JP5363867B2 - 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板 - Google Patents
伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板Info
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Description
質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
C:0.10〜0.30%、
Si:0.05〜0.5%、
Mn:1.0〜4.0%、
Ni:0.05〜1.0%、
P:0.1%以下、
S:0.005%以下、
N:0.01%以下、
Al:1.0%超2.0%以下
を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、
硬さ90〜130Hvのフェライトを面積率で20〜50%含み、残部が焼戻しマルテンサイトからなる組織を有し、
前記フェライトの円相当直径は平均で8μm以下であり、
前記焼戻しマルテンサイト中の円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子は、前記焼戻しマルテンサイト1μm2当たり2個以下である
ことを特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板である。
成分組成が、更に、
Cr:0.01〜1.0%、
Mo:0.01〜1.0%、
Cu:0.05〜1.0%
の1種または2種以上を含むものである請求項1に記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板である。
成分組成が、更に、
Ca:0.0005〜0.01%、および/または
Mg:0.0005〜0.01%
を含むものである請求項1または2に記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板である。
上述したとおり、本発明鋼板は、上記ベース技術と同様の二相組織(フェライト+焼戻しマルテンサイト)をベースとするものであるが、特に、フェライトの硬さとサイズが制御されている点で、上記ベース技術の鋼板とは相違している。
フェライトの硬さを制限して該フェライトの変形能を高めることで、伸びを確保できる。上記作用を有効に発揮させるには、フェライトの硬さは130Hv以下とする。ただし、フェライトの硬さを低くしすぎると引張強度(以下、単に「強度」ということあり。)が確保できなくなるため、90Hv以上とする。好ましくは100〜120Hvである。また、フェライトの面積率は小さくしすぎると十分な伸びが得られず、一方、大きくしすぎると強度が確保できないため、20〜50%とする。なお、残部は焼戻しマルテンサイトである。
フェライトの硬さが低下すると、伸びフランジ変形時にフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面に応力が集中しやすくなるため、伸びフランジ性が低下する。フェライトを微細化することで上記応力集中が緩和され伸びフランジ性を向上できる。上記作用を有効に発揮させるには、フェライトの円相当直径は平均で8μm以下、好ましくは6μm以下とする。
粗大なセメンタイト粒子は、伸びフランジ変形時に破壊の起点となり、伸びフランジ性を低下させる。特に0.1μm以上のサイズのセメンタイト粒子の影響が大きいため、焼戻しマルテンサイト1μm2当たり2個以下に制限することで良好な伸びフランジ性を実現できる。
C:0.10〜0.30%
Cは、フェライトの面積率およびマルテンサイト中に析出するセメンタイト量に影響し、強度、伸び、伸びフランジ性のいずれにも影響する重要な元素である。0.10%未満では強度が不足し、一方、0.30%を超えると焼戻しマルテンサイト中のセメンタイトのサイズが大きくなりすぎるために、伸びフランジ性が低下する。C含有量の範囲は、好ましくは0.13〜0.20%である。
Siは、焼戻しマルテンサイト中のセメンタイト粒子の粗大化を防止するが、フェライトに固溶しフェライトの硬さを上昇させて伸びを低下させるので、0.5%以下、好ましくは0.2%以下とする。ただし、Siの含有量が少なすぎるフェライト硬さが低下しすぎて強度が不足するため、0.05%以上とする。
Mnは、鋼材の焼入れ性を向上させ、マルテンサイトを生成させるために必要な元素である。1%未満では焼入れ性が不足するため焼入れ冷却中にフェライトが析出してフェライト量が増加するとともに、必要なマルテンサイト量が確保できないため低強度となりやすく、伸びフランジ性も低下する。一方4%を超えると焼入れ時にオーステナイトが残留し、伸びフランジ性が低下する。Mn含有量の範囲は、好ましくは0.30〜2.5%、さらに好ましくは0.50〜2.0%である。
Niは、Ac1点を低下させることで焼鈍加熱温度を低下させ、フェライトの微細化を可能とするための有用な元素である。0.05%未満ではAc1点低下の効果が小さく、フェライトが焼鈍時に粗大化して伸びフランジ性が低下する。一方、1.0%を超えるとオーステナイトが残留するためやはり伸びフランジ性が低下する。Ni含有量の範囲は、好ましくは0.1〜0.9%、さらに好ましくは0.3〜0.7%である。
Pは不純物元素として不可避的に存在し、固溶強化により強度の上昇に寄与するが、 旧オーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させることで伸びフランジ性を劣化させるので、0.1%以下とする。好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.03%以下である。
Sも不純物元素として不可避的に存在し、MnS介在物を形成し、穴拡げ時に亀裂の起点となることで伸びフランジ性を低下させるので、0.005%以下とする。より好ましくは0.003%以下である。
