しかし、特許文献2に開示された濃度センサでは、カバー部材を取り付けるにあたって、取付ネジを複数用いて取り付ける構成であるため、部品点数が多くなりがちで組み立て作業が厄介であり、構造自体も複雑となる。
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたもので、液体中の特定成分の濃度を少なくとも検出するための液体性状検出素子を備える液体状態検知センサにおいて、組み立て上の問題がなく、とくに、液体性状検出素子をその先端部を突出させた状態で保持するホルダに包囲部材を取付ける構造が複雑とならない液体状態検知センサを提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、収容容器内に収容される液体中の特定成分の濃度を少なくとも検出するための液体性状検出素子を備える液体状態検知センサであって、
前記液体性状検出素子の先端部を自身の先端より突出させた状態で当該液体性状検出素子を保持するホルダと、該ホルダを取付けることによって前記液体性状検出素子を支持するホルダ取付け部材と、
前記液体性状検出素子の先端部を包囲するように前記ホルダの先端部又は先端寄り部位に外嵌されて取付けられてなる、前記液体が流通する流通孔が形成された包囲部材とを備えており、
前記ホルダは、その先端部又は先端寄り部位の外周面に凹部が形成される一方、前記包囲部材は、該ホルダに外嵌される基端部又は基端寄り部位に、その内側に突出すると共に弾性変形することで前記凹部に嵌合可能の凸部を備えており、該凸部が前記凹部に嵌合されて該包囲部材が前記ホルダに抜け止め状に取付けられてなり、しかも、前記包囲部材の外周面のうちの前記凸部に対応する部位と、前記ホルダの外周面のうち前記包囲部材が外嵌されていない部位とに跨るようにして、ゴム製でリング状をなす支持部材を前記包囲部材と前記ホルダとの外周面に締り嵌め状に取付けてなることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、前記凸部は、凸部自身の端部を先端側に位置させて内側に斜めに突出するように、包囲部材自身の壁を切起こして形成されてなる突出片部であることを特徴とする請求項1に記載の液体状態検知センサである。
請求項1に記載の本発明は、上記したように、前記包囲部材の外周面のうちの前記凸部に対応する部位と、前記ホルダの外周面のうち前記包囲部材が外嵌されていない部位とに跨るようにして、ゴム製でリング状をなす支持部材を前記包囲部材と前記ホルダとの外周面に締り嵌め状に取付けてなることを、その技術的事項として含んでいる液体状態検知センサである。
請求項3に記載の本発明は、収容容器内に収容される液体中の特定成分の濃度を少なくとも検出するための液体性状検出素子を備える液体状態検知センサであって、
長手方向に延びる筒状の第1部材と、
前記第1部材の内側に配置されると共に、当該第1部材の長手方向に沿って延びる筒状または中実状の第2部材と、
前記液体性状検出素子の先端部を自身の先端より突出させた状態で当該液体性状検出素子を保持すると共に、前記第2部材の先端部に装着されるホルダと、
前記液体が流通する流通孔が形成されると共に、前記ホルダの先端から突出する前記液体性状検出素子の前記先端部の径方向周囲を覆う包囲部材とを備えており、
前記ホルダは、その先端部又は先端寄り部位の外周面に凹部が形成される一方、前記包囲部材は、該ホルダに外嵌される基端部又は基端寄り部位に、その内側に突出すると共に弾性変形することで前記凹部に嵌合可能の凸部を備えており、該凸部が前記凹部に嵌合されて該包囲部材が前記ホルダに抜け止め状に取付けられ、
前記第2部材の外側と前記第1部材の内側との間には、前記第2部材を前記第1部材に対して支持するゴム製でリング状をなす支持部材が介在され、しかも、該支持部材は、前記包囲部材の外周面のうちの前記凸部に対応する部位と、前記ホルダの外周面のうち前記包囲部材が外嵌されていない部位とに跨るようにして、前記包囲部材と前記ホルダとの外周面に締り嵌め状に取付けられてなることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、前記凸部は、凸部自身の端部を先端側に位置させて内側に斜めに突出するように、包囲部材自身の壁を切起こして形成されてなる突出片部であることを特徴とする請求項3に記載の液体状態検知センサである。
請求項5に記載の本発明は、請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記第1部材の先端部は、前記包囲部材の径方向周囲を覆う位置まで延設されていることを特徴とする液体状態検知センサである。
請求項6に記載の本発明は、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記第1部材は、導体からなる外筒電極である一方、前記第2部材は、導体からなる内部電極であり、前記第1部材と第2部材とによって、前記収容容器内に収容される前記液体のレベルに応じて静電容量が変化するレベル検知部を形成してなることを特徴とする液体状態検知センサである。
