JP4707733B2 - 液封入式防振装置 - Google Patents

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本発明は、液封入式防振装置に関し、特に、小型軽量化を図りつつ、大振幅の振動入力時における剥離音の発生を抑制することができる液封入式防振装置に関するものである。
自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームへ伝達させないようにする防振装置として、液封入式防振装置が知られている。
液封入式防振装置は、例えば、エンジン側に取り付けられる第1取付け具と、車体フレーム側に取り付けられる第2取付け具とがゴム状弾性体から構成される防振基体で連結されると共に、第2取付け具に取付けられたダイヤフラムと防振基体との間に液封入室が形成される。そして、この液封入室は、仕切り体によって第1液室および第2液室に仕切られると共に、これら第1液室および第2液室は、オリフィスによって互いに連通されている。
この液封入式防振装置によれば、オリフィスによる第1液室および第2液室間の流体流動効果や防振基体の制振効果により、振動減衰機能と振動絶縁機能とを果すことができる。
このような液封入式防振装置としては、更に、メンブレンを第1液室および第2液室の間に配置し、このメンブレンの両側に格子状の変位規制部材(挟持部材)を設けたものがある。この液封入式防振装置によれば、比較的小振幅の振動入力時には、メンブレンが往復動変位して、両液室間の液圧変動(液圧差)を吸収することで、低動ばね特性を得ることができる一方、比較的大振幅の振動入力時には、メンブレンの変位を変位規制部材により規制して、膜剛性を高めることで、オリフィスを介して流動する液体を増加させ、減衰特性の向上を図ることができる(特許文献1)。
特開2006−112588号(図1など)
しかしながら、上述した従来の液封入式防振装置では、大振幅の振動が入力されると、挟持部材の裏面にダイヤフラムが張り付き、その張り付いたダイヤフラムが剥がれる際に剥離音が発生するという問題点があった。
即ち、大振幅の振動がリバウンド方向へ入力されると、第2液室の液体が第1液室へ流動され、その液体の流動に伴って吸い上げられたダイヤフラムが挟持部材の裏面に張り付く。次いで、振動の入力方向がバウンド方向に切り替わると、第1液室の液体が第2液室へ流動され、その液体の流動に伴って押し戻されたダイヤフラムが挟持部材の裏面から離れようとする。ダイヤフラムは、挟持部材の裏面に薄い液体の層を介して密着しているので、この状態からダイヤフラムが全体的に一気に引き剥がされることで、剥離音が発生する。
なお、仕切り体(挟持部材)からダイヤフラムを十分に離間させ、両者の間隔を確保することで、大振幅の振動入力時にダイヤフラムが挟持部材の裏面へ張り付くこと(即ち、剥離音の発生)を回避することができる。しかしながら、この場合には、両者を離間させた分、液封入式防振装置の大型化および重量の増加を招くという問題点があった。特に、仕切り体とダイヤフラムとの間の間隔を拡大することは、第2液室の容積(即ち、液体)の増加を伴うため、重量増加が顕著となる。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、小型軽量化を図りつつ、大振幅の振動入力時における剥離音の発生を抑制することができる液封入式防振装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の液封入式防振装置は、第1取付け具と、第2取付け具と、前記第2取付け具と前記第1取付け具とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室とに仕切る仕切り手段と、前記第1液室と第2液室とを連通させるオリフィスとを備え、前記仕切り手段が、ゴム状弾性体から構成されるメンブレンと、前記メンブレンを内周側に収容する筒状の筒部材と、前記筒部材内に収容された前記メンブレンの変位を両面側から規制する一対の挟持部材とを備えて構成されるものであって、前記一対の挟持部材はともに、円形に開口形成される開口部と、前記開口部の中心部に位置する中央部材と、前記中央部材から前記開口部の周縁部へ向けて放射直線状に延設され前記中央部材と前記開口部の周縁部とを連結する複数本の変位規制リブとを備え、前記メンブレンは、前記筒部材の内径よりも外径が小さくされると共に前記開口部の内径よりも外径が大きくされ、かつ、前記一対の挟持部材の対向間隔よりも厚みが小さい円板状に構成され、前記一対の挟持部材の内の前記第2液室側に位置する挟持部材は、前記中央部材に貫通形成される貫通孔を備え、前記貫通孔は、前記ダイヤフラム側の開口が最大内径となり、前記メンブレン側の開口が最少内径となるテーパ穴として構成され、前記貫通孔の最大内径が、前記変位規制リブのリブ幅の50%以下の大きさであると共に前記貫通孔の最少内径が、前記変位規制リブのリブ幅の20%以上であり、前記ダイヤフラムは、前記挟持部材に対向する側の面における中心部が前記ダイヤフラムの表面から最も突出した部分球状を有し軸心周りに対称なゴム膜状に構成されると共に、加硫金型により加硫成型される際に注入口に連結される注入跡部が、前記挟持部材に対向する側の面における中心部に配設され、前記挟持部材の貫通孔は、前記ダイヤフラムの注入跡部の外径よりも大きな径の内径を有すると共に、前記ダイヤフラムの軸心方向視において、ダイヤフラムの注入跡部を含む位置に配設されている。
