JP4719635B2 - 変速機の制御装置 - Google Patents

変速機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4719635B2
JP4719635B2 JP2006176688A JP2006176688A JP4719635B2 JP 4719635 B2 JP4719635 B2 JP 4719635B2 JP 2006176688 A JP2006176688 A JP 2006176688A JP 2006176688 A JP2006176688 A JP 2006176688A JP 4719635 B2 JP4719635 B2 JP 4719635B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure chamber
clutch
amount
oil
rotational speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006176688A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008008326A (ja
Inventor
健司 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Jukogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Jukogyo KK filed Critical Fuji Jukogyo KK
Priority to JP2006176688A priority Critical patent/JP4719635B2/ja
Publication of JP2008008326A publication Critical patent/JP2008008326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4719635B2 publication Critical patent/JP4719635B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、クラッチ圧室とこれに対向するバランス圧室とが形成されるクラッチ機構を備えた変速機の制御装置に関する。
車両に搭載される無段変速機や自動変速機には、回転軸の回転方向を切り換えるために遊星歯車式の前後進切換機構が組み込まれている。この前後進切換機構は前進用クラッチと後退用ブレーキとを備えており、前進レンジ(Dレンジ)が選択されたときには前進用クラッチを締結して後退用ブレーキを解放し、後退レンジ(Rレンジ)が選択されたときには前進用クラッチを解放して後退用ブレーキを締結し、中立レンジ(Nレンジ)が選択されたときには前進用クラッチおよび後退用ブレーキを共に解放している。
ところで、前進用クラッチはエンジンと共に回転する構造を有しており、クラッチ圧室にはエンジン回転数に応じた遠心油圧が発生することになる。このため、前進用クラッチを解放するNレンジが選択されていても、アクセルペダルが踏み込まれてエンジン回転数が上昇すると、遠心油圧による油圧ピストンの押し出しにより、前進用クラッチが締結されてしまうおそれがある。そこで、Nレンジが選択された状態のもとで、作動油温が所定値を下回るとともに前進用クラッチの入力回転数が所定値を上回る場合には、エンジン回転数を引き下げて前進用クラッチの締結を回避するようにした制御装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、遠心油圧による油圧ピストンの押し出しを回避するため、クラッチ圧室に対向するバランス圧室を形成するようにしたクラッチ機構も提案されている。このバランス圧室に対して作動油を貯留することにより、回転時にはクラッチ圧室内の遠心油圧に対向する遠心油圧をバランス圧室内に発生させることができ、油圧ピストンに作用する押し出し力を打ち消すことが可能となる。
特許第3279224号公報
しかしながら、バランス圧室の中央部には排出ポートが形成されており、前進用クラッチの停止状態や低速回転状態にあっては、バランス圧室から作動油が排出されるようになっている。このように、バランス圧室内の作動油量が減少している状態のもとで、アクセルペダルが踏み込まれて前進用クラッチの回転速度が上昇してしまうと、クラッチ圧室内に生じる遠心油圧を十分に打ち消すことができずに前進用クラッチを締結させてしまうおそれがある。
特に、車両を後退させる後退レンジが選択されている場合に、エンジン回転数の上昇によって前進用クラッチが締結されてしまうと、前進用クラッチと後退用ブレーキとが共に締結されるインターロック状態となるため、前進用クラッチや後退用ブレーキに対して大きな負荷が作用することになる。このようなインターロック状態を回避するためには、前進用クラッチの油圧ピストンを押し戻すリターンスプリングを強化する必要があるが、リターンスプリングを強化することは前進用クラッチの大型化を招くだけでなく、制御油圧を上昇させる必要があるため燃費性能の悪化や制御精度の低下を招くことになっていた。
