JP4714392B2 - ミスト潤滑装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油をミスト化(霧化)した状態で被潤滑部に供給するミスト潤滑装置であり、さらに詳しく言えば、潤滑油に高電圧を印加して霧化する静電霧化方式のミスト潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題などに配慮して、潤滑油は使用量を極力少なく抑える傾向にある。その一方で、工作機械は高回転・高出力化が進んだことで、潤滑油には単に軸受部の潤滑機能だけでなく、軸受温度を下げるための冷却機能も必要になってきている。そこで、潤滑方式の1つとして、潤滑油の使用量が少なく、しかも軸受部への冷却効果が高いミスト潤滑方式が使用されている。
【0003】
ミスト潤滑方式とは、潤滑油をミスト化(霧化)した状態で軸受などの被潤滑部に供給する潤滑方式であり、例えばベンチュリノズルを用いて潤滑油をミスト化して、圧縮空気とともに被潤滑部に吹き付けて潤滑する方法が一般的によく知られている。
【0004】
また、特許第3100715号公報には、この応用例としてベンチュリノズルなどの霧化装置によってあらかじめミスト化された潤滑油に高電圧を印加して、帯電させた潤滑油を被潤滑部に供給する噴霧方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの方法においても、ベンチュリノズルおよび同ノズルに圧縮空気を供給するエアポンプなどの霧化装置を必要するため、次のような課題があった。
【0006】
まず、装置自体が大掛かりであり、コストが高い。次に、圧縮空気を使って油霧を移送した場合、その排気処理が問題となる。すなわち、霧化装置によって生成された油霧は、数μm単位の微細な粒子であり、実際に被潤滑部で消費される潤滑油はその内のごくわずかである。したがって、被潤滑部で消費されずに残った油霧は、排気空気に乗って外気に放出されることとなり、工場内環境(作業環境)を悪化させる要因の1つとなっている。また、エアポンプの稼働による消費電力も年間に相当な量になる。
【0007】
さらに、霧化装置によって生成されたミストの粒径は不均一であり、その中でも粒径の大きな潤滑油は配管内に付着して移送通路を塞ぐおそれがあった。そこで、従来では配管経路内に潤滑油が付着しても経路が遮断されないように、配管の引き回しを工夫したり、ドレン機構を設けるなどの潤滑油が滞留しない手段が必要であり、これもコストアップの要因となっている。
【0008】
なお、一般的に用いられている潤滑油を被潤滑部に断続的(間欠的)に供給する分配弁方式の潤滑装置によれば、排気ミストの問題は生じないが、分配弁方式の場合は、1回の吐油量を被潤滑部の安全性(焼付防止)を考慮して実際の消費量よりもかなり多めに設定するようにしているため、上述した被潤滑部の高速化に伴い潤滑油を高頻度で吐出するには、無駄な吐油量(リーク油量)が多く、経済的でない。
【0009】
そこで、本発明は、上述した「環境問題」「低コスト化」および「潤滑油消費量の低減」といった諸般の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、静電気力のみを利用して潤滑油をミスト化し、より環境に配慮し、安価で信頼性のあるミスト潤滑装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明は、潤滑油を貯留するタンクおよびポンプ手段と、上記ポンプ手段より供給される上記タンク内の上記潤滑油を被潤滑部に導く送油管とを含み、上記送油管から吐出される上記潤滑油を霧化した状態で上記被潤滑部に供給するミスト潤滑装置において、上記送油管の吐出口と上記被潤滑部との間に所定の高電圧を印加する直流の高電圧電源を備えており、上記送油管の吐出口を上記被潤滑部の近傍に臨ませ、上記吐出口から吐出される上記潤滑油に対して、上記高電圧電源から所定の高電圧を印加することにより、上記吐出口部分で上記潤滑油を霧化して上記被潤滑部に供給することを特徴としている。