請求項2記載の液封入式防振装置は、請求項1記載の液封入式防振装置において、前記メンブレンは、前記メンブレンの厚み寸法が、周縁部から中央部へ向かうに従って大きくなるように構成され、前記第2液室側に位置する挟持部材と前記メンブレンとの間の対向間隔が前記メンブレンの中央部に向かうほど狭くなるように構成されている。
請求項1記載の液封入式防振装置によれば、メンブレンの外径を筒部材の内径よりも小さくし、かつ、メンブレンの厚みを一対の挟持部材の対向間隔よりも小さくする構成であるので、メンブレンと挟持部材及び筒部材との間に隙間を形成することができる。これにより、比較的小振幅の振動入力時には、液体を、上述した隙間を介して、第1液室と第2液室との間で流動させると共に、メンブレンを、上述した隙間を可動スペースとして、往復動変位させることができるので、第1液室および第2液室の間の液圧差を緩和(吸収)して、低動ばね特性を得ることができる。
一方、本発明によれば、メンブレンの外径を挟持部材の開口部の内径よりも大きくする構成であるので、比較的大振幅の振動入力時には、メンブレンを挟持部材に密着させ、その挟持部材の開口部を閉塞することができる。これにより、開口部(上述した隙間)を介しての液体の流動経路を遮断し、オリフィスを介した経路での液体の流動を増加させることができるので、高減衰特性を得ることができる。
特に、本発明によれば、挟持部材の開口部には、変位規制リブが放射直線状に延設されるのみであるから、その開口部の開口面積を十分に広くして、第1液室及び第2液室の間の液圧差を上述した隙間およびメンブレンへ効率的に伝達することができる。その結果、両液室間の液圧差を効率的に緩和して、低動ばね特性をより確実に得ることができる。
ここで、本発明によれば、一対の挟持部材の内の第2液室側に位置する挟持部材が、中央部材に貫通形成される貫通孔を備える構成であるので、液封入式防振装置全体としての小型軽量化を図りつつ、大振幅の振動入力時における剥離音の発生を抑制することができるという効果がある。
即ち、本発明によれば、大振幅の振動がリバウンド方向へ入力され、第2液室の液体が第1液室へ流動されると、その液体の流動に伴ってメンブレン及びダイヤフラムが吸い上げられ、メンブレンが第1液室側に位置する挟持部材の裏面に張り付くと共に、ダイヤフラムが第2液室側に位置する挟持部材の裏面に張り付く。
次いで、振動の入力方向がバウンド方向に切り替わり、第1液室の液体が第2液室へ流動されると、その液体の流動に伴ってメンブレン及びダイヤフラムが押し戻され、メンブレンが第1液室側に位置する挟持部材の裏面から第2液室側に位置する挟持部材の表面へ向けて移動すると共に、ダイヤフラムが第2液室側に位置する挟持部材の裏面から離れようとする。
この場合、上述したように、第2液室側に位置する挟持部材の中央部材には、貫通孔が貫通形成され、かかる貫通孔の第2液室側の開口は、ダイヤフラムにより閉塞されている。よって、液体の流動に伴って、メンブレンが、第2液室側に位置する挟持部材の表面へ向けて移動すると、そのメンブレンの移動によって、液体を貫通孔内へ押し入れて、かかる貫通孔内の液圧を上昇させると共に、メンブレンが挟持部材の表面に当接する(張り付く)と、第1液室から開口部を介してメンブレンに作用する液圧によって、そのメンブレンを貫通孔側へ変形させ、貫通孔内の液圧を更に上昇させることができる。
その結果、貫通孔内の液圧の上昇に伴って、かかる液圧をダイヤフラムに作用させ、かかるダイヤフラムを第2液室側に位置する挟持部材の裏面から徐々に引き剥がすことができる。挟持部材の裏面から引き剥がされる部位は、貫通孔に対応する部位からその周辺部へ徐々に拡がるため、従来品のように、ダイヤフラムが全体的に一気に引き剥がされることを抑制することができ、剥離音の発生を抑制することができる。
また、このように、貫通孔を設けることで、剥離音の発生を抑制することができるので、大振幅の振動入力時に挟持部材の裏面にダイヤフラムが張り付くことを回避する必要がない。よって、挟持部材の裏面とダイヤフラムとの間の間隔を狭くすることができるので、その分、液封入式防振装置全体としての小型軽量化を図ることができるという効果がある。特に、挟持部材(仕切り体)とダイヤフラムとの間の間隔を狭くすることができれば、第2液室の容積(即ち、液体)を減少させることができるので、軽量化を効果的に達成することができる。
即ち、注入跡部は、加硫金型からダイヤフラムを脱型した後、注入口に対応する部位を切除することが形成される部位であり、ダイヤフラムの表面から突出した状態に形成されている。そのため、ダイヤフラムが挟持部材の裏面に張り付く場合に、この注入跡部が挟持部材の裏面に当接すると、注入跡部の突出高さ分だけ、挟持部材の裏面とダイヤフラムの表面との間に隙間が形成され、その隙間の周囲が挟持部材の裏面に張り付く(密着する)こととなる。
挟持部材の裏面に張り付いた領域の一部に隙間(空間)が形成されると、そのダイヤフラムが挟持部材の裏面から引き剥がされる際には、上述した隙間(空間)内の液体が負圧となり易く、剥離音が大きくなる。これに対し、本発明によれば、注入跡部を貫通孔内に逃がすことができるので、挟持部材の裏面に張り付いた領域内に上述した隙間(空間)が形成されることを回避して、剥離音の発生を抑制することができる。
