JP4719374B2 - 鉄道車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄道車両用台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
実公昭58−1406号公報に記載のように、鉄道車両の台車枠と車体とは牽引リンク(以下、リンクという。)で連結されている。リンクの両端、すなわち前後方向にはゴムブッシュが配置されている。ゴムブッシュは、その時々に発生する大きな前後方向(リンク方向)の圧縮荷重に対して十分耐えるように設計されている。また、ゴムブッシュは走行安定性のために用いられている。また、台車と車体とはヨーダンパーで接続されている。
【0003】
また、粒状体を用いた遮音パネルとして、特開平10−266388号公報に記載の例がある。これはアルミハニカムパネルを用いた車体の床において、パネルの内部に粒径30μm〜1000μmの粉体を収納させ、車体の床の上下方向の制振を図るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の鉄道車両では、台車側で発生する前後方向(車両の走行方向)の振動が、2つのゴムブッシュやリンク、また、ヨーダンパー等の連結部を介して車体側へ伝達される。このため、車内の騒音が高くなっている。特に、駆動系のアンバランスに起因する回転周波数成分の80〜300Hz帯域の固体伝播振動が台車枠へ伝わり、床を振動させて車内騒音を増大させるという問題がある。
【0005】
駆動系のアンバランスにより発生する回転振動は、電動機軸の回転振動成分fの1倍から3倍までの大きさ10m/s2以下の成分が比較的顕著である。これらの回転振動成分f〜3fは、リンクを介して車体へ固体伝播振動として伝わり、車体床面の上下振動となり、車内騒音として現れる。特に、車両走行中における加速時には前後方向、左右方向及び上下方向に2倍の2f成分が生じ、特に前後方向の振動が車内騒音への増大に寄与している。また、減速及び惰行時には、1倍のf成分、3倍の3f成分の振動増加が顕著に生じる。例えば、fは80Hzとすると、2fは160Hz,3fは240Hzである。このため、約80Hz以上の振動を低減することが求められる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成で車内騒音を低減する制振装置において、制振効果を維持しつつ、制振部材の再利用をさせることのできる鉄道車両を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、鉄道車両の車体と車体との間、もしくは車体と台車枠との間が連結部材を介して牽引リンクによって連結され、該牽引リンクが容器で形成され、該容器内で移動することで互いに接触することによって摩擦による制振作用を発生させる高比重物質体によって作成された粒状体が該容器内に内蔵される鉄道車両の連結装置において、前記粒状体は、複数種類を混在して用いられ前記容器内に空間を設けて内蔵され、且つ1つの粒状体の表面は攪拌機等によって荒らされて、他の粒状体および前記牽引リンクの内壁に対してすべり摩擦が大きくされ、初期段階から1期までは新しい粒状体が用いられ、1期から2期までは使用による旧粒状体を取り出して、攪拌機で表面処理した後に再封入されたリニューアル粒状体が用いられ、2期から3期までは新しい粒状体とリニューアル粒状体とが混合して用いられることにより、達成される。
【0008】
すなわち、車体と車体との連結部材、または車体と台車枠との連結部材に、該連結部材に対して移動可能な高比重の物質を挿入し、定期的に前記物体を連結部材より取り出して、再度表面処理させて、前記連結部材に前記物質を再利用することにより制振効果を維持できる。また、前記定期的に取り出した物体と新しく表面処理した物体を混合して、前記連結部材に再利用することにより達成できる。この連結部材とは、牽引リンク、ヨーダンパー、左右動ダンパー、車体間前後ダンパー、ボルスタアンカ等である。
【0009】
これによれば、連結部材に発生した振動エネルギーは、前記物体との衝突により、前記物体の運動エネルギーに変換される。また前記物体は表面処理されており、粒状体同士の接触あるいは粒状体と内壁との摩擦により、粒状体の表面が摩耗してくる。この粒状体の摩耗が進むと制振効果が劣化してくるため、定期的に取り出して、再度表面処理した後に再利用するものである。これにより、粒状体の再利用が可能となり、サイクルコストが低減できることになる。さらに、前記定期的に取り出した粒状体と、新しく表面処理した粒状体を混合して再利用することにより、制振性能を維持することが可能となり、そのサイクルコストも低減できる。
【0010】
以上のように連結部材での振動低減効果を維持しつつ、物体のサイクルコストも低減可能となり、効率良く車内騒音を低減でき、安価な制振装置を提案できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による鉄道車両用の台車の一実施例を図1から図5によって説明する。台車の台車枠11は、車輪12を有する2つの車軸13で支持され、車軸13を駆動する電動機14及び歯車からなる減速機を支持している。台車枠11は空気ばね15を介して車体20を支持している。
【0012】
車体の下面から下方に突出させた連結部材(一般に中心ピンと呼ばれる。)25と台車枠11は牽引リンク(以下、リンクという。)30で連結している。リンク30は前後力を伝達するもので、走行方向の水平方向に沿っている。前記リンク30は、従来は断面積を同一としているが、本発明による静音リンク40本体の断面形状は、台車枠の連結部材11側の断面積が車体側の連結部材25側の断面積よりも大きくし、内部に粒状体を多く挿入できるように構成している。