請求項1に記載の液体状態検知センサは、上記したように包囲部材を備えているところ、前記ホルダは、その先端部又は先端寄り部位の外周面に凹部が形成される一方、前記包囲部材は、該ホルダに外嵌される基端部又は基端寄り部位に、その内側に突出すると共に弾性変形することで前記凹部に嵌合可能の凸部を備えている。これより、該包囲部材を前記ホルダに外嵌して押込むことで該凸部を弾性変形させて前記凹部に嵌合させるだけで、該包囲部材を前記ホルダに抜け止め状に取付けることができる。このような包囲部材は、特許文献2におけるカバー部材に相当するものであるが、その取り付けに当っては、それ自体を押込むことで抜け止め状に取付けられている。すなわち、本発明では、構造の複雑化を招くこともなく、しかも、ネジ部材等の別部材を要することもなく、押込むことのみにより簡易迅速に包囲部材の取付けができる。このため、包囲部材を固定するための工数が従来に比して大きく低減され、組み立て上も容易となるし、また構成が簡素化するため、安価な液体状態検知センサとすることができる。
さらに、本発明では、液体性状検出素子を包囲部材により包囲しているので、振動等に起因して収容容器内の液体が激しく流動しても、包囲部材が防壁となり液体性状検出素子を保護するので、流動に伴う圧力が液体性状検出素子に直接及ぶのを軽減することができる。これにより、液体性状検出素子の耐久性を向上させることができ、また液体性状検出素子の周囲を取り巻く液体が激しく入れ替わることがないため、安定した濃度検知を行うことができる。
なお、液体性状検出素子(以下、単に素子ともいう)及び液体状態検知センサは、少なくとも液体に含まれる特定成分の濃度を検出するものであればよく、濃度以外に液体の温度や、液体の下限レベルを下回ったか否かを検知するものであっても良い。また、液体としては、尿素水溶液、金属粉やセラミック粉が含有された溶液やスラリーなどが挙げられ、それら液体に含まれる特定成分としては、尿素水溶液であれば尿素を例示することができる。
前記凸部は、ダボ状のものないし突起でもよいなど、該凸部を弾性変形させて前記凹部に嵌合させることによって、該包囲部材を前記ホルダに抜け止め状に取付けられるものであればよく、その形状、構造は格別限定されるものではない。しかし、請求項2に記載のもののように、凸部自身の端部(先端部)を先端側(素子の先端側)に位置させて内側に斜めに突出するように、包囲部材自身の壁を切起こして形成されてなる突出片部としたものでは、包囲部材を金属板をプレス成形で成形する際には、その凸部の形成が容易であると共に、ホルダに取付けた際には高い抜け止め性を付与できる。なお、凹部、凸部の数は適宜に設定すればよい。
さらに、請求項1に記載のように、前記包囲部材の外周面のうちの前記凸部に対応する部位と、前記ホルダの外周面のうち前記包囲部材が外嵌されていない部位とに跨るようにして、ゴム製でリング状をなす支持部材を前記包囲部材と前記ホルダとの外周面に締り嵌め状に取付けてなるものであることから、包囲部材がホルダに遊嵌状で外嵌(隙間嵌め)されているとしても、ガタツクことなくその取付けの安定が図られる。すなわち、包囲部材の取付けは嵌合部の精度を考慮すると、隙間嵌めとするのが好ましいが、その場合には緩みがあることから取付けが不安定となる。しかし、このように支持部材が取付けられていれば、包囲部材の強固な固定が得られるため、その安定性ないし信頼性の高い取付けが得られる。すなわち、本発明では、自動車に搭載される場合のように、絶えず振動を受けるような使用環境におかれるものにおいても、その耐久性が高められる。
そして、請求項3に記載の発明は、その構成に基づいて、包囲部材の取り付け上、及びその取付け後の効果については請求項1におけるのと同様の効果が得られる。また、請求項3に記載の発明は、請求項1におけるホルダ取付け部材に代えて、それに相当する第2部材の先端部にホルダを装着し、この第2部材を長手方向に延びる筒状の第1部材の内側に配置するとともに、前記第2部材の外側と前記第1部材の内側との間には、前記第2部材を前記第1部材に対して支持するゴム製でリング状をなす支持部材が介在されている。このため、請求項1におけるのと同様の効果に加えて、第2部材の支持の安定化が図られるという効果も得られる。しかも、該支持部材は、前記包囲部材の外周面のうちの前記凸部に対応する部位と、前記ホルダの外周面のうち前記包囲部材が外嵌されていない部位とに跨るようにして、前記包囲部材と前記ホルダとの外周面に締り嵌め状に取付けられていることから、包囲部材の取付けの安定も図られている。
また、このような本発明の液体状態検知センサによれば、第2部材をゴム製の支持部材により第1部材の内側に弾性的に支持するものであるから、振動等による内部応力の発生や共振等の発生を抑制することができ、第1部材、第2部材の変形を有効に抑制することができる。これにより、安定してホルダを支持部材に支持させることができ、ひいては液体性状検出素子のホルダによる保持を長期にわたって良好に維持することができる。さらに、請求項4に記載の発明においては、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られる。
そして、請求項5に記載のように、前記第1部材の先端部が、前記包囲部材の径方向周囲を覆う位置まで延設されているものでは、包囲部材に加えて液体性状検出素子の周囲が第1部材の先端部にも覆われることになる。このため、振動等に起因して収容容器内の液体が激しく流動しても、包囲部材及び第1部材の先端部が防壁となるため、流動に伴う圧力が液体性状検出素子に直接及ぶのをより一層軽減することができる。これにより、液体性状検出素子の耐久性をさらに向上させることができ、また液体性状検出素子の周囲を取り巻く液体が激しく入れ替わることがないため、より安定した濃度検知を行うことができる。
