JP4724698B2 - コモンレールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射システムにおけるコモンレールの製造方法に関するものである。
流体通路を持つ機械部品において、流体が通過する管の端や、径が極端に変化する部位においては応力集中が発生しやすく、流体の圧力変動の結果として生ずる疲労破壊が問題となることがある。
コモンレールは、ディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射システムにおいて燃料の軽油を圧送するポンプとインジェクターとの間に位置し、軽油を蓄圧するパイプ状の部品である。図1は、コモンレール1の断面の概略を示している。レール穴5がコモンレール1の主なるパイプであり、軽油を蓄圧する役割を有する。レール穴5には垂直に開口する分岐穴6が複数個配設され、分岐穴6を通って各インジェクターに軽油が圧送される。レール穴5の内径Dは10mm程度、分岐穴6の内径dは1mm程度である。エンジンの作動に伴い、軽油が周期的に圧送され、コモンレール1内の軽油の圧力が周期的に変動する。この際、図1のレール穴5および分岐穴6には、周期的に周方向の引張応力に変動が生じる。図2は、分岐穴6の開口周辺部である分岐穴6の内面とレール穴5の内面との境界周辺部を拡大して示している。分岐穴6開口周辺部の中でも特に、分岐穴6の、レール穴の長手方向に平行となる直径の両端近傍7では、両穴5、6の引張応力が合成されるため、他の部分よりも大きな引張応力が発生し、内圧の変動により疲労破壊しやすいという問題がある。内圧の変動に対する疲労強度(内圧疲労強度)を向上させれば、燃料の高圧噴射が可能となり、排気ガスのクリーン化や燃費の向上につながるため、疲労強度向上が望まれている。
従来、このような疲労強度の向上に向けたアプローチとしては、鋼材の強度を上げるというオーソドックスな方法のみならず、例えばコモンレールの強化について、特許文献1や特許文献2に開示されているように、流体研磨やコイニング加工の手法を用いて分岐穴開口端部のエッジを面取りして、応力集中を緩和する方法が知られている。また、圧縮応力付与による疲労強度向上も検討されている。近年開発が進められているレーザピーニングは、金属物体の表面に液体等の透明媒質を置いた状態で、その表面へ高いピークパワー密度を持つパルスレーザビームを照射し、そこから発生するプラズマの膨張反力を利用して、金属物体の表面近傍に非接触処理で残留圧縮応力を付与する技術であり、例えば特許文献3にその方法が開示されている。レーザビームは、コモンレールのレール穴内面、分岐穴内面といった狭隘部へも伝送可能であり、レーザピーニングはコモンレールの分岐穴開口部近傍へ高い圧縮応力を付与するための現状唯一の方法である。そこで、特許文献4に開示されたように、レーザピーニングをコモンレールへ適用するための効果的な方法について検討されてきている。
特許文献4に開示された方法は、コモンレールの疲労強度を大きく向上させるものであるが、装置、効果の観点から以下のような問題があった。レーザピーニング処理においてサンプル表面にレーザビームを照射すると、照射スポット部表層近傍が溶融・再凝固することにより該スポット部の表層近傍の圧縮応力が減少することが多い。この問題を回避するために、レーザビームを吸収する吸収材料層を設置する方法が知られているが、この吸収材料層をコモンレールの分岐穴開口部へ設置するには複雑な装置を必要とするため、同工程の省略がコストや生産性の観点から望まれる。
特許文献3には、熱影響部を除去するための方法として、レーザ光照射面とその近傍に対向して設置した電極間にレーザで制御した放電を生じさせる方法や、レーザ照射面に接する透明液体を電解液とし、レーザ照射中に照射面とその近傍に対向して設置した電極間で電解研磨を行う方法が開示されている。しかし、これらの方法は、レーザ照射の影響が大きいために、所望の加工形状を精度良く安定的に得ることが難しく、コモンレールの工業生産には適さない。また、特許文献4に開示されているように、パルスレーザのビームスポットの重畳面積割合を高めることで、上述の圧縮応力の減少の問題は緩和される。しかしながら、コモンレールの疲労強度の向上効果をさらに引き上げるためには、表層近傍の圧縮応力を最大限高める必要があり、別のアプローチが望まれている。
また同時に、コモンレールのレール穴といった細い管の内面を、高いピークパワー密度を持つパルスレーザビームを用いて液中で加工するための、安価で安定した加工装置の提供も望まれている。図3〜図5に、特許文献4に開示された従来のレーザ照射装置を示す。レール穴5の内周面の分岐穴6周囲部表面へ、レーザビーム発振装置9からファイバ10を介して伝送したレーザビーム2を照射する。ファイバ端面4から一定の発散角をもって出射してくるレーザビーム2は、コリメータレンズ3を通じて平行光とされる。この平行光は集光レンズ8によって集光され、ミラー12により反射した後、照射点に至る。ビームスポットの分岐穴6周方向への走査は、図4または図5に示すような方法で行なう。図4に示す方法は、ミラー12をミラー12上の一方の回転軸13周りにあおるものである。この方法では、ミラー12を他方の回転軸14周りにあおる機構に加えて回転軸13周りにあおる機構が必要となる。また図5に示す方法は、ミラー12に入射するレーザビームの位置をレール穴の周方向にずらすものである。この方法では、レーザビームの位置をレール穴周方向にずらす機構およびスペースが必要となる。このように、いずれの方法についても、ミラーの小型化が必須となり、その結果、ミラーとレーザビームの位置調整が難しくなるという問題があった。