ここで、挟持部材に貫通孔が設けられていない従来品では、注入跡部が挟持部材の裏面に当接することを回避して、剥離音を抑制するべく、その配設位置をダイヤフラムの周縁部に設定する必要がある。そのため、加硫金型内でのゴム材料の流動不良が発生し易く、歩留まりが低下するという問題点があった。
これに対し、本発明によれば、上述したように、貫通孔を利用して注入跡部を逃がす構成としたので、かかる注入跡部の配設位置をダイヤフラムの中心部とすることができる。その結果、加硫金型内でゴム材料を均一に流動させ、流動不良を抑制することができるので、歩留まりの向上を図ることができるという効果がある。
請求項2記載の液封入式防振装置によれば、請求項1記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、メンブレンの厚み寸法を周縁部から中央部へ向かうに従って大きくなるように構成し、第2液室側に位置する挟持部材とメンブレンとの間の対向間隔が、メンブレンの中央部に向かうほど狭くなるように構成したので、上述したように、振動の入力方向が切り替わり、メンブレンが第2液室側の挟持部材の表面へ向けて移動する際には、その移動に伴う液圧の上昇を、対向間隔が狭い中央部(貫通孔)に先に作用させることできるという効果がある。その結果、ダイヤフラムを中央部から徐々に引き剥がすことができるので、剥離音の発生をより確実に抑制することができる。
即ち、メンブレンの厚み寸法が一定で、第2液室側に位置する挟持部材とメンブレンとの間の対向間隔が一定であると、メンブレンが第2液室側の挟持部材の表面へ向けて移動した際に、その移動に伴う液圧の上昇がダイヤフラムの外周側に作用して、かかるダイヤフラムが外周側から剥がれようとするため、挟持部材の裏面(特に、中央部材)に張り付いている部位の全面を一気に剥がす形態となり、剥離音が発生する。これに対し、本発明によれば、貫通孔内の液圧を先に上昇させて、ダイヤフラムを貫通孔に対応する部位から徐々に引き剥がすことができるので、剥離音の発生を抑制することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の1実施の形態における液封入式防振装置100の断面図である。
この液封入式防振装置100は、自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームへ伝達させないようにするための防振装置であり、図1に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け金具1と、エンジン下方の車体フレーム側に取付けられる筒状の第2取付け金具2と、これらを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体3とを備えている。
第1取付け金具1は、アルミニウム合金などの金属材料から略円柱状に形成され、図1に示すように、その上端面には、めねじ部1aが凹設されている。また、第1取付け部1の外周部には、径方向外方へ略フランジ状に張り出す張出部が形成されており、この張出部がスタビライザー金具と当接することで、大変位時のストッパ作用が得られるように構成されている。
第2取付け金具2は、防振基体3が加硫成形される筒状金具4と、その筒状金具4の下方に取着される底金具5とを備えて構成されている。筒状金具4は上広がりの開口を有する筒状に、底金具5は傾斜した底部を有するカップ状に、それぞれ鉄鋼材料などから形成されている。なお、底金具5の底部には、取付けボルト6が突設されている。
防振基体3は、ゴム状弾性体から円錐台形状に形成され、第1取付け金具1の下面側と筒状金具4の上端開口部との間に加硫接着されている。また、防振基体3の下端部には、筒状金具4の内周面を覆うゴム膜7が連なっており、このゴム膜7には、後述するオリフィス筒部材16のオリフィス形成壁22,23(図3及び図4参照)が密着され、オリフィス25が形成される。
ダイヤフラム9は、ゴム状弾性体から部分球状を有するゴム膜状に形成され上面視ドーナツ状の取付け板10に加硫接着されている。このダイヤフラム9は、図1に示すように、取付け板10が筒状金具4と底金具5との間でかしめ固定されることで、第2取付け金具2に取着されている。その結果、このダイヤフラム9の上面(表面)と防振基体3の下面(裏面)との間には、液体封入室8が形成されている。
ここで、ダイヤフラム9は、軸心周りに対称な形状に構成されると共に、加硫金型により加硫成型される際に注入口に連結される注入跡部が、後述する第1挟持部材17に対向する側の面(図1上側面)における中心部(貫通孔17b1に対応する位置)に配設されている。
この液体封入室8には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入される。また、液体封入室8は、後述する仕切り体12によって、防振基体3側の第1液室11Aと、ダイヤフラム9側の第2液室11Bとの2室に仕切られている。
仕切り体12は、ゴム膜から略円板状に構成されるメンブレン15と、このメンブレン15を内周面側に収容すると共に第1挟持部材17が一体に形成されるオリフィス筒部材16と、このオリフィス筒部材16の上面側(図1上側)に積層配置される円板状の第2挟持部材18とを備えて構成されている。
