JP4712782B2 - クリップによる取付構造 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示されているクリップは、取付部材であるセンタクラスターに突設状態で配設される座面部材に取付けた樹脂製のクリップ本体を、被取付部材であるインストルメントパネルに形成された取付孔の表面側から挿入することで取付部材を被取付部材に係止させ、取付部材を被取付部材に着脱可能に取付けるために用いられるクリップである。
取付部材66を被取付部材72から取り外す必要が生じた場合は、取付部材66を被取付部材72から引き離す方向へ引っ張ることにより、クリップ本体50の取付係止片58が互いに接近する方向へ弾性変形して、係止肩60の下部の係り斜面62が被取付部材72の裏面側78から外れることで、取付部材66をクリップ本体50と一体で被取付部材72から取り外すことができる。
なお、クリップ本体50は座面係合部片52の先端の係合突部54が座面部材68に形成された係合孔70に係合して取付部材66に取付けられているので、座面係合部片52が弾性変形して係合突部54が係合孔70から外れることで、クリップ本体50を被取付部材72に残して、取付部材66のみを被取付部材72から取り外すこともできる。
そこで、保持荷重が異なる取付に対応するためには、従来は、形状や材質の異なる複数種類のクリップ本体を用意することが必要であり、取付箇所の保持荷重に対応したクリップ本体を選択して取付けなければならなかった。
まず本発明の第1の発明に係るクリップによる取付構造は、取付部材に突設状態で配設される座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体を、被取付部材に形成された取付孔に、該被取付部材の挿入方向表面側から裏面側に向けて挿入して、取付部材を被取付部材に着脱可能に取付けるクリップによる取付構造であって、
前記樹脂製のクリップ本体は、内側に形成される、前記座面部材を両側から挟持する一対の座面係合部片と、該座面係合部片の外側に形成され、前記被取付部材の取付孔に挿通し係止される、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片とを有し、
前記取付係止片は外方に山形状に突起形成されて、挿入時に近接変形して弾発力を生ずる挿入傾斜面と、抜き取り方向に対して係止機能を果たす係止傾斜面とを有し、
前記取付係止片の挿入傾斜面は同じ傾斜状態に形成されているが、係止傾斜面はその傾斜状態の異なる第1傾斜面と第2傾斜面が、前記拡開方向と直交する厚み方向に所定の厚みで隣接して配設され、該第1傾斜面と第2傾斜面は該拡開方向の両側に対称に配置形成されており、
前記被取付部材に形成される取付孔は、前記第1傾斜面と第2傾斜面のいずれかの傾斜面が係止することのできる孔の大きさの係止孔と、該係止孔の孔よりも大きく前記いずれの傾斜面も係止することのできない大きさの逃がし孔とが連続して1つの孔として形成されており、
前記クリップ本体は、第1傾斜面を係止孔に対応させ第2傾斜面を逃がし孔に対応させる正位置と、クリップ本体または取付孔を180度回転して第1傾斜面を逃がし孔に対応させ第2傾斜面を係止孔に対応させる逆転位置で使用することができ、
同一形状のクリップ本体と、同一形状の取付孔の組み合わせによって、クリップの挿入荷重を変えることなくクリップの保持荷重を異ならせることができることを特徴とする。
よって、クリップ本体を取付孔に正位置で挿入するか、逆転位置で挿入するかを選択することで、同一形状のクリップ本体と、同一形状の取付孔の組み合わせによって、クリップの保持荷重を異ならせることができる。
前記取付孔の前記クリップ本体の厚み方向に対応させて形成する開口長さは、該クリップ構造体が該取付孔に取付けられた状態で該開口長さ方向の移動が許容される長さとされており、
前記逃がし孔と前記係止孔が幅方向の中心を同一線上として該開口長さ方向に連続して形成されており、
該クリップ構造体が該取付孔のいずれの位置にあっても、前記第1傾斜面と第2傾斜面のいずれか一方の傾斜面は係止孔に係止し、他方の傾斜面は逃がし孔のみに対応して係止孔には係止しないことを特徴とする。
この第2の発明によれば、取付孔はクリップの厚み方向に遊びが確保されているのでクリップ構造体を取付孔に円滑に挿入できる。また、遊びの範囲でクリップ構造体が取付孔の中で移動しても、保持荷重を発揮する傾斜面と係止孔の対応および保持荷重を発揮しない傾斜面と逃がし孔の対応が保たれるため、所定の保持荷重が確実に発揮される。すなわち、取付孔の遊びの影響で保持荷重が変わってしまうということがない。
前記逃がし孔の幅は、前記クリップ本体の自由状態形状時における一対の取付係止片の係止傾斜面における最大幅であることを特徴とする。
この第3の発明によれば、逃がし孔は各傾斜面が係止しないことが確実である。また、逃がし孔とクリップ構造体との隙間は広くはないため、クリップ構造体の捩れ等によるズレを有効に防ぐことができる。
前記第1傾斜面の厚みと前記第2傾斜面の厚みが同一であることを特徴とする。
この第4の発明によれば、第1傾斜面で係止孔に係止するときの厚みと、第2傾斜面が係止孔に係止するときの厚みが同じであるため、係止状態がバランスしており、いずれの傾斜面で係止する場合も同等の安定度で所定の保持荷重が発揮される。
まず、上述した第1の発明によれば、クリップ本体を取付孔に正位置で挿入するか、逆転位置で挿入するかを選択することで、同一形状のクリップ本体と、同一形状の取付孔の組み合わせによって、クリップの保持荷重を異ならせることができる。
次に上述の第2の発明によれば、取付孔はクリップの厚み方向に遊びが確保されているのでクリップ構造体を取付孔に円滑に挿入できる。また、遊びの範囲でクリップ構造体が取付孔の中で移動しても、保持荷重を発揮する傾斜面と係止孔の対応および保持荷重を発揮しない傾斜面と逃がし孔の対応が保たれるため、所定の保持荷重が確実に発揮される。
次に上述の第3の発明によれば、逃がし孔は各傾斜面が係止しないことが確実である。また、逃がし孔とクリップ構造体との隙間は広くはないため、クリップ構造体の捩れ等によるズレを有効に防ぐことができる。
次に上述の第4の発明によれば、第1傾斜面で係止孔に係止するときの厚みと、第2傾斜面が係止孔に係止するときの厚みが同じであるため、係止状態がバランスしており、いずれの傾斜面で係止する場合も同等の安定度で所定の保持荷重が発揮される。
図1に本発明の一実施例であるクリップによる取付構造に用いるクリップ本体10の自由状態形状での外観斜視図を示す。クリップ本体10は樹脂で形成され、内側に形成される一対の座面係合部片14と、座面係合部片14の外側に形成される、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片20を有する。そして、取付係止片20には外方に山形状に突起形成されて、挿入時に近接変形して弾発力を生ずる挿入傾斜面22と、抜き取り方向に対して係止機能を果たす係止傾斜面24とを有し、山形状の最突部で挿入傾斜面22と係止傾斜面24の境には係止肩25が形成されている。係止傾斜面24の挿入方向後方には脚片21が形成されている。
挿入傾斜面22は取付係止片20の拡開方向に直交する厚み方向の全幅が同じ傾斜状態で形成され、拡開方向に対称な形状となっている。一方、係止傾斜面24は傾斜状態の異なる第1傾斜面26と第2傾斜面28とが、同じ厚みで隣接して配設形成されており、拡開方向に対称な形状となっている。なお、第1傾斜面26は傾斜状態が緩やかに形成されており、第2傾斜面28は第1傾斜面26よりも傾斜状態が急に形成されている。
なお、取付孔42の開口長さは、クリップ構造体12を挿入した状態で、クリップ構造体12が開口長さ方向の移動が許容される遊びを有した長さとされている。そのためクリップ構造体12を挿入しやすい。
第2傾斜面28の係止部が係止孔44に係止するときは、第1傾斜面26の係止部が係止孔44に係止するときよりも、係止部と係止孔44のなす角度が大きいため、抜き取り方向に対してより大きな効力を生じるため、保持荷重が大きい。
図5は図4のA−A断面図である。この第1傾斜面26が係止孔44に係止した位置では、抜き方向に対して係止孔44に係止する第1傾斜面26が抗力を発揮する。図6は図4のB−B断面図である。この第2傾斜面28が逃がし孔46に挿入された位置では、逃がし孔46の幅がクリップ本体10の自由状態形状における係止肩25の幅と同一であるため、第2傾斜面28が逃がし孔46に係止することはない。
なお、クリップ構造体12の取付位置が取付孔42の遊び方向で移動しても、保持荷重を発揮する第1傾斜面26が係止孔44から外れることがなく、逃がし孔46に面した第2傾斜面28が係止孔44に係ることがないように係止孔44及び逃がし孔46の長さが設定されているので、クリップ構造体12の遊び方向の移動でクリップ構造体12の取付孔42に対する係止状態が変化することはない。
図8は図7のC−C断面図である。この第2傾斜面28が係止孔44に係止した位置では、抜き方向に対して係止孔44に係止する第2傾斜面28が抗力を発揮する。図9は図7のD−D断面図である。この第1傾斜面26が逃がし孔46に挿入された位置では、逃がし孔46の幅がクリップ本体10の自由状態形状における係止肩25の幅と同一であるため、第1傾斜面26が逃がし孔46に係止することはない。
なお、係止孔44及び逃がし孔46の長さは、クリップ本体10を逆転位置で取り付けたときに、クリップ構造体12の取付位置が取付孔42の遊び方向で移動しても、保持荷重を発揮する第2傾斜面28が係止孔44から外れることがなく、逃がし孔46に面した第1傾斜面26が係止孔44に係ることがないような長さに設定されている。
そのため、低保持荷重の図4の場合には、クリップ構造体12が紙面の手前に寄った時でも、第2傾斜面28は係止孔44に係らないので保持荷重は変化しない。また、クリップ構造体12が紙面後方へ寄った時でも、第1傾斜面26は係止孔44に係っているので保持荷重は変化しない。
高保持荷重の図7の場合には、クリップ構造体12が紙面の手前に寄った時でも、第1傾斜面26は係止孔44に係らないので保持荷重は変化しない。また、クリップ構造体12が紙面後方へ寄った時でも、第2傾斜面28は係止孔44に係っているので保持荷重は変化しない。
このように、逃がし孔46の長さを取付孔42の遊びを考慮して設定することによって、遊びの範囲でクリップ構造体が取付孔の中で移動しても、保持荷重を発揮する傾斜面と係止孔の対応および保持荷重を発揮しない傾斜面と逃がし孔の対応が保たれるため、所定の保持荷重が確実に発揮される。
実施例では、第1傾斜面26の厚みと第2傾斜面28の厚みが同一であるため、第1傾斜面26で係止孔44に係止するときの厚みと、第2傾斜面28が係止孔44に係止するときの厚みが同じであるため、係止状態がバランスしており、いずれの傾斜面で係止する場合も同等の安定度で所定の保持荷重が発揮される。
クリップ本体10は、厚み方向のいずれか一箇所で拡開方向に近接変形すると、厚み方向の全域でほぼ同程度の幅だけ近接変形する性質がある。よって、自由状態形状であっても係止孔44に係止した状態であっても、第1傾斜面26の拡開方向の幅と第2傾斜面28の拡開方向の幅の差は変化しない。したがって、逃がし孔46の幅を、係止孔44の幅に比べて傾斜面の幅の差の最大値分だけ左右均等に振り分けて広くすれば、一方の傾斜面が係止孔44しているとき、他方の傾斜面は逃がし孔46に係らないようにすることができる。
逃がし孔をできるだけ小さくすることにより、クリップ本体10の挿入方向回りの捩れ等を抑えて、安定した係止をさせることができる。
12 クリップ構造体
14 座面係合部片
16 係合突部
20 取付係止片
21 脚片
22 挿入傾斜面
24 係止傾斜面
25 係止肩
26 第1傾斜面
27 中立位置
28 第2傾斜面
29 ストレート部
30 取付部材
32 座面部材
34 係合板
36 係合孔
38 両側板
39 係合斜面
40 被取付部材
42 取付孔
44 係止孔
46 逃がし孔
47 表面側
48 裏面側
Claims (4)
- 取付部材に突設状態で配設される座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体を、被取付部材に形成された取付孔に、該被取付部材の挿入方向表面側から裏面側に向けて挿入して、取付部材を被取付部材に着脱可能に取付けるクリップによる取付構造であって、
前記樹脂製のクリップ本体は、内側に形成される、前記座面部材を両側から挟持する一対の座面係合部片と、該座面係合部片の外側に形成され、前記被取付部材の取付孔に挿通し係止される、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片とを有し、
前記取付係止片は外方に山形状に突起形成されて、挿入時に近接変形して弾発力を生ずる挿入傾斜面と、抜き取り方向に対して係止機能を果たす係止傾斜面とを有し、
前記取付係止片の挿入傾斜面は同じ傾斜状態に形成されているが、係止傾斜面はその傾斜状態の異なる第1傾斜面と第2傾斜面が、前記拡開方向と直交する厚み方向に所定の厚みで隣接して配設され、該第1傾斜面と第2傾斜面は該拡開方向の両側に対称に配置形成されており、
前記被取付部材に形成される取付孔は、前記第1傾斜面と第2傾斜面のいずれかの傾斜面が係止することのできる孔の大きさの係止孔と、該係止孔の孔よりも大きく前記いずれの傾斜面も係止することのできない大きさの逃がし孔とが連続して1つの孔として形成されており、
前記クリップ本体は、第1傾斜面を係止孔に対応させ第2傾斜面を逃がし孔に対応させる正位置と、クリップ本体または取付孔を180度回転して第1傾斜面を逃がし孔に対応させ第2傾斜面を係止孔に対応させる逆転位置で使用することができ、
同一形状のクリップ本体と、同一形状の取付孔の組み合わせによって、クリップの挿入荷重を変えることなくクリップの保持荷重を異ならせることができることを特徴とするクリップによる取付構造。 - 請求項1に記載のクリップによる取付構造であって、
前記取付孔の前記クリップ本体の厚み方向に対応させて形成する開口長さは、該クリップ構造体が該取付孔に取付けられた状態で該開口長さ方向の移動が許容される長さとされており、
前記逃がし孔と前記係止孔が幅方向の中心を同一線上として該開口長さ方向に連続して形成されており、
該クリップ構造体が該取付孔のいずれの位置にあっても、前記第1傾斜面と第2傾斜面のいずれか一方の傾斜面は係止孔に係止し、他方の傾斜面は逃がし孔のみに対応して係止孔には係止しないことを特徴とするクリップによる取付構造。 - 請求項2に記載のクリップによる取付構造であって、
前記逃がし孔の幅は、前記クリップ本体の自由状態形状時における一対の取付係止片の係止傾斜面における最大幅であることを特徴とするクリップによる取付構造。 - 請求項3に記載のクリップによる取付構造であって
前記第1傾斜面の厚みと前記第2傾斜面の厚みが同一であることを特徴とするクリップによる取付構造。
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