JP4709402B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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- F04C18/0269—Details concerning the involute wraps
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置や冷凍装置等に具備されるスクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールとを渦巻き状の壁体どうしを組み合わせて配置し、固定スクロールに対し旋回スクロールを公転旋回運動させることで壁体間に形成される圧縮室の容積を漸次減少させて該圧縮室内の流体の圧縮を行うものである。
【0003】
スクロール圧縮機の設計上の圧縮比は、圧縮室の最小容積(壁体どうしのかみ合いが外れて圧縮室が消滅する直前の容積)に対する、圧縮室の最大容積(壁体どうしがかみ合って圧縮室が形成された時点の容積)の比であり、次式(I)で表される。
Vi={A(θsuc)・L}/{A(θtop)・L}=A(θsuc)/A(θtop) … (I)
(I)式において、A(θ)は旋回スクロールの旋回角θに応じて容積を変化させる圧縮室の旋回面に平行な断面積を表す関数、θsucは圧縮室が最大容積となるときの旋回スクロールの旋回角、θtopは圧縮室が最小容積となるときの旋回スクロールの旋回角、Lは壁体どうしのラップ(重なり)長である。
【0004】
従来、スクロール圧縮機の圧縮比Viの向上を図るには、両スクロールの壁体の巻き数を増やして最大容積時の圧縮室の断面積A(θ)を大きくする手法が採られてきた。しかしながら、壁体の巻き数を増やす従来の手法ではスクロールの外形が拡大して圧縮機自体が大型化するため、大きさの制限が厳しい自動車用等の空気調和装置には採用し難いという問題点があった。
【0005】
上記の問題点を解決すべく、特公昭60-17956号には、以下に示す技術が提案されている。
図13(a)に示したものは固定スクロール50であり、端板50aと、端板50aの一側面に立設された渦巻き状の壁体50bとを備えている。また、(b)に示したものは旋回スクロール51である。旋回スクロール51も、固定スクロール50と同様に端板51aと、端板51aの一側面に立設された渦巻き状の壁体51bとを備えている。
【0006】
固定スクロール50および旋回スクロール51の端板50a、51aには、中心部側が高く外終端側が低い段差部52,52が形成されている。さらに、この端板50a、51aの段差部52、52に対応して、両スクロール50,51が備える壁体50b,51bの渦巻き状の上縁に中心部側が低く外終端側が高い段差部53、53が形成されている。
【0007】
上記のようなスクロール圧縮機において、固定スクロール50と旋回スクロール51のそれぞれの壁体50b、51bをかみ合わせ、最大容積の圧縮室Pが形成された状態が図14(a)であり、圧縮室Pについて、渦巻方向に沿った断面図が図14(b)である。
図14(b)からわかるように、段差部52よりも外終端側におけるラップ長L1は内側のラップ長Lsより長く形成されている。このため、ラップ長が一様である場合と比較すると、段差部52より外側のラップ長が長い分だけ圧縮室Pの最大容積が大きくなることがわかる。したがって、壁体の巻き数を増やさなくても、設計上の圧縮比を向上させることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような段付きスクロール圧縮機の場合、以下に具体的に説明するように旋回スクロールを固定スクロールから引き離す力が大きくなり、歯面が離間し冷媒の漏れが発生する場合がある。
図15、図16、図17に示したものは、それぞれ、スクロール圧縮機の旋回軸に垂直な平面における断面図である。図15は固定スクロール寄り、図17は旋回スクロール寄り、図16はその中間の平面における断面図である。
図15、図17において、符号pは、段差部分に形成された圧縮室の一部分(以下、部分圧縮室と呼ぶ)である。図15、図17においては、この部分圧縮室pによる作用により、旋回スクロール51を固定スクロール50から引き離そうとする力(図中矢印FA,FC)が発生する。
これらの力FA,FCは、端板の段差部52,52と壁体の段差部53,53とが噛み合い、部分圧縮室pが形成されている状態でのみ発生する。
図16においては、以下のような力が作用する。図において、符号Pcで示した領域は、スクロール圧縮機の中央に形成された圧縮室である(以下、この圧縮室を中央圧縮室と呼ぶ。)。この中央圧縮室Pc内の冷媒は、固定スクロール50および旋回スクロール51に対して外側方向の力を与えている。旋回スクロール51に作用する力のうち、矢印FDで示した方向成分は、旋回スクロール51のシャフトにより支持される為、旋回スクロール51を固定スクロール50から離間させる力にはならない。結局、図の符号矢印FBで示した力が旋回スクロール51を離間させる力となる。
この力FBにより、固定スクロール50と旋回スクロール51とが噛み合う力(歯面荷重)が増減する。中央圧縮室Pcにより、歯面荷重がどの程度変化するかを旋回角と対応づけて図12(a)に示した。歯面荷重が最小となるのは、吐出ポートが開口して中央圧縮室Pc内の高圧冷媒が吐出される時点(ポート連通点P)である。
【0009】
ここで、これら中央圧縮室Pcにより生ずる力FBと、段差部52,53で生ずる力FA,FCとが重なると、上記のように旋回スクロール51を固定スクロール50から引き離す力が大きくる。この結果、歯面間のシールが弱まり、歯面間から冷媒が漏れて圧縮効率が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、流体の漏れを防止することができるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、端板の一側面に立設され、インボリュート曲線に基づいた渦巻き状の壁体を有する固定スクロールと、端板の一側面に立設され、インボリュート曲線に基づいた渦巻き状の壁体を有し、前記各壁体どうしを噛み合わせて自転を阻止されつつ公転旋回運動可能に支持された旋回スクロールとを備えたスクロール圧縮機において、前記固定スクロールと旋回スクロールの少なくともいずれか一方のスクロールの端板には、前記一側面に、その高さが壁体の渦に沿ってその中心部側で高く外終端側で低くなるよう形成された段差部が設けられ、前記固定スクロールと旋回スクロールのいずれか他方のスクロールの壁体の上縁は、前記端板の段差部に対応し、該壁体の高さが渦の中心部側で低く外終端側で高くなる段付き部を備え、前記段付き部の伸開角θSは、前記壁体のインボリュート曲線が始まる中心側伸開点βの伸開角をθβ、圧縮室内の圧縮流体が吐出されるポート連通点Pの伸開角をθPとし、θP<θβとしたとき、
θP+360°・n+180°≦θS≦θP+360°・(n+1)
(n=0,1,2,・・・)
を満たしていることを特徴とする。
【0012】
図12(a)に示すように、歯面荷重が最小となるのはポート連通点P付近である。前記端板の段差部および壁体の段付き部の噛み合うタイミングが、ポート連通点P付近と重複しないように設定すればよい。具体的には、段付き部の噛み合いによる歯面荷重の低下は、図12(b)等のように180°間で発生する。本発明ではこの範囲の内部にポート連通点Pが入り込まないため、歯面荷重の低下が回避される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記壁体の中心側伸開点βの伸開角をθβとおくとき、
θS=θβ+360°・n+180°
を満たしていることを特徴とする。
【0014】
一般に、中心側伸開点β(以下、β点と呼ぶ)とポート連通点Pとが一致していない場合は一般にθP<θβとなっている。歯面荷重は、図12(a)に示すようにθPとθβとの間で急激に低下することがわかる。したがってこの範囲で段部のかみ合いによる歯面荷重低下が発生しないように設定する。また、図11に示すように、θSはできるだけ内側となるように設計した方が、段部より内側の歯面の低い部分が減少するために押しのけ量を大きくすることができる。
以上により、最適条件として、θS=θβ+360°・n+180°とすることにより、歯面荷重の低下が効率的に防止されるとともに、押しのけ量の低下を最小限に抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係るスクロール圧縮機の実施形態を図1ないし図12に示して説明する。
図1は、本発明の一実施形態として示した背圧型のスクロール圧縮機の構成を示している。図中の符号1は密閉状態のハウジング、2はハウジング1内を高圧室HRと低圧室LRとに分離するディスチャージカバー、5はフレーム、6は吸入管、7は吐出管、8はモータ、9は回転シャフト、10は自転阻止機構である。
【0016】
そして、符号12は固定スクロール、13は固定スクロール12に噛み合う旋回スクロールである。図2に示すように、固定スクロール12は端板12aの一側面に渦巻き状の壁体12bが立設された構成となっている。旋回スクロール13は、固定スクロール12と同様に端板13aの一側面に渦巻き状の壁体13bが立設された構成となっており、特に壁体13bは固定スクロール12側の壁体12bと実質的に同一形状をなしている。旋回スクロール13は固定スクロール12に対して相互に公転旋回半径だけ偏心しかつ180゜だけ位相をずらした状態で、壁体12b,13bどうしをかみ合わせて組み付けられている。
このような背圧型のスクロール型流体機械では、固定スクロール12がボルト等によりフレーム5に完全に固定されておらず、規制された範囲内において可動である。
【0017】
旋回スクロール13の背面側には円筒状のボスAが形成され、ボスAには、モータ8で駆動される回転シャフト9の上端に設けられて旋回運動する偏心ピン9aが挿入されている。これにより、旋回スクロール13は固定スクロール12に対して旋回運動されるとともに、自転阻止機構10の作用によりその自転が阻止されている。
一方、固定スクロール12は、ハウジング1に固定されたフレーム5に対して支持バネ(弾性体)11を介して浮上自在に支持されているとともに旋回スクロール13側に押しつけられている。端板3aの背面中央には圧縮された流体の吐出ポート15が設けられている。また、吐出ポート15の周囲には、固定スクロール12の端板12aの背面より突出する円筒フランジ16が設けられ、該円筒フランジ16はディスチャージカバー2側の円筒フランジ17に嵌合している。これらの円筒フランジ16,17が嵌合する部分には、高圧室HRと低圧室LRとを分離し、固定スクロール12の背面に高い圧力(背圧)をかけて押し下げる必要があるため、シール部材18によるシール構造が採用されている。このシール部材15は、U字形の断面形状を有している。この場合の高圧室HRは、固定スクロール12の背面に高圧の吐出圧力を作用させる背圧室としても機能している。
【0018】
図2に示すように、固定スクロール12の端板12aには、壁体12bが立設された一側面に、壁体12bの渦方向に沿って中心部側で高く外終端側で低くなるよう形成された段差部42を備えている。
図3に示すように、旋回スクロール13側の端板13aも端板12aと同様に、壁体13bが立設された一側面に、壁体13bの渦方向に沿って中心部側で高く外終端側で低くなるよう形成された段差部43を備えている。
【0019】
端板12aの底面は、段差部42が形成されていることにより、中心部よりに設けられた底の浅い底面12fと外終端よりに設けられた底の深い底面12gの2つの部位に分けられている。隣り合う底面12f,12g間には、段差部42を構成し、前記底面12f,12gを繋いで垂直に切り立つ連結壁面12hが存在している。端板13aの底面も端板12aと同様に、段差部43が形成されていることにより、中心部よりに設けられた底の浅い底面13fと外終端よりに設けられた底の深い底面13gの2つの部位に分けられている。隣り合う底面13f,13g間には、段差部43を構成し、前記底面13f,13gを繋いで垂直に切り立つ連結壁面13hが存在している。
【0020】
また、固定スクロール12側の壁体12bは、旋回スクロール13の段差部43に対応し、その渦巻き状の上縁が2つの部位に分割され、かつ渦の中心部側で低く外終端側で高い段付き部44となっている。旋回スクロール13側の壁体13bも壁体12bと同様に、固定スクロール12の段差部42に対応し、渦巻き状の上縁が2つの部位に分割され、かつ渦の中心部側で低く外終端側で高い段付き部45となっている。
後述するように、段差部42,43、段付き部44,45は、前記段付き部44,45がそれぞれ壁体12b、壁体13bの渦巻中心端から壁体に沿って外側に360°・n+180°進んだ位置になるように設けられている。
【0021】
壁体12bの上縁は、中心部寄りに設けられた低位の上縁12cと外終端寄りに設けられた高位の上縁12dの2つの部位に分けられ、隣り合う上縁12c,12d間には、両者を繋いで旋回面に垂直な連結縁12eが存在している。壁体13bの上縁も壁体12bと同様に、中心部寄りに設けられた低位の上縁13cと外終端寄りに設けられた高位の上縁13dの2つの部位に分けられ、隣り合う上縁13c,13d間には、両者を繋いで旋回面に垂直な連結縁13eとが存在している。