さらに、請求項6に記載の発明では、第1部材及び第2部材を導体から構成し、この第1部材と第2部材とによって、収容容器内に収容される液体のレベルに応じて静電容量が変化するレベル検知部(即ち、コンデンサ)を形成している。このように、液体性状検出素子を収容容器内の狙い位置に配置させるための第1部材及び第2部材をレベル検知部として兼用させることで、1つの液体状態検知センサを用いて、少なくとも液体の特定成分の濃度検知と液体のレベル変化の検知を行うことができる。これにより、収容容器内に収容される液体の濃度検知とレベル変化の検知を行う必要がある場合にも、1つのセンサを取り付けるだけで両検知を行うことができる。なお、液体が尿素水溶液のように導電性を呈する場合には、第1部材と第2部材との間での短絡防止のために、第2部材のうちで液体に接触する予定の部位の表面に絶縁性の被膜をコーティングすることで、導電性の液体のレベル変化を検知することが可能となる。
以下、本発明を具体化した液体状態検知センサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。図1〜図12を参照し、一例としての液体状態検知センサ100の構造について説明する。
図1は、液体状態検知センサ100の縦断正面図である。図2は、液体状態検知センサ100の液体性状検知部30付近の拡大断面図及びその要部のさらなる拡大図である。図3は、セラミックヒータ110のヒータパターン115を示す模式図である。図4は、セラミックヒータ110の先端を突出させて保持するホルダ120を先端側から見た斜視図及びこれに取付けられるプロテクタ130を先端側から見た斜視図である。図5は、セラミックヒータ110の先端を突出させて保持するホルダ120を内部電極20に取付けた状態の破断正面図、及びこれに取付けられるプロテクタ130の破断正面図である。図6は、図5においてプロテクタ130をホルダ120の先端寄り部位に外嵌して取付けた状態の破断正面図である。図7は、図6におけるX1−X1断面図である。図8は、ゴムブッシュ80を斜め下方からみた斜視図である。図9は、ゴムブッシュ80の側面図である。図10は、ゴムブッシュ80の平面図である。図11は、図10の一点鎖線A−Aにおいて矢視方向からみたゴムブッシュ80の断面図である。図12は、図1に示す液体状態検知センサ100を先端側から軸線O方向に見た液体状態検知センサ100の底面図である。なお、液体状態検知センサ100において、レベル検知部70(外筒電極10および内部電極20から構成されるコンデンサ)の長手方向を軸線O方向とし、液体性状検知部30が設けられる側を先端側、そして、取付部40が設けられる側を後端側とする。
本実施の形態の液体状態検知センサ100は、ディーゼル自動車の排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)の還元に使用される尿素水溶液の状態、つまりは尿素水溶液のレベル(液位)と、その尿素水溶液に含まれる特定成分としての尿素の濃度を検知するためのセンサである。図1に示すように、液体状態検知センサ(以下、単にセンサともいう)100は、円筒形状を有する外筒電極10、および、その外筒電極10の内部にて外筒電極10の軸線O方向に沿って設けられた円筒状の内部電極20から構成されるレベル検知部70と、内部電極20の先端側に設けられた液体性状検知部30と、液体状態検知センサ100を、尿素水溶液の収容容器としての尿素水タンク(図示外)に取り付けるための取付部40などから、以下に詳述するように構成されている。なお、本形態における外筒電極10は、請求項3に記載の本発明をなすところの、長手方向に延びる筒状の第1部材であり、また、内部電極20が、第1部材の内側に配置され、第1部材の長手方向に沿って延びる筒状または中実状の第2部材である。そして、ここに内部電極20が、請求項1に記載の本発明をなすところの、ホルダ取付け部材をなしている。
本形態におけるセンサ100をなす外筒電極10は金属材料からなり、軸線O方向に延びる長細い円筒形状を呈している。外筒電極10の外周上における周方向に等間隔となる3本の母線上には、各母線に沿ってそれぞれ複数の細幅のスリット15が断続的に開口されている。また、外筒電極10の先端部11において、上記スリット15が形成された各母線上には、後述する内部電極20との間に介在され、支持部材をなすゴムブッシュ80の抜け防止のための開口部16がそれぞれ設けられている。さらに、外筒電極10の後端側の基端部12に近い位置で、スリット15が形成された各母線とは異なる母線上には、1つの空気抜き孔19が形成されている。また、外筒電極10の先端部11は、後述するセラミックヒータ110の径方向周囲を覆って保護する包囲部材をなすプロテクタ130ごと包囲するように、開口部16の位置よりさらに軸線O方向先端側に延長されている。そして最先端部は開口されており、液体性状検知部30を構成するプロテクタ130が開口側(図1下側)から視認可能な状態となっている。なお、前記もしたように、外筒電極10が、本発明における「第1部材」に相当する。
次に、外筒電極10は、基端部12が金属製の取付部40の電極支持部41の外周に係合した状態で溶接されている。取付部40は尿素水タンク(図示外)に液体状態検知センサ100を固定するための台座として機能し、取り付けボルトを挿通するための取り付け孔(図示外)が鍔部42に形成されている。また、取付部40の鍔部42を挟んで電極支持部41の反対側には、液体状態検知センサ100と外部回路(図示外)との電気的な接続を行うために設けられた中継用の回路基板60などを収容する収容部43が形成されている。
回路基板60は、収容部43の内壁面の四隅より突出する基板載置部(図示外)上に載置されている。収容部43はカバー45に覆われ保護されており、そのカバー45は、鍔部42に固定されている。また、カバー45の側面にはコネクタ62が固定されており、コネクタ62の接続端子(図示外)と回路基板60上のパターンとが配線ケーブル61によって接続されている。このコネクタ62を介し、回路基板60と外部回路(図示外)との接続が行われている。
