JP4719067B2 - 伸びフランジ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建材、家電製品、自動車などに適する、伸びフランジ性に優れた高強度鋼板に関する。本発明における高強度鋼板とは通常の冷延鋼板のほか、亜鉛めっき鋼板やAlめっき鋼板を代表とする各種めっきを施したものも含む。亜鉛めっき鋼板については、通常の溶融亜鉛めっきのみならず、合金化溶融亜鉛めっきも含む。めっき層には、純亜鉛の他、Fe、Al、Mg、Cr、Mnなどを含有するものも含む。
近年、特に自動車車体における燃費向上や耐久性向上を目的とした加工性の良い高強度鋼板の需要が高まっている。加えて、衝突安全性やキャビンスペースの拡大のニーズから引張強さにして780MPa級以上の鋼板が、一部レインフォースなどの部材に使用されつつある。
このような高強度材を用いて部材を組み上げる時には、延性、曲げ性、伸びフランジ性などが重要となるが、引張強さで780MPa程度までの高強度鋼板において、これらへの対策が講じられている。
たとえば、穴広げ性については、非特許文献1にあるように、主相をベイナイトとして穴広げ性を向上させ、さらには張り出し成形性についても、第2相に残留オーステナイトを生成させることで現行の残留オーステナイト鋼並の張り出し性を示すことが開示されている。
また、高強度材の高延性化を図るために、複合組織を積極的に活用することが一般的である。しかし、第2相にマルテンサイトや残留オーステナイトを活用した場合、穴広げ性が著しく低下してしまうという問題がある(例えば、非特許文献2)。また、本文献中には、主相をフェライト、第2相をマルテンサイトとし、両者の硬度差を減少させることで穴広げ率が向上することが開示されている。
また、溶融亜鉛めっきを施したものとして、上述のような組織制御により延性、曲げ性、穴広げ率を向上させたいくつかの開示例がある。例えば、特許文献1〜5がその代表例である。
特許第2607906号公報 特許第2862187号公報 特開平1−198459号公報 特開2001−355043号公報 特許第3037767号公報 CAMP−ISIJ vol.13 (2000) p.395 CAMP−ISIJ vol.13 (2000) p.391
上述したように、穴広げ性によって代表される伸びフランジ成形性に優れた鋼板は多数開発されている。しかしながら、引張強さ780MPa以上の高強度鋼板ではCあるいは多量の合金元素を含有するため、製品の組織が温度や冷却速度などの製造条件によって変化しやすく、必ずしも良好な伸びフランジ成形性が得られていない。
本発明者らの研究によれば、この原因が、温度や冷却速度などの製造条件のばらつきにより生成した第2相(主相より面積率の小さい相)と主相(面積率最大の相)との境界部に存在する介在物にあることが分かった。すなわち、第2相は主相と硬さが異なり、両相の境界は亀裂が進展し易い環境にあるため、両相の境界に割れ発生の起点となり易い粗大なクラスター状の介在物が存在すると、穴広げ加工時に粗大なクラスター状の介在物を起点に割れが発生し、その亀裂が両相の粒界を伝播し、表層まで一挙に拡大することが判明した。したがって、鋼中の介在物をできるだけ微細球状化し、製造条件のばらつきにより第2相が生成してもその粒界の介在物が割れ発生の起点にならないようにすれば、穴広げ性が改善されることを見いだした。
一般には、鋼の脱酸はAlを用いて行われるが、Al脱酸により生成したアルミナ系介在物はクラスター化し易く粗大な介在物として鋼中に残留する。これが上記のように伸びフランジ性(穴広げ値)を低下させていると考えられるが、介在物微細球状化制御の視点にたって伸びフランジ性に優れる高強度鋼板を提案した例は見られない。
このような状況を鑑み、本発明者らは、Cあるいは多量の合金元素を含有する高強度鋼板の溶鋼成分において、1)粗大化し易いアルミナ系介在物を生成させないために殆どAl脱酸することなく、2)介在物がクラスター化して粗大にならず、且つ3)割れ発生の起点になり難い球状介在物へと改質する脱酸方法について鋭意研究を進め、更に化学成分や製造方法にも検討を加えて本発明を完成させた。
その要旨は以下の通りである。
