JP4708568B2 - 選択されたインテグリンアンタゴニストを使用して脳腫瘍成長を阻止する方法 - Google Patents

選択されたインテグリンアンタゴニストを使用して脳腫瘍成長を阻止する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4708568B2
JP4708568B2 JP2000595706A JP2000595706A JP4708568B2 JP 4708568 B2 JP4708568 B2 JP 4708568B2 JP 2000595706 A JP2000595706 A JP 2000595706A JP 2000595706 A JP2000595706 A JP 2000595706A JP 4708568 B2 JP4708568 B2 JP 4708568B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brain
cells
tumor
antagonist
vitronectin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000595706A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002535375A5 (ja
JP2002535375A (ja
Inventor
ローグ,ウオルター・イー
Original Assignee
チルドレンズ・ホスピタル・ロス・アンジエルス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26815994&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP4708568(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by チルドレンズ・ホスピタル・ロス・アンジエルス filed Critical チルドレンズ・ホスピタル・ロス・アンジエルス
Publication of JP2002535375A publication Critical patent/JP2002535375A/ja
Publication of JP2002535375A5 publication Critical patent/JP2002535375A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4708568B2 publication Critical patent/JP4708568B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/395Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/39Connective tissue peptides, e.g. collagen, elastin, laminin, fibronectin, vitronectin, cold insoluble globulin [CIG]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2839Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the integrin superfamily
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2839Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the integrin superfamily
    • C07K16/2848Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the integrin superfamily against integrin beta3-subunit-containing molecules, e.g. CD41, CD51, CD61
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Description

