JP4711163B2 - 薄膜デバイスの製造方法 - Google Patents

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本発明は、薄膜素子や薄膜回路等を含む被転写体を一の基板から他の基板上へ転写することにより薄膜デバイスを製造する技術の改良に関する。
本出願人は、薄膜トランジスタ等の薄膜素子を所望の基板上に形成する方法として、基板(転写元基板)上に剥離層を介して被転写体を形成し、これを他の基板(転写先基板)に接合してから剥離層に光を照射し剥離を生じさせ、一方の基板から他方の基板へ被転写体を転写する技術を開発し、既に特許出願している(特開平10−125931号公報:特許文献1)。同じく本出願人は、被転写体を仮の転写先基板(仮転写基板)に接合し、これをさらに最終的な転写先基板に転写する技術を開発し、既に特許出願している(特開平11−26733号公報:特許文献2)。これらの製造技術によれば、製造に高温プロセスを要求される機能性デバイスを、耐熱性の低いプラスチック基板等も含めて所望の基板上に形成することができる。
特開平10−125931号公報 特開平11−26733号公報
上述した従来の転写技術では、転写元基板上の被転写体を転写先基板(又は仮転写基板)に接合させるために両基板の間隙に液状の接着剤を注入する。かかる接着材の注入方法として真空注入方式が検討されていた。真空注入方式では、まず接着剤を充填すべき領域を囲むシール部材等を設けて転写元基板と転写先基板とを貼り合わせることにより、当該領域をほぼ密閉する。このとき、当該領域の一部は開口しておく。次に、両基板の周辺雰囲気を減圧し、接着剤を充填すべき領域の開口部に接着剤を配置する。その後、減圧を解除することにより、接着剤を充填すべき領域と外界とに圧力差を生じ、これによって接着剤が注入される。
しかし、転写先基板として撓みやすいものを使用した場合や、基板の厚みが比較的に薄く、接着剤を注入すべき領域の面積が大きい場合等においては、基板の周辺雰囲気を減圧した際に基板が凹状に撓みやすくなる。この結果、接着剤を注入すべき空間と外部との圧力差が相対的に小さくなり、接着剤の注入に要する時間が長くなる。このような問題は傾きによる接着層の厚みの差が拡大される大型基板で、より顕著に表れる傾向にあった。
そこで、本発明は、薄膜素子の転写技術において、転写元基板と転写先基板との間隙に接着剤を注入する際に要する時間の大幅な短縮を可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明に係る薄膜デバイスの製造方法は、薄膜素子を含む被転写体を転写元基板から転写先基板へ転写して薄膜デバイスを製造する方法であって、転写元基板上に剥離層を介して被転写体を形成する第1工程と、上記転写元基板上の転写対象領域又は上記転写先基板上の被転写対象領域を取り囲む囲み部を形成する第2工程と、上記転写元基板と上記転写先基板とを、上記転写元基板と上記転写先基板と上記囲み部とによって閉空間が画定されるように貼り合わせる第3工程と、上記転写元基板と上記転写先基板との接合体を減圧雰囲気に置く第4工程と、上記閉空間と連通するように上記転写元基板又は上記転写先基板のいずれかに予め設けられる貫通孔の上記閉空間と当接しない一方の開口に接着剤を配置する第5工程と、上記転写元基板と上記転写先基板との接合体を上記減圧雰囲気よりも高圧な雰囲気に晒し、上記貫通孔を介して上記閉空間へ上記接着剤を注入する第6工程と、上記接着剤を硬化させる第7工程と、上記剥離層にエネルギーを与えて当該剥離層の密着力を弱める第8工程と、上記転写元基板を取り外し、上記接着剤により上記転写先基板に固着した上記転写対象領域の被転写体を当該転写先基板に転写する第9工程と、を含むものである。
かかる方法では、真空注入法によって接着剤の充填を行う場合において、転写元基板又は転写先基板に、接着剤を充填すべき閉空間に連通する貫通孔を設けておき、当該貫通孔を介して接着剤を注入しているので、接着剤の流路が短くなり、注入に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。特に、基板サイズが大きくなった場合にも適宜複数の貫通孔を設ければよく、基板サイズによらず接着剤の注入に要する時間を短縮できる利点がある。なお、貫通孔が一つ或いは少数であっても、従来の方法に比べて接着剤の注入時間を短縮する効果が得られる。
ここで「被転写体」とは、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗、インダクタ、キャパシタ、その他能動素子・受動素子を問わない単体の素子、一定の機能を奏するように素子が集積され配線された集積回路等の回路(チップ)、さらに複数の素子の組み合わせからなる回路の一部、集積回路等の回路を1以上組み合わせて一定の機能を奏するように構成された装置の全部又は一部を意味する。すなわち、「被転写体」の構成や形状、大きさには限定はない。
また、「転写元基板」とは、被転写体が複数集積して形成される基板をいい、必ずしも平板であることを要しない。例えば被転写体が球面に形成されるものでもよく、また可撓性を有するフィルムのように一定の剛性を有しないものでもよい。「転写先基板」とは、被転写体を配置すべき対象をいい、必ずしも平板であることを要しない。例えば被転写体が球面に形成されるものでもよく、また可撓性を有するフィルムのようなものでもよい。また、転写プロセスを2回繰り返す場合において、1回目の転写プロセスで被転写体が仮に配置される基板(仮転写基板)であってもよい。
「転写対象領域」とは、転写される一以上の被転写体を含む領域であり、必ずしも転写元基板上に形成された被転写体全部を含む必要はない。「囲み部」とは、転写対象領域を取り囲む一定の厚み(高さ)の壁や土台のようなものをいい、薄膜プロセスで形成される薄膜であるかエッチング等の造形手段で形成される構造であるか印刷等によって一定の厚みに形成されるバンクであるか等を問わない。
上記第5工程における上記貫通孔は、少なくとも上記転写元基板又は上記転写先基板の略中央に一つ設けられることが好ましい。
貫通孔の少なくとも一つが基板の略中央に設けられることにより、当該貫通孔を介して注入された接着剤が基板平面上で八方に広がって充填されるので、特に基板全体に一括して接着剤を供給したい場合に有利である。
また、上記第5工程における上記貫通孔は、上記転写元基板又は上記転写先基板に複数設けられることも好ましい。
貫通孔を複数設けることにより、接着剤の供給時間をより短縮することが可能となる。
更に、上記貫通孔を複数設ける場合には、各貫通孔が等間隔に配置されるのも好ましい。
これにより、接着剤をムラ無く均一に充填することが容易となる。
また、上記第5工程における上記貫通孔は、上記転写先基板に、上記被転写体が転写されるべき位置を外して配置されることも好適である。
例えば、被転写体が比較的にデリケートな素子である場合などにおいて、接着剤の流動による影響を受けにくくなり都合がよい。
また、上記被転写体が複数存在する場合には、上記第2工程における上記囲み部が複数の上記被転写体のそれぞれを囲むように複数設けられ、上記第5工程における上記貫通孔は、上記転写先基板上に複数の上記囲み部のそれぞれと一対一に対応して設けられることが好ましい。
これにより、各被転写体に対してより確実に接着剤を供給することが可能となる。また、場合によっては、各貫通孔に対して選択的に接着剤を供給することにより、被転写体を選択的に転写することも可能となる。
また、上記貫通孔の上記一方の開口の周辺に予め接着剤停留部を設けておき、上記第5工程では、当該接着剤停留部に上記接着剤を配置することが好ましい。特に、上記接着剤停留部は上記貫通孔と一対一に対応して設けられることが好ましい。
これにより、各貫通孔に対して必要充分な量の接着剤をより確実に供給することが可能となる。
また、上記接着剤停留部は複数の上記貫通孔に渡る範囲に設けられることも好ましい。
複数の貫通孔に渡って接着剤停留部を形成することにより、各貫通孔の近傍に個別に接着剤を配置する場合にくらべて接着剤の供給が簡単になる。また、広範囲をカバーするように接着剤停留部を設けることにより、貫通孔を多数設けた場合にも、各貫通孔に対して必要充分な量の接着剤を安定して供給することが可能となる。
また、上記第3工程に先立って、上記転写元基板と上記転写先基板との間隙を一定に保つスペーサを上記転写元基板上及び/又は上記転写先基板上に配置する第10工程を更に含むことも好ましい。ここで「スペーサ」は、基板間に挟まれた場合に基板間を所定間隔に保つ機能を担う部材のをいい、微小チップや微粒子、ファイバー等がペーストに拡散されたいわゆるギャップ材等をいう。
これにより、転写元基板と転写先基板との間隙を所望状態に保つことが容易となり、接着剤の注入時間を更に短縮することが可能となる。
また、上記貫通孔が上記転写先基板に設けられる場合には、上記第6工程及び上記第7工程においては、上記貫通孔に上記接着剤が残留するように当該接着剤の注入及び硬化を行うことが好ましい。
これにより、貫通孔が接着剤によって埋められる。最終的に、薄膜デバイスを構成する基板として貫通孔が不要な場合や貫通孔が存在すると不都合な場合等において、特に都合がよい。
本明細書において、「回路基板」とは、一方面及び/又は他方面に複数の回路素子(例えば薄膜トランジスタ、抵抗、コンデンサ等)を有し、必要に応じて各回路素子の相互間を接続する配線等も有する基板をいい、例えば、有機EL表示装置等の表示装置に用いられるアクティブマトリクス基板が挙げられる。
「電気光学装置」とは、電気的作用によって発光するあるいは外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するもの双方を含む。例えば、電気光学素子として、液晶素子、電気泳動素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子を備えたアクティブマトリクス型の表示装置等をいう。
「電子機器」とは、複数の素子または回路の組み合わせにより一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。回路基板を一枚または複数備えることが可能である。その構成に特に限定が無いが、例えば、ICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が含まれる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の薄膜デバイスの製造方法について概略的に説明する斜視図である。図1に示すように本実施形態の製造方法は、予め転写元基板10上に薄膜素子を含む被転写体12を形成しておき、その後これらの被転写体12を転写先基板20へ転写することによって、薄膜デバイスを製造するものである。これらの被転写体12を転写する際には、各被転写体12を転写先基板20へ接合させるために接着剤を供給する必要がある。本実施形態では、転写元基板10と転写先基板20との相互間に所定の間隙を与えて貼り合わせた後に、転写先基板20に設けられた貫通孔22を介して接着剤を供給する。接着剤を供給した後に、転写元基板10を離脱させることによって、被転写体12が転写先基板20へ移動する。転写元基板10上には、各被転写体12を含む転写対象領域を取り囲む囲み部14が設けられる。また、転写元基板10上(又は転写先基板20上)には当該転写元基板10と転写先基板20との間隙を一定に保つ機能を担うスペーサ16が設けられる。また、転写先基板20には、各貫通孔22の一方の開口の周辺に、接着剤を供給する際に一時的に留める機能を担う凹状の接着剤停留部(たまり部)24が設けられる。