(1)C:0.03〜0.3質量%、Si:0.1〜2.0質量%、Mn:1.0〜3.5質量%、P:0.05質量%以下、S:0.01質量%以下、N:0.0005〜0.01質量%、酸可溶Al:0.004質量%以下、酸可溶Ti:0.005質量%未満、NdおよびPrの1種もしくは2種の合計:0.0002〜0.02質量%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、その鋼中には平均の介在物組成でNd酸化物もしくはPr酸化物の1種または2種の合計が2〜70質量%、SiO2が2〜60質量%、Al23が70質量%以下の範囲の介在物を含み、該介在物の個数割合で50%以上が球状、紡錘状のいずれか一方または双方であり、0.5μm以上10μm以下の介在物が500個/cm 2 以上、100000個/cm 2 以下存在することを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
(2)転炉で吹錬して脱炭し、或いは更に真空脱ガス装置を用いて脱炭し、或いは更にCを添加してC濃度を0.03〜0.3質量%にした溶鋼中に、Si合金を添加して、
AlやTiは添加しないか、或いは酸可溶Alは0.004質量%以下、酸可溶Tiは0.005質量%未満にしてAlやTiを添加して調整し、Al 2 3 −SiO 2 介在物を生成して、その後NdおよびPrの1種または2種以上を添加して成分調整を行うことを特徴とする、請求項1に記載の高強度鋼板の製造方法。
本発明により、安定して伸びフランジ性に優れた高強度鋼板を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における鋼板の成分範囲の限定理由について述べる。
Cは鋼板の強度を確保するために必須の元素であり、780MPa以上の高強度鋼板を得るためには少なくとも0.03質量%が必要である。しかし、Cが0.3質量%を超えると、伸びフランジ性が著しく劣化するので、これを上限とする。
Siは本発明のようにAlやTiを極力添加しない溶鋼において主要な脱酸元素となるため、本発明おいて極めて重要である。溶鋼中の溶存酸素濃度を低下させ、鋳造時にCO気泡が発生しないためにはSiを0.1質量%以上添加する必要がある。また、Siは伸びフランジ性を低下させることなく強度を確保するのに有効な元素であり、少なくとも0.05質量%が必要であるが、脱酸条件も合わせて考慮するとSiは0.1質量%を下限とする。過剰に添加すると溶接性や延性に悪影響を及ぼすので2.0質量%を上限とする。
MnはC、Siとともに鋼板の高強度化に有効な元素であり、1.0質量%以上は含有させる必要があるが、3.5質量%を超えて含有させると延性が劣化すると共に、MnSが多く析出し伸びフランジ性を低下させるため、上限を3.5質量%とする。
Pは固溶強化元素として有効であるが、偏析による加工性の劣化が懸念されるので0.05質量%以下にする必要がある。Pの下限値は0質量%を含む。
SはMnSなどの介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させる。したがって、できるだけ抑制すべきであるが0.01質量%以下であれば許容される。Sの下限値は0質量%を含む。
Nは機械的強度を高めたり、BH性(焼付き硬化性)を付与したりするのには有効であるが、添加し過ぎると微量Alや微量Tiであっても粗大な析出物を生成し、伸びフランジ性を劣化させるので、0.01質量%を上限とする。一方、Nを0.0005質量%未満とすることは現状プロセスでは大変負荷が大きく、コストが高くなるため下限値は0.0005質量%とする。
酸可溶Alはその酸化物がクラスター化して粗大になり易いため極力抑制することが望ましい。しかしながら、Alは予備的な脱酸材として酸可溶Al濃度で0.01質量%までは用いることが許容される。これは、後述の通り、酸可溶Al濃度が0.01質量%超になると、介在物中のAl23含有率が70質量%を超え、NdやPrを添加しても介在物のクラスター化を防止することができないため、穴広げ性が低下する。クラスター化防止の観点から酸可溶Al濃度は低い方が良く、下限値は0質量%を含む。また、酸可溶Al濃度とは、酸に溶解したAl量を測定したもので、溶存Alは酸に溶解し、Al23は酸に溶解しないことを利用した分析方法である。ここで、酸とは、例えば塩酸1、硝酸1,水2の割合で混合した混酸である。