【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は全般に腫瘍成長の阻止、具体的には脳腫瘍成長の阻止に関する。
【0002】
(先行技術の説明)
本出願を通して種々参照文献は全て括弧内に記す。これらの出版物の開示全てを引用により本出願の一部とし、本発明が属する技術状況をより十分に記載する。参照した引用文献は全て本出願の末尾、請求の範囲の前に記載している。
【0003】
脳腫瘍は他の充実性腫瘍と同様、1ないし2mmを越える継続的な成長を維持するために血液供給を永続的に増加させる必要がある(1、2)。これは腫瘍細胞により放出される内皮性成長因子に応答して生じる過程である脈管形成により達成される。脈管形成は静止期の微小血管系からの内皮細胞増殖の誘導、腫瘍床への新生内皮の遊走、および最終的には新規毛細管ネットワークへの成熟化に関与する(3)。脳腫瘍は全てのヒト新形成のうち最も脈管形成的である。最も一般的な悪性脳腫瘍である神経膠芽細胞腫および神経髄芽細胞腫の患者の組織切片におけるインシトゥーハイブリダイゼーションかまたは特異的抗体のいずれかにより示される主要な脈管形成因子は血管内皮成長因子(VEGF)および塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)である(4ないし7)。実際膠腫瘍のVEGF発現および微小血管密度は悪性の程度および全体的な予後の程度と直接的に相関する(8ないし9)。
【0004】
最近の知見により、内皮細胞インテグリン、すなわちアミノ酸配列Arg−Gly−Asp(RGD)に結合することにより細胞外マトリックス(ECM)タンパク質への細胞の付着を指示する膜貫通レセプターのファミリーの活性化により、脈管形成が制御されることが示唆される(10)。bFGFおよびVEGFに応答して、内皮細胞はインテグリンαβおよびαβ各々の発現を上方制御する(11ないし13)。神経膠芽細胞腫およびそれに関係する血管内皮がインテグリンαβおよびαβを発現するのが見出されている(14、15)。インテグリンが媒介する付着により細胞の生存性、増殖、致死および毛細管新芽形成を促進する細胞内シグナルが伝達される(16、17)。これらのインテグリンがリガンドと結合し損なうことにより内皮細胞アポトシスに至る(18、19)。マトリックス糖タンパク質、ビトロネクチンがαβおよびαβのリガンドとして提供され、悪性神経膠細胞腫による侵襲縁の先端で生成される(15、20)。またこれらの知見は腫瘍細胞、悪性脳腫瘍が連続的に脈管形成および成長するための脳ECMおよび内皮細胞インテグリン間の複合パラクリン相互作用を示唆する。
【0005】
インテグリン−ECM相互作用を防御する、抗αβ抗体、LM−609またはαβおよびαβのRGD環状ペプチドアンタゴニストを用いる研究では鶏漿尿膜(CAM)およびマウスキメラモデルにおける抗脈管形成応答が示されている(21ないし23)。脈管形成経路の別の部位に作用する別の物質も、例えばVEGFに対する抗体またはそのチロシンキナーゼレセプター適合も、脈管形成阻害に効果がある(24、25)。
【0006】
先行の研究では乳房癌腫、黒色腫およびHT29−D4結腸腺癌細胞のビトロネクチンへの付着は各々α、αβおよびαβに依存することが示されている(51ないし53)。腫瘍および内皮細胞により生成されるビトロネクチンはαβおよびαβにより認識され、腫瘍侵襲および新生血管形成の部位で見出されるECMタンパク質である(54ないし55)。このように、ビトロネクチン発現は、αライゲーションにより内皮細胞生存を、したがって脈管形成を補助するのに加えて、αβおよびαβインテグリンを発現する腫瘍および内皮細胞の付着をさらに増強し、それによりこれらの侵襲を促進しよう。SCIDマウス/ヒトキメラモデルを用いる乳癌に関するある研究では、抗αβ抗体LM−609の投与後、腫瘍侵襲がかなり低減され、αβ遮断が腫瘍細胞生物学に直接影響することを示唆している(56)。
【0007】
脳腫瘍は高度な侵襲性および脈管形成のために、腫瘍の進行におけるインテグリンの重要性をさらに研究するための優れたモデルを提供する。複数の研究により微小血管密度が星状細胞腫における予後および悪性度に相関することが示された(57ないし59)。脈管形成インヒビター(例えばTNP−470)、トロンボスポンジン−1および血小板第4因子は、実験的脳腫瘍導入により、腫瘍成長を阻止するのが示された(60ないし62)。しかしながら、現在までのところ、脳腫瘍侵襲および脈管形成に及ぼすインテグリン拮抗作用の影響は研究されていない。従って、その影響を研究し、脳腫瘍を処置するための新規方法を提供する必要がある。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、インテグリンの、具体的にはαβおよびαβの、標的化拮抗作用がインビボで脳腫瘍形成を実質的に阻止できるという驚くべき知見に基づいている。本発明はまた、脳腫瘍の微環境が腫瘍の挙動およびかかる生物学的に導かれた治療に対する応答性の決定に重大であるという知見にも基づいている。本発明はさらにインテグリン拮抗作用が抗脈管形成に依存しない抗腫瘍形成効果を有し、これが協働して腫瘍成長を遅延させることができるという知見に基づいている。例えばインテグリン拮抗作用は直接的に脳腫瘍細胞死を引き起こすことができることは本発明の知見である。
【0009】
従って、本発明の一つの態様は宿主の脳における腫瘍成長を阻止する方法を提供する。その方法はかかる阻止を必要とする宿主に治療上有効量のインテグリンアンタゴニストを投与することを含む。
【0010】
本発明の一つの態様では、インテグリンはαβまたはαβである。アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニスト、αβに対する抗体、αβに対する抗体または各々αβおよびαβに対する抗体の組み合わせである。
【0011】
本発明の別の態様は宿主の脳に位置する腫瘍組織において脈管形成を阻止する方法を提供する。その方法は脈管形成を阻止する用量のαインテグリンのアンタゴニストを含んでなる組成物を宿主に投与することを含む。
【0012】
本発明の一つの態様では、インテグリンはαβまたはαβである。アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニスト、αβに対する抗体、αβに対する抗体または各々αβおよびαβに対する抗体の組み合わせである。
【0013】
本発明のさらなる態様は宿主の脳で成長する脳腫瘍細胞のECM依存性細胞付着を阻止する方法を提供する。その方法は治療上有効量の、αインテグリン、すなわちインテグリンαβまたはαβアンタゴニストを宿主に投与することを含む。本発明の一つの態様ではアンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニスト、または各々αβおよびαβに対する抗体の組み合わせである。
【0014】
本発明のさらに別の態様は宿主の脳で成長する脳腫瘍細胞のビトロネクチン依存性細胞遊走を阻止する方法を提供する。その方法は治療上有効量のαに対するアンタゴニストを宿主に投与することを含む。
【0015】
本発明の一つの態様では、アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニスト、またはαβに対する抗体である。
【0016】
本発明のさらなる態様は宿主の脳で成長する腫瘍細胞においてアポプトシスを誘起する方法を提供する。その方法は治療上有効量のインテグリンのアンタゴニストを宿主に投与することを含む。
【0017】
本発明の一つの態様では、インテグリンはαβまたはαβである。アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニストである。
【0018】
本発明の方法はインビボで脳腫瘍の処置に使用するのによく適している。本発明は脳腫瘍を処置するための新規治療アプローチを提供する。
【0019】
(図面の説明)
本発明の前記のおよびその他の特徴並びにそれを得る方法は添付の図面と組み合わせて以下の説明を参照することによりより明白になり、よく理解できるようになろう。これらの図面は本発明の典型的な態様のみを表し、従ってその範囲を限定するものではない。これらは具体性および詳細な説明を加えるために提示するものである:
図1aおよび1bはαアンタゴニストによるCAMにおける(a)脈管形成および(b)腫瘍成長の阻止を示す。
【0020】
図2はDAOYおよびU87MG細胞の脳内注射後の腫瘍の大きさ(A)マウス生存性(B)を示す。
【0021】
図3aおよびbは不活性(A)または活性(BないしD)ペプチドで毎日処置した、同所注射した脳腫瘍細胞DAOY(a)およびU87MG(b)の組織病理学を示す。対照動物では大きな脳内腫瘍(矢印)が肉眼観察できるが(A)、αアンタゴニスト処置動物では腫瘍が認められない(B)かまたは顕微鏡的な残存腫瘍(矢印)しか検出されない(CおよびD)。
【0022】
図4は活性かまたは不活性のいずれかのペプチドを投与されたマウスの同所脳腫瘍移植後の生存性を示す。
【0023】
図5は同所(脳)および異所(皮下組織)移植したDAOY細胞に及ぼすαアンタゴニストの影響を示す。
【0024】
図6aないし6dは脳腫瘍および脳毛細管内皮細胞に関する(a)インテグリンプロファイル、(b)ビトロネクチンへの付着に及ぼすαアンタゴニストの効果、(c)ビトロネクチンによる遊走に及ぼすαアンタゴニストの効果、および(d)ビトロネクチンによる細胞生存性に及ぼすαアンタゴニストの効果、を示す。
【0025】
図7はECMタンパク質に付着する腫瘍細胞に及ぼす環状ペンタペプチドの影響を示す。
【0026】
図8は脳腫瘍細胞および脳毛細管細胞の両方における細胞死(アポプトシス)に至る付着の阻止の効果を示す。この効果はECMビトロネクチンおよびテネイシンに限定されている。
【0027】
図9は前脳にU87脳腫瘍異物移植し、活性(抗α)または対照ペプチドを投与したヌードマウスの免疫組織化学を示す。
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明の一つの態様は宿主の脳における腫瘍成長を阻止する方法であって、かかる阻止を必要とする宿主に治療上有効量のインテグリンアンタゴニストを投与することを含む方法を提供する。
【0029】
脳における腫瘍の成長がインテグリンとそのリガンドとの相互作用を必要とする限り、本発明の方法を用いて脳で成長するいずれかの腫瘍を処置することができる。かかる腫瘍の例としては神経膠芽細胞腫、神経髄芽細胞腫(星状細胞腫、その他の初期神経外胚葉細胞腫および脳幹神経膠癌)などがあるが、これらに限定するものではない。本発明の目的のためには、好ましくは腫瘍成長は宿主の脳の脳内に位置する。宿主はラットおよびヒトなど(これらに限定するものではない)のいずれかの哺乳動物でよい。腫瘍成長が処置により損なわれれば、腫瘍成長は阻止される。
【0030】
本発明の目的のためにはインテグリンは相同性ヘテロ二量体膜貫通レセプターの特定のファミリーのいずれかのメンバーである。アミノ酸配列Arg−Gly−Asp(RGD)に結合することによりレセプターは細胞付着を指示する。レセプターは腫瘍細胞および正常細胞の両方で発現され得る。インテグリンの特性は当該分野で周知であり、詳しく特徴づけされており、引用した参考文献に詳細に記載されており(1、2)、その内容は引用により本明細書の一部とする。インテグリンの例としてはαファミリー例えばαβ、αβ、αβ、αβ、αβ等が挙げられるが、これらの限定するものではない。
【0031】
インテグリンのアンタゴニストは、レセプターであるインテグリンへの、例えばビトロネクチン、テネイシン、フィブロネクチンおよびコラーゲンIなど(これらに限定するものではない)の種々のマトリックスタンパク質であるリガンドの結合活性を阻止することにより、インテグリンの生理学的または薬理学的活性を遮断または阻止する分子である。本発明の一つの態様では、インテグリンのアンタゴニストはインテグリンαβまたはインテグリンαβのアンタゴニストでよい。好ましいインテグリンアンタゴニストはモノクローナル抗体、モノクローナル抗体のフラグメントまたはペプチドのいずれかでよい。
【0032】
例えば、αβのアンタゴニストはαβのその複数のリガンドの一つ、すなわちビトロネクチンまたはテネイシンへの結合を阻止するいずれかの因子でよい。αβのアンタゴニストの例はPCT出願WO96/37492およびWO97/45137に記載されており、その内容は引用により本明細書の一部とする。
【0033】
同様に、αβのアンタゴニストはαβのそのリガンドすなわちビトロネクチンへの結合を阻止するいずれかの因子でよい。αβのアンタゴニストの例はPCT出願WO97/06791に記載されており、その内容は引用により本明細書の一部とする。
【0034】
本発明の一つの態様では、アンタゴニストはαのポリペプチドのアンタゴニスト、すなわちαβおよびαβのポリペプチドアンタゴニストである。好ましくはポリペプチドはArg−Gly−Asp(RGD)含有ポリペプチドである。一つの態様では、ポリペプチドアンタゴニストはαのRGD環状ペンタペプチドアンタゴニストである。
【0035】
本発明の別の態様によれば、アンタゴニストはαβまたはαβに免疫特異的なモノクローナル抗体でよい。また別に、それは各々αβおよびαβに対する抗体の組み合わせでよい。一つの態様では、αβに免疫特異的なモノクローナル抗体はLM−609と称するモノクローナル抗体の免疫反応特性を有する。本発明の別の態様では、αβに免疫特異的なモノクローナル抗体はP1−F6と称するモノクローナル抗体の免疫反応特性を有する。LM−609抗体およびP1−F6抗体は共に産業上周知であり、ケミコン、テメキュラ、カリフォルニアより市販されている。
【0036】
本発明の目的のためには、脳における腫瘍成長を阻止するための本発明の方法において、アンタゴニストを単独で、または互いに組み合わせて用いることができる。
【0037】
治療上有効量とは、処置する宿主の脳において腫瘍成長を測定できる程度に阻止するのに十分なのアンタゴニスト量である。腫瘍成長の阻止は、本明細書に記載するように、マウス脳MRIスキャニングにより、または3H−チミジン取り込みにより染色した後顕微鏡測定により決定でき、この方法は当業者に周知である。
【0038】
インテグリンアンタゴニストがRGD含有ペプチド、抗αβモノクローナル抗体もしくはそのフラグメント、抗αβモノクローナル抗体もしくはそのフラグメントまたはαβおよびαβのモノクローナル抗体の組み合わせの形態をとり得る限り、「治療上有効量」の効力、従って発現が変化し得ることは理解されよう。しかしながら、本発明のアッセイ法により示されるように、当業者は本発明の候補アンタゴニストの効力を容易に評価できる。
【0039】