本発明の目的は、遠心油圧が作用する場合であってもクラッチ機構を確実に解放状態に保持することにある。
本発明の変速機の制御装置は、動力を伝達する締結状態と動力を遮断する解放状態とに切り換えるためのクラッチ圧室と、前記クラッチ圧室の回転に伴う遠心油圧を打ち消すためのバランス圧室とが形成されるクラッチ機構を備えた変速機の制御装置であって、作動油温度に基づいて前記バランス圧室に貯留される作動油量を推定する油量推定手段と、前記バランス圧室に貯留される作動油量に基づき、前記クラッチ機構が解放状態に保たれる前記クラッチ機構の上限回転数を算出する回転数算出手段と、前記上限回転数を下回るように前記クラッチ機構の入力回転数を制御する回転数制御手段とを有することを特徴とする。
本発明の変速機の制御装置は、前記クラッチ機構は前進走行時に締結される前進用クラッチであり、前記回転数制御手段は前進レンジが選択されていないときに前記前進用クラッチの入力回転数を制御することを特徴とする。
本発明の変速機の制御装置は、前記油量推定手段は、作動油温度と、入力回転数が所定値を下回った後の経過時間とに基づいて前記バランス圧室からの排出油量を推定し、排出油量に基づいて前記バランス圧室に貯留される作動油量を推定することを特徴とする。
本発明の変速機の制御装置は、前記油量推定手段は、作動油温度と、入力回転数が所定値を上回った後の経過時間とに基づいて前記バランス圧室に対する供給油量を推定し、供給油量に基づいて前記バランス圧室に貯留される作動油量を推定することを特徴とする。
本発明によれば、作動油温度に基づいてバランス圧室に貯留される作動油量を推定し、この作動油量に基づいてクラッチ機構が解放状態に保たれる上限回転数を算出し、この上限回転数を下回るようにクラッチ機構の入力回転数を制御するようにしたので、クラッチ機構を解放状態に保持することが可能となる。これにより、クラッチ機構の耐久性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は無段変速機10を示すスケルトン図であり、この無段変速機10は本発明の一実施の形態である変速機の制御装置によって制御される。図1に示すように、図示する無段変速機10はベルトドライブ式の無段変速機であり、エンジン11に駆動されるプライマリ軸12と、これに平行となるセカンダリ軸13とを有している。プライマリ軸12とセカンダリ軸13との間には変速機構14が設けられており、プライマリ軸12の回転は変速機構14を介してセカンダリ軸13に伝達され、セカンダリ軸13の回転は減速機構15およびデファレンシャル機構16を介して左右の駆動輪17,18に伝達される。
プライマリ軸12にはプライマリプーリ20が設けられており、このプライマリプーリ20はプライマリ軸12に一体となる固定シーブ20aと、これに対向してプライマリ軸12に軸方向に摺動自在となる可動シーブ20bとを有している。また、セカンダリ軸13にはセカンダリプーリ21が設けられており、このセカンダリプーリ21はセカンダリ軸13に一体となる固定シーブ21aと、これに対向してセカンダリ軸13に軸方向に摺動自在となる可動シーブ21bとを有している。プライマリプーリ20とセカンダリプーリ21とには駆動ベルト22が巻き付けられており、プライマリプーリ20とセカンダリプーリ21とのプーリ溝幅を変化させることにより、駆動ベルト22の巻き付け径を無段階に変化させることが可能となる。
プライマリプーリ20のプーリ溝幅を変化させるため、プライマリ軸12にはプランジャ23が固定されるとともに、可動シーブ20bにはプランジャ23の外周面に摺動自在に接触するシリンダ24が固定されており、プランジャ23とシリンダ24とによって作動油室25が区画されている。同様に、セカンダリプーリ21のプーリ溝幅を変化させるため、セカンダリ軸13にはプランジャ26が固定されるとともに、可動シーブ21bにはプランジャ26の外周面に摺動自在に接触するシリンダ27が固定されており、プランジャ26とシリンダ27とによって作動油室28が区画されている。それぞれのプーリ溝幅は、プライマリ側の作動油室25に供給されるプライマリ圧Ppと、セカンダリ側の作動油室28に供給されるセカンダリ圧Psとを調圧することによって制御される。
また、プライマリプーリ20にエンジン動力を伝達するため、クランク軸11aとプライマリ軸12との間にはトルクコンバータ30および前後進切換機構31が設けられている。トルクコンバータ30はクランク軸11aに連結されるポンプインペラ30aとこれに対面するタービンランナ30bとを備えており、タービンランナ30bにはタービン軸32が連結されている。さらに、トルクコンバータ30内には、走行状態に応じてクランク軸11aとタービン軸32とを締結するためのロックアップクラッチ33が組み込まれている。
