以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1に基づき、本発明の第1の実施の形態に係わる電子内視鏡装置の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係わる電子内視鏡装置の全体構成を説明するブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の電子内視鏡装置は、撮像手段を備えた電子内視鏡1と、電子内視鏡1と着脱自在に接続されたプロセッサ2と、電子内視鏡1に照明光を供給する図示しない光源装置と、プロセッサ2から出力されるビデオ信号を表示する、図示しないモニタとから構成されている。
体腔内に挿入される電子内視鏡1の先端部には、固体撮像素子として、例えば電荷結合素子(CCD)3が設けられている。また、電子内視鏡1には、CCD3を駆動させるCCD駆動手段4が設けられている。CCD駆動手段4はクロック受信手段5と電気的に接続されており、クロック受信手段5がプロセッサ2から受信する制御信号(クロック)に従ってCCD3の駆動信号を発生させる。
また、電子内視鏡1には、CCD3から出力される映像信号を処理する手段として、CCD信号処理手段6と、位相補償手段7と、CDS手段8と、A/D変換手段9と、メモリ10と、データ圧縮手段11とが設けられている。CCD3から出力された映像信号は、CCD信号処理手段6で受信されて、必要な増幅処理やフィルタ処理が施される。CCD信号処理手段6から出力された映像信号は、位相補償手段7で受信されて、位相が補償される。尚、位相補償手段7には、プロセッサ2から受信するクロックと同じ周期で発振するVCXO12が設けられており、CCD3から出力された映像信号に同期したクロック、すなわち位相補償されたクロックを発振する。VCXO12から発振されたクロックは、CDS手段8と、A/D変換手段9と、メモリ10とに出力される。位相補償手段7から出力された映像信号は、CDS手段8で受信されて、VCXO12から出力されたクロックを用いて相関二重サンプリングが行われる。CDS手段8から出力された映像信号は、A/D変換手段9で受信されて、VCXO12から出力されたクロックを用いてデジタル信号に変換され、シリアル化される。A/D変換手段9から出力された、デジタル化された映像信号は、VCXO12から出力された位相補償されたクロックに従って、メモリ10に書き込まれる。また、メモリ10はクロック受信手段5からもクロックを受信しており、このクロックに従ってメモリ10からデータ圧縮手段11へデジタル化された映像信号が読み出される。メモリ10から出力されたデジタル化された映像信号は、DSPやプログラマブル素子によって構成されたデータ圧縮手段11で受信されて、設定あるいは選択された圧縮率に従い圧縮される。尚、データ圧縮手段11での映像信号の圧縮率は、ユーザまたはプログラムによって、任意に設定したり、予め設定された複数の圧縮率の中から選択したりすることができる。
また、電子内視鏡1には、プロセッサ2との間で信号を送受信するための手段として、映像データ送信手段13と、データ通信手段14とが設けられている。更に、電子内視鏡1には、CPU15と、CPU15で実行されるプログラム等が格納されているデータメモリ16と、CPU15を駆動させる発振器17と、電子内視鏡1内の各手段の動作を制御する制御手段18も設けられている。
データ圧縮手段11から出力された、圧縮された映像信号は、映像データ通信手段13で受信され、ドライブされてプロセッサ2へ出力される。データ通信手段14では、CPU15とプロセッサ2との間のデータの送受信が行われる。CPU15では、データメモリ16からプログラムや電子内視鏡1に固有の情報を読み出して、プログラムに記載された処理が実行される。制御手段18は、位相補償手段7、メモリ10、データ圧縮手段11、及び、映像データ送信手段13と電気的に接続されており、これらの各手段を制御する。
一方、電子内視鏡用のプロセッサ2には、電子内視鏡1から受信する映像信号を処理する手段として、映像信号受信手段19と、データ伸張手段20と、映像処理手段21とが設けられている。電子内視鏡1の映像データ送信手段13から出力された、圧縮された映像信号は、映像信号受信手段19で受信される。映像信号受信手段19から出力された、圧縮された映像信号は、データ伸張手段20で受信されて、伸張される。データ伸張手段20から出力された、伸張されたデジタルの映像信号は、映像処理手段21で受信されて、同時化処理、レート変換処理、及びフィルタ処理等の画像処理が施されたでビデオ信号に変換された後、図示しないモニタへ出力される。
