JP4709678B2 - 土壌汚染物質溶出試験方法および土壌汚染物質溶出促進装置 - Google Patents
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Description
また、不溶化とは汚染土壌に各種薬剤を添加して土壌汚染物質を水に溶けにくい物質に変えて安定化させるものである。
そして、この溶出試験は、土壌が定められた基準値を満足するかどうか(処理を必要とするかどうか)の判定のみならず、汚染土壌に対する固化処理や不溶化処理の効果を評価する方法としても広く用いられており、固化処理や不溶化処理される前の汚染土壌や固化処理、不溶化処理された後の土壌、セメントあるいはコンクリートなどの種々の固体試料に対する評価試験として広く用いられている。
また、固化処理や不溶化処理などの効果に対する長期安定性を評価する場合には、固化処理、不溶化処理された後の土壌を恒温室で常温(20℃)で養生させた後に上記のような溶出試験が実施されて養生期間と溶出量との関係が求められたりしている。
例えば、近年、汚染土壌がセメントにより固化処理されたセメント固化体を、水没、乾燥を繰り返してセメント固化体からの土壌汚染物質の溶出を促進させる方法が検討されている。しかし、この方法では、恒温室で養生させる場合に比べて短期間に長期安定性の評価が実施できる反面、水没過程で水中に溶出される土壌汚染物質の量をその都度測定し、最終的には水中に溶出される土壌汚染物質の量を合計する必要がある。すなわち、各水没過程で固体試料から水中に溶出される土壌汚染物質の量をその都度測定しなければならず評価のための手間を増大させるという問題を生じる。
しかも、水没、乾燥を繰り返して実施する場合と同様に土壌汚染物質の溶出を恒温室で養生させる場合に比べて促進させることができる。
よって、本発明によれば、土壌汚染物質溶出試験方法の手間を増大させずに汚染土壌等の長期安定性を短期間に評価することが困難であるという問題を解消でき、土壌汚染物質溶出試験方法を簡便で短期間での長期安定性評価可能なものとさせ得る。
この土壌としては、砂質土、関東ローム、有機質土などあらゆるものが適用可能である。また、測定の対象となる土壌汚染物質としては、主として重金属類であり、六価クロム、鉛、砒素、カドミウム、水銀、セレンやフッ素、ホウ素、シアン等が挙げられる。
この乾燥過程の雰囲気温度が20〜60℃であることが好ましいのは、20℃未満の温度では固体試料の乾燥速度が低く、サイクル数を増加させることとなって試験が効率的に行われないおそれがあり、一方、60℃を超える温度とした場合には固体試料が劣化を起こしてしまうおそれがあるためである。
また、湿潤過程の雰囲気温度が0〜60℃であることが好ましいのは、0℃未満の温度では水の凍結により湿潤効果を得るのが困難となるおそれがあり、一方、60℃を超える温度とした場合には固体試料が劣化を起こしてしまうおそれがあるためである。
図1は、土壌汚染物質溶出促進装置を示した断面図である。図1に示す如く、土壌汚染物質溶出促進装置1は、固体試料Aを収容しうる胴部10と、底面部20と、蓋部30とを有する装置本体2と、該装置本体2に水を供給するための水供給装置3と、前記装置本体2に外気を供給して装置本体2内の空気を排出させるための外気供給装置4とを有する調湿機構が備えられている。
また、土壌汚染物質溶出促進の調湿機構としては、装置本体2内の空気を加温させるためのヒーター5と、装置本体2内の空気を攪拌して装置本体2内の温湿度に偏りが生じることを抑制させるための攪拌ファン6と装置本体2内の空気の温湿度を測定するための温湿度センサー7が備えられている。
前記蓋部30も胴部10の円筒よりも径大な円板形状に形成されている。
そして、前記装置本体2は前記底部20の傾斜領域21に前記胴部10を外嵌させた状態で前記胴部10の下方の開口部が前記底部20により閉塞されており、前記蓋部30により前記胴部10の上方の開口部が閉塞されている。
また、前記装置本体2内には、固体試料Aを前記胴部10の上下方向略中央部において保持すべく固体試料載置部40が形成されており、該固体試料載置部40は前記胴部10円筒形状に比べはるかに細く円筒形状の略半分程度の長さの棒状体に形成された脚部41と前記胴部10の円筒内周よりも径小でしかも多数の貫通孔が形成された円板形状に形成されている円板部42とを有し、複数の前記脚部41が前記底部20の傾斜領域21上に立脚され、該脚部41の上端に前記円板部42が載置された状態で装置本体2内に収容されている。
前記水供給装置3は、胴部10に形成された貫通孔11から装置本体2内に水を流入させるべく水貯留槽35と水循環ポンプ36とを有している。そして、この水貯留槽35から水循環ポンプ36を通り、胴部10に形成された貫通孔11(以下「水流入孔」ともいう)から装置本体2内に流入された水が底部20に形成された貫通孔22(以下「水排出孔」ともいう)から水貯留槽35に還流されるべく水循環経路Wが形成されている。また、この水貯留槽35は、土壌汚染物質溶出促進装置において装置本体2よりも低位に配され、水排出孔22から水貯留槽35にいたる部分の水循環経路Wには電磁弁37が設けられており、装置本体2内に流入された水を前記電磁弁37を閉状態にすることにより装置本体2内に水を貯留し、前記電磁弁37を開状態にすることにより装置本体2内に流入された水を水貯留槽35に自然流下させうるように構成されている。
外気供給装置4は、外気をこの装置本体2内に流入させて装置本体2内の空気を排気孔32から排出させるべく、外気流入孔31に挿通される外気流入管45と、排気孔32に接続される排気管46とを有しており、この外気流入管45にはさらに外気を装置本体2内に流入させるためのファン(図示せず)が設けられている。また、この排気管46には弁47が取り付けられておりこの弁47の開度により装置本体2を流通する外気の量を調整し得るように構成されている。
砂質土(千葉県成田産)に対し重クロム酸カリウム(キシダ化学社製、特級)を加えて砂質土の乾燥重量1kgあたりに六価クロムが50mg含有された模擬汚染土壌を作製した。
上記の模擬汚染土壌に対し、六価クロムの不溶処理に一般に用いられている硫酸第一鉄(7水和物:キシダ化学社製、特級)を加えて不溶化処理を行い溶出試験に用いる固体試料を作製した。このとき硫酸第一鉄を模擬汚染土壌の砂質土の乾燥重量1kgあたりに50gの添加量となるように模擬汚染土壌に添加して不溶化処理を行った。
(初期状態の確認)
上記のように作製された固体試料(不溶化処理土壌)を用いて、1日間の水中浸漬を行い、水に溶出したクロム量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例1)
乾燥過程(40℃、20%RH)と湿潤過程(20℃、95%RH)とが1日交替で実施されるサイクル試験を1サイクル(2日間)実施した固体試料と、2サイクル(4日間)実施した固体試料とを用いて上記と同様にクロムの溶出量測定を実施した。結果を表1に示す。
乾燥過程(40℃、20%RH)と湿潤過程(20℃、95%RH)とが3時間交替で実施されるサイクル試験を8サイクル(2日間)実施した固体試料と、16サイクル(4日間)実施した固体試料とを用いて上記と同様にクロムの溶出量測定を実施した。結果を表1に示す
20℃での養生が2日間実施された固体試料と、4日間実施された固体試料とを用いて上記と同様にクロムの溶出量測定を実施した。結果を表1に示す。
乾燥過程(40℃、20%RH)と水没過程とが1日交替で実施されるサイクル試験を1サイクル(2日間)および2サイクル(4日間)実施した固体試料を用いて水没過程で水中に溶出されたクロムの量を測定した。結果を表1に示す。
Claims (3)
- 土壌汚染物質が含有されている固体試料から前記土壌汚染物質を水中に溶出させる溶出試験を実施することにより前記固体試料からの土壌汚染物質溶出量を測定する土壌汚染物質溶出試験方法であって、
前記固体試料を乾燥させる乾燥過程と、前記固体試料を加湿する湿潤過程とが少なくとも1回ずつ実施されるサイクル試験を前記溶出試験前に実施することを特徴とする土壌汚染物質溶出試験方法。 - 前記固体試料を温度が20℃〜60℃で、相対湿度が0〜50%の雰囲気条件とすることにより前記乾燥過程を実施し、且つ、前記固体試料を温度が0〜60℃で、相対湿度が70〜100%の雰囲気条件とすることにより前記湿潤過程を実施する請求項1記載の土壌汚染物質溶出試験方法。
- 土壌汚染物質が含有され該土壌汚染物質を水中に溶出させる溶出試験が実施される固体試料に対して前記溶出試験前に前記固体試料の雰囲気条件を変化させて土壌汚染物質の溶出を促進させる土壌汚染物質溶出促進装置であって、
前記固体試料を収容可能に形成された装置本体と、該装置本体内の湿度を変化させ得る調湿機構とが備えられており、前記装置本体は、前記固体試料の収容される位置よりも下方に水を貯留するようになっており、前記調湿機構には、前記装置本体内に水を供給し且つ前記水を装置本体外へ排出する水供給装置と、前記装置本体に外気を供給し且つ前記装置本体内の空気を排出させるための外気供給装置と、前記装置本体を加熱するヒーターと、前記装置本体内の空気の温湿度を測定する温湿度センサーとが備えられてなることを特徴とする土壌汚染物質溶出促進装置。
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