前後進切換機構31は、ダブルピニオン式の遊星歯車列34、前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36を備えており、前進用クラッチ35や後退用ブレーキ36を作動させて動力伝達経路を切り換えることが可能となっている。クラッチ機構としての前進用クラッチ35は、タービン軸32に固定されるクラッチドラム35aと、プライマリ軸12に固定されるクラッチハブ35bとを備えている。クラッチドラム35aとクラッチハブ35bとの間には複数の摩擦プレート35cが設けられており、これらの摩擦プレート35cに対向する油圧ピストン35dがクラッチドラム35aに収容されている。クラッチドラム35aと油圧ピストン35dとにより区画されるクラッチ圧室35eに対して作動油を供給することにより、油圧ピストン35dは摩擦プレート35cを相互に締結するように押し出され、前進用クラッチ35は動力を伝達する締結状態に切り換えられる。一方、クラッチ圧室35eから作動油を排出することにより、油圧ピストン35dは図示しないリターンスプリングによって押し戻され、前進用クラッチ35は動力を遮断する解放状態に切り換えられる。
また、クラッチ圧室35eの遠心油圧によって生じる推力を打ち消すため、クラッチドラム35aには油圧ピストン35dの内側に位置するカバー部材35fが固定されており、油圧ピストン35dとカバー部材35fとによってバランス圧室35gが区画されている。このバランス圧室35gに対して作動油を貯留することにより、クラッチ圧室35eの遠心油圧によって油圧ピストン35dを押し出す推力が発生したとしても、バランス圧室35gの遠心油圧によって油圧ピストン35dを押し戻す推力(キャンセル推力)を発生させることが可能となる。これにより、前進用クラッチ35の回転速度によってクラッチ締結力が変動してしまうことがなく、前進用クラッチ35の制御精度を向上させることが可能となる。なお、クラッチ圧室35eのほぼ中央には排出ポート35hが形成されており、タービン回転数が低下した場合などには排出ポート35hから作動油が排出されるようになっている。
一方、後退用ブレーキ36は、ミッションケース37に固定されるブレーキドラム36aを備えており、ブレーキドラム36aには油圧ピストン36bが移動自在に収容されている。遊星歯車列34のリングギヤ34aとブレーキドラム36aとの間には複数の摩擦プレート36cが設けられており、油圧ピストン36bは摩擦プレート36cに対向するように配置されている。ブレーキドラム36aと油圧ピストン36bとにより区画されるブレーキ圧室36dに対して作動油を供給することにより、油圧ピストン36bは摩擦プレート36cを相互に締結するように押し出され、後退用ブレーキ36はリングギヤ34aを固定する締結状態に切り換えられる。一方、ブレーキ圧室36dから作動油を排出することにより、油圧ピストン36bは図示しないリターンスプリングによって押し戻され、後退用ブレーキ36はリングギヤ34aを自由に回転させる解放状態に切り換えられる。
このような前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36は、運転手のセレクトレバー操作によって締結状態と解放状態とに切り換えられるようになっている。セレクトレバーが前進レンジ(Dレンジ)に操作されたときには、前進用クラッチ35が締結されて後退用ブレーキ36が解放され、前進用クラッチ35を介してエンジン回転がそのままプライマリプーリ20に伝達される。一方、セレクトレバーが後退レンジ(Rレンジ)に操作されたときには、前進用クラッチ35が解放されて後退用ブレーキ36が締結され、クラッチドラム35aから遊星歯車列34のキャリア34bに伝達されたエンジン回転は、逆転されてサンギヤ34cからプライマリプーリ20に伝達される。さらに、セレクトレバーが中立レンジ(Nレンジ)に操作されたときには、前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36が共に解放され、エンジン11とプライマリプーリ20とが切り離されることになる。
図2は無段変速機10の油圧制御系および電子制御系を示す概略図である。図2に示すように、プライマリプーリ20、セカンダリプーリ21、前進用クラッチ35、後退用ブレーキ36等に対して作動油を供給するため、無段変速機10にはエンジン11によって駆動されるオイルポンプ40が設けられている。このオイルポンプ40の吐出口に接続されるライン圧路41にはライン圧制御弁42が接続されており、ライン圧制御弁42によって油圧制御回路の基本油圧となるライン圧PLが調圧される。また、ライン圧路41は分岐しており、プライマリプーリ20に向けて延びる一方のライン圧路41aにはプライマリ圧制御弁43が接続され、セカンダリプーリ21に向けて延びる他方のライン圧路41bにはセカンダリ圧制御弁44が接続されている。そして、プライマリ圧制御弁43によって調圧されたプライマリ圧Ppをプライマリ圧路45から作動油室25に供給することにより、プライマリプーリ20のプーリ溝幅を調整して変速比を制御することが可能となる。また、セカンダリ圧制御弁44によって調圧されたセカンダリ圧Psをセカンダリ圧路46から作動油室28に供給することにより、セカンダリプーリ21に所定のクランプ力を発生させて駆動ベルト22の滑りを抑制することが可能となっている。
また、ライン圧路41aは前進用クラッチ35および後退用ブレーキ36に向けて分岐するようになっており、この分岐するクラッチ圧路47にはクラッチ圧制御弁48が設けられている。さらに、前進用クラッチ35のクラッチ圧室35eや後退用ブレーキ36のブレーキ圧室36dには、クラッチ圧制御弁48を介して調圧されたクラッチ圧が油路切換弁49を介して供給されている。油路切換弁49に組み込まれる図示しないスプール弁軸は、クラッチ圧室35eに作動油を供給してブレーキ圧室36dから作動油を排出する前進位置と、ブレーキ圧室36dに作動油を供給してクラッチ圧室35eから作動油を排出する後退位置と、クラッチ圧室35eおよびブレーキ圧室36dから作動油を排出する中立位置とに切り換えられるようになっている。なお、前進用クラッチ35のバランス圧室35gには、調圧時にライン圧制御弁42などから排出された作動油が供給されるようになっている。
これらのライン圧制御弁42、プライマリ圧制御弁43、セカンダリ圧制御弁44、クラッチ圧制御弁48、油路切換弁49は、CVT制御ユニット50からの制御信号に基づいて制御されている。また、CVT制御ユニット50は、図示しないマイクロプロセッサ(CPU)を備えており、このCPUにはバスラインを介してROM、RAMおよびI/Oポートが接続される。ROMには制御プログラムや各種マップデータなどが格納され、RAMにはCPUで演算処理したデータが一時的に格納される。さらに、I/Oポートを介してCPUには各種センサから車両の走行状態を示す検出信号が入力されている。
CVT制御ユニット50に検出信号を入力する各種センサとしては、プライマリプーリ20の回転数を検出するプライマリ回転数センサ51、セカンダリプーリ21の回転数を検出するセカンダリ回転数センサ52、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ53、セレクトレンジを検出するインヒビタスイッチ54、作動油の温度を検出する油温センサ55、タービン軸32の回転数を検出するタービン回転数センサ56、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ57、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ58などがある。さらに、CVT制御ユニット50にはエンジン11を駆動制御するエンジン制御ユニット59が接続されており、無段変速機10とエンジン11とは相互に協調して制御されるようになっている。
続いて、遠心油圧によって前進用クラッチ35が解放状態から締結状態に切り換えられてしまうことを回避するため、CVT制御ユニット(油量推定手段,回転数算出手段)50によって実行されるリミット回転数算出制御について説明する。ここで、図3はリミット回転数算出制御を実行する際の手順を示すフローチャートである。また、図4(A)はリミット回転数算出制御において参照されるドレン油量マップの一例を示す線図であり、図4(B)はリミット回転数算出制御において参照されるフィード油量マップの一例を示す線図である。
図3に示すように、ステップS1では、Dレンジが選択されているか否かが判定される。ステップS1において、Dレンジが選択されていると判定された場合、つまり前進用クラッチ35が既に締結されている場合には、遠心油圧による前進用クラッチ35の締結を考慮する必要がないため、そのままルーチンを抜けることになる。一方、ステップS1において、RレンジやNレンジなどDレンジ以外が選択されていると判定された場合、つまり前進用クラッチ35を解放する必要がある場合には、以下の手順に従って、遠心油圧によって前進用クラッチ35が締結されることのないタービン軸32のリミット回転数(上限回転数)Ntlが算出されることになる。
まず、ステップS2では、タービン回転数センサ56からタービン回転数(入力回転数)Ntが読み込まれ、続くステップS3では、タービン回転数Ntが所定値Ntstartを上回るか否かが判定される。ここで、所定値Ntstartとは、バランス圧室35gの排出ポート35hから作動油が排出されるか否かを判定する際の判定値である。ステップS3において、タービン回転数Ntが所定値Ntstartを下回ると判定された場合には、タービン回転数Ntが低下してバランス圧室35g内の作動油に作用する遠心力が低下した状態であるため、排出ポート35hを介してバランス圧室35gから作動油が排出されていると判定される。そして、ステップS4に進み、停止時間カウンタ(経過時間)Cstopのカウント処理が実行され、続くステップS5において、発進時間カウンタ(経過時間)Cstartのリセット処理が実行された後にルーチンを抜ける。
一方、ステップS3において、タービン回転数Ntが所定値Ntstartを上回ると判定された場合には、タービン回転数Ntが上昇してバランス圧室35g内の作動油に遠心力が作用するため、排出ポート35hを介して作動油が排出されることはなく、バランス圧室35g内に作動油が保持された状態であると判定される。そして、ステップS6に進み、発進時間カウンタCstartのカウント処理が実行された後に、ステップS7において、発進時間カウンタCstartが貯留時間Cstart0を下回るか否かが判定される。ここで、貯留時間Cstart0とは、排出ポート35hから作動油が排出された状態からバランス圧室35gに対して十分な作動油を貯留するために必要な時間である。