アンタゴニストの効力はCAMアッセイ、インビボ脳腫瘍アッセイにおける脈管形成の阻止など(これらに限定するものではない)の種々の手段により、および本明細書に記載するαβまたはαβのごときインテグリンへの天然のリガンドの結合の阻止を測定することにより測定できる。
【0040】
アンタゴニストの投与量範囲はアンタゴニストの形態および特定のインテグリンに対するその効力に依存する。当業者は過度の実験をせずとも本発明の開示に鑑み、特定のアンタゴニストに適切な用量を見出すことができる。投与量は脳における腫瘍成長を阻止する望ましい効果を生じるのに十分多くすべきである。例えば本発明のインテグリンアンタゴニストがポリペプチドの形態で投与される場合、投与量は副作用、例えば脳浮腫すなわち例えばカヘキシアなどの脳腫瘍からのサイトカインの急速な放出を引き起こすほど多くすべきではない。体重kgあたりの用量は1日1回またはそれ以上、1日または数日または無期限に投与する場合、1ないし20mgに変化できる。本発明のインテグリンアンタゴニストをモノクローナル抗体の形態で投与する場合、1回投与を週1ないし2回を無期限に投与するとき、用量は1ないし20mg/kgに変化できる。
【0041】
本発明のポリペプチドまたはモノクローナル抗体を注射により、または時間をかけて徐々に注入することにより非経口的に投与できる。組織はたいてい腹腔内または皮下(抗体)投与により処置されるが、本発明のアンタゴニストはまた眼内、静脈内、筋肉内、腔内、経皮的にも投与でき、蠕動手段により分配することができる。
【0042】
投与処方に適合する手段で、および治療上有効量で組成物を投与する。投与する量および投与の時期は処置する対象、活性成分を利用する対象のシステムの容量、および望まれる治療効果の程度に依存する。投与する必要のある活性成分の正確な量は医師の判断に依存し、各個体に特有である。しかしながら、全身適用のための適当な用量範囲は本明細書で開示され、投与経路に依存する。投与のための適当なレジュメもまた変化するが、最初の投与、続いてその後の注射またはその他の投与により1時間またはそれ以上の間隔で反復投与することにより類型化される。
【0043】
本発明の態様によれば、本発明はまた本明細書に記載する治療方法を実行するのに有用な医薬用組成物をも提供する。組成物は本発明のアンタゴニストを医薬上許容される担体と組み合わせて含有する。本発明で用いる「医薬上許容される」「生理学的耐性のある」およびその文法的に変化した用語は、組成物、担体、希釈剤および試薬に言及する場合、互換的に用いられ、物質が望ましくない生理学的影響を生じずに哺乳動物にまたは哺乳動物において投与できることを意味する。
【0044】
本発明のペプチドまたは抗体の非経口投与用製剤には滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液および乳液などがある。非水溶性溶媒の例としてはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油例えばオリーブ油および注射可能な有機エステル例えばオレイン酸エチルなどがある。水性担体には水、アルコール性/水溶液、乳液または懸濁液、例えばセイラインおよび緩衝溶媒などがある。非経口用ベヒクルには塩化ナトリウム溶液、デキストロースリンガー液、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンガー液または固定油などがある。静脈内投与用のベヒクルには液体および栄養補給物質、電解質補給物質(例えばデキストロースリンガー液を基盤とするもの)等がある。保存剤およびその他の添加物、例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性気体等をも含んでよい。
【0045】
本発明の別の態様は宿主の脳に位置する腫瘍組織における脈管形成を阻止する方法を提供する。この方法はインテグリンのアンタゴニストの脈管形成阻止用量を含んでなる組成物を宿主に投与することを含む。
【0046】
発明の背景のセクションで記載したように、脈管形成は、既存の宿主血管から新生血管のネットワークを形成することであり、1ないし2mmを越える腫瘍成長に必要である。本発明の目的のためには、脈管形成により媒介される脈管形成および疾患の症状が改善されれば、脈管形成は阻止される。
【0047】
本発明の一つの態様では、腫瘍組織は宿主の脳の大脳内に位置する。宿主はいずれかの哺乳動物でよい。宿主の実例にはマウス、ラットおよびヒトなどがあるが、これらに限定するものではない。
【0048】
アンタゴニストの投与の用量範囲はアンタゴニストの形態および特定のインテグリンに対する効力に依存する。当業者は過度の実験をせずに本発明の開示に鑑み、特定のアンタゴニストの適切な用量を見出すことができる。用量は脈管形成により媒介される脈管形成および疾患の症状が改善される望ましい効果を生じるのに十分多くするべきである。用量は副作用、例えばサイトカイン放出または出血を伴う急速な腫瘍溶解による脳浮腫を引き起こすほど多くすべきでない。
【0049】
本発明の一つの態様では、インテグリンのアンタゴニストはインテグリンαβまたはインテグリンαβのアンタゴニストでよい。好ましいインテグリンアンタゴニストはモノクローナル抗体またはペプチドのいずれかでよい。本発明の一つの態様では、アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニスト、すなわちαβおよびαβのポリペプチドアンタゴニストである。好ましくはポリペプチドはArg−Gly−Asp(RGD)含有ポリペプチドである。一つの態様では、ポリペプチドアンタゴニストはαのRGD環状ペンタペプチドアンタゴニストである。
【0050】
本発明の別の態様によれば、アンタゴニストはαβに対する抗体および各々αβおよびαβに対する抗体の組み合わせでよい。
【0051】
治療上有効量は処置する組織において脈管形成を測定可能な程度に阻止するのに十分なアンタゴニスト量、すなわち脈管形成阻止量である。脈管形成の阻止は本明細書に記載する免疫組織化学により、または当業者に周知のその他の方法によりインシトゥー測定できる。
【0052】
本発明の一つの態様によれば、本発明はまた本明細書に記載する治療方法を実行するのに有用な医薬用組成物をも提供する。組成物は本発明のアンタゴニストを医薬上許容される担体と組み合わせて含有する。
【0053】
本発明のさらなる態様は宿主の脳で成長する脳腫瘍細胞においてECM依存性細胞付着を阻止する方法であって、治療上有効量のインテグリンαβおよびαβに対するアンタゴニストを宿主に投与することを含む方法を提供する。
【0054】
本発明の目的のためには、ECM依存性細胞付着には、ECM依存性であり、αインテグリンに媒介されるいずれかの細胞付着などがある。かかる付着の例としてはビトロネクチン依存性細胞付着およびテネイシン依存性細胞付着などがあるが、これらに限定するものではない。ヒト脳腫瘍がビトロネクチンおよびテネイシンを生成し、ECMがインテグリンとの相互作用による腫瘍細胞付着および遊走において重要な役割を果たすことは本発明の知見である。本発明の目的のためには、ECMに対する腫瘍細胞付着が低減されれば、阻止が達成される。
【0055】
本明細書で用いる「治療上有効量」なる用語はECM媒介腫瘍細胞付着が低減されるのに十分なアンタゴニスト量を示す。本明細書に記載する方法により、および当業界で一般的な方法により細胞付着を測定できる。
【0056】
本発明の一つの態様によれば、アンタゴニストはαのアンタゴニストまたは各々αβおよびαβに対する抗体の組み合わせでよい。例えばアンタゴニストはαのRGD環状ペンタペプチドアンタゴニストまたはLM−609およびP1−F6と称するモノクローナル抗体の組み合わせでよい。
【0057】
本発明の別の態様は宿主の脳で成長する脳腫瘍細胞におけるビトロネクチン依存性細胞遊走を阻止する方法であって、治療上有効量のαβに対するアンタゴニストを宿主に投与することを含む方法を提供する。
【0058】
本発明の目的のためには、腫瘍細胞遊走が低減されれば、阻止は達成される。
【0059】
本明細書で用いる「治療上有効量」なる用語はビトロネクチンに媒介される腫瘍細胞遊走が低減されるのに十分なアンタゴニスト量を示す。本明細書に記載する方法により、および当業界で一般的な方法により細胞遊走を測定できる。
【0060】
本発明の一つの態様によれば、アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニストまたはαβに対して免疫的に活性であるモノクローナル抗体でよい。例えばアンタゴニストがαのRGD環状ペンタペプチドアンタゴニストまたはLM−609と称するモノクローナル抗体でよい。
【0061】
本発明はまた宿主の脳において成長する腫瘍細胞のアポプトシスを誘導する方法をも提供する。その方法は治療上有効量のインテグリンアンタゴニストを宿主に投与することを含む。
【0062】
本発明の目的のためには、アンタゴニストの投与後、脳における腫瘍細胞アポプトシスの量の増加が観察される場合、脳腫瘍細胞アポプトシスが誘導される。治療上有効量は処置する宿主の脳において測定できる程度の細胞アポプトシスを生じるのに十分なアンタゴニスト量である。脳における腫瘍細胞アポプトシスは本明細書に記載する方法または当業界で周知の方法により測定できる。
【0063】
本発明の一つの態様において、インテグリンはα、αβまたはαβでよい。アンタゴニストはαのポリペプチドアンタゴニストでよい。
【0064】
実施例
材料および方法
材料:
活性な環状RGDペンタペプチドEMD121974、シクロ(Arg−Gly−Asp−D−Phe−[N−Me]−Val)および不活性対照ペプチドcRAD(EMD135981)はA.Jonczyk,Ph.D.、Merck KgaA,Darmstadt、ドイツにより提供された。モノクローナル抗体LM609およびP1F6については記載されている(13)。脳腫瘍セルラインDAOYおよびU87MGをATCC、ロックビル、メリーランド州より購入した。ヒト毛細管内皮細胞の初代培養物はM.Stins、Ph,D.,チルドレンズ・ホスピタル、ロサンジェルス(49)により提供された。ヒトビトロネクチンはプロメガ、マジソン、ウィスコンシン州より購入した。
【0065】
FACS分析:
FACスキャンサイトメーター(ベックトン・ディッケンソン、サンジョーズ)を用いた。条件は前記するとおりである(43)。1次抗体はLM609およびP1F6を1:100で用い、2次抗体はFITC標識ヤギ抗マウスIgG、1:250であった。アポプトシスの決定は製造者の指示書に従った(クロンテック、パロアルト、カリフォルニア州、アポ・アラート・アネクシンV−FITCアポプトシスキット)。
【0066】
付着:
アッセイ条件は前記したとおりである(15)。非組織培養物で処理したウェルをビトロネクチンと共に4℃で一晩インキュベートし(1ないし10μg/ml PBS)、洗浄し、PBS中1%熱変性BSAで30分間遮断し、続いてPBSで洗浄した。30分間付着バッファー中試験物質(20μg/ml)と共に37℃でプレインキュベートした対照および試験細胞をウェルに載せ(5x10セル/ウェル)、37℃で1時間インキュベートした。付着バッファーでウェルを穏やかに洗浄した後、付着細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色し、染料をメタノールに溶解し、600°AでODを測定した。
【0067】
遊走:
トランスウェルポリカーボネートフィルター(孔径8μ)をPBS中ビトロネクチンと共に37℃で30分間インキュベートし(上側は1μg/ml、底側は10μg/ml)、1%熱変性BSAで30分間遮断し、PBSで洗浄した。試験細胞(5x10/ウェル)を指示した試験物質(20μg/ml)を含有する付着バッファーに加え、付着バッファーを含有する下部チャンバーで37℃で4時間インキュベートした。上部チャンバーの細胞を綿棒で除去し、フィルターの底部の細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色し、遊走細胞数を計数することにより決定した。
【0068】
アポプトシス:
付着条件は、ビトロネクチンおよび5x10セル/ウェルで被覆した12ウェルプレートを付着バッファー中に置く以外は前記のとおりであった。37℃で30分間インキュベートした後、付着バッファーを活性cRGDまたは不活性cRADペプチド20μg/mlを含有するバッファーで置換し、さらに4時間インキュベートした。付着した細胞をトリプシン消化し、上澄中の剥離した細胞と組み合わせ、次いでアポ・アラート・アネクシン・V−FITCアポプトシスキット(クロンテック)を用いてアポプトシス細胞の存在を試験した。
【0069】
CAMアッセイ:
卵提供者および調製物については前記した(23)。腫瘍細胞は、DAOYに関しては4x10セル/卵およびU87MGに関しては3.5x10セル/卵でPBS50μl中に置いた。細胞を7日間腫瘍に成長させ、次いで滅菌条件下回収し、類似の大きさにトリミングし、10日齢胚のCAM上で繰り返した。翌日活性または不活性ペプチド(100μg/卵)をCAM静脈に注射した。成長の7日後腫瘍をインシトゥー写真撮影し、次いで回収し、重量測定し、4% 緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンで包埋した。連続切断した後、スライドをヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。
【0070】
脳腫瘍モデル:
モデルの詳細については我々が記載した(31)。腫瘍細胞(10/10μlPBS)を記載した条件で脳内に注射した。活性cRGDまたは不活性cRADペプチド(100μg/50μl/マウス)を用いる腹腔内処置はU87MGに関しては移植の3日後、DAOY細胞に関しては10日後に開始し、悪液質および/または瀕死の状態を生じるまで毎日繰り返した。次いでCO麻酔により動物を屠殺し、脳を取出し、液体窒素中スナップ凍結するか、または緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、切片に切断し、ヘマトキシリン・エオシンで染色した。
【0071】
皮下腫瘍成長:
皮下腫瘍成長のためには細胞(10マウス)を右肩肉趾の下にs.c.注射し、その直後脳内注射をした。
【0072】
動物実験:
NIHガイドラインに従って動物実験を行い、地方動物保護委員会(local animal care committee)に承認された。
【0073】
実験
CAMにおける脈管形成