【0011】
これによれば、吐出口から吐出する潤滑油に高電圧を印加することにより、潤滑油に働く静電気力が、重力や表面張力を打ち消すことで、潤滑油が霧化され、従来の霧化装置を持たずとも潤滑油を霧化することができる。
【0012】
潤滑油に高電圧を印加する方法としては、上記送油管内には上記高圧電源の一方の極に接続される電極線が配線されていてもよいし、上記送油管自体が導電性材料からなり、上記高電圧電源の一方の極に接続されていてもよい。これによれば、高電圧の電極線を送油管と一体化することが可能となり、安価で組み立て性がよくなる。
【0013】
より具体的な態様として、上記送油管は、上記潤滑油を複数の上記潤滑部に分配して供給する分配器の2次側の吐出ポートに接続されており、上記分配器には上記高電圧電源が搭載され、上記吐出ポートには、上記送油管を上記高電圧電源に電気的に接続する接続手段が設けられている。これによれば、一度に多数の被潤滑部に潤滑油を供給でき、しかも電気的な接続も同時に行えるため、組み立て性やメンテナンス性がよい。
【0014】
上記高電圧電源を可変電源として、上記分配器の各吐出ポート毎に設けられることがより好ましい。すなわち、低電圧の場合は、潤滑油が糸状になって被潤滑部に供給され、高電圧の場合は、油霧が広がりをもって被潤滑部に供給される。
【0015】
上記接続手段は、上記分配器の各吐出ポートに挿入され、上記高電圧電源の一方の極に接続された分配器側インサートチューブと、上記送油管の吐出ポート接続側に挿入された送油管側インサートチューブとを含み、上記各インサートチューブは、上記送油管を上記吐出ポートに連結する連結部材によって強制的に接触されている。
【0016】
静電霧化を行うためには、潤滑油の流速を細かく制御する必要がある。そこで、上記分配器の各吐出ポートには、上記潤滑油を定量的に供給するための静電式ポンプが設けられている。これによれば、静電式ポンプを用いることにより、分子レベルでの潤滑油の送り出しが可能となり、油霧発生量などを制御することができる。
【0017】
また、上記高電圧電源、上記送油管の吐出口および上記被潤滑部を含む電流路内に上記潤滑油が上記被潤滑部に供給されていることを検知する電流検出抵抗からなる検知手段が設けられている。これによれば、ミスト潤滑油が確実に被潤滑部に供給されているか否かを確認することができ、潤滑不良を未然に防ぐことができる。
【0018】
より安価に製造するためには、上記高電圧電源および上記検知手段は、上記分配器に一体化されていることが好ましい。
【0019】
静電霧化されたミスト潤滑油を少し離れた被潤滑部に供給する方法として、上記吐出口と上記被潤滑部との間には、静電霧化された上記潤滑油を上記被潤滑部に移送するための送気手段が設けることが好ましく、これによれば、静電霧化された潤滑油が送気空気に乗って被潤滑部に運ぶことができる。なお、上記送気手段は、上記吐出口にベンチュリ効果を作用するものではない。
【0020】
潤滑油の移送中に帯電された潤滑油が被潤滑部以外に付着しないようにするため、上記吐出口と上記被潤滑部との間には、静電霧化された上記潤滑油が上記被潤滑部以外に付着しないようにするための防油滴処理が施されていることが好ましい。防油滴処理の一例としては、帯電油粒子が付着しないための絶縁処理や、潤滑油を滑りやすくするためのフッ素樹脂加工などがある。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の第1実施形態に係るミスト潤滑装置であり、この第1実施形態は本発明の最も基本的な形態である。
【0022】
図1に示すように、このミスト潤滑装置1は、潤滑油Oを貯留するタンク2と、同タンク2から汲み上げられた潤滑油Oを被潤滑部4との間に送り出す送油管3と、潤滑油Oに直流の高電圧を印加するための高電圧電源5とを備えている。
【0023】
送油管3は、例えばナイロンなどの柔軟な樹脂製パイプからなり、一端側がタンク2内の潤滑油Oを汲み上げるポンプ回路6に接続され、他端側が被潤滑部4の近傍に臨ませられたノズルヘッド31に接続されている。ノズルヘッド31は、内径が送油管3の接続端側から先端側の吐出口311に向かって減少するようになっている。
