JP4715306B2 - ストリーム制御装置、ストリーム再生方法、映像記録再生システム - Google Patents

ストリーム制御装置、ストリーム再生方法、映像記録再生システム Download PDF

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Description

本発明は、たとえばMPEGなど映像と音声とが多重化されたパケット単位のストリームを制御するためのストリーム制御装置、ストリーム再生方法、映像記録再生システムに関する。
昨今のデータ通信ネットワークの普及に伴い、家庭内においても家電機器やコンピュータ、その他の周辺機器をネットワーク接続し、各機器間での通信を可能とした、いわゆるホームネットワークが浸透しつつある。ホームネットワークは、ネットワーク接続機器間で通信を行なうことにより各機器のデータ処理機能を共有することを可能とするものである。ネットワーク接続機器間のコンテンツ送受信等、ユーザに利便性・快適性を提供するものであり、今後、ますます普及することが予測される。
ホームネットワークでは、たとえば映像コンテンツをMPEGによるトランスポートストリーム(以下、ストリームと称する)形式で、イーサネット(登録商標)コントローラあるいはIEEE802.11に準拠した無線コントローラにより取得し、取得したストリームをHDD(Hard Disk Drive)や光ディスク等のメディアや蓄積サーバに格納する。そして、TVセットなどの再生装置側からの要求に応じて、メディアや蓄積サーバからサーバ再生装置へストリームの配信がなされる。そして、再生装置では、受信したストリームをデコードして映像および音声の再生を行う。
その際に、たとえば蓄積サーバのストリーム送出能力、ネットワークの帯域、再生装置のデコード処理能力等の制限から、高速な早送り再生や巻き戻し再生(逆再生)を、再生装置のデコード部だけで処理することは困難な場合が多い。それゆえ、再生装置側からの要求に応じて再生速度を変更するために、転送するストリームを制御する方式については、様々な提案がなされている。
たとえば、下記特許文献1では、複数のフォーマットに対応してMPEGストリームを早送り再生・スロー再生を行うように構成したストリーム制御方式が提案されている。
特開平9−270994号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたストリーム制御方式では、ストリームを蓄積装置に蓄積するタイミングと、蓄積装置からストリームを読み出すタイミングの両方において、ストリームのフォーマット変換を行い(特許文献1の図1参照)、かつ、複雑なデータ処理を行っている(たとえば特許文献1の図3参照)ことから、比較的大規模な回路構成を必要とする。
本発明は、上述した観点によってなされたものであって、その目的は、小規模な回路構成によって、映像を含むストリームをネットワーク経由で高速再生することを可能とするストリーム制御装置、ストリーム再生方法、映像記録再生システムを提供することにある。
本発明のストリーム制御装置は、Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャを含むパケット単位のストリームの映像を受け入れ、当該ストリームのパケットごとに、ピクチャ種類を含む参照情報を付加する付加手段と、前記参照情報が付加されたストリームをストレージに記録する記録手段と、各パケットに付加された参照情報と、外部から与えられる要求再生速度とに基づいて読出間隔を算出し、パケット間の間隔が少なくとも当該読出間隔となるように、前記ストレージに記録されたストリームの所定の区切りの場所である切断点ごとに、前記ストリームからIピクチャを含むパケットを読み出す読出手段と、前記ストレージから読み出された、Iピクチャを含むパケットのフォーマットを調整し、前記付加手段が受け入れたストリームのパケット構成と同一であってIピクチャのみを含むパケットを生成するフォーマット調整手段と、前記要求再生速度に基づいて、前記ストレージから読み出されたパケットのタイムスタンプを調整するタイムスタンプ調整手段と、逆方向高速再生が要求された場合に、前記ストリームから、前記切断点ごとに一部のストリームを抜き出し、当該抜き出したストリームを逆方向に戻って次のストリームを抜き出す処理を繰り返し、抜き出したストリームに該当する前記Iピクチャを含むパケットを抜き出した順に並べて逆方向ストリームを生成するデータ合成手段と、を備え、逆方向高速再生が要求された場合に、前記タイムスタンプ調整手段は、前記データ合成手段が生成した前記逆方向ストリームのパケット毎にタイムスタンプを調整するストリーム制御装置である。