脈管形成に関与する脳腫瘍に及ぼすα拮抗作用の影響を評価するために、DAOYおよびU87MGヒト脳腫瘍細胞を雛鶏漿尿膜(CAM)で成長させた。腫瘍を7日間成長させた後、除去し、新鮮CAMに再移植した。移動の24時間後、活性cRGDペプチドまたは対照ペプチド(cRAD)のいずれかを100μgCAM静脈に注射した。腫瘍をさらに6日間成長させ、次いで重量を測定し、血管形成に関して分析した。双眼立体顕微鏡試験により対照ペプチドを投与された腫瘍が広範な脈管形成を呈し、一方αアンタゴニストで処置した腫瘍は脈管形成の著明な抑制を示した(図1a)。腫瘍成長もまたαアンタゴニストによって阻止された。重量で80%の増加した対照腫瘍に比較して、αアンタゴニスト処置した腫瘍は重量で30%減少した(図1b)。これらのデータはα拮抗作用による腫瘍成長の阻止は、腫瘍に伴う脈管形成の崩壊の結果であることを示唆している。
【0074】
図1aおよび1bはαアンタゴニストによるCAMにおける(a)脈管形成、および(b)腫瘍成長の阻止を示している。CAMで成長する脳腫瘍を回収し、類似の大きさに切断し、10日齢の鶏卵の新鮮CAM上に置いた。翌日、活性αインヒビターまたは対照ペプチド100μgを鶏静脈に注射し、さらに6日間成長させた。対照ペプチドを投与した卵は著明な脈管形成(a)(DAOY=AおよびU87MG=C)を示したが、活性ペプチドを投与した卵(DAOY=BおよびU87MG=D)では新生血管形成の著名な抑制が観察された。CAM上に置いた腫瘍を実験の始めと終わりに重量測定した(b)。対照ペプチドで処置した腫瘍の重量は両方の腫瘍の型で80%増加した(左、n=8)が、一方活性ペプチドを投与した場合約30%減少した(右、n=8)。
【0075】
同所腫瘍モデル
DAOYおよびU87MG細胞(10セル/マウス)をnu/nuマウスの右前頭皮質に定位で注射し、脳微環境を再現するシステムを確立した。この方法によりヒト脳腫瘍形成の高度に再現性のあるモデルが可能になり、α拮抗作用を導入する前に経時的な腫瘍成長およびマウス生存性の測定が可能になった(図2aおよび2b)。図2はDAOYおよびU87MG細胞を脳内注射した後の腫瘍の大きさ(A)およびマウス生存性(B)を示す。U87MG細胞は急速な成長を示し、6週で約6mmのプラトーに達し、一方DAOY細胞は緩徐な成長を示し、9週で直径5.5mmに達する(A)。全動物は9週までに死亡する(B)。各時間でポイントn=5または6である。
【0076】
このモデルにおけるcRGDペプチドの影響を試験するために、腫瘍を最初に7日間(DAOY)または3日間(U87MG)成長させた後、αアンタゴニスト(100μg/マウス)またはその不活性対照をさらに3週間毎日i.p.投与した。屠殺時に(腫瘍成長の全時間4週)、対照マウスは顕著な肉眼観察できる、平均3mm(DAOY)および5.5mm(U87MG)の大きさの脳腫瘍を有した。処置マウスは腫瘍がないか、または脳室および硬膜表面に沿って顕微鏡的に凝集して見出される極わずかの残存腫瘍細胞を有するかのいずれかであった(図3aおよび3b)。図3aおよび3bは毎日不活性(A)または活性ペプチド(BないしD)で処置した、同所注射した脳腫瘍細胞DAOY(a)およびU87MG(b)の組織病理学を示す。対照動物(A)では大きな脳内腫瘍(矢印)が肉眼観察され、一方αアンタゴニスト処置動物においては腫瘍が検出されない(B)か、または顕微鏡的な残存腫瘍(矢印)のみが検出される(CおよびD)。
【0077】
処置マウスはまた基底体重21gを維持したが;しかしながら、DAOYおよびU87MG対照マウスでは体重が各々16gおよび15gであり、基底体重から5ないし6gの減少を示している(表1を参照のこと)。対照群での神経学的症状の発現までの平均時間は対照群で、U87MGマウスに関しては2.5週、DAOYマウスに関しては4.5週であり、一方処置動物ではいずれの時間でも神経学的症状の証拠は認められなかった。
【0078】
【表1】
Figure 0004708568
【0079】
別の動物で生存性に関して試験した。瀕死の状態であるためにマウスの屠殺を必要とした時点で生存性を測定した。対照動物は全て腫瘍成長の6週より前に屠殺し、両対照群の大部分(>50%)を3ないし4週までに屠殺した(図4)。図4は活性または不活性ペプチドを投与した、すなわちU87MG細胞に関しては3日に、DAOY細胞に関しては7日にi.p.処置(100μg/マウス/日)を開始した、同所脳腫瘍移植後のマウスの生存性を示す。DAOYおよびU87MG対照に関するNは各々マウス16匹であり、DAOY処置に関しては32匹、U87MG処置に関しては24匹である。図4は処置動物では屠殺を必要としたものはなく、今のところ腫瘍注射してからDAOY処置マウスで24週まで、U87MGマウスで15週まで生存した。処置動物で神経学的徴候を進展させたものはなく、全て正常に成長を続けた。
【0080】
異所腫瘍モデル
α拮抗作用に供した腫瘍成長に及ぼす微環境の影響を決定するために、同一のヒト脳腫瘍細胞を皮下注射し(10セル/ヌードマウス)、その後、腫瘍細胞注射後3日(U87MG)および7日(DAOY)に活性および対照ペプチド(100μg/マウス、毎日i.p.)を用いる処置を開始した。これらの条件下、活性ペプチドにより腫瘍成長は阻止されず、6週後、処置および未処置群の腫瘍は肉眼的および顕微鏡的の両方で同等に見られ、各々広範な脈管形成の存在が示された(データは示していない)。これは試験した脳腫瘍細胞の本来備わっている特性がcRGDペプチドアンタゴニストの活性に対する感受性を腫瘍細胞に付与するのに十分ではなく、むしろ脳微環境に独特の条件が必要とされることを示唆している。
【0081】
この知見をさらに研究するために、同所モデルの概要にそってペプチドでの処置を開始する前にDAOYおよびU87MG細胞を脳内および皮下に同時に注射した。図5は同所(脳)および異所(皮下)に移植したDAOY細胞に及ぼすαアンタゴニストの影響を示す。腫瘍細胞(10)を脳および皮下に注射し、不活性(a)または活性(b)ペプチドでの処置を7日に開始した。4週で写真撮影をした。不活性(a)または活性(b)ペプチドのいずれかを投与した動物は類似の大きさの皮下腫瘍(A)および血管形成(B)を示した。両方の条件でs.c.腫瘍は下層の筋肉層内まで成長した(矢印)(C)。それに比して、対照動物では大きな脳腫瘍に進行したが(矢印)、一方活性ペプチドを投与したマウスでは疾患が認められないか、または顕微鏡的な残存疾患が認められた(D)。従って、図5は対照および処置群共に皮下腫瘍が明らかに広範な血管形成を伴う平均18mmの大きさまで成長したことを示している(図5)。対照マウスではまた以前に同所腫瘍モデルで観察されたのと類似の大きさの大きな脳腫瘍に進行し、神経学的な無防備状態の臨床所見も同様であった(表1)。対照的に、活性ペプチドを投与されたマウスは明らかな神経学的徴候もなく生存し、剖検により脳内腫瘍がないか、または顕微鏡的な残存性腫瘍細胞クラスターのみが示された(図5)。しかしながら、この群では皮下腫瘍が進行性の成長を示し、10週後に屠殺する必要があった。これにより脳内で成長する腫瘍は環状RGDペプチドを用いる処置に応答するが、皮下で成長した同一の腫瘍は応答しないことが確認された。
【0082】
インテグリン発現
ビトロネクチンは脳および皮下区画で観察される異なる生物学的応答に影響するマトリックスタンパク質である。これは神経外部位に豊富に存在するが、通常神経膠およびニューロン組織により生成されない(15、20)。しかし、悪性神経膠腫細胞は、ビトロネクチンを合成し、このビトロネクチンは、ひるがえって、悪性神経膠腫細胞の付着および蔓延にとって決定的となる(15)。また別に、ビトロネクチンは内皮細胞付着および腫瘍床への遊走を促進し、脈管形成を増強する。細胞のビトロネクチンへの付着はインテグリンαβおよびαβにより媒介されるので、ヒトDAOY神経髄芽細胞腫、U87MG神経膠芽細胞腫およびヒト脳内皮細胞(HBEC)の初代培養物がインテグリンαβおよびαβのを発現するかどうかを決定するためにFACS分析を実施した(図6a)。
【0083】
図6aないし6dは脳腫瘍および脳毛細管内皮細胞に関する(a)インテグリンプロファイル、(b)ビトロネクチンへの付着に及ぼすαアンタゴニストの影響、(c)ビトロネクチンにおける遊走および(d)ビトロネクチンにおける細胞生存性を示す。DAOYおよびU87MGの両方の腫瘍細胞および脳毛細管細胞はインテグリンαβおよびαβを発現する(a)。ビトロネクチンへの付着は活性ペプチドにより、およびαβおよびαβに対する抗体の組み合わせにより著明に阻止されたが、対照ペプチドでも特異的抗αβまたは抗αβ抗体単独でも著明な効果は全くなかった。ビトロネクチングラジエントにおける細胞遊走はαβ抗体およびαアンタゴニストにより阻止されたが、対照ペプチドまたはαβに対する抗体には阻止効果は全くなかった。ビトロネクチンに1時間細胞を付着させることにより細胞生存性を試験し、次いでそれを対照ペプチドまたはαアンタゴニスト(20μg/ml)に4時間暴露した(d)。付着および浮遊細胞を組み合わせ、FACSにより、FITC標識抗アネクシンVおよびヨウ化プロピジウムを用いてアポプトシスに関して試験した。対照ペプチドに暴露した培養物ではアポプトシスはほとんど観察されなかったが(d、左)、脳毛細管内皮細胞およびDAOY細胞の両方では有意な数のアポプトシス細胞が認められた(d、右)。
【0084】
図6aないし6dはU87MG細胞がDAOY細胞に比較して高レベルのαβを発現するが、後者は高量のαβを発現する。VEGF含有培地で成長したHBEC細胞は高量のαβを発現するが、細胞の50%は短時間培養でαβインテグリンを発現する。またビトロネクチンで被覆したプレート上で培養物中2日間成長させた後、FACS分析により細胞を試験した。これらの条件下ではαβおよびαβの発現は変化しなかった(データは示していない)。
【0085】
ビトロネクチン付着
αβおよびαβがビトロネクチンに対するDAOY、U87MGおよびHBEC付着を制御するかどうかを決定するために、細胞をビトロネクチンで被覆したウェルに載せ、αβ(LM−609)およびαβ(P1−F6)のいずれかの遮断抗体またはcRGDペプチドの存在下または不在下で付着させる。P1−F6はDAOY細胞の付着を最低限に阻止するが、LM−609はいずれの細胞の付着にも影響を及ぼさなかった。P1−F6およびLM−609を一緒に、またはcRGD単独でインキュベートすることにより、細胞の付着の著明な阻止が観察された(図6b)。これらのデータはどちらかのインテグリンを別個に遮断するのは不十分であり、試験した細胞により示されるビトロネクチン依存性付着を有意に崩壊するにはαβおよびαβの二重遮断が必要であることを示している。
【0086】
ビトロネクチン遊走
αβおよびαβが付着とは独立してビトロネクチンにおける遊走を変調するかどうかを調べるために、ボイデンチャンバーで、遮断抗体またはcRGDの存在下、ビトロネクチン被覆膜において同一の細胞を試験した。P1−F6は遊走に影響しない;しかしながら、LM−609およびcRGDは三つの細胞型全ての遊走を著明に阻止した(図6c)。P1−F6の不在下ではLM−609が付着を遮断できなかったので、この抗遊走効果は付着に寄与する力に依存しない明確な経路により媒介されるにちがいない。さらにLM−609はcRGDと同様に遊走を遮断し、これはαβ媒介細胞シグナル発信が試験する脳腫瘍および脳内皮細胞の遊走の決定において重大な構成要素であることを示唆している。
【0087】
アポプトシス
等級の高い星状細胞腫が侵襲縁先端でビトロネクチンを生成し、これはこのタンパク質が脳腫瘍細胞付着、遊走およびおそらく細胞生存性において重要な役割を果たすことを示唆している(15)。我々は以前に脳腫瘍または毛細管細胞をcRGDペプチドまたは抗αβおよび抗αβ抗体の組み合わせと共にプレインキュベーションすることによりビトロネクチンへの細胞付着を防御することを示した。マトリックスタンパク質へのインテグリン依存性付着が同様に阻止された後、内皮および黒色腫細胞アポプトシスが示された(26ないし28)。従って、これらの細胞がビトロネクチンから剥離された後、αアンタゴニストがこれらの細胞のアポプトシスを誘起するかどうかを決定するのは興味深かった。DAOY細胞および1次HBECをビトロネクチン被覆ウェルの付着バッファーに播種し(1μg/ml)、37℃で30分間付着させた。次いでバッファーをcRGDまたはcRADペプチド(対照)を20μg/mlで含有するバッファーと交換し、さらに4時間インキュベートした。付着した細胞をトリプシン消化した後、浮遊細胞と組み合わせ、抗アネクシンV−FITC抗体およびヨウ化プロピジウムを用いてFACSによりアポプトシス細胞数を測定した(クロンテック・アポ・アラート・アネクシン・V−FITC検出アポプトシスキット)。対照ペプチドcRADに暴露した細胞はほとんどアポプトシスを示さないが、DAOYおよびHBEC cRGD処置細胞は共に著明なアポプトシスを示した(図6d)。これらのデータはcRGDペプチドがビトロネクチンからこれらの細胞を剥離するだけでなく、続いてこれらのアポプトシスを誘起することを示している。
【0088】
異なるECM基質への脳腫瘍細胞付着に及ぼすペンタペプチドの影響
図7はECMタンパク質への腫瘍細胞付着に及ぼす環状ペンタペプチドの影響を示す。組織不含培養皿をビトロネクチン、テネイシン、フィブロネクチンまたはコラーゲンI(10μg/ml)と共に37℃で1時間インキュベートし、次いでPBSで洗浄した。洗浄後、5x10セル/ウェルを載せ、37℃で16時間インキュベートした。次いで培養物を洗浄し、20μg/mlのペンタペプチドまたは対照ペプチドを含有する付着バッファーを加え、さらに2ないし24時間インキュベートした。ついで培養物を付着バッファーで2回洗浄し、クリスタルバイオレットで染色し、OD600を測定した。付着細胞が多く存在するほどODは高くなる。データは8時間のインキュベーション後の付着細胞を示している。U87=神経膠芽細胞腫およびDAOY=神経髄芽細胞腫。
【0089】
図7に示すように、腫瘍細胞はコラーゲンおよびフィブロネクチンから(αインテグリンと相互作用しない)ではなく、ビトロネクチンおよびテネイシンから(その付着はαインテグリンにより媒介されている)剥離した。脳毛細管細胞でも同様のデータが得られた(示していない)。
【0090】
細胞生存性に及ぼす細胞剥離の影響
図8はECMにおいて成長し、ペンタペプチドに暴露した脳腫瘍細胞および毛細管細胞のアポプトシスを示す。トリプシン消化後剥離細胞および付着細胞を組み合わせた以外は,試験条件は図7のとおりである。ついで細胞を洗浄し、50μlPBSに懸濁し、ガラスカバースライド(サイトスピン)で遠心した。4% パラホルムアルデヒドで固定した後、ベーリンガーアポプトシスキットを用いて、アポプトシスに関して細胞を染色した。結果を細胞全数に対するアポプトシス細胞のパーセンテージとして表す。ペプチドと共に24時間インキュベートした後試験した。
【0091】