また、特許文献5には、非球面ミラーを用いて10mm程度の細管の内面が処理できる装置が開示されている。これは、集光レンズとミラーの機能をまとめた非球面レンズを利用して、細管に挿入できるようレーザ照射装置の小型化を実現する方法である。ところが、この場合には、回転楕円面形状の非球面レンズを加工する費用が高額になるという問題があった。
特開2004−204714号公報 特開2004−27968号公報 特許第3373638号公報 特開2006−322446号公報 特開2005−313191号公報
本発明は、上記の問題を解決し、コモンレールの分岐穴の開口部近傍を強化することにより疲労強度を向上させるコモンレールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために検討を行った結果、レーザピーニング処理による圧縮応力導入後に電解研磨等によりレーザピーニング処理した部分を含む領域の材料を除去すれば、コモンレールの疲労強度を大きく向上させられることが判った。同時に、そのレーザ処理を安定的に実現するための安価な装置を発明した。
すなわち、本発明は、以下に示すものである。本発明の第一の発明は、中心部にレール穴が形成され、前記レール穴を取り囲む筒壁部に前記レール穴に開口する複数の分岐穴が形成されたコモンレールの製造方法であって、前記分岐穴の開口周辺部に位置する前記分岐穴の内面と、前記レール穴の内面との境界周辺部の領域に、透明液体を存在させてパルスレーザビームを照射するレーザピーニング処理を施した後に、前記開口周辺部の材料の表層を除去することにより、前記開口周辺部の疲労強度を高めることを特徴とするコモンレールの製造方法である。
第二の発明は、前記開口周辺部の材料の表層の除去は、電解研磨もしくは流体研磨によって行われることを特徴とする、請求項1に記載のコモンレールの製造方法である。
第三の発明は、前記パルスレーザビームのパルスエネルギーが1mJ〜10Jであることを特徴とする、請求項1または2に記載のコモンレールの製造方法である。
第四の発明は、前記レーザピーニング処理を施す領域が、前記レール穴の内面において(1)式を満足する領域に含まれ、前記表層を除去する領域は、前記レーザピーニング処理を施す領域を包含するものであって、除去する表層の厚みが前記レーザピーニング処理を施す領域において0.01mm以上0.3mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコモンレールの製造方法である。
分岐穴の中心からの距離≦分岐穴の直径×1.5 (1)
第五の発明は、前記レーザピーニング処理を施す領域が、請求項4に記載のレーザピーニング処理を施す領域に加えて、前記分岐穴の内面において前記レール穴内面開口部から前記レール穴の直径の20%の距離までの領域に含まれることを特徴とする、請求項4に記載のコモンレールの製造方法である。
第六の発明は、前記レーザピーニング処理を施す前に前記開口周辺部を面取り加工することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコモンレールの製造方法である。
第七の発明は、前記面取り加工で面取りされる領域とされない領域との境界が、前記レール穴の内面において(2)式を満足する領域に含まれ、前記分岐穴の内面において前記レール穴内面開口部から前記レール穴直径の30%の距離までの領域に含まれ、前記レーザピーニング処理を施す領域が、前記面取り加工された面に包含されるものであり、かつ、前記表層を除去する領域が前記レーザピーニング処理領域を包含するものであって、除去する表層の厚みが前記レーザピーニング処理を施す領域において0.01mm以上0.3mm以下であることを特徴とする、請求項6に記載のコモンレールの製造方法である。
分岐穴の直径×0.5≦分岐穴の中心からの距離≦分岐穴の直径×2.5 (2)
第八の発明は、前記レーザピーニング処理に用いる透明液体がアルコールもしくは防錆剤の入った水であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のコモンレールの製造方法である。
本発明によれば、コモンレールにおいて疲労強度が問題となる分岐穴のレール穴側開口部周辺において、表面から高い圧縮応力が導入できると同時に、分岐穴開口部形状の改善により応力集中が緩和される結果、疲労強度を大きく向上させられる。この結果、燃料の高圧噴射が可能となり、排気ガスのクリーン化や燃費の向上が得られ、産業上有用な効果を奏する。
本発明の製造方法および装置に関わる最良の形態例として、コモンレールの分岐穴開口周辺部である分岐穴の内面とレール穴の内面との境界周辺部の強化方法および装置について、以下、図面に基づいて説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1はコモンレール1の断面の概略を示している。筒壁部11内に形成されるレール穴5がコモンレール1の主なるパイプであり、軽油を蓄圧する役割を有する。レール穴5には、垂直に開口する分岐穴6が複数個配設されている。
