JP4714234B2 - クッション材 - Google Patents

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Description

この発明は、車両用の燃料タンクを巻回支持するための支持バンドの外周に嵌着されるクッション材に関するものである。
従来のこの種のクッション材としては、例えば図20〜図23に記載されるような構成のものが知られている。この従来構成においては、車両のフレーム41に燃料タンク42が一対の金属製の支持バンド43によって吊下状態で巻回支持されている。各支持バンド43の外周には、例えば、塩化ビニール等の合成樹脂やゴム等よりなるクッション材44がほぼ全長に亘って嵌着されている。
このクッション材44には、支持バンド43の燃料タンク42と対応する側の表面を覆うように配置される覆い部45が設けられている。覆い部45の両端には側壁部46及び折返し部47が一体に形成され、これらの側壁部46及び折返し部47によって、支持バンド43の両側縁43aに嵌合するための一対の嵌合溝部48が形成されている。そして、図22に示すように、これらの嵌合溝部48に支持バンド43の両側縁43aを嵌合させることにより、クッション材44が支持バンド43の外周に取り付けられるようになっている。
ところが、この従来のクッション材44においては、一対の嵌合溝部48が覆い部45に沿って覆い部45と同一平面上で互いに対向する方向に開口されている。言い換えれば、一対の嵌合溝部48は、内向きに互いに正対して形成されている。このため、支持バンド43の両側縁43aを嵌合溝部48に挿入嵌合する場合、図22に鎖線で示すように、折返し部47を弾性に抗して外側に大きく変形させる必要があって、その取り付け作業がかなり面倒であるという問題があった。
また、クッション材44を摩擦係数の低い合成樹脂により形成した場合には、燃料タンクの巻回支持状態で、車両の振動等によりクッション材44に位置ずれが生じるおそれが多分にあった。このため、このように合成樹脂製のクッション材44においては、長いものを用いて支持バンド43の全長に亘って取り付ける必要があり、コスト高になっていた。
一方、クッション材44を摩擦係数が高いゴムにより形成した場合には、合成樹脂により形成した場合に比較して靭性(腰の強さ)が低くなる。よって、支持バンド43の両側縁43aを嵌合溝部48に挿入嵌合する際に、折返し部47の端部が内側に折り曲がって、嵌合溝部48内に巻き込まれやすくなるという新たな問題が生じた。
このような問題に対処するため、例えば図23に示すように、両折返し部47を予め覆い部45から離間する外側に向かって傾斜した開放状態に形成しておくことが行われる。このように構成した場合には、折返し部47が容易に外側に変形することができ、支持バンド43の両側縁43aを嵌合溝部48に挿入嵌合することができて、取り付け作業を容易に行うことができる。また、折返し部47の端部が嵌合溝部48内に巻き込まれるおそれを抑制することもできる。
ところが、このように構成した場合、両嵌合溝部48の溝幅が開口端側ほど広くなっているため、支持バンド43に対するクッション材44の取り付け状態で、支持バンド43の両側縁43aが嵌合溝部48内で強い挟着力にて保持されない。よって、クッション材44に位置ずれが生じたり、支持バンド43の両側縁43aが嵌合溝部48から脱落したりするという問題が生じ、結局、前述した合成樹脂製のクッション材44のように、支持バンド43の全長に亘って取り付けられる長いものが必要となって、コスト高を解消できなかった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、支持バンドの外周に容易に取り付けることができるとともに、その取り付け状態に位置ずれや脱落が生じることなく確実に保持することができるクッション材を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両用の燃料タンクを巻回支持するための支持バンドの外周に嵌着され、支持バンドの燃料タンクと対応する側の表面を覆うように配置される覆い部と、支持バンドの両側縁に嵌合するように、覆い部の両端に形成された側壁部及び折返し部よりなる一対の嵌合溝部とを備えたクッション材において、前記覆い部の少なくとも一端縁には突片が側壁部と反対側に向かって突出形成されていることを特徴とするものである。
従って、この請求項1に記載の発明によれば、突片を押圧することにより、嵌合溝部の開口方向を容易に変更することができるとともに、嵌合溝部を斜め外方に開口するように変形させた状態で、その嵌合溝部に支持バンドの両側縁を容易に挿入嵌合させることができる。よって、クッション材を支持バンドの外周に容易に取り付けることができる。また、このクッション材の取り付け状態においては、嵌合溝部の溝幅が開口端側に向かって広がっていないため、支持バンドの両側縁が嵌合溝部内で強い挟着力にて保持される。よって、クッション材に位置ずれが生じたり、支持バンドの両側縁が嵌合溝部から脱落したりするおそれを確実に防止することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記覆い部には折返し部の先端と対応する付近に屈曲部が形成されていることを特徴とするものである。