また、プロセッサ2には、電子内視鏡1のデータ通信手段14との間でデータを送受信する、通信データ処理手段22も設けられている。通信データ処理手段22で受信された電子内視鏡1のデータは、CPU23に出力されて、必要な処理が施される。CPU23は、電子内視鏡1から受信したデータの処理の他、電子内視鏡1の種類を判別したり、電子内視鏡装置の全体を制御したりもする。更に、プロセッサ2には、クロック発振手段24も設けられている。クロック発振手段24において生成されたクロックは、クロック送信手段25を介して電子内視鏡1のクロック受信手段5に出力される。また、生成されたクロックは、プロセッサ2において電子内視鏡1から受信した映像データを同期処理する必要がある、映像信号受信手段19とデータ伸張手段20とにも出力される。
上述のように構成された電子内視鏡装置の作用について説明する。電子内視鏡1がプロセッサ2に接続されて電子内視鏡装置の電源が投入されると、患者体腔内の患部等である被写体に図示しない光源装置から照明光が照射され、被写体から反射光等が発生する。被写体からの光は、電子内視鏡1の図示しない対物光学系によってCCD3の光電変換面に集光される。CCD3では、CCD駆動手段4から受信する駆動波形に従い、集光された光が光電変換されて映像信号が生成され、CCD信号処理手段6へ出力される。CCD信号処理手段6で受信された映像信号は、増幅処理やフィルタ処理が施された後、位相補償手段7へ出力される。位相補償手段7では、映像信号の位相が補償され、CDS手段8へ出力される。CDS手段8で受信された映像信号は、位相補償手段7のVCXO12から出力されたクロックを用いて相関二重サンプリングが行われ、A/D変換手段9へ出力される。A/D変換手段9では、受信された映像信号が、位相補償手段7のVCXO12から出力されたクロックを用いてデジタル化され、メモリ10へ書き込まれる。メモリ10への映像信号の書き込みは、位相補償手段7のVCXO12から出力された、位相補償されたクロックに従って行われる。メモリ10に格納された映像信号は、クロック通信手段5から出力されたクロックに従って、データ圧縮手段11へ読み出される。
プロセッサ2はリアルタイムで映像を表示させるために、限られた時間内に電子内視鏡1から映像信号を受信して画像処理する必要がある。A/D変換手段9でデジタル化された映像信号は、CCD3の画素数によって1画面分のデータ数が異なり、画素数が多くなるほどデータ数も多くなる。つまり、CCD3の画素数が多くなると、電子内視鏡1からプロセッサ2へ伝送するデータ量が増加し、限られた時間内で伝送を完了させるためには、転送レートを大きくするか、または伝送するデータ量を減らす必要がある。本実施の形態においては、データ圧縮手段11で映像信号を圧縮することで、電子内視鏡1からプロセッサ2へ伝送するデータ量を減少させる。CCD3の画素数、駆動周波数、映像信号の転送レートによって、電子内視鏡1毎に固有の圧縮率が決められており、この圧縮率に従ってデータ圧縮手段11で映像信号が圧縮される。使用される圧縮率は、予めデータ圧縮手段11に書き込まれているか、もしくは、CPU15がデータメモリ16に格納されている圧縮率を読み出してデータ圧縮手段11に設定するか、何れかの方法によって設定される。
ここで、具体的な圧縮率の導出方法について、例をあげて説明する。ビデオ信号における1フィールドである60Hz以内、すなわち16666.7μs以内に電子内視鏡1からプロセッサ2へ映像信号の伝送を完了させる必要があるとする。画素数が1万画素(=100×100画素)、駆動周波数及び伝送周波数が40MHz、ビット幅が12bitのCCD3の場合、転送レートは480Mbpsである。このCCD3で1画面分(1V)の映像信号をプロセッサ2へ伝送するのに要する時間は3000μsとなるため、1フィールド以内に伝送を完了させることができる。従って、このCCD3の場合はデータ圧縮手段11で映像信号を圧縮する必要はない。一方、画素数が100万画素(=1000×1000画素)、駆動周波数及び伝送周波数が100MHz、ビット幅が12bitのCCD3の場合、転送レートは1200Mbpsである。このCCD3で1画面分(1V)の映像信号をプロセッサ2へ伝送するのに要する時間は120000μsとなるため、1フィールド以内に伝送を完了させることができない。従って、このCCD3の場合は、1フィールド以内に映像信号の伝送を完了させるためには、データ圧縮手段11で映像信号を1/10程度に圧縮する必要がある。尚、伝送周波数を10倍しても、1フィールド以内に映像信号の伝送を完了させることができる。しかしながら、伝送周波数を高周波数化する場合、CCD3の駆動周波数と異なる発振器を追加したり、高速メモリを追加したりする必要があるため、構成が複雑になってしまう。また、非常に高速な周波数であるため、基板設計を含めたIC間のタイミング設計が難しくなってしまう。更には、電子内視鏡1とプロセッサ2との間の伝送路の周波数特性を確保することも困難になってしまう。従って、伝送周波数を高周波数化するよりも、映像信号を圧縮して伝送するデータ量を減らすほうが、構成を簡略化することができ、かつ、低コスト化を図ることができる。
データ圧縮手段11では、上述のようにして導出され設定された圧縮率を用いて、映像信号が圧縮される。尚、データ圧縮手段11に設定される圧縮率は1つに限られるものではなく、複数の圧縮率を設定してもよい。複数の圧縮率が設定可能とされている場合、プロセッサ2を通じ、1つ、もしくは複数の圧縮率を任意に選択することができるように構成する。この場合、プロセッサ2から電子内視鏡1に対して、圧縮率、もしくは選択した圧縮率に関する情報信号を出力することで、選択した圧縮率をデータ圧縮手段11に設定する。圧縮率を設定するタイミングは、電子内視鏡装置の電源投入時でもよいし、電子内視鏡1とプロセッサ2とを接続した時点でもよい。または、ユーザが任意の時点で設定してもよい。更に、電子内視鏡1に登録されている装置固有の圧縮率そのものも、自動的に、あるいはユーザの操作によって変更してもよい。
データ圧縮手段11で圧縮された映像信号は、映像データ送信手段13へ出力され、シリアルにプロセッサ2の映像信号受信手段19へ伝送される。映像信号受信手段19で受信された圧縮された映像信号は、フィルタリング処理やバッファリング処理が施された後、データ伸張手段20へ出力される。ここで、プロセッサ2の通信データ処理手段22は、データ通信手段14を介して電子内視鏡1の情報を取得しており、取得した情報はCPU23に出力される。CPU23では、取得した情報から電子内視鏡1の種類が識別される。更にCPU23は、取得した電子内視鏡1の情報と、識別した電子内視鏡1の種類とを基に、映像信号の伸張率あるいは伸張方法をデータ伸張手段20に設定する。データ伸張手段20では、圧縮された映像信号が、設定された伸張率、伸張方法を用いて伸張され、映像処理手段21へ出力される。映像処理手段21で受信された映像信号は、同時化処理や輪郭強調処理等の画像処理が施されてビデオ信号に変換され、図示しないモニタへ出力される。
このように、本実施の形態の電子内視鏡装置では、CCD3の高画素化等により伝送時間が長時間化されることを防ぐために、データ圧縮手段11で映像信号を圧縮してデータ量を削減してから電子内視鏡1からプロセッサ2へ伝送し、プロセッサ2で受信した映像信号を伸張する。圧縮処理や伸張処理を含む、電子内視鏡1とプロセッサ2とで実行される映像信号に対する一連の処理は、全て同じ周期のクロックで行われるため、各手段における映像信号の遅延時間はクロック数だけとなり、高速なクロックを必要としない。また、伝送周波数を高周波数化する必要がないため、広域周波数を確保するような特別な伝送路を必要しない。よって、複数の発振器を設けたり、高速メモリを追加したり、特別な伝送路を設計したりする必要がなく、単純なデータ処理機構、かつ低コストで伝送時間を短時間化できる電子内視鏡装置を実現することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図2を用いて説明する。図2は、第2の実施の形態に係わる電子内視鏡装置の全体構成を説明するブロック図である。尚、図2において、第1の実施の形態の電子内視鏡装置と同じ構成には同じ符号を付して、説明を省略する。
図2に示すように、本実施の形態の電子内視鏡装置は、撮像手段を備えた電子内視鏡31と、電子内視鏡31と着脱自在に接続されたプロセッサ32と、電子内視鏡31に照明光を供給する図示しない光源装置と、プロセッサ32から出力される映像信号を表示する、図示しないモニタとから構成されている。
体腔内に挿入される電子内視鏡31の先端部には、固体撮像素子として、例えば電荷結合素子(CCD)33が設けられている。CCD駆動手段4により駆動されるCCD33は、映像信号を出力する信号線であるチャンネルを複数有しており、例えば本実施の形態の電子内視鏡装置では、第1チャンネルと第2チャンネルとの2つのチャンネルを有している。
電子内視鏡31には、CCD33の第1チャンネルから出力される映像信号を処理する手段として、CCD信号処理手段6と、VCXO12を備えた位相補償手段7と、CDS手段8と、A/D変換手段9と、メモリ10と、データ圧縮手段11とが設けられている。また、CCD33の第2チャンネルから出力される映像信号を処理する手段として、CCD信号処理手段6aと、VCXO12aを備えた位相補償手段7aと、CDS手段8aと、A/D変換手段9aと、メモリ10aと、データ圧縮手段11aとが設けられている。更に、電子内視鏡31には、データ圧縮手段11から出力される圧縮された第1チャンネルの映像信号を、プロセッサ32へ出力する映像データ通信手段13と、データ圧縮手段11aから出力される圧縮された第2チャンネルの映像信号を、プロセッサ32へ出力する映像データ通信手段13aとが設けられている。
一方、プロセッサ32には、電子内視鏡31から第1チャンネルの映像信号を受信して処理する手段として、映像信号受信手段19と、データ伸張手段20と、映像処理手段21とが設けられている。映像データ通信手段13から出力された、圧縮された第1チャンネルの映像信号は、映像信号受信手段19で受信され、データ伸張手段20で伸張された後に映像処理手段21へ出力される。また、プロセッサ32には、電子内視鏡31から第2チャンネルの映像信号を受信して処理する手段として、映像信号受信手段19aと、データ伸張手段20aと、映像処理手段21とが設けられている。映像データ通信手段13aから出力された、圧縮された第2チャンネルの映像信号は、映像信号受信手段19aで受信され、データ伸張手段20aで伸張された後に映像処理手段21へ出力される。映像処理手段21では、データ伸張手段20から受信した第1チャンネルの映像信号と、データ伸張手段20aから受信した第2チャンネルの映像信号とが、1つの映像信号として合成され、同時化処理、レート変換処理、及びフィルタ処理等の画像処理が施されてビデオ信号に変換された後、図示しないモニタへ出力される。
上述のように構成された電子内視鏡装置の作用について説明する。電子内視鏡31がプロセッサ32に接続されて電子内視鏡装置の電源が投入されると、患者体腔内の患部等である被写体に図示しない光源装置から照明光が照射され、被写体から反射光等が発生する。被写体からの光は、電子内視鏡31の図示しない対物光学系によってCCD33の光電変換面に集光される。CCD33では、CCD駆動手段4から受信する駆動波形に従い、集光された光が光電変換されて映像信号が生成される。生成された映像信号のうち、奇数ラインの映像信号はCCD33の第1チャンネルからCCD信号処理手段6へ出力され、偶数ラインの映像信号はCCD33の第2チャンネルからCCD信号処理手段6aへ出力される。CCD信号処理手段6へ出力された奇数ラインの映像信号は、位相補償手段7、CDS手段8、A/D変換手段9、メモリ10において、順次、第1の実施の形態と同様の信号処理が施された後、データ圧縮手段11において設定された圧縮率で圧縮される。CCD信号処理手段6aへ出力された偶数ラインの映像信号は、位相補償手段7a、CDS手段8a、A/D変換手段9a、メモリ10aにおいて、順次、奇数ラインの映像信号と同様の信号処理が施された後、データ圧縮手段11aにおいて設定された圧縮率で圧縮される。データ圧縮手段11において圧縮された奇数ラインの映像データは、映像データ通信手段13を介してプロセッサ32の映像信号受信手段19へ、シリアルに伝送される。また、データ圧縮手段11aにおいて圧縮された偶数ラインの映像データは、映像データ通信手段13aを介してプロセッサ32の映像信号受信手段19aへ、シリアルに伝送される。
第1の実施の形態において圧縮率の導出方法を具体的に説明した際に用いた諸条件と同じ条件、すなわち、ビデオ信号における1フィールドである60Hz以内、すなわち16666.7μs以内に電子内視鏡31からプロセッサ32へ映像信号の伝送を完了させる必要があり、データ圧縮手段11、11aで用いられる圧縮率が1/10、CCD33の画素数が100万画素(=1000×1000画素)、ビット幅が12bitであるとする。この場合、伝送周波数が50MHzあれば、映像信号の伝送時間は12000μs(=(1/10)×(1000×1000画素)×12bit/(50MHz×2チャンネル))となり、1フィールド以内に伝送を完了させることができる。このときの転送レートは600Mbps(=50MHz×12bit)であり、第1の実施の形態の電子内視鏡装置における転送レート(1200Mbps)の半分となる。転送レートを小さくすることで、電子内視鏡31とプロセッサ32との間のデータ転送が容易となる。また、電子内視鏡31とプロセッサ32とがワイヤレスで信号を送受信している場合、伝送周波数の帯域を低く押さえられることで、映像信号の伝送方式の選択幅を広げることができる。
映像信号受信手段19で受信された、圧縮された奇数ラインの映像信号は、フィルタリング処理やバッファリング処理が施された後、データ伸張手段20へ出力される。データ伸張手段20では、圧縮された映像信号が、電子内視鏡31の情報を基に設定された伸張率、伸張方法を用いて伸張され、映像処理手段21へ出力される。また、映像信号受信手段19aで受信された、圧縮された偶数ラインの映像信号は、フィルタリング処理やバッファリング処理が施された後、データ伸張手段20aへ出力される。データ伸張手段20aでは、圧縮された映像信号が、電子内視鏡31の情報を基に設定された伸張率、伸張方法を用いて伸張され、映像処理手段21へ出力される。映像処理手段21で受信された、奇数ラインの映像信号と、偶数ラインの映像信号とは、1つの映像信号として合成され、同時化処理や輪郭強調処理等の画像処理が施されてビデオ信号に変換され、図示しないモニタへ出力される。
このように、本実施の形態の電子内視鏡装置では、CCD33からの映像信号の読み出しチャンネルを複数設け、チャンネル毎に映像信号を圧縮してから伝送することで、電子内視鏡31からプロセッサ32への伝送周波数を更に低く抑えることができ、映像信号の伝送方式の自由度を向上させることができる。また、転送レートも更に小さくすることができるため、電子内視鏡31からプロセッサ32への映像信号の伝送がより容易になる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態について、図3を用いて説明する。図3は、第3の実施の形態に係わる電子内視鏡装置の全体構成を説明するブロック図である。尚、図3において、第1の実施の形態の電子内視鏡装置と同じ構成には同じ符号を付して、説明を省略する。
図3に示すように、本実施の形態の電子内視鏡装置は、撮像手段を備えた電子内視鏡1と、電子内視鏡1と着脱自在に接続されたプロセッサ2と、電子内視鏡1に照明光を供給する光源装置41と、プロセッサ2から出力される映像信号を表示する、図示しないモニタとから構成されている。
面順次の照明光を射出する光源装置41の一側端面にはライトガイド42が延設されている。ライトガイド42は、電子内視鏡1の内部を挿通され、電子内視鏡1先端部まで照明光を伝達させる。また、光源装置41には、照明光を発生するランプ43と、照明光の光量を調整する絞りユニット44と、照明光を赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の色透過フィルタを有するRGB回転フィルタ45と、照明光をライトガイド42の基端面に集光する集光レンズ46とが設けられている。絞りユニット44は照明光の光路上に配置さており、同じく光源装置41に設けられた絞りユニット制御手段47によって動作を制御される。絞りユニット44は、絞りユニット制御手段47によって、プロセッサ2と接続された図示しないモニタに適度な明るさの画像が表示されるよう、照明光の光量が調光される。RGB回転フィルタ45は、赤色の光を透過させるRフィルタと、緑色の光を透過させるGフィルタと、青色の光を透過させるBフィルタとを有しており、絞りユニット44と集光レンズ46との間に配置され、モータ48の回転軸に回転可能に接続されている。RGB回転フィルタ45では、Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタによって照明光がフィルタリングされて、R、G、B、の各波長の光が面順次に出射される。尚、RGB回転フィルタ45は、被写体の性質や観察の目的等に応じ、R、G、B以外の波長の光を透過させるフィルタで構成してもよく、例えば、蛍光観察用として、被写体から蛍光を励起させるための励起光を透過させるフィルタ等で構成してもよい。更に、光源装置41には、光源装置41の各部位を制御する制御手段49と、制御手段49から受信する制御信号に従い、モータ48を所定の速度で回転動作させるRGB回転フィルタ制御手段50とも設けられている。制御手段49では、光源装置41からRGBの面順次光が出射される順番を示す制御信号、あるいはRGBの面順次光の出射サイクルの先頭を示す制御信号が生成され、制御信号はプロセッサ2のCPU23と映像処理手段21とに出力される。CPU23で受信されたRGBの面順次光に関する制御信号は、通信データ処理手段22、データ通信手段14、CPU15を経由して、電子内視鏡1の制御手段18へ出力される。
電子内視鏡1の構成は、次にあげる二点を除けば第1の実施の形態の電子内視鏡1と同様の構成であるので、同じ構成については説明を省略する。第1の実施の形態の電子内視鏡1と異なる第一点目は、データ圧縮手段11において映像信号の圧縮に用いられる圧縮率が、Rフィルタにより透過された赤色光によって撮像されたR信号と、Gフィルタにより透過された緑色光によって撮像されたG信号と、Bフィルタにより透過された青色光によって撮像されたB信号とで異なる値の圧縮率が設定できるようになされている点である。第1の実施の形態の電子内視鏡1と異なる第二点目は、制御手段18において、CPU23、通信データ処理手段22、データ通信手段14、CPU15を介し、光源装置41の制御手段49から出力されるRGBの面順次光に関する制御信号が受信される点である。
プロセッサ2の構成は、CPU23と映像処理手段21において、光源装置41の制御手段49から出力されるRGBの面順次光に関する制御信号が受信される点を除けば、第1の実施の形態の電子内視鏡1と同様の構成であるので、同じ構成については説明を省略する。
上述のように構成された電子内視鏡装置の作用について説明する。電子内視鏡1がプロセッサ2に接続されて電子内視鏡装置の電源が投入されると、患者体腔内の患部等である被写体に光源装置41からR、G、Bの面順次の照明光が照射され、それぞれの光によって被写体から反射光等が発生する。被写体からの光は、電子内視鏡1の図示しない対物光学系によってCCD3の光電変換面に集光される。CCD3では、CCD駆動手段4から受信する駆動波形に従い、集光された光が光電変換されて映像信号が生成される。ここで、CCD3では、赤色(R)の照明光による被写体からの光はR信号に、緑色(G)の照明光による被写体からの光はG信号に、青色(B)の照明光による被写体からの光はB信号に、それぞれ光電変換され、R信号とG信号とB信号とがCCD信号処理手段6へシリアルに出力される。CCD信号処理手段6へ出力されたR、G、B信号は、位相補償手段7、CDS手段8、A/D変換手段9、メモリ10において、順次、第1の実施の形態と同様の信号処理が施された後、データ圧縮手段11において設定された圧縮率でそれぞれ圧縮される。
データ圧縮手段11では、R信号に対する圧縮率と、G信号に対する圧縮率と、B信号に対する圧縮率とが個別に設定されている。圧縮率を各色信号で個別に設定する理由は次の通りである。体腔内では、赤色や緑色の成分に比べて青色の成分が非常に少なく、赤色の成分が極端に多いことが知られている。従って、B信号のデータ量は他の色信号のデータ量に比べて少なくなり、R信号のデータ量は他の色信号のデータ量に比べて多くなる。電子内視鏡1からプロセッサ2へ映像信号を伝送するときの転送レートは、色信号によらず固定であるため、伝送に要する時間は各色信号のデータ量に依存する。ここでプロセッサ2では、各色信号の伝送時間が等しくなされていると、構成や制御を簡単にすることができるため、電子内視鏡1からプロセッサ2へ伝送する各色信号のデータ量が同量になるように、各色信号の圧縮率を設定する。例えば、電子内視鏡1からプロセッサ2へ、ビデオ信号における1フィールドである60Hz、すなわち16666.7μs以内にR信号、G信号、B信号の3つの色信号を全て伝送する必要がある場合、60Hzを三等分した時間、すなわち3333.3μs以内に各色信号が伝送されるように、R信号の圧縮率を他の色信号の圧縮率に比べて大きな値に設定し、B信号の圧縮率を他の色信号の圧縮率に比べて小さな値に設定して、圧縮後の各色信号のデータ量が同量になるようにする。
データ圧縮手段11におけるR、G、B信号の受信タイミングは、光源装置41の制御手段49から出力されるRGBの面順次光に関する制御信号を基に、制御手段18において判断され、データ圧縮手段11へ出力される。例えば、図4(a)に示すように、データ圧縮手段11に、R信号、G信号、B信号がこの順番でパルス状に入力されるとする。図4は、データ圧縮手段11に入力される色信号と制御信号とに関するタイミングチャートである。一方、制御手段49では、光源装置41からRGBの面順次光の出射サイクルの先頭を示す制御信号が生成され、CPU23等を介して制御手段18へ出力される。この制御信号は、例えば図4(b)に示すような、赤色(R)の照明光が出射されるときに立下がりを有するパルス状の制御信号である。制御手段18では、制御手段49から受信したパルス状の制御信号の立下りから、データ圧縮手段11へR信号が入力開始されるタイミングを特定する。また、制御手段18では、データ圧縮手段11へのR信号の入力開始タイミングと、G信号、B信号のそれぞれの色信号がデータ圧縮手段11に入力開始される時間間隔とを用いて、データ圧縮手段11へG信号及びB信号が入力開始されるタイミングとを特定して、例えば図4(c)に示すような、各色信号の入力開始時に立下がりを有するパルス状の制御信号を生成し、データ圧縮手段11へ出力する。データ圧縮手段11では、制御手段18から受信した制御信号を基に各色信号の受信タイミングを識別し、色信号が切り替わるタイミングで圧縮率が切り替えられる。
データ圧縮手段11において、それぞれの圧縮率を用いて圧縮された色信号は、映像データ通信手段13を介してプロセッサ2の映像信号受信手段19へ、シリアルに伝送される。映像信号受信手段19で受信された、圧縮された色信号は、フィルタリング処理やバッファリング処理が施された後、データ伸張手段20へ出力される。データ伸張手段20では、R、G、Bの色信号毎に設定された伸張率、伸張方法を用いて圧縮された各色信号が伸張され、映像処理手段21へ出力される。映像処理手段21で受信された映像信号は、同時化処理や輪郭強調処理等の画像処理が施されてビデオ信号に変換され、図示しないモニタへ出力される。
このように、本実施の形態の電子内視鏡装置では、それぞれデータ量の異なる面順次のR、G、Bの色信号を電子内視鏡1からプロセッサ2へ伝送する場合に、圧縮後のデータ量が同量になるように色信号毎に個別に設定された圧縮率を用いて色信号を圧縮することで、電子内視鏡1からプロセッサ2への各色信号の伝送時間を一定とすることができるため、プロセッサ2での処理時間が一定となり、プロセッサ2の構成、特に受信処理を簡略化することができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4実施の形態について、図5を用いて説明する。図5は、第4の実施の形態に係わる電子内視鏡装置の全体構成を説明するブロック図である。尚、図5において、第3の実施の形態の電子内視鏡装置と同じ構成には同じ符号を付して、説明を省略する。
図5に示すように、本実施の形態の電子内視鏡装置は、先端部に撮像手段としてのCCD3を備えた電子内視鏡51と、電子内視鏡51と着脱自在に接続されたプロセッサ52と、電子内視鏡51に照明光を供給する光源装置41と、プロセッサ52から出力される映像信号を表示する、図示しないモニタとから構成されている。
電子内視鏡51には、CCD3を駆動させるCCD駆動手段4が設けられている。また、電子内視鏡51には、CCD3から出力される映像信号を処理してプロセッサ52へ出力する手段として、CCD信号処理手段6と、VCXO12を備えた位相補償手段7と、CDS手段8と、A/D変換手段9と、メモリ10と、映像信号処理手段53と、データ圧縮手段11と、映像データ通信手段13とが設けられている。映像信号処理手段53では、メモリ10から読み出されたデジタル化された映像信号が、図示しないモニタに表示可能なビデオ信号に変換されて、データ圧縮手段11へ出力される。