本発明のストリーム再生方法は、付加手段と、記録手段と、読出手段と、タイムスタンプ調整手段と、フォーマット調整手段と、データ合成手段と、を有するストリーム制御装置のストリーム制御方法であって、前記付加手段が、Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャを含むパケット単位のストリームの映像を受け入れ、当該ストリームのパケットごとに、ピクチャ種類を含む参照情報を付加するステップと、前記記録手段が、前記参照情報が付加されたストリームをストレージに記録するステップと、前記読出手段が、各パケットに付加された参照情報と、外部から与えられる要求再生速度とに基づいて読出間隔を算出し、パケット間の間隔が少なくとも当該読出間隔となるように、前記ストレージに記録されたストリームの所定の区切りの場所である切断点ごとに、前記ストリームからIピクチャを含むパケットを読み出すステップと、前記フォーマット調整手段が、前記読み出したパケットのフォーマットを調整し、前記受け入れたストリームのパケット構成と同一であってIピクチャのみを含むパケットを生成するステップと、前記データ合成手段が、逆方向高速再生が要求された場合に、前記ストリームから、前記切断点ごとに一部のストリームを抜き出し、当該抜き出したストリームを逆方向に戻って次のストリームを抜き出す処理を繰り返し、抜き出したストリームに該当する前記Iピクチャを含むパケットを抜き出した順に並べて逆方向ストリームを生成するステップと、前記タイムスタンプ調整手段は、前記データ合成手段が生成した前記逆方向ストリームのパケット毎に、前記与えられた要求再生速度に応じてタイムスタンプを調整するストリーム再生方法である。
本発明の映像記録再生システムは、Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャを含むパケット単位のストリームの映像を受信する受信装置と、前記受信装置が受信したストリームを記録するストレージと、再生要求に応じて前記ストレージからネットワークを介して転送されるストリームを再生する再生装置と、前記ネットワークを介した前記ストレージと前記再生装置との間のストリームの転送を制御するストリーム制御装置と、を備えた映像記録再生システムであって、前記ストリーム制御装置は、前記受信装置が受信したストリームのパケットごとに、ピクチャ種類を含む参照情報を付加する付加手段と、前記参照情報が付加されたストリームをストレージに記録する記録手段と、各パケットに付加された参照情報と、外部から与えられる要求再生速度とに基づいて読出間隔を算出し、パケット間の間隔が少なくとも当該読出間隔となるように、前記ストレージに記録されたストリームの所定の区切りの場所である切断点ごとに、前記ストリームからIピクチャを含むパケットを読み出す読出手段と、前記ストレージから読み出された、Iピクチャを含むパケットのフォーマットを調整し、前記付加手段が受け入れたストリームのパケット構成と同一であってIピクチャのみを含むパケットを生成するフォーマット調整手段と、前記要求再生速度に基づいて、前記ストレージから読み出されたパケットのタイムスタンプを調整するタイムスタンプ調整手段と、逆方向高速再生が要求された場合に、前記ストリームから、前記切断点ごとに一部のストリームを抜き出し、当該抜き出したストリームを逆方向に戻って次のストリームを抜き出す処理を繰り返し、抜き出したストリームに該当する前記Iピクチャを含むパケットを抜き出した順に並べて逆方向ストリームを生成するデータ合成手段と、を備え、逆方向高速再生が要求された場合に、前記タイムスタンプ調整手段は、前記データ合成手段が生成した前記逆方向ストリームのパケット毎にタイムスタンプを調整する映像記録再生システムである。