酸可溶Tiもその酸化物がクラスター化して粗大になり易いこと、鋼中のNと結びついて粗大なTiNの介在物を生成し易いことから、酸可溶Tiは0.005質量%未満とし、下限値は0質量%を含む。また、酸可溶Ti濃度とは、酸に溶解したTi量を測定したもので、溶存Tiは酸に溶解し、Ti酸化物は酸に溶解しないことを利用した分析方法である。ここで、酸とは、例えば塩酸1、硝酸1,水2の割合で混合した混酸である。
Nd、Prは予備Al脱酸とSi脱酸により生成したAl23−SiO2介在物を微細球状のNd酸化物(例えば、Nd23、NdO2)−Al23−SiO2複合介在物、Pr酸化物(例えば、Pr23、PrO2)−Al23−SiO2複合介在物、或いはNd酸化物−Pr酸化物−Al23−SiO2複合介在物に改質し、伸びフランジ性を向上させる最も重要な成分である。
このような介在物改質効果を得るためには、NdおよびPrの1種もしくは2種の合計濃度を0.0002質量%以上0.02質量%以下にする必要がある。NdおよびPrの1種もしくは2種の合計濃度が0.0002質量%未満では、Al23−SiO2介在物を微細球状に改質できず、0.02質量%超では介在物中のSiO2分は還元され、殆どNd酸化物−Al23介在物やPr酸化物−Al23介在物となり介在物がクラスター化し、伸びフランジ性が低下する。なお、他のランタノイド元素としてCe、LaやSm等もあるが、これら元素はNdやPrに比べて介在物を微細球状化する効果が弱い。このため、予備Al脱酸で生成したAl23が操業のばらつきで多量に残留した場合でも、改質能力の高いNdやPrを用いれば安定して介在物のクラスター化を防止し、伸びフランジ性を向上できる。
なお、本発明鋼に含まれる鉄以外の不可避的不純物とは、スクラップ中に含有されるSn,Ni,Cu等が、不可避的に鋼中に混入しているものをいう。
次に、鋼板中における介在物の存在条件について述べる。
伸びフランジ性に優れた鋼板を得るためは、鋼板中の介在物は、割れ発生の起点となり難いように、球状で微細に分散していることが重要である。本発明の鋼板における介在物の平均組成、形態および粒径分布を調査した。
介在物の平均組成は、ランダムに選んだ複数個(例えば20個以上)の介在物を組成分析し、平均濃度を算出することにより求めることができる。
その結果、介在物の平均組成でNd酸化物もしくはPr酸化物の1種または2種の合計が2〜70質量%以上、SiO2が2〜60質量%、Al23が70質量%以下の範囲となるように組成制御された鋼板では、伸びフランジ性が向上することが判明した。
平均組成でNd酸化物もしくPr酸化物の1種または2種の合計が2質量%未満では、NdやPr添加による介在物改質効果が小さく、反対にNd酸化物もしくはPr酸化物の1種または2種の合計が70質量%超では、過改質となり、何れの場合も介在物は微細球状化しないため、平均組成でNd酸化物もしくはPr酸化物の1種または2種の合計の下限値は2質量%、上限値は70質量%とした。
また、平均組成でSiO2が60質量%超では、圧延時に非常に長い延伸介在物となり、これが多く鋼板中に存在するため伸びフランジ性が低下し、反対にSiO2が2質量%未満では介在物が微細球状に分散しないため、平均組成でSiO2の上限値を60質量%、下限値を2質量%とした。
さらに、介在物中にはAl23を含有しないことが微細球状化の点から好ましいが、Al予備脱酸や耐火物溶損の影響により介在物中のAl23含有率が高くなることがある。この場合、平均組成で介在物中には70質量%以下に限ってAl23が混入しても良く、下限値は0質量%を含む。これは、介在物中のAl23含有率が70質量%を超えると、NdやPrによる改質効果が損なわれ、介在物のクラスター化が進行してしまうためである。なお、本発明において上記組成の酸化物以外にスラグや耐火物などから混入する不可避的不純物酸化物は許容される。
次に、鋼板中の介在物の形態について述べる。介在物の形態はランダムに選んだ複数個(例えば50個以上)の介在物を光学顕微鏡で観察することができる。例えば、ランダムに選んだ100個の介在物を光学顕微鏡の100倍と1000倍で観察し、球状、紡錘状、クラスター状とその他に分類し、球状と紡錘状の介在物の個数割合を求めることが推奨される。なお、球状とは、介在物の長径と短径がほぼ等しく円形として観察されるもの、紡錘上とは、介在物の長径/短径が3以下で楕円形に観察されるもの、クラスター状とは介在物粒子が2個以上密集したもの、その他としては、例えば角張った単体状のものとして、それぞれ定義される。