なお、仕切り体12は、ダイヤフラム9の外周部と防振基体3の段部57とをそれぞれ軸芯方向(図1上下方向)に圧縮変形させた状態で第2取付け金具2(筒状金具4)内に挿入され、それらダイヤフラム9(外周部)及び防振基体3(段部57)の弾性復元力により液体封入室8内で挟圧保持されている。
また、オリフィス筒部材16の外周面と第2取付け金具2の内周面を覆うゴム膜7との間には、図1に示すように、オリフィス25が形成されている。このオリフィス25は、第1液室11Aと第2液室11Bとを連通させ、これら両液室11A,11B間で液体を流動させるためのオリフィス流路であり、オリフィス筒部材16の軸芯O周りに略1周して形成されている。
なお、第1挟持部材17及び第2挟持部材18には、後述するように、開口部17a,18aが開口形成されている。また、メンブレン15は、第1挟持部材17及び第2挟持部材18の対向面との間に隙間を有している。よって、液封入室8内の液体は、オリフィス25を介して第1液室11Aと第2液室11Bとの間で流通すると共に、後述する開口部17a,18aを介して第1液室11Aと第2液室11Bとの間でも流通する。
次いで、図2及び図3を参照して、仕切り体12を構成するオリフィス筒部材16について説明する。図2はオリフィス筒部材16の上面図であり、図3は、図2(a)のIII−III線におけるオリフィス筒部材16の断面図である。なお、図2及び図3では、かしめ加工を施す前の突設ピン31が図示されている。
オリフィス筒部材16は、図2及び図3に示すように、アルミニウム合金などの金属材料から軸芯Oを有する略円筒状に形成されている。オリフィス筒部材16の軸方向上下端には、略フランジ状のオリフィス形成壁22,23が径方向外方へ張り出して形成されており、それら各オリフィス形成壁22,23の対向面間にオリフィス流路が形成される。
なお、上述したように、各オリフィス形成壁22,23は、筒状金具4の内周を覆うゴム膜7に密着することで、断面略矩形状のオリフィス25を形成する(図1参照)。また、オリフィス筒部材16は、図3に示すように、上下のオリフィス形成壁22,23を接続する縦壁24を備えており、オリフィス25(図1参照)は、この縦壁24によって周方向に分断される(図8参照)。
図2に示すように、上側のオリフィス形成壁22には、切欠き55が開口形成されており、この開口を介して、オリフィス流路(オリフィス25、図1参照)の一端が第1液室11A(図1参照)に連通される。同様に、下側のオリフィス形成壁23には、切欠き56が開口形成されている(図6参照)。この切欠き56は、オリフィス筒部材16の胴部まで延設されており、この開口を介して、オリフィス流路(オリフィス25、図1参照)の他端が第2液室11B(図1参照)に連通される。
オリフィス筒部材16は、図2及び3に示すように、その上面(図1上側面)から突設される複数(本実施の形態では5本)の突設ピン31を備えている。この突設ピン31は、オリフィス筒部材16(第1挟持部材17)に対する第2挟持部材18の周方向位置を位置決めすると共に、これら両部材16,18を一体化するための部位であり、第2挟持部材18の挿通孔32に挿通された後、かしめ加工が施される(軸方向に圧縮される)ことで、挿通孔32に嵌合される(図9参照)。
なお、各突設ピン31は、軸心O方向(図3上下方向)と平行に立設される断面円形の円柱状に構成され、それぞれが同じ形状(突設高さ、外径)に構成されている。また、各突設ピン31の配設位置は、図2に示すように、軸心Oからの離間距離がそれぞれ同じとされる一方、隣接する各突設ピン31同士の周方向間隔が不等間隔(軸心Oに対する中心角がそれぞれ異なる角度)とされている。
オリフィス筒部材16の内周面側には、図2及び図3に示すように、略円板状の第1挟持部材17が一体に形成されている。なお、第1挟持部材17は、表面及び裏面(図3上側面及び下側面)が平行な一定の板厚を有する板状に構成されると共に、オリフィス筒部材16の軸心Oに対して垂直に配設されている。
図2及び図3に示すように、第1挟持部材17は、略円形に開口形成される開口部17aと、その開口部17aの中心部に位置する中央部材17bと、その中央部材17bから開口部17aの周縁部へ向けて放射直線状に延設され中央部材17bと開口部17aの周縁部とを連結する複数本(本実施の形態では4本)の変位規制リブ17cとを備える。
開口部17aは、液封入室8(第1液室11A)内の液圧変動をメンブレン15へ伝達するための開口であり(図1参照)、変位規制リブ17cによって、円を4等分に区画した形状(即ち、中心角90度の扇形)の開口として構成されている。
変位規制リブ17cは、メンブレン15を拘束(往復動変位を規制)するための部位であり、図2及び図3に示すように、オリフィス筒部材16の軸芯Oから4本が放射直線状に延設されている。なお、各変位規制リブ17cは、そのリブ幅およびリブ厚みが他の変位規制リブ17cと同一に形成される。また、各変位規制リブ17cは、周方向略等間隔(略90°間隔)に配置され、各変位規制リブ17c同士の交差角が90°とされている。
各変位規制リブ17cの交差部(開口部17aの中心部)には、図2及び図3に示すように、中央部材17bが形成されている。この中央部材17bは、メンブレン15を拘束(往復動変位を規制)するための部位であり、その板厚方向に貫通形成される貫通孔17b1を備える。
貫通孔17b1は、第1挟持部材17の裏面(図3下側面)に張り付いたダイヤフラムが剥がれる際の剥離音を抑制するための貫通孔であり、図2及び図3に示すように、オリフィス筒部材16の軸心O周りに対称な断面円形の孔として形成されている。
なお、貫通孔17b1は、図3に示すように、第1挟持部材17の裏面(図3下側面)から表面(図3上側面)へ向かうに従って内径が漸次小さくなる(即ち、ダイヤフラム9側の開口が最大内径となり、メンブレン15側の開口が最少内径となる、図1参照)テーパ穴として構成されている。
ここで、貫通孔17b1は、最大内径(第1挟持部材17の裏面側の開口における内径)が、変位規制リブ17cのリブ幅の50%以下の大きさであることが好ましい。中央部材17bは、各変位規制リブ17cの交差部として構成され、メンブレン15の往復動変位を規制する際に大きな荷重が作用する部位であるのに対し、貫通孔17b1の貫通形成により中央部材17bの強度が低下するところ、上述のように、貫通孔17b1の最大内径を所定範囲に設定することで、中央部材17bの強度を確保して、耐久性の向上を図ることができる。
一方、貫通孔17b1の最少内径(第1挟持部材17の表面側の開口における内径)が、変位規制リブ17cのリブ幅の20%以上であることが好ましい。後述するように、貫通孔17b1は、メンブレン15の移動により、液体が押し入れられる(即ち、貫通孔17b1内の圧力を上昇させる)ことで、第1挟持部材17(中央部材17b)の裏面側に張り付いたダイヤフラム9を引き剥がす構成であるところ、上述のように、貫通孔17b1の最少内径を所定範囲に設定することで、メンブレン15が移動された際に液体を貫通孔17b1内へ十分に押し入れる(即ち、貫通孔17b1内の圧力を十分に上昇させる)ことができ、かかる貫通孔17b1を起点として、ダイヤフラム9を第1挟持部材17の裏面から引き剥がすことができる。
また、このように、貫通孔17b1の最大内径を第1挟持部材17の裏面側(ダイヤフラム9が張り付く側)に配設すると共に、貫通孔17b1の最少内径を第1挟持部材17の表面側(メンブレン15が当接する側)に配設することで、中央部材17bの強度を確保して、耐久性の向上を図りつつ、ダイヤフラム9を第1挟持部材17の裏面側から徐々に引き剥がし易くして、その剥離音の発生を抑制することができる。
即ち、貫通孔17b1がストレート孔であると、貫通孔17b1内に押し入れられた液体(圧力上昇)によりダイヤフラム9の1点(貫通孔17b1に臨む部位)を下方(図3下方)へ押し下げるだけとなり易く、ダイヤフラム9を徐々に引き剥がすことが困難である。これに対し、貫通孔17b1を、ダイヤフラム9側に最大内径を有するテーパ穴(即ち、ダイヤフラム9へ向かうに従って拡径された末広がりのテーパ穴)として構成することで、貫通孔17b1内に押し入れられた液体を、ダイヤフラム9と第1挟持部材17の裏面との間に流入するように流動させることができる。よって、ダイヤフラム9を徐々に引き剥がし易くして、剥離音の抑制を図ることができる。
ここで、貫通孔17b1は、その内径が、上述したダイヤフラム9の注入跡部の外径よりも大きな径に設定されると共に、液封入式防振装置100の組み立て状態における軸心方向視において、ダイヤフラム9の注入跡部を含む位置に配設されている。よって、大振幅の振動入力に伴って、第1挟持部材17の裏面にダイヤフラム9が張り付く場合に、そのダイヤフラム9の注入跡部を貫通孔17b1内に受け入れて、剥離音の発生を抑制することができる。
即ち、ダイヤフラム9の注入跡部は、加硫金型からダイヤフラム9を脱型した後、注入口に対応する部位を切除することが形成される部位であり、ダイヤフラム9の表面から突出した状態に形成されている。そのため、ダイヤフラム9が第1挟持部材17の裏面に張り付く場合に、この注入跡部が第1挟持部材17の裏面に当接すると、注入跡部の突出高さ分だけ、第1挟持部材17の裏面とダイヤフラム9の表面との間に隙間が形成され、その隙間の周囲が第1挟持部材17の裏面に張り付く(密着する)こととなる。
即ち、第1挟持部材17の裏面に張り付いた領域の一部に隙間(空間)が形成されるため、そのダイヤフラム9が第1挟持部材17の裏面から引き剥がされる際には、上述した隙間(空間)内の液体が負圧となり易く、剥離音が大きくなる。これに対し、本発明の液封入式防振装置100によれば、注入跡部を貫通孔17b1内に逃がすことができるので、挟持部材17の裏面に張り付いた領域内に上述した隙間(空間)が形成されることを回避して、剥離音の発生を抑制することができる。
なお、第1挟持部材17に貫通孔17b1が設けられていない従来品では、注入跡部が第1挟持部材17の裏面に当接することを回避して、剥離音を抑制するべく、その配設位置をダイヤフラムの周縁部(取付け板10に近接する位置)に設定する必要がある。そのため、加硫金型内でのゴム材料の流動不良が発生し易く、歩留まりが低下するという問題点があった。
これに対し、本発明によれば、上述したように、貫通孔17b1を利用して注入跡部を逃がす構成としたので、かかる注入跡部の配設位置をダイヤフラム9の中心部(軸心上)とすることができる。その結果、加硫金型内でゴム材料を均一に流動させ、流動不良を抑制することができるので、ダイヤフラム9の歩留まりの向上を図ることができる。
次いで、図4及び図5を参照して、仕切り体12を構成する第2挟持部材18について説明する。図4は第2挟持部材18の上面図であり、図5は、図4のV−V線における第2挟持部材18の断面図である。
第2挟持部材18は、上述した第1挟持部材17と共にメンブレン15を挟持して、そのメンブレン15を拘束(往復動変位を規制)するための部材であり、図4及び図5に示すように、鉄鋼材料などの金属材料から軸芯Oを有する略円板状に形成されている。なお、第2挟持部材18は、表面及び裏面(図5上側面及び下側面)が平行な一定の板厚を有する板状に構成されている。
第2挟持部材18は、図4及び図5に示すように、略円形に開口形成される開口部18aと、その開口部18aの中心部に位置する中央部材18bと、その中央部材18bから開口部18aの周縁部へ向けて放射直線状に延設され中央部材18bと開口部18aの周縁部とを連結する複数本(本実施の形態では4本)の変位規制リブ18cとを備える。
なお、開口部18a、中央部材18b及び変位規制リブ18cは、上述した第1挟持部材17における開口部17a、中央部材17b及び変位規制リブ17c(図2及び図3参照)と同一のパターン(即ち、軸心Oに対する位置、大きさ、範囲などがそれぞれ同一)に構成されるものであるので、その説明は省略する。但し、第2挟持部材18では、第1挟持部材17と異なり、中央部材18bに貫通孔が形成されていない。
図4及び図5に示すように、第2挟持部材18の外周縁には、切欠き65が開口形成されている。この切欠き65は、オリフィス流路(オリフィス25、図1参照)の一端を第1液室11A(図1参照)に連通させるための開口である。即ち、仕切り体12の組立状態では、切欠き65が上述したオリフィス筒部材16の切欠き55に接続され(図8参照)、これにより、オリフィス流路が、切欠き55,65を介して、第1液室11Aに連通される。
第2挟持部材18は、図4及び図5に示すように、その板厚方向(図5上下方向)に貫通形成される複数(本実施の形態では、5個)の挿通孔32を備えている。この挿通孔32は、上述したように、オリフィス筒部材16の突設ピン31が挿通される孔である。
ここで、第2挟持部材18の板厚は、突設ピン31の突設高さよりも小さい寸法に設定されている。よって、突設ピン31が挿通孔32に挿通されると、突設ピン31の軸方向先端が挿通孔32から突出されるので、この突出された突設ピン31の先端面を軸方向に圧縮する(かしめ加工を施す)ことで、挿通孔32に突設ピン31を嵌合することができる。これにより、オリフィス筒部材16(第1挟持部材17)に対する第2挟持部材18の周方向位置が位置決めされると共に、これら両部材16,18が一体化される(図7から図9参照)。
なお、各挿通孔32は、それぞれ同じ形状に構成されており、図5に示すように、軸心O方向(図5上下方向)に沿って一定の内径を有する円筒状の部位と、その部位から開口側(オリフィス筒部材16の上面に当接される側)へ向かうほど内径がテーパ状に拡径される部位とを備える。
また、各挿通孔32の配設位置は、図4に示すように、各突設ピン31に対応する位置に配設されており、軸心Oからの離間距離がそれぞれ同じとされる一方、隣接する各挿通孔32同士の周方向間隔が不等間隔(軸心Oに対する中心角がそれぞれ異なる角度)とされている。その結果、各挿通孔32に各突設ピン31がそれぞれ挿通されると、オリフィス筒部材16に対する第2挟持部材18の相対位置(周方向位置および表裏)が一位置のみに定まり、各変位規制リブ18cと各変位規制リブ17cとの周方向位置が一致される(軸心O方向視において重なる位置に配設される)と共に(図7参照)、切欠き65と切欠き55とが接続される(図8参照)。
次いで、図6を参照して、仕切り体12を構成するメンブレン15について説明する。図6(a)はメンブレン15の上面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線におけるメンブレン15の断面図である。
メンブレン15は、図6に示すように、ゴム状弾性体から軸心Oを有する円板状に構成される部材であり、第1挟持部材17及び第2挟持部材18の対向面間に収容される(図9参照)。なお、メンブレン15の外径(図6(b)左右方向寸法)は、オリフィス筒部材16の内径よりも小さくされると共に開口部17a,18aの内径よりも大きくされ、かつ、メンブレン15の厚み寸法(図6(b)上下方向寸法)は、第1挟持部材17及び第2挟持部材18の対向間隔よりも小さくされると共に(図9参照)ダイヤフラム9の厚みよりも大きくされている(図1参照)。
ここで、メンブレン15は、その厚み方向(図6(b)上下方向)中央を通過する仮想平面に対して面対称となる凸レンズ状の形状に構成されている。即ち、メンブレン15は、図6(b)に示すように、その上面15aが上方(図6(b)上側)へ凸の円錐面(軸心Oに対して所定角度を有する仮想直線を軸心O周りに回転させて得られる曲面)として構成されると共に、下面15cが下方(図6(b)下側)へ凸の円錐面として構成されている。よって、メンブレン15の中心部(円錐面の頂部近傍)が貫通孔17b1内に入り込むことで、その分、貫通孔17b1の液圧を上昇させることができる。なお、両円錐面の高さは、互いに同じ高さとされている。
このように、本実施の形態では、メンブレン15の厚み寸法(図6(b)上下方向寸法)を、周縁部から中央部(軸心O側)へ向かうに従って大きく(厚く)なるように構成し、第1挟持部材17との間の対向間隔が、メンブレン15の中央部(軸心O側)へ向かうほど狭くなるように構成したので(図9参照)、後述するように、大振幅の振動入力時に、メンブレン15が第1挟持部材17の表面へ向けて移動する際には、その移動に伴う液圧の上昇を、対向間隔が狭い中央部(貫通孔17b1)に先に作用させることでき、ダイヤフラム9を中央部(貫通孔17b1に対応する部位)から徐々に引き剥がすことができるので、剥離音の発生を抑制することができる(図10から図12参照)。
ここで、メンブレン15の上面15a及び下面15bには、リブや突起、凹部などが形成されておらず、平坦面として構成されている。よって、後述するように、大振幅の振動入力時に、メンブレン15が第1挟持部材17の表面へ向けて移動する場合には、液体を貫通孔17b1内へ押し入れることで、かかる貫通孔17b1内の液圧を上昇させる効果、及び、第1挟持部材17の表面に当接した(張り付いた)メンブレン15へ第1液室11Aから開口部18aを介して液圧が作用して、そのメンブレンが貫通孔17b1側へ変形することで、貫通孔17b1内の液圧を更に上昇させる効果をそれぞれより効果的に発揮させることができる(図10から図12参照)。
次いで、図7から図9を参照して、仕切り体12の組み立て方法、及び、仕切り体12の組立状態について説明する。図7は、仕切り体12の上面図であり、図8は、図7の矢印VIII方向から視た仕切り体12の側面図である。また、図9は、図7のIX−IX線における仕切り体12の断面図である。
仕切り体12の組み立てに際しては、まず、第2挟持部材18の各挿通孔32へオリフィス筒部材16の各突設ピン31をそれぞれ挿通させつつ、オリフィス筒部材16の上面側(図8及び図9上側)に第2挟持部材18を装着する。この場合、オリフィス筒部材16の内周部、即ち、第1挟持部材17と第2挟持部材18との対向面間にメンブレン15を収容する。
なお、オリフィス筒部材16と第2挟持部材18とは、各挿通孔32に各突設ピン31がそれぞれ挿通されることで、図7に示すように、各変位規制リブ18cと各変位規制リブ17cとの周方向位置が一致される(軸心O方向視において重なる位置に配設される)と共に、図8に示すように、切欠き65と切欠き55とが接続される。
オリフィス筒部材16に第2挟持部材18を装着した後は、次いで、挿通孔32に挿通され突設ピン31の先端面を軸方向に圧縮する(かしめ加工を施す)。これにより、突設ピン31の軸部が拡径され、この軸部が挿通孔32の内周面に圧接されると共に、突設ピン31の軸方向先端部が潰され、この軸方向先端部が第2挟持部材18の上面(図8及び図9上側面)に圧接されることで、図7から図9に示すように、オリフィス筒部材16と第2挟持部材18とが一体化される。
次いで、図10から図13を参照して、大振幅の振動入力時における仕切り体12の動作を説明する。図10から図13は、液封入式防振装置100の部分拡大断面図であり、図1に図示された液封入式防振装置100の部分拡大図に対応する。
なお、図10は、リバウンド方向へ入力された大振幅の振動がバウンド方向へ切り替わる直前の状態における液封入式防振装置100の部分拡大断面図であり、図11は、大振幅の振動の入力方向がバウンド方向へ切り替わった直後の状態における液封入式防振装置100の部分拡大断面図であり、図12は、バウンド方向へ入力された大振幅の振動がリバウンド方向へ切り替わる直前の状態における液封入式防振装置100の部分拡大断面図である。
ここで、バウンド方向への振動入力とは、第1取付け金具1と第2取付け金具2とが互いに近接する方向へ相対変位して、第1液室11Aの容積が減少することで、第1液室11Aから押し出された液体が第2液室11Bへ流動し、第2液室11Bの容積が増大する方向の入力であり、リバウンド方向への振動入力とは、第1取付け金具1と第2取付け金具2とが互いに離間する方向へ相対変位して、第1液室11Aの容積が増大することで、第1液室11Aへ向けて第2液室11Bの液体が吸い上げられ、第2液室11Bの容積が減少する方向の入力である(図1参照)。
本実施の形態における液封入式防振装置100によれば、まず、大振幅の振動がリバウンド方向へ入力されると、第2液室11Bの液体が第1液室11Aへ流動されることで、メンブレン15及びダイヤフラム9が第1液室11A側へ向けて吸い上げられ、図10に示すように、メンブレン15が第2挟持部材18の裏面(図10下側面)に張り付くと共に、ダイヤフラム9が第1挟持部材17の裏面(図10下側面)に張り付く。
次いで、振動の入力方向がリバウンド方向からバウンド方向へ切り替わり、第1液室11Aから第2液室11Bへの液体の流動が開始されると、その液体の流動に伴って、メンブレン15及びダイヤフラム9が押し戻され、メンブレン15が第2挟持部材18の裏面(図10下側面)から第1挟持部材17の表面(図10上側面)へ向けて移動を開始すると共に、ダイヤフラム9が第1挟持部材17の裏面(図10下側面)から離れようとする。
