JP4716986B2 - 溶解しているポリマーの回収方法 - Google Patents
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Description
このようにして、Solvay名義の特許出願WO 01/23463及びWO 01/70865号明細書は、溶媒(MEK又はメチルエチルケトン)における溶解、及び蒸気形態(溶媒の蒸発を引き起こす)及び液体形態(ポリマーの沈殿を促進させる)の両方の非溶媒(水)による沈殿によってプラスチック(PVC又はPVDC)を再利用する方法を記載している。この方法は高いエネルギー費用を必要とし、用いられる蒸気の量と関連している。
言い換えれば、本出願人は、注入蒸気が、実際は相反転中又は後にのみ、ポリマー粒子の形態において肯定的な効果を有し、従って非溶媒がこの段階よりも前に蒸気形態であるのは有用でないことを見出した。
従って、本発明は、溶液に徐々に導入されて沈殿媒体を形成する非溶媒を用いる沈殿によって、溶媒に溶解している少なくとも1種のポリマーを回収する方法であって:
-沈殿媒体への非溶媒の導入過程中に、まず相分離(ポリマーの溶解している溶媒にリッチな連続相、及び非溶媒にリッチな液滴からなる分散相に分かれる)が起こり、続いて相反転(連続相が非溶媒にリッチな相になり、分散相が溶解しているポリマーを含む溶媒にリッチな相になる)が起こり、
-非溶媒が最初に、液体形態のみで、且つゼロではないが相反転を引き起こすのに必要な量(Q)よりも少ない量(Q')で沈殿媒体に導入され、続いて少なくとも部分的に蒸気形態で沈殿媒体に導入される、
方法を提供する。
本発明の方法で回収が標的とされるポリマーは、どのような種類のものでもよい。それは、熱可塑性樹脂又はエラストマーでもよいが、どのような場合でも、溶媒に溶解することができ、従ってわずかな架橋結合を含むか又は全く含まない樹脂である。それは、可能な顆粒化を除くの全ての溶融形成を経験していない未使用の(又は新鮮な)樹脂、又は使用済み樹脂(生産廃棄物又は再利用樹脂)でもよい。それは、無極性ポリマー、例えばポリオレフィン、特にエチレンポリマー(PE)又はプロピレンポリマー(PP)でもよい。それはさらに、極性ポリマー、例えばハロゲン化ポリマー、特に塩化ビニルポリマー(PVC)、塩化ビニリデンポリマー(PVDC)又はフッ化ビニリデンポリマー(PVDF)など;又はEVOHポリマー(エチレン及びビニルアルコールのコポリマー)でもよい。それはさらに、同じ種類又は異なる種類の少なくとも2種のそのようなポリマーの混合物でもよい。良好な結果が、極性ポリマー、特にハロゲン化極性ポリマー、さらに特にPVCで得られた。PVCによって、少なくとも50質量%の塩化ビニルを含む任意のホモポリマー又はコポリマーが意味される。
本発明の方法で処理することのできる溶液は、それらの粘度が本方法の適切な進行を妨げないようなポリマー濃度を有する(特に、非溶媒が沈殿媒体に徐々に混合及び/又は分散できることにより、その2種が相互作用することができ、且つその沈殿が効果的に行われることができることが必要である)。非溶媒が初めから蒸気形態で溶液に加えられる(従って、溶媒が蒸発するのを引き起こす)場合の方法では、本発明の方法が、溶媒の蒸発が少ないために、溶液におけるポリマーのより高い濃度で作用するのを可能にする。従って、本発明の方法では、溶媒1リットル当たり100g以上、おそらくは200g/L以上、時にさらに300g/L以上のポリマー含有量と作用するのが可能である。しかし、この含有量は一般的に500g/L、又はさらに400g/Lを超えない。溶液への非溶媒の添加中における少なくとも1種の分散剤の存在が、一般的に溶液における非溶媒の混合/分散を促進させ、従って、一般的により濃縮されたポリマー溶液と作用するのを可能にすることに注目すべきである。分散剤は、別の相の連続層における分散相(液滴又は固体粒子のいずれで形成されていてもよい)の分散を促進させる物質である。前記物質は、一般的に2相間の界面で作用し、分散相の凝集を妨げる(言い換えれば、微細及び規則的な分散の製造を促進させる)。
液体形態の非溶媒の量Q'が導入される速度は、得られるポリマー粒子のASG/平均直径比に影響を及ぼす。良好な結果が得られたのは、導入時間が10分又はさらに数十分以上のときである。
溶媒及び非溶媒が共沸混合物を形成するときは、蒸気形態で導入される非溶媒の全量が、好ましくは溶媒の共沸蒸留を可能にするのに十分なことである。特に好ましいのは、この量が、沈殿後に溶媒を実質的に含まない媒体をなすのに十分なことである。この作用方法は、非溶媒が水の場合に特に有利である。
沈殿媒体に導入された非溶媒(液体又は蒸気形態のいずれか)が、溶媒の少量のフラクション(質量)を含み得るのは有害ではない。これは、(特に再利用方法として以下に設定される)本方法の可能な下流工程が特に非溶媒のそのような供給源を提供し得る限りでは有益であり、従って特別な精製をせずに再利用することができる。従って、非溶媒が水であるときは、“水”は実際には、大部分の質量フラクションの水(従って、50質量%よりも多い、さらに60質量%よりも多い、及び好ましくは70質量%よりも多い水を含む)を有する水性媒体を意味する。それは好ましくは、純水又は少量の質量フラクションの溶媒を含む水である。
一つの特に有利な実施態様では、これらの分散剤が導入される時期が、沈殿の進行の関数として最適化される。従って、非溶媒に対して高い親和力を有する分散剤(分散剤I)が、主に相反転の前に沈殿媒体に加えられるのが有利である。この目的のために、前記分散剤が、非溶媒が導入される前に溶液に存在するか、又は最初に導入される液体非溶媒によって導入されてもよい。
溶媒に対して高い親和力を有する分散剤(分散剤II)が、主に相反転の後に沈殿媒体に加えられるのも同様に有利である。分散剤導入の様式及び時期の最適化は、粒子のASG/平均直径比を最適化し、従って小さな粒子の緻密な粉末を得るのを可能にする。
懸濁液に存在するポリマー粒子は、任意の適切な方法:熱的(任意に共沸蒸留による溶媒の蒸発:上記参照)、機械的(濾過、遠心分離など)又は混成形態(例えば微粒化)で集められる。温度-感受性ポリマー(例えばPVDCなど)の場合、機械的方法が好ましい。続いて、集められた粒子は、保存、販売及び/又は使用の前に、洗浄、乾燥及び任意に知られた方法によって処理されてもよい。
本発明に適用されるポリマー溶液は、任意の好適な方法によって得られてもよい。しかし、溶媒におけるポリマーの溶解は、一般的に少なくとも大気圧と同等又はさらに少なくとも1.5barと同等の圧力下で起こる。有利には、この圧力は、10bar、好ましくは5barを超えない。
溶解温度は、一般的に少なくとも75℃又はさらに少なくとも100℃であり;一般的に125℃又は110℃を超えない。
ポリマーの溶解中又は後であるが、沈殿の前に、1種以上の添加物を溶液に加えることが可能である。本発明のこの実施態様の目的のための添加物は、最初のプラスチックに存在しない、又は望ましい量よりも低い量で存在する任意の有機又は無機化合物である。可能な無機添加物は、無機顔料、カーボンブラック、金属粉末、種々のナノ粒子などを含む。可能な有機添加物は、有機顔料、安定剤、オリゴマー、可塑剤などを含む。
a)必要に応じて、その物品を平均サイズ1cm〜50cmの破片に細断し、
b)その物品又は物品の破片を、ポリマーを溶解することのできる溶媒と接触させ、
c)溶解しているポリマーを、上記の方法を用いて回収する、
ことによる方法を提供する。
当該物品は、任意の形態(シート、プレート、チューブなど)の単層又は多層固形物でもよい。それらは、いくつかのポリマー(続いて、その1種のみが一般的に、選択的に溶解されるが、その物品を同様に合金の製造のために用いてもよい)、及びさらに溶液が上記の方法で処理される前に続いて除去される非ポリマー材料(補強セメント、固定剤など)を含んでいてもよい。
この種の再利用方法は、PVCを含む物品にうまく適用される。
この方法では、粒子形態のPVC(1)及び主にMEKを含む溶媒(2)が、溶解工程(D)に導入される。これはPVC溶液(3)を与え、これは沈殿工程(P)に、主に水を含む非溶媒(4)と共に導入される。この非溶媒は、沈殿工程(P)に、まずは単独の液体形態(4')で、及び続いて気化(V)によって蒸気形態(4”)で導入される。流量(4')を計算して、沈殿(P)に、相反転を引き起こすのに必要な量Qよりも少ないQ'の量の水を注入する。流量(4”)を計算して、PVCの完全な沈殿及び共沸蒸留によって沈殿媒体からのMEKの完全な除去を可能にする。沈殿工程(P)の終わりに、存在する媒体は:
-一方で、固体/液体分離(S)に付され、PVCの粒子(6)及び水(7)を与える水のPVC懸濁液(5)、
-他方で、水/MEKの共沸蒸留から得られた蒸気(8)、
を含む。
水リッチ相(12)は、分離工程(S)から得られた水(7)及びデカンテーション(D1)から得られた水リッチ相(9)と組み合わされることにより、沈殿(P)に用いられる水流(4)を形成する。MEKリッチ相(13)を蒸留(DST)に付し、これは一方でデカンテーション(D2)に再循環されるヘキサン(11)を再生し、他方でここでは数%以下の水及びヘキサンを含み、且つ溶解(D)に用いられる溶媒(2)を構成するMEKを得ることができる。この溶媒が少量のヘキサンを含むことは、このヘキサンが沈殿工程(P)に存在するが、相反転の前に媒体から除去されるために問題とならない(液体の水の量Q'は、相反転に必要とされる水の量Qよりも少ないため、この量Qは、ヘキサン、水/MEK/ヘキサン混合物であるさらなる揮発性化合物を蒸発させる効果を有する蒸気の注入によって達成される)。
-ポリマー溶液を蒸留することが、得られるポリマー粒子の形態に影響を与え得る、
-サイクル時間(一つのバッチの持続時間)が、溶媒緩衝液の使用が可能でないために延長される、
ために利点が減る。
この第一の変形の利点は、より一般的には上記の任意の再循環方法に、それが相分離剤の(少なくとも一部の)存在下におけるデカンテーションによって溶媒及び非溶媒の少なくとも部分的な再生によって閉ループで作動し、その相分離剤が非溶媒よりも溶媒に対してより高い親和力を有し、及びそれがポリマーが溶解する前に溶媒から実質的に除去されるという条件のもとで、拡張されてもよい。“実質的に除去される”によって、相分離剤のせいぜい数%(質量)が溶媒及び/非溶媒に残されていてもよいことが意味される。
予備テスト:量Qの決定
液体の水を、種々の濃度、温度及び圧力でPVC溶液に徐々に加え、水の量が用いられるMEKの量にほぼ等しい(体積)ときに、各場合において相分離が起こるのを観察した。
参考例R1及び例2〜4(本発明に基づく)
これらの各テストにおいて、333gの可塑化されているPVC(DOP(ジオクチルフタレート)が25質量%であるKw71のPVC)を、純粋形態のMEK(M)又はMEK、水及びヘキサンを標的濃度の関数(以下の表参照)である量で含む溶媒(MWH)のいずれかである所定量の溶媒(S)に溶解させた(1時間、75℃、大気圧下、250回転/分で螺旋状攪拌機を回転させた)。
続いて、これらの溶液50〜55℃にし、圧力を600mbarまで減らし、及び液体の水を所定量(Q'<Q)、及び所定の導入時間(t)で導入した。その後、蒸気を3.6kg/時間の速度、少なくともPVCの全沈殿を引き起こすのに十分な量(Q'')で注入した。
溶媒を、再利用のために濃縮によって回収した。集められたPVC化合物を、水に懸濁させた。それを125μmの金属濾過器で濾過し、続いて真空下(0.2bar)、80℃で5時間オーブンで乾燥した。続いて、沈殿したPVC化合物の粉末を、用いる前に1mmのふるいにかけ、その後、そのASG及びその平均直径を測定し、得られたPVC粒子の質の指標を構成するASG/平均直径比を計算した。
これらのテストの詳細及び得られた結果を、表1に与える。
それによって:
-参照例R1よりも有意に少ない量の蒸気を注入したにも関わらず、本発明に基づく例は、類似又はさらに高い質の粒子を得るのを可能にする、
-最初の液体に対する10分程度の導入時間が、2分間よりも優れた質を有する粒子を得るのを可能にする(例2と比較した例3)、
ことが認められる。
例1〜4の方法を繰り返したが、溶解されたPVCの量を大量に変化させたことにより、表1に特集されている質量濃度を与え、これはさらにテスト及び得られた結果の詳細も含む。
テスト7では、より少ない可塑化されているPVCを用いた(DOPの20質量%を含むKw71のPVC)。
それによって:
-可塑剤の濃度の増加は、得られたPVC粒子の質に悪影響を与える(例7と比較した例6)、
-相反転時におけるヘキサンの存在がさらに、得られたPVC粒子の質に悪影響を与える(例5と比較した例8)、
ことが認められる。
2 溶媒
3 PVC溶液
4 非溶媒
4' 液体形態
4” 蒸気形態
5 PVC懸濁液
6 PVCの粒子
7 水
8 水/MEKの共沸蒸留から得られた蒸気
8' 不安定な液体
9 水リッチ相
10 MEKリッチ相
11 ヘキサン
12 水リッチ相
13 MEKリッチ相
D 溶解工程
P 沈殿工程
S 固体/液体分離
C 凝縮
D1 デカンテーション
D2 デカンテーション
DST 蒸留
Claims (10)
- 非溶媒を徐々に溶液に導入して沈殿媒体を形成することによる沈殿によって溶媒に溶解している少なくとも1種のポリマーを回収する方法であって:
-沈殿媒体への非溶媒の導入過程中に、まず相分離(ポリマーの溶解している溶媒にリッチな連続相、及び非溶媒にリッチな液滴からなる分散相に分かれる)が起こり、続いて相反転(連続相が非溶媒にリッチな相になり、分散相が溶解しているポリマーを含む溶媒にリッチな相になる)が起こり、
-非溶媒が最初に、液体形態のみで、且つゼロではないが相反転を引き起こすのに必要な量(Q)よりも少ない量(Q')で沈殿媒体に導入され、続いて少なくとも部分的に蒸気形態で沈殿媒体に導入される
ことを含み、
-相分離剤が沈殿媒体において使用される場合は、沈殿されるべきポリマーの溶液が相反転のときに実質的に相分離剤を含んでおらず、
-該ポリマーがハロゲン化ポリマーであって、該溶媒が、溶解されるポリマーの溶解パラメーターから6単位よりも多くは異ならない溶解パラメーターを有し、及び該非溶媒が、該溶解されるポリマーの溶解パラメーターから6単位よりも多く異なる溶解パラメーターを有する、
方法。 - ポリマーがPVCであり、溶媒がMEK(メチルエチルケトン)であり、及び非溶媒が水である、請求項1記載の方法。
- 量Q'が、量Qの50体積%以上である、請求項1又は2記載の方法。
- 沈殿媒体への量Q'の導入時間が、10分以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 量Q'が沈殿媒体に導入された後に、沈殿媒体に導入される全ての非溶媒が、蒸気形態である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 溶媒及び非溶媒が共沸混合物を形成し、且つ蒸気形態で導入される非溶媒の全量が溶媒の共沸蒸留を可能にするのに十分である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 沈殿媒体が2種の異なる分散剤を含み、当該2種の分散剤の一方(分散剤I)が非溶媒に対してより高い親和力を有し、他方(分散剤II)が溶媒に対してより高い親和力を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも1種のポリマーに基づく少なくとも1種の物品を再利用する方法であって、
a)必要に応じて、その物品を平均サイズ1cm〜50cmの破片に細断し、
b)その物品又は物品の破片を、ポリマーを溶解することのできる溶媒と接触させ、
c)溶解しているポリマーを、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法を用いて回収する、
方法。 - 前記方法が、溶媒及び非溶媒がデカンテーションによって少なくとも一部再生される閉ループ方法であり、且つ相分離剤が前記デカンテーション中に少なくとも一部に存在するが、ポリマーの沈殿中には実質的に存在しない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 相分離剤が、非溶媒よりも溶媒に対してより高い親和力を有し、且つそれがポリマーが溶解される前に再生された溶媒から実質的に除去される、請求項9記載の方法。
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