図2及び図3は、第1の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。各図は図1のa−a切断面に対応する断面図である。
(被転写体形成工程)
まず、図2(A)に示すように、転写元基板10上に剥離層11を介して各被転写体12を形成する。
転写元基板10は、光が透過し得る透光性を有するものであることが好ましい。後述する工程において、基板10を介して剥離層11に光を照射することができ、剥離層11を光照射によって迅速かつ正確に剥離させることができるからである。光の透過率は10%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。この透過率が高い程光の減衰(ロス)がより少なくなり、剥離層11を剥離するのにより小さな光量で済むからである。
転写元基板10は、信頼性の高い材料で構成されているのが好ましく、特に、耐熱性に優れた材料で構成されているのが好ましい。その理由は、被転写体12を形成する際に、その種類や形成方法によってはプロセス温度が高くなる(例えば350℃〜1000℃程度)ことがあるが、そのとき転写元基板10が耐熱性に優れていれば、転写元基板10上への被転写体12の形成に際し、その温度条件等の成膜条件の設定の幅が広がるからである。これにより転写元基板上に多数の素子や回路を製造する際、所望の高温処理が可能となり、信頼性が高く高性能の素子や回路を製造することができる。従って、転写元基板10は、被転写体12の形成の際の最高温度をTmaxとしたとき、歪点がTmax以上の材料で構成されているものが好ましい。具体的には、転写元基板10の構成材料は、歪点が350℃以上のものが好ましく、500℃以上のものがより好ましい。
また、転写元基板10の厚さは、特に限定されないが、通常は、0.1mm〜5.0mm程度であるのが好ましく、0.5mm〜1.5mm程度であるのがより好ましい。転写元基板10の厚さがより厚ければより強度が上昇し、より薄ければ転写元基板10の透過率が低い場合に、光の減衰をより生じにくくなるからである。なお、転写元基板10の光の透過率が高い場合には、その厚さは、上記上限値を超えるものであってもよい。なお、光を均一に照射できるように、転写元基板10の厚さは、均一であるのが好ましい。
上述したような種々の条件を満たす転写元基板10は比較的に高価となるが、転写元基板は最終製品となる転写先基板とは異なり、繰り返し利用することが可能であるため、繰り返しの利用により、全体の製造コストの上昇を抑えることが可能である。
剥離層11は、照射される光を吸収し、その層内及び/または界面において剥離(以下、「層内剥離」、「界面剥離」と言う)を生じるような性質を有するものであり、好ましくは、光の照射により剥離層11を構成する物質の原子間または分子間の結合力が消失または減少すること、すなわち、アブレーションが生じて層内剥離および/または界面剥離に至るものがよい。光の照射により、剥離層11から気体が放出されて分離効果が発現される場合もある。すなわち、剥離層11に含有されていた成分が気体となって放出される場合と、剥離層11が光を吸収して一瞬気体になり、その蒸気が放出され、分離に寄与する場合とがある。
このような剥離層11の組成としては、半導体、金属、強誘電体、有機化合物など種々のものが考えられるが、特にアモルファスシリコンが好適に用いられる。アモルファスシリコンはCVD、特に低圧CVDやプラズマCVDにより成膜するのが好ましい。また、アモルファスシリコン中には、水素(H)が含有されていてもよい。この場合、水素の含有量は、2原子%以上程度であるのが好ましく、2〜20原子%程度であるのがより好ましい。このように、水素が所定量含有されていると、光の照射によって水素が放出され、剥離層11に内圧が発生し、それが上下の薄膜を剥離する力となる。アモルファスシリコン中の水素の含有量は、成膜条件、例えばCVDにおけるガス組成、ガス圧、ガス雰囲気、ガス流量、温度、基板温度、投入パワー等の条件を適宜設定することにより調整することができる。アモルファスシリコンは光吸収性がよく、また、成膜も容易であり実用性が高い。したがって、剥離層をアモルファスシリコンで構成することによって、光照射により正確に剥離を生じる剥離層を安価に形成することができる。その他、剥離層11を水素含有合金で構成することもできる。剥離層に水素含有合金を用いた場合、光の照射に伴い水素が放出され、これによって剥離層11における剥離が促進されるからである。
剥離層11の厚さは、剥離目的や剥離層の組成、層構成、形成方法等の諸条件により異なるが、通常は、1nm〜20μm程度であるのが好ましく、10nm〜2μm程度であるのがより好ましく、40nm〜1μm程度であるのがさらに好ましい。剥離層11の膜厚がより大きい程より成膜の均一性を保て剥離にムラを生じにくくなる一方、膜厚がより薄い程剥離層11の良好な剥離性を確保するための光のパワー(光量)が小さくて済むとともに、後に剥離層11を除去する際にその作業にかかる時間がより少なくなるからである。なお、剥離層11の膜厚は、できるだけ均一であるのが好ましい。
剥離層11上に形成される各被転写体12は、薄膜トランジスタその他の能動素子や受動素子、又はそれらの組み合わせからなる回路である。被転写体12は、個々の素子であったり集積回路等の独立した機能を有するチップであったり、さらに両者の中間の独立した機能は奏しないが他の素子や回路と組み合わせることにより独立して機能する回路の部分であったりする。したがってその構造やサイズに限定はない。各被転写体12は、同じ機能の素子又は回路を複数形成する場合の他、異なる機能の素子又は回路を複数形成したり、異なる種類の素子又は回路をそれぞれ複数個ずつ形成したりしてもよい。このような薄膜素子の例として、薄膜トランジスタの他に、例えば、薄膜ダイオードや、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子(光センサ、太陽電池)やシリコン抵抗素子、その他の薄膜半導体デバイス、電極(例:ITO、メサ膜のような透明電極)、スイッチング素子、メモリ、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー(ピエゾ薄膜セラミックス)、磁気記録薄膜ヘッド、コイル、インダクター、抵抗、キャパシタ、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルター、反射膜、ダイクロイックミラー等がある。
(囲み部形成工程)
次に、図2(B)に示すように、転写元基板10上の転写対象領域を取り囲む囲み部14を形成する。
本例では、転写元基板10上に形成された全ての被転写体10を一括して転写する場合を想定しており、これら各被転写体10を含む範囲が転写対象領域に対応するため、当該領域を取り囲むようにして囲み部14を形成している。囲み部14は、転写元基板10と転写先基板20とを一定間隔に保つ機能も兼ねるべく均一な厚みで形成される。囲み層14は、例えば5μm〜50μm程度の厚みに形成される。
なお、各被転写体10を選択的に転写する場合には、当該選択的な転写の対象となる一又は複数の被転写体10を含む範囲を転写対象領域とし、当該領域のそれぞれを取り囲むように囲み部14を形成するとよい。また、囲み部14は転写先基板20上の各被転写体12が転写されるべき領域(被転写対象領域)を囲むように形成されてもよい。
囲み部14の材料としては、均一形成が可能であって、一時的な間隔保持に耐えられるような強度を有する材料であればよい。例えば、一般の薄膜材料を公知の薄膜形成方法で形成し、その後パターニングすることで囲み部14が得られる。具体的には、窒化膜や酸化膜を公知CVD法やスパッタ法で一定膜厚に形成し、フォトリソグラフィ法を適用してパターニングすることで囲み部14を得る。また、公知の印刷法、例えばスクリーン印刷法を適用してもよい。
また、本工程において、囲み部14の形成の前後または同時に、転写対象領域であって被転写体10に重ならない位置にスペーサ16を形成する。転写対象領域のどの位置においても基板間が同一の間隔に保たれるように、スペーサ16は転写対象領域内に均等に分散させることが好ましい。スペーサ16としては、金属球など一な径の微小球を乳剤中に適量分散したものが好適に用いられ、例えばシリカ微粒子やグラスファイバーといったものが利用可能である。
(基板貼り合わせ工程)
次に、図2(C)に示すように、転写元基板10と転写先基板20とを貼り合わせる。このとき、両基板間に囲み部14が介在し、転写元基板10と転写先基板20と囲み部14とによって閉空間が画定されるようにして貼り合わせを行う。両基板の間隙は、囲み部14及びスペーサ16によって均一に保たれる。
転写先基板20としては、特に限定されないがガラス、プラスチック等の透明基板が好適に用いられる。また転写先基板20は、転写元基板10に比べ、耐熱性等の特性が劣るものであってもよい。本実施形態では、デバイス形成に適した条件を有する転写元基板10に被転写体12を形成し、その後、被転写体12を転写先基板20に転写するため、転写先基板20に要求される特性(特に耐熱性)が被転写体12の形成時のプロセス温度に依存しないからである。従って、被転写体12の形成の際の最高温度をTmaxとしたとき、転写先基板20の構成材料として、ガラス転移点(Tg)または軟化点がTmax以下のものを用いることができる。例えば、転写先基板20は、ガラス転移点(Tg)または軟化点が好ましくは800℃以下、より好ましくは500℃以下、さらに好ましくは320℃以下の材料で構成することができる。
転写元基板10と転写先基板20とは重ね合わせた状態を接着剤が充填され硬化するまで保持することを要する。すなわち重ね合わせただけでは両基板の密着性が低く、上述した閉空間の密封性が低いので、何らかの外力により両基板を相対的に動くことなく仮固定しておく必要がある。囲み部14の上面に薄く接着剤を塗布して両基板を仮固定しておけば、囲み部4で囲まれる空間の気密性を保てるため好ましい。また、両基板を適度に押圧してその状態を保持するように構成された治具等を用いてもよい。
(減圧工程)
次に、転写元基板10と転写先基板20との接合体(図2(C)参照)を減圧雰囲気に置く。例えば、転写元基板10と転写先基板20との接合体を真空チャンバ内に配置し、その後真空チャンバ内を排気して相対的な低圧雰囲気(例えば0.1mmHg〜10mmHg)に減圧する。これにより、両基板と囲み部14とによる閉空間内についても、各貫通孔22を介して排気されて真空チャンバ内と同様に減圧される。
(接着剤配置工程)
次に、図2(D)に示すように、各貫通孔22の一方の開口、具体的には転写元基板10、転写先基板20及び囲み部14によって画定される上記の閉空間と当接せず、外部に接している側の開口近傍に接着剤26を配置する。接着剤26は、例えば滴下式のディスペンサ等の供給装置によって供給される。接着剤26としては、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤が挙げられる。適当な粘度となるよう、接着剤26には適当な溶剤を添加して粘度を調節しておいてもよい。本実施形態では、各貫通孔22の一方の開口に連接して凹状の接着剤停留部24によって、接着剤26が各貫通孔22の開口近傍に一時的に停留する。従って、必要充分な量の接着剤26をより安定して供給することが可能となる。
(接着剤注入工程)
次に、転写元基板10と転写先基板20との接合体を上述した減圧雰囲気よりも高圧な雰囲気に晒す。具体的には、減圧状態にした真空チャンバ内の気圧を常圧に戻す。なお、原理的には、必ずしも常圧に戻さなくても、上記した減圧工程における真空チャンバ内の気圧よりも高い気圧にすればよい。両基板間の閉空間が低圧状態となっているところで真空チャンバ内の気圧が上がるため、その気圧差によって、図3(A)に示すように液状の接着剤26が各貫通孔22を介して転写対象領域を含む基板間の空間に注入される。そして、図3(B)に示すように、閉空間に接着剤26が充填される。また、本実施形態では、各貫通孔22及びこれらのそれぞれに連接する接着剤停留部24にも接着剤26が残留するように接着剤26の供給量を調整する。
(接着剤硬化工程)
次に、転写元基板10と転写先基板20との間に注入された接着剤26を硬化させる。本実施形態では、貫通孔22及び接着剤停留部24に残留させた接着剤26についても硬化し、これらの貫通孔22等が接着剤26によって塞がれる。接着剤26の硬化方法については当該接着剤26の種類によって選択される。例えば、熱硬化型接着剤を使用した場合には、雰囲気温度を上げたりレーザ光やμ波を照射したりして一部の温度を上昇させて接着剤を順次硬化していく。光硬化型接着剤を使用した場合には、紫外線や赤外線、可視光、レーザ光等の光源を充填された接着剤26に照射して硬化させるとよい。光による硬化を行う場合には、光照射を転写先基板20側から行うことが好ましい。被転写体12の光透過性の有無に依らず、接着剤を均一に硬化させることができるからである。この場合には、転写先基板20として光透過性を備えているものを用いるとよい。
(密着力弱化工程)
次に、剥離層11にエネルギーを与えることにより剥離(層内剥離および/または界面剥離)を生じさせて、当該剥離層11の密着力を弱める。エネルギー付与の方法については、剥離層11に層内剥離および/または界面剥離を起こさせるものであればいかなるものでもよいが、特にレーザ光照射によって行うことが好適である。本実施形態では、図3(C)に示すように、転写元基板10を介して剥離層11に対してレーザ光30を照射することによってエネルギー付与を行う。
剥離層11に層内剥離および/または界面剥離が生じる原理は、剥離層11の構成材料にアブレーションが生じること、また、剥離層11に含まれているガスの放出、さらには照射直後に生じる溶融、蒸散等の相変化によるものである。ここで、アブレーションとは、照射光を吸収した固定材料(剥離層11の構成材料)が光化学的または熱的に励起され、その表面や内部の原子または分子の結合が切断されて放出することをいい、主に、剥離層11の構成材料の全部または一部が溶融、蒸散(気化)等の相変化を生じる現象として現れる。また、上記の相変化によって微小な発泡状態となり、結合力が低下することもある。剥離層11が層内剥離を生じるか、界面剥離を生じるか、またはその両方であるかは、剥離層11の組成や、その他種々の要因に左右され、その要因の1つとして、照射される光の種類、波長、強度、到達深さ等の条件が挙げられる。
本実施形態では、上述したように剥離層11としてアモルファスシリコンを採用しているので、かかる材料に対して好適なレーザ光30の照射条件が設定される。レーザ光30の波長は100nm〜350nmであることが好ましい。このように短波長レーザ光を用いることにより、光照射精度が高められるとともに、剥離層11における剥離を効果的に行うことができる。上述の条件を満たすレーザ光としては、例えばエキシマレーザを挙げることができる。エキシマレーザは、短波長域で高エネルギーを出力するため、極めて短時間で剥離層11にアブレーションを生じさせることができる。よって、転写元基板10に温度上昇をほとんど生じさせることなく、被転写体12等に劣化、損傷を生じさせることなく、剥離層11を剥離することができる。また、レーザ光のエネルギー密度は、10〜5000mJ/cm2程度とするのが好ましく、100〜500mJ/cm2程度とするのがより好ましい。また、レーザ光の照射時間は、1n秒〜1000n秒程度とするのが好ましく、10n秒〜100n秒程度とするのがより好ましい。エネルギー密度がより高くまたは照射時間がより長い程アブレーション等が生じ易く、一方で、エネルギー密度がより低くまたは照射時間がより短い程、剥離層11を透過した照射光により被転写体12等に悪影響を及ぼすおそれを低減できるからである。
(転写工程)
次に、図3(D)に示すように、転写元基板10を転写先基板20から取り外し、接着剤26により転写先基板20に固着した転写対象領域の被転写体12を当該転写先基板20に転写する。転写元基板10の取り外しは、例えばくさび状の部材を転写元基板10と転写先基板20との間に差し入れて、両基板を引き離す力を加えることによって行われる。なお、転写元基板10の取り外し後、転写先基板20へ転写された被転写体12の底面及び転写元基板10の表面には剥離層11が残留する場合がある。この残留分を完全に取り除くための方法としては、例えば洗浄、エッチング、アッシング、研磨等の方法、またはこれらを組み合わせた方法の中から適宜選択して採用することができる。
このように、本実施形態では、真空注入法によって接着剤の充填を行う場合において、転写元基板又は転写先基板に、接着剤を充填すべき閉空間に連通する貫通孔を設けておき、当該貫通孔を介して接着剤を注入しているので、接着剤の流路が短くなり、注入に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。特に、基板サイズが大きくなった場合にも適宜複数の貫通孔を設ければよく、基板サイズによらず接着剤の注入に要する時間を短縮できる利点がある。
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態の薄膜デバイスの製造方法について概略的に説明する斜視図である。図示のように、本実施形態では、多数の貫通孔22aが等間隔に設けられた転写先基板20aを用いる場合について説明する。また本例では、複数の貫通孔22aを含む範囲、すなわち全ての貫通孔22aに渡る範囲に対応して、転写先基板20aの一面の大部分を凹ませることによって接着剤停留部24aが設けられている。これらの貫通孔22a及び接着剤停留部24aの態様以外の条件ついては、上述した第1の実施形態の場合と同様である。また本例では、接着剤停留部24aに接着剤を配置して当該接着剤26の供給を行った後の残余分を取り除きやすくすべく、着脱自在であり、接着剤停留部24aの一部を開放可能にするドレイン部21が設けられる。
図5は、第2の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。各図は図4のb−b切断面に対応する断面図である。なお、上記第1の実施形態と重複する内容については適宜説明を省略し、主に両実施形態の相違点を詳細に説明する。
まず、上述した第1の実施形態と同様にして、被転写体形成工程、囲み部形成工程、基板貼り合わせ工程及び減圧工程の各工程を行う(図2(A)〜図2(C)参照)。
(接着剤配置工程)
次に、図5(A)に示すように、各貫通孔22aの一方の開口、具体的には転写元基板10、転写先基板20a及び囲み部14によって画定される上記の閉空間と当接せず、外部に接している側の開口近傍に接着剤26を配置する。本実施形態では、多数の貫通孔22aに渡って接着剤停留部24aを形成しているので、各貫通孔に対して一対一に接着剤停留部を設け、各接着剤停留部に個別に接着剤を配置する場合にくらべて接着剤の供給が簡単になる。また、広範囲をカバーするように接着剤停留部24aを設けているので、多数の貫通孔22aに対しても必要充分な量の接着剤26をより安定して供給することが可能となる。
(接着剤注入工程)
次に、図5(B)に示すように、転写元基板10と転写先基板20との接合体を上述した減圧雰囲気よりも高圧な雰囲気に晒し、各貫通孔22を介して転写対象領域を含む基板間の空間に接着剤26を注入する。更に本例では、接着剤26を必要十分に注入した後には、図5(C)に示すように、ドレイン部21を取り外して接着剤停留部24aの一部を開放し、スキージ27などの治具を用いて、接着剤26の残余分を取り除く処理を行う。本実施形態においても、各貫通孔22a内には接着剤26を残留させておくとよい。
その後、上述した第1の実施形態と同様にして、接着剤硬化工程、密着力弱化工程及び転写工程の各工程を行う(図3(C)〜図3(D)参照)。
本実施形態においても、注入に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。多数の貫通孔を設けているので、特に、基板サイズが大きい場合にも当該基板サイズによらず接着剤の注入に要する時間を短縮できる。また、各貫通孔が等間隔に配置されるので、接着剤をムラ無く均一に充填することが容易となる。
<第3の実施形態>
図6は、第3の実施形態の薄膜デバイスの製造方法について概略的に説明する斜視図である。図示のように、本実施形態では、各被転写体12のそれぞれに一対一に対応して囲み部14bが設けられる。また、転写先基板20bに、各被転写体12のそれぞれが転写されるべき位置と一対一に対応して各貫通孔22bが設けられ、各貫通孔22bの周囲に各接着剤停留部24bが設けられる。これらの囲み部14b、貫通孔22b及び接着剤停留部24bの態様以外の条件ついては、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
図7は、第3の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。各図は図6のc−c切断面に対応する断面図である。なお、上記第1の実施形態と重複する内容については適宜説明を省略し、主に両実施形態の相違点を詳細に説明する。
まず、上述した第1の実施形態と同様にして、被転写体形成工程を行う(図2(A)参照)。
(囲み部形成工程)
次に、図7(A)に示すように、転写元基板10上に各被転写体12をそれぞれ取り囲むように各囲み部14bを形成する。図示のように、各囲み部14bは、隣接する他の囲み部14bとの相互間に空間が生じるようにして形成される。これらの囲み部14bは、フォトリソグラフィ法を利用した薄膜パターン成形技術によって製造することは可能であるが、その幅が微細であることから、ここでは印刷法、例えば公知のスクリーン印刷法によって形成するとよい。本例では上述した実施形態のようにスペーサを用いず、各囲み部14bにその機能を兼ねさせている。このため、囲み部14bは、転写元基板10と転写先基板20との相互間を所望の間隔に保って貼り合わせるのに必要充分な厚さ、幅、強度を有するように形成される。囲み部14bの高さは、例えば10μm〜30μm程度に形成される。
(基板貼り合わせ工程・減圧工程)
次に、図7(B)に示すように、転写元基板10と転写先基板20bとを貼り合わせる。そして、転写元基板10と転写先基板20bとの接合体を減圧雰囲気に置く。各工程の詳細内容については第1の実施形態と同様である。
(接着剤配置工程・接着剤注入工程)