Nも不純物元素として不可避的に存在し、歪時効により伸びと伸びフランジ性を低下させるので、低い方が好ましく、0.01%以下とする。
Alは、焼戻し時のマルテンサイト中におけるセメンタイトの粗大化を抑制し、伸びフランジ性を向上させるのに有用な元素である。1.0%以下では上記効果が小さく、一方2.0%を超えるとAc1点が上昇するため、焼鈍加熱温度が高くなりフェライトの微細化が実現できなくなる。つまり、焼鈍時の加熱ではフェライトの一部をオーステナイト化してフェライトとオーステナイトの2相共存状態にし、その後の急冷でオーステナイトをマルテンサイトにするが、加熱温度が高くなるとフェライト粒が粗大化するためである。Al含有量の範囲は、好ましくは1.3〜1.9%、さらに好ましくは1.5〜1.7%である。
Mo:0.01〜1.0%、
Cu:0.05〜1.0%の1種または2種以上
CrとMoは、セメンタイトの代わりに微細な炭化物として析出することで、伸びフランジ性の劣化を抑えつつ、析出強化量を高めるのに有用な元素である。各元素とも0.01%未満の添加では上記のような作用を有効に発揮しえず、一方、各元素とも1.0%を超える添加では析出強化が過剰となり、マルテンサイトの硬さが高くなりすぎ伸びフランジ性が低下してしまう。
これらの元素は、介在物を微細化し、破壊の起点を減少させることで、伸びフランジ性を向上させるのに有用な元素である。各元素とも0.0005%未満の添加では上記のような作用を有効に発揮しえず、一方、各元素とも0.01%を超える添加では逆に介在物が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。
上記のような冷延鋼板を製造するには、まず、上記成分組成を有する鋼を溶製し、造塊または連続鋳造によりスラブとしてから熱間圧延を行なう。熱間圧延条件としては、仕上げ圧延の終了温度をAr3点以上に設定し、適宜冷却を行った後、450〜700℃の範囲で巻き取る。熱間圧延終了後は酸洗してから冷間圧延を行う。
冷間圧延条件(冷延条件)としては、冷間圧延率30%以上で圧延するのがよい。これにより、冷間圧延で導入された歪によって、次工程の焼鈍加熱時にオーステナイト析出の核生成サイトが多数導入されることで、フェライトが分断されてフェライトが微細化する。冷間圧延率は50%以上とするのがより好ましい。
焼鈍条件としては、焼鈍後のフェライト面積率20〜50%が得られるように、焼鈍加熱温度:[(Ac1+Ac3)/2]〜[Ac3−50]℃に加熱し、焼鈍保持時間:720s以下保持した後、焼鈍加熱温度から直接Ms点以下の温度まで50℃/s以上の冷却速度で急冷するとよい。
焼戻し条件としては、上記焼鈍冷却後に、焼戻し加熱温度:350〜550℃まで加熱し、焼戻し保持時間:300s以下保持した後、冷却すればよい。
これを熱間圧延で厚さ25mmにした後、再度、熱間圧延で厚さ3.2mmとした。これを酸洗した後、圧延率20〜80%で冷間圧延して厚さ2.56〜0.64mmの冷延板を作製し、表2および表3に示す条件にて熱処理を施した。表2は、表1の鋼種5を使用して熱処理条件の影響を調査した実験の熱処理条件であり、表3は、鋼種ごとの成分の影響を調査するための実験の熱処理条件である。
Claims (3)
- 質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
C:0.10〜0.30%、
Si:0.05〜0.5%、
Mn:1.0〜4.0%、
Ni:0.05〜1.0%、
P:0.1%以下、
S:0.005%以下、
N:0.01%以下、
Al:1.0%超2.0%以下
を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、
硬さ90〜130Hvのフェライトを面積率で20〜50%含み、残部が焼戻しマルテンサイトからなる組織を有し、
前記フェライトの円相当直径は平均で8μm以下であり、
前記焼戻しマルテンサイト中の円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子は、前記焼戻しマルテンサイト1μm2当たり2個以下である
ことを特徴とする伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板。 - 成分組成が、更に、
Cr:0.01〜1.0%、
Mo:0.01〜1.0%、
Cu:0.05〜1.0%
の1種または2種以上を含むものである請求項1に記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板。 - 成分組成が、更に、
Ca:0.0005〜0.01%、および/または
Mg:0.0005〜0.01%
を含むものである請求項1または2に記載の伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板。
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JP2009106683A JP5363867B2 (ja) | 2009-04-24 | 2009-04-24 | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板 |
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JP2009106683A JP5363867B2 (ja) | 2009-04-24 | 2009-04-24 | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板 |
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JP2010255050A JP2010255050A (ja) | 2010-11-11 |
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