細胞生存性に及ぼす細胞剥離の影響を図8に示す。示すように、活性ペプチドに24時間暴露し、ビトロネクチンまたはテネイシンにおいて成長させた細胞は対照細胞と比較して、細胞死数の増加が示された。対照的に、ペンタペプチドはコラーゲンIまたはフィブロネクチンで成長させた細胞の生存性を変化しなかった。腫瘍細胞および脳毛細管細胞の両方の型で生存細胞の減少が観察された。細胞表面に発現される細胞死の初期マーカーに関して細胞を染色した場合、類似のデータが得られた(アネクシンV、データは示していない)。このように、活性ペンタペプチドはビトロネクチンおよびテネイシンに付着する脳腫瘍細胞および毛細管細胞の両方において細胞剥離および細胞死を誘起する。
【0092】
ヒト脳腫瘍におけるECMタンパク質の生成
前記で概要を示すように、ヒトにおいて脳腫瘍はビトロネクチンおよびテネイシンを生成し、これらの物質は腫瘍細胞の生存性を改善し、侵襲性を増強すると考えられている。我々は脳腫瘍モデルにおいてこれらのタンパク質の生成に関して試験した。
【0093】
図9はヌードマウスの前脳に異物移植し、活性(抗α)または対照ペプチドで処置したU87脳腫瘍の免疫組織化学を示す。マウスに腫瘍細胞(10/セル/マウス)を注射し、注射後7日に活性または不活性ペプチド(100μg/マウス/日)による処置を開始した。処置の2週後腫瘍を除去し、緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、5μm切片を得た。モノクローナルラット抗マウス抗体(ファルミンゲン)、モノクローナルマウス抗ヒトビトロネクチン抗体(シグマ)、マウス抗ヒトテネイシン抗体(ネオ・マーカー)および死細胞を試験するためのベーリンガーアポプトシスキットを用いてCD31発現(毛細管細胞のマーカー)に関して切片を試験した。CD31=毛細管マーカー、VN=ビトロネクチン、TN=テネイシンおよびAPO=アポプトシス。
【0094】
図9に示すように、脳腫瘍は実際にビトロネクチンおよびテネイシンを生成し、ヒトタンパク質に特異的な抗体を用いて腫瘍細胞からのこれら細胞の起源が解明された。活性ペンタペプチドの投与はこれらのタンパク質の合成には影響を及ぼさなかった。さらに、脳腫瘍細胞が組織培養においてこれらのタンパク質を生成することも示すことができた(データは示していない)。このように、マウスモデルはヒト脳腫瘍の状況を擬似する。
【0095】
ペンタペプチドの抗脈管形成効果を図9の上図に示し、ここでは毛細管細胞の特異的マーカーすなわちCD31に関して組織切片を染色した。対照ペプチドで処置した腫瘍は複数の血管(このマーカーに関して陽性に染色される)を有したが、活性ペンタペプチドで処置した腫瘍ではかかる血管が極わずかであり(p<0.005)、これは毛細管成長の抑制を示している。図9の最下図はアポプトシス(死)細胞に関する染色を示している。方法は図8に記載した方法に類似している。活性ペンタペプチドで処置した腫瘍は対照ペプチドで処置した腫瘍よりも死細胞が著明に多かった(p<0.02)。神経膠芽細胞腫U87を写真撮影したが、神経髄芽細胞腫DAOYと類似のデータが得られた(データは示していない)。
【0096】
細胞死と腫瘍細胞アポプトシスとの関係
この細胞死の増加は直接的な腫瘍細胞アポプトシスに依るものであり、毛細管成長の抑制の結果ではないことを示すために、マウス脳にαインテグリンαを発現する(M21Lα陽性)または発現しない(M21Lα陰性)のいずれかのマウス脳黒色腫細胞を移植した。α陽性細胞を移植し、活性ペンタペプチドで処置したマウスは対照ペプチドで処置したマウスよりも長く生存し、故に直接的な腫瘍細胞アポプトシスが原因に違いない。
【0097】
表2はRGDfVで処置した、αβ陰性および陽性腫瘍を有するマウスの生存性を示す。腫瘍細胞(10)を6週齢ヌードマウスの前脳に注射し、活性または対照ペプチド(100μg/マウス/日)を用いる処置を3日に開始した。悪液質になったときにマウスを屠殺し、腫瘍の存在を剖検により確認した。
【0098】
【表2】
Figure 0004708568
【0099】
表2に示すように、α陰性黒色腫細胞を移植したマウスは受けた処置に関わらず15日間生存した。対照的にα陽性腫瘍を有するマウスの寿命は対照ペプチドで処置した場合、17日であるのに比較して、活性ペンタペプチドで処置した場合、36日まで増す。これは直接的な腫瘍細胞アポプトシスが腫瘍細胞死に寄与するにちがいないことを示している。
【0100】
結論として、前記で論じたデータは環状ペンタペプチドが直接的な腫瘍細胞死を引き起こすという仮定を支持している。
【0101】
考察
脳腫瘍は高度に脈管形成性であり、持続的に成長するために新生血管形成に依存している。したがって抗脈管形成はこれらの悪性腫瘍に対抗することを目的とする潜在的に重要な治療ストラテジーである。インテグリンαβおよびαβは、内皮におけるその発現が脈管形成中に活性化されるので、抗脈管形成の標的候補である(12、13)。CAMにおいてbFGFおよびTNFαにより誘導される脈管形成をαβ遮断抗体LM609かまたはαβおよびαβのRGD環状ペプチドアンタゴニストのいずれかの存在下で破壊できるということを示す研究により新生血管形成の役割が前記で確認された(21、23)。各々の場合、本質的なαマトリックスタンパク質結合相互作用の阻止の結果、内皮細胞アポプトシスの誘導により抗脈管形成効果を生じると考えられている(28ないし30)。この研究では、αβおよびαβの、同様に特異的なRGD環状ペプチドアンタゴニストを用い(EMD121974)、二つのヒト脳腫瘍セルラインDAOYおよびU87MGにより誘導されるCAM脈管形成を阻止する能力を示した。cRGD処置によりCAM脈管形成が抑制されたのみならず、続いて腫瘍壊死、および腫瘍退行に至った。
【0102】
類似の応答が脳微環境を再現するモデルで達成できるかどうかを調べるために、脳腫瘍細胞をヌードマウス前脳に同所注射した。U87MG神経膠細胞腫およびDAOY神経髄芽細胞腫がCAMアッセイにおいてこのペプチドに応答性であることおよび先に示された(31、32)広範な侵襲性および脈管形成性であることの故に、U87MG神経膠細胞腫およびDAOY神経髄芽細胞腫を選択した。この同所モデルでは、cRGDは再度U87MGおよびDAOY脳腫瘍成長を著明に阻止した。対照マウスは腫瘍の進行に屈し、平均3mmよりも大きな高度に侵襲性の腫瘍を有することが見出された。cRGD処置マウスは明白な病的状態もなく生存し、移植部位に沿ってわずかな残存細胞があるかまたは脳質および硬膜表面に沿って小さなクラスターがある以外は、肉眼観察できる腫瘍は検出されなかった。処置群の残存腫瘍病巣は全て1mmよりも小さく、故に宿主脈管形成応答は獲得しなかった。また別の脈管形成インヒビター、例えばトロンボスポンジン−1、TNP−470および血小板第4因子もまた実験的脳腫瘍成長の阻止を示したが、これらの結果のほとんどが皮下異物移植片に限定されるか、または定位注射による腫瘍床への直接的な薬物分配が必要であった(32ないし34)。SCIDマウス/ラット・レイディグ細胞皮下腫瘍モデルにおいてαβのペプチドアンタゴニストが腹腔内投与後腫瘍成長を80%まで阻止することが示された(35)。アンジオスタチンは依然作用メカニズムが明らかではない抗脈管形成薬であり、これもまた頭蓋内のC6および9Lラット神経膠細胞腫異種移植片の成長をかなり阻止することが示された(36)。我々の研究と対照的に、アンジオスタチン(1mg/マウス/日)またはペプチド擬似アンタゴニスト(2mg/マウス/日)を用いる処置を腫瘍細胞移植の直後に開始した。我々の研究により確立された腫瘍異種移植片がほとんど除去されることが示され、インテグリン拮抗作用により頭蓋内脳腫瘍成長および脈管形成が阻止されることが初めて示された。
【0103】
興味深いことに、我々の研究では皮下で同時に成長したDAOYおよびU87MG腫瘍にはcRGD処置がほとんどまたは全く効果を示さなかった。これは宿主腫瘍細胞インテグリン応答の制御における細胞外環境の重要性を強調するものである。アンジオスタチンはs.c.およびi.c.注射した脳腫瘍細胞の成長を同等に阻止することが見出され、これはこの化合物がRGDペプチドとは異なるメカニズムにより脈管形成を抑制することを示している(36)。cRGD成長阻止におけるその差異に関するある可能な説明によると、皮下組織の内皮細胞はCNS微小血管系の内皮細胞とは本質的に異なり、脈管形成のインテグリン拮抗作用に対する感受性が低くなる。これはαノックアウトマウスでは脳および腸の毛細管細胞のみが異常であるが、循環系は損傷されずにあるという最近の知見により支持される(37)。また別に、内皮細胞インテグリンのリガンドとして提供されるマトリックスタンパク質は同所または異所配置に依存して腫瘍細胞により優先的に発現され得る。例えば皮下に移植されたヒト神経膠芽細胞腫はビトロネクチンを生成しないことが見出されたが、脳内微環境の位置ではビトロネクチン遺伝子の発現を誘導する(15)。正常な脳組織は同様に侵襲性神経膠細胞腫細胞に応答してECMタンパク質の発現を変化させ得る(38)。神経外部位とは異なり、ビトロネクチンは通常脳には存在せず、従ってCNS内でのこのタンパク質濃度の小さな変化が細胞応答性を大きく変化させ得る。実験は内皮細胞の移動がビトロネクチン濃度および細胞の蔓延を可能にする細胞−マトリックスの接点間の距離に依存することを示している(39、40)。
【0104】
われわれの研究における抗腫瘍形成効果は、一般に他の抗脈間形成薬で観察される効果よりも大きかった。多くの腫瘍はまたαβおよびαβインテグリンを発現するので(U87MGおよびDAOYを含む)、インテグリンアンタゴニストの効果は宿主内皮に限定されないが、腫瘍細胞応答における特異的インテグリンの重要性はあまり明らかになっていない(41)。先行の研究では神経膠細胞腫、乳癌、黒色腫およびHT29−D4結腸腺癌細胞のビトロネクチンへの付着はαインテグリンに依存することが示されている(42ないし45)。ビトロネクチンは腫瘍および間質細胞により生成され、悪性脳腫瘍などの腫瘍侵襲部位および新生血管形成部位に最も豊富に存在する(46、47)。このようにビトロネクチンは内皮細胞の生存性を維持するのに加え、αβおよびαβを発現する腫瘍細胞の付着および侵襲を増強するのにも重大である。乳癌に関するSCIDマウス/ヒトキメラモデルでは、抗αβ抗体LM−609の投与後、腫瘍侵襲が著しく低減し、これは脈管形成に依存しない腫瘍に及ぼす直接的なαβ遮断効果を示唆している(48)。
【0105】
この疑問を調べるために、DAOY、U87MGおよび単離された1次ヒト脳内皮細胞(HBEC)(49)を用いて、αアンタゴニストの存在下、ビトロネクチンにおける細胞付着および遊走を試験した。抗αβ抗体LM609はビトロネクチンにおけるU87MG、DAOYおよびHBEC遊走を阻止し、抗αβ抗体P1−F6と組み合わせてこれらの細胞のビトロネクチンへの付着を阻止した。cRGD単独で三つの細胞型全てでビトロネクチンへの付着およびビトロネクチンにおける遊走を著明に阻止した。類似の研究では、黒色細胞腫細胞侵襲はビトロネクチンにより増強され、RGDペプチドにより遮断された(50)。最終的には、cRGD処置によりHBEC細胞においてのみならず、DAOYおよびU87MG腫瘍細胞においても同様にアポプトシスを増加させるに至った。これらの結果はcRGDが、その抗脈管形成機能に加えて、腫瘍侵襲および増殖を直接的に阻止するように作用することを示唆している。
【0106】
我々のデータはさらに環状ペンタペプチドが脳腫瘍細胞のビトロネクチンまたはテネイシンのごとき異なるECM基質への付着を阻止できることを示唆している。かかる付着阻止効果は脳腫瘍細胞および脳毛細管細胞の両方における細胞死(アポプトシス)を招いた。この効果はECMビトロネクチンおよびテネイシンに限定されている。我々は細胞死の増加が直接腫瘍細胞アポプトシスによるものであり、毛細管成長の抑制の結果ではないことをも示している。換言すれば、環状ペンタペプチドが直接腫瘍細胞死を誘導するというのは本発明の知見である。
【0107】
要約すれば、本研究は、αβおよびαβに特異的なインテグリンの標的化拮抗作用は実質的にインビボ脳腫瘍形成を阻止でき、従って脳腫瘍の重要な新規治療アプローチを示し得ることを明確にしている。我々の結果はまた微環境が腫瘍の挙動に、およびかかる生物学的に導かれた治療に対する応答性の決定において重大であることをも示唆している。最終的に、我々はインテグリン拮抗作用が抗脈管形成に依存しない抗腫瘍形成効果を有することができ、これは協働して腫瘍成長を遅延させることができることを示す。
【0108】
前記は発明の範囲を説明するものであって、限定するものではないことを意味する。実際に、当業者は過度に実験することなく本明細書の教示に基づいてさらなる態様を容易に想定および製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 図1aはαアンタゴニストによるCAMにおける脈管形成の阻止を示す。
【図1b】 図1bはαアンタゴニストによるCAMにおける腫瘍成長の阻止を示す。
【図2a】 図2aはDAOYおよびU87MG細胞の脳内注射後の腫瘍の大きさを示す。
【図2b】 図2bはDAOYおよびU87MG細胞の脳内注射後のマウス生存性を示す。
【図3a】 図3aは不活性(A)または活性(BないしD)ペプチドで毎日処置した、同所に注射した脳腫瘍細胞DAOYの組織病理学を示す。
【図3b】 図3bは不活性(A)または活性(BないしD)ペプチドで毎日処置した、同所に注射した脳腫瘍細胞U87MGの組織病理学を示す。
【図4】 図4は活性かまたは不活性のいずれかのペプチドを投与されたマウスの同所脳腫瘍移植後の生存性を示す。
【図5a】 図5aは同所に(脳)および異所(皮下組織)移植したDAOY細胞に及ぼす不活性αアンタゴニストの影響を示す。
【図5b】 図5bは同所に(脳)および異所(皮下組織)移植したDAOY細胞に及ぼす活性αアンタゴニストの影響を示す
【図6a】 図6aは脳腫瘍および脳毛細管内皮細胞に関するインテグリンプロファイルを示す。
【図6b】 図6bは脳腫瘍および脳毛細管内皮細胞に関するビトロネクチンへの付着に及ぼすαアンタゴニストの効果を示す。
【図6c】 図6cは脳腫瘍および脳毛細管内皮細胞に関するビトロネクチンによる遊走に及ぼすαアンタゴニストの効果を示す。
【図6d】 図6dは脳腫瘍および脳毛細管内皮細胞に関するビトロネクチンによる細胞生存性に及ぼすαアンタゴニストの効果を示す。
【図7】 図7はECMタンパク質に付着する腫瘍細胞に及ぼす環状ペンタペプチドの影響を示す。
【図8】 図8は脳腫瘍細胞および脳毛細管細胞の両方における細胞死(アポプトシス)に至る付着の阻止効果を示す。
【図9】 図9は前脳にU87脳腫瘍異物移植し、活性(抗α)または対照ペプチドを投与したヌードマウスの免疫組織化学を示す。