【0024】
なお、この実施形態では、送油管3の先端側にノズルヘッド31を取り付けて潤滑油Oの吐出口311を形成しているが、送油管3の先端をノズルヘッド31状に絞り込んで吐出口311を一体に形成してもよい。
【0025】
ポンプ回路6は、図示しない駆動手段によって駆動されるオイルポンプ61と、同オイルポンプ61で汲み上げられた潤滑油Oのうち、余分な潤滑油を再びタンク2に引き戻すリターン回路を備えるバルブ62とを備えている。
【0026】
この実施形態において、不要な潤滑油Oをタンク2に引き戻す方法としてバルブ62が用いられているが、これ以外にチェックバルブなどを用いてもよく、供給管に常に微少な圧力を発生する仕組みを有するものであれば適宜選択可能である。
【0027】
また、タンク2から送油管3への潤滑油Oの供給は、タンク2内に微少なエアー圧力をかけて油面を押圧し、潤滑油Oを押し出すようにしてもよく、ポンプ回路6の構成は、吐出口311で潤滑油Oが静電霧化可能な流速が得られるものであれば、適宜選択することができる。
【0028】
送油管3内には、一端が高電圧電源5の一方の極、この実施形態では陰極側に接続され、他端がノズルヘッド31の内部空間に向けて延設された電極線51が設けられている。電極線51は、例えばタングステンなどの静電霧化に適した金属線の単線もしくはワイヤー状に編み込んだものから構成されている。
【0029】
この実施形態において、電極線51は、送油管3内に沿って挿入された金属線から構成されているが、これ以外に送油管3自体を導電性を有する材料で構成して、送油管3自体を電極線として用いてもよい。このような態様も本発明に含まれる。
【0030】
すなわち、送油管3自体に導電性を持たせる方法としては、送油管3を導電性樹脂を用いて形成したり、金属線を同軸ケーブルのようにパイプ状に編み込んで絶縁樹脂でコーティングしたり、合成樹脂パイプに金属膜を蒸着成形する方法などがある。最も簡単な方法は、送油管3に金属管を使う方法である。ただし、送油管3に金属管を使うときは、安全性を考慮して外皮を絶縁被覆などした方がよい。
【0031】
高電圧電源5に接続されたもう一方の電極線52は、被潤滑部4に接続されている。この実施形態において、電極線52は、図面上では被潤滑部4に直接接続されているが、被潤滑部4と電気的に導通が得られる場所であれば適宜選択して接続することができる。
【0032】
電極線52上には、吐出口311から被潤滑部4に潤滑油Oが確実に供給されているか否かを検知するモニター(検知手段)7が設けられている。モニター7は、図2に示すように、高電圧電源5、吐出口311有する送油管3および被潤滑部4を含むループ回路内に設けられた電流検出抵抗Rからなり、高電圧電源5によって高電圧を印加することにより、静電霧化が発生してループ回路内に電流iが流れる。
【0033】
このとき、ループ回路内の電流検出抵抗RによりV0=i×Rの出力電圧によって生じた出力電圧差をとらえることにより、吐出口から潤滑油がミスト化して被潤滑部に飛んでいるか否かを判断することができる。
【0034】
このミスト潤滑装置1を作動させると、タンク2内の潤滑油Oは、オイルポンプ61によって汲み上げられ送油管3に送り込まれる。このとき、不要な潤滑油はチェックバルブ62を介して再びタンク2内に引き戻される。送油管3内に送り込まれた潤滑油Oは、内部に設けられた電極線51によって高電圧が印可されつつ、ノズルヘッド31に向かって進んでいく。
【0035】
吐出口311から吐出された潤滑油Oには、数kVの直流電圧が印加され、潤滑油Oに働く静電気力が臨界値に達したとき、潤滑油Oに働く重力や表面張力を打ち消して無数に分裂しミスト化する。霧化が発生する臨界電圧Vcの値は、Vc2=crvで与えられる。ここで、cは液滴の形状で定まる定数、rは液滴の半径、rは液体の表面張力である。
【0036】