本発明によれば、小規模な回路構成によって、映像を含むストリームをネットワーク経由で高速再生することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
図1は、本発明の一実施形態として、映像記録再生システム1のシステム構成を示す図である。
実施形態に係る映像記録再生システム1は、たとえば家庭内でホームネットワークとして構築されるシステムであって、所望の映像コンテンツを外部の映像サーバなどから無線によって取得し、その映像コンテンツを家庭内のユーザが所望のタイミングにおいてTVセットなどで再生できるようにしたシステムである。
図1に、映像記録再生システム1の具体的なシステム構成を示す。
図1に示すように、映像記録再生システム1は、映像録画装置2、ストリーム制御装置3、ストレージとしてのメディア4、再生装置5を含んで構成され、映像録画装置2、ストリーム制御装置3、再生装置5がネットワークで接続されている。
図1において、映像録画装置2は、たとえばIEEE802.11に準拠した無線コントローラを内蔵し、ユーザによって選択された映像コンテンツ(MPEG2ストリーム)を受信するとともに、ストリーム制御装置3を経由して、受信したストリームをメディア4に記録する。
再生装置5は、再生速度(たとえば、通常再生、2倍速再生など)を指定した再生要求をストリーム制御装置3に対して行い、メディア4に記録されたストリームを取得してデコードし、再生(映像表示)する。なお、映像録画装置2と再生装置5は、一体となって構成されていてもよい。
ストレージとしてのメディア4は、HDDや光ディスクなど、ストリームを記録するための媒体、蓄積装置であって、その記録方式は問わない。
ストリーム制御装置3は、再生装置5からの再生要求に応じて、再生装置5に転送すべきストリームを制御する。また、ストリーム制御装置3は、映像録画装置2から転送されたストリームがメディア4に記録される際、後述するように、ストリームの各TSパケットに対して所定の参照データを付加する。
図1に示すように、映像記録再生システム1では、ストリームが記録されたメディア4と、ストリームを再生する再生装置5とがネットワークで接続され、再生対象のストリームが転送されるように構成されているので、メディア4からストリームを送出する能力、ネットワークの帯域、再生装置5のデータ処理能力等の制限を考慮すると、再生装置5側だけで、デコード処理を含む高速な早送り再生(順方向、逆方向)を行うことは難しい。したがって、ストリーム制御装置3は、再生速度に応じて、メディア4に記録されたストリームを再構築、すなわち、メディア4に記録されたストリームのフォーマット整形を行った後に、ストリームを再生装置5に対して送出する。
次に、ストリーム制御装置3について説明する。
図2は、ストリーム制御装置3のブロック構成を示す図である。
図2に示すように、ストリーム制御装置3は、映像録画装置2および再生装置5とネットワークを介したデータ転送を行うための外部インタフェース31と、バッファ32と、情報付加回路33と、バッファ34と、メディア4とネットワークを介したデータ転送を行うためのメディアインタフェース35と、を含んで構成される。
なお、バッファ32,34は、それぞれ、入出力で共通のバッファとなっているが、入力用と出力用とに分離した2つのバッファを有する構成としてもよい。
図2において、情報付加回路33は、映像録画装置2から転送されたストリームを解析し、各TS(Transport Stream)パケットに対して、参照データ(本発明の参照情報)を付加するための回路である。この参照データは、高速再生処理回路36において参照される。
図3は、たとえばMPEG2で規定されるストリームにおいて、参照データが付加されたデータ構成を図解する図であって、(a)はPS(Program Stream)、(b)はパック、(c)はPES(Packetized Elementary Stream)パケット、(d)はTSパケット、(e)は参照データ付きTSパケット、を示す。
図3に示すように、MPEG2では、PESヘッダと、映像のIピクチャ、PピクチャおよびBピクチャのいずれかを含むPESペイロード(以下、PESデータともいう)とからなるPESパケットは、188バイトのTSパケットのうち、TSヘッダおよびアダプテーションフィールド(図では省略)以外のTSデータ部分(TSペイロード)に分割して配置される(図3(c)及び(d)参照)。そして、図3(e)に示すように、その各TSパケットのたとえば先頭に、情報付加回路33によって参照データが付加される。