ステップS7において、発進時間カウンタCstartが貯留時間Cstart0を上回る場合、つまりバランス圧室35g内に十分な作動油が供給されている場合には、十分なキャンセル推力を発生させて前進用クラッチ35を解放状態に維持することができるため、ステップS8に進み、停止時間カウンタCstopのリセット処理を実行した後にルーチンを抜ける。一方、ステップS7において、発進時間カウンタCstartが貯留時間Cstart0を下回る場合、つまりバランス圧室35g内に十分な作動油が供給されていない場合には、十分なキャンセル推力を発生させることができずに前進用クラッチ35を締結させてしまうおそれがあるため、ステップS9に進み、バランス圧室35g内に貯留される作動油量が推定される。
ステップS9では、油温センサ55から油温(作動油温度)Toilが読み込まれ、続くステップS10では、油温Toilおよび停止時間カウンタCstopに基づいてドレン油量マップを参照することにより、クラッチ圧室35eから排出される作動油のドレン油量(排出油量)Qdが推定される。続くステップS11では、油温Toilおよび発進時間カウンタCstartに基づいてフィード油量マップを参照することにより、クラッチ圧室35eに供給される作動油のフィード油量(供給油量)Qfが推定される。ここで、図4(A)および(B)に示すように、油温Toilの上昇に伴って作動油の粘度が大きくなるとドレン油量Qdおよびフィード油量Qfは増加する一方、油温Toilの低下に伴って作動油の粘度が小さくなるとドレン油量Qdおよびフィード油量Qfは減少するようになっている。
続いて、ステップS12に進み、ドレン油量Qdおよびフィード油量Qfに基づき、バランス圧室35g内に貯留される作動油のバランス油量(作動油量)Qbが算出される。そして、ステップS13において、バランス油量Qbに基づきバランス圧室35gから発生するキャンセル推力が推定されるとともに、前進用クラッチ35を解放状態に維持することが可能なタービン回転数Ntのリミット回転数Ntlが算出される。なお、バランス油量Qbが多いほどキャンセル推力が大きく発生するため、タービン回転数Ntのリミット回転数Ntlが高く算出される一方、バランス油量Qbが少ないほどキャンセル推力が小さく発生するため、タービン回転数Ntのリミット回転数Ntlは低く算出されることになる。
そして、回転数制御手段として機能するCVT制御ユニット50からの制御信号に基づいて、スロットル開度、燃料噴射量、点火時期等を制御することにより、リミット回転数Ntlを下回るようにタービン回転数Ntが制御される。これにより、クラッチ圧室35eの遠心油圧によって生じる推力を確実に打ち消すことができるため、タービン回転数Ntが上昇したとしても前進用クラッチ35を締結させてしまうことがなく、前進用クラッチ35の耐久性を向上させることが可能となる。特に、Rレンジに切り換えられた直後にアクセルペダルが踏み込まれたとしても、前進用クラッチ35の締結を確実に回避することができるため、後退用ブレーキ36と前進用クラッチ35とが共に締結されるインターロック状態を確実に回避することが可能となる。
続いて、前述したリミット回転数Ntlによるタービン回転数Ntの制限処理について説明する。図5はタービン回転数Ntの変動状態を示す説明図である。図5に示すように、車両減速時にはタービン回転数Ntが徐々に引き下げられ、車両停止時にはタービン回転数Ntは低回転領域で一定に保たれた状態となる。この車両停止時にあっては、タービン回転数Ntが低いためにクラッチ圧室35eに大きな遠心力が作用することがなく、バランス圧室35gの排出ポート35hから作動油が排出されることになる。このように、作動油が排出されてバランス油量Qbが減少すると、発生させることのできるキャンセル推力が低下するため、クラッチ圧室35eの遠心油圧によって生じる押し出し推力を打ち消すことが可能なキャンセル限界回転数も低下することになる。
この状態のもとで、セレクトレバーがRレンジに切り換えられ、アクセルペダルが踏み込まれると、タービン回転数Ntを上昇させながら車両は後退走行を開始することになる。ここで、アクセルペダルの踏み込みによるエンジン11の吹け上がりにより、タービン回転数Ntがキャンセル限界回転数を上回ってインターロック領域に侵入すると、遠心油圧によって前進用クラッチ35が締結されるインターロック状態が発生することになる。
そこで、本発明の変速機の制御装置は、油温Toilと停止時間カウンタCstopとに基づきバランス圧室35g内から排出されたドレン油量Qdを推定するとともに、油温Toilと発進時間カウンタCstartとに基づきバランス圧室35g内に供給されるフィード油量Qfを推定する。次いで、ドレン油量Qdとフィード油量Qfとに基づきバランス圧室35g内に貯留されるバランス油量Qbを算出するとともに、バランス油量Qbに基づいてキャンセル限界回転数を算出する。そして、キャンセル限界回転数に基づいてリミット回転数Ntlを算出し、このリミット回転数Ntlを下回るようにタービン回転数Ntを制御している。