ミスト化した潤滑油Oは、電極線52が接続された被潤滑部4に向かって吸い寄せられ、被潤滑部4を潤滑する。このとき、潤滑油Oは−(マイナス)の電荷に帯電した状態にあるため、+極側である被潤滑部4にまんべんなく吸着される。
【0037】
これによれば、被潤滑部4の近傍で油霧が生成され、圧縮空気を用いることなく油霧が被潤滑部4に移送され、しかもそのほとんどが被潤滑部4にて消費されるので、従来のような潤滑油の無駄な消費がなく、しかも排気問題によって工場内環境を悪化させることもない。
【0038】
図3には、本発明の第2実施形態に係るミスト潤滑装置1aが示されている。この第2実施形態は、上記第1実施形態よりもより製品レベルに近い態様であり、上記第1実施形態と基本的な構成が同一または同一と見なされる部分については同じ参照符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
この第2実施形態の特徴は、タンク2と送油管3との間に分配器8を設けたことにある。すなわち、図4に示すように、この分配器8は、合成樹脂などの絶縁材料からなり、ポンプ手段6に接続される1つの1次側ポート81と、1次側ポート81に供給された潤滑油を複数の送油管3a〜3nに分配して供給する多数の2次側吐出ポート82a〜82nとを備えている。
【0040】
この分配器8の2次側吐出ポート82a〜82nには、各2次側吐出ポート82に接続された送油管3a〜3nに高電圧を供給するための高電圧電源5a〜5nがそれぞれ電極線51a〜51nを介して接続されている。
【0041】
これによれば、分配器8を介して多数の送油管3a〜3nを接続することが可能となり、一度に複数の被潤滑部4a〜4nに潤滑油Oを供給できる。さらに、分配器8が、高電圧電源5の高電圧を各送油管3a〜3nに分配するハブ機能を兼ね備えることにより、より全体のシステム構築が容易になる。
【0042】
分配器8から各被潤滑部4a〜4nに供給される油霧の発生量を調節するため、この第2実施形態において、各高電圧電源5a〜5nは各吐出ポート82a〜82n毎にそれぞれ個別に調節可能な可変電源とされている。これによれば、各吐出ポート82a〜82n毎にかかる電圧を制御でき、各被潤滑部4a〜4nの仕様に応じて安定した油霧を供給できる。
【0043】
また、高電圧電源5を個別に制御することに伴い、各被潤滑部4a〜4nには、個別にモニター7a〜7nが接続されている。これによれば、個々の被供給部4a〜4nに潤滑油Oが供給されているかどうかを確実に判別することができる。
【0044】
図5には、この分配器8と送油管3とを連結する連結部の構成が示されている。この分配器8の2次側吐出ポート82には、連結部材83を介して送油管3が接続されている。連結部材83は、一端から送油管3が差し込まれ、他端側が2次側吐出ポート82に螺合されるナットねじからなり、内部に送油管3をシールするためのシール部材84が設けられている。
【0045】
この第2実施形態において、分配器8は各送油管3に高電圧を供給するハブ機能も備える。そこで、送油管3と確実に導通を得るための接続手段として、2次側吐出ポート82には、分配器側インサートチューブ91が挿入されており、対向する送油管3の開口端には送油管側インサートチューブ92が挿入されている。
【0046】
各インサートチューブ91,92はともに、金属製の円筒パイプの一端を180°折り返して、断面U字状に折り曲げられた拡径部911,921を有するものからなり、上記拡径部911,922が互いに向かい合うように接続されている。
【0047】
分配器8の外周面には、高電圧電源5のに接続される電極端子511が圧入されており、この電極端子511の下端側が分配器側インサートチューブ91の外周面に強制的に接触することで分配器側インサートチューブ91の一方の導通がなされている。
【0048】
他方の送油管側インサートチューブ92は、チューブ外周と送油管内周との間に、電極線51が接続されている。これによれば、各送油管3を各2次側吐出ポート82に接続し、連結部材83によって強制的に締め付けることにより、各インサートチューブ91,92の拡径部911,921同士が当接し、分配器8と送油管3との間の導通が得られる。