参照データは、たとえば4バイト程度のデータであって、以下(i)〜(vi)のデータを含む。
(i)音声パケット識別フラグ(第1参照データ)
音声データを含むパケットであるか否かを示す1ビットデータである。
(ii)PESパケット識別フラグ
PESパケットであるか否かを示す1ビットデータである。
(iii)PESの先頭識別フラグ
PESパケットの先頭位置を示す1ビットデータである。
(iv)ピクチャの先頭識別フラグ
ピクチャの先頭位置を示す1ビットデータである。
(v)ピクチャのフレーム番号
ピクチャのフレーム番号を特定するデータである。
(vi)ピクチャの種類(Iピクチャ/Pピクチャ/Bピクチャ)
Iピクチャ/Pピクチャ/Bピクチャのいずれかを特定する2ビットデータである。
かかる参照データ付きストリームが、バッファ34およびメディアインタフェース35を介して、メディア4に記録される。
なお、上述したようにTSパケットごとに参照データを付加するのではなく、ストリーム本体とは別に、参照データの内容を記述した参照ファイルをストリームと関連付けてメディア4に記録するようにしてもよい。
図2に戻る。
高速再生処理回路36は、再生要求に応じて、メディア4に格納される参照データ付きストリームをPESパケット単位で読み出し、以下の処理を行う。
すなわち、高速再生処理回路36は、
(I)参照データに基づいて、Iピクチャを含むPESパケットのみを読み出す。
(II)読み出されたTSパケットのタイムスタンプ(時刻情報)を、要求された再生速度に応じて変更する。
(III)Iピクチャ以外のピクチャを除去し、かつ、通常のストリーム構成(映像録画装置2から転送されたストリームと同一の構成)となるように、TSパケットのフォーマット整形を行う。
なお、再生装置5からの再生要求が高速再生でない、すなわち、通常速度の再生が要求されている場合には、高速再生処理回路36は、メディア4から読み出したストリームに対して、各TSパケットに付加された参照データを単に除去するだけで(タイムスタンプを変えずに)、そのストリームを再生装置5に供給する。
次に、高速再生処理回路36の具体的構成について説明する。
図4は、高速再生処理回路36の構成を示すブロック図である。図4に示すように、高速再生処理回路36は、参照データ解析部361、遅延回路(D)362、時刻調整部363、データ分離部364、フォーマット整形部365、データ合成部366を含む。
参照データ解析部361は、メディア4からPESパケット単位のデータS4を読み出すとともに、データS4の各TSパケットに付加された参照データを解析して、Iピクチャを含むPESパケットであるデータS361を抽出して出力する。すなわち、参照データに含まれるPESパケット識別フラグ、PESの先頭識別フラグに基づいて、PESパケット単位の読み出しを行い、ピクチャの先頭識別フラグ、ピクチャの種類に基づいてIピクチャを含むPESパケットのみの抽出を行う。
再生速度に応じた、ピクチャの抽出間隔(本発明の読出間隔)は、以下のようにして算出する。
まず、映像録画装置2でストリームを受信・処理する際に、以下のBR,PS,FRを計測しておく。
BR:オリジナルストリームのビットレート[bps]
PS:オリジナルストリームに含まれる最大のピクチャのサイズ[byte]
FR:オリジナルストリームのフレームレート[frame/sec]
そして、高速再生処理回路36では、高速再生時のフレームレートHFRを下記(1)式のように算出する。
HFR=BR/8/PS[frame/sec] …(1)
さらに、
r:再生速度(たとえば、2倍速のとき2、10倍速のとき10)
とすると、高速再生時のフレーム間隔FDは下記(2)式のように算出する。
FD=FR×r/HFR …(2)
たとえば、FD=10と算出された場合には、Iピクチャを1個選択したらその後の9個のピクチャを飛ばし、その後に現れる最初のIピクチャを選択する。