一方、プロセッサ52には、電子内視鏡51からビデオ信号を受信して処理する手段として、映像信号受信手段19と、データ伸張手段20と、映像処理手段21とが設けられている。また、プロセッサ52には、映像信号受信手段19から出力されるビデオ信号を一時的に格納する一時保管メモリ54と、プロセッサ52に取り外し可能に取り付けられた外部記憶手段55とが設けられている。一時保管メモリ54と外部記憶手段55とは、CPU23と電気的に接続されており、一時保管メモリ54と外部記憶手段55とはCPU23を介してビデオ信号の送受信が可能である。尚、外部記憶手段55としては、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)や外付けのハードディスクなどが用いられる。
上述のように構成された電子内視鏡装置の作用について説明する。電子内視鏡51がプロセッサ52に接続されて電子内視鏡装置の電源が投入されると、患者体腔内の患部等である被写体に光源装置41からR、G、Bの面順次の照明光が照射され、それぞれの光によって被写体から反射光等が発生する。被写体からの光は、電子内視鏡51の図示しない対物光学系によってCCD3の光電変換面に集光され、光電変換されて映像信号である面順次の色信号が生成される。CCD3から出力された色信号は、CCD信号処理手段6、位相補償手段7、CDS手段8、A/D変換手段9、メモリ10において、順次、第3の実施の形態と同様の信号処理が施された後、映像信号処理手段53へ出力される。映像信号処理手段53で受信された色信号は、同時化処理、クランプ処理、ガンマ補正、輪郭補正処理等のデジタル画像処理が施されて、例えば、Y、Pb、Prなどの、図示しないモニタに表示可能なビデオ信号に変換された後、データ圧縮手段11へ出力される。データ圧縮手段11で受信されたビデオ信号は、例えばMPEGやモーションJPECなど、汎用のデータフォーマット、または、予め定義されている、装置特有のデータ圧縮フォーマットに変換される。圧縮されたビデオ信号は、映像データ通信手段13を介してプロセッサ52の映像信号受信手段19へ、シリアルに伝送される。
映像信号受信手段19で受信された、圧縮されたビデオ信号は、データ伸張手段20と一時保管メモリ54とに出力される。データ伸張手段20では、データ圧縮手段11での圧縮率、圧縮方法に応じて設定された伸張率、伸張方法を用いて、圧縮されたビデオ信号が伸張され、映像処理手段21へ出力される。映像処理手段21で受信されたビデオ信号は、アナログ変換等の処理が施されて、図示しないモニタへ出力される。一方、一時保管メモリ54では、受信した圧縮されたビデオ信号が格納される。格納されたビデオ信号は、CPU23を介して外部記憶手段55へ出力される。
このように、本実施の形態の電子内視鏡装置では、電子内視鏡51において映像信号を汎用的なデータフォーマットに変換、圧縮してからプロセッサ52へ伝送することで、プロセッサ52での処理を汎用的な処理のみにすることができ、プロセッサ52の構成、処理を簡略化することができる。また、映像信号が汎用的なデータフォーマットに変換、圧縮されているので、外部記憶手段55を介してパソコン等の外部機器との間でデータの交換が可能となり、利便性が向上する。
以上の実施の形態から、次の付記項に記載の点に特徴がある。
(付記項1)電子内視鏡とプロセッサとを接続し、前記電子内視鏡の先端に設けられた受光素子にて撮像した映像データをデジタル化して前記プロセッサに送信する電子内視鏡装置であって、
前記電子内視鏡が、前記映像データをデジタル化するデータ変換手段と、デジタル化した前記映像データを圧縮するデータ圧縮手段とを具備し、
前記プロセッサが、デジタル化した前記映像データを伸張するデータ伸張手段を具備することを特徴とする電子内視鏡装置。
1 電子内視鏡、2 プロセッサ、3 CCD、4 CCD駆動手段、5 クロック受信手段、6 CCD信号処理手段、7 位相補償手段、8 CDS手段、9 A/D変換手段、10 メモリ、11 データ圧縮手段、12 VCXO、13 映像データ送信手段、14 データ通信手段、15 CPU、16 データメモリ、17 発振器、18 制御手段、19 映像信号受信手段、20 データ伸張手段、21 映像処理手段、22 通信データ処理手段、23 CPU、24 クロック発振手段、25 クロック送信手段、