図6は、コモンレールにおいて強化すべき分岐穴6の開口周辺部の断面の拡大図である。本発明の第一の実施形態では、分岐穴6の貫通加工後、図6中の角SETがほぼ垂直に残っている状態で、同図中線分PEで示した付近の領域にレーザピーニング処理を施した後に、開口周辺部23付近にある材料を除去することで、疲労強度を高める。
次に、レーザピーニング処理方法について説明する。レーザピーニング処理には、(1)高いピークパワー密度を持つレーザビームと、(2)照射表面近傍に水等の透明媒体を設置すること、が必要となる。(1)については、照射表面におけるピークパワー密度を1〜100TW/mとする。このピークパワー密度を得るために、レーザ装置は、パルス時間幅が10ps〜100ns程度、パルスエネルギーが0.1mJ〜100J程度で間欠的に発振するパルスレーザを用いる。このようなレーザ装置としては例えばNd:YAGレーザが挙げられるが、上記条件(1)を満たすレーザ装置であれば良い。上記(1)および(2)の条件が満たされると、高いピークパワー密度をもつパルスレーザビームの照射により発生したプラズマが、照射表面の近傍に存在する水等の透明媒体により膨張が抑えられ、プラズマの圧力が高められる。高圧となったプラズマの反力によって、照射点近傍に塑性変形を与え、残留圧縮応力を付与することができる。
ここで、本発明の方法で疲労強度が向上する理由について説明するために、レーザピーニング処理による応力導入特性について述べておく。図7は、引張強度が1000MPaの鋼材を用いて作製した平板形状の試験片に対してレーザピーニング処理を行ない、X線残留応力測定装置を用いて残留応力の深さ方向分布を測定した結果を示す。深さ方向の応力分布の測定は、電解研磨により逐次鋼材を除去しながら行なった。レーザピーニング処理には、図8(平面図)及び図9(正面図)に示した装置を用い、水槽35中に浸漬した試験片37に、レーザビーム発振装置31からレーザビーム32を照射した。レーザビームは、水中透過性の良いNd:YAGレーザの第二高調波(波長:532 nm)を用いた。レーザビーム32は焦点距離100mmの凸レンズからなる集光レンズ33で集光し、光学窓34を介して試験片37に照射される。試験片37上でのビームスポットの形状は0.8mmφの円形とした。レーザのパルスエネルギーは200mJ、ピークパワー密度は40TW/mとした。パルス時間幅は10ns、パルス繰り返し周波数は30Hzであった。試験片37の後方は、支持部38,39を介して、図9に示すように上下方向(B方向)にスライド可能なガイド40に取り付けられている。また、ガイド40は、図8に示すように水平方向(A方向)にスライド可能なガイド42に取り付けられた支持部41に連結されている。試験片37は、走査装置43の制御により、ガイド40,42に沿って、AB両方向に移動可能に設置される。パルスレーザのビームスポットの重畳方法を図10に示す。処理域は5mm×10mmの矩形とした(図10中でPS=5mm,PQ=10mm)。同一点に対するパルスレーザビームの照射回数の平均値は25回に設定し、同一走査領域Li内の隣接するビームスポットの間隔と、隣接する走査領域(例えば図10中のL1とL2)の中心線間の距離が等しくなるように処理した。また走査領域の形成は、図10において「L1→L2→L3→…」のように連続的に行なった。図7の測定結果を見ると、圧縮応力が深さ約0.6mmまで導入されている。また、図10に示した重畳方法のために、図10中Y方向の圧縮応力が選択的に強化される。
図7に示すように、Y方向の残留応力は、深さ30μmにおいて−783MPaとなり残留圧縮応力は最大となった。しかし、被加工材表面の残留応力は−656MPaにとどまっており、表面の残留応力を十分に強化できているとは言えない。これは、サンプル表面にレーザビームを照射すると、照射スポット部表層近傍が溶融・再凝固するためである。
本発明の製造方法では、以上説明してきたレーザピーニング処理を施した後、その処理面を含む領域の材料を除去する。機械研磨等による材料の除去は、除去後の表面に引張応力を残留させ疲労特性に悪影響を与えることがあるため、除去する方法としては、電解研磨法や流体研磨法が望ましい。電解研磨法では、開口部周辺にエッチング液を設置し、多くの場合は球状の突起を押し付けながら通電することで、研磨が進む。また流体研磨では、研磨剤を含む液体をレール穴5および分岐穴6に通すことで研磨が行われる。これらの方法では、いずれも分岐穴6の軸を中心として同心円状に研磨が進む。この除去工程によって、レーザピーニング処理で溶融・再凝固し応力が引張側にシフトしている表層近傍部の除去が可能になると同時に、開口部周辺の形状の変化により応力集中係数が緩和され、実際の使用時の最大負荷応力は低減される。本発明者らは、これらの複合的な効果が疲労強度を大きく向上させることを見出した。
本発明の好ましい実施形態においては、レーザビームのパルスエネルギーを1mJ〜10Jの範囲とするが、これは以下の理由による。本発明の方法では、レーザピーニング処理した後、材料を表面から除去するため、レーザピーニング処理で圧縮応力が導入される深さが小さすぎると、除去後の新しい表面における残留圧縮応力が小さくなってしまう。圧縮応力が導入される深さはパルスエネルギーが小さくなるほど浅くなる。これは、被加工材表面から投入されたレーザパルスエネルギーの3次元的な拡散が、パルスエネルギーが小さくなるほど大きくなってしまうためである。この制約のため、本発明の方法では1mJ以上のパルスエネルギーで処理することが好ましい。また、パルスエネルギーの上限については、コモンレールのレール管に通すことが可能なレーザビームのビーム断面積と光学素子の耐光強度を勘案し、10J以下とすることが好ましい。本発明の方法におけるレーザビームの照射については、図6中において、レール穴5の内面22からのみ行う形態と、分岐穴6の内面21とレール穴5の内面22の双方から行う形態とがある。以下で説明するように、疲労強度を高めるためには、後者がより効果的である。レーザピーニング処理では、図7に示したように、深さ方向に進むに従って、付与される圧縮応力の絶対値は小さくなっていく。したがって、レール穴5の内面22のみに処理する場合、レール穴5の内面22から遠ざかる内部、例えば図6中のU点では、圧縮応力の絶対値は表層よりも小さくなることがある。一方で、開口周辺部23の材料を除去後、実際の使用時の繰り返し負荷応力は、このU点付近で最大になることが多い。分岐穴6の内面21とレール穴5の内面22の双方からレーザピーニング処理を行っておけば、それぞれの面の処理によって導入される圧縮応力が加算され、U点の圧縮応力の絶対値を引き上げることが可能となり、より高い疲労強度が実現される。一方、レール穴5の内面22からのみ行う照射方法は、分岐穴6の内面21を処理するために必要なミラーのあおり機構等が不要となるため、装置を簡略化できるという利点を持つ。
必要となるレーザピーニング処理領域および材料の除去領域は、内圧変動負荷時の分岐穴開口周辺部の引張応力分布や、応力集中をどの程度緩和するかといった部品の設計思想に依存する。引張応力分布は、鋼材の強度、使用圧力、レール穴の直径D、分岐穴の直径d、等に依存する。この分布は有限要素法計算等に基づいて見積もることが可能であるが、以下では処理領域の一般的な指針を説明する。
まず、レール穴5の内面22のレーザ処理領域については、図11に示すように、分岐穴6の中心からの距離が1.5d以内となる領域を処理しておけば十分である。また、分岐穴6の内面21にもレーザ処理する場合、処理範囲の深さhは、レール穴内面22と分岐穴内面21とが交わることで形成される円を高さの基準として、レール穴直径の20%程度とすれば十分である。ただし、分岐穴内面21の深い部分まで処理するためには、分岐穴内面21に対するレーザビームの入射角度を大きくする必要がある。同じピークパワーを持つレーザビームであっても、入射角度が大きくなるにつれて照射点におけるピークパワー密度は減少する。このため直径dが小さい場合は、深さhが適切なピークパワー密度にて照射できる限界に支配されることが多い。
また、材料を除去する領域については、レーザ照射によって溶融・再凝固し応力が引張側にシフトしている表面を全て無くすように、材料を除去する領域が該レーザピーニング処理領域をその内部に含むようにすることが望ましい。
次に、材料の除去工程において、除去する厚みについて述べる。本願では以下のように、除去後の面上各点に対し除去厚みを定義する。除去後の面上のある点における除去厚みは、考えている除去後の面上の点からの距離が最小となる点を除去前の面上から選び出し、その最小値として定義する。図12の分岐穴断面図を例として説明する。図中、点線で示す曲線SFTが除去前の線、SからP1、P2を経てTに至る曲線が除去後の線である。上述の定義によると、除去後の線P1点における除去厚みはt1で表され、P2点における除去厚みはt2で表される。ここでは2次元的な断面図を例に採って説明したが、実際の除去厚みは、図12で考えた除去前後の線を、それぞれ面として3次元的に捉えることで定義される。
レーザピーニング処理領域内の除去厚みは以下の範囲にするのが効果的である。まず、レーザ照射によって溶融・再凝固し応力が引張側にシフトしている表面近傍を除去するために、除去後表面の各点における除去厚みは0.01mm以上とする。一方で、図7に示したように、レーザピーニングで導入される圧縮応力は表面からの深さが大きくなるに従って減少する傾向にある。例えば図7のY方向応力の深さ分布からは、表面から深さ0.1mm程度以上まで材料を除去すると、除去後の表面応力が除去前と比較してむしろ小さくなってしまうことが予想される。パルスエネルギー(図7の条件では200mJ)を大きくすることで深さ方向への圧縮応力の減衰は緩和できる。すなわち、パルスエネルギーを大きくすることでより大きな除去厚みを得ることも可能であるが、除去厚みは0.3mm程度以下としておくのが効果的である。
本発明の別の実施形態によると、分岐穴6の貫通加工後、分岐穴6の開口周辺部を研磨または機械加工により所定量だけ面取り加工した後、該開口周辺部にレーザピーニング処理を施し、さらに該開口周辺部にある材料を除去することで、開口周辺部の疲労強度が高められたコモンレールを得る。これは、主に応力集中係数を大きく緩和する目的で、分岐穴6の貫通加工時点から最終加工形状に至るまでの除去厚みを大きくする部品設計を採る場合に特に有効である。図13は本実施形態の一例を示す模式図である。図中に点線で示す角SETが貫通加工時点の断面、一点鎖線が面取り加工後の断面、そしてSからP1,P2を経てTに至る曲線がレーザピーニング処理後、さらに材料の除去を施した後に得られる最終加工形状である。同図中、t1やt2で示される貫通加工時点から最終加工形状に至るまでの除去厚みが0.3mmを越えるような場合に対して、上述した第一の実施形態を適用すると、図中に点線で示す角SETの表面からレーザピーニング処理を施し、その後、材料の除去によって最終加工形状(図13中曲線SP12T)を得ることになる。この場合、材料の除去厚みが0.3mmを越えるため、上述したように、材料を除去した後に得られる最終加工形状の表面における残留圧縮応力が小さくなってしまう。一方、ここで説明した実施形態によると、図13中一点鎖線で示される断面まで面取り加工した後にレーザピーニング処理を施すため、レーザピーニング処理後の材料の除去厚みを小さく抑えることができる。したがって、最終加工形状(図13中曲線SP12T)の表面においても大きな圧縮応力を得られるという利点がある。
レーザピーニング処理前に実施する面取り加工の領域の大きさは、上述したように、内圧変動負荷時の分岐穴開口周辺部の引張応力分布や、応力集中をどの程度緩和するかといった部品の設計思想に依存するが、以下では処理領域の一般的な指針を説明する。ここで考えているような除去厚みが大きい場合には、面取り加工で面取りされる領域とされない領域の境界が、レール穴5の内面22においては、分岐穴6の中心からの距離が0.5d以上2.5d以内(d:分岐穴の径)となる領域に含まれるものであって、分岐穴6の内面21においては、レール穴内面22開口部からレール穴5の直径Dの30%の距離までの領域に含まれることが効果的である。面取り加工後、分岐穴6開口周辺部の応力集中は緩和されるが、応力分布の最大値は依然として面取り加工した領域に生ずる。レーザピーニング処理はこのような応力集中を緩和する目的で施される。その処理領域は、面取り加工が施される領域の内部としておけば十分であることが多いが、面取りされない領域に跨っていてもよい。また、レーザピーニング処理に溶融・最凝固の影響が出た部分を除去する等の目的で行われる最後の材料除去工程において除去する領域は、レーザピーニング処理を施す領域を包含するものであり、除去する厚みは、レーザ処理領域において0.01mm以上0.3mm以下とすることが好ましい。材料の除去による除去後表面の圧縮応力の低下を抑えるという観点からは、レーザピーニング処理前に行う面取り加工で最終加工形状の近くまで加工しておくことにより、レーザピーニング処理後の除去厚みを0.1mm以下に小さく抑えるのが特に好ましい範囲である。
ところで、本発明におけるレーザピーニング処理の領域については、必ずしも分岐穴6の軸を中心として同心円状に設定する必要はない。レーザ処理後に除去工程を経た後、実際の使用時の内圧変動負荷に伴う分岐穴開口周辺部の引張応力の最大値は、分岐穴6の軸を含みレール穴5の長手方向に沿った断面上において生じ、その主応力方向はレール穴5の周方向である。したがって、レーザビーム照射領域の分岐穴周方向の角度範囲は、図14に示すように、分岐穴6の内面21とレール穴の内面22のいずれについても、レール穴長手方向を基準として±45°の範囲としておけば十分であることが多い。
また、疲労強度を最大化するためには、使用時の繰り返し負荷応力が最大となる部分の主応力方向であるレール穴5の周方向の圧縮応力を最大化することが求められる。このために効果的なビームスポットの重畳照射方法を図15に示す。このように、分岐穴6の中心軸を含む平面内でビームスポットを走査し、該ビームスポットの走査を分岐穴6の周方向に位置をずらしながら複数回行う。これは、図10に示した方法で処理すれば、図7に示すように、図10中のY方向の応力が選択的に強化される事実を応用したものである。なお、走査方向は、分岐穴6の中心軸を含む平面内に限らずとも良い。例えば、図16に示すように、レール穴5の長手方向と分岐穴6の長手方向を含む平面内でビームスポットを走査し、該ビームスポットの走査をレール穴5の周方向に位置をずらしながら複数回行う方法でも、同じ効果を得られる。
コモンレールは、多くの場合、高強度の鋼で作られる。そこで、レーザビーム照射表面に設置する透明液体は、アルコール等、鋼を錆びさせる性質を持たない液体、もしくは、水に防錆剤が入っている液体とし、コモンレールが錆びないようにする実施形態が好ましい。
次に、上述した本発明のレーザ処理を実現するために発明したレーザ加工装置について述べる。
図17は、レーザ加工装置50の概要の一例である。図17に示すように、コモンレール1は、水槽55内に、治具54を介して取り付けられている。レーザ発振器75から発せられたレーザビーム57は、水槽55の下方に配置されたミラー56によって反射され、水の密閉とレーザビーム57の透過を同時に実現する透明な光学窓61を通過して、コモンレール1のレール穴5に入射する。レール穴5の中心軸と、レーザビーム57の光軸とは一致している。水の供給は、取水口59から行われ、コモンレール1内に水流が鉛直上方に作られる。取水口59が設けられた枠体76と水槽55とは、Oリング58を介して水密状態に取り付けられる。コモンレール1の端部74からあふれ出した水は水槽55の下部に取り付けられた排水口60から排出される。この構造は、水を細管そのものに通すことによって、水の供給ノズルを不要とし、照射ヘッド51の小型化を実現している。コモンレール1内に挿入された照射ヘッド51は、支持棒67を介して回転装置52に取り付けられており、これにより、レール穴周方向のレーザビームスポットの走査が実現される。また、照射ヘッド51は、鉛直方向にスライドする駆動装置53に取り付けられている。これにより、コモンレール1内の複数の分岐穴間で照射位置の移動及びそれぞれの分岐穴開口周辺部におけるレーザビームスポットの走査を実現する。
コモンレール1は多くの場合鋼で作られるため、上述したように、レーザビーム照射表面に設置する透明液体は、アルコール等の錆びない液体、もしくは、水に防錆剤が入っている液体とし、機械部品が錆びないようにする事が好ましく、このような液体を取水口59から供給するのがよい。
図18に、本発明のレーザ加工装置50の中心となる照射ヘッド51と、それがレール穴5に挿入された様子を拡大して図示する。照射ヘッド51は、パイプ62に集光用レンズ63とミラー64が取り付けられている。図18に示す実施形態では、ミラー64は円柱を斜めに切断した形状である所謂ロッド型のミラーとなっており、ミラー台座65に接着されている。コモンレール1のレール穴5を通ってきたレーザビーム57は、集光レンズ63で屈曲された後、ミラー64によって反射され、集光点66に至る。集光レンズ63の両側には水が存在するので、十分な屈曲を得るために、レンズは屈折率が高い材質を用いることが好ましい。同時に、高いピークパワー密度を持つレーザビームに耐久性を持った材質が好ましく、例えばサファイアが挙げられる。
また、高いピークパワー密度を持つレーザビーム57は、ミラー64を損傷させることがある。このような損傷を防ぐためには、まず、ミラー64表面でのピークパワー密度をなるべく小さくする配置が望ましい。そのような対策としては、ミラー64面上におけるビームスポット面積を大きくすることが有効であり、集光レンズ63とミラー64との距離を小さくすること、また、図18中の角度θを小さくしてミラー64への入射角度を大きくすることが挙げられる。また、ミラー64面上でのレーザビーム57のパワーの吸収を小さくするために、使用レーザ波長、偏光の対応した全反射コーティングをミラー64の表面に施す事が好ましい。
また、レーザビーム照射点から発生する金属微粒子やプラズマがミラー64を汚染し、その汚染箇所にレーザビーム57が照射されると、そこを起点としてミラー64が損傷する可能性がある。これを防ぐためには、図18に示したように、ミラー64の面上に、常時水の流れを作ってやることが望ましい。図18では、パイプ62に一対の切欠き部68,69と、パイプ62の周囲にリング状のシール部材70を設けることによって、パイプ62内に、一方の切欠き部68から他方の切欠き部69へと流れる水流を生成し、ミラー64面の保護の役割をさせている。また、図18中の角度θを小さくすることも、ミラー64と集光点66の距離を長くする観点から、上述の汚染対策として有効である。
ところで、ミラー64の反射率は、入射するレーザビーム57の偏光方向に依存する。角度θが小さくなった際には、入射面に垂直な方向に振動する電場を持つ偏光成分(s偏光)の反射率が大きく、入射面内で振動する電場を持つ偏光成分(p偏光)の反射率が小さくなる。ここで、入射面とは、ミラー64の反射面における法線方向と入射レーザビーム57の光軸(レール穴5に平行)とで作られる平面である。反射率の低下が生じると、透過したレーザビーム57が入射面の後方で集光点を持つため、ミラー64や台座65にダメージを与えることがある。従って、角度θが小さくなった際には、レーザビーム57は偏光光学素子を通過させるなどしてs偏光成分のみとして入射させると同時に、s偏光の反射率を可及的に高めたコーティングをミラー64の表面に施すことが好ましい。
また、突起71は、パイプ62の周囲に複数箇所設置されている小球状の突起であり、パイプ62がレール穴5の中心軸に沿って動くのを補助する働きをする。なお、シール部材70も同様の働きをする。これらの構造によって、ミラー64から照射面までの距離を適切な範囲に収めることが可能となる。
図19に、本発明の照射ヘッド51の異なる実施形態、およびその照射ヘッド51がレール穴5に挿入されている様子を示す。概略は図18に示した照射ヘッド51と同様であるが、以下の2点が異なる。まず、ミラー64に接続された支持部材72は電磁駆動ピストンからなる伸縮部材であり、ミラー64は図中矢印で示したように、一軸のあおりが可能となる。すなわち、支持部材72は、ミラー64の一軸あおり機構の機能を有する。また、伸縮部73も同様に電磁駆動ピストンであり、ミラー64と集光レンズ63との距離が可変となっている。これらの機構を備えたことにより、分岐穴6の開口部周辺へのレーザビーム57の入射角度を変えることが可能となると同時に、照射点におけるレーザビーム57のパワー密度を適切な範囲に保つことが可能となる。前述のように、レーザピーニング処理においては、レール穴5内面のみならず分岐穴6内面にも処理することが効果的である。図19に示した照射ヘッド51は、伸縮部73等の部品点数が多くなるものの、分岐穴6の内面処理に好適である。
図20は、本発明のレーザ加工装置50の別の実施形態であり、加工良否判定が可能な装置を示している。この装置には、加工点からの発光を検出するために光検出素子81が設置されている。このとき、ミラー56は、検出すべき光を透過させるために、レーザ波長域のみを反射しその他の波長域は透過するようなコーティングを施しておく事が望ましい。また、加工点から発せられる音を観測するために、音検出素子82が設置されている。音検出素子82は超音波測定素子であっても良く、また、必ずしも図20に示すように水中に浸漬する必要はない。各検出素子81,82から得られた信号は、測定器83に取り込まれる。レーザピーニング処理によって導入される圧縮応力と発光量、加工音量との相関を予め調査しておくことで、X線応力測定を実施することなくリアルタイムに加工の良否判定が可能となる。なお、加工音測定装置、加工点からの発光量測定装置のいずれか一方のみを設けることも、もちろん可能である。その他の構造は、図17に示したレーザ加工装置50と同様である。
以下に、コモンレールの分岐穴開口周辺部にかかる繰り返し負荷を模擬した疲労試験を行ない、本発明の効果を検証した結果について説明する。試験では、図21に示すように、直径6mmのくびれ部の中央に直径1 mmの貫通穴92を開けた試験片91を用いて、小野式回転曲げ疲労試験を実施した。試験片91は、440MPa級炭素鋼を用いて作成した。このような試験片91では、貫通穴92付近に応力集中が生じ、図21中のA点およびB点において応力は最大となり、その最大主応力方向は試験片91の長手方向となる。このように、本試験は、図2に示すコモンレールの分岐穴6開口周辺部にかかる変動負荷を模擬している。なお、試験片91の貫通穴92開口端部のエッジを取る面取り加工は施さなかった。
図21のA点、B点における試験片91長手方向の圧縮応力を高めるために、図22に示すように、本発明によるレーザ加工装置50に試験片91を取り付けて、レーザピーニング処理を行なった。図22に示す支持棒67には、図19に示した照射ヘッド51が取り付けられており、その構成は図19に示す通りである。ただし、図19と異なり、水の供給は、照射ヘッド51の切欠き部68に取り付けられた水供給管84から行ない、水槽55が常に水で満たされた状態で処理を実施した。
レーザピーニング処理は、貫通穴92の両側の開口周辺部に対して行なった。レーザビームは水中透過性の良いNd:YAGレーザの第二高調波(波長532nm)を用いた。パルスレーザビームの時間幅は10nsであった。試験片91上でのスポットの形はほぼ円形であり、その照射痕のスポット直径は約0.3mmであった。ピークパワー密度は50TW/m2とした。レーザ照射中は水供給管84から常時水を供給し、照射ヘッド51のミラー64(図19)の保護を行った。
試験片91のくびれ部のA点、B点における試験片91長手方向の圧縮応力を高めるため、図23に示すように、試験片91の長手方向に垂直な平面内でビームスポットを走査し、該ビームスポットの走査を長手方向に位置をずらしながら複数回行なう方法で、パルスレーザビームを照射した。レーザ処理した領域は、図23中に斜線で示した部分である(図にはA点側の照射域のみを示す)。長手方向は0.5mm幅、φ6mmの外面は貫通穴92の軸より1.5mm以内、貫通穴92の内面は開口部から深さ0.5mmまでの範囲を処理した。同一点に対するパルスレーザビームの照射回数の平均値は6.9回に設定した。
レーザピーニング処理後、電解研磨により材料の除去を行った。球状の突起を押し付けながら通電しながら、貫通穴92の軸を中心として同心円状に研磨した。φ6mmの外面の研磨領域は貫通穴92の軸より半径1.7mm以内、貫通穴92の内面の研磨領域は開口部から深さ0.5mmまでであり、それぞれの面から電解研磨した深さは約50μmであった。
表1に疲労試験結果を示す。表には、A点(φ6mmの外面で貫通穴開口部近傍)における試験片91長手方向の残留応力σAを測定した結果も示す。残留応力は、X線残留応力測定装置を用いて測定した。条件1は比較例であり、レーザピーニング処理を施さなかった試験片に対する結果である。条件2は、レーザピーニング処理のみを施した比較例であり、条件1に対して25%の疲労強度向上が得られた。条件3はレーザピーニング処理後に電解研磨を行った本発明の実施例であり、さらに大きな疲労強度向上が得られた。このように、本発明の方法によると、表面の圧縮応力が大きくなる効果とともに、形状変化による応力集中係数の緩和効果が複合的に作用し、従来技術に対して大きな疲労強度の向上が得られることが判った。
Figure 0004724698
本発明は、コモンレール等のように、流体が通過する機械部品において径が極端に変化する部位や、管の端など、応力集中が発生しやすい部分の疲労強度を向上させる方法および装置として適用できる。
コモンレールのレール穴長手方向の断面図。 コモンレールの分岐穴開口周辺部の平面図。 従来のレーザ照射装置を示す概略図。 従来のレーザ照射方法を示す説明図。 従来の異なるレーザ照射方法を示す説明図。 コモンレールの分岐穴開口周辺部を示す断面図。 レーザピーニング処理した試験片の残留応力を示すグラフ。 レーザビーム照射装置を示す平面図。 図8の正面図。 レーザビーム照射方法を示す平面図。 分岐穴開口周辺部のレーザ処理領域を示す斜視図。 分岐穴開口周辺部の材料除去前後の状態を示す断面図。 分岐穴開口周辺部の面取り加工を行った場合の材料除去後の状態を示す断面図。 分岐穴開口周辺部のレーザ照射領域の角度範囲を示す説明図。 分岐穴開口周辺部のレーザ照射方法を示す説明図。 分岐穴開口周辺部の異なるレーザ照射方法を示す説明図。 本発明のレーザ加工装置を示す概略図。 本発明のレーザ加工装置の照射ヘッド部分を示す拡大断面図。 本発明の異なる照射ヘッド部分を示す拡大断面図。 本発明の異なるレーザ加工装置を示す概略図。 試験片を示す平面図。 本発明のレーザ加工装置に図21の試験片をセットした状態を示す正面図。 図21の試験片へのレーザ照射方法を示す説明図。
符号の説明
1 コモンレール
2 レーザビーム
3 コリメータレンズ
4 ファイバ端面
5 レール穴
6 分岐穴
7 レール穴の長手方向に平行となる直径の両端近傍
8 集光レンズ
9 レーザビーム発振装置
10 ファイバ
11 筒壁部
12 ミラー
13 回転軸
14 回転軸
21 内面(分岐穴)
22 内面(レール穴)
23 開口周辺部
31 レーザビーム発振装置
32 レーザビーム
33 集光レンズ
34 光学窓
35 水槽
37 試験片
38,39,41 支持部
40,42 ガイド
43 走査装置
50 レーザ加工装置
51 照射ヘッド
52 回転装置
53 駆動装置
54 治具
55 水槽
56 ミラー
57 レーザビーム
58 Oリング
59 取水口
60 排水口
61 光学窓
62 パイプ
63 集光レンズ
64 ミラー
65 ミラー台座
66 集光点
67 支持棒
68,69 切欠き部
70 シール部材
71 突起
72 支持部材
73 伸縮部
74 端部
75 レーザ発振器
76 枠体
81 光検出素子
82 音検出素子
83 測定器
84 水供給管
91 試験片
92 貫通穴

Claims (8)

  1. 中心部にレール穴が形成され、前記レール穴を取り囲む筒壁部に前記レール穴に開口する複数の分岐穴が形成されたコモンレールの製造方法であって、
    前記分岐穴の開口周辺部に位置する前記分岐穴の内面と、前記レール穴の内面との境界周辺部の領域に、透明液体を存在させてパルスレーザビームを照射するレーザピーニング処理を施した後に、前記開口周辺部の材料の表層を除去することにより、前記開口周辺部の疲労強度を高めることを特徴とする、コモンレールの製造方法。
  2. 前記開口周辺部の材料の表層の除去は、電解研磨もしくは流体研磨によって行われることを特徴とする、請求項1に記載のコモンレールの製造方法。
  3. 前記パルスレーザビームのパルスエネルギーが1mJ〜10Jであることを特徴とする、請求項1または2に記載のコモンレールの製造方法。
  4. 前記レーザピーニング処理を施す領域が、前記レール穴の内面において(1)式を満足する領域に含まれ、前記表層を除去する領域は、前記レーザピーニング処理を施す領域を包含するものであって、除去する表層の厚みが前記レーザピーニング処理を施す領域において0.01mm以上0.3mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコモンレールの製造方法。
    分岐穴の中心からの距離≦分岐穴の直径×1.5 (1)
  5. 前記レーザピーニング処理を施す領域が、請求項4に記載のレーザピーニング処理を施す領域に加えて、前記分岐穴の内面において前記レール穴内面開口部から前記レール穴の直径の20%の距離までの領域に含まれることを特徴とする、請求項4に記載のコモンレールの製造方法。
  6. 前記レーザピーニング処理を施す前に前記開口周辺部を面取り加工することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコモンレールの製造方法。
  7. 前記面取り加工で面取りされる領域とされない領域との境界が、前記レール穴の内面において(2)式を満足する領域に含まれ、前記分岐穴の内面において前記レール穴内面開口部から前記レール穴直径の30%の距離までの領域に含まれ、前記レーザピーニング処理を施す領域が、前記面取り加工された面に包含されるものであり、かつ、前記表層を除去する領域が前記レーザピーニング処理領域を包含するものであって、除去する表層の厚みが前記レーザピーニング処理を施す領域において0.01mm以上0.3mm以下であることを特徴とする、請求項6に記載のコモンレールの製造方法。
    分岐穴の直径×0.5≦分岐穴の中心からの距離≦分岐穴の直径×2.5 (2)
  8. 前記レーザピーニング処理に用いる透明液体がアルコールもしくは防錆剤の入った水であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のコモンレールの製造方法。
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