このように、リミット回転数Ntlを下回るようにタービン回転数Ntを制御することにより、停止状態から車両を急速に後退走行させたとしても、遠心油圧によって前進用クラッチ35が締結してしまうことがなく、前進用クラッチ35と後退用ブレーキ36とのインターロック状態を確実に回避することが可能となる。また、セレクトレバーがRレンジに切り換えられた場合だけでなく、セレクトレバーがNレンジに操作されるとともに、エンジン11が空吹かしされた場合であっても、リミット回転数Ntlを下回るようにタービン回転数Ntを制御することにより、不要な前進用クラッチ35の締結を回避することができ、前進用クラッチ35の耐久性を向上させることが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前述の説明では、本発明の変速機の制御装置によって無段変速機10を制御しているが、これに限られることはなく、前後進切換機構を備える遊星歯車式の自動変速機に対して本発明の変速機の制御装置を適用するようにしても良い。
また、前述の説明では、クラッチ圧室35eから排出される作動油のドレン油量Qdを推定する際に図4(A)のドレン油量マップを参照し、クラッチ圧室35eに供給される作動油のフィード油量Qfを推定する際に図4(B)のフィード油量マップを参照しているが、これらのマップデータに限られることはなく、演算処理によってドレン油量Qdやフィード油量Qfを推定しても良い。さらに、バランス油量Qbに基づいてリミット回転数Ntlを算出する際には、演算処理によってリミット回転数Ntlを算出するだけでなく、実験やシミュレーションに基づくマップデータを参照してリミット回転数Ntlを算出しても良い。
本発明の一実施の形態である変速機の制御装置によって制御される無段変速機を示すスケルトン図である。 無段変速機の油圧制御系および電子制御系を示す概略図である。 リミット回転数算出制御を実行する際の手順を示すフローチャートである。 (A)はリミット回転数算出制御において参照されるドレン油量マップの一例を示す線図であり、(B)はリミット回転数算出制御において参照されるフィード油量マップの一例を示す線図である。 タービン回転数の変動状態を示す説明図である。
符号の説明
10 無段変速機(変速機)
35 前進用クラッチ(クラッチ機構)
35e クラッチ圧室
35g バランス圧室
50 CVT制御ユニット(油量推定手段,回転数算出手段,回転数制御手段)
Nt タービン回転数(入力回転数)
Ntl リミット回転数(上限回転数)
Ntstart 所定値
Toil 油温(作動油温度)
Qd ドレン油量(排出油量)
Qf フィード油量(供給油量)
Qb バランス油量(作動油量)

Claims (4)

  1. 動力を伝達する締結状態と動力を遮断する解放状態とに切り換えるためのクラッチ圧室と、前記クラッチ圧室の回転に伴う遠心油圧を打ち消すためのバランス圧室とが形成されるクラッチ機構を備えた変速機の制御装置であって、
    作動油温度に基づいて前記バランス圧室に貯留される作動油量を推定する油量推定手段と、
    前記バランス圧室に貯留される作動油量に基づき、前記クラッチ機構が解放状態に保たれる前記クラッチ機構の上限回転数を算出する回転数算出手段と、
    前記上限回転数を下回るように前記クラッチ機構の入力回転数を制御する回転数制御手段とを有することを特徴とする変速機の制御装置。
  2. 請求項1記載の変速機の制御装置において、
    前記クラッチ機構は前進走行時に締結される前進用クラッチであり、前記回転数制御手段は前進レンジが選択されていないときに前記前進用クラッチの入力回転数を制御することを特徴とする変速機の制御装置。
  3. 請求項1または2記載の変速機の制御装置において、
    前記油量推定手段は、作動油温度と、入力回転数が所定値を下回った後の経過時間とに基づいて前記バランス圧室からの排出油量を推定し、排出油量に基づいて前記バランス圧室に貯留される作動油量を推定することを特徴とする変速機の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の変速機の制御装置において、
    前記油量推定手段は、作動油温度と、入力回転数が所定値を上回った後の経過時間とに基づいて前記バランス圧室に対する供給油量を推定し、供給油量に基づいて前記バランス圧室に貯留される作動油量を推定することを特徴とする変速機の制御装置。
JP2006176688A 2006-06-27 2006-06-27 変速機の制御装置 Expired - Fee Related JP4719635B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006176688A JP4719635B2 (ja) 2006-06-27 2006-06-27 変速機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006176688A JP4719635B2 (ja) 2006-06-27 2006-06-27 変速機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008008326A JP2008008326A (ja) 2008-01-17
JP4719635B2 true JP4719635B2 (ja) 2011-07-06

