JP4710809B2 - モータの固定子製造方法、及びモータの固定子 - Google Patents

モータの固定子製造方法、及びモータの固定子 Download PDF

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Description

本発明は、モータに使用される固定子の構造に関し、詳細には、巻線を使用せずに薄板を積層して導体として使用するモータの、組立性を高めたモータの固定子製造方法、及びモータの固定子に関する。
モータに用いられる固定子は、固定子コアにエナメル被覆銅線を巻回する巻き線式の固定子が主流である。近年では、固定子の小型化や高出力化を目的として特許文献1に示すような薄板積層状の導体を用いた固定子も提案されている。
巻き線式の固定子よりも、薄板積層状の導体を用いた固定子の方が有利な点が2つある。第1の有利な点として、スロット内に装着された薄板積層状の導体同士を、薄板を積層した端部接続用の導体を用いて接合する方法を採用することで、コイルエンド部の厚みを抑えることができ、固定子の小型化に貢献することができる点があげられる。
第2の有利な点としては、巻き線式の固定子は、固定子のティース部にエナメル被覆銅線を巻回する構成となるが、エナメル被覆の割れを防ぐため最小曲げ半径を確保する必要等が生じ、用いることのできる巻線の太さに制限がある。巻き線式の固定子と比較して、薄板積層状の導体を用いた固定子は、端部で接続する構成となるので断面積を広くとることができ、導体のスロットの占積率を上げて電流密度を上げることが可能となる点があげられる。
図23に、薄板積層状の導体を用いた固定子の一例である特許文献1に示されるモータの固定子の分解斜視図を示す。
特許文献1のモータは、固定子コア110に積層コイル片120と環状接続コイル片130と他端側接続コイル片140と接続環150を組み合わせて構成されている。積層コイル片120は積層された2組の直線状の薄板状導体を絶縁樹脂により一体モールド成形して形成されている。環状接続コイル片130及び他端側接続コイル片140は、積層された薄板状導体を絶縁樹脂により一体モールド成形して形成されている。接続環150は、U、V、W相用の接続線及び中性線を組み合わせて円環状に配列したものを、絶縁樹脂によって一体モールド成形して形成されている。
そして、固定子コア110に設けられたスロット114に挿入され、機械加工が施された積層コイル片120の端部と、他のスロット114に挿入された積層コイル片120の端部とが、環状接続コイル片130及び他端側接続コイル片140を構成する機械加工された薄板の端部と突き合わされ、溶接接合されて電気的に導通する。
このように積層された薄板状導体をそれぞれ樹脂モールドして組み合わせ、電気的に接続することで、薄板積層状の固定子を構成するので、固定子の端部は、環状接続コイル片130、他端側接続コイル片140、及び接続環150の厚み分だけで良く、固定子のコンパクト化に有利である。また、スロット114に挿入される固定子コア110は薄板を積層して作られる構成であるので、スロット114の占積率を高めることができ、電流密度を上げることが可能であるので、固定子の高出力化にも有利である。
しかし、特許文献1の開示されているモータの固定子では、薄板同士の接合部分は両面で400カ所以上となる。したがって、薄板同士の接合部分を溶接接合するのに、TIG溶接やレーザー溶接などいずれの溶接方法を用いたとしても、全ての接点に対してTIG溶接のトーチ或いはレーザー溶接のスポットを正確に位置決めする必要があるので、溶接に時間がかかる。
また、溶接時に発生する熱の影響によって薄板を被覆するエナメルを焼損する虞がある。さらに、薄板端部を機械加工しているため、加工コストがかかる他、溶接するために、積層コイル片120と環状接続コイル片130及び他端側接続コイル片140とを高い精度で位置決めする必要がある。
特許文献1の問題を解決する手段として、出願人が特許文献2に提案した固定子製造方法及び固定子製造方法により製造される回転電機の固定子に係る技術を提案している。特許文献2では、薄板同士の接合に導電性接着剤を用いた。この方法によれば、薄板をプレスで成形した後、少なくとも一方の薄板の端部に導電性の接着剤を塗布して、固定子端部に薄板を組み付け、そして、組み付け後に接合部を加圧して接合する方法を採るので、接合にかかる時間を短縮することが可能となる。
特開2001−178053号公報 特開2005―137174号公報
しかしながら、従来技術である特許文献2には、固定子端部の組立性について課題がある。
特許文献2に示されるように、一方の薄板の端部接続面に導電性接着剤が塗布されている場合、固定子端部の組み付け時に他方の薄板の角が、一方の導電性接着剤塗布面を引っ掻くことで、導電性接着剤が剥がしてしまう虞がある。
それを回避するために部品自体の製作精度を上げることと、部品同士の相対位置が適切な位置に来るように組み立てられることを要求されるが、いずれもコストアップの要因となり組立性を落としてしまうことになる。
薄板の端部接続面に塗布される導電性接着剤が剥離した場合、接合面の通電面積が減少するため、接合面における抵抗が大きくなる虞がある。このように接合面での抵抗が大きくなると、モータの発熱に繋がる。
特に、ハイブリッド自動車の駆動用モータは、従来のモータと比較して小型化や高出力化が要求されている。したがって、モータの高密度化して、高電圧電流をモータの固定子に流すことになる。しかし、高密度化されたモータの固定子に高電圧電流を流すと、モータの発熱が大きくなり、モータの耐久性等が問題となる。
そこで本発明は、このような課題を解決するために接合面に接着剤層を設けた場合に、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法、及びモータの固定子を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明によるモータの固定子製造方法は以下のような特徴を有する。
(1)内周に複数の凹状のスロットが形成されてなる固定子コアと、複数の薄板が積層されてなる積層導体と、該積層導体と他の積層導体の端部同士を接続する複数の接続用薄板が積層されてなる端部接続導体と、を有し、前記固定子コアの前記スロットに前記積層導体が挿入された状態で、前記積層導体に前記端部接続導体が接合されて形成されるモータの固定子製造方法において、
前記固定子コアに前記積層導体が挿入された状態で、前記固定子コアの径方向に第1の薄板と隣り合う第2の薄板の端部を、前記固定子コアの径方向で前記第1の薄板から離れる方向に曲げ、前記第1の薄板の端部と、前記第2の薄板の端部との間に形成される端部隙間に前記接続用薄板が挿入され、前記積層導体及び前記端部接続導体が所定の位置に組み立てられることを特徴とする。
(2)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、
前記第1の薄板の前記スロットから突出する部分である前記第1の薄板の突出部より、前記第2の薄板の前記スロットから突出する部分である前記第2の薄板の突出部が、突出差部の分だけ高く、前記突出差部に前記接続用薄板を押し当てることで、前記第2の薄板を前記第1の薄板から離れる方向に曲げ、前記接続用薄板を前記端部隙間に挿入することを特徴とする。
ここでいう突出差部とは、第1の薄板の突出部と第2の薄板の突出部とのスロットから突出する部分の長さの差として現れている部分を指している。例えば、第1の薄板の突出部が第2の薄板の突出部よりも長さが短い場合、固定子コアの外周面又は内周面側から見た際に、第2の薄板の突出部が、第1の薄板の突出部よりも高くなり、固定子コアの外周面側または内周面側からその差の部分が確認できるが、このような部分を突出差部と称している。
(3)(2)に記載のモータの固定子製造方法において、
前記積層導体を前記スロットに差し込む際に、前記積層導体の薄板を階段状に異なる高さとするための整形治具を用い、前記整形治具に前記積層導体の端部を押し当てることで、前記第1の薄板の突出部より前記第2の薄板の突出部の突出量を前記突出差部の分だけ高くすることを特徴とする。
(4)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、
前記端部隙間よりも薄い板よりなるガイドプレートを、前記端部隙間に挿入し、前記ガイドプレートは、差し込まれた状態で前記薄板の端部よりも前記固定子コアの軸方向に突出する突出ガイド部を備え、前記ガイドプレートの前記突出ガイド部に前記接続用薄板を押し当て、前記第2の薄板の端部を曲げ、前記接続用薄板を前記端部隙間に挿入することを特徴とする。
(5)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、
前記接続用薄板を保持する保持治具を前記固定子コアの径方向にスライドさせることで、前記第2の薄板の端部が前記保持治具に備えられた突起部に押圧されて曲げられ、前記端部隙間を順次拡大し、拡大した前記端部隙間に前記接続用薄板を順次差し込むことで、前記積層導体及び前記端部接続導体が所定の位置に組み立てられることを特徴とする。
(6)(2)乃至(4)のいずれかに記載のモータの固定子製造方法において、
前記薄板の前記突出差部、又は前記ガイドプレートの前記突出ガイド部に、側面から検査用プローブをあてることで、前記突出差部又は前記突出ガイド部を前記検査用プローブの検査面とすることを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明によるモータの固定子は以下のような特徴を有する。
(7)(1)乃至(6)のいずれかに記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てられたことを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によるモータの固定子製造方法により、以下のような作用、効果が得られる。
まず、(1)に記載される発明は、固定子コアに積層導体が挿入された状態で、固定子コアの径方向に第1の薄板と隣り合う第2の薄板の端部を、固定子コアの径方向で第1の薄板から離れる方向に曲げ、第1の薄板の端部と、第2の薄板の端部との間に形成される端部隙間に接続用薄板が挿入されるので、挿入する接続用薄板に対して第2の薄板は斜面を成し、挿入時に第2の薄板の角により接続用薄板の端部に塗布された接着剤層を削り取られる虞が減少する。また接続用薄板が挿入される場合に、第2の薄板が曲げられていることによって、接続用薄板の端部に塗布された接着剤層が第2の薄板と接触して擦られる距離が短くなるので、接触によって接着剤層が擦り取られる虞が減少する。
このように、固定子コアの径方向に第2の薄板の端部を曲げることで、接着剤層が剥離する虞を減少させ、組立時に部品同士の相対位置精度向上や、部品自体の製作精度を必要としなくなり、部品製作のコスト削減が見込める。したがって、接合面に接着剤層を設けた場合でも、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法の提供を実現できる。
また(2)に記載される発明は、(1)に記載のモータの固定子製造方法において、第1の薄板の前記スロットから突出する部分である前記第1の薄板の突出部より、前記第2の薄板の前記スロットから突出する部分である前記第2の薄板の突出部が、突出差部の分だけ高く、前記突出差部に前記接続用薄板を押し当てることで、前記第2の薄板を前記第1の薄板から離れる方向に曲げ、前記接続用薄板を前記端部隙間に挿入するので、第1の薄板に邪魔されることなく第2の薄板の突出差部に接続用薄板を押し当てることが可能である。よって、(1)に記載される発明が奏する作用効果と共に、接続用薄板の位置出しが容易に行え、端部接続導体を所定の位置に組み付けることが容易になる。
この接続用薄板の位置出しにより、薄板と接続用薄板の累積公差によるバラツキが発生しても、組立性を向上できる。
スロットに差し込まれた積層導体の薄板と、端部接続導体の接続用薄板は、それぞれの部品の寸法公差がある。寸法公差のある薄板と接続用薄板をそれぞれ積層すると、累積公差が生じ、組み立てる際には相対位置にバラツキが生じる。
このようなバラツキを吸収するために、面取りを行うことも考えられるが、薄板の厚みが薄く、複数枚積層しているという事情から、面取りだけで寸法公差を吸収することは困難である。
しかしながら、接続用薄板を積層導体の第2の薄板の端部である第2の薄板の突出部に押し当て、第2の薄板を第1の薄板から離れる方向に曲げることで、位置決めが可能となる。また、第1の薄板の第1突出量よりも第2の薄板の第2突出量が多いので、接続用薄板を第2の薄板の突出部に押し当てるときにも、第1の薄板の突出部が邪魔になるようなことがない。
つまり、それぞれ接合すべき薄板と接続用薄板が直接当接し、押圧され、薄板が曲げられることで、それぞれの位置を確定することができるので、複数の薄板と、複数の接続用薄板を同時に挿入可能になる。
また(3)に記載される発明は、(2)に記載のモータの固定子製造方法において、積層導体をスロットに差し込む際に、積層導体の薄板を階段状に異なる高さとするための整形治具を用い、整形治具に積層導体の端部を押し当てることで、第1の薄板の突出部より第2の薄板の突出部の突出量を突出差部の分だけ高くするので、(1)に記載される発明が奏する作用効果と共に、(2)の段差部を容易に作ることができ、固定子の組立性向上に貢献することができる。
また(4)に記載される発明は、(1)に記載のモータの固定子製造方法において、端部隙間よりも薄い板よりなるガイドプレートを、端部隙間に挿入し、ガイドプレートは、差し込まれた状態で薄板の端部よりも固定子コアの軸方向に突出する突出ガイド部を備え、ガイドプレートの突出ガイド部に接続用薄板を押し当て、第2の薄板の端部を曲げ、接続用薄板を端部隙間に挿入するので、(1)及び(2)に記載される発明が奏する作用効果と共に、接続用薄板を突出ガイド部に押し当てることで端部隙間を拡大し、接続用薄板の挿入を容易にし、固定子の組立性の向上を図ることができる。
また(5)に記載される発明は、(1)に記載のモータの固定子製造方法において、接続用薄板を保持する保持治具を固定子コアの径方向にスライドさせることで、第2の薄板の端部が保持治具に備えられた突起部に押圧されて曲げられ、端部隙間を順次拡大し、拡大した端部隙間に接続用薄板を順次差し込むことで、積層導体及び端部接続導体が所定の位置に組み立てられるので、確実に保持治具の備える突起部で端部隙間を押し広げ、広げられた端部隙間に接続用薄板を順次差し込むことが可能となる。したがって、端部隙間を十分に広げることによって接続用薄板を挿入することが容易になり、端部隙間が広がっていることによって、薄板が接続用薄板に形成される接着剤層に当接することで、接着剤層を削り取る虞も少なくなる。
また、保持治具と接続用薄板の相対位置は確定しているので、保持治具の備える突起を積層導体の薄板に当接させることで、薄板と接続用薄板の相対位置を確定できる。
したがって、(1)に記載される発明が奏する効果と同等の効果を得られる。
また(6)に記載される発明は、(2)乃至(4)のいずれかに記載のモータの固定子製造方法において、薄板の突出差部、又はガイドプレートの突出ガイド部に、側面から検査用プローブをあてることで、突出差部又は突出ガイド部を検査用プローブの検査面とするので、検査用プローブを薄板に確実にあてることができ、固定子の絶縁性についての検査を容易にする。
モータの固定子製造にあたって、隣り合う積層した薄板の絶縁が確実にされているか否かについて、絶縁試験を行う必要がある。例えば絶縁皮膜の剥離や、接合部に導電性の接着剤層を設けている場合、接着剤層が剥離して薄板間を短絡するようなことも考えられる。したがって、スロットに積層導体を挿入した段階か、積層導体の両端を端部接続導体で接続する場合は片側に端部接続導体を接合した段階で、各薄板に検査用プローブを当てて薄板同士の絶縁が確保されているか調査する必要がある
ところで、小型化した固定子の薄板は1枚当たり1mm前後の厚みである場合もあり、積層状態では隣の薄板に当たらないように検査用プローブを当てることは困難である。そこで、薄板の段差部、又はガイドプレートの突出ガイド部に側面側から検査プローブを当てることで、絶縁性についての検査を確実にかつ容易に行うことを実現できる。
また、このような特徴を有する本発明によるモータの固定子により、以下のような作用、効果が得られる。
(7)に記載される発明は、(1)乃至(6)のいずれかに記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てたことを特徴とするモータの固定子であるので、組立性を向上した固定子の提供が可能である。
(第1実施例)
次に、第1実施例について、図面を参照しつつ説明する。まず、図1乃至図4を用いて固定子組立工程の概略について説明をする。
図1は、第1実施例の挿入工程における固定子50の斜視図を示している。また、図2は、接合工程における固定子50の斜視図を示している。また、図3は、コイル接続工程における固定子50の斜視図を示している。また、図4は、樹脂モールド工程における固定子50の斜視図を示している。
固定子50は、まず、<挿入工程>で図1に示されるように、固定子コア30の所定の位置に積層導体10が挿入される。そして、<接合工程>で図2に示されるように、積層導体10の端部が端部接続導体20によって接合されてコイルを形成する。さらに、<コイル接続工程>で図3に示されるように、形成されたコイルが連絡線40(連絡線40W01乃至連絡線40U05)で接続される。最後に、<樹脂モールド工程>で図4に示されるように、固定子コア30の端部の両面に樹脂モールド部45が形成される。
以下、固定子50を構成する各部品の説明と、組み立ての手順について説明を行う。
<挿入工程>
<挿入工程>は、固定子コア30に形成されたスロット32に積層導体10を差し込む工程である。
図5乃至図7は、固定子コア30に形成されたスロット32に差し込まれる積層導体10について説明する図である。図5は、積層導体10の斜視図を示している。また、図6は積層導体10が板状インシュレータ15を挟んで並べられた状態の斜視図を示している。また、図7はケース状インシュレータ16に積層導体10が差し込まれた状態の斜視図を示している。
積層導体10は、薄板11の表面に絶縁皮膜を貼り付けたものを9枚積層したものである。なお、積層する薄板11の枚数は、コイルの設計によって決められるものであり、設計によって増減する。
薄板11は、固定子コア30に挿入されたときに内側に配置される順番に、第1薄板1101乃至第9薄板1109とする。ただし便宜上、単に薄板11と言うときは、第1薄板1101乃至第9薄板1109のいずれか、或いは全てを指すものとする。
薄板11は厚さ数mmの長方形の銅板であり、プレス成形で成形されている。薄板11の端部に形成される薄板端部11aの一面を薄板接合面11bとする。
薄板端部11aは、薄板11の端部に形成され他の部分よりも厚みが薄い。薄板接合面11bと対向する面には、絶縁皮膜が貼られている。絶縁皮膜はポリアミド又はアミドイミド等の絶縁性を確保できる樹脂製の薄膜である。この絶縁皮膜の片面に熱硬化性接着剤を塗布し、熱硬化性接着剤塗布面を薄板11に張り合わせて、加熱したローラで加圧する。加圧加熱された絶縁皮膜と薄板11の間の熱硬化性接着剤は、硬化して薄板11の片面に絶縁層を形成する。
薄板接合面11bは、薄板端部11aの一面であり、後述する接続用薄板接合面21bとの接触面となる。接続用薄板接合面21bと接続する際に、接合面積を広く確保し抵抗とならないようにする目的で、薄板接合面11bは薄板11の断面積の数倍程度の面積としている。
なお、積層導体10は台形形状をしており、積層導体10を構成する薄板11の幅は少しずつ異なっている。一番幅が狭くなるのは、固定子コア30に挿入された際に内径側に位置する第1薄板1101であり、一番幅が広くなるのは、外径側に位置する第9薄板1109である。
また、厚みについても、第1薄板1101乃至第9薄板1109はそれぞれ若干ずつ異なる。一番厚みが厚くなるのは、固定子コア30に挿入された際に内径側に位置する第1薄板1101であり、一番厚みが薄くなるのは、外径側に位置する第9薄板1109である。固定子コア30に挿入された際に、外周部にいくほど幅を広く、厚みを薄くすることで、全ての薄板11の断面積を同じとすることが可能であり、そのことでスロット32内の占積率をあげ、電力の出力を上げることができるからである。
そして、図6に示すように、2組の積層導体10の間に板状インシュレータ15が挟まれる。この2組の積層導体10は、1つのスロット32に差し込まれる。よって隣り合う積層導体10同士で絶縁を確保するために板状インシュレータ15が設けられている。
板状インシュレータ15は、耐熱性のある絶縁性の樹脂で形成されている。耐熱温度は、モータ動作時の温度等によって決定されるため、温度に合わせて板状インシュレータ15の材質を適宜選択すれば良い。
積層導体10は、図7に示すように、2組用意されて板状インシュレータ15を挟み、ケース状インシュレータ16に差し込まれる。ケース状インシュレータ16は鍔16aが付いており、後述する固定子コア30にケース状インシュレータ16が差し込まれたときに、鍔16aがストッパーとなる。ケース状インシュレータ16の材質は板状インシュレータ15と同様に絶縁性と耐熱性を備えたものを用いている。
板状インシュレータ15はケース状インシュレータ16の内部に嵌め込まれる構造になっており、積層導体10と共にケース状インシュレータ16に嵌め込むことで、ケース状インシュレータ16内に、積層導体10と板状インシュレータ15を保持することができる。