従って、この請求項2に記載の発明によれば、嵌合溝部に対する支持バンドの両側縁の挿入嵌合時に、突片の押圧操作に伴って覆い部の端部が屈曲部にて容易に変形し、嵌合溝部の開口方向を一層簡単に変更することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記突片の先端内縁には傾斜面が形成されていることを特徴とするものである。
従って、この請求項3に記載の発明によれば、クッション材の取り付け状態にて、支持バンドにより燃料タンクを巻回支持した場合には、突片上の傾斜面が燃料タンクの外周面と接合して、突片が支持バンドの外端側に押圧変形される。よって、燃料タンクに対するクッション材の接触面積が広くなる。このため、燃料タンクとクッション材との間の摩擦抵抗が大きくなって、クッション材の位置ずれを一層確実に防止することができるとともに、燃料タンクを有効に保護できる。
この発明のクッション材においては、支持バンドの外周に容易に取り付けることができるとともに、その取り付け状態に位置ずれや脱落が生じることなく確実に保持することができ、しかも、材料コストを低減できる。
(第1参考形態)
以下に、この発明の第1参考形態を、図1〜図4に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、車両のフレーム21には燃料タンク22が一対の金属帯状の支持バンド23によって吊下状態で巻回支持されている。各支持バンド23の一部と燃料タンク22の外周面との間に介装されるように、各支持バンド23の一部外周にはゴム製のクッション材24が局部的に嵌着されている。
図3に示すように、このクッション材24はゴムの押出成形により一体に押出し形成され、覆い部25が設けられている。この覆い部25の両端には側壁部26及び折返し部27が形成され、これらの側壁部26及び折返し部27によって、覆い部25の両端縁に一対の嵌合溝部28が形成されている。そして、これらの嵌合溝部28に支持バンド23の両側縁23aを嵌合させることにより、覆い部25が支持バンド23の燃料タンク22と対応する側の表面を覆うように接合配置されて、クッション材24が支持バンド23の外周に取り付けられるようになっている。
また、この参考形態では、前記クッション材24の覆い部25が両折返し部27側へ凸状に緩やかに湾曲するように形成されている。そして、覆い部25の両端から側壁部26がほぼ直角に折り曲げ形成されるとともに、各側壁部26の端部から折返し部27が覆い部25に沿ってほぼ直角に折り返し形成されている。これにより、図3から明らかなように、両嵌合溝部28がクッション材24の長さ方向及び幅方向においてほぼ均一の溝幅に形成され、しかも、覆い部25から離間する方向に向かって斜め外方に開口するように形成されている。
このため、図3に示すように、支持バンド23の外周にこのクッション材24を取り付ける場合には、折返し部27をクッション材24の弾性に抗して外側にあまり変形させる必要がなく、斜め外方に開口された嵌合溝部28に対して、支持バンド23の両側縁23aを容易に挿入嵌合させることができる。この場合、嵌合溝部28が斜め外方に開口されているため、クッション材24がゴムにより形成されていて、摩擦係数が高く、靭性が低くなっていても、折返し部27が嵌合溝部28内に巻き込まれるおそれはほとんどない。
この支持バンド23に対するクッション材24の取り付け状態で、支持バンド23により燃料タンク22を巻回支持した際には、図4に示すように、クッション材24の覆い部25と燃料タンク22の外周面との接合により、覆い部25に大きな押圧力が作用する。このため、結果として、クッション材24の両折返し部27に対して支持バンド23に圧接される大きな力が作用し、嵌合溝部28内における支持バンド23の両側縁23aが覆い部25と折返し部27とにより強く挟着される。
よって、図1及び図2に示すように、クッション材24が支持バンド23の一部に局部的に取り付けられていても、車両の振動等に伴ってクッション材24に位置ずれが生じたり、支持バンド23の両側縁23aがクッション材24の嵌合溝部28から脱落したりするおそれがない。
従って、この参考形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) このクッション材24においては、支持バンド23の両側縁23aに嵌合するための一対の嵌合溝部28がほぼ均一の溝幅で、覆い部25と離間する方向に向かって斜め外方に開口するように形成されている。
このため、支持バンド23の両側縁23aを斜め外方に開口された嵌合溝部28に対して、折返し部27を外側にあまり変形させることなく容易に挿入嵌合させることができる。よって、支持バンド23に対するクッション材24の取付けを容易に行うことができる。また、燃料タンク22との接合により、覆い部25に大きな押圧力が作用し、これによって、クッション材24の両折返し部27に対して支持バンド23に圧接される大きな力が作用し、支持バンド23の両側縁23aが覆い部25と折返し部27とにより強く挟着される。よって、クッション材24が短いものであっても、クッション材24に位置ずれが生じたり、支持バンド23から脱落したりするおそれを防止することができる。従って、クッション材24として、短いものであっても、あるいはゴム以外の合成樹脂であっても、それらを問題なく使用でき、材料コストを低減できる。
(2) このクッション材24においては、斜め外方に開口した嵌合溝部28に支持バンド23の両側縁23aを挿入嵌合するようになっているので、クッション材24を摩擦係数の高いゴムにより形成した場合でも、折返し部27が嵌合溝部28内に巻き込まれるおそれはほとんどない。支持バンド23に対するクッション材24の組付けを容易に行うことができる。さらに、支持バンド23の保持性がよくなるため、クッション材24の使用長さを短くすることができることと相俟って、製作コストの低減を図ることができる。
(3) このクッション材24においては、前記覆い部25が折返し部27側へ凸状に湾曲するように形成されている。このため、支持バンド23の両側縁23aを嵌合溝部28に嵌合させて、その支持バンド23により燃料タンクを支持したとき、覆い部25が支持バンド23の表面に沿って湾曲状態から平面状態に変形される。このため、両折返し部27に対してその折返し部27が支持バンド23に圧接される方向への力が作用する。よって、嵌合溝部28内における支持バンド23の両側縁23aの挟着力をより強くすることができて、クッション材24の位置ずれや脱落を一層確実に防止することができる。
ここで、図3に示すように、覆い部25の燃料タンク側の面において、その両端間の距離を「a」,その両端を通る直線L1と前記燃料タンク側の面の最も凹んだ部分との距離を「b」として、a:bの比率は以下の通りである。
a:b=30:0.5〜30:3
好ましくは、 a:b=30:0.5〜30:2.5
より好ましくは、a:b=30:0.5〜30:2.3
すなわち、「b」が「3」を越えると、覆い部25の曲率半径が小さくなって、反発力が大きくなり、支持バンド23が燃料タンクに組みつけられる前に外れるおそれがある。また、「b」が「0.5」より下がると、覆い部25が直線に近くなって、クッション材24を支持バンド23に対して組み付けにくくなるとともに、前述した挟み込み効果が希薄になる。
(第2参考形態)
次に、この発明の第2参考形態を、前記第1参考形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2参考形態のクッション材24では、図5に示すように、覆い部25の中央部25aが平板状に形成されるとともに、両端部25bが折返し部27から離間する方向へ斜めに折り曲げ形成されている。そして、覆い部25の両端部25bから側壁部26がほぼ直角に折り曲げ形成されるとともに、側壁部26から折返し部27がほぼ直角に折り曲げ形成されている。このことにより、両嵌合溝部28がクッション材24の長さ方向及び幅方向においてほぼ均一の溝幅で、覆い部25と離間する方向に向かって斜め外方に開口するように形成されている。
従って、この第2参考形態によれば、前記第1参考形態における(1)及び(2)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(4) このクッション材24においては、前記覆い部25が中央部25aにて平板状に形成されるとともに、両端部25bにて斜めに折り曲げ形成されている。このため、支持バンド23の両側縁23aを嵌合溝部28に嵌合させて、支持バンド23により燃料タンク22を支持したとき、覆い部25の両端部25bが支持バンド23の表面に沿って折り曲げ状態から伸張変形される。このため、両折返し部27が支持バンド23に対して圧接される。よって、嵌合溝部28内における支持バンド23の両側縁23aに対する挟着力をより強くすることができて、クッション材24の位置ずれや脱落を一層確実に防止することができる。
ここで、図5に示すように、覆い部25の燃料タンク側の面において、その両端間の距離を「a」,その両端を通る直線L1と前記燃料タンク側の面の最も凹んだ部分との距離を「b」,折返し部27の長さを「c」,覆い部25の支持バンド23側の折返し部から外側への長さを「d」とする。それらの長さの関係は以下の通りである。
d=1/5c〜4/5c
好ましくは、 d=1/4c〜3/4c
より好ましくは、d=1/3c〜2/3c
「a」と「b」との比率は前記第1参考形態と同様である。
すなわち、「d」が小さいと、クッション材24を支持バンド23に対して組み付けにくく、「d」が大きくなると、クッション材24の反発力が大きくなって、組み付けにくくなるとともに、組み付けにくくなる。
(第3参考形態)
次に、この発明の第3参考形態を、前記第1参考形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第3参考形態のクッション材24では、図6に示すように、覆い部25が、折返し部27側へ凸状に湾曲する凸状湾曲部31と、その反対方向へ凹状に湾曲する凹状湾曲部32との二層構造になっている。そして、両湾曲部31,32間には空間33が形成され、支持バンド23の両側縁23aを嵌合溝部28に挿入嵌合させるとき、この空間33が圧縮されて狭められながら、両湾曲部31,32が湾曲状態から平面状態に変形されるようになっている。
従って、この第3参考形態によれば、前記第1参考形態における(1)〜(3)に記載の効果と同様の効果を得ることができるとともに、以下の効果を得ることができる。
(5) このクッション材24においては、覆い部25が2層構造であるため、振動吸収作用に優れる。このため、燃料タンクに車両振動等が伝達されるのを抑制でき、燃料タンクを有効に保護できる。
(第1実施形態)
次に、この発明の第1実施形態を、前記第1参考形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第1実施形態のクッション材24では、図7及び図8に示すように、覆い部25の両端縁に低い突片34が側壁部26と反対側に向かって、クッション材24の長手方向の全長に亘り突出形成されている。そして、図8に示すように、支持バンド23の両側縁23aを嵌合溝部28に挿入嵌合させる際に、これらの突片34を内側に押圧することにより、覆い部25が湾曲変形されて、嵌合溝部28が覆い部25と離間する方向に向かって斜め外方に開口されるようになっている。
従って、この実施形態によれば、前記第1参考形態における(2)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(6) このクッション材24においては、突片34を押圧することにより、嵌合溝部28の開口方向を容易に変更することができるとともに、嵌合溝部28を斜め外方に開口させた状態で、その嵌合溝部28に支持バンド23の両側縁23aを容易に挿入嵌合させることができる。よって、クッション材24を支持バンド23の外周に容易に取り付けることができる。また、このクッション材24の取り付け状態においては、突片34が燃料タンクにより支持バンド23側に向かって強圧される。このため、折返し部27に対して支持バンド23に向かう方向への力が作用し、支持バンド23が折返し部27と覆い部25とにより強い挟着力にて保持される。よって、クッション材24に位置ずれが生じたりするおそれを防止することができる。しかも、このクッション材24の取り付け状態においては、支持バンド23と燃料タンクとの間に突片34が介在されるため、前記第3参考形態と同様に、振動吸収作用に優れ、燃料タンクに車両振動等が伝達されるのを抑制できて、燃料タンクを有効に保護できる。
ここで、ここで、図7に示すように、折返し部27の厚さを「e」,突片34の厚さを「g」,覆い部25の厚さを「f」,折返し部27の高さを「h」,突片34の高さを「i」として、それらの関係は以下の通りである。
i=0.5f〜2h
好ましくは、 i=1f〜1.5h
より好ましくは、i=2f〜1.2h
g=0.3e〜1.5e
好ましくは、 g=0.6e〜1.2e
より好ましくは、g=0.8e〜1.0e
すなわち、「i」が小さいときには、支持バンド23に対してクッション材24を組みつけにくいとともに、前述した保持力が弱く、高い挟着力を得ることができない。また。「g」が小さい場合には、突片34を押圧しにくく、場合によっては内側に倒れて押圧がほとんど不可能になり、「g」が大きい場合には、突片34を押圧してクッション材24を湾曲させるのに大きな力を必要とする。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態のクッション材24では、図9に示すように、突片34が覆い部25の一端縁のみに突出形成されている。
従って、この第2実施形態においても、前記各参考形態、各実施形態における(2)及び(6)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第3実施形態のクッション材24では、図10〜図12に示すように、覆い部25における折返し部27のほぼ先端と対応する付近において、クッション材24の長さ方向に延びる薄肉状(Vノッチ状)の屈曲部35が形成されている。そして、図11に示すように、支持バンド23の両側縁23aを嵌合溝部28に挿入嵌合する際に、突片34を内側に押圧したとき、覆い部25の両端部がこの屈曲部35において容易に変形されるようになっている。
また、前記両突片34の先端内縁には傾斜面36が形成されている。そして、図12に示すように、クッション材24の取り付け状態で、支持バンド23により燃料タンク22を巻回支持した場合、これらの傾斜面36が燃料タンク22の外周面と接合される。これにより、両突片34が支持バンド23の外端側に押圧変形されるようになっている。
従って、この第3実施形態によれば、前記各参考形態、各実施形態における(2)及び(6)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(7) このクッション材24では、前記覆い部25における折返し部27の先端と対応する付近に、薄肉状の屈曲部35が形成されている。このため、嵌合溝部28に対する支持バンド23の両側縁23aの挿入嵌合時に、突片34の押圧により覆い部25の端部を屈曲部35にて容易に変形させることができて、嵌合溝部28の開口方向を一層簡単に変更することができる。
(8) このクッション材24では、突片34の先端内縁に傾斜面36が形成されている。このため、クッション材24の取り付け状態にて、支持バンド23により燃料タンク22を巻回支持した場合には、突片34上の傾斜面36が燃料タンク22の外周面と接合して、突片34が支持バンド23の外端側に押圧変形される。よって、燃料タンク22に対するクッション材24の接触面積が広くなる。このため、燃料タンク22とクッション材24との間の摩擦抵抗が大きくなって、クッション材24の位置ずれを一層確実に防止することができるとともに、燃料タンク22を有効に保護できる。
ここで、図10に示すように、突片34の厚さを「j」,折返し部27の厚さを「k」として、それらの関係は以下の通りである。
j=0.3k〜3k
好ましくは、 j=0.5k〜2k
より好ましくは、j=0.7k〜1.5k
すなわち、「j」が小さいときには、突片34を押圧しにくいとともに、内側に倒れやすく、組み付けに手間がかかる。「j」が大きいときには、突片34を押圧するための力と大きな力を必要とする。
さらに、図10に示すように、屈曲部35とクッション材24の側端との間の距離を「p」とすると、
p=0.2l〜l
好ましくは、 p=0.3l〜0.8l
の関係を充たしたほうが、クッション材24の組み付けに労力を要しない。
(第4実施形態)
次に、この発明の第4実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第4実施形態のクッション材24では、図13に示すように、覆い部25の両端縁に断面三角状の突片34が突出形成されている。そして、各突片34の内側面全体が傾斜面36になっているとともに、傾斜面36と覆い部25の表面との境界部が屈曲部35となっている。
従って、この第4実施形態においても、前記各参考形態、各実施形態における(2)及び(5)〜(8)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
ここで、図13に示すように、突片34の厚さを「m」,折返し部27の厚さを「n」,折返し部27の全幅を「o」として、それらの関係は以下の通りである。
m=0.3n〜1o
好ましくは、 m=0.5n〜2/3o
より好ましくは、j=0.2n〜1/3o
すなわち、「m」が小さいときには、突片34を押圧しにくいとともに、内側に倒れやすく、組み付けに手間がかかる。「m」が大きいときには、突片34を押圧するための力と大きな力を必要とする。
(第5実施形態)
次に、この発明の第5実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第5実施形態のクッション材24では、図14及び図15に示すように、覆い部25の両端縁の突片34がその内側に爪部34aを有している。
そして、図15に示すように、クッション材24が組みつけられた支持バンド23が燃料タンク22を支持した状態では、前記爪部34aの先端が燃料タンク22の表面に当たって、突片34が折返し部27側に屈曲する。このため、この屈曲の反発力により折返し部27による支持バンド23を挟み込む力が増大する。
従って、この第5実施形態においては、以下の効果を奏する。
(9) 前記のように、折返し部27に対して相互に接近するとともに、覆い部25側への移動力が作用するため、折返し部27により支持バンド23をその両側縁側から、及び覆い部25の反対側から把持できるため、支持バンド23を確実に挟着できる。
ここで、図14に示すように、折返し部27の厚さを「q」,爪部34aの高さを含む突片34の厚さを「r」,覆い部25の厚さを含む折返し部27の高さを「s」,突片34の高さを「t」,覆い部25の厚さを「u」として、それらの関係は以下の通りである。
r=0.3q〜3q
好ましくは、 r=0.5q〜2q
より好ましくは、r=0.7q〜1.5q
すなわち、「r」が小さいときには、弾性力が小さくて容易に倒れるために前記反発力が小さい。「r」が大きいときには反発力が大きすぎて、燃料タンク22に対する支持バンド23の組みつけに労力を要する。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図16に示すように、前記図13の突片34に、屈曲部35から低く立ち上がる立ち上がり部35aを形成すること。従って、この変形例では、突片34の厚さを「m」,折返し部27の厚さを「n」,折返し部27の全幅を「o」として、それらの関係は図13の場合と同様である。
・ 図17に示すように、支持バンド23の両側縁23aが円弧状をなす場合、クッション材24の側壁部26を同様に円弧状に形成し、支持バンド23の両側縁23aの円弧面に密接するように構成すること。
・ 図18に示すように、前記第1〜第3実施形態において、クッション材24の側壁部26の外面から覆い部25と反対側に向かってクッション材24の長手方向に延びる突片34を突出形成すること。従って、支持バンド23に対するクッション材24の取付け時には、突片34が図18の上方へ押圧される。
・ 図19に示すように、前記第1〜第3実施形態において、クッション材24の側壁部26の外面から折返し部27と反対側に向かってクッション材24の長手方向に延びる突片34を突出形成すること。この場合も、支持バンド23に対するクッション材24の取付け時には、突片34が図19の上方へ押圧される。
・ 前記第1〜第5実施形態において、突片34をクッション材24の長手方向の全長に亘って突出形成することなく、クッション材24の長手方向に所定間隔おきで突出形成すること。あるいは、クッション材24の長手方向の適当位置において短い(クッション材24の長さ方向において)突片34を設けること。
・ 前記各実施形態において、支持バンド23により燃料タンク22を巻回支持する際に、支持バンド23の全長に亘ってクッション材24を取り付けること。
・ 前記各実施形態において、第3実施形態のようなVノッチ状の屈曲部35を設けること。この場合、前述したように、屈曲部35とクッション材24の側端との間の距離を「p」として、
p=0.2l〜l
好ましくは、 p=0.3l〜0.8l
の関係を充たすのが好ましい。ただし、図13に示す第7実施形態においては、
p≧m
の関係を充たす必要がある。
第1参考形態のクッション材を嵌着した支持バンドの使用状態を示す部分破断正面図。 図1の2−2線における断面図。 支持バンドに対するクッション材の嵌着方法を示す断面図。 支持バンドにクッション材を嵌着した状態を示す断面図。 第2参考形態のクッション材の嵌着構成を示す断面図。 第3参考形態のクッション材の嵌着構成を示す断面図。 第1実施形態のクッション材を示す断面図。 図7のクッション材の嵌着方法を示す断面図。 第2実施形態のクッション材を示す断面図。 第3実施形態のクッション材を示す断面図。 図10のクッション材の嵌着方法を示す断面図。 同クッション材の嵌着後の状態を示す断面図。 第4実施形態のクッション材を示す断面図。 第5実施形態のクッション材を示す断面図。 同クッション材の嵌着後の状態を示す断面図。 クッション材の嵌着構成の変更例を示す断面図。 クッション材の嵌着構成の別の変更例を示す断面図。 クッション材の嵌着構成のさらに別の変更例を示す断面図。 クッション材の嵌着構成のさらに別の変更例を示す断面図。 従来のクッション材を装着した支持バンドの使用状態を示す部分破断正面図。 図20の18−18線における断面図。 図20のクッション材の嵌着方法を示す断面図。 従来の別形状のクッション材の嵌着構成を示す断面図。
符号の説明
22…燃料タンク、23…支持バンド、23a…両側縁、24…クッション材、25…覆い部、25a…中央部、25b…両端部、26…側壁部、27…折返し部、28…嵌合溝部、34…突片、35…屈曲部。

Claims (3)

  1. 車両用の燃料タンクを巻回支持するための支持バンドの外周に嵌着され、支持バンドの燃料タンクと対応する側の表面を覆うように配置される覆い部と、
    支持バンドの両側縁に嵌合するように、覆い部の両端に形成された側壁部及び折返し部よりなる一対の嵌合溝部と
    を備えたクッション材において、
    前記覆い部の少なくとも一端縁には突片が側壁部と反対側に向かって突出形成されていることを特徴とするクッション材。
  2. 前記覆い部には折返し部の先端と対応する付近に屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクッション材。
  3. 前記突片の先端内縁には傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクッション材
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