取付部40の電極支持部41には収容部43内に貫通する孔46が開口されており、この孔46内に、内部電極20の基端部22が挿通されている。本実施の形態の内部電極20は軸線O方向に延びる長細い円筒形状をした金属材料からなっている。この内部電極20の外周面上には、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂やエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などからなる絶縁性被膜23が形成されている。絶縁性被膜23は、このような樹脂をディッピングもしくは静電粉体塗装により内部電極20の外表面上に塗布し、熱処理することにより、樹脂コーティング層の形態で形成される。後述するが、この内部電極20と外筒電極10との間で、尿素水溶液のレベルに応じて静電容量が変化するコンデンサを形成してなるレベル検知部70が構成されている。なお、上記もしたように、内部電極20が、本発明における「第2部材」に相当する。
この内部電極20の軸線O方向の後端側の基端部22の外周には、内部電極20を取付部40に固定するためにフランジ状をなすパイプガイド55が固定されており、電極支持部41における孔46内に上端部を係合して配置された筒状のインナーケース50の内側に配置され、パイプガイド55を介して係合されている。すなわち、このパイプガイド55は、内部電極20の基端部22の端縁寄りに接合された環状のガイド部材である。一方、インナーケース50は内部電極20と外筒電極10とが確実に絶縁されるように内部電極20を位置決め支持する鍔付き筒状の樹脂製部材であり、先端側が取付部40の電極支持部41の孔46に内挿されている。そして、このインナーケース50には径方向外側に向かって突出する鍔部51が形成されており、インナーケース50が電極支持部41に係合される際には、収容部43側から電極支持部41の孔46に挿通される。そして、鍔部51が収容部43内の底面に当接することで、インナーケース50が孔46内を通り抜けることが防止されている。また、内部電極20は、収容部43側からインナーケース50の内側に挿通されるが、パイプガイド55が鍔部51に当接することで、インナーケース50からの脱落が防止されている。
さらに、インナーケース50の外周と内周とには、それぞれ、Oリング53とOリング54とが設けられている。Oリング53は、インナーケース50の外周と取付部40の孔46との間の隙間を密閉し、Oリング54は、インナーケース50の内周と内部電極20の基端部22の外周との間の隙間を密閉している。これにより、液体状態検知センサ100が尿素水タンク(図示外)の天板又は上蓋に取り付けられた際に、尿素水タンクの内部と外部とが収容部43を介して連通しないようにその水密性および気密性が保たれるように構成されている。なお、取付部40の鍔部42の先端側の面(図1下面)には図示外の板状のシール部材が装着され、液体状態検知センサ100を尿素水タンクに取り付けた際に、鍔部42と尿素水タンクとの間の水密性および気密性が保たれるようになっている。
そして、内部電極20の取付部40への組み付けは、図1に示したように、2枚の押さえ板56,57によって、パイプガイド55がインナーケース50の鍔部51に対して押圧されることによっている。押さえ板56は、パイプガイド55との間に絶縁性のある押さえ板57を挟み、パイプガイド55を押圧した状態で、ネジ58による締付けによって収容部43内に固定されている。これにより、パイプガイド55に接合された内部電極20が電極支持部41に固定されている。この固定に使用している押さえ板56,57には中央に孔59が開口されており、内部電極20の電極引出線52と、後述するセラミックヒータ110との電気的な接続を行う2本のリード線90(図1では一方のリード線90のみを表示している。)を内包する2芯のケーブル91とが挿通され、それぞれ回路基板60上のパターンに電気的に接続されている。回路基板60のグランド側の電極(図示外)は取付部40に接続されており、これにより、取付部40に溶接された外筒電極10がグランド側に電気的に接続されるように構成されている。
さて次に液体性状検知部30について詳述するが、この液体性状検知部30は、内部電極20の先端部21に連結されている。そして、図2に拡大して示したように、液体性状検知部30は、本実施の形態では尿素水溶液中の尿素の濃度検出を行う液体性状検出素子としてのセラミックヒータ110と、このセラミックヒータ110をその先端部を突出させた状態で保持すると共に、内部電極20の先端部21に装着される絶縁性樹脂製のホルダ120と、このホルダ120から露出されたセラミックヒータ110の先端部の周囲を覆って保護するプロテクタ130とを備えて構成されている。
このうちセラミックヒータ110は、図3に示したように、絶縁性セラミックからなる板状のセラミック基体111上にPtを主体とするヒータパターン115を形成し、対となるセラミック基体(図示せず)で挟んだ状態でヒータパターン115を埋設した状態で形成したものである。ここでは発熱抵抗体114を構成するパターンの断面積を、電圧印加のための両極となるリード部112,113のパターンよりも小さくするようにして、通電時、主に発熱抵抗体114において発熱が行われるようにしている。また、リード部112,113の両後端には、それぞれセラミック基体111の表面に貫通するビア導体(図示外)が設けられており、2本のリード線90との接続を中継する2つの端子119(図2では共に一方のみを表示している。)のそれぞれと電気的に接続されている。なお、セラミックヒータ110が、本発明における「液体性状検出素子」に相当する。
また、セラミックヒータ110を支持する絶縁性樹脂製のホルダ120は、図2及び図4〜図6に示したように、同心で、大径をなす大径円筒部122と小径をなす小径円筒部121との径違いの円筒状に形成されており、その大径円筒部122の内側に内部電極20の先端部21を挿入させてその外周から覆うように構成されている。なお、このホルダ120における大径円筒部122と小径円筒部121とを接続する部位の外周面は先端に向かって縮径するテーパー状の段部(テーパ部)123とされている。そして、ホルダ120の先端寄り部位をなす小径円筒部121の外周面には、周方向に本形態では等角度間隔で4箇所、凹部124が一定深さで形成(凹設)されている。ただし、この凹部124は正面視において略矩形をなすように構成されている(図5参照)。また、ホルダ120の小径円筒部121の先端(面)125の外周寄り部位にはテーパが付されている。
一方、ホルダ120の内周面は、小径円筒部121、段部123、そして大径円筒部122に向けて、段付き状に拡径する横断面円形に形成されている。ただし、小径円筒部121の先端125には、セラミックヒータ110の先端部110bが略隙間なく突出可能に軸線O方向から見て(横断面において)矩形をなす開口126が形成されている(図2、図7参照)。この開口126の横断面における矩形の短辺及び長辺は、それぞれセラミックヒータ110の厚み及び幅の各寸法に対応するように設定されている。そして、図7に示したように、横断面において、この開口126の各辺の中心が、上記した4箇所の凹部124の中心に対応するように形成されている。なお、セラミックヒータ110は、長手方向のリード部112,113(図3参照)側を小径円筒部121内に挿入し、発熱抵抗体114の埋設された先端部110b側をホルダ120の先端125から露出させ、その状態で、接着剤又は樹脂129を小径円筒部121の内周面127内に充填して固化させることにより、セラミックヒータ110はホルダ120の開口126内にシールを保持して固定されている。
他方、大径円筒部122の内径は、内部電極20の先端部21の外径より若干大きく構成されており、その内周面128には本形態では2つの凹溝128bがその周方向に形成されている。しかして、このようなホルダ120が大径円筒部122側から内部電極20の先端部21に外嵌状に装着される際には、大径円筒部122の内周面128の2つの凹溝128bに装填されたそれぞれのシールリング(例えばゴム製のOリングパッキン)140を介して、その内周面128と内部電極20の外周面との間のシールが確保され、内部電極20の内部にこの間を通って測定対象をなす液が侵入することが防止されるように構成されている。また、ホルダ120の段部123の内周面には、環状の棚段部128cが形成されており、ホルダ120が内部電極20の先端部21に装着される際には、その先端部21の端面21bがこの棚段部128cに当接して軸線O方向の位置決めがされるように構成されている。なお絶縁性被膜23は、内部電極20の外周面において、内部電極20先端側の先端部21にてこのシールリング140が配置される位置よりも先端側から、後端側の基端部22にてOリング54が配置される位置にかけて形成されており、尿素水タンク(図示外)内にてレベル検知部70が尿素水溶液に浸漬されても、内部電極20が尿素水溶液に直接接触することがないようにされている。
なお、ホルダ120の装着前に、セラミックヒータ110の端子119にはケーブル91の2本のリード線90の芯線がそれぞれ加締めまたは半田付けにより接合される。さらに絶縁性の保護部材95により、端子119とリード線90とが接合部位ごと覆われ保護される。そして、2つのリード線90は筒形状の内部電極20内を挿通され、上記回路基板60に接続されている。
さて次に、液体性状検出素子であるセラミックヒータ110の先端部の周囲を覆って保護する包囲部材であるプロテクタ130について、図2及び図4〜図7に基づいて詳細に説明する。このプロテクタ130は、例えば金属板をプレス成形により、有底円筒形状に形成されてなる、ヒータ110の露出部の保護部材であり、底部132と胴部133との間の稜角部分は曲面状に面取りされ、剛性が高められている。また、プロテクタ130の胴部133の外周上にて、本形態では周方向に等間隔となる4本の母線上に、それぞれ2つの円形に開口された測定対象をなす液の流通孔135が形成されている。そして、底部132にはその中心に同様に開口された流通孔136が形成されている。このようなプロテクタ130は、その胴部133の内径が、上記したホルダ120における小径円筒部121の外径と同じか若干大きくなるように設定されている。
そして、プロテクタ130は、その胴部133のうち、ホルダ120に外嵌される基端(後端)又は基端寄り部位であって、周方向に等角度間隔で4箇所の部位には、その内側に突出すると共に弾性変形することで、ホルダ120における凹部124に嵌合可能の凸部137を備えている。この凸部137は、円ドーム状に又は球面状(半球面状)に膨らむように突出形成させたものでもよいが、本形態では、その端部137bを先端側に位置させて内側に斜めに突出するように、プロテクタ130自身の壁を切起こして形成されてなる突出片部とされ、舌片状の爪を呈している。なお、凸部137は、プロテクタ130を軸線O方向から見たとき、胴部133に設けた流通孔135の各母線の中間に位置するように形成されている。すなわち、流通孔135は、図7における1点鎖線L方向を軸として開口されている。なお、本形態では、包囲部材であるプロテクタを円筒形状のもので具体化したが、角筒形状のものとしてもよい。
しかして、このプロテクタ130は、ホルダ120の先端125側の小径円筒部121に、その胴部133の基端部を外嵌して押込むことで凸部137を、外方に弾性変形させ、押込み後においてその変形を復元させる形で凹部124に嵌合させるように構成されており、その嵌合状態においてプロテクタ130はホルダ120に抜け止め状に、しかも軸線O回りに回転不能に取付けられるように構成されている。すなわち、図2及び図6に示すように、プロテクタ130は、これを押込むだけでホルダ120の小径円筒部121の外周に、開口側の内周が嵌合されて取付けられるため、その組付け作業の簡易迅速化とともに効率化が図られる。しかも、このようにして取付けた後は、その嵌合が例え隙間嵌め(緩み嵌め)であるとしても、プロテクタ130はホルダ120から分離しないので、その後、この中間組立て品の取り扱いを容易にすることができる。こうしてホルダ120にプロテクタ130が取付けられることで、発熱抵抗体114側がホルダ120から露出されたセラミックヒータ110は、プロテクタ130内に収容されることになる。
本形態では、このような取り付け状態において、胴部133の流通孔135は、セラミックヒータ110の基板面に対し正対することなく、凸部137の回り止め作用により、常に45度の角度で対向している。したがって、センサ100として液没されて使用される際において、液が流通孔135からプロテクタ130内に充満した後、液が激しく流動してセラミックヒータ110の基板面(主面)に衝突するとしても、その衝突は正面衝突にはならない。したがって、その衝撃を緩和することができるため、好ましくない急激な熱変化が防止できるから、測定精度の低下防止も図られる。なお、本形態では45度の角度で対向するようにしたが、流通孔135は素子に対する液の正面衝突の防止が図られるように設けれていれば、こうした効果が期待される。また、本形態では、上記もしたように、外筒電極10の先端部11が、プロテクタ130を包囲するように、軸線O方向先端側に延設されているため、セラミックヒータ110はいわば2重に覆われている。このため、流動に伴う圧力が液体性状検出素子に直接及ぶのをより一層軽減することができる。本形態では包囲部材を金属板からなる筒状のプロテクタとして、その胴部などに流通孔を開口させたものとして具体化したが、例えば、網状板から有底円筒形状など、網目の大きさ次第ではザル構造に形成してもよい。このような場合には網目が流通孔となる。
このような構成の液体性状検知部30は、内部電極20の先端部21にホルダ120が装着されることによって、レベル検知部70と絶縁された状態で連結されている。そして、図2に示したように、液体性状検知部30は、内部電極20の先端部21と共に、外筒電極10の内側と内部電極20の外側との間に介在するゴム製でリング状の支持部材であるゴムブッシュ80によって、外筒電極10内で位置決め支持されている。ただし、このゴムブッシュ80は本形態では、プロテクタ130の胴部133の外周面のうち、凸部137に対応する部位と、ホルダ120の大径円筒部122の外周面とに、軸線O方向の先後に跨るようにして、その胴部133と大径円筒部122との外周面に締り嵌め状に取付けられるように構成されている。詳細は後述するが、これにより、プロテクタ130のホルダ120に対する嵌合が隙間嵌めであっても、このゴムブッシュ80にてプロテクタ130はホルダ120に対してガタツクことなく、強固かつ安定して取り付けられるように構成されている。なお、プロテクタ130のホルダ120に対する嵌合が締り嵌めである場合には、さらに強固かつ安定した取り付けが得られる。
なお、本形態に使用している支持部材であるゴムブッシュ80は次のように構成されている。すなわち、図8〜図11に示すように、ゴムブッシュ80は円筒形状を有し、その外周面89上にて周方向に等間隔となる3本の母線上に、外筒電極10の各開口部16にそれぞれ係合し抜け防止及び回転防止として機能する突起部87が設けられている。さらに、外周面89の周方向において各突起部87間には、それぞれ軸線O方向に沿った複数(本実施の形態では5本)の溝部88が溝設されている。
また、ゴムブッシュ80の内周側の面は、ホルダ120の外周面が係合するように形成された内径の異なる2つの内周面81,82と、両者を接続するテーパー状の内周面83とから構成される。そして、内周面81〜83上で、突起部87が形成された外周面89上の各母線に対応する位置には、小径の内周面81側から大径の内周面82側にかけて各内周面81,83,82上を連続する溝部84がそれぞれ溝設されている。なお、ゴムブッシュ80の小径の内周面81の形成部位は、大径の内周面82の形成部位よりも肉厚に形成されている。
また、前述したように、内部電極20はパイプガイド55を介し2枚の押さえ板56,57により軸線O方向先端側に向け押圧される(図1参照)。これにより、図2に示すように、その内部電極20の先端部21に装着されたホルダ120の段部123が、ゴムブッシュ80の内周面83に押し付けられた状態となる。そしてホルダ120および内部電極20は、外筒電極10に位置決め保持されたゴムブッシュ80によって、外筒電極10の内側に弾性的に支持されることとなる。