次に、図7(C)に示すように、各貫通孔22bの一方の開口、具体的には転写元基板10、転写先基板20b及び囲み部14bによって画定される各閉空間と当接せず、外部に接している側の開口近傍に接着剤26を配置する。その後、転写元基板10と転写先基板20との接合体を上述した減圧雰囲気よりも高圧な雰囲気に晒すことにより、各貫通孔22bを介して接着剤26を注入する。これにより、図7(D)に示すように、各囲み部14bによって囲まれる各閉空間のそれぞれに接着剤26が充填される。
その後、上述した第1の実施形態と同様にして、接着剤硬化工程、密着力弱化工程及び転写工程の各工程を行う(図3(C)〜図3(D)参照)。転写工程においては、各囲み部14bの間の空間に空気等の気体(或いは液体でもよい)を吹き込むことによって応力を発生させることにより、転写元基板10の取り外しが一層容易になる。
本実施形態においても、注入に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。また、各囲み部が複数の被転写体のそれぞれを囲むように複数設けられ、貫通孔も各囲み部のそれぞれと一対一に対応して設けられるので、これにより、各被転写体に対してより確実に接着剤を供給することが可能となる。また、場合によっては、各貫通孔に対して選択的に接着剤を供給することにより、被転写体を選択的に転写することも可能となる。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態は、上述した各実施形態の薄膜デバイスの製造方法を適用して製造される電気光学装置に関する。電気光学装置の一例として有機EL表示装置について説明する。
図8は、第4の実施形態の電気光学装置の構成例を示す断面図であり、一画素分の構造が示されている。図8に示す有機EL表示装置100は、各構成要素を支持する基板110が上述した各実施形態にかかる転写先基板に対応している。具体的には、有機EL表示装置100は、基板110と、この基板110上及び当該基板110の貫通孔112に渡って配置される接着層111と、薄膜トランジスタ等の薄膜素子を含み、接着層111上に配置される薄膜デバイス層113と、を含んで構成される。薄膜デバイス層113は、二の電極(陽極及び陰極)の間に発光層を介在させてなる有機EL素子120を含む発光素子層が下層側に配置され、有機EL素子の駆動回路を構成する2つの薄膜トランジスタ121、122やその他配線等を含む駆動回路層が上層側に配置されている。この薄膜デバイス層113は、上述した各実施形態における被転写体に対応しており、上述の転写プロセスによって基板110上に形成される。
図9は、電気光学装置の他の構成例を示す断面図である。上述の転写プロセスを2回繰り返すことにより、図9に示すように、駆動回路層が下層側に配置されるように有機EL表示装置を構成することも可能である。この場合には、上述した転写プロセスにおいて、1回目には接着剤として水溶性など後に除去しやすいものを用いて仮の転写先基板に一旦薄膜デバイスを接合し、その後、2回目の転写プロセスを行って最終的な転写先基板へ薄膜デバイスを転写すればよい。更に図9の例では、駆動回路層のみを転写プロセスによって形成してもよい。
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態は、上述した各実施形態の製造方法によって製造される電子機器に関する。ここでは、上記第4の実施形態において説明した電気光学装置を含んで構成される電子機器について説明する。
図10は、第5の実施形態にかかる電子機器の具体例を説明する図である。図10(A)は携帯電話への適用例であり、当該携帯電話230はアンテナ部231、音声出力部232、音声入力部233、操作部234、および本発明の電気光学装置100を備えている。このように本発明に係る電気光学装置は表示部として利用可能である。図10(B)はビデオカメラへの適用例であり、当該ビデオカメラ240は受像部241、操作部242、音声入力部243、および本発明の電気光学装置100を備えている。図10(C)はテレビジョンへの適用例であり、当該テレビジョン300は本発明の電気光学装置100を備えている。なお、パーソナルコンピュータ等に用いられるモニタ装置に対しても同様に本発明に係る電気光学装置を適用し得る。図10(D)はロールアップ式テレビジョンへの適用例であり、当該ロールアップ式テレビジョン310は本発明の電気光学装置100を備えている。また、電子機器はこれらに限定されず、表示機能を有する各種の電子機器に適用可能である。例えばこれらの他に、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなども含まれる。
<変形実施例>
本発明の適用範囲は上述した各実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した第1の実施形態においては、貫通孔を基板中央の一つのみとした場合であっても、接着剤の流路を短くする効果が得られ、従来の方法に比べて接着剤の注入時間を短縮することが可能である。
また、貫通孔は、転写先基板に、被転写体が転写されるべき位置を外して配置されるようにしてもよい。これにより、例えば、被転写体が比較的にデリケートな素子である場合などにおいて、接着剤の流動による影響を受けにくくなり都合がよい。
また、上述した各実施形態では、転写先基板側に貫通孔が設けられていたが、転写元基板側に貫通孔を設けてもよい。この場合、被転写体の形成領域を外して貫通孔を設けることがより好適である。
また、上述した実施形態では、主に被転写体の転写を1回だけ行うプロセスを中心に説明していたが、本発明は、被転写体を一旦、仮転写基板に転写し、その後最終的な転写先の基板に転写する2回転写プロセスにも適用可能である。この場合には、基本的に、上述した各実施形態における転写方法を2回繰り返せばよい。
また、上述した各実施形態にかかる薄膜デバイスの製造方法は、電気光学装置の製造以外にも種々のデバイスの製造に適用することが可能である。例えば、被転写体として回路素子、単位回路などを所望の基板上に転写することにより、回路基板を形成することが可能である。例えば、上述したような電気光学装置において、表示部の周囲に設けられる走査線駆動回路やデータ線駆動回路などを本発明の製造方法によって形成してもよい。
第1の実施形態の薄膜デバイスの製造方法について概略的に説明する斜視図である。 第1の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。 第1の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。 第2の実施形態の薄膜デバイスの製造方法について概略的に説明する斜視図である。 第2の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。 第3の実施形態の薄膜デバイスの製造方法について概略的に説明する斜視図である。 第3の実施形態の薄膜デバイスの製造方法を具体的に説明する工程図である。 第4の実施形態の電気光学装置の構成例を示す断面図である。 第4の実施形態の電気光学装置の他の構成例を示す断面図である。 第5の実施形態にかかる電子機器の具体例を説明する図である。
符号の説明
10…転写元基板、 11…剥離層、 12…被転写体、 14…囲み部、 16…スペーサ、 20…転写先基板、 22…貫通孔、 24…接着剤停留部、 26…接着剤

Claims (11)

  1. 薄膜素子を含む被転写体を転写元基板から転写先基板へ転写して薄膜デバイスを製造する方法であって、
    転写元基板上に剥離層を介して被転写体を形成する第1工程と、
    前記転写元基板上の転写対象領域又は前記転写先基板上の被転写対象領域を取り囲む囲み部を形成する第2工程と、
    前記転写元基板と前記転写先基板とを、前記転写元基板と前記転写先基板と前記囲み部とによって閉空間が画定されるように貼り合わせる第3工程と、
    前記転写元基板と前記転写先基板との接合体を減圧雰囲気に置く第4工程と、
    前記閉空間と連通するように前記転写元基板又は前記転写先基板のいずれかに予め設けられる貫通孔の前記閉空間と当接しない一方の開口に接着剤を配置する第5工程と、
    前記転写元基板と前記転写先基板との接合体を前記減圧雰囲気よりも高圧な雰囲気に晒し、前記貫通孔を介して前記閉空間へ前記接着剤を注入する第6工程と、
    前記接着剤を硬化させる第7工程と、
    前記剥離層にエネルギーを与えて当該剥離層の密着力を弱める第8工程と、
    前記転写元基板を取り外し、前記接着剤により前記転写先基板に固着した前記転写対象領域の被転写体を当該転写先基板に転写する第9工程と、
    を含む、薄膜デバイスの製造方法。
  2. 前記第5工程における前記貫通孔は、少なくとも前記転写元基板又は前記転写先基板の略中央に一つ設けられる、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  3. 前記第5工程における前記貫通孔は、前記転写元基板又は前記転写先基板に複数設けられる、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  4. 複数の前記貫通孔は等間隔に設けられる、請求項3に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  5. 前記第5工程における前記貫通孔は、前記転写先基板に、前記被転写体が転写されるべき位置を外して配置される、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  6. 前記被転写体が複数存在し、
    前記第2工程における前記囲み部は、複数の前記被転写体のそれぞれを囲むように複数設けられ、
    前記第5工程における前記貫通孔は、前記転写先基板上に、複数の前記囲み部のそれぞれと一対一に対応して設けられる、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  7. 前記第5工程は、前記貫通孔の前記一方の開口の周辺に予め設けられる接着剤停留部に前記接着剤を配置する、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  8. 前記接着剤停留部は前記貫通孔と一対一に対応して設けられる、請求項7に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  9. 前記接着剤停留部は複数の前記貫通孔に渡る範囲に設けられる、請求項7に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  10. 前記第3工程に先立って、前記転写元基板と前記転写先基板との間隙を一定に保つスペーサを前記転写元基板上及び/又は前記転写先基板上に配置する第10工程を更に含む、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
  11. 前記貫通孔が前記転写先基板に設けられ、
    前記第6工程及び前記第7工程は、前記貫通孔に前記接着剤が残留するように当該接着剤の注入及び硬化を行う、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
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