ケース状インシュレータ16に挿入された積層導体10は、板状インシュレータ15とケース状インシュレータ16に囲まれているので、積層導体10同士との絶縁が確保され、かつ後述する固定子コア30との絶縁を確保することが可能である。
図8に、固定子コア30の斜視図を示す。
固定子コア30は、環状薄板が積層して製作されており、複数のティース部31及びスロット32が形成されている。スロット32は固定子コア30の内周側に開口部を持っており、ケース状インシュレータ16に形成された突起が入り込み、位置決め可能な構造になっている。なお、ティース部31の先端が左右に形成されたスロット32の固定子コア30内周側の壁を構成しているが、固定子50の設計思想によっては、このような張り出す部分は無くても良い。第1実施例では、ティース部31は18本、スロット32も同数が固定子コア30に形成されている。
なお、18箇所に設けられているスロット32は便宜上、第1スロット3201乃至第18スロット3218と呼ぶことにする。ただし、特に断らずにスロット32という場合は、第1スロット3201乃至第18スロット3218の内いずれか一つか、或いは全てを指すものとする。
そして、固定子コア30のスロット32に、図7に示した様なケース状インシュレータ16にセットされた積層導体10を差し込む。その様子を示すのが、図1である。
<接合工程>
<接合工程>は、図1のように固定子コア30に積層導体10がセットされた状態で、端部接続導体20を図2に示すような状態になるように組み付ける工程である。
図9に、固定子50に挿入した積層導体10に端部接続導体20を挿入する際の斜視模式図を示す。また、図10に、図9の断面図を示す。
まず、端部接続導体20の説明を行う。
図2に示す端部接続導体20は、接続用薄板21を9枚積層したものである。接続用薄板21は、図2に示すように固定子コア30に接続された場合に内側から第1接続用薄板2101乃至第9接続用薄板2109から成る。便宜上、単に接続用薄板21と記載するときは、第1接続用薄板2101乃至第9接続用薄板2109のいずれか、或いは全てを指すものとする。
接続用薄板21は長方形で厚さ数mmの銅板である。その両端部には更に薄い接合部21aが形成されている。また、接合部21aには接続用薄板接合面21bが形成されている。接合部21aは、薄板端部11aと接合部21aを当接させ、両者の厚みを合わせた時に、接続用薄板21の厚みとほぼ同じになるように設計されている。これは、固定子50に電流を流した際に、薄板11と接続用薄板21の接続部分で抵抗となりにくいように配慮されているためである。また、後述するように薄板接合面11bと接続用薄板接合面21bを接合する際に、薄板11と接続用薄板21の接合部分の厚み方向に圧力を加えて加熱するため、大きく変形しないようにする効果もある。
なお、第1接続用薄板2101乃至第9接続用薄板2109は全て同じ寸法で設計されている。
また、接続用薄板接合面21bの表面には、接着剤層22が設けられている。接着剤層22は接続用薄板接合面21b全面に設けられるのではなく、外周を残して一様に塗布されている。これは、薄板接合面11bと接続用薄板接合面21bを接合した際に接着剤層22がはみ出して他の部分と短絡することを防ぐ狙いがある。
第1実施例の接着剤層22には銀ペーストを用いており、スクリーン印刷を用いて数十μm程度塗布され、塗布後、乾燥させて有機溶剤を揮発させている。乾燥後に残るのが銀の粒子を含む接着剤層22であり、導電性を有する。この接着剤層22は特に銀ペーストに限るものではないが、薄板11及び接続用薄板21に用いる材質よりも導電性が高いことが望ましい。接合部分はコイルを形成した際に抵抗となりやすいため、少しでも抵抗値を下げたほうが良いからである。薄板11及び接続用薄板21には銅を用いているので、第1実施例では銅より導電性の高い銀ペーストを用いている。
また、接続用薄板21の長さは、固定子コア30のスロット32に挿入された内径側の薄板11が接合可能な長さに設定されている。接続用薄板21は全て同じ寸法で設計されるため、固定子コア30のスロット32に挿入された外径側の薄板11同士を接合する場合に、接続用薄板21が若干短く、薄板接合面11bと接続用薄板接合面21bが完全には重ならなくなるが、その分を見越して薄板接合面11b及び接続用薄板接合面21bを広く設定すれば、他の部分よりも抵抗が高くなることを防ぐことができる。
このような端部接続導体20を、固定子コア30に差し込まれた積層導体10に接合するためには、端部隙間13に、接続用薄板21を挿入する必要がある。
端部隙間13は、隣り合う薄板11の薄板端部11a部分によって構成され、例えば第1薄板1101の絶縁面と、第2薄板1102の薄板接合面11bとの間に形成される隙間である。また、端部隙間13は、接続用薄板21の備える接合部21aの厚みとほぼ同じであるため、接続用薄板21を端部隙間13に挿入する際に薄板11の端部が変形していると、絶縁皮膜の剥離や接着剤層22の剥離に繋がる虞がある。特に薄板11の厚みが薄くなればなる程、薄板11は外力などによって変形しやすくなる。
そこで、薄板挿入機70を用いて接続用薄板21を端部隙間13に1枚ずつ差し込み、積層導体10と端部接続導体20を接合する。
薄板挿入機70には、切出部71aが形成された切出プレート71と、ストッカ部72と、突起73と、押圧機構74が備えられている。ストッカ部72に複数枚の接続用薄板21がストックされ、押圧機構74によって、接続用薄板21が切出プレート71側に押し付けられる構造になっている。
切出プレート71は上下にスライドする機構を備えおり、接続用薄板21を1枚ずつ切り出すことができる。突起73は薄板挿入機70の下面であって、薄板11と当接する部分に備えられており、薄板挿入機70が移動して、突起73が薄板11の端部を押圧することで、薄板11を曲げて、端部隙間13を拡大する。
この拡大した端部隙間13に、切出部71aで切り出された接続用薄板21を切出プレート71を図10の下側に動かすことで、挿入する。この動作を繰り返して接続用薄板21を端部隙間13に挿入していく。
挿入する際には、図10に示すように、接続用薄板21が端部隙間13に途中まで挿入されていても、接続用薄板21に設けられた接着剤層22は、突起73で曲げられた薄板11に接触していない。このように、突起73で薄板端部11aを曲げることで接着剤層22が接触する距離を短くすることができる。
また、ケース状インシュレータ16には鍔16aが形成されており、鍔16aの厚みによって、接続用薄板21と固定子コア30の間隔を保持している。
端部接続導体20が積層導体10の端部に組み付けられれば、図2に示したような状態になる。この状態で、接合部を固定子コア30の内周側と外周側から押圧し加熱することで、積層導体10と端部接続導体20は導電性接着剤によって導電性良く接合される。
このように、一方のスロット32に収められた積層導体10の端部と、他方のスロット32に収められた積層導体10の端部を端部接続導体20で接続することによって、ティース部31に対して螺旋状にコイルが形成される。固定子コア30にはティース部31が18本形成されているので、18対のコイルが形成されることになる。
なお、第1実施例では積層導体10が直線状であるので、端部接続導体20を積層導体10に接合する作業は固定子コア30の両面で行う必要がある。よって、固定子第1面30aと固定子第2面30bで端部接続導体20を積層導体10に接合し、それぞれ加圧加熱処理を行って導電性接着剤で接続用薄板接合面21bと薄板接合面11bを接着する。
固定子第1面30aでは、第1スロット3201に差し込まれた積層導体10の備える第1薄板1101の薄板接合面11bと第2スロット3202に差し込まれた積層導体10の備える第1薄板1101の薄板接合面11bが第1接続用薄板2101によって電気的に結合される。
以下、第1スロット3201の第2薄板1102と第2スロット3202の第2薄板1102、第1スロット3201の第3薄板1103と第2スロット3202の第3薄板1103、第1スロット3201の第4薄板1104と第2スロット3202の第4薄板1104、第1スロット3201の第5薄板1105と第2スロット3202の第5薄板1105、第1スロット3201の第6薄板1106と第2スロット3202の第6薄板1106、第1スロット3201の第7薄板1107と第2スロット3202の第7薄板1107、第1スロット3201の第8薄板1108と第2スロット3202の第8薄板1108、第1スロット3201の第9薄板1109と第2スロット3202の第9薄板1109という組み合わせで接続用薄板21によって接続される。もちろん、第3スロット3203乃至第18スロット3218に挿入される薄板11も接続用薄板21によって同様に接続される。
固定子第1面30aの積層導体10と端部接続導体20との加圧加熱処理が終わったら、固定子第2面30b側の接合を行う必要があるが、その前に絶縁が確保されているか検査する必要がある。
図11は、積層導体10の端部に面接触式検査プローブ25を当てて絶縁検査をする模式図を斜視図に示す。
積層導体10に備える薄板11は、狭い間隔で積層されている。絶縁検査をするには薄板11か接続用薄板21の絶縁被覆していない部分に面接触式検査プローブ25を当接させて電圧をかけ、電流が流れるかどうかを検査する必要がある。例えばスロット32に挿入される隣り合う薄板11を跨いで面接触式検査プローブ25を接触させ、片側から電圧をかけたときに電圧が下がれば短絡していることになる。電圧は、固定子50をモータとして使用する場合の数倍程度で良いと考えられる。
面接触式検査プローブ25は、図11に示すように薄板11に凸部11cを設けて、千鳥に配置する。隣り合う薄板11の凸部11cが同じ位置に来ず、適度に離れていることで、面接触式検査プローブ25の先端は図11に示すように面で当接できるようになる。
薄板11は数mm程度であり、当接可能な薄板端部11aの先端はその半分程度の厚みであるので、先端の尖った検査プローブを当てると、薄板11の端部に当たらず面接触式検査プローブ25が逃げてしまう虞がある。また、薄板11はプレス加工で作られている場合など、薄板端部11aの先端にムシレができて平坦でないこともあり、先端の尖った検査プローブにとっては条件が悪い。
しかし、面接触式検査プローブ25の先端が面で当接できるように構成されていれば、ムシレ等がある平坦でない部分に当たったとしても、面接触式検査プローブ25は薄板11に確実に接触させることができる。なお、面接触式検査プローブ25を当接させるのは、固定子第1面30a側か固定子第2面30b側のどちらでも良い。
面接触式検査プローブ25を薄板11に備える凸部11cに当接させた後、通電検査を行う。第1実施例では、接合部21aの接続用薄板接合面21bに接着剤層22を設けており、接着剤層22が万が一剥がれてしまった場合には、剥がれた破片によって薄板11同士が短絡することも考えられる。また、絶縁皮膜が不十分である場合も絶縁不良となり、最終的にも不良品となってしまう。このような短絡している固定子50は、この段階で払い出す必要がある。
なお、第1実施例では薄板11に凸部11cを設けて検査に用いているが、接続用薄板21に凸部を設けても構わない。固定子コア30に組み付けた段階で、端部接続導体20が固定子コア30に面する側と反対側の薄板端部11aに凸部が形成され、千鳥に配置されていれば同等の効果が得られることは言うまでもない。
絶縁検査が終わった後に、固定子第2面30b側の端部接続導体20の接合を行う。ここで、コイルを形成するためには一方の組付けを1ピッチ分ずらす必要がある。第1実施例では、図2に示す固定子第1面30aはずらさずに接合され、図示しない固定子第2面30bは1ピッチずらして接合されている。
したがって、固定子第2面30bでは、第1スロット3201に差し込まれた積層導体10の備える第1薄板1101の薄板接合面11bと、第2スロット3202に差し込まれた積層導体10の備える第2薄板1102の薄板接合面11bとが、第2接続用薄板2102によって電気的に結合される。
以下、固定子第2面30bの第1スロット3201の第2薄板1102と第2スロット3202の第3薄板1103、第1スロット3201の第3薄板1103と第2スロット3202の第4薄板1104、第1スロット3201の第4薄板1104と第2スロット3202の第5薄板1105、第1スロット3201の第5薄板1105と第2スロット3202の第6薄板1106、第1スロット3201の第6薄板1106と第2スロット3202の第7薄板1107、第1スロット3201の第7薄板1107と第2スロット3202の第8薄板1108、第1スロット3201の第8薄板1108と第2スロット3202の第9薄板1109、という組み合わせで接続用薄板21によって接続される。もちろん、第3スロット3203乃至第18スロット3218に挿入された薄板11も同様に接続用薄板21によって接続される。
このように接続された結果、第2スロット3202に差し込まれた積層導体10の備える第1薄板1101の薄板接合面11bに接合された第1スロット3201の他端と、第1スロット3201に差し込まれた積層導体10の備える第9薄板1109の一方の薄板接合面11bは、接合されずに余ることになる。
<コイル接続工程>
<コイル接続工程>では積層導体10の端部を端部接続導体20で接合しコイルを形成した後、連絡線40を接合して回路を形成する。
図3に示すように、積層導体10と端部接続導体20で構成されるコイルを電気的に接続するのが、連絡線40である。
連絡線40は銅板であり、絶縁被覆がされている。この連絡線40によって、積層導体10及び端部接続導体20によって固定子コア30のティース部31に構成された18対のコイルは電気的に接続されることになる。つまり、前述した第2スロット3202に差し込まれた積層導体10の備える第1薄板1101の薄板接合面11bに接合された第1スロット3201の他端と、第1スロット3201に差し込まれた積層導体10の備える第9薄板1109の薄板接合面11bに、連絡線40が接続されることで、コイル同士が電気的に接続される。
ティース部31の周囲に積層導体10と端部接続導体20で構成されるコイルは、螺旋状に積層導体10と端部接続導体20が接続されるので、1つのコイルにつき接続用薄板21の端部が2カ所余る。この余った端部の一方と、別のコイルの一方の端部とが、連絡線40によって電気的に接続される。このように連絡線40に接続されたコイルは、U相、V相、W相のいずれかを形成する。
例えば、第1スロット3201と第2スロット3202に挿入された積層導体10と、その端部を繋ぐ端部接続導体20で形成されるコイルは、第4スロット3204と第5スロット3205に挿入された積層導体10と、その端部を繋ぐ端部接続導体20で形成されるコイルと連絡線40U01で接続され、さらに、第7スロット3207と第8スロット3208に挿入された積層導体10と、その端部を繋ぐ端部接続導体20で形成されるコイルと、連絡線40U02で接続され、さらに、第10スロット3210と第11スロット3211に挿入された積層導体10とその端部を繋ぐ端部接続導体20で形成されるコイルと、連絡線40U03で接続され、さらに、第13スロット3213と第14スロット3214に挿入された積層導体10とその端部を繋ぐ端部接続導体20で形成されるコイルと、連絡線40U04で接続され、さらに、第16スロット3216と第17スロット3217に挿入された積層導体10とその端部を繋ぐ端部接続導体20で形成されるコイルと、連絡線40U05で接続されている。
そして、V相、W相に関しても、U相とは異なる位置で同様に接続され、連絡線40V01乃至連絡線40V05、連絡線40W01乃至連絡線40W05に接続されることによって集中巻きコイルを形成する。
すなわち連絡線40U01乃至連絡線40U05で接続される6つのコイルがU相を形成し、コイルの端部にU相端子41Uが接続され、連絡線40V01乃至連絡線40V05で接続される6つのコイルがV相を形成し、コイルの端部にV相端子41Vが接続され、連絡線40W01乃至連絡線40W05で接続される6つのコイルがW相を形成し、コイルの端部にW相端子41Wが接続される。
なお、連絡線40U01乃至連絡線40U05、連絡線40V01乃至連絡線40V05、連絡線40W01乃至連絡線40W05は便宜上名前を付けているだけであるので、単に連絡線40と記述するときは、いずれか1つあるいは全部を示すものとする。
また、U相端子41U、V相端子41V、及びW相端子41Wについても、端子41と記述するときは、いずれか1つ或いは全部を示すものとする。
<樹脂モールド工程>
<樹脂モールド工程>では、固定子コア30の固定子第1面30a側及び固定子第2面30b側に樹脂モールド部45を形成する。
固定子コア30に備えられたティース部31の周囲に構成されるコイルが連絡線40によって電気的に接続された状態では、絶縁されていない部分があるため、最終的に絶縁材料で覆う必要がある。このため、積層導体10と端部接続導体20の接合部及び連絡線40の接続部を、樹脂モールドして絶縁する。
樹脂モールド部45を構成する樹脂は絶縁性の高い材質のものが用いられている。この樹脂モールド部45によって、積層導体10と端部接続導体20の接合部や、薄板11又は接続用薄板21と連絡線40との接合部等が外力を受ける等の要因によって剥離するのを防ぐとともに、他の部品が変形して接触し、短絡することを防止することができる。
このように、モータの固定子50は構成される。
第1実施例は上記構成であるので、以下の作用効果を有する。
まず、固定子50の差込工程において、接続用薄板21は薄板挿入機70に保持されて端部隙間13に差し込まれる。この際に、例えば第1薄板1101と第2薄板1102の間の端部隙間13に差し込む際には、薄板挿入機70に備えられる突起73で第1薄板1101を固定子コア30の径方向、つまり第2薄板1102と離れる方向に押し、端部隙間13が広げられる。
そして、接続用薄板21はストッカ部72に保持され、押圧機構74に押圧されることで、切出プレート71の切出部71aに切り出される。一方、突起73は薄板挿入機70に備えられているので、切出プレート71で切り出される接続用薄板21と突起73の位置は相対的に決定される。また、突起73は薄板11を押圧するため、端部隙間13と接続用薄板21の距離も相対的に決定されていることとなり、接続用薄板21を挿入する際の位置決めは、突起73を薄板11に当接させ、押圧することで行うことができる。
したがって、薄板挿入機70を用いることで、突起73に薄板11の端部が押圧されて端部隙間13が広げられ、端部隙間13は接続用薄板21の接合部21aよりも幅が広くなるので、接続用薄板21を確実に挿入することが可能となる。
固定子コア30のスロット32に挿入されている積層導体10は、異なる厚みの薄板11で構成されている。従って、第1薄板1101乃至第9薄板1109のいずれも厚みが異なる。
一方、接続用薄板21の厚みは同じであり、積層導体10と端部接続導体20を組み合わせる場合には、この厚みの差を考慮して差し込む必要がある。
しかしながら、薄板挿入機70に突起73を備えて、端部隙間13の位置をスキャンすることができるので、端部隙間13に接続用薄板21を容易に挿入することが可能になる。
特に薄板11や接続用薄板21はプレスなどで成形する方が機械加工で製作する場合よりもコストダウンが可能であるが、プレス成形では機械加工をする場合よりも寸法公差が大きくなる。すなわち、製品同士で寸法のバラツキが大きくなるが、このような寸法のバラツキがあったとしても、端部隙間13を突起73で押圧して広げ、接続用薄板21を挿入する方式を採っているので、クリアランスが十分とれて、組立性を悪化させるようなことがない。
次に、接続用薄板21を端部隙間13に挿入する際に、接着剤層22の設けられた接続用薄板接合面21bと当接する薄板接合面11bを外側に曲げることで、接続用薄板21挿入時の薄板接合面11bと接続用薄板接合面21bの接触面積を少なくできるメリットもある。
接続用薄板21の接続用薄板接合面21bと向かい合う薄板接合面11bを外側に押圧することは、薄板11の角で接着剤層22を傷つける虞を減少させる。接着剤層22は前述したように銀ペーストなどの導電性接着剤を用いているが、耐傷性が少なく、尖ったもので接着剤層22の表面を引っ掻くと、比較的容易に剥がれ落ちてしまう。
接着剤層22が剥がれてしまうと、接合面積が減少する虞があるほか、剥がれ落ちた接着剤層22が短絡の原因を作る可能性もある。
しかし、接続用薄板接合面21bと向かい合う薄板接合面11bが外側に逃がされていることで、角で引っ掻くことを防止し、挿入が終わるまでは接触面積を減らすことができるので、擦れることで接着剤層22が剥がれてしまうような心配もない。
薄板積層する固定子50は、導体同士の接合部の導電性の確保が問題となりやすいが、第1実施例の発明を用いることでこのような問題を解決しうる。
次に、万が一、接続用薄板21の接続用薄板接合面21bに設けた接着剤層22の一部が剥がれて、薄板11の上に落ち、短絡の原因を作ってしまうようなことがあっても、図11に示すような検査方法によって、確実に絶縁検査を行うことができるので、その後の工程に不良品を流すことを防止することができる。
薄板11に設けられた凸部11cが千鳥に配置されているので、面接触式検査プローブ25の先端を大きくすることができる。また、面接触式検査プローブ25の先端が面で凸部11cに当接していることで、凸部11cの形状が多少いびつである場合でも、必ず凸部11cの何処かに当接して、絶縁検査を行うことができる。
以上に説明したように、本発明の第1実施例では以下に示すような、構成、作用、効果が得られる。
(1)内周に複数の凹状のスロット32が形成されてなる固定子コア30と、複数の薄板11が積層されてなる積層導体10と、該積層導体10と他の積層導体10の端部同士を接続する複数の接続用薄板21が積層されてなる端部接続導体20と、を有し、固定子コア30のスロット32に積層導体10が挿入された状態で、積層導体10に端部接続導体20が接合されて形成されるモータの固定子製造方法において、固定子コア30に積層導体10が挿入された状態で、固定子コア30の径方向に第1の薄板11と隣り合う第2の薄板11を、固定子コア30の径方向で第1の薄板11から離れる方向に曲げ、第1の薄板11の端部と、第2の薄板11の端部との間に形成される端部隙間13に接続用薄板21が挿入され、積層導体10及び端部接続導体20が所定の位置に組み立てられるので、挿入時に第2の薄板11の角により接続用薄板21の端部に塗布された接着剤層22を削り取られる虞が減少する。また接続用薄板21が挿入される場合に、第2の薄板11の薄板端部11aが曲げられていることによって、接続用薄板21の接続用薄板接合面21bに塗布された接着剤層22が第2の薄板11の薄板接合面11bと接触して擦られる距離が短くなるので、接触によって接着剤層22が擦り取られる虞が減少する。
このように、固定子コア30の径方向に第2の薄板11の薄板端部11aを曲げることで、接着剤層22が剥離する虞を減少させ、組立時に部品同士の相対位置精度向上や、部品自体の製作精度を必要としなくなり、部品製作のコスト削減が見込める。したがって、接続用薄板接合面21bに接着剤層22を設けた場合でも、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法の提供を実現できる。
(2)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、接続用薄板21を保持する薄板挿入機70を固定子コア30の径方向にスライドさせることで、第2の薄板11の端部が薄板挿入機70に備えられた突起73に押圧されて曲げられ、端部隙間13を順次拡大し、拡大した端部隙間13に接続用薄板21を順次差し込むことで、積層導体10及び端部接続導体20が所定の位置に組み立てられるので、確実に薄板挿入機70の備える突起73で端部隙間13を押し広げて接続用薄板21を順次差し込むことが可能となる。
薄板挿入機70と接続用薄板21の相対位置は確定しているので、薄板挿入機70の備える突起73を積層導体10の薄板11に当接させることで、薄板11と接続用薄板21の相対位置を確定できる。したがって、(1)に記載の効果と同等の効果を得られる。
(3)(1)及び(2)に記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てられたことを特徴とするので、組立性を向上した固定子の提供が可能である。
次に、本発明の第2実施例について説明を行う。
(第2実施例)
図12に、第2実施例の固定子50に挿入した積層導体10に端部接続導体20を挿入する際の斜視図を示す。また、図13に、図12の側面図を示す。
基本的には第2実施例は第1実施例と構成は同様であるが、以下に説明する点で異なる。特に説明しない部分は、第1実施例と同様の構成である。
まず、積層導体10の構成が異なる。
第2実施例の積層導体10は、図13に示すように積層導体10を構成する薄板11の薄板端部11aの部分の長さが階段状に異なっている。したがって、固定子コア30の内側に配置される第1薄板1101よりも、その外側に配置される第2薄板1102のほうがより薄板端部11aの長さが短い。そして、第2薄板1102、第3薄板1103、第4薄板1104、第5薄板1105、第6薄板1106、第7薄板1107、第8薄板1108、第9薄板1109となるにしたがって、徐々に短くなる。
なお、第1実施例と同様に、固定子コア30の内側に配置される第1薄板1101よりも、固定子コア30の外径側に配置される薄板11ほど厚みが薄くなり、幅が広くなる点は同様である。
このように薄板端部11aの長さが階段状に異なる積層導体10を、前述した<挿入工程>で板状インシュレータ15を挟んでケース状インシュレータ16に挿入し、固定子コア30に配置される。
なお、薄板端部11aが階段状に保持されるように、固定子コア30の下部に階段状又はテーパ状の治具を用意しておくと良い。
このように<挿入工程>で固定子コア30に積層導体10がセットされた状態の断面の一部を図13は示しており、薄板接合面11bの長さが階段状に異なっている様子が分かる。隣り合う薄板端部11aの長さは、突出差部17の分だけ異なっている。突出差部17の長さは設計思想によっても異なるが、接続用薄板21が当接可能な長さであればよいので、例えば0.5mm程度としている。
そして、<接合工程>で、端部接続導体20を組み付ける。
端部接続導体20を組み付ける際に、第1実施例では接続用薄板21を一枚ずつ端部隙間13に差し込んでいたが、第2実施例では、接続用薄板21を挿入アーム75に9枚保持した状態で、一気に差し込む。
挿入アーム75は、アーム76とクランパ77、そして保持治具78から成る。アーム76とクランパ77は保持治具78を保持できる構造となっており、クランパ77がスライドすることで、保持治具78の保持、解放が可能となる。保持治具78は例えば樹脂成形し、接続用薄板21を所定の間隔で保持できるように仕切部78aを備えている。なお、仕切部78aの幅は薄板11に形成される薄板端部11aの厚みによるが、対応する部分の薄板端部11aの厚みよりも若干厚めに設定しておくことが望ましい。対応する部分の薄板端部11aよりも仕切部78aを若干厚くしておくことで、接続用薄板21が薄板接合面11bに当接した際に端部隙間13の間隔を広げ、接続用薄板21を薄板端部11aの干渉無く挿入しやすくすることができるためである。この他に、薄板11の寸法公差を吸収しやすくするという効果もある。
予め保持治具78に接続用薄板21を所定の数だけセットしておき、挿入アーム75でつかんだ後に、突出差部17に接続用薄板21が当接するように移動させる。
図14に、接続用薄板21を薄板11に当接させている状態の断面図を示す。図14に示すように、接続用薄板21の端部を薄板端部11aの突出差部17に当接させ、押圧することで薄板端部11aを曲げている。薄板11の寸法公差は、このように薄板端部11aの突出差部17に接続用薄板21を当接させて曲げることで、吸収される。つまり、薄板端部11aの曲げ量を許容公差以上に設定してやれば、各接続用薄板21は各薄板端部11aに当接し、バラツキによる寸法公差は吸収される。
この状態で、挿入アーム75を固定子コア30側に下ろすことで、端部隙間13に接続用薄板21を挿入する。
図15に、接続用薄板21を薄板端部11aの間に挿入している途中の状態の断面図を示している。
保持治具78に保持されたままの接続用薄板21を端部隙間13に挿入することで、薄板端部11aは徐々に外側に開く。これは、保持治具78の仕切部78aが対応する薄板端部11aよりも広めに設定しているためである。このため、接続用薄板21の接着剤層22は、薄板端部11aに当接することなく、端部隙間13に挿入されていく。
そして、保持治具78に保持されたままの接続用薄板21が端部隙間13に挿入された段階では、保持治具78に保持された接続用薄板21の高さが異なっているため、接続用薄板21を必要な位置まで挿入できない。そこで、接続用薄板21を一定の位置まで挿入した後、クランパ77の圧力を緩め、接続用薄板21が薄板11と当接する所定の位置までくるように上面から押しながら、保持治具78から接続用薄板21を抜き出す。
こうして、接続用薄板21は端部隙間13に差し込まれ、所定の位置に配置される。
第2実施例でも、積層導体10は直線状であるので、固定子コア30の固定子第1面30a側と固定子第2面30b側の両面で、このような積層導体10と端部接続導体20の接合を行う必要がある。
しかし、固定子第1面30a側の接合が終わった後に、第1実施例と同様に絶縁試験を行う。
ただし、第2実施例では、第1実施例とは積層導体10の形状が異なるので、第1実施例とは別の方法で絶縁試験を行う必要がある。
図16に、階段状になった薄板11の側面に細線検査プローブ26を当てて検査する様子を表す模式図を示す。
細線検査プローブ26は、図16に示すように隣り合う薄板11の薄板端部11aの長さの差の部分である突出差部17に接触できるように、先端に細線26aが設けられている。そして、固定子コア30の側面から突出差部17に細線26aを接触させて電圧をかける。
このような方式であれば、細線検査プローブ26を複数縦に並べても、薄板11が階段状になっており、側面から見たときに突出差部17分だけ手前の薄板端部11aよりも突出しているので、容易に当接させることが可能である。
積層導体10は薄板11が積層されて構成されるため、厚み方向には薄板11の寸法公差が積算されて現れる虞があり、細線検査プローブ26のように先端が細い検査プローブを薄板11の上面側からそれぞれに確実に接触させることは難しい。
しかし、突出差部17の側面からにそれぞれ細線検査プローブ26を当接させれば、誤差が積算することもなく、位置を確定しやすい。また、絶縁検査をするためには、積層導体10の備える複数枚の薄板11の薄板接合面11bにそれぞれ細線検査プローブ26の細線26aを当てる必要があるが、突出差部17が階段状に設けられていることによって、細線26aを複数の薄板接合面11bに対して同時に当接させることが可能である。
細線26aが弾力のある素材で、薄板接合面11bに対して一定の角度を設けて当接させれば、ある程度の寸法公差を吸収することが可能なので、確実に絶縁検査を行うことが可能となる。
このように、積層導体10の絶縁検査を行った後、固定子第2面30b側にも端部接続導体20を接合し、<コイル接続工程>及び<樹脂モールド工程>を経て固定子50を形成する。
第2実施例は上記構成であるので、以下の作用効果を有する。
まず、端部接続導体20を積層導体10の端部に組み付ける際に、保持治具78に接続用薄板21を必要数だけ(本実施例では9枚)保持し、薄板11の端部に当接させて端部隙間13に挿入するので、端部接続導体20と積層導体10との組み付け時間を短縮可能である。
接続用薄板21を保持治具78にセットしてしまえば、必要な間隔が仕切部78aによって確保される。接続用薄板21は全て同じ厚みであり、一方の薄板11は厚みが違うため、接続用薄板21を単純に重ねただけでは薄板11が形成する端部隙間13に挿入することができない。しかし、このように保持治具78に適切な間隔に保持された接続用薄板21を、薄板端部11aの突出差部17に当接させて挿入することで、寸法公差などを問題とせず、一工程での組付けが可能となる。
固定子50を形成するにあたり、固定子コア30の固定子第1面30aと固定子第2面30bの両側に端部接続導体20を接続する必要がある。第2実施例では接続用薄板21を324枚挿入する必要があり、第1実施例のように1枚ずつ挿入すると時間がかかってしまう。リードタイムは生産コストに直結するので、組み付け時間の短縮は大きなメリットになる。
次に、接続用薄板21を薄板11に当接させ、押し付けて薄板端部11aを曲げることで、接続用薄板21の位置のバラツキや寸法公差によるバラツキなどを吸収することが可能であるとともに、接続用薄板21の挿入位置を確定できるので、組付けが容易になる。
端部接続導体20を構成する接続用薄板21は製造方法によっては、寸法公差が大きくなる。一般的に製造コストがかかる方法で製造するほど寸法公差は小さくできるが、固定子50には多数の接続用薄板21を使用するため、極力製造コストを抑えたい。このような事情により、寸法公差の大きな接続用薄板21を積層すると、端部接続導体20として積層された接続用薄板21は、累積公差によって製品間でバラツキが大きくなる。
一方の積層導体10についても、同じことが言える。すなわち、寸法公差の大きな薄板11を積層して積層導体10を構成すると、累積公差によって製品間でバラツキが大きくなる。
このような端部接続導体20と積層導体10を組み合わせた場合に、接続用薄板21と薄板11の相対位置が大きくずれ、組立時に阻害要因となる。特に端部接続導体20は2組の積層導体10の端部を接続するため、バラツキの影響を受けやすい。
しかし、接続用薄板21と薄板11を直接当接させ薄板11を曲げることで、累積公差の問題は回避し得る。また、薄板11と接続用薄板21の当接面で位置が決まるので、端部隙間13に挿入する際に薄板11の薄板接合面11bにガイドされて接続用薄板21を挿入することができ、組立性を向上させることが可能である。
次に、接続用薄板21を端部隙間13に挿入する際に、接着剤層22の設けられた接続用薄板接合面21bと当接する薄板接合面11bを外側に曲げることで、接続用薄板21挿入時の薄板接合面11bと接続用薄板接合面21bの接触面積を、第1実施例同様に少なくできるメリットがあるので、接着剤層22の剥離防止に貢献する。
これによって、積層導体10と端部接続導体20の接続部の電気抵抗をあげることなく、固定子50を構成できるので、接続部がモータの発熱要因となることを防止できる。さらに、剥がれ落ちた接着剤層22が他の部分と短絡してしまうことによる不良を発生することも防止することが可能である。
次に、絶縁検査において、細線検査プローブ26を用いることで確実に絶縁検査が可能になる。
絶縁検査を行う場合には薄板11ごとに検査プローブを当てる必要があるが、図16に示すように突出差部17が階段状に設けられているので、例えば固定子コア30の外周方向から細線検査プローブ26の細線26aを突出差部17に当接させることで、各薄板端部11aの薄板接合面11bに細線検査プローブ26を確実に接触させることが可能になる。薄板接合面11bに細線26aを接触させるので、薄板11に累積誤差があったとしても、薄板接合面11bに細線26aは確実に当接させることが可能である。
したがって、絶縁不良などがあったとしても、細線検査プローブ26による検査で、不良を検出でき、その後の工程に不良品を流すことを防止することができる。
以上に説明したように、本発明の第2実施例では以下に示すような、構成、作用、効果が得られる。
(1)内周に複数の凹状のスロット32が形成されてなる固定子コア30と、複数の薄板11が積層されてなる積層導体10と、該積層導体10と他の積層導体10の端部同士を接続する複数の接続用薄板21が積層されてなる端部接続導体20と、を有し、固定子コア30のスロット32に積層導体10が挿入された状態で、積層導体10に端部接続導体20が接合されて形成されるモータの固定子製造方法において、固定子コア30に積層導体10が挿入された状態で、固定子コア30の径方向に第1の薄板11と隣り合う第2の薄板11を、固定子コア30の径方向で第1の薄板11から離れる方向に曲げ、第1の薄板11の端部と、第2の薄板11の端部との間に形成される端部隙間13に接続用薄板21が挿入され、積層導体10及び端部接続導体20が所定の位置に組み立てられるので、挿入時に第2の薄板11の角により接続用薄板21の端部に塗布された接着剤層22を削り取られる虞が減少する。また接続用薄板21が挿入される場合に、第2の薄板11の薄板端部11aが曲げられていることによって、接続用薄板21の接続用薄板接合面21bに塗布された接着剤層22が第2の薄板11の薄板接合面11bと接触して擦られる距離が短くなるので、接触によって接着剤層22が擦り取られる虞が減少する。
このように、固定子コア30の径方向に第2の薄板11の薄板端部11aを曲げることで、接着剤層22が剥離する虞を減少させ、組立時に部品同士の相対位置精度向上や、部品自体の製作精度を必要としなくなり、部品製作のコスト削減が見込める。したがって、接続用薄板接合面21bに接着剤層22を設けた場合でも、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法の提供を実現できる。
(2)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、第1の薄板11のスロット32から突出する部分である第1の薄板11の突出部より、第2の薄板11のスロット32から突出する部分である第2の薄板11の突出部が、突出差部17の分だけ高く、突出差部17に接続用薄板21を押し当てることで、第2の薄板11に形成された薄板端部11aを第1の薄板11から離れる方向に曲げ、接続用薄板21を端部隙間13に挿入するので、第1の薄板11に邪魔されることなく第2の薄板11の突出差部17に接続用薄板21を押し当てることが可能である。よって、接続用薄板21の位置出しが容易に行え、端部接続導体20を所定の位置にセットすることが容易になる。
スロット32に差し込まれた積層導体10の薄板11と、端部接続導体20の接続用薄板21は、それぞれの部品の寸法公差がある。寸法公差のある薄板11と接続用薄板21をそれぞれ積層した状態で組み立てる際には、相対位置にバラツキが生じる。
このようなバラツキを吸収するために、通常は面取りなどが行われるが、薄板11の厚みが薄く、複数枚積層しているという事情から形状で寸法公差を吸収することは困難である。
しかしながら、接続用薄板21を積層導体10の第2の薄板11の端部である第2の薄板11の突出部に押し当て、第2の薄板11に形成された薄板端部11aを第1の薄板11から離れる方向に曲げることで、位置決めが可能となる。また、第1の薄板11の第1突出量よりも第2の薄板11の第2突出量が多いので、接続用薄板21を第2の薄板11の突出部に押し当てるときにも、第1の薄板11の突出部が邪魔になるようなことがない。
つまり、それぞれ接合すべき薄板11と接続用薄板21が直接当接し、押圧され、薄板11に形成される薄板端部11aが曲げられることで、それぞれの位置を確定することができるので、複数の薄板11と、複数の接続用薄板21を同時に挿入可能になる。また、挿入する接続用薄板21に対して第2の薄板11は斜面を成し、第2の薄板11の角により接続用薄板21の端部に塗布された接着剤層22を削り取る虞が減少する。
したがって、接合面に接着剤層22を設けた場合でも、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法の提供を実現できる。
(3)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、薄板11の突出差部17に、側面から細線検査プローブ26をあてることで、突出差部17を細線検査プローブ26の検査面とすることを特徴とするので、細線検査プローブ26を薄板に確実にあてることができ、固定子の検査を容易にする。
モータの固定子製造にあたって、隣り合う積層した薄板11の絶縁が確実にされているか否かについて、絶縁試験を行う必要がある。例えば絶縁皮膜の剥離や、接合部に導電性接着剤を用いている場合、導電性接着剤が剥離して薄板間を短絡するようなことも考えられる。したがって、スロット32に積層導体10を挿入した段階か、積層導体10の両端を端部接続導体20で接続する場合は片側に端部接続導体20を接合した段階で、各薄板接合面11bに細線検査プローブ26を当てて薄板11同士の絶縁が確保されているか調査する必要がある
ところで、小型化した固定子の薄板11は1枚当たり1mm前後の厚みである場合もあり、積層状態では隣の薄板11に当たらないように検査用プローブを当てることは困難である。そこで、薄板11の突出差部17に側面側から細線検査プローブ26を当てることで、検査を確実にかつ容易に行うことを実現できる。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てられるので、組立性を向上した固定子50の提供が可能である。
次に、本発明の第3実施例の説明を行う。
(第3実施例)
第3実施例は、第1実施例とほぼ同じ構成であるが、積層導体10が直線状ではなく、U型のものを用いている点で異なる。その様子を示したものが図17及び図18である。
図17は、第3実施例の固定子コア30にU型積層導体60を挿入した斜視図である。また、図18は、図17の次の組立段階である、固定子コア30に挿入されたU型積層導体60の端部に端部接続導体20を挿入した斜視図である。
U型積層導体60は、第1実施例の積層導体10が固定子第1面30a側で繋がっている状態と同じである。
U型積層導体60の備えるU型薄板61も、第1実施例の薄板11と同様に厚みと幅が徐々に異なる。すなわち、固定子コア30に組み付けられた状態で、内径側にくる第1U型薄板6101の形状を基準とすると、第2U型薄板6102乃至第9U型薄板6109と、固定子コア30の外径側に配置されるU型薄板61になるに従って、厚みは薄く、幅は広くなる。
図19に、治具を用いてU型積層導体を階段状に揃えている状態を表した斜視図を示す。
U型積層導体60を固定子コア30に組み付けるにあたって、傾斜治具65を用いてU型積層導体60のU型薄板61を階段状に揃える。こうすることで、U型薄板61の端部は突出差部17の分だけ高さに差ができ、階段状になる。
傾斜治具65は所定の角度を持つテーパが設けられている単純なものでよいが、テーパ部分が段差になっていても良い。
そして、<挿入工程>で階段状になったU型積層導体60を、予めスロット32にケース状インシュレータ16が装着された固定子コア30に挿入する。U型積層導体60は階段状になっているが、固定子コア30に差し込まれた状態で、固定子コア30の内径側が高くなるように挿入されている。
また、U型積層導体60は2つのスロット32を跨いで装着される。例えば、第1スロット3201と第2スロット3202を跨いでU型積層導体60はそれぞれに挿入され、隣に挿入されるU型積層導体60は、第2スロット3202と第3スロット3203を跨いで挿入される。つまりスロット32には隣り合うU型積層導体60の挿入部分が2つ差し込まれることになる。
全てのスロット32に階段状のU型積層導体60が図18に示すように差し込まれて挿入工程を終了する。なお、図18ではU型積層導体60が階段状になっている様子は省略されている。
全てのスロット32に階段状のU型積層導体60が差し込まれた後、<接合工程>で端部接続導体20を接合する。
固定子コア30には、階段状になったU型積層導体60が差し込まれているので、第2実施例の図14に示されるように、挿入アーム75を用いて保持治具78に一定間隔に保持された接続用薄板21を、突出差部17に当接するように押し付け、U型積層導体60の薄板端部11aを曲げて端部隙間13に接続用薄板21を差し込む。そして、保持治具78を抜き、階段状になっているU型積層導体60を平らな面で押すことで、U型積層導体60を図18に示す状態にする。
その後、<コイル接続工程>と、<樹脂モールド工程>を経て固定子50が形成される。
第3実施例は上記構成であるので、以下の作用効果を有する。
まず、U型積層導体60を階段状にして固定子コア30に挿入し、接続用薄板21を挿入した後にU型積層導体60の端部を平面に押し付けて平坦することで、固定子50の端部を必要以上に大きくする必要がないので、固定子50の小型化に貢献する。
U型積層導体60は傾斜治具65を用いて階段状にされることで、第2実施例と同様に挿入アーム75を用いて保持治具78に所定間隔に保持された接続用薄板21を、突出差部17に当接させて挿入することが可能になる。
そして、接続用薄板21を端部隙間13に挿入後、平らな治具に固定子コア30に挿入されたU型積層導体60の端部を押し付けることで、U型積層導体60は図20に示すような状態になって段差が無くなるので、固定子コア30から固定子第1面30a側及び固定子第2面30b側から突出するコイルエンドの部分を最小にすることが可能となる。すなわち樹脂モールド部45の高さも低くすることが可能になる。
固定子50は小型化、高出力化が求められており、小型化する上でコイルエンド部分の短縮は、固定子50の小型化に大きく貢献する。
また、第2実施例同様に端部接続導体20を積層導体10に接続する工程を一工程で行うことができ、作業時間の短縮に貢献し、組立も簡易になる。
次に、U型積層導体60を用いて固定子50を形成する場合には、端部接続導体20を接合する接合工程の短縮が図れるというメリットがある。薄板積層式の固定子50は、接続部の処理が最も問題となりやすいので、接続部分が減少すれば歩留まりの向上を見込める。
第3実施例では、U型積層導体60を固定子コア30に挿入する際に、階段状に揃えることで、接合工程において、第2実施例と同様に接続用薄板21をU型薄板61の端部に当接させ、押圧することで、接続用薄板21とU型薄板61のそれぞれの位置を確定することができ、端部隙間13に接続用薄板21を挿入することが容易になる。したがって、固定子50の組立性を向上させ、製造コストの削減に繋がる。
以上に説明したように、本発明の第3実施例では以下に示すような、構成、作用、効果が得られる。
(1)内周に複数の凹状のスロット32が形成されてなる固定子コア30と、複数のU型薄板61が積層されてなるU型積層導体60と、U型積層導体60と他のU型積層導体60の端部同士を接続する複数の接続用薄板21が積層されてなる端部接続導体20と、を有し、固定子コア30のスロット32に積層導体10が挿入された状態で、U型積層導体60に端部接続導体20が接合されて形成されるモータの固定子製造方法において、固定子コア30にU型積層導体60が挿入された状態で、固定子コア30の径方向に第1のU型薄板61と隣り合う第2のU型薄板61の端部を、固定子コア30の径方向で第1のU型薄板61から離れる方向に曲げ、第1のU型薄板61の端部と、第2のU型薄板61の端部との間に形成される端部隙間13に接続用薄板21が挿入され、U型積層導体60及び端部接続導体20が所定の位置に組み立てられる
ので、挿入時に第2のU型薄板61の角により接続用薄板21の端部に塗布された接着剤層22を削り取られる虞が減少する。また接続用薄板21が挿入される場合に、第2のU型薄板61の端部が曲げられていることによって、接続用薄板21の接続用薄板接合面21bに塗布された接着剤層22が第2のU型薄板61の薄板接合面61bと接触して擦られる距離が短くなるので、接触によって接着剤層22が擦り取られる虞が減少する。
このように、固定子コア30の径方向に第2のU型薄板61の端部を曲げることで、接着剤層22が剥離する虞を減少させ、組立時に部品同士の相対位置精度向上や、部品自体の製作精度を必要としなくなり、部品製作のコスト削減が見込める。したがって、接続用薄板接合面21bに接着剤層22を設けた場合でも、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法の提供を実現できる。
(2)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、第1のU型薄板61のスロット32から突出する部分である第1のU型薄板61の突出部より、第2のU型薄板61のスロット32から突出する部分である第2のU型薄板61の突出部が、突出差部17の分だけ高く、突出差部17に接続用薄板21を押し当てることで、第2のU型薄板61を第1のU型薄板61から離れる方向に曲げ、接続用薄板21を端部隙間13に挿入することを特徴とするので、第1のU型薄板61に邪魔されることなく第2のU型薄板61の突出差部17に接続用薄板21を押し当てることが可能である。よって、接続用薄板21の位置出しが容易に行え、端部接続導体20を所定の位置にセットすることが容易になる。
(3)(2)に記載のモータの固定子製造方法において、U型積層導体60をスロット32に差し込む際に、U型積層導体60板を階段状に異なる高さとするための傾斜治具65を用い、傾斜治具65にU型積層導体60を押し当てることで、第1のU型薄板61の突出部より第2のU型薄板61の突出部の突出量を突出差部17の分だけ高くするので、(3)の段差部を容易に作ることができ、固定子50の組立性向上に貢献することができる。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てられたので、組立性を向上した固定子の提供が可能である。
次に、本発明の第4実施例の説明を行う。
(第4実施例)
第4実施例は、第1実施例とほぼ同じ構成であるが、<挿入工程>でその構成が異なる。その様子を示したのが図20、及び図21である。
図20は、第4実施例の固定子コア30に挿入した積層導体10にガイドプレート67を挿入した状態を示している。また、図21は、ガイドプレート67に接続用薄板21を当接させている状態の略図である。
ガイドプレート67は、鋼板などの剛性のある長方形のプレートである。材質は、積層導体10を構成する薄板11や、端部接続導体20を構成する接続用薄板21よりも剛性が高いものが望ましく、また導電性のあるものが良い。さらに、接続用薄板21の接続用薄板接合面21bをガイドするため、表面は研磨してあることが望ましい。
このガイドプレート67を固定子コア30に挿入されている積層導体10の端部隙間13に差し込み配置する。端部隙間13よりもガイドプレート67の幅は十分薄く、容易に挿入可能である。
なお、ガイドプレート67は固定子コア30の外径側から内径側に向かうに従って徐々に低くなっている。内径側から、第1ガイドプレート6701乃至第8ガイドプレート6708とするが、便宜上単にガイドプレート67と言うときは、第1ガイドプレート6701乃至第8ガイドプレート6708のいずれか、或いは全てを指すものとする。
隣り合うガイドプレート67の高さの差である突出ガイド部67aは、第2実施例の突出差部17と同じ考え方で設けられている。
固定子コア30に挿入された積層導体10の、固定子第1面30a側の端部隙間13にガイドプレート67が挿入された後、端部接続導体20を積層導体10の端部に接合する工程にはいる。
図21に示されるように、保持治具78に保持された接続用薄板21は、階段状に並べられ、ピッチは薄板11の間隔より広く設定されている。このような保持治具78が、積層導体10の薄板11の薄板接合面11bに押し当てられ、ガイドプレート67を曲げることで、ガイドプレート67の間隔を拡大するとともに、薄板端部11aを曲げて端部隙間13の幅を広げる。
つまり、第1接続用薄板2101は第1ガイドプレート6701の突出ガイド部67aに、第2接続用薄板2102は第2ガイドプレート6702の突出ガイド部67aに、第3接続用薄板2103は第3ガイドプレート6703の突出ガイド部67aに、第4接続用薄板2104は第4ガイドプレート6704の突出ガイド部67aに、第5接続用薄板2105は第5ガイドプレート6705の突出ガイド部67aに、第6接続用薄板2106は第6ガイドプレート6706の突出ガイド部67aに、第7接続用薄板2107は第7ガイドプレート6707の突出ガイド部67aに、第8接続用薄板2108は第8ガイドプレート6708の突出ガイド部67aに当接することになる。
これによって、端部隙間13に接続用薄板21が挿入しやすくなる。
このように、端部隙間13に接続用薄板21が挿入された場合に、端部隙間13にはガイドプレート67も挿入されているため、端部隙間13の下部にまで接続用薄板21が入り込まない。よって、挿入途中でガイドプレート67を抜き、接続用薄板21を端部隙間13の奥まで押し込む作業が必要となる。
そして、固定子第1面30a側の異なる固定子コア30に挿入される積層導体10を端部接続導体20で接続した後、加圧加熱して接合する。
固定子第2面30b側も同様に端部接続導体20を組み付ける必要があるが、その前に絶縁テストを行う必要がある。
図22に、絶縁テストを行う場合の模式図を示す。
第4実施例の絶縁テストは、第2実施例の絶縁テストと同様に側面から細線検査プローブ26を接触させて行う。ただし、細線検査プローブ26の当接する被接触体は薄板11ではなく、ガイドプレート67であるという違いがある。
固定子第2面30b側も、ガイドプレート67を端部隙間13に挿入する。ガイドプレート67は第1ガイドプレート6701から第9ガイドプレート6709にかけて徐々に高さが低くなるので、固定子コア30の外周側からガイドプレート67に接触させれば、ガイドプレート67の先端がガイドプレート67にならって通電可能になる。
このようにして絶縁テストを行った後、固定子第2面30b側にも端部接続導体20を組み付けて加熱冷却する。
第4実施例は上記構成であるので、以下の作用効果を有する。
まず、ガイドプレート67を端部隙間13に挿入して接続用薄板21を組み付けることで、端部隙間13の間隔を広げて接続用薄板21を挿入することが可能となる。端部隙間13が広がれば接続用薄板21の挿入は容易となり、組立性が向上する。
なお、端部隙間13に予めガイドプレート67を挿入しておかなければならないが、ガイドプレート67は端部隙間13に対して薄く作られており、接続用薄板21の接合部21aよりも薄いので、接続用薄板21よりも挿入は容易である。
次に、ガイドプレート67に端部隙間13に対応する接続用薄板21を押し当てて、ガイドプレート67を曲げ、接続用薄板21を端部隙間13に挿入するので、挿入されるべき端部隙間13に対して接続用薄板21がガイドプレート67に沿って挿入され、積層導体10を構成する薄板11の寸法公差によってバラツキがあり、また接続用薄板21に寸法公差によってバラツキがあって、挿入される端部隙間13に対して接続用薄板21の相対位置にズレがあっても、ズレが吸収されて組立性に影響しないというメリットがある。
次に、接合部21aに形成される接着剤層22は、図21に示すようにガイドプレート67に接触することになるが、ガイドプレート67は曲げられており、接続用薄板21と角度がついている上に、ガイドプレート67の側面に接続用薄板21を当接させて移動するので、薄板11やガイドプレート67の角で接着剤層22を引っ掻くことはなく、接着剤層22を剥離しにくい。
次に、ガイドプレート67が導体であり、薄板11に接触しているので、ガイドプレート67の端部に細線検査プローブ26の細線26aを当接させて、薄板11の絶縁検査が可能である。このため、薄板11に凸部11cのような検査部を設ける必要がなく、固定子50の端部であるコイルエンドの部分を短くすることができる。
以上に説明したように、本発明の第4実施例では以下に示すような、構成、作用、効果が得られる。
(1)内周に複数の凹状のスロット32が形成されてなる固定子コア30と、複数の薄板11が積層されてなる積層導体10と、該積層導体10と他の積層導体10の端部同士を接続する複数の接続用薄板21が積層されてなる端部接続導体20と、を有し、固定子コア30のスロット32に積層導体10が挿入された状態で、積層導体10に端部接続導体20が接合されて形成されるモータの固定子製造方法において、固定子コア30に積層導体10が挿入された状態で、固定子コア30の径方向に第1の薄板11と隣り合う第2の薄板11を、固定子コア30の径方向で第1の薄板11から離れる方向に曲げ、第1の薄板11の端部と、第2の薄板11の端部との間に形成される端部隙間13に接続用薄板21が挿入され、積層導体10及び端部接続導体20が所定の位置に組み立てられるので、挿入時に第2の薄板11の角により接続用薄板21の端部に塗布された接着剤層22を削り取られる虞が減少する。また接続用薄板21が挿入される場合に、第2の薄板11の薄板端部11aが曲げられていることによって、接続用薄板21の接続用薄板接合面21bに塗布された接着剤層22が第2の薄板11の薄板接合面11bと接触して擦られる距離が短くなるので、接触によって接着剤層22が擦り取られる虞が減少する。
このように、固定子コア30の径方向に第2の薄板11の薄板端部11aを曲げることで、接着剤層22が剥離する虞を減少させ、組立時に部品同士の相対位置精度向上や、部品自体の製作精度を必要としなくなり、部品製作のコスト削減が見込める。したがって、接続用薄板接合面21bに接着剤層22を設けた場合でも、高効率かつ低コストで組立可能なモータの固定子製造方法の提供を実現できる。
(2)(1)に記載のモータの固定子製造方法において、端部隙間13よりも薄い板よりなるガイドプレート67を、端部隙間13に挿入し、ガイドプレート67は、差し込まれた状態で薄板11の端部よりも固定子コア30の軸方向に突出する突出ガイド部67aを備え、ガイドプレート67の突出ガイド部67aに接続用薄板21を押し当て、第2の薄板11の端部を曲げ、接続用薄板21を端部隙間13に挿入するので、接続用薄板21を突出ガイド部67aに押し当てることで端部隙間13を拡大し、接続用薄板21の挿入を容易にし、固定子50の組立性の向上を図ることができる。
(3)(1)又は(2)に記載のモータの固定子製造方法において、
ガイドプレート67の突出ガイド部67aに、側面から細線検査プローブ26をあてることで、突出ガイド部67aを細線検査プローブ26の検査面とするので、細線検査プローブ26を薄板11に確実にあてることができ、固定子50の絶縁検査を容易にする。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てられたことを特徴とするので、組立性を向上した固定子50の提供が可能である。
以上において、実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、第1実施例の絶縁検査は、端部接続導体20と積層導体10を加圧加熱して接合した後に行っているが、加圧加熱前に行っても良い。第2実施例についても同様である。
また、第1実施例乃至第4実施例は、積層導体10とU型積層導体60を別々に説明しているが、第1実施例にU型積層導体60を用いて固定子50を構成しても良いし、第4実施例にU型積層導体60を用いて固定子50を構成することを妨げない。
第1実施例の、固定子コアに積層導体を挿入した組立段階を表す斜視図を示している。 第1実施例の、図1の次の組立段階であり、固定子コアに積層導体に端部接続導体を挿入した段階を表す斜視図を示している。 第1実施例の、図2の次の組立段階であり、積層導体と端部接続導体で構成されるコイルを接続する接続線を渡した段階を表す斜視図を示している。 第1実施例の、図3の次の組立段階であり、固定子の両端が樹脂モールドされた段階を表す斜視図を示している。 第1実施例の、積層導体の斜視図を示している。 第1実施例の、積層導体が板状インシュレータを挟んで並べた状態の斜視図を示している。 第1実施例の、ケース状インシュレータに積層導体が挿入された状態の斜視図を示している。 第1実施例の、固定子コアの斜視図を示している。 第1実施例の、固定子に挿入した積層導体に端部結合導体を挿入する際の斜視模式図を示している。 第1実施例の、図9の断面図を示している。 第1実施例の、固定子コアに挿入した積層導体の端部に検査プローブを当て、絶縁検査する際の模式斜視図を示している。 第2実施例の、固定子に挿入した積層導体に端部結合導体を挿入する際の模式斜視図を示している。 第2実施例の、図12の断面図を示している。 第2実施例の、端部結合導体を構成する接続用薄板を、積層導体を構成する薄板に当接させている状態の断面図を示している。 第2実施例の、端部結合導体を構成する接続用薄板を、積層導体を構成する薄板に当接させ、途中まで挿入している状態の断面図を示している。 第2実施例の、階段状になった薄板の側面に検査プローブを当てて検査する様子を表す断面図を示している。 第3実施例の、固定子コアにU型積層導体を挿入した状態の斜視図を示している。 第3実施例の、図17の次の組立段階であり、固定子コアに挿入されたU型積層導体の端部に、端部接続導体を挿入した状態の斜視図を示している。 第3実施例の、治具を用いてU型積層導体を階段状に揃えている状態を表した斜視図を示している。 第4実施例の、固定子コアに挿入した積層導体に、ガイドプレートを配置した状態の断面図を示している。 第4実施例の、固定子コアに配置したガイドプレートに接続用薄板を当接した状態の断面図を示している。 第4実施例の、固定子コアに配置したガイドプレートに検査プローブを当て、絶縁検査を行っている状態の断面図を示している。 従来技術である特許文献1の、薄板積層状の導体を用いた固定子の一例である、モータの固定子の分解斜視図を示す。
符号の説明
10 積層導体
11 薄板
11a 薄板端部
11b 接合面
13 端部隙間
15 板状インシュレータ
16 ケース状インシュレータ
16a 鍔
17 突出差部
20 端部接続導体
21 接続用薄板
21b 接合面
22 接着剤層
30 固定子コア
30a 固定子第1面
30b 固定子第2面
31 ティース部
32 スロット
40 連絡線
41 端子
45 樹脂モールド部
50 固定子
60 U型積層導体
61 U型薄板
65 傾斜治具

Claims (7)

  1. 内周に複数の凹状のスロットが形成されてなる固定子コアと、複数の薄板が積層されてなる積層導体と、該積層導体と他の積層導体の端部同士を接続する複数の接続用薄板が積層されてなる端部接続導体と、を有し、前記固定子コアの前記スロットに前記積層導体が挿入された状態で、前記積層導体に前記端部接続導体が接合されて形成されるモータの固定子製造方法において、
    前記固定子コアに前記積層導体が挿入された状態で、前記固定子コアの径方向に第1の薄板と隣り合う第2の薄板の端部を、前記固定子コアの径方向で前記第1の薄板から離れる方向に曲げ、
    前記第1の薄板の端部と、前記第2の薄板の端部との間に形成される端部隙間に前記接続用薄板が挿入され、前記積層導体及び前記端部接続導体が所定の位置に組み立てられることを特徴とするモータの固定子製造方法。
  2. 請求項1に記載のモータの固定子製造方法において、
    前記第1の薄板の前記スロットから突出する部分である前記第1の薄板の突出部より、前記第2の薄板の前記スロットから突出する部分である前記第2の薄板の突出部が、突出差部の分だけ高く、
    前記突出差部に前記接続用薄板を押し当てることで、前記第2の薄板を前記第1の薄板から離れる方向に曲げ、前記接続用薄板を前記端部隙間に挿入することを特徴とするモータの固定子製造方法。
  3. 請求項2に記載のモータの固定子製造方法において、
    前記積層導体を前記スロットに差し込む際に、前記積層導体の薄板を階段状に異なる高さとするための整形治具を用い、前記整形治具に前記積層導体の端部を押し当てることで、前記第1の薄板の突出部より前記第2の薄板の突出部の突出量を前記突出差部の分だけ高くすることを特徴とするモータの固定子製造方法。
  4. 請求項1に記載のモータの固定子製造方法において、
    前記端部隙間よりも薄い板よりなるガイドプレートを、前記端部隙間に挿入し、
    前記ガイドプレートは、差し込まれた状態で前記薄板の端部よりも前記固定子コアの軸方向に突出する突出ガイド部を備え、
    前記ガイドプレートの前記突出ガイド部に前記接続用薄板を押し当て、前記第2の薄板の端部を曲げ、前記接続用薄板を前記端部隙間に挿入することを特徴とするモータの固定子製造方法。
  5. 請求項1に記載のモータの固定子製造方法において、
    前記接続用薄板を保持する保持治具を前記固定子コアの径方向にスライドさせることで、前記第2の薄板の端部が前記保持治具に備えられた突起部に押圧されて曲げられ、前記端部隙間を順次拡大し、
    拡大した前記端部隙間に前記接続用薄板を順次差し込むことで、前記積層導体及び前記端部接続導体が所定の位置に組み立てられることを特徴とするモータの固定子製造方法。
  6. 請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のモータの固定子製造方法において、
    前記薄板の前記突出差部、又は前記ガイドプレートの前記突出ガイド部に、側面から検査用プローブをあてることで、前記突出差部又は前記突出ガイド部を前記検査用プローブの検査面とすることを特徴とするモータの固定子製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されるモータの固定子製造方法を用いて組み立てられたことを特徴とするモータの固定子。
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