その結果、球状、紡錘状のいずれか一方または双方の介在物の個数割合が50%以上の鋼板では、伸びフランジ性が向上することが判明した。球状、紡錘状のいずれか一方または双方の介在物の個数割合が50%未満では、クラスター状の介在物が相対的に増え、伸びフランジ性が低下するため、その下限値を50%とした。上限値は100%である。
ここに、「球状、紡錘状のいずれか一方または双方の介在物の個数割合が50%以上」とは、
「球状介在物単独の個数割合が50%以上の場合、
紡錘状介在物単独の個数割合が50%以上の場合、
球状介在物と紡錘状介在物の双方が混在していて、それぞれの個数割合の合計が50%以上の場合
のいずれか」であることを示す。
さらに、鋼板中の介在物の粒径分布について述べる。介在物の粒径分布は、光学顕微鏡(例えば100倍と1000倍)で介在物を観察して、その粒径を測定することができる。ここで、粒径とは、円相当直径を意味し、(介在物長径×介在物短径)0.5で求めた。
また、介在物の粒径については、伸びフランジ性に有害な10μmを超える大型介在物が減少すると、0.5μm以上10μm以下の介在物個数が増加し、このサイズの介在物個数が伸びフランジ性と良く対応するため、0.5μm以上10μm以下に着目した。その結果、0.5μm以上10μm以下の介在物が500個/cm2以上、100000個/cm2以下存在する鋼板では、伸びフランジ性が向上することが判明した。
0.5μm以上10μm以下の介在物が500個/cm2未満では、10μmを超える伸びフランジ性に有害な大型介在物が鋼板中に観察され、割れ発生の起点となるため、その個数密度の下限値は500個/cm2とした。また、0.5μm以上10μm以下の介在物が100000個/cm2超存在する場合には、介在物の個数が多過ぎて伸びフランジ性が低下するため、その上限値は100000個/cm2とした。
本発明は、引張強度が780MPa未満の強度クラスの鋼にも当然適用できるが、組織制御だけで伸びフランジ性の課題はほぼ解決されているため、本発明の介在物微細化制御は組織制御だけで伸びフランジ性が解決し難い780MPa以上の鋼に適用することが好ましい。
次に、鋼板の組織について説明する。
本発明では、伸びフランジ性を介在物制御により向上させるものであり、鋼板のミクロ組織は特に限定するものではないが、優れた伸びフランジ性を得るためには、できるだけ単相組織とすることが適しているが、第2相を有する場合でも主相の面積率は80%以上とすることが好ましい。
最後に、本願の高強度鋼板を製造するための条件について述べる。
本発明では転炉で吹錬して脱炭し、或いは更に真空脱ガス装置を用いて脱炭し、或いは更にCを添加してC濃度を0.03〜0.3質量%にした溶鋼中に、Si,Mn,P等の合金を添加して、脱酸と成分調整を行うと共に、AlやTiは添加しないか、或いは酸素調整を必要とする場合には酸可溶Alや酸可溶Tiが僅かに残る程度(酸可溶Alは0.01質量%以下、酸可溶Tiは0.005質量%未満)の少量のAlやTiを添加し、その後NdおよびPrの1種または2種以上を添加して成分調整を行う。本発明では介在物微細球状化の観点からAl23やTi酸化物ができるだけ残留しないことが好ましいので、AlやTiを添加する場合には、それらの添加から3分以上の攪拌時間を設けて、その後にNdおよびPrの1種または2種以上を添加することが望ましい。
このようにして溶製された溶鋼を連続鋳造してスラブを製造し、これを熱間圧延することにより熱延鋼板とする。本発明が目的とする鋼中酸化物の形態及び組成は熱延工程で影響されないため熱間圧延法は特に限定するものではなく、通常の熱間圧延を施した後、650℃以下で巻き取ることが好ましい。650℃超では粗大な炭化物を初めとする化合物が出現し易く、伸びフランジ性が劣化する。より好ましくは600℃以下である。下限は特に定めないが、常温以下とするのは困難であるためこれを下限とすることが好ましい。
このようにして製造した熱延鋼板に必要に応じて酸洗、スキンパスを行っても良い。スキンパスの圧下率は特に限定しないが、形状矯正、耐常温時効性の改善、強度調整などのため40%程度まで行っても良い。0.1%未満では効果が小さく、制御も困難なのでこれを下限値にすることが好ましい。
熱延鋼板を酸洗して冷間圧延したのち、最高到達温度を600〜1100℃とする熱処理後、常温まで連続的に冷却するか、さらに100〜550℃の温度で30秒以上保持しても良い。最高到達温度が600℃未満ではα−γ変態が起こりにくく、再結晶もしないことがあるため、加工性が低下し易いので600℃を下限とすることが好ましい。一方、最高到達温度を1100℃超とするには、コストアップが著しく、また板破断などの操業トラブルを誘発するのでこれを上限とすることが好ましい。より好ましくは700〜950℃の範囲である。この温度域での熱処理時間は特に規定しないが、鋼板の温度均一化のために1秒以上が好ましい。しかし、10分超では、粒界酸化相生成が促進される上、コストの上昇を招く。熱処理後、各種めっきを施しても構わない。また、スキンパスの実施も可能である。
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
表1に化学成分を示す鋼のスラブを連続鋳造法により製造した。このスラブを1200℃に加熱し、Ar3変態温度以上である880℃〜910℃で熱延を完了し、580℃で巻き取った厚さ2.3mmの鋼帯を、酸洗の後、冷延により板厚を1.2mmとした。引き続き熱処理を表2の最高到達温度の条件で行った。最高到達温度にて90秒間保持して、(最高到達温度−130)℃まで5℃/秒で冷却した。その後、表2に示した冷速で冷却し、さらに表2の過時効温度で約300秒間付加的熱処理を行った。スキンパスは0.5%とした。
このようにして得られた鋼板の強度、延性、伸びフランジ性および介在物の粒径分布、形態、平均組成を調べた。その結果を表2に示す。強度と延性は、圧延方向に対して垂直方向に採取したJIS5号試験片の引張試験により求めた。伸びフランジ性は、150mm×150mmの鋼板の中央に開けた直径10mmの打ち抜き穴を60°の円錐パンチで押し広げ、板厚貫通亀裂が生じた時点での穴径D(mm)を測定し、穴広げ値λ=(D−10)/10で求めたλで評価した。さらに、介在物は光学顕微鏡による100倍と1000倍の観察を行い、ランダムに選んだ100個の介在物について粒径と形態を測定した。さらに、走査型電子顕微鏡の定量分析機能を用いて、ランダムに選んだ20個の介在物について組成分析を実施した。表2から明らかなように、本発明の要件を満たす発明鋼は、同強度の比較鋼と比べて穴広げ値が大きくなっており、優れた伸びフランジ性を示すことが分かる。
Figure 0004719067
Figure 0004719067

Claims (2)

  1. C:0.03〜0.3質量%、
    Si:0.1〜2.0質量%、
    Mn:1.0〜3.5質量%、
    P:0.05質量%以下、
    S:0.01質量%以下、
    N:0.0005〜0.01質量%、
    酸可溶Al:0.004質量%以下、
    酸可溶Ti:0.005質量%未満、
    NdおよびPrの1種もしくは2種の合計:0.0002〜0.02質量%を含有し、
    残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、
    その鋼中には平均の介在物組成でNd酸化物もしくはPr酸化物の1種または2種の合計が2〜70質量%、SiO2が2〜60質量%、Al23が70質量%以下の範囲の介
    在物を含み、該介在物の個数割合で50%以上が球状、紡錘状のいずれか一方または双方であり、0.5μm以上10μm以下の介在物が500個/cm 2 以上、100000個/cm 2 以下存在することを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  2. 転炉で吹錬して脱炭し、或いは更に真空脱ガス装置を用いて脱炭し、或いは更にCを添加してC濃度を0.03〜0.3質量%にした溶鋼中に、Si合金を添加して、
    AlやTiは添加しないか、或いは酸可溶Alは0.004質量%以下、酸可溶Tiは0.005質量%未満にしてAlやTiを添加して調整し、Al 2 3 −SiO 2 介在物を生成して、その後NdおよびPrの1種または2種以上を添加して成分調整を行うことを特徴とする、請求項1に記載の高強度鋼板の製造方法。
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