なお、上記のビットレートBRを計測するのではなく、再生装置5から高速再生時の最大ビットレートMBRを取得し、ビットレートBRに代えて演算するようにしてもよい。たとえば、最大ビットレートMBRは、再生装置5でデコード可能な最大ビットレートと、映像記録再生システム1のネットワーク上で安定して転送できるビットレートとから決定されるようにする。
なお、高速映像再生の場合には、音声データの高速再生は必須でないので、参照データ解析部361は、参照データ内の音声パケット識別フラグ(第1参照データ)を参照し、音声データを含むTSパケットを除去して、ストリームを出力するようにしてもよい。
また、参照データ解析部361は、それぞれ、時刻調整部363およびデータ分離部364を制御するための制御信号C363およびC364を生成する。
遅延回路362は、参照データ解析部361の出力データS361に対して、1TSパケット分の遅延を行う。
時刻調整部363は、制御信号C363が与えられるタイミングに応じて、制御信号C361に基づいて、連続するTSパケット、すなわち、データS361およびS362のタイムスタンプを用いて所定の演算を行い、各TSパケットのタイムスタンプを変更する。なお、変更対象のタイムスタンプは、MPEG2の場合、PCR(Program Clock Reference)、DTS(Decoding Time Stamp)、PTS(Presentation Time Stamp)である。
タイムスタンプの変更(調整)は以下のように行う。
すなわち、
r:再生装置5から指示される再生速度、
(たとえば、2倍速のときr=2、10倍速のときr=10)、
t(n):オリジナル映像ストリームでn番目に現れたタイムスタンプ、
T(n):高速再生映像ストリームでn番目に送出するタイムスタンプ
とすると、T(n)は、以下式(3)〜(6)のように演算して求める。
T(1)=t(1)(初期化) …(3)
p(1)=0(初期化) …(4)
T(n)=T(n-1)+(t(n)-t(n-1)+p(n-1))/r (n≧2) …(5)
p(n)=(t(n)-t(n-1)+p(n-1))%r (n≧2) …(6)
なお、p(n)は、連続するt(n)の差分をrで除した余りが誤差として積みあがらないようにするために(余り分を吸収するために)設定されているが、若干の誤差がシステム上許容できれば、p(n)=0と仮定して演算を簡略化し、回路規模・処理負荷を低減させることができる。
データ分離部364は、フォーマット整形の前処理として、PESパケット識別フラグに応じた制御信号C364に基づいて、PESパケットのデータと、PESパケット以外のデータとを分離する。
フォーマット整形部365は、分離されたPESパケットのデータに対して、TSパケット単位のフォーマット整形を行う。すなわち、参照データ解析部361では、Iピクチャを含むPESパケットのみを抽出しているため、TSパケットの正規の構成がくずれたフォーマットとなっている。したがって、再生装置5側で適切にストリームを認識してデコードを行うことができるように、フォーマット整形を行う。
図5は、フォーマット整形部365で行われるフォーマット整形を模式的に表した図であり、(a)は、フォーマット整形を行う前のTSパケット(最初および2個目)のデータ構成、(b)は、フォーマット整形を行った後のTSパケット(最初および2個目)のデータ構成、をそれぞれ示す。
図5に示すように、フォーマット整形部365は、フォーマット整形前のストリームには、たとえば不要なピクチャ(Bピクチャ、Pピクチャ)であるデータD3,D4がPESデータ(PESペイロード)に含まれ、最初のTSパケットにデータD3が、2個目のTSパケットにデータD4が配置されている。なお、データD2,D5は、Iピクチャのデータである。
かかる場合には、不要なピクチャであるデータD3,D4を除去し、後にあるデータD5を詰める処理を行うことで、正規のTSパケット構成を維持する。なお、最後のTSパケットのペイロードの一部にデータがない場合には、パディング処理を行うようにする。
図4に戻る。
データ合成部366は、フォーマット整形部365によりフォーマット整形されたPESパケットと、データ分離部364から供給されるPES以外のデータとを合成して、ストリームを生成する。この生成されたストリームは、映像録画装置2が受信したストリームと同一フォーマットとなっており、時間情報(タイムスタンプ)が再生速度に応じて調整されたものである。