【0022】
連結縁12eは、壁体12bを旋回スクロール13の方向から見ると壁体12bの内外両側面に滑らかに連続し壁体12bの肉厚に等しい直径を有する半円形をなしており、連結縁13eも連結縁12eと同様に、壁体13bの内外両側面に滑らかに連続し壁体13bの肉厚に等しい直径を有する半円形をなしている。
【0023】
また、連結壁面12hは、端板12aを旋回軸方向から見ると旋回スクロールの旋回に伴って連結縁13eが描く包絡線に一致する円弧をなしており、連結壁面13hも連結壁面12hと同様に、連結縁12eが描く包絡線に一致する円弧をなしている。
なお、本例の固定スクロール12の壁体12b及び旋回スクロール13の壁体13bの上縁には、チップシールが設けられておらず、壁体12b、13bの端面が端板12a、13aに押圧されることにより後述の圧縮室Cの密閉が行われる。
【0024】
さて、上述のように、各段付き部44,45は、それぞれ壁体12b、壁体13bの渦巻中心端から壁体12b,13bに沿って外側に360°・n+180°進んだ位置に設けられている(本例ではn=1)。
具体的には、図4に示すように、壁体12b、13bのインボリュート曲線は基礎円Cの基点Aに基づいた中心側伸開点β(β点)から始まる。このβ点の伸開角をθβとおく。壁体12b、13bに設けられた段付き部44,45の伸開点Sの伸開角をθsとおくと、
θs=θβ+360°・n+180° (n=0,1,2,…)
を満たすように設定されている。
【0025】
固定スクロール12に旋回スクロール13を組み付けると、低位の上縁13cが底の浅い底面12fに当接し、高位の上縁13dが底の深い底面12gに当接する。同時に、低位の上縁12cが底の浅い底面13fに当接し、高位の上縁12dが底の深い底面13gに当接する。これにより、両スクロール間には向かい合う端板12a,13aと壁体12b,13bとに区画されて圧縮室Cが形成される。
【0026】
圧縮室Cは旋回スクロール13の公転旋回運動に伴い外終端から中心部に向けて移動するが、連結縁12eは、壁体12b,13bの当接点が連結縁12eよりも外終端寄りに存在する間は壁体12を挟んで隣接する圧縮室C(一方は密閉状態にない)間で流体の漏れが生じないように連結壁面13hに摺接し、壁体12b,13bの当接点が連結縁12eよりも外終端寄りに存在しない間は壁体12を挟んで隣接する圧縮室C(共に密閉状態にある)間で均圧を図るべく連結壁面13hには摺接しないようになっている。
【0027】
連結縁13eも同様に、壁体12b,13bの当接点が連結縁13eよりも外終端寄りに存在する間は壁体13を挟んで隣接する圧縮室C(一方は密閉状態にない)間で流体の漏れが生じないように連結壁面12hに摺接し、壁体12b,13bの当接点が連結縁13eよりも外終端寄りに存在しない間は壁体13を挟んで隣接する圧縮室C(共に密閉状態にある)間で均圧を図るべく連結壁面12hには摺接しないようになっている。なお、連結縁12eと連結壁面13h、および連結縁13eと連結壁面12hの摺接は、旋回スクロール13が1/2回転する間で同期して起こる。
【0028】
上記のように構成されたスクロール圧縮機の駆動時における流体圧縮の過程を図5ないし図8に示して順に説明する。
図5に示す状態では、壁体12bの外終端が壁体13bの外側面に当接するとともに、壁体13bの外終端が壁体12bの外側面に当接し、端板12a,13a、壁体12b,13b間に流体が封入され、スクロール圧縮機構の中心を挟んで正対した位置に、最大容積の圧縮室Cが2つ形成される。この時点では、連結縁12eと連結壁面13h、連結縁13eと連結壁面12hは摺接しているが、直後に離間する。
【0029】
図5の状態から旋回スクロール13がπ/2だけ旋回し図6に示す状態に至る過程では、圧縮室Cが密閉状態を保ちながら中心部に向けて進行し、漸次容積を減少させて流体を圧縮し、圧縮室Cに先行する圧縮室C0も密閉状態を保ちながら中心部に向けて進行し、漸次容積を減少させて引き続き流体を圧縮する。この過程において、連結縁12eと連結壁面13h、連結縁13eと連結壁面12hそれぞれの摺接が解消され、隣接する二つの圧縮室Cが均圧される。
【0030】
図6の状態から旋回スクロール13がπ/2だけ旋回し図7に示す状態に至る過程では、圧縮室Cが密閉状態を保ちながら中心部に向けて進行し、漸次容積を減少させてさらに流体を圧縮し、圧縮室C0も密閉状態を保ちながら中心部に向けて進行し、漸次容積を減少させて引き続き流体を圧縮する。この過程においては連結縁12eは連結壁面13hに、連結縁13eは連結壁面12hにそれぞれに摺接を開始する。
【0031】
図7に示す状態では、外終端に近い壁体12bの内側面とその内方に位置する壁体13bの外側面との間には後に圧縮室となる開放空間C1が形成され、同じく外終端に近い壁体13bの内側面とその内方に位置する壁体12bの外側面との間にも後に圧縮室となる開放空間C1が形成され、開放空間C1には低圧室LRから低圧の流体が流入する。
【0032】
図7の状態から旋回スクロール13がπ/2だけ旋回し図8に示す状態に至る過程では、開放空間C1が大きさを拡大しながらスクロール圧縮機構の中心部に向けて進行し、開放空間C1に先行する圧縮室Cも中心部に向けて進行し、漸次容積を減少させて流体を圧縮する。
【0033】
図8の状態から旋回スクロール13がさらにπ/2だけ旋回し再び図5に示す状態に至る過程では、空間C1がさらに大きさを拡大しながらスクロール圧縮機構の中心部に向けて進行し、空間C1に先行する圧縮室Cも密閉状態を保ちながら中心部に向けて進行し、漸次容積を減少させて流体を圧縮する。そして、図5の状態に至ると、図8に示す圧縮室Cが図5に示す圧縮室C0に相当し、図8に示す空間C1が図5に示す圧縮室Cに相当することとなる。
その後圧縮を続けることにより、圧縮室Cは最小容積となり、流体は圧縮室Cから吐出される。
【0034】
吐出した流体は、高圧室HRに導入される。そして固定スクロール12が高圧の背圧を受けて旋回スクロール13側に押し付けられ、また、シール部材15においては、高圧の流体がU字部の内側に導入されることにより差圧で拡幅され、シール面が円筒フランジ16,17の垂直面に向けて押圧されることにより高圧室HRと低圧室LRのシールが行われる。
【0035】
さて、図9に、旋回角と歯面荷重との関係を示した。図には、複数のプロットで示されたスクロールの中央に設けられた中央圧縮室(図16参照)による歯面荷重の増減量と、段差部分に形成された部分圧縮室(図15、図17参照)が固定スクロール12から旋回スクロール13を離間させようとする力(破線)とが示されている。実際の歯面荷重は、両方の和になる。
図からわかるように、壁部12b、13bの段付き部44,45の伸開角θsが
θs=θβ+360°・n+180° (n=0,1,2,…)
となっている。歯面荷重はθPとθβとの間で急激に低下するが、この範囲では端板の段差部42,43と壁体の段付き部44,45との噛み合いは回避されているため、部分圧縮室は歯面荷重を低減させない。したがって、θPとθβとの間の歯面荷重の更なる低下は回避され、冷媒の漏れ、騒音を防止することができる。
また、図11に示すように、θSはできるだけ内側となるように設計した方が、段部より内側の歯面の低い部分が減少するために押しのけ量が大きくなることがわかる。本例では、上記のように噛み合い範囲がθPとθβとの間を避けつつ、θsができるだけ内側に設定されているから、段差部のかみ合いによる歯面荷重の低下をできるだけ抑えることができ、かつ押しのけ量の低下をできるだけ抑えることができる。
ポート連通点Pとβ点とが一致している場合は、図10に示すように、歯面荷重が低下するβ点近傍と、段差部の噛み合いによる歯面荷重低下が大きくなる部分との重複が避けられているため、歯面荷重の急激な低下を防止することができる。
【0036】
なお、本例においては、θSの最適条件として
θs=θβ+360°・n+180° (n=0,1,2,…)
としたが、より広い適切条件として
θP+360°・n+180° ≦θS≦ θP+360°・(n+1)の範囲であればよい。
θSがこの範囲にある場合、図12に示すように最も歯面荷重が低下するポート連通点P付近と、段付き部の噛み合いによる歯面荷重の低下が大きくなる部分とが重複しない。すなわち、噛み合い範囲は図12(b)〜図12(c)で示した範囲内をとるから、ポート連通点Pは噛み合い範囲の内部に入り込まず、したがって、歯面荷重の低下による冷媒の漏れ、騒音を防止することができる。
また、本例では固定スクロールの背面に高圧室HRを設けた背圧式の旋回スクロールについての例を示したが、段付きスクロールであればこれに限定されるものではない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては以下の効果を得ることができる。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、
壁部の段付き部の伸開角θsが
θP+360°・n+180° ≦θS≦ θP+360°・(n+1) (n=0,1,2,…)
を満たしているので、ポート連通点付近と段付き部の噛み合いによる歯面荷重の低下が大きくなる部分とが重複しない。したがって、歯面荷重の大きな低下を防ぐことができ、冷媒の漏れ、騒音を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、
θs=θβ+360°・n+180° (n=0,1,2,…)
となっているため、中央圧縮室が歯面荷重を最も減少させるときには、端板の段差部と壁体の段付き部との噛み合いは回避される。したがって、歯面荷重の大きな低下を防ぐことができ、冷媒の漏れ、騒音を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態として示したスクロール圧縮機の全体構成を示す断面図である。
【図2】 同スクロール圧縮機に用いられる固定スクロールの斜視図である。
【図3】 同スクロール圧縮機に用いられる旋回スクロールの斜視図である。
【図4】 段付き部の形成位置を示した図である。
【図5】 同スクロール圧縮機の駆動時における流体圧縮の過程を示す図である。
【図6】 同スクロール圧縮機の駆動時における流体圧縮の過程を示す図である。
【図7】 同スクロール圧縮機の駆動時における流体圧縮の過程を示す図である。
【図8】 同スクロール圧縮機の駆動時における流体圧縮の過程を示す図である。
【図9】 旋回スクロールの歯面荷重と旋回角との関係を示した図である。
【図10】 旋回スクロールの歯面荷重と旋回角との関係を示した図である。
【図11】 θSと押しのけ量との関係を示した図である。
【図12】 旋回スクロールの歯面荷重と旋回角との関係を示した図であり、(a)は歯面荷重、(b)はθSが下限値を取った場合の噛み合い範囲、(c)はθSが上限値を取った場合の噛み合い範囲を示す。
【図13】 従来のスクロール圧縮機に用いられる固定スクロール及び旋回スクロールの斜視図である。
【図14】 従来のスクロール圧縮機において、最大容積時の圧縮室を示す図である。
【図15】 段差部が旋回スクロールに与える力を示した図である。
【図16】 中央圧縮室が旋回スクロールに与える力を示した図である。
【図17】 段差部が旋回スクロールに与える力を示した図である。
【符号の説明】
12 固定スクロール
12a 端板
12b 壁体
13 旋回スクロール
13a 端板
13b 壁体
42 段差部
43 段差部
44 段付き部
45 段付き部
51 固定スクロール
52 旋回スクロール
β 中心側伸開点(β点)
P ポート連通点
Claims (2)
- 端板の一側面に立設され、インボリュート曲線に基づいた渦巻き状の壁体を有する固定スクロールと、端板の一側面に立設され、インボリュート曲線に基づいた渦巻き状の壁体を有し、前記各壁体どうしを噛み合わせて自転を阻止されつつ公転旋回運動可能に支持された旋回スクロールとを備えたスクロール圧縮機において、
前記固定スクロールと旋回スクロールの少なくともいずれか一方のスクロールの端板には、前記一側面に、その高さが壁体の渦に沿ってその中心部側で高く外終端側で低くなるよう形成された段差部が設けられ、前記固定スクロールと旋回スクロールのいずれか他方のスクロールの壁体の上縁は、前記端板の段差部に対応し、該壁体の高さが渦の中心部側で低く外終端側で高くなる段付き部を備え、
前記段付き部の伸開角θSは、前記壁体のインボリュート曲線が始まる中心側伸開点βの伸開角をθβ、圧縮室内の圧縮流体が吐出されるポート連通点Pの伸開角をθPとし、θP<θβとしたとき、
θP+360°・n+180°≦θS≦θP+360°・(n+1)
(n=0,1,2,・・・)
を満たしていることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記壁体のインボリュート曲線が始まる中心側伸開点βの伸開角をθβとおくとき、
θS=θβ+360°・n+180°
(n=0,1,2,・・・)
を満たしていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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