【0013】
台車枠11の左右の端部はヨーダンパー28、28を介して車体20に連結している。ヨーダンパー28の両端部は、リンク30と同様にゴムブッシュを介して、台車枠11、車体20に連結している。ヨーダンパー28は、走行中の蛇行動を防止するためのものである。
【0014】
リンク30の両端はゴムブッシュ35、ピン36等を介して台車11、連結部材25に連結している。連結部材25は車体20からリンク30との連結部に向かって傾斜して配置されている。連結部材25の下端部の断面は逆U字状である。傾斜部は車体の走行方向に沿っている。リンク30は車体の走行方向の水平方向に配置され、前記U字状の部分を貫通している。リンク30の中央部は筒である。
【0015】
電動機14、その減速機および軸継ぎ手の駆動系を振動源とした振動は、主としてリンク30を介して車体に伝達されるので、以下、リンク30に振動対策を施した例を説明する。
【0016】
静音リンク40内には、空間を設けて粒状体41aと粒状体41bを混在させている。粒状体41aと粒状体41bの接触状態においては、接線方向のばね定数knと減衰係数Cnを有している。また、法線方向には、ばね定数ktと減衰係数Ctを有している。このとき、粒状体41aと41bには、すべり摩擦μ2が生じることになる。さらに、静音リンク40の内壁と粒状体41aとの間にも、すべり摩擦μ1が生じ、ばね定数k1及び減衰係数C1を有している。静音リンク40に用いる粒状体の表面は、攪拌機等により表面を荒らして、粒状体41aと41b同士の接触における前記すべり摩擦μ2あるいは粒状体と内壁との前記すべり摩擦μ1を大きくさせて、制振効果を増大させている。このため、長期間に渡って使用すると粒状体同士あるいは壁面との摩擦により、多数の粒状体が摩耗してくる。
【0017】
よって、定期的に取り出して再度攪拌機等で粒状体の表面を荒らして、再利用する。例えば、図5に示すように、初期段階から1期までは新粒状体のみ、1期から2期までは旧粒状体をリニューアルした再利用段階、2期から3期までは旧粒状体のリニューアルに新粒状体を追加した再々利用段階のように区別して再利用する。リニューアルすることで、粒状体の制振効果を維持しつつ、粒状体のサイクルコストも低減できる。再々利用段階では、前記定期的に取り出した粒状体と新しく表面処理した粒状体とを混合して、前記連結部材に再封入することにより、制振効果の初期状態での維持とサイクルコストを低減できる。
【0018】
これにより、静音リンク40を用いた台車駆動系の振動を、常に効率良く制振できるので、台車駆動系から車体へ固体伝播する振動を低減し、それにより生じる車内騒音を初期段階と同様な性能に維持できる。
【0019】
本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の各請求項に記載の文言あるいは課題を解決するための手段の項に記載の文言に限定されず、当業者がそれから容易に置き換えられる範囲にも及ぶものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、車体と車体とを連結する連結部材、または台車と車体とを連結する連結部材に用いる粒状体の初期制振効果を維持するために、粒状体を連結部材より取り出し、再度表面処理した後に再利用する。これにより、物体による初期の制振効果を維持しつつ、物体のサイクルコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる鉄道車両用の台車における静音リンク部の断面図である。
【図2】従来の台車の平面図である。
【図3】本発明の一実施例の備えた静音リンク部の断面図である。
【図4】本発明の一実施例の粒状体の制振効果を表わす図である。
【図5】本発明の粒状体の再利用を説明する図である。
【符号の説明】
11…台車枠、20…車体、25…連結部材、28…ヨーダンパー、30…牽引リンク、32…継手部、40…静音リンク、41a、41b…粒状体、42…挿入孔。

Claims (1)

  1. 鉄道車両の車体と車体との間、もしくは車体と台車枠との間が連結部材を介してリンクによって連結され、該リンクが容器で形成され、該容器内で移動することで互いに接触することによって摩擦による制振作用を発生させる高比重物質体によって作成された粒状体が該容器内に内蔵される鉄道車両の連結装置において、前記粒状体は、複数種類を混在して用いられ前記容器内に空間を設けられて内蔵され、且つ1つの粒状体の表面は攪拌機等によって荒らされて、他の粒状体および前記リンクの内壁に対してすべり摩擦が大きくされ、初期段階から1期までは新しい粒状体が用いられ、1期から2期までは使用による旧粒状体を取り出して、攪拌機で表面処理した後に再封入されたリニューアル粒状体が用いられ、2期から3期までは新しい粒状体とリニューアル粒状体とが混合して用いられることを特徴とする鉄道車両の連結装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6326444A (ja) * 1986-07-18 1988-02-04 Orii:Kk 防振装置
JPH08219377A (ja) * 1995-02-10 1996-08-30 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 防振装置

Patent Citations (2)

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