この新たに構築されたストリームが、バッファ32および外部インタフェース31を介して、再生装置5へ転送される。
次に、映像記録再生システム1の動作を説明する。
映像録画装置2で受信した映像ストリームは、システム内のネットワークを介して、メディア4に転送・格納される際に、ストリーム制御装置3の情報付加回路33において、TSパケットごとに、高速再生用の参照データが付加される。
そして、再生装置5から再生速度が指定された再生要求を受けると、ストリーム制御装置3は、通常再生の要求の場合には、メディア4に格納されたストリームから参照データを除去して、再生装置5に転送し、高速再生の要求の場合には、以下の処理を行う。
先ず、参照データ解析部361において、参照データに含まれるPESパケット識別フラグ、PESの先頭識別フラグに基づいて、PESパケット単位の読み出しを行い、ピクチャの先頭識別フラグ、ピクチャの種類に基づいてIピクチャを含むPESパケットのみの抽出を行う。
次に、時刻調整部363において、抽出されたPESパケットを構成する各TSパケットのタイムスタンプが、指定された再生速度に応じて調整される。さらに、データ分離部364において、PESパケット識別フラグに基づいて、PESパケットのデータと、PESパケット以外のデータとが分離される。フォーマット整形部365では、分離されたデータのうちPESパケットのデータは、Bピクチャ、Pピクチャなど高速再生に不要なピクチャは、除去されるとともに、その不要なピクチャに割り当てられていたペイロード部を後続のIピクチャによって詰めていくことで、正規のTSパケット構成を維持するためのフォーマット整形がなされる。
フォーマット整形がなされたPESパケットは、分離されたPESパケット以外のデータと再び合成されて、再生装置5に転送される。
再生装置5では、転送されたストリームをデコードして再生する。転送されたストリームは、正規のパケット構成となっており、かつ、指示した再生速度に応じたタイムスタンプとなっているので、再生装置5側では、特別な処理を行う必要は一切ない。
以上説明したように、本実施形態に係る映像記録再生システム1によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、映像コンテンツを格納するメディア4と、映像コンテンツを再生する再生装置5との間がネットワークで接続されている場合に、ネットワークに流すストリーム形式(TSパケット構成)は、通常再生および高速再生の両方の場合で共通しており、かつ、高速再生の場合にはIピクチャのデータのみとなり転送データ量が抑制されるため、ネットワークに対して過剰な帯域を確保する必要がない。特に、メディア4と再生装置5とがネットワークを介して分離している構成で上記効果がある。
また、映像録画装置2や再生装置5側で、高速再生を行うための特別な処理が必要なく、また、特別な映像のデコード/エンコード処理や高度なフォーマット変換を行わないので、小規模な回路構成によって高速再生が実現できる。
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に拘泥せず、当業者であれば、本発明の要旨を変更しない範囲内で様々な改変が可能である。
たとえば、上述の実施形態では、順方向の高速再生について述べたが、逆方向の高速再生の場合にも適用することができる。その際には、タイムスタンプの調整を順方向の場合と異なる処理が必要である。この点について、以下説明する。
図6は、逆方向の高速再生方法を模式的に表した図であって、(a)はオリジナル(メディア4から読み出された時点)のストリーム、(b)は逆方向再生でのストリーム、をそれぞれ示す。図6(b)に示すように、逆方向再生では、先ずオリジナルストリームの一部を抜き出し、次に、オリジナルストリームを逆方向に戻って、そこからまた一部を抜き出す、という処理を繰り返し行うことで、逆方向高速再生用のストリームを生成する。ストリームを抜き出す区切りの場所として、切断点を一定量のTSパケットごとに予め定めておく。
図7は、オリジナルのストリームと逆方向再生時のストリームとのタイムスタンプの対応関係を模式的に表した図である。
なお、図7において、
t(n): オリジナルタイムスタンプ
w(m): ストリーム切断点のオリジナルタイムスタンプ
T(n): 高速再生用タイムスタンプ
W(m): ストリーム切断点の高速再生用タイムスタンプ
であり、
r: 再生速度(たとえば、2倍速のときr=2、10倍速のときr=10)
である。
そして、オリジナルのタイムスタンプt(n),w(m)から、逆方向高速再生用のタイムスタンプT(n),W(m)を以下の式(7)〜(9)によって算出する。
・ストリーム先頭のタイムスタンプの場合
T(1)=t(1),W(1)=w(1)(初期化) …(7)
・ストリーム切断点のTSパケットのタイムスタンプの場合
W(m)=W(m-1)+(w(m-1)-w(m))/r …(8)
・ストリーム切断点以外のTSパケットのタイムスタンプの場合
T(n)=T(n-1)+(t(n)-t(n-1))/r …(9)
なお、上述した計算方法では、タイムスタンプの変更をする時点で、予め計算対象のTSパケットがストリームの切断点であるか否かを判別できることが前提となるが、その判別は、たとえば、参照データ解析部361によってTSパケットを解析し、所定のTSパケット間隔ごとに、ストリームの切断点であるか否かを時刻調整部363に通知する方法や、時刻調整部363において、直前のタイムスタンプと現在のタイムスタンプの差分からストリーム切断点を検出する方法をとればよい。
以上のように、高速再生処理回路36を構成することで、本実施形態の映像記録再生システム1は、逆方向の高速再生処理にも適用することができる。
実施形態に係る映像記録再生システムの具体的なシステム構成を示す図である。 実施形態に係るストリーム制御装置の構成を示すブロック図である。 MPEG2で規定されるストリームにおいて、参照データが付加されたデータ構成を図解する図である。 高速再生処理回路の構成を示すブロック図である。 ストリームのフォーマット整形方法を説明するための図である。 逆方向の高速再生方法を模式的に表した図である。 オリジナルのストリームと逆方向再生時のストリームとのタイムスタンプの対応関係を模式的に表した図である。
符号の説明
1…映像記録再生システム
2…映像録画装置
3…ストリーム制御装置
31…外部インタフェース
32,34…バッファ
33…情報付加回路
35…メディアインタフェース
36…高速再生処理回路
361…参照データ解析部、362…遅延回路、363…時刻調整部
364…データ分離部、365…フォーマット整形部
366…データ合成部
4…メディア
5…再生装置

Claims (5)

  1. Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャを含むパケット単位のストリームの映像を受け入れ、当該ストリームのパケットごとに、ピクチャ種類を含む参照情報を付加する付加手段と、
    前記参照情報が付加されたストリームをストレージに記録する記録手段と、
    各パケットに付加された参照情報と、外部から与えられる要求再生速度とに基づいて読出間隔を算出し、パケット間の間隔が少なくとも当該読出間隔となるように、前記ストレージに記録されたストリームの所定の区切りの場所である切断点ごとに、前記ストリームからIピクチャを含むパケットを読み出す読出手段と、
    前記ストレージから読み出された、Iピクチャを含むパケットのフォーマットを調整し、前記付加手段が受け入れたストリームのパケット構成と同一であってIピクチャのみを含むパケットを生成するフォーマット調整手段と、
    前記要求再生速度に基づいて、前記ストレージから読み出されたパケットのタイムスタンプを調整するタイムスタンプ調整手段と、
    逆方向高速再生が要求された場合に、前記ストリームから、前記切断点ごとに一部のストリームを抜き出し、当該抜き出したストリームを逆方向に戻って次のストリームを抜き出す処理を繰り返し、抜き出したストリームに該当する前記Iピクチャを含むパケットを抜き出した順に並べて逆方向ストリームを生成するデータ合成手段と、
    を備え、
    逆方向高速再生が要求された場合に、前記タイムスタンプ調整手段は、前記データ合成手段が生成した前記逆方向ストリームのパケット毎にタイムスタンプを調整する
    ストリーム制御装置。
  2. 前記要求再生速度が通常速度である場合には、
    前記読出手段は、前記ストレージに記録されたストリームから参照情報を除去して読み出す
    請求項1記載のストリーム制御装置。
  3. 前記参照情報は、音声データを有するパケットであるか否かを示す第1参照データを含み、
    前記読出手段は、当該第1参照データに基づいて音声データを有すると判断したパケットを読み出さない
    請求項1記載のストリーム制御装置。
  4. 付加手段と、記録手段と、読出手段と、タイムスタンプ調整手段と、フォーマット調整手段と、データ合成手段と、を有するストリーム制御装置のストリーム制御方法であって、
    前記付加手段が、Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャを含むパケット単位のストリームの映像を受け入れ、当該ストリームのパケットごとに、ピクチャ種類を含む参照情報を付加するステップと、
    前記記録手段が、前記参照情報が付加されたストリームをストレージに記録するステップと、
    前記読出手段が、各パケットに付加された参照情報と、外部から与えられる要求再生速度とに基づいて読出間隔を算出し、パケット間の間隔が少なくとも当該読出間隔となるように、前記ストレージに記録されたストリームの所定の区切りの場所である切断点ごとに、前記ストリームからIピクチャを含むパケットを読み出すステップと、
    前記フォーマット調整手段が、前記読み出したパケットのフォーマットを調整し、前記受け入れたストリームのパケット構成と同一であってIピクチャのみを含むパケットを生成するステップと、
    前記データ合成手段が、逆方向高速再生が要求された場合に、前記ストリームから、前記切断点ごとに一部のストリームを抜き出し、当該抜き出したストリームを逆方向に戻って次のストリームを抜き出す処理を繰り返し、抜き出したストリームに該当する前記Iピクチャを含むパケットを抜き出した順に並べて逆方向ストリームを生成するステップと、
    前記タイムスタンプ調整手段は、前記データ合成手段が生成した前記逆方向ストリームのパケット毎に、前記与えられた要求再生速度に応じてタイムスタンプを調整する
    ストリーム再生方法。
  5. Iピクチャ、PピクチャおよびBピクチャを含むパケット単位のストリームの映像を受信する受信装置と、前記受信装置が受信したストリームを記録するストレージと、再生要求に応じて前記ストレージからネットワークを介して転送されるストリームを再生する再生装置と、前記ネットワークを介した前記ストレージと前記再生装置との間のストリームの転送を制御するストリーム制御装置と、を備えた映像記録再生システムであって、
    前記ストリーム制御装置は、
    前記受信装置が受信したストリームのパケットごとに、ピクチャ種類を含む参照情報を付加する付加手段と、
    前記参照情報が付加されたストリームをストレージに記録する記録手段と、
    各パケットに付加された参照情報と、外部から与えられる要求再生速度とに基づいて読出間隔を算出し、パケット間の間隔が少なくとも当該読出間隔となるように、前記ストレージに記録されたストリームの所定の区切りの場所である切断点ごとに、前記ストリームからIピクチャを含むパケットを読み出す読出手段と、
    前記ストレージから読み出された、Iピクチャを含むパケットのフォーマットを調整し、前記付加手段が受け入れたストリームのパケット構成と同一であってIピクチャのみを含むパケットを生成するフォーマット調整手段と、
    前記要求再生速度に基づいて、前記ストレージから読み出されたパケットのタイムスタンプを調整するタイムスタンプ調整手段と、
    逆方向高速再生が要求された場合に、前記ストリームから、前記切断点ごとに一部のストリームを抜き出し、当該抜き出したストリームを逆方向に戻って次のストリームを抜き出す処理を繰り返し、抜き出したストリームに該当する前記Iピクチャを含むパケットを抜き出した順に並べて逆方向ストリームを生成するデータ合成手段と、
    を備え、
    逆方向高速再生が要求された場合に、前記タイムスタンプ調整手段は、前記データ合成手段が生成した前記逆方向ストリームのパケット毎にタイムスタンプを調整する
    映像記録再生システム。
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