Claims (4)

  1. シクロ(Arg−Gly−Asp−D−Phe−[N−Me]−Val)であるα インテグリンアンタゴニストを有効成分とする脳内腫瘍成長阻止用医薬組成物
  2. シクロ(Arg−Gly−Asp−D−Phe−[N−Me]−Val)であるα インテグリンアンタゴニストを有効成分とする脳内腫瘍細胞における細胞外マトリックス(ECM)依存性細胞付着阻止用医薬組成物
  3. シクロ(Arg−Gly−Asp−D−Phe−[N−Me]−Val)であるα β に対するアンタゴニストを有効成分とする脳内腫瘍細胞におけるビトロネクチン依存性細胞遊走阻止用医薬組成物
  4. シクロ(Arg−Gly−Asp−D−Phe−[N−Me]−Val)であるα インテグリンアンタゴニストを有効成分とする脳内腫瘍細胞におけるアポトーシス誘導用医薬組成物
JP2000595706A 1999-02-01 2000-01-26 選択されたインテグリンアンタゴニストを使用して脳腫瘍成長を阻止する方法 Expired - Fee Related JP4708568B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11812699P 1999-02-01 1999-02-01
US60/118,126 1999-02-01
US09/489,391 US6521593B1 (en) 1999-02-01 2000-01-21 Methods for inhibiting brain tumor growth
US09/489,391 2000-01-21
PCT/US2000/001949 WO2000044404A2 (en) 1999-02-01 2000-01-26 Methods for inhibiting brain tumor growth by using selected integrin antagonists

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002535375A JP2002535375A (ja) 2002-10-22
JP2002535375A5 JP2002535375A5 (ja) 2007-03-15
JP4708568B2 true JP4708568B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=26815994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000595706A Expired - Fee Related JP4708568B2 (ja) 1999-02-01 2000-01-26 選択されたインテグリンアンタゴニストを使用して脳腫瘍成長を阻止する方法

Country Status (21)

Country Link
US (2) US6521593B1 (ja)
EP (1) EP1150714B1 (ja)
JP (1) JP4708568B2 (ja)
KR (1) KR100704139B1 (ja)
CN (2) CN1332713C (ja)
AT (1) ATE395934T1 (ja)
AU (2) AU775064B2 (ja)
BR (1) BR0007875A (ja)
CA (1) CA2360146C (ja)
CZ (1) CZ301480B6 (ja)
DE (1) DE60038951D1 (ja)
DK (1) DK1150714T3 (ja)
ES (1) ES2304942T3 (ja)
HU (1) HU230025B1 (ja)
MX (1) MXPA01007765A (ja)
NO (1) NO329695B1 (ja)
PL (1) PL202082B1 (ja)
PT (1) PT1150714E (ja)
RU (1) RU2377017C2 (ja)
SK (1) SK287326B6 (ja)
WO (1) WO2000044404A2 (ja)