このような液体状態検知センサ100が尿素水タンク(図示外)に取り付けられ使用されたとき、図2に示すように、外筒電極10内には、ゴムブッシュ80よりも軸線O方向先端側のB部と、後端側のC部とに、それぞれ外筒電極10の軸線O方向最先端部の開口とスリット15とを介して尿素水溶液が流入する。また、プロテクタ130内のD部には、液体流通孔135,136を介してB部より尿素水溶液が流入する。そして、B部とC部とに流入した尿素水溶液は、ゴムブッシュ80の溝部88と外筒電極10の内周面とで形成された流通路85や、溝部84とホルダ120の外周面とで形成された流通路86を介して流通される。さらに、溝部84の形成位置に揃えられて配置されたプロテクタ130の液体流通孔135(図4〜図6参照)に、流通路86が連続している(図12参照)。これにより、流通路85,86を介してB部とC部との間およびD部とC部との間で尿素水溶液の流通が行われる。また、空の尿素水タンクに尿素水溶液を満たした場合にB部やD部に空気が残る虞があるが、この空気は流通路85,86を通じてC部に到達することができる。
次に、本実施の形態の液体状態検知センサ100により、尿素水溶液のレベルおよび濃度を検知する原理について説明する。まず、図13を参照し、レベル検知部70において尿素水溶液のレベルを検知する原理について説明する。図13は、外筒電極10と内部電極20とのギャップ間に満たされた尿素水溶液の水面近傍の拡大断面図である。
液体状態検知センサ100は、尿素水溶液を収容した尿素水タンク(図示外)に、その底壁側に外筒電極10および内部電極20の先端側を向けた状態で組み付けられる。つまり液体状態検知センサ100のレベル検知部70は、尿素水タンク(図示外)内で容量の変化する尿素水溶液の変位方向(尿素水溶液のレベルの高低方向)を軸線O方向とし、外筒電極10および内部電極20の先端側が尿素水溶液の容量の少ない側(低レベル側)となるように、尿素水タンク(図示外)に組み付けられる。そして、外筒電極10と内部電極20とのギャップ間の静電容量を測定し、両者間に存在する尿素水溶液が軸線O方向においてどれだけのレベルまで存在しているか検知している。これは周知のように、径方向の電位の異なる2点間において、その径の差が小さくなるほど静電容量の大きさが大きくなることに基づく。
すなわち、図13に示すように、尿素水溶液で満たされていない部分においては、ギャップ間で電位差の生じる部位の距離は、外筒電極10の内周面と絶縁性被膜23との間に介在する空気層の厚みに相当する距離(距離Fで示す)と、絶縁性被膜23の厚みに相当する距離(距離Gで示す)との合計の距離(距離Eで示す)となる。一方、尿素水溶液が満たされた部分において、ギャップ間で電位差の生じる部位の距離は、尿素水溶液が導電性を示すため外筒電極10と尿素水溶液との電位がほぼ等しくなることから、絶縁性被膜23の厚みに相当する距離Gとなる。
換言すれば、尿素水溶液で満たされていない部分におけるギャップ間の静電容量は、電極間の距離がFで空気を誘電体(不導体)とするコンデンサの静電容量と、電極間の距離がGで絶縁性被膜23を誘電体とするコンデンサとを直列に接続したコンデンサの合成の静電容量といえる。また、尿素水溶液で満たされた部分におけるギャップ間の静電容量は、電極間の距離がGで絶縁性被膜23を誘電体とするコンデンサの静電容量といえる。そして両者を並列に接続したコンデンサの静電容量が、レベル検知部70全体の静電容量として測定されることとなる。
ここで、絶縁性被膜23を挟む電極間の距離Gと比べ、空気層を挟む電極間の距離Fは大きく構成されているため、空気を誘電体とする電極間の単位当たりの静電容量は、絶縁性被膜23を誘電体とする電極間の単位当たりの静電容量よりも小さい。このため、尿素水溶液で満たされていない部分の静電容量の変化よりも尿素水溶液で満たされた部分の静電容量の変化の方が大きく、外筒電極10および内部電極20からなるコンデンサ全体としての静電容量は、尿素水溶液のレベルに比例する。なお、本実施の形態では、尿素水溶液のレベル検知を回路基板60に搭載したマイクロコンピュータを含むレベル検知回路で行っており、レベル検知回路にて得られたレベル情報信号を、コネクタ62を介して外部回路(例えば、ECU)に対し出力している。外部回路は、入力されるレベル情報信号に基づき、尿素水溶液のレベルが適正か否かを判定し、適正では無い場合に運転者のその旨を通知する処理を適宜行う。
次に、液体性状検知部30を構成するセラミックヒータ110において、尿素水溶液に含まれる特定成分としての尿素の濃度を検知する原理について説明する。一般に、液体に含まれる特定成分の濃度によって、液体の熱伝導率が異なることが知られている。つまり、発熱抵抗体を用い、その周囲の液体を一定時間加熱した場合、濃度の異なる液体では温度上昇率が異なってくる。また、発熱抵抗体に定電流を流した場合に、発熱抵抗体の周囲の温度の上昇に比例して、発熱抵抗体の抵抗値が上昇することも知られている。このことから発熱抵抗体を用い、その周囲の液体を一定時間加熱した場合に、発熱抵抗体の抵抗値変化の度合いが求まれば、周囲の液体の温度変化の度合いが求まり、液体の濃度を得ることができる。
本実施の形態の液体状態検知センサ100では、発熱抵抗体114に定電流を流すように構成されており、発熱抵抗体114の両端には自身の抵抗値の大きさに応じた検出電圧Vdが発生する。なお、発熱抵抗体114の一端の電位をPinとし、発熱抵抗体114の他端の電位をPoutとしたとき、検出電圧Vdは、電位Pinと電位Poutの差分で求められる。具体的には、まず、発熱抵抗体114への通電開始直後の検出電圧Vdを測定し、一定時間後(例えば700ms後)に、再度検出電圧Vdの測定を行う。そして、予め実験等により作成したテーブル(図示外)を用い、上記2つの検出電圧Vdの差分値をパラメータとして、尿素水溶液の濃度の決定を行っている。なお、本実施の形態では、尿素水溶液のレベル検知と同様に、尿素水溶液の濃度検知(算出)を回路基板60に搭載したマイクロコンピュータを含む濃度検知回路で行っており、濃度検知回路にて得られた濃度情報信号を、コネクタ62を介して外部回路(例えば、ECU)に対し出力している。外部回路は、入力された濃度情報信号に基づき、尿素水溶液の濃度が適正範囲にあるか否かを判定し、適正範囲に無い場合に運転者にその旨を通知する処理を適宜行う。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、図14に示す、液体状態検知センサ300のホルダ350のように、内部電極320の先端部321の内周と、その先端部321内に挿入させるホルダ350の円筒部352との間にシールリング340を介在させ、内部電極320の内部の水密性を確保してもよい。この場合、内部電極320の先端部321において、絶縁性被膜323を内部電極320の外周側から内周側に折り返すように形成する。そして少なくとも内部電極320の先端部321の内周側に対してシールリング340が配置される位置まで絶縁性被膜323の形成を行えば、レベル検知部70が尿素水溶液に浸漬されても内部電極320が尿素水溶液に直接接触することはない。
また、本実施の形態では、セラミックヒータ110の発熱抵抗体114とリード部112,113とは同一の材料を用いパターンの断面積を異ならせたことによって主に発熱抵抗体114で発熱が行われるようにしたが、それぞれの材質を異ならせてもよい。また、本実施の形態ではセラミックヒータ110の発熱抵抗体114の抵抗値を用い、テーブル参照により尿素水溶液中の尿素濃度を求めたが、抵抗値を変数として、予め実験等により求めた上記関係を表す計算式に代入することで、尿素水溶液の濃度を算出してもよい。
また、ゴムブッシュ80の溝部84,88は、ゴムブッシュ80の内周側や外周側に溝状に設けたが、肉厚部分を貫通する貫通孔として形成してもよい。さらに、溝部84,88のいずれかを省略してゴムブッシュ80を形成してもよい。また、外筒電極10や内部電極20を円筒形状としたが、角筒状であってもよい。
また、内部電極20に形成した絶縁性被膜23としては、液体の特性(例えば、酸化・還元性など)にあわせて腐食されにくい材質のものを選択するとよい。なお、絶縁性被膜の形成をディッピングや静電粉体塗装により行ったが、内部電極との間で空気層の混入が全くない状態となるようにすれば、絶縁チューブを用いて絶縁性被膜の形成を行ってもよい。さらに、外筒電極10、内部電極20によりレベル検知部70を形成せずに、両筒状部材を、液体液状検知部30を尿素水タンクの狙い位置に配置させるための位置決め部材として単に使用するようにし、セラミックヒータ110を用いて尿素水溶液の濃度のみを測定するセンサとしても具体化できる。
これより理解されるように、本発明のセンサでは、上記形態における外筒電極10を除去するとともに、内部電極20に代えて、例えば単なる筒体(軸)または、タンク等の測定対象部位への取付け手段を直接或いは間接に備えた基台又はフランジ等の部材をホルダ取付け部材とし、例えば、そのホルダ取付け部材が筒体であるならば、その先端に上記した実施の形態におけるのと同様に、液体性状検出素子であるセラミックヒータ110の先端部を自身の先端より突出させた状態で同ヒータ110を保持するホルダ120を取付けることによって同ヒータ110を支持するものとし、そのホルダに上記した実施の形態におけるのと同様に、包囲部材であるプロテクタを取り付けてなるものとしても具体化できる。
図6は、そのようなセンサの具体例を示すものともいえる。すなわち、図6における内部電極20に代えて、これをそのような電極機能のない単なるホルダ取付け部材とした場合、セラミックヒータ110を用いて、尿素水溶液の濃度などの液体性状を測定するセンサとなり、請求項1ないし請求項2に記載のセンサが具体化されたものとなる。なお、この場合においても、プロテクタ130の取り付けの安定化を図るため、プロテクタ130の外周面のうちの凸部137に対応する部位と、ホルダ120の外周面のうちプロテクタ130が外嵌されていない部位とに、先後に跨るようにして、図6中に2点鎖線で示したように、ゴム製でリング状をなす支持部材80を、プロテクタ130とホルダ120との外周面に締り嵌め状に取付ける。このような場合に使用する支持部材は、プロテクタ130をホルダ120に強固に固定できさえすればよいから、その断面形状(特に外周面)は適宜の形状として具体化すればよい。プロテクタ130とホルダ120の形状に応じた適宜の断面形状を有するゴム輪とすればよい。
さらに、液体性状検出素子としてのセラミックヒータ110は、液体に含まれる特定成分(例えば、尿素)の濃度検出以外に、液体の温度や液体の下限レベルの検知を検出するために用いられてもよい。例えば、セラミックヒータ110にて液体の温度を検出する場合には、発熱抵抗体114に定電流を流し始めた直後の当該発熱抵抗体114の抵抗値の大きさ(より詳細には、発熱抵抗体114の両端に生じる検出電圧Vdの大きさ)に基づき、液体の温度を検出することができる。発熱抵抗体114の通電直後の抵抗値は、液体の温度に対応した値を示していることから、このような手法により液体の温度を検出することができるのである。また、セラミックヒータ110の周囲に液体が存在する場合と存在しない場合とでは、発熱抵抗体114の抵抗値の変化挙動が大きく異なることから、この違いを利用して液体の下限レベル(有無)の検知を行うようにしてもよい。