JP4719294B2 - 直接メタノール型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、直接メタノール型燃料電池に関する。
直接メタノール型燃料電池のセル構造は、集電体およびこの集電体に形成された触媒層を有し、メタノール(CH3OH)水溶液を燃料として導入されるアノードと、集電体およびこの集電体に形成された触媒層を有し、酸化剤が導入されるカソードと、これらのアノードとカソードの間に前記各触媒層と接するように介在されたプロトン伝導膜とを備える。各触媒層は、触媒とパーフルオロアルキルスルホン酸重合体であるナフィオン(Nafion)(デュポン社製商標名)と混合した混合物から形成されている。各触媒層中のナフィオンは、電解質膜であるプロトン伝導膜の構成樹脂として用いられていると共に、化学的安定性に優れ、かつ触媒を保持する役目をなす。
このようなセル構造を有する燃料電池において、大気中の汚染物質の1つであるエタノール(C25OH)が酸化剤である空気と共にカソードに流入すると、カソードの触媒層中の触媒を被毒し、その触媒活性を低下させる。なお、エタノールは例えば酒類および化粧品を発生源として大気に放散される。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2008−123985号公報
本発明は、少なくともカソードの触媒層中の触媒の被毒を防止し、良好な触媒活性を維持することが可能な直接メタノール型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明によると、集電体およびこの集電体に形成された触媒層を有し、メタノール水溶液を燃料として導入されるアノードと、集電体およびこの集電体に形成された触媒層を有し、前記アノードの触媒層にその触媒層が対向するように配置され、酸化剤が導入されるカソードと、これらのアノードとカソードの間に前記各触媒層と接するように介在された電解質膜とを備えた直接メタノール型燃料電池であって、
前記カソードの触媒層は、触媒と、パーフルオロアルキルスルホン酸重合体と、第1〜第3のビニルモノマーの三元系金属含有共重合体と、を含み、前記第1ビニルモノマーはビニル基に炭素が結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基およびPtの有機金属錯体の炭素が結合され、前記第2ビニルモノマーはビニル基に炭素が結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基およびM1(M1:Sn,Zn,Ni,Fe,Co,AlまたはCuから選ばれる金属)の有機金属錯体の炭素が結合され、前記第3ビニルモノマーはビニル基に炭素が結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基およびM2(M2:EuまたはLa)がイオン結合された有機金属錯体の炭素が結合されていることを特徴とする直接メタノール型燃料電池が提供される。
本発明によれば、少なくともカソードの触媒層中の触媒被毒を防止し、触媒被毒に伴う触媒活性の低下を低減して出力向上を達成した直接メタノール型燃料電池を提供することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池の単セルを示す概略分解斜視図。 図1の単セルに組み込まれた膜状電極ユニットを示す断面図。 合成例1〜5により得られた三元系金属含有共重合体の円2色性スペクトル測定の結果を示す図。 実施例1〜5および比較例1の評価用単セルの温度50℃における電流−電圧曲線を示す図。 実施例1〜5および比較例1における一定電流密度に保持しながら、長時間稼動させた時の評価用単セルの電圧変化を示す図。 一般式(I)で表わされる三元系金属含有共重合体の第1ビニルモノマーの重合度lを変化させたときの評価用単セルの電圧変化を示す図。 一般式(I)で表わされる三元系金属含有共重合体の第2ビニルモノマーの重合度mを変化させたときの評価用単セルの電圧変化を示す図。 一般式(I)で表わされる三元系金属含有共重合体の第3ビニルモノマーの重合度nを変化させたときの評価用単セルの電圧変化を示す図。
以下、本発明の実施形態に係る直接メタノール型燃料電池を詳細に説明する。
実施形態に係る直接メタノール型燃料電池は、集電体に触媒層が形成され、メタノール水溶液を燃料として導入されるアノードと、集電体に触媒層が形成され、酸化剤が導入されるカソードと、これらのアノードとカソードの間に各触媒層と接するように介在された電解質膜とを備えている。少なくともカソードの触媒層は、触媒と、パーフルオロアルキルスルホン酸重合体と、Ptの有機金属錯体を有する第1ビニルモノマー、M1(M1:Sn,Zn,Ni,Fe,Co,AlまたはCuから選ばれる金属)の有機金属錯体を有する第2ビニルモノマーおよびM2(M2:EuまたはLa)がイオン結合された有機金属錯体を有する第3ビニルモノマーの三元系金属含有共重合体と、を含む。
三元系金属含有共重合体の各ビニルモノマーは、主鎖に炭素がそれぞれ結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基および前記各有機金属錯体が結合されていることが好ましい。
三元系金属含有共重合体は、下記一般式(I)にて表わされることが好ましい。
Figure 0004719294
ただし、式中の(1)〜(3)はそれぞれ第1、第2、第3のビニルモノマーで、R1は下記構造式(A)に示すビニル結合を有する脂肪族炭化水素とビニル結合した2つの炭素に結合された白金からなる有機金属錯体、R2は下記構造式(B)に示すヘテロ芳香族環に金属M1が結合した有機金属錯体、R3は下記構造式(C)に示す酢酸に金属M2がイオン結合した有機金属錯体、l、m、nはそれぞれ第1、第2、第3のビニルモノマーの重合度を示し、それぞれ100〜300,70〜200,3〜40である。
Figure 0004719294
Figure 0004719294
ここで、M1はSn,Zn,Ni,FeまたはCoから選択される金属である。
Figure 0004719294
ここで、M2はEuまたはLaから選択される金属である。
一般式(I)の第1ビニルモノマーの重合度lが100未満と小さくなると、大気中の汚染物の1つであるエタノールがカソードに流入したときに、エタノールの分解能が低下して、触媒層中の触媒被毒を効果的に防ぐことが困難になる。より好ましい一般式(I)のlは140〜250である。
一般式(I)の第2ビニルモノマーの重合度mが100未満と小さくなると、大気中の汚染物の1つであるエタノールがカソードに流入したときに、エタノールの分解能が低下して、触媒層中の触媒被毒を効果的に防ぐことが困難になる。一方、重合度mの値が200を超えると、触媒層と共存するパーフルオロアルキルスルホン酸重合体溶液への三元系金属含有共重合体の分散性が低下して、エタノールの分解能が低下して、同様に触媒層中の触媒被毒を効果的に防ぐことが困難になる。より好ましい一般式(I)のmは100〜160である。
一般式(I)の第3ビニルモノマーの重合度nが3未満と小さくなると、大気中の汚染物の1つであるエタノールがカソードに流入したときに、エタノールの分解能が低下して、触媒層中の触媒被毒を効果的に防ぐことが困難になる。一方、重合度nが40を超えると、触媒層中で三元系金属含有共重合体が凝集し、エタノールの分解能が低下して、同様に触媒層中の触媒被毒を効果的に防ぐことが困難になる。より好ましい一般式(I)のnは10〜30である。
実施形態に係る燃料電池の単セルを図1および図2を参照して具体的に説明する。図1は、単セルを示す概略分解斜視図、図2は図1の単セルに組み込まれた膜状電極を示す断面図である。
単セル1は、図1に示すように膜状電極11を備えている。枠状のシール材21a、燃料用流路板31aおよび集電板41aは、膜状電極11の一方の面にこの順序で配列、積層されている。枠状のシール材21b、酸化性ガス用流路板31bおよび集電板41bは、膜状電極11の他方の面にこの順序で配列、積層されている。
膜状電極11は、図2に示すようにメタノール水溶液が導入されるアノード12と、酸化剤が導入されるカソード13と、これらのアノード12,カソード13間に介在される電解質膜14とを備えている。アノード12は、電解質膜14に接する触媒層12aと、この触媒層12aに積層された例えばカーボンペーパからなる集電体(拡散層)12bとから構成されている。カソード13は、電解質膜14に接する触媒層13aと、この触媒層13aに積層された例えばカーボンペーパからなる集電体(拡散層)13bとから構成されている。
カソード13の触媒層13aは、触媒と、パーフルオロアルキルスルホン酸重合体と、Ptの有機金属錯体を有する第1ビニルモノマー、M1(M1:Sn,Zn,Ni,FeまたはCoから選ばれる金属)の有機金属錯体を有する第2ビニルモノマーおよびM2(M2:EuまたはLa)がイオン結合された有機金属錯体を有する第3ビニルモノマーの三元系金属含有共重合体とを含む。この三元系金属含有共重合体は、前記一般式(I)で表わされることが好ましい。
なお、アノード12の触媒層12aもカソード13の触媒層13aと同様な構成、すなわちパーフルオロアルキルスルホン酸重合体と、Ptの有機金属錯体を有する第1ビニルモノマー、M1(M1:Sn,Zn,Ni,FeまたはCoから選ばれる金属)の有機金属錯体を有する第2ビニルモノマーおよびM2(M2:EuまたはLa)がイオン結合された有機金属錯体を有する第3ビニルモノマーの三元系金属含有共重合体とを含んでもよい。この三元系金属含有共重合体も前記一般式(I)で表わされることが好ましい。
触媒は、アノードの場合、例えば白金ルテニウム触媒、カソードの場合、例えば白金を用いることができる。
パーフルオロアルキルスルホン酸重合体は、例えばデュポン社製商標名のナフィオン(Nafion)を用いることができる。
以上説明した実施形態によれば、少なくともカソードの触媒層は触媒と、パーフルオロアルキルスルホン酸重合体と、Ptの有機金属錯体を有する第1ビニルモノマー、M1(M1:Sn,Zn,Ni,FeまたはCoから選ばれる金属)の有機金属錯体を有する第2ビニルモノマーおよびM2(M2:EuまたはLa)がイオン結合された有機金属錯体を有する第3ビニルモノマーの三元系金属含有共重合体とを含む。このようなカソードは、燃料電池の発電時に大気中に含まれる汚染物質の1つであるエタノールが酸化剤である空気と共に流入しても、前記三元系金属含有共重合体によりエタノールを分解できる。したがって、カソードの触媒層中の触媒(例えばPt触媒)のエタノールによる被毒を防止して良好な触媒活性を維持でき、発電出力の向上を達成できる。
特に、一般式(I)にて表わされる三元系金属含有共重合体において各ビニルモノマーは主鎖に炭素がそれぞれ結合され、かつこの炭素にカルボキシル基、アミノ基および有機金属錯体がそれぞれ結合されて螺旋構造を形成しているため、エタノールの取り込み性が向上される。その結果、エタノールの分解性が促進される。また、一般式(I)にて表わされる三元系金属含有共重合体のように第1ビニルモノマーのPtの有機金属錯体、第2ビニルモノマーのSn(またはZn,Ni,FeまたはCo)の有機金属錯体の二元系に加えて、第3ビニルモノマーのEu(またはLa)の有機金属錯体の作用によりエタノールの分解性をより一層向上できる。その結果、燃料電池の発電時に大気中に含まれる汚染物質の1つであるエタノールが酸化剤である空気と共にカソードに流入しても、前記一般式(I)で表わされる三元系金属含有共重合体によりエタノールを効果的に分解できる。したがって、カソードの触媒層中の触媒(例えばPt触媒)のエタノールによる被毒をより効果的に防止して優れた触媒活性を維持できるため、発電出力をより一層向上できる。
さらに、アノードの触媒層もカソードの触媒層と同様に三元系金属含有共重合体を含む構成にすれば、カソードからアノードに流入するエタノールによるアノードの触媒層中の触媒(例えばPt−Ru触媒)のエタノールによる被毒を防止して良好な触媒活性を維持できる。
以下、本発明の実施例を説明する。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
(合成例1)
オーバーヘッドスターラー、ジムロート冷却管を取り付けた丸底反応容器にN,N−ジメチルホルムアミド300部を入れ、この容器内に3−(白金−1−プロピレン)−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレン[一般式(I)における第1ビニルモノマー(1)]を100部、3−ジフラルスズメチン−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレン[一般式(I)における第2ビニルモノマー(2)]を70部、3−トリ酢酸ヨウロピウムメチル−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレン[一般式(I)における第3ビニルモノマー(3)]を3部入れ、反応溶液を溶解させた。さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5部を添加後、反応溶液をオイルバスで50℃で加熱させながら反応溶液を2時間攪拌した。攪拌後、反応溶液を取り出しアセトン200部中に滴下することにより重合物を沈殿させ、遠心分離操作により単離し、三元系金属含有共重合体を合成した。
(合成例2)
第1ビニルモノマー(1)に3−(白金−1−プロピレン)−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを140部、第2ビニルモノマー(2)に3−ジフラル亜鉛メチン−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを100部、第3ビニルモノマー(3)に3−トリ酢酸ランタンメチル−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを10部用いた以外、合成例1と同様な方法により三元系金属含有共重合体を合成した。
(合成例3)
第1ビニルモノマー(1)に3−(白金−1−プロピレン)−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを200部、第2ビニルモノマー(2)に3−ジフラルニッケルメチン−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを130部、第3ビニルモノマー(3)に3−トリ酢酸ユウロピウムメチル−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを20部用いた以外、合成例1と同様な方法により三元系金属含有共重合体を合成した。
(合成例4)
第1ビニルモノマー(1)に3−(白金−1−プロピレン)−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを250部、第2ビニルモノマー(2)に3−ジフラル鉄メチン−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを160部、第3ビニルモノマー(3)に3−トリ酢酸ランタンメチル−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを30部用いた以外、合成例1と同様な方法により三元系金属含有共重合体を合成した。
(合成例5)
第1ビニルモノマー(1)に3−(白金−1−プロピレン)−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを300部、第2ビニルモノマー(2)に3−ジフラルコバルトメチン−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを200部、第3ビニルモノマー(3)に3−トリ酢酸ランタンメチル−3−アミノ−3−カルボキシ−1−プロピレンを40部用いた以外、合成例1と同様な方法により三元系金属含有共重合体を合成した。
合成例1〜5による第1ビニルモノマー(1)、第2ビニルモノマー(2)および第3ビニルモノマー(3)の配合割合を下記表1に示す。
Figure 0004719294
[円2色性スペクトル測定]
得られた合成例1〜5の三元系金属含有共重合体0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に溶解させた溶液を試験溶液とした。これらの試験溶液3mLをメスピペットで石英ガラスセル(内側寸法10mm×10mm×35mm)入れた。石英ガラスセル内の試験溶液を蛍光分光光度計(株式会社堀場製作所製:FluoroMax-4)で円2色性スペクトルを測定した。なお、セルは蛍光測定前にゆっくりと振り混ぜた後、蛍光分光光度計のセル固定ポケットに固定した。その結果を図3に示す。
図3から明らかなように、合成例1〜5の三元系金属含有共重合体はいずれも188nm前後において正のコットン効果が見出され、α-へリックス構造を示す吸収スペクトルを示した。すなわち、いずれの三元系金属含有共重合体もα-へリックス構造を有していることが明らかになった。
また、合成例1〜5により得られた三元系金属含有共重合体の同定結果を下記表2に示す。
Figure 0004719294
(実施例1)
[アノードの作製]
白金ルテニウム担持炭素粉末20部および合成例1で得た三元系金属含有共重合体3部を5%パーフルオロアルキルスルホン酸重合体(デュポン社製商標名:ナフィオン(Nafion))溶液80部に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーをカーボンペーパ(東レ社製:TPG−H−120)上にコーターを用いて白金ルテニウムの担持量が2mg/cm2になるよう塗布してアノードを作製した。
[カソードの作製]
白金担持炭素粉末20部および合成例1で得た三元系金属含有共重合体3部を5%パーフルオロアルキルスルホン酸重合体(デュポン社製商標名:ナフィオン(Nafion))溶液80部に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーをカーボンペーパ(東レ社製:TPG−H−120)上にコーターを用いて白金の担持量が1mg/cm2になるよう塗布してカソードを作製した。
[膜電極の作製]
得られたアノードおよびカソードをそれらの触媒層が対向するように配置し、これらの電極間に高分子電解質膜(デュポン社製NafionTM117)を配置した。その後、積層物をホットプレスして電極面積5cm2の膜電極を作製した。
[単セルの組立て]
得られた膜電極をコラムフロー流路を有する2枚のカーボン製セパレータおよび2枚の集電体で挟み込み、ボルト締めすることにより評価用単セルを組立てた。
(実施例2)
合成例1で得た三元系金属含有共重合体の代わりに合成例2で得た三元系金属含有共重合体を用いて、実施例1と同様な方法でアノードおよびカソードの作製、膜電極の作製、さらに評価用単セルの組立てを行なった。
(実施例3)
合成例1で得た三元系金属含有共重合体の代わりに合成例3で得た三元系金属含有共重合体を用いて、実施例1と同様な方法でアノードおよびカソードの作製、膜電極の作製、さらに評価用単セルの組立てを行なった。
(実施例4)
合成例1で得た三元系金属含有共重合体の代わりに合成例4で得た三元系金属含有共重合体を用いて、実施例1と同様な方法でアノードおよびカソードの作製、膜電極の作製、さらに評価用単セルの組立てを行なった。
(実施例5)
合成例1で得た三元系金属含有共重合体の代わりに合成例5で得た三元系金属含有共重合体を用いて、実施例1と同様な方法でアノードおよびカソードの作製、膜電極の作製、さらに評価用単セルの組立てを行なった。
(比較例1)
[アノードの作製]
白金ルテニウム担持炭素粉末20部を5%パーフルオロアルキルスルホン酸重合体(デュポン社製商標名:ナフィオン(Nafion))溶液80部に分散させて三元系金属含有共重合体を含まないスラリーを調製した。得られたスラリーをカーボンペーパ(東レ社製:TPG−H−120)上にコーターを用いて白金ルテニウムの担持量が2mg/cm2になるよう塗布してアノードを作製した。
[カソードの作製]
白金担持炭素粉末20部を5%パーフルオロアルキルスルホン酸重合体(デュポン社製商標名:ナフィオン(Nafion))溶液80部に分散させて三元系金属含有共重合体を含まないスラリーを調製した。得られたスラリーをカーボンペーパ(東レ社製:TPG−H−120)上にコーターを用いて白金の担持量が1mg/cm2になるよう塗布してカソードを作製した。
得られたアノードおよびカソードを用いて実施例1と同様な方法により膜電極の作製、さらに評価用単セルの組立てを行なった。
<単セル評価>
実施例1〜5および比較例1の単セルのアノード側に3重量%濃度のメタノール水溶液(燃料)を5mL/分の流速でそれぞれ供給し、単セルのカソード側に空気を10mL/分の流速でそれぞれ供給した。空気は、エタノール揮発成分が常に20ppm存在するように供給した。50℃の各単セルの電流−電圧特性を測定した。その結果を図4に示す。
図4から明らかなように実施例1〜5の単セルは、エタノール揮発成分が常に20ppm存在する空気を酸化剤として用いた場合、比較例1の単セルに比べて高い出力電圧を取り出すことができることがわかる。
また、実施例1〜5および比較例1の単セルのアノード側に3重量%濃度のメタノール水溶液(燃料)を5mL/分の流速でそれぞれ供給し、単セルのカソード側に空気を10mL/分の流速でそれぞれ供給した。空気は、エタノール揮発成分が常に20ppm存在するように供給した。温度50℃にて、電流密度を100mA/cm2に一定に保持しながら2000時間稼動させるときの電位変化を観察した。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように実施例1〜5の単セルは、比較例1の単セルに比べて長時間稼動後にも高い電位保持率を示し、信頼性の高い発電を遂行できることがわかる。
(実施例6)
実施例2において一般式(I)における第2ビニルモノマー(2)の重合度m=100、第3ビニルモノマー(3)の重合度n=10の場合、第1ビニルモノマー(1)の重合度lを20から330まで変化させながら、電流密度100mW/cm2での燃料電池の電位を測定したときの結果を図6に示す。
図6から明らかなように、第1ビニルモノマー(1)の重合度lは100〜300の範囲において高い電位が観測されることがわかる。
(実施例7)
実施例2において一般式(I)における第1ビニルモノマー(1)の重合度l=140、第3ビニルモノマー(3)の重合度n=10の場合、第2ビニルモノマー(2)の重合度mの値を70から200まで変化させながら、電流密度100mW/cm2での燃料電池の電位を測定したときの結果を図7に示す。
図7から明らかなように第2ビニルモノマーの重合度mは70〜200の範囲において高い電位が観測されることがわかる。
(実施例8)
実施例1において一般式(I)における第1ビニルモノマー(1)の重合度l=140、第2ビニルモノマ(2)の重合度m=100の場合、第3ビニルモノマー(3)の重合度nの値を3から40まで変化させながら、電流密度100mW/cm2での燃料電池の電位を測定したときの結果を図8に示す。
図8から明らかなように第3ビニルモノマーの重合度nは3〜40の範囲において高い電位が観測されることがわかる。
1…単セル、11…膜状電極、12…アノード、13…カソード、12a、13a…触媒層、12b、13b…集電体(拡散層)、14…電解質膜。

Claims (2)

  1. 集電体およびこの集電体に形成された触媒層を有し、メタノール水溶液を燃料として導入されるアノードと、集電体およびこの集電体に形成された触媒層を有し、前記アノードの触媒層にその触媒層が対向するように配置され、酸化剤が導入されるカソードと、これらのアノードとカソードの間に前記各触媒層と接するように介在された電解質膜とを備えた直接メタノール型燃料電池であって、
    前記カソードの触媒層は、触媒と、パーフルオロアルキルスルホン酸重合体と、第1〜第3のビニルモノマーの三元系金属含有共重合体と、を含み、前記第1ビニルモノマーはビニル基に炭素が結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基およびPtの有機金属錯体の炭素が結合され、前記第2ビニルモノマーはビニル基に炭素が結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基およびM1(M1:Sn,Zn,Ni,Fe,Co,AlまたはCuから選ばれる金属)の有機金属錯体の炭素が結合され、前記第3ビニルモノマーはビニル基に炭素が結合され、かつこの炭素に酸性官能基、塩基性官能基およびM2(M2:EuまたはLa)がイオン結合された有機金属錯体の炭素が結合されていることを特徴とする直接メタノール型燃料電池。
  2. 前記触媒は白金であることを特徴とする請求項1記載の直接メタノール型燃料電池。
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