【0049】
図6には、分配器8のより具体的な実施形態が示されている。この分配器8は、分配器本体に高電圧電源5とこれを監視するモニター7とが一体に組み込まれている。これによれば、分配器8をユニット化したことにより、分配器8を中心に潤滑システムを一体に安価に製造することができる。
【0050】
本発明の静電霧化式のミスト潤滑装置は、潤滑油Oの流速が早すぎると吐出口311から潤滑油Oが霧化せずにボタ落ちするし、また、流速が遅すぎると、被潤滑部4への供給量が少なくなり、潤滑不良を起こすおそれがある。そこで、油霧の発生量を安定して制御するためには、分配器8の各2次側吐出ポート82a〜82nに静電式ポンプ10a〜10nが設けられているのが好ましい。
【0051】
静電式ポンプとは、静電気力を利用した無可動式ポンプであり、電極の電圧を移送方向に沿って順次切り替えていくことで、被移送対象物を分子レベルで送り出すことができるポンプである。これによれば、潤滑油Oを各送油管3a〜3nの供給仕様に応じて送油量を可変に調節でき、しかも極微量な調節ができる。さらに、分配器8に内蔵された高電圧電源5から静電式ポンプ10に電力を供給すればよいので、より安価に実施することができる。このような態様も本発明に含まれる。
【0052】
ところで、被潤滑部4は常に送油管3の吐出口311に隣接して配置されているとは限らない、むしろ工作機械などの被潤滑部4は内部などに隠れて設けられている場合が多い。したがって、機械内部まで送油管3を配管することが困難となる場合もある。
【0053】
そこで、被潤滑部が離れた場所にある場合において、本発明のミスト潤滑装置を適用する方法の一例を図7に第3実施形態として示す。すなわち、このミスト潤滑装置1bは、送油管3により送り込まれた潤滑油Oを霧化し、被潤滑部4に送り込む霧化器11を備えている。
【0054】
霧化器11は、内部に送油管3の吐出口311が接続され、その吐出口311の対向面側に対向電極122が設けられた霧化室12を備えており、霧化室12の下部側には、霧化室12内で生成された油霧を被潤滑部4に送り出すための空気が送り込まれる空気送り管13が接続され、霧化室12の対向電極122の中央には、霧化器11から離れた場所に位置する被潤滑部4に油霧を送り出すための油霧送り管14がそれぞれ設けられている。
【0055】
霧化室12内は、対向電極122を除き、内面が合成樹脂などによって絶縁処理などの防油滴処理が施されており、静電霧化によって帯電された油霧が付着しないようになっている。なお、上記実施形態では防油滴処理として絶縁処理を施しているが、これにあわせて付着した油霧が滞留しないようにフッ素樹脂加工などを併せて施してもよい。
【0056】
空気送り管13は、一端が図示しない送気手段に接続されており、所定の流量で空気を霧化室12内に流し入れることができる。油霧送り管14は合成樹脂などの絶縁樹脂からなり、帯電した油霧が管壁に付着しないようになっている。
【0057】
これによれば、霧化室12内に送り込まれた潤滑油Oは、対向電極122との間に高電圧が印可されることで霧化し、霧化室12の下側から霧化室12内に導入された空気の乗って油霧送り管14を通って被潤滑部4まで運ばれ、供給される。この方式を作用することにより、主軸などに本発明のミスト潤滑装置を組み込むことができる。
【0058】
なお、仮に霧化室12内に油滴が付着した場合に、霧化室12内に潤滑油Oが滞留しないために、霧化器11に油ぬき機構を設けてもよい。このような変形例も本発明に含まれる。
【0059】
本発明は、例えば食品、薬品などの各種分野にも応用でき、また、その霧化対象は液体だけでなく、粉体などの固形物も含まれるし、潤滑油を含浸させたポリマーや、ゾル状体やゲル状体などの半固化物であってもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、潤滑油を貯留するタンクと、このタンク内の潤滑油を被潤滑部に導く送油管とを備え、潤滑油を霧化した状態で被潤滑部に供給するミスト潤滑装置において、直流の高電圧電源を備えており、送油管の吐出口を被潤滑部の近傍に臨ませ、その間に高電圧電源にて所定の高電圧を印加することにより、吐出口から吐出される潤滑油を霧化して、被潤滑部に供給することにより、従来のベンチュリ効果など利用した霧化装置を設ける必要がなく、静電気力のみで潤滑油を霧化することができ、より安価なミスト潤滑装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るミスト潤滑装置の模式図。
【図2】モニターの構造を説明する説明図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るミスト潤滑装置の模式図。
【図4】上記第2実施形態の配管構造を説明する説明図。
【図5】分配器の内部構造を説明する部分断面図。
【図6】分配器をユニット化した状態を説明する説明図。
【図7】本発明の第3実施形態に係るミスト潤滑装置の模式図。
【符号の説明】
1,1a、1b ミスト潤滑装置
2 タンク
3 送油管
31 ノズルヘッド
311 吐出口
4 被潤滑部
5 高電圧電源
51、52 電極線
6 ポンプ手段
7 モニター
8 分配器
91 分配器側インサートチューブ
92 送油管側インサートチューブ
10 静電式ポンプ
11 霧化器
O 潤滑油
Claims (10)
- 潤滑油を貯留するタンクおよびポンプ手段と、上記ポンプ手段より供給される上記タンク内の上記潤滑油を被潤滑部に導く送油管とを含み、上記送油管から吐出される上記潤滑油を霧化した状態で上記被潤滑部に供給するミスト潤滑装置において、
上記送油管の吐出口と上記被潤滑部との間に所定の高電圧を印加する直流の高電圧電源を備えており、上記送油管の吐出口を上記被潤滑部の近傍に臨ませ、上記吐出口から吐出される上記潤滑油に対して、上記高電圧電源から所定の高電圧を印加することにより、上記吐出口部分で上記潤滑油を霧化して上記被潤滑部に供給することを特徴とするミスト潤滑装置。 - 上記送油管内には、上記高圧電源の一方の極に接続される電極線が配線されている請求項1に記載のミスト潤滑装置。
- 上記送油管自体が導電性材料からなり、上記高電圧電源の一方の極に接続されている請求項1に記載のミスト潤滑装置。
- 上記送油管は、上記潤滑油を複数の上記被潤滑部に分配して供給する分配器の2次側の吐出ポートに接続されており、上記分配器には上記高電圧電源が搭載され、上記吐出ポートには、上記送油管を上記高電圧電源に電気的に接続する接続手段が設けられている請求項1、2または3のいずれか1項に記載のミスト潤滑装置。
- 上記高電圧電源を可変電源として、上記分配器の各吐出ポート毎に設けられている請求項4に記載のミスト潤滑装置。
- 上記接続手段は、上記分配器の各吐出ポートに挿入され、上記高電圧電源の一方の極に接続された分配器側インサートチューブと、上記送油管の吐出ポート接続側に挿入された送油管側インサートチューブとを含み、上記各インサートチューブは、上記送油管を上記吐出ポートに連結する連結部材によって強制的に接触される請求項4または5に記載のミスト潤滑装置。
- 上記分配器の各吐出ポートには、上記潤滑油を定量的に供給するための静電式ポンプが設けられている請求項4ないし6のいずれか1項に記載のミスト潤滑装置。
- 上記高電圧電源、上記送油管の吐出口および上記被潤滑部を含む電流路内には、上記潤滑油が上記被潤滑部に供給されていることを検知する電流検出抵抗からなる検知手段が設けられている請求項1ないし7のいずれか1項に記載のミスト潤滑装置。
- 上記吐出口と上記被潤滑部との間には、静電霧化された上記潤滑油を上記被潤滑部に移送するための送気手段が設けられている請求項1ないし8のいずれか1項に記載のミスト潤滑装置。
- 上記吐出口と上記被潤滑部との間には、静電霧化された上記潤滑油が上記被潤滑部以外に付着しないようにするための防油滴処理が施されている請求項9に記載のミスト潤滑装置。
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