Families Citing this family (41)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PT1149111E (pt) * 1999-01-06 2009-11-19 Univ Southern California Processo e composição para a inibição da angiogénese
US7288390B2 (en) * 2000-08-07 2007-10-30 Centocor, Inc. Anti-dual integrin antibodies, compositions, methods and uses
US7163681B2 (en) 2000-08-07 2007-01-16 Centocor, Inc. Anti-integrin antibodies, compositions, methods and uses
JP4351043B2 (ja) * 2001-07-09 2009-10-28 エラン ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド アミロイド毒性の阻害方法
US7829087B2 (en) 2001-07-09 2010-11-09 Elan Pharmaceuticals, Inc. Methods of treating cognitive impairment
US7138370B2 (en) * 2001-10-11 2006-11-21 Amgen Inc. Specific binding agents of human angiopoietin-2
US7365167B2 (en) * 2001-11-26 2008-04-29 Cell Matrix, Inc. Humanized collagen antibodies and related methods
US7390885B2 (en) * 2001-11-26 2008-06-24 Cell Matrix, Inc. Humanized collagen antibodies and related methods
WO2005044978A2 (en) * 2003-07-15 2005-05-19 Washington University Methods of treating, preventing and inhibiting cancer metastasis and tumor formation
US8071134B2 (en) * 2003-09-15 2011-12-06 Ordway Research Institute, Inc. Thyroid hormone analogs and methods of use
US8668926B1 (en) 2003-09-15 2014-03-11 Shaker A. Mousa Nanoparticle and polymer formulations for thyroid hormone analogs, antagonists, and formulations thereof
US9198887B2 (en) 2003-09-15 2015-12-01 Nanopharmaceuticals Llc Thyroid hormone analogs and methods of use
EP2335694B1 (en) 2003-09-15 2018-06-13 NanoPharmaceuticals LLC Thyroid hormone analogs and methods of use
ITRM20040105A1 (it) * 2004-02-27 2004-05-27 Tecnogen Scpa Anticorpo monoclonale antitenascina umana.
US9498536B2 (en) 2005-09-15 2016-11-22 Nanopharmaceuticals Llc Method and composition of thyroid hormone analogues and nanoformulations thereof for treating anti-inflammatory disorders
US20090022806A1 (en) * 2006-12-22 2009-01-22 Mousa Shaker A Nanoparticle and polymer formulations for thyroid hormone analogs, antagonists and formulations and uses thereof
US9220788B2 (en) 2009-06-17 2015-12-29 Nanopharmaceuticals Llc Nanoparticle and polymer formulations for thyroid hormone analogs, antagonists, and formulations and uses thereof
US10130686B2 (en) 2005-09-15 2018-11-20 Nanopharmaceuticals Llc Method and composition of thyroid hormone analogues and nanoformulations thereof for treating inflammatory disorders
US20100209382A1 (en) 2005-09-16 2010-08-19 Ordway Research Institute, Inc. Polyphenol Conjugates as RGD-Binding Compounds and Methods of Use
WO2007039255A1 (en) * 2005-09-30 2007-04-12 Universiteit Maastricht Tumor angiogenesis associated genes and a method for their identification
AU2007258262A1 (en) * 2006-06-14 2007-12-21 Cell-Matrix, Inc. Denatured collagen peptides and uses thereof
BRPI0715141A2 (pt) 2006-08-03 2013-06-04 Astrazeneca Ab agente de ligaÇço alvejante, anticorpo isolado, fragmento de anticorpo isolado, molÉcula de Ácido nucleico, vetor, cÉlula hospedeira, mÉtodos para produzir um agente de ligaÇço alvejado, para produzir um anticorpo, para produzir um fragmento de anticorpo, para tratar um tumor maligno em um animal, para tratar inflamaÇço, e para inibir a interaÇço de alfabeta6 com seu ligando, e, conjugado
CA2673133C (en) * 2006-12-22 2016-08-30 Clf Medical Technology Acceleration Program, Inc. Nanoparticle and polymer formulations for thyroid hormone analogs, antagonists, and formulations and uses thereof
CA2697070A1 (en) * 2007-08-24 2009-03-05 University Health Network Methods of inhibiting tumor growth using beta 5 integrin antagonists
MX2011006675A (es) 2008-12-23 2011-07-12 Merck Patent Gmbh Biomarcadores para inhibidores con actividad anti-angiogenica.
WO2010075332A1 (en) * 2008-12-23 2010-07-01 Charitable Leadership Foundation Small molecule ligands of the integrin rgd recognition site and methods of use
US9180107B2 (en) * 2009-03-31 2015-11-10 Nanopharmaceuticals Llc Combination treatment of cancer with cetuximab and tetrac
CN101659694B (zh) * 2009-05-06 2012-12-12 河北科技大学 抗肿瘤环五肽化合物及其制备方法
CA2810746A1 (en) 2010-06-30 2012-01-05 Galderma Research & Development Method for preventing or treating skin tumor
US8802240B2 (en) 2011-01-06 2014-08-12 Nanopharmaceuticals Llc Uses of formulations of thyroid hormone analogs and nanoparticulate forms thereof to increase chemosensitivity and radiosensitivity in tumor or cancer cells
CN102145161A (zh) * 2011-04-07 2011-08-10 中国药科大学 整合素阻断剂在制备治疗肿瘤药物中的应用
JP6426001B2 (ja) 2011-11-17 2018-11-21 グリア エスピー ゼット.オー.オー. 神経膠腫を治療するための組成物および方法
CN102417540A (zh) * 2011-11-21 2012-04-18 中国药科大学 一种聚乙二醇修饰的整合素阻断剂hm-3及其应用
US20170000905A1 (en) * 2015-06-30 2017-01-05 Mousera, Inc Device and method of personalized medicine
CA3026504A1 (en) 2016-06-07 2017-12-14 Nanopharmaceuticals, Llc Non-cleavable polymer conjugated with .alpha..nu..beta.3 integrin thyroid antagonists
US11351137B2 (en) 2018-04-11 2022-06-07 Nanopharmaceuticals Llc Composition and method for dual targeting in treatment of neuroendocrine tumors
US10328043B1 (en) 2018-04-11 2019-06-25 Nanopharmaceuticals, Llc. Composition and method for dual targeting in treatment of neuroendocrine tumors
WO2020030954A1 (en) 2018-08-09 2020-02-13 Integrative Medicine Clinic, Sia Theranostics-like protein sanps conjugated to integrin and pmsa targeting peptides and therapy of prostate cancer
RU2709215C1 (ru) * 2019-09-12 2019-12-17 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки "Федеральный исследовательский центр "Институт катализа им. Г.К. Борескова Сибирского отделения Российской академии наук" (ИК СО РАН) Способ подавления роста опухолей глиального происхождения
US10961204B1 (en) 2020-04-29 2021-03-30 Nanopharmaceuticals Llc Composition of scalable thyrointegrin antagonists with improved blood brain barrier penetration and retention into brain tumors
US11723888B2 (en) 2021-12-09 2023-08-15 Nanopharmaceuticals Llc Polymer conjugated thyrointegrin antagonists

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997045447A1 (en) * 1996-05-31 1997-12-04 The Scripps Research Institute METHODS AND COMPOSITIONS USEFUL FOR INHIBITION OF αvβ5 MEDIATED ANGIOGENESIS

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5753230A (en) * 1994-03-18 1998-05-19 The Scripps Research Institute Methods and compositions useful for inhibition of angiogenesis
ES2202336T3 (es) * 1994-12-20 2004-04-01 Merck Patent Gmbh Anticuerpo monoclonal contra la integrina alfa-v.
DE19534177A1 (de) * 1995-09-15 1997-03-20 Merck Patent Gmbh Cyclische Adhäsionsinhibitoren
DE19613933A1 (de) * 1996-04-06 1997-10-09 Merck Patent Gmbh Cyclische Adhäsionsinhibitoren
US6590079B2 (en) * 1997-01-30 2003-07-08 Ixsys, Incorporated Anti-αvβ3 recombinant human antibodies, nucleic acids encoding same
US6160099A (en) * 1998-11-24 2000-12-12 Jonak; Zdenka Ludmila Anti-human αv β3 and αv β5 antibodies
CZ20002269A3 (cs) * 1998-12-14 2001-01-17 Merck & Co., Inc. Látky antagonizující receptor íntegrinu

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997045447A1 (en) * 1996-05-31 1997-12-04 The Scripps Research Institute METHODS AND COMPOSITIONS USEFUL FOR INHIBITION OF αvβ5 MEDIATED ANGIOGENESIS
WO1997045137A1 (en) * 1996-05-31 1997-12-04 The Scripps Research Institute Methods and compositions useful for inhibition of angiogenesis

Also Published As

Publication number Publication date
NO20013750D0 (no) 2001-07-31
KR100704139B1 (ko) 2007-04-09
PL359602A1 (en) 2004-08-23
DK1150714T3 (da) 2008-08-18
NO20013750L (no) 2001-09-28
HUP0105155A2 (hu) 2002-04-29
AU2004220756A1 (en) 2004-11-11
SK287326B6 (sk) 2010-07-07
EP1150714A2 (en) 2001-11-07
CZ20012793A3 (cs) 2002-03-13
ATE395934T1 (de) 2008-06-15
AU2737900A (en) 2000-08-18
AU775064B2 (en) 2004-07-15
DE60038951D1 (de) 2008-07-03
CN1660426A (zh) 2005-08-31
AU2004220756B2 (en) 2007-05-10
CA2360146A1 (en) 2000-08-03
ES2304942T3 (es) 2008-11-01
HU230025B1 (hu) 2015-05-28
HUP0105155A3 (en) 2004-08-30
US6521593B1 (en) 2003-02-18
US20030157098A1 (en) 2003-08-21
CA2360146C (en) 2013-05-21
JP2002535375A (ja) 2002-10-22
CN1191858C (zh) 2005-03-09
CN1355711A (zh) 2002-06-26
SK10622001A3 (sk) 2002-04-04
MXPA01007765A (es) 2003-06-04
CN1332713C (zh) 2007-08-22
WO2000044404A2 (en) 2000-08-03
KR20020001726A (ko) 2002-01-09
PT1150714E (pt) 2008-07-30
WO2000044404A3 (en) 2000-11-30
CZ301480B6 (cs) 2010-03-17
RU2005107614A (ru) 2006-08-27
NO329695B1 (no) 2010-12-06
RU2377017C2 (ru) 2009-12-27
BR0007875A (pt) 2002-02-13
EP1150714B1 (en) 2008-05-21
PL202082B1 (pl) 2009-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4708568B2 (ja) 選択されたインテグリンアンタゴニストを使用して脳腫瘍成長を阻止する方法
US7056506B2 (en) Methods for detecting and inhibiting angiogenesis
JP4312822B2 (ja) 血管新生を検出および阻害する方法
AU2022279445A1 (en) Compositions and methods for targeting connexin hemichannels
RU2255765C2 (ru) Способ ингибирования роста опухолей головного мозга с помощью отобранных антагонистов интегринов
Chen et al. N-cadherin expression in a rat model of retinal detachment and reattachment
ZA200106069B (en) Methods for inhibiting brain tumor growth by using selected integrin antagonists.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070122

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100223

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100517

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100524

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100622

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110317

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees