JP4717773B2 - 水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法 - Google Patents

水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、水道メータ等の銅合金製材の表面に付着した酸化皮膜や緑青等を除去して、再生処理を施す水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法に関する。
従来より、例えば、水道メータのボデーは、JIS規格等で定められており、青銅製、黄銅製などの銅合金が利用されている。この水道メータは、使用経過とともにボデー表面に酸化皮膜(スケール)や緑青(塩基性炭酸銅など)などが付着する。そのため、この水道メータは、付着した酸化皮膜や緑青などの除去のため再生処理が施されるのが通常である。
この水道メータは、鋳造性や機械加工性、切削性や熱間鍛造性等の特性を良好にするため、鉛(Pb)を所定量添加した黄銅、青銅製の合金が使用されている。しかし、鉛は、水道水中に溶け出した場合に人体に悪影響を及ぼす危険性があるため、近年においては鉛レス銅合金が普及している。
この種の鉛レス銅合金表面の酸化皮膜を除去する技術としては、例えば、Si系鉛レス黄銅を対象とし、過酸化水素及び硫酸を主成分とする化学研磨液に、界面活性剤及び錯化剤を添加してなる処理液に浸漬させるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この化学研磨処理技術における鉛レス銅合金は、前記のように、Pbの代替成分として非金属に分類されるSiを含有させたものである。
特開2003−213467号公報
しかしながら、特許文献1における化学研磨処理技術は、銅合金の酸化皮膜を除去できるとはしているものの、Si系鉛レス黄銅を特に対象としたものであり、他の種類の鉛レス銅合金の酸化皮膜の除去は考慮されていない。Si系鉛レス銅合金以外の鉛レス銅合金としては、例えば、Pbの代替成分として金属に分類されるビスマス(Bi)を含有した鉛レス銅合金と、BiとSeを含有した銅合金が知られている。
この銅合金は、Bi単体、或はBiとセレン(Se)をPbの代替として含有させたものであって、上記の鉛溶出の対策として、特に優れた効果を発揮できることが実証され、青銅合金製材の接液部に有用な材料として用いられている。このため、Bi或は、Bi−Se系の成分を含有した鉛レス銅合金製の水道メータなどの製品表面に付着した酸化皮膜等を除去できる化学研磨処理技術の開発が切望されている。
本発明は、上記の実情に鑑みて鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、Bi系又はBi−Se系鉛レス銅合金の表面に付着した酸化皮膜や緑青等の付着物を確実に除去でき、この銅合金を材料とした器材を再生できるようにした水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、Bi又はBi−Seを含有する銅合金製材を、硝酸濃度が20〜27wt%、及び残部が水からなる水溶液に10〜20分の間の処理時間で、かつ、常温から50℃までの処理温度の範囲内で浸漬して化学研磨処理を施すことにより、前記銅合金製材表面のCuとBiを溶解して均一な銅合金製材表面を再生するようにした水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法である。
請求項2に係る発明は、硝酸濃度を25〜27wt%とした水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法である。
請求項3に係る発明は、銅合金製材の化学研磨処理後に、硝酸0.5〜7wt%と塩酸0.05〜0.7wt%を含む混酸溶液に浸漬させる処理を施した水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法である。
請求項4に係る発明は、銅合金製材の前記混酸溶液浸漬処理後に、この銅合金製材の表面に防食性を有する被膜を形成する処理を施した水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法である。
請求項1に係る発明によると、Bi系又はBi−Se系銅合金の表面に付着した酸化皮膜や緑青等の付着物を確実に除去可能で、しかも、この銅合金製水道メータ等の器材を再生処理して再使用に供する水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法を提供することが可能になる。
請求項2に係る発明によると、化学研磨処理を施したときにその効果を高めることができ、合金表面の付着物を均一的且つ迅速に除去処理することができる水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法を提供できる。
請求項3に係る発明によると、化学研磨処理後の合金表面の変色を防止して光沢を有する水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法を提供できる。
請求項4に係る発明によると、請求項3における混酸溶液浸漬処理後に銅合金製材の表面に皮膜を形成することで、合金表面の変色をより一層防止することができる水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法を提供できる。

以下に、本発明の水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法によって銅合金製材を再生する場合の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明の水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法は、Bi又はBi−Seを含有する銅合金製材を、化学研磨工程において、硝酸(HNO)濃度が20〜27wt%、及び残部が水からなる水溶液(化学研磨処理液)に浸漬して化学研磨処理し、銅合金製材の表面に付着した酸化皮膜や緑青等の付着物を除去再生するようにしたものである。
また、この再生処理方法において、後述するように、銅合金製材を化学研磨処理する前には、水に浸漬させる処理を施すようにし、また、銅合金製材を化学研磨処理した後に、弱酸水溶液に浸漬させる処理を施すようにしている。更に、この銅合金製材の弱酸浸漬処理の後に、この銅合金製材の表面に防食性を有する被膜を形成する処理を施すようにしている。
本発明の再生処理方法に適用するBi系とBi−Se系の銅合金の組成成分の一例について説明する。
Bi系鉛レス青銅合金の一例として、例えば、JIS H5120 CAC901〜903、JIS H5121 CAC901C〜903Cを使用し、この青銅合金の組成範囲の一例として、Cu83.5〜90.6質量%、Sn4.0〜6.0質量%、Zn4.0〜8.0質量%、Bi0.4〜3.5質量%、及び不可避不純物から構成されるものを使用する。
一方、Bi−Se系鉛レス青銅合金の一例として、例えば、JIS H5120 CAC911、JIS H5121 CAC911Cを使用し、この青銅合金の組成範囲の一例として、Cu83.0〜90.6質量%、Sn3.5〜6.0質量%、Zn4.0〜9.0質量%、Bi0.8〜3.5質量%、Se0.1〜0.5重量%、及び不可避不純物から構成されるものを使用する。
次に、この青銅合金製の水道メータを化学研磨処理する処理液について述べる。この処理液としては、上記のように20〜27wt%の硝酸と水により構成される水溶液を用いる。ここで、硝酸のwt%(質量パーセント濃度)とは、JIS K8541における67%濃硝酸を水にて希釈する割合(重量比)である。
ここで、処理液として硝酸と水により構成される水溶液を用いる理由を以下に説明する。化学研磨による主たる除去(溶解)対象は、合金表面に付着した酸化皮膜や緑青であるが、合金の表面において均一な色彩(銅褐色)や光沢を得るには、合金中の約85%を占めている、合金中の主成分であるCuも合金表面において除去の対象とする必要がある。
Cuは、水素よりもイオン化されにくい金属であるため、その溶解には酸化性のある酸を用いる必要がある。この酸化性の酸とは、一般に、酸素の酸化力を活用するものであり、金属と反応して水素を発生させないようにする特徴を有している。
また、Cuは、非酸化性の酸(硫酸や塩酸など)によっても溶解が可能であるが、この場合には過酸化水素等との組み合わせが必要になる。なお、非酸化性の酸は、金属と反応したときに水素を発生する。
本例における化学研磨処理液は、酸化性の酸に属する硝酸を用いており、この硝酸は、合金表面において水素が生じないことから、均一な色彩や面粗さの合金表面を得る上で好ましくなっている。また、この化学研磨処理液は、複数成分による組み合わせを必要としないことから、管理も容易である。
次に、本発明の再生処理方法を施す場合の銅合金製材を処理する処理工程の一例を図1に従って説明する。本例では、この銅合金製材を処理する工程として、本発明の化学研磨処理による再生処理以外にも、同図に示すように、水浸漬工程、水洗工程、弱酸浸漬工程、水洗工程、皮膜形成工程の各工程を施すようにする。各工程は、水浸漬工程、化学研磨工程、水洗工程、弱酸浸漬工程、水洗工程、皮膜形成工程の順序で行われ、これにより、一連の処理を行う。各処理工程における処理方法等を説明する。
水浸漬工程は、例えば、常温において、約10秒間程度処理を行うようにする。
この水浸漬工程の次工程である化学研磨工程において、ワーク(処理対象品)の表面が乾燥していると、化学反応の開始が遅れたり、反応部分にムラを生じることがある。これを防止するためにこの水浸漬工程を行う。
水浸漬工程は、まず、ワークを水に浸し、ワークの表面に水分子を存在させる。これにより化学研磨工程におけるワークの表面において、硝酸の構成元素の一つである水素をオキソニウムイオンHとして電離させ、硝酸による化学反応の開始に必要な硝酸イオンNOを発生し易くすることにより、均一且つ迅速な化学反応を得ることができる。
本発明によって施される化学研磨処理工程は、前述のように行われ、このときの処理温度並びに処理時間としては、例えば、常温(約23℃)から約50℃の処理温度、約10分間程度の処理時間で行うようにする。なお、化学研磨処理時における化学反応により、ワークの表面は常に発砲することから、揺動等を利用してこの泡取りを行うようにし、均一な色彩や面粗さを得られるようにするのが好ましい。
水洗工程は、例えば、常温において、約5分間程度行うようにする。
上記の化学研磨処理中に、ワークの表面では、
Cu→Cu2++2e
の反応が進み、一挙に銅イオンが発生する。この状態でワークを空気中に放置すると、銅イオンが酸素と反応して、黒色のCuOが生成されてしまう。これを抑制するため、この水洗工程により化学研磨処理にて用いた硝酸を洗い落としている。
弱酸浸漬工程は、常温において、約5分間程度行うようにする。
上記の水洗工程によって多くの硝酸は除去されるが、ワーク表面が鋳肌面の場合、この鋳肌の窪地に微量の硝酸成分が残存しやすい。微量の硝酸成分の残存は、再びワーク表面に銅イオンを発生させてしまう原因となるため、完全に除去するのが望ましいが、仮に上記の水洗工程で攪拌や揺動等、物理的な除去方法を用いたとしても、硝酸成分を完全に除去するのは難しい。そこで、残存した硝酸成分とより親和性の高い(残存した硝酸成分と混合容易な)弱酸で除去処理を行うようにする。弱酸の成分としては、親和性の点から、化学研磨工程と同様の硝酸を主成分とするのが良く、例として、硝酸0.5〜7wt%を含む水溶液を用いるのが好ましい。
弱酸浸漬工程における反応として、弱酸処理液は、HOが大部分を占める酸であるため、ワークの表面では、
2Cu+HO→CuO+2H2++2e
CuO+2H2+→Cu2++HO+2e
の反応が生じる。このように、常にCuO皮膜を介して銅イオン(Cu2+)を発生できるメカニズムにより、銅イオン(Cu2+)は瞬間的にしかワーク表面に存在しないことから、この弱酸浸漬工程により、ワーク表面の変色を抑制することができる。
更に、銅イオン(Cu2+)の発生抑制には、一価の陰イオンを有する成分(ハロゲンに属する成分)が有効である。これは、合金表面のCuが、図2に示すように、CuOと銅イオン(Cu)の状態で存在しており、この銅イオン(Cu)と一価の陰イオンを有する成分が結合し、皮膜が形成されることによる。
一価の陰イオンを有する具体的な成分として、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)等が挙げられるが、フッ素は、表面処理作業に特別な安全性の配慮が必要であること、また、臭素は、反応性が弱いことから、塩素が最適である。これにより、変色を伴うCuOの生成も抑制することがきできる。
従って、弱酸浸漬工程では、水洗工程後に残存した硝酸成分と親和性の高い硝酸水溶液に、少量の塩酸を加えた混酸が効果的であり、例えば、特許第3345569号に開示されている、硝酸0.5〜7wt%と塩酸0.05〜0.7wt%を含む混酸水溶液を用いるようにするとよい。これにより、塩素イオンがインヒビターとしてCuCl皮膜を形成するので、銅イオン(Cu2+)を更に低減でき、ワーク表面の変色を抑制することができる。なお、塩酸のwt%とは、JIS K8180における36%濃塩酸を水にて希釈する割合(重量比)である。
次に、水洗工程は、例えば、常温において、約10分間程度行うようにする。
この水洗工程は、弱酸浸漬工程の弱酸を除去する工程である。次工程(皮膜形成工程)にて弱アルカリ性の皮膜形成剤を用いる場合、残存した弱酸成分が弱アルカリ性の皮膜形成剤と反応して別の物質になり、皮膜形成機能が失われてしまうため、この水洗工程にて事前に弱酸成分を除去する必要がある。
また、この水洗工程により、塩素イオンのインヒビター効果によって得られたCuCl皮膜が除去され、より安定的なCuO皮膜で覆われるようにしている。
皮膜形成工程は、例えば、常温〜約50℃において、約30秒間程度行うようにする。
この工程は、ワーク表面の酸化を確実に防止すべく、上記のCuO皮膜に加えて(替えて)、積極的にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、及び有機酸を主とした皮膜を形成するようにしたものである。本実施形態においては、ベンゾトリアゾールを用いるようにする。ベンゾトリアゾールの結合部分は一価であることから、同じく一価のCuをベースとしたCuO皮膜を、前記の弱酸浸漬工程と水洗工程でワーク表面に形成しておくことにより、酸素(O)に替えてベンゾトリアゾールが円滑且つ規則的に結合し、ワーク表面に強固なベンゾトリアゾールの皮膜を形成することができ、ワーク表面の変色をより一層抑制することができる。
本発明の再生処理方法による効果を確認するため、供試品(テストピース)を用いて以下の評価試験1〜4を行った。評価試験1〜3までに共通の供試品としてBi−Se系青銅合金からなる砂型鋳物を用い、その組成をSn4.0質量%、Zn8.5質量%、Bi1.3質量%、Se0.1質量%、残部Cu及び不可避不純物とした。また、この供試品表面には、予めJIS Z2371 塩水噴霧120時間暴露処理にて、模擬的に錆を発生させるものとした。供試品の寸法は、50mm×50mm×7mm(表面積合計6400mm)とした。
(評価試験1)
評価試験1として、本発明の再生処理方法において、化学研磨処理液の濃度を変えて10分間の浸漬処理を行い、合金表面における色彩の均一性及び面粗さを定性評価により評価した。面粗さは、JIS H5120 CAC406製の鋳物製品と同等の面粗さを合格とした。この試験条件及び試験結果を表1に示す。なお、No.1の供試品は、反応が激しすぎたため、処理時間1分30秒にして中断した。
Figure 0004717773
○:合格
△:処理時間の調整により合格可能なレベル
×:不合格
表1より、化学研磨する際の化学研磨処理液(硝酸)の濃度は、20〜30wt%が好ましいという結果が得られた。
(評価試験2)
評価試験2として、評価試験1において好ましい結果が得られた硝酸濃度20〜30wt%の処理液を用いて、処理時間を変えた評価試験を定性評価により行った。この試験条件と試験結果を図3に示す。同図において、均一な色彩や面粗さが得られたものを合格とした。図より、化学研磨処理時における硝酸濃度は20〜27wt%、処理時間は10〜20分の試験条件が好ましく、合金表面において均一な色彩や面粗さが得られることが確認された。
(評価試験3)
評価試験3として、評価試験2において好ましい結果が得られた硝酸濃度20〜30wt%の化学研磨処理液を用い、約100ccの化学研磨処理液に約10分間浸漬した後の、処理液中の金属溶解濃度を定量評価によって測定した。この試験条件及び試験結果を表2及び図4のグラフに示す。
Figure 0004717773
評価試験2において、硝酸濃度が30wt%の場合には、表1、図3に示す通り、合金表面が粗くなっているが、このとき、表2、図4のように、CuやZnの溶解量が多くなっており、従って、合金表面の粗さは、CuやZnの溶解量の多さに起因していることが確認された。
(評価試験4)
評価試験4として、評価試験1〜3とは成分の異なる合金を用いて化学研磨処理を行い、この試験結果を検証した。このときの試験条件は、評価試験3と同様とした。なお、この試験における供試品は、鋳物製品の切片であるため、この試験結果に示した金属溶解量は、切片の金属溶解量の実測値に対し、「評価試験1〜3にて用いた供試品の表面積」と「切片の表面積」との面積比を乗じて、本評価試験における供試品の金属溶解量に換算したものである。
このときの銅合金製材は、Bi系鉛レス青銅合金からなる砂型鋳物とし、その組成をSn4.6質量%、Zn5.9質量%、Bi1.7質量%、残部Cu及び不可避不純物とした。このときの処理条件及び試験結果を表3に示す。
Figure 0004717773
また、別の成分の合金として、Bi−Se系鉛レス青銅合金からなる砂型鋳物(組成:Sn4.2質量%、Zn5.7質量%、Bi1.8質量%、Se0.2質量%、残部Cu及び不可避不純物)を用いて同様に試験を行った。このときの処理条件及び試験結果を表4に示す。
Figure 0004717773
評価試験4の結果より、表3、4のいずれの場合においても評価試験3と同様の結果が得られた。すなわち、硝酸濃度30wt%による処理では、CuやZnの溶解量が多くなるという結果が認められる。
以上の評価試験1〜4までの結果により、Bi系又はBi−Se系鉛レス青銅合金において、硝酸濃度20〜27wt%の処理により、合金表面において均一な色彩や面粗さが得られることが確認された。また、このときの処理時間は、10〜20分である場合に適切に研磨処理が行われることが確認された。
これにより、本発明における銅合金製材の再生処理方法は、化学研磨処理時の硝酸濃度が20〜27wt%、処理時間が10〜20分が最も望ましいことが証明された。
ここで、処理液の温度について述べる。本発明の再生処理方法における化学研磨処理は、激しい発熱反応を伴うことがあり、例えば、上記評価試験においては、常温(約23℃)にて処理を開始したときに、処理中には約50℃付近まで昇温する結果となった。しかし、評価試験の結果より、化学研磨処理は、処理温度に対する依存性がないことが分かったため、例えば、処理作業環境の温度が低くても、処理性能への影響は少なくなる。なお、処理温度が50℃を越える場合には、処理液の揮発が進んで作業環境に悪影響を及ぼすことがあるため、処理液の温度が常温〜50℃までとなるようにするのが好ましい。
次に、本発明の再生処理方法の上記実施例において、化学研磨処理が行われるときのメカニズムを、電位とpHの関係、及び、反応時の化学式からの観点からそれぞれ説明する。
(1)電位−pHの関係からの考察
硝酸は、鉛含有青銅合金(例えば、JIS H5120 CAC406等)の表面からPbを除去する成分として知られている(例えば、特許第3345569に記載されている。)。硝酸によりこの鉛含有青銅合金を化学研磨処理しようとすると、図5の電位−pHの関係に示すように、Pbは、Cuに対して電位が低いことから、硝酸(pH:1)は、Pb、CuのうちPb(またはPb2+)を選択的に溶解する。
一方、本発明における水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法の対象であるBi系またはBi−Se系鉛レス青銅合金は、Pbの代替成分としてBiを含有しており、硝酸による化学研磨処理時には、図2に示すように、このBiはCuに極めて近い電位を有していることから、硝酸はCuとBiとを略同様に溶解する。
従って、硝酸からなる化学研磨処理液を用いた処理を行うことにより、均一な銅褐色の表面を有する銅合金製材が得られる。
(2)化学式からの考察
上記実施例における化学研磨処理時における反応の化学式は、以下のように示される。
硝酸の酸化力による反応式:2HNO→HO+2NO+(O)・・・(A)
酸化銅の生成による反応式:Cu+(O)→CuO・・・(B)
中和反応式:Cu+2HNO→Cu(NO)+HO・・・(C)
なお、(O)は、活性酸素を示している。
この反応をマクロ的にみた場合、合金表面においては、上記の(A)+(B)+(C)の合算反応が一度に進んでいる。
従って、合金表面では、(A)+(B)+(C)により、
Cu+4HNO→Cu(NO)+2HO+2NO↑(赤褐色)・・・(D)
の反応が起こっている。
(D)の式では、理論上、赤褐色の反応発生ガスである2NOを生じる反応を示しており、本実施例の試験結果でも、30wt%硝酸による処理において、上記ガスの発生が確認されている。
一方、27wt%硝酸による試験では、上記ガスは確認できなかったことから、この場合には、希硝酸と銅との反応である、以下の(E)の式による反応が生じたものと考えられる。
3Cu+8HNO→3Cu(NO)+2HO+2NO↑(無色)・・・(E)
従って、本発明に係る化学研磨処理においては、反応ガスの色彩有無が、硝酸濃度の適切さを判断する一手段と成り得ることが推察される。
本発明における水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法は、例えば、バルブ、継手、管、水栓、給水・給湯用品等の水接触製品を再生したり、ガス器具、洗濯機、空調機等の電気・機械製品を構成する器材を再生したりするのに適している。その他、本発明の水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法に好適な部材・部品は、特に、バルブや水栓等の水接触部品、即ち、ボールバルブ、ボールバルブ中の空用ボール、バタフライバルブ、ゲートバルブ、グローブバルブ、チェックバルブ、給水栓、給湯器や温水洗浄便座等の取付金具、給水管、接続管及び管継手、冷媒管、電気温水器部品(ケーシング、ガスノズル、ポンプ部品、バーナなど)、ストレーナ、水道メータ用部品、水中下水道用部品、排水プラグ、エルボ管、ベローズ、便器用接続フランジ、スピンドル、ジョイント、ヘッダー、分岐栓、ホースニップル、水栓付属金具、止水栓、給排水配水栓用品、衛生陶器金具、シャワー用ホースの接続金具、ガス器具、ドアやノブ等の建材、家電製品、サヤ管ヘッダー用アダプタ、自動車クーラー部品、釣り具部品、顕微鏡部品、水道メーター部品、計量器部品、鉄道パンタグラフ部品、その他の部材・部品に広く応用することができる。更には、トイレ用品、台所用品、浴室品、洗面所用品、家具部品、居間用品、スプリンクラー用部品、ドア部品、門部品、自動販売機部品、洗濯機部品、空調機部品、ガス溶接機用部品、熱交換器用部品、太陽熱温水器部品、金型及びその部品、ベアリング、歯車、建設機械用部品、鉄道車両用部品、輸送機器用部品、素材、中間品、最終製品及び組立体等の部品にも広く適用できる。
銅合金製材を処理する工程の一例を示すフローチャートである。 合金の表面状態を示す説明図である。 評価試験2における試験条件と試験結果を示した説明図である。 評価試験3における試験条件と試験結果を示したグラフである。 電位とpHの関係を示したグラフである。

Claims (4)

  1. Bi又はBi−Seを含有する銅合金製材を、硝酸濃度が20〜27wt%、及び残部が水からなる水溶液に10〜20分の間の処理時間で、かつ、常温から50℃までの処理温度の範囲内で浸漬して化学研磨処理を施すことにより、前記銅合金製材表面のCuとBiを溶解して均一な銅合金製材表面を再生するようにしたことを特徴とする水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法。
  2. 前記硝酸濃度を25〜27wt%とした請求項1に記載の水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法。
  3. 前記銅合金製材の化学研磨処理後に、硝酸0.5〜7wt%と塩酸0.05〜0.7wt%を含む混酸溶液に浸漬させる処理を施した請求項1又は2に記載の水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法。
  4. 前記銅合金製材の前記混酸溶液浸漬処理後に、この銅合金製材の表面に防食性を有する被膜を形成する処理を施した請求項3に記載の水道メータなどの銅合金製材の再生処理方法。
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