Family

ID=39066729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006176688A Expired - Fee Related JP4719635B2 (ja) 2006-06-27 2006-06-27 変速機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4719635B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5342290B2 (ja) * 2009-03-25 2013-11-13 本田技研工業株式会社 油圧クラッチ制御装置および車両用エンジン
JP7103309B2 (ja) * 2019-06-14 2022-07-20 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05322010A (ja) * 1992-05-15 1993-12-07 Mazda Motor Corp 自動変速機の油圧回路
JP3279224B2 (ja) * 1997-07-22 2002-04-30 日産自動車株式会社 変速機の制御装置
JP3830129B2 (ja) * 2001-05-15 2006-10-04 本田技研工業株式会社 動力伝達装置
JP4218262B2 (ja) * 2002-06-19 2009-02-04 トヨタ自動車株式会社 油圧制御装置
JP4016871B2 (ja) * 2003-04-01 2007-12-05 トヨタ自動車株式会社 変速機の油圧制御装置
JP2004316480A (ja) * 2003-04-14 2004-11-11 Jatco Ltd アイドルストップ車両用駆動装置
JP2005054821A (ja) * 2003-08-06 2005-03-03 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008008326A (ja) 2008-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7789780B2 (en) Control device and control method for continuously variable transmission
EP2752572B1 (en) Coast stop vehicle
US8992380B2 (en) Vehicle control device
US10001179B2 (en) Control apparatus for power transmission system
JP5790670B2 (ja) 車両の制御装置
JP5745687B2 (ja) 無段変速機の制御装置
WO2012172891A1 (ja) コーストストップ車両
JP2009228763A (ja) 車両の制御装置
JP4719635B2 (ja) 変速機の制御装置
US11059471B2 (en) Power transmission device and method for controlling same
JP4680615B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP2017067227A (ja) 油圧回路の制御装置及び油圧回路の制御方法
JP5816607B2 (ja) 自動変速機及びその高油温制御方法
JP6663511B2 (ja) 車両のオイルポンプ制御装置及び制御方法
JP2010180892A (ja) 車両用ベルト式無段変速機の制御装置
JP6560758B2 (ja) 車両の制御装置、及び車両の制御方法
JP5405984B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP4129161B2 (ja) 自動変速機のロックアップ制御装置
JP4565832B2 (ja) 無段変速機の制御装置
WO2015194206A1 (ja) 自動変速機の油圧制御装置、及びその制御方法
JP5295988B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP4955598B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP6654862B2 (ja) 車両の制御装置及び車両の制御方法
JP6666693B2 (ja) 車両の制御装置及び車両の制御方法
JP2023046676A (ja) 車両用制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090604

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110324

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110404

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees