凝縮した前記作動流体を前記蒸発器へ流通させるための第2の管とを具備する。
本発明では、凝縮器内に貯溜部が設けられているので、非動作時に貯溜部から蒸発器へ作動流体が流れ出ることを極力防止することができる。また、凝縮器内に貯溜部があることにより、熱輸送装置の製造時において作動流体の量を調整しやすくなるというメリットもある。その理由は、凝縮器内にある作動流体はほぼ液相であるので、凝縮器内にある貯溜部の容積が液相状態の作動流体量を直接左右すると考えてよいからである。つまり、貯溜部の容積を調整することにより、作動流体量を調整し、これにより熱輸送装置の動作温度範囲や最大熱輸送量等が設定できるからである。
また、貯溜部がある場合、内容積を増やせるので作動流体量のばらつきや非凝縮性ガス(例えば、作動流体と、蒸発器または凝縮器の材料との化学反応によって生成されるガス等)の存在に対する熱輸送装置のロバスト性が向上するが、従来の貯溜部では液相の作動流体と気相の作動流体とが混在していた。特に、貯溜部が蒸発器に近い場合、その温度は高く気相の割合が増えるため、凝縮器内の液相作動流体の量が増えて放熱効率を下げてしまう。しかし本発明に係る熱輸送装置の貯溜部の温度は、凝縮器に付随することで熱輸送装置において最低温度になる凝縮器の放熱部の温度に近くなりほぼ液相で満たされることになる。その結果、凝縮器の凝縮効率を落とすことなく高いロバスト性を実現することができる。
また、凝縮効率の維持または改善のために凝縮器内の液相作動流体の量を減らすと、従来では外乱(振動等)によって液切れを起こしやすかったが、本発明の貯溜部は凝縮器内にあるため液切れを起こしにくい。
また、熱輸送装置の外寸法は当該熱輸送装置を搭載する電子機器側の寸法によって制約がある場合が多く、蒸発器を凝縮器に比べて小さくせざるを得ない場合がある。そのような場合にも本発明に係る熱輸送装置の構成は有効である。
本発明の一の形態によれば、前記凝縮器は、前記作動流体を凝縮させながら流通させることが可能な第1の流路体積を有する第1の流路と、少なくとも前記第1の流路と前記貯溜部との間に設けられ、前記第1の流路体積より小さい第2の流路体積を有する第2の流路とを有する。流路体積とは、作動流体が流れる方向の単位長さ当りの流路の容積である。流路体積が小さいほど作動流体に対する流路抵抗が大きくなるため、第1の流路より第2の流路の方が作動流体が流れにくくなり、非動作時に貯溜部から蒸発器へ作動流体が流れ出ることを極力防止することができる。
本発明の一の形態によれば、前記凝縮器は、前記作動流体を毛細管力により前記貯溜部へ導く毛細管路を有する。これにより、熱輸送装置の姿勢によらず、常に作動流体を貯溜部に貯溜しておくことが可能となる。
本発明の一の形態によれば、前記凝縮器は、前記貯溜部に接続される第1の端部と、前記第1の管より前記第2の管に近い位置に配置された第2の端部とを有する流路を有する。例えば熱輸送装置の振動によって、液面が動いて第2の管内に気泡が混入したり、熱負荷が過剰な場合に第2の管内に気泡が混入したりすることがある。このように気泡が発生することにより、貯溜部からの液相作動流体の供給抵抗となるが、本発明によれば、安定して貯溜部から液相の作動流体を第2の管内に供給することができる。特に、前記第2の管は、前記凝縮器に接続された接続端部を有し、前記第2の端部は、前記接続端部付近に配置されていることが好ましい。
本発明に係る電子機器は、発熱体と、作動流体を流通させ、前記作動流体の蒸発作用により前記発熱体の熱を吸収する蒸発部と、前記作動流体を流通させ、前記作動流体の凝縮作用により熱を放出する凝縮部と、前記蒸発部で蒸発した前記作動流体を前記凝縮部へ流通させるための第1の流路と、前記凝縮部で凝縮した前記作動流体を前記蒸発部へ流通させるための第2の流路と、前記蒸発部より前記凝縮部に近い位置に配置され、前記作動流体を貯留する貯溜部とを具備する。
電子機器としては、例えば、コンピュータ(PCの場合、ラップトップ型であっても、デスクトップ型であってもよい。)、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、携帯電話、その他の電化製品等が挙げられる。発熱体としては、例えばIC(Integrated Circuit)や抵抗等の電子部品、あるいは放熱フィン(ヒートシンク)等が挙げられるが、これらに限られず発熱するものなら何でもよい。以下、同様である。
本発明の他の観点に係る電子機器は、発熱体と、作動流体を流通させ、前記作動流体の蒸発作用により前記発熱体の熱を吸収する蒸発器と、前記作動流体を貯溜する貯溜部を内部に有し、前記作動流体の凝縮作用により熱を放出する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続され、前記蒸発器で蒸発した前記作動流体を前記凝縮部へ流通させるための第1の管と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続され、前記凝縮部で凝縮した前記作動流体を前記蒸発器へ流通させるための第2の管とを具備する。
以上のように、本発明によれば、熱輸送装置の姿勢によらないで、また、スタータを設けることなく熱輸送装置を動作させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る熱輸送装置の平面図である。図2は、図1に示す熱輸送装置10の側面図である。図3は、図1に示すA−A線断面図であり、図4は、図1に示すB−B線断面図である。
熱輸送装置10は、内部に収容された作動流体を蒸発させて発熱体15の熱を吸収する蒸発器1と、蒸発した作動流体を凝縮して熱を放出する凝縮器2とを備えている。発熱体15としては、例えばCPU(Central Processing Unit)等のICが用いられる。蒸発器1と凝縮器2との間には、蒸発器1で蒸発した作動流体を凝縮器2に流通させる気相管3と、凝縮器2で凝縮した作動流体を蒸発器1に流通させる液相管4とが接続されている。気相管3及び液相管4はそれぞれ2本ずつ設けられている。通常は、これら2本ずつすべて用いられるが、例えば2本のうち1本がドライアウト等、何らかの原因で使用できなくなった場合でも、熱輸送装置10が動作できるように2本ずつ設けられている。
作動流体としては、例えば純水、エタノール、メタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、代替フロン、アンモニア等が用いられる。気相管3としては、例えば銅、アルミニウム、またはステンレス等の金属製の材料が用いられるが、必ずしも金属に限られず樹脂材料であってもよい。液相管4についても気相管3と同様の材料が用いられる。
図2に示すように、蒸発器1は、矩形の上部基板11と下部基板12とで構成されている。上部基板11はガラスでなり、例えばパイレックス(登録商標)ガラスが用いられている。一方、下部基板12はシリコンでなる。上述した気相管3や液相管4の一端部3a、4aは、上部基板11に設けられた接続穴11b(図2参照)に挿通されて接続される。例えば図示しない半田により、気相管3及び液相管4と、上部基板11とが接合される。下部基板12の上部基板11に対面する側に、例えば液相管4の長手方向(X方向)に沿った、作動流体の流路を構成する複数の溝12aが形成されている。溝12aは、2本の液相管4に対応するように下部基板12のY方向の両側にそれぞれ設けられている。上部基板11の下部基板12と対面する側に、溝12aと直交する方向(Y方向)に作動流体の流路を構成する複数の溝11aが形成されている。さらに下部基板12の上部基板11に対面する側に、その両側の溝12aの間に空間12bが凹状に形成されている。熱輸送装置10の動作時には、この空間12bには、溝11aを流通して蒸発した気相の作動流体が存在する。
下部基板12の溝12a、上部基板11の溝11aや接続穴11b等は、例えばフォトリソグラフィ技術、切削加工、あるいはレーザ加工等によって作製される。
凝縮器2は、蒸発器1と同様に、矩形の上部基板13と下部基板14とで構成されている。上部基板13はガラスでなり、例えばパイレックス(登録商標)ガラスが用いられている。一方、下部基板14はシリコンでなる。
図1、図3及び図4に示すように、上部基板13の下部基板14に対面する側には、気相管3の他端部3bから流出する作動流体を流通させる流路13a、また流路を構成する空間13bが形成されている。流路13aは、気相管3bから流出する気相の作動流体をなるべく長距離で流通させて凝縮させるために、U字状に形成されている。上部基板13には、液相の作動流体を貯溜するリザーバ13dが設けられている。つまり、凝縮器2とリザーバ13dとが一体的に設けられている。このリザーバ13dは、下部基板14に形成された複数の溝14cに連通している。溝14cは、図3に示すように、流路13aの下方で当該流路13aと交差するようにX方向に延びている。液相管4の他端部4bは、接続穴13eに挿通されて例えば半田16により上部基板13に接合されており、上記溝14cはその接続穴13eに連通している。また、下部基板14にはその溝14cに直交する方向(Y方向)に流路となる複数の溝14aが形成され、溝14aも空間13bに連通している。さらに、上部基板13には、熱輸送装置10の製造時に、作動流体を凝縮器2内に注入するための注入孔13cが設けられている。リザーバ13dには、この注入孔13cと連通しており、作動流体が注入孔13cから注入されると作動流体はリザーバ13dに貯溜される。
上部基板13の上面には、注入孔13cを覆い凝縮器2内を密閉するための蓋5が装着されている。蓋5は、例えば図示しない接着剤やネジ等によって上部基板13に取り付けられている。蓋5の材料としては、例えば銅、アルミニウム、あるいはステンレス等の金属が用いられるが、必ずしも金属に限られず樹脂材料であってもよい。
流路13a、空間13b、接続穴13e、溝14c及びリザーバ13d等は、例えば、液相管4及び気相管3が2本ずつ設けられていることに対応して、それぞれ2つずつ設けられている。下部基板14の溝14a、溝14c、上部基板13の流路13a、空間13b、接続穴13e、リザーバ13d、注入孔13c等は、例えばフォトリソグラフィ技術、切削加工、あるいはレーザ加工等によって作製される。
図3及び図4に示すように、下部基板14の1つの溝14aの幅pは、1つの溝14cの幅qより大きくなるように設計されている。つまり、溝14cの流路体積は、溝14aのそれより小さくなるように設計されている。ここで流路体積とは、作動流体が流れる方向(図3における溝14a及び図4における溝14cで見ると、紙面に垂直方向)の単位長さ当りの流路の容積である。また、流路13aと溝14cの流路体積を比較しても、溝14cの流路体積が小さく設計されている。このように、溝14cの流路体積は、溝14aや流路13aのそれより小さくなるように設計されていることから、溝14cの毛細管力を、溝14aや流路13aのそれに比較して大きくすることができる。
以上のように構成された熱輸送装置10の動作を説明する。
発熱体15が発する熱は下部基板12に伝えられ、この熱により蒸発器1の溝11a等を流通する作動流体が蒸発する。蒸発した作動流体は、気相管3を流通し、凝縮器2内の流路13aに流入する。作動流体は、流路13aを流通し、さらに溝14aを介して空間13bに溜まることで熱を上部基板13及び下部基板14に伝えて凝縮する。上部基板13がガラス、下部基板14がシリコンでなる場合、両者の熱伝導率の差により、下部基板14の方が特に熱伝導に寄与する。上部基板13や下部基板14に伝達された熱は、凝縮器2の外部に放出される。空間13bに溜まった液相の作動流体は溝14aを介して接続穴13eに流入し、さらに液相管4に流入する。
流路13aを流通して凝縮した作動流体の一部は、比較的大きい毛細管力により溝14cを流通してリザーバ13dに流入する。
凝縮器2内で凝縮した作動流体は、液相管4を流通し、蒸発器1内の溝12aに流入し、例えば溝11a等で作動流体に発生する毛細管力によって、作動流体は再び溝11aを流通しながら発熱体15の熱により蒸発する。このように、発熱体15の熱を凝縮器2側へ輸送し、以上のような動作が繰り返されることで、発熱体15が発する熱を凝縮器2の外部に放出して発熱体15を冷却することができる。
例えば熱輸送装置10の非動作時(熱負荷がない状態)に、蒸発器1が凝縮器2より下方に位置するような姿勢にされた場合、従来までは蒸発器1に液相の作動流体が重力の影響により溜まってしまうことがあった。あるいは、遠心力により作動流体が蒸発器1側に移動してしまうこともあった。しかしながら、本実施の形態のように凝縮器2内にリザーバ13dがあることによって、リザーバ13dに貯溜された作動流体が、熱輸送装置10の非動作時にリザーバ13dから蒸発器1へ流れ出ることを極力防止できる。これにより、液相の作動流体が重力によって蒸発器1に溜まり過ぎてしまうことを防止することができる。その結果、スタータを要することなく熱輸送装置が動作することができる。
特に、本実施の形態に係る熱輸送装置10では、上述したように、溝14cの流路体積は、溝14aのそれより小さくなるように設計されている。これにより、溝14cにおける流路抵抗が溝14aより大きくなると考えられる。したがって、リザーバ13dに貯溜された液相の作動流体が溝14c介して蒸発器1側に流出しにくくなる。
凝縮器2内にリザーバ13dがあることにより、熱輸送装置10の製造時において作動流体の量を調整しやすくなるというメリットもある。その理由は、凝縮器2内にある作動流体はほぼ液相であるので、リザーバ13dの容積が液相状態の作動流体量を直接左右すると考えてよいからである。つまり、リザーバ13dの容積を調整することにより、作動流体量を調整し、これにより熱輸送装置10の動作温度範囲や最大熱輸送量等が設定できるからである。
また、リザーバ13dがある場合、凝縮器2内の内容積を増やせるので作動流体量のばらつきや非凝縮性ガス(例えば、作動流体とシリコンとの化学反応によって生成されるガス等)の存在に対する熱輸送装置10のロバスト性が向上するが、従来のリザーバ13dでは液相の作動流体と気相の作動流体とが混在していた。リザーバが蒸発器に近い場合、その温度は高く気相の割合が増えるため、凝縮器2内の液相作動流体の量が増えて放熱効率を下げてしまう。しかし、本実施の形態に係る熱輸送装置10のリザーバ13dの温度は、凝縮器2に付随することで熱輸送装置10において最低温度になる凝縮器2の放熱部(例えば下部基板14)の温度に近くなりほぼ液相で満たされることになる。その結果、凝縮器2の凝縮効率を落とすことなく高いロバスト性を実現することができる。
あるいは、凝縮効率の維持または改善のために凝縮器2内の液相作動流体の量を減らすと、従来では外乱(振動等)によって液切れを起こしやすかったが、本実施の形態の場合、リザーバ13dは凝縮器2内にあるため液切れを起こしにくい。
さらに、上述したように、溝14cによる流路については他の部位より毛細管力が大きいことより、例えば、流路13aを流通する作動流体を溝14cへ誘導させて、リザーバ13dへ導くことが可能となる。これにより、熱輸送装置10の姿勢によらず、常に作動流体を貯溜部に貯溜しておくことが可能となる。

さらに、溝14cは、液相管4の端部4b付近あるいはその端部4bの直下まで延びている。つまり、溝14cは、リザーバ13d側に連通する一端部(第1の端部)から延びて、液相管4の端部4b付近に他端部(第2の端部)が配置されるように形成されている。例えば、外乱により熱輸送装置10が振動し、液面が動いて液相管4内に気泡が混入したり、熱負荷が過剰な場合に液相管4内に気泡が混入したりすることがある。このように気泡が発生することにより、リザーバ13dからの液相作動流体の供給抵抗となるが、本実施の形態によれば、安定してリザーバ13dから溝14cを介して液相の作動流体を液相管4内に供給することができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る熱輸送装置を示す斜視図である。図6は、図5に示す熱輸送装置20の平面図である。図7は、図6に示すC−C線断面図である。第2の実施の形態も含め、これ以降の説明では、上記第1の実施の形態に係る熱輸送装置10の部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
この熱輸送装置20は、例えば2枚の基板21及び22を有している。上部基板21は、例えばガラスでなり、下部基板22は例えばシリコンでなる。熱輸送装置20は、内部に蒸発部25、気相の作動流体が流通する気相流路26、凝縮部27及び液相の作動流体が流通する液相流路28を一体的に有している。
図8は、下部基板22のみを示した平面図である。図8に示すように、下部基板22には、空間22bが形成され、その空間22bの底面から複数の壁22dが立設されるように形成されている。図7に示すように、壁22dは、その上端部で上部基板21に接触している。これらの壁22dにより作動流体の流路22aが形成される。熱輸送装置20内で、蒸発部25、気相流路26、凝縮部27及び液相流路28のうち、例えば液相流路28で流路22aの流路幅が最も狭くなるように形成されている。これは、液相流路28で他の部位より毛細管力を大きくし、蒸発部25への液相作動流体の引き込み力を高めるためである。なお、熱輸送装置20の動作時において、作動流体は図6に示す矢印方向に流通する。
図7に示すように、上部基板21の凝縮部27に近い位置にはリザーバ21dが設けられている。リザーバ21dには図示しない作動流体の注入用の孔が連通し、この孔は、例えば上部基板21の上面側から図示しない蓋等によって覆われることで、熱輸送装置20の内部が密閉される。リザーバ21dと凝縮部27との間には、流路22cが設けられている。この流路22cの流路体積は、他の部位の流路に比較して小さくなるように設計されている。このような構成によっても、上記熱輸送装置10と同様の効果を得ることができる。
図9は、さらに別の実施の形態に係る熱輸送装置を示す平面図であり、図1〜図4の熱輸送装置10の変形例である。
熱輸送装置60の凝縮器62におけるリザーバ13dは、液相管4の端部4b付近に設けられている。このリザーバ13dからは、液相管4の端部4b近傍にまで溝14cが延びている。この溝14cは、上記熱輸送装置10と同様に他の部位より流路体積を小さくなっている。このような構成によっても、熱輸送装置10と同様の効果が得られる。
図10及び図11は、さらに別の実施の形態に係る熱輸送装置をそれぞれ示す平面図である。
図10に示す熱輸送装置40は、蒸発器41と、凝縮器42と、この凝縮器42に供給管6を介して接続されたリザーバ43とを備えている。このようにリザーバ43と凝縮器42とが別のコンテナで構成されていてもよい。このような構成によっても、熱輸送装置40の非動作時にリザーバ43から蒸発器41へ流れ出ることを極力防止できる。これにより、液相の作動流体が重力によって蒸発器41に溜まり過ぎてしまうことを防止することができる。
図11に示す熱輸送装置50は、蒸発器51と、凝縮器52と、この凝縮器52に供給管6を介して接続されたリザーバ53とを備え、さらにこの供給管36の凝縮器52における接続端部36aは、液相管4の凝縮器52における接続端部4bに極力近くなるように設けられている。このような構成によっても、熱輸送装置50の非動作時にリザーバ53から蒸発器51へ流れ出ることを極力防止でき、液相の作動流体が重力によって蒸発器51に溜まり過ぎてしまうことを防止することができる。さらに、供給管36の接続端部36aと液相管4の接続端部4bとが近いので、リザーバ53から例えば凝縮器52内の流路58を介して液相管4内に安定して液相の作動流体を供給することができる。
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、蒸発器1や凝縮器2内の流路や溝等のパターンや断面形状等は、上記各実施の形態に限られず、さまざまなものが考えられる。
上記第1及び第2実施の形態では、リザーバ13dや21dが、上部基板13等に形成されている形態を示した。しかし、リザーバ13d等は下部基板14等に形成されていてもよいし、または、上部及び下部基板の両方に形成されていてもよい。
上記第1及び第2の実施の形態では、リザーバ13d等に連通する流路(溝)14c等が設けられる構成を示した。この溝14c等はリザーバ13dに近くなるにしたがって徐々に毛細管力が大きくなるような構造であってもよい。このことは、例えば作動流体に接する溝14cの表面積がリザーバ13dに近くなるにしたがい徐々に大きくなる構造によって実現される。徐々にとは、連続的に、段階的に、またはこれらの組み合わせの意味を含む。
図10及び図11では、リザーバ43等は、蒸発器41や凝縮器42とほぼ同じ平面内に配置される形態を示した。しかし、リザーバ43等は、蒸発器41等と同じ平面内になくてもよく、例えば、リザーバ43を蒸発器41や凝縮器42に対して斜めに設けることができる。あるいは、リザーバ43を凝縮器42の上面に配置させるように、つまり、図10の紙面に垂直な方向でリザーバ43と凝縮器42とを配列させるようにすることもできる。
本発明の第1の実施の形態に係る熱輸送装置を示す平面図である。 図1に示す熱輸送装置の側面図である。 図1に示すA−A線断面図である。 図1に示すB−B線断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る熱輸送装置を示す斜視図である。 図5に示す熱輸送装置の平面図である。 図6に示すC−C線断面図である。 図5の熱輸送装置の下部基板のみを示した平面図である。 図1に示す熱輸送装置の変形例を示す平面図である。 本発明のさらに別の実施の形態に係る熱輸送装置を示す平面図である。 本発明のさらに別の実施の形態に係る熱輸送装置を示す平面図である。
符号の説明
1、41、51…蒸発器
2、42、52、62…凝縮器
3…気相管
4…液相管
3a、4a…一端部
3b、4b…他端部
6、36…供給管
10、20、40、50、60…熱輸送装置
11a、12a、13a、14a、14c、22a、22c、58…溝(流路)
12b、13b、22b…空間(流路)
13d、21d、43、53…リザーバ
15…発熱体
25…蒸発部
26…気相流路
27…凝縮部
28…液相流路
36a…接続端部

Claims (3)

  1. 作動流体を流通させ、前記作動流体の蒸発作用により熱を吸収する蒸発器と、
    接続穴と、前記作動流体を貯溜する貯溜部を内部に有し、前記蒸発器から物理的に分離されて設けられ、前記作動流体の凝縮作用により熱を放出する凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続され、前記蒸発器で蒸発した前記作動流体を前記凝縮部へ流通させるための第1の管と、
    前記蒸発器と前記凝縮器の前記接続穴との間に接続され、前記凝縮部で凝縮した前記作動流体を前記蒸発器へ流通させるための第2の管とを具備し、
    前記凝縮器は、
    前記第1の管に接続され、前記作動流体を凝縮させながら流通させることが可能な、前記作動流体の流通方向での単位長さ当りの第1の流路体積を有する第1の流路と、
    前記第1の流路、前記接続穴及び前記貯溜部に接続され、前記第1の流路体積より小さい、前記作動流体の流通方向での単位長さ当りの第2の流路体積を有し、前記作動流体を毛細管力により前記貯溜部へ導く第2の流路とを有し、
    前記接続穴に連通し、かつ、前記第1の流路に接続され、前記第1の流路体積より小さく、かつ、前記第2の流路体積より大きい、前記作動流体の流通方向での単位長さ当りの第3の流路体積を有する第3の流路とを有する
    熱輸送装置。
  2. 請求項1に記載の熱輸送装置であって、
    前記凝縮器の前記第2の流路は、前記貯溜部に近くなるにしたがって毛細管力が大きくなるように形成されている
    熱輸送装置。
  3. 発熱体と、
    作動流体を流通させ、前記作動流体の蒸発作用により前記発熱体の熱を吸収する蒸発器と、
    接続穴と、前記作動流体を貯溜する貯溜部を内部に有し、前記蒸発器から物理的に分離されて設けられ、前記作動流体の凝縮作用により熱を放出する凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続され、前記蒸発器で蒸発した前記作動流体を前記凝縮部へ流通させるための第1の管と、
    前記蒸発器と前記凝縮器の前記接続穴との間に接続され、前記凝縮部で凝縮した前記作動流体を前記蒸発器へ流通させるための第2の管とを具備し、
    前記凝縮器は、
    前記第1の管に接続され、前記作動流体を凝縮させながら流通させることが可能な、前記作動流体の流通方向での単位長さ当りの第1の流路体積を有する第1の流路と、
    前記第1の流路、前記接続穴及び前記貯溜部に接続され、前記第1の流路体積より小さい、前記作動流体の流通方向での単位長さ当りの第2の流路体積を有し、前記作動流体を毛細管力により前記貯溜部へ導く第2の流路とを有し、
    前記接続穴に連通し、かつ、前記第1の流路に接続され、前記第1の流路体積より小さく、かつ、前記第2の流路体積より大きい、前記作動流体の流通方向での単位長さ当りの第3の流路体積を有する第3の流路とを有する
    電子機器。
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