この場合、上述したように、第1挟持部材17の中央部材17bには、貫通孔17b1が貫通形成されている。よって、図10に示す状態(即ち、貫通孔17b1の開口をダイヤフラム9が閉塞する状態)から、液体の流動に伴って、メンブレン15が、第2挟持部材18の裏面(図10下側面)から第1挟持部材17の表面(図10上側面)へ向けて移動すると、そのメンブレン15の移動によって、図11に示すように、液体が貫通孔17b1内へ押し入れられ、かかる貫通孔17b1内の液圧が上昇されると共に、バウンド方向への振動が更に入力されると、図12に示すように、メンブレン15が第1挟持部材17の表面(図12上側面)に当接する(張り付く)と、第1液室11Aから開口部18aを介してメンブレン15に作用する液圧によって、そのメンブレン15を貫通孔17b1側(図12下側)へ変形させ、貫通孔17b1内の液圧を更に上昇させることができる。
その結果、貫通孔17b1内の液圧の上昇に伴って、かかる液圧をダイヤフラム9の中心部(貫通孔17b1の開口を望む部位)に作用させ、図11に示すように、ダイヤフラム9を第1挟持部材の裏面(図11下側面)から徐々に引き剥がすことができる。即ち、第1挟持部材17の裏面から引き剥がされる部位を、図10、図11及び図12に示すように、貫通孔17b1に対応する部位からその周辺部へ向けて徐々に拡げることができる。
よって、従来品では、ダイヤフラム9が第1挟持部材17の裏面(特に、中央部材17b)から全体的に一気に引き剥がされる(即ち、図10に示す状態から、図11に示す状態を経ずに、図12に示す状態へ遷移する)ために、剥離音が発生していたのに対し、本発明の液封入式防振装置100によれば、ダイヤフラム9を第1挟持部材17の裏面から徐々に引き剥がすことができるので、剥離音の発生を抑制することができる。
また、このように、貫通孔17b1を設けることで、剥離音の発生を抑制することができれば、大振幅の振動入力時に第1挟持部材の裏面にダイヤフラム9が張り付くことを回避するために、オリフィス筒部材16の全高(図10上下方向寸法)を大きくする、或いは、筒状金具4の全高(図10上下方向寸法)を延長するなどによって、第1挟持部材17の裏面とダイヤフラム9とを離間させる必要がない。
よって、液封入式防振装置100全体としての小型軽量化を図ることができる。特に、第1挟持部材(仕切り体12)とダイヤフラム9との間の間隔を狭くすることができれば、第2液室11Bの容積(即ち、重量が嵩む液体)を減少させることができるので、その分、軽量化を効果的に達成することができる。
ここで、本実施の形態では、メンブレン15の厚み寸法(図6(b)上下方向寸法)を、図10から図12に示すように、ダイヤフラム9の厚み寸法よりも大きくする構成であるので、メンブレン15の移動によって、図11に示すように、貫通孔17b1内の液圧を上昇させ、ダイヤフラム9を第1挟持部材17の裏面から引き剥がし易くすることができる。
更に、本実施の形態では、上述したように、メンブレン15の厚み寸法が、周縁部から中央部(軸心O側)へ向かうに従って大きく(厚く)なるように構成したので、メンブレン15が第2挟持部材18の裏面から第1挟持部材17の表面へ向けて移動する際には、その移動に伴う液圧の上昇を、図11に示すように、厚み寸法が大きい(即ち、第1挟持部材17との間の対向間隔が狭い)中央部(即ち、貫通孔17b1)から先に作用させることできる。よって、ダイヤフラム9を中央部(貫通孔17b1に対応する部位)から徐々に引き剥がして、剥離音の発生をより確実に抑制することができる。
即ち、メンブレン15の厚み寸法が一定で、第1挟持部材17とメンブレン15との間の対向間隔が一定であると、メンブレン15が第2挟持部材18の裏面から第1挟持部材の表面へ向けて移動した際に、その移動に伴う液圧の上昇が、開口部17aを介して、ダイヤフラム9の外周側に作用して、かかるダイヤフラム9が外周側から剥がれようとするため、第1挟持部材17の裏面(特に、中央部材17b)に張り付いている部位の全面を一気に剥がす形態となり、剥離音が発生する。これに対し、本発明の液封入式防振装置100のように、貫通孔17b1内の液圧を先に上昇させることができれば、ダイヤフラム9を貫通孔17b1に対応する部位から徐々に引き剥がすことができるので、剥離音の発生を抑制することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態では、メンブレン15の上面15a及び下面15bを平坦面として構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、軸心Oから放射直線状に延設される突起および軸心Oを中心とする円環状の突起の一方または両方を、上面15a及び下面15bの一方または両方から突設させて構成しても良い。
上記実施の形態では、第1取付け金具1がエンジン側に取り付けられると共に、第2取付け金具2が車体フレーム側に取り付けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1取付け金具1を車体フレーム側に取り付けると共に第2取付け金具2をエンジン側に取り付けたいわゆる倒立型の液封入式防振装置として構成しても良い。なお、上記実施の形態では、リバウンド方向からバウンド方向へ振動入力方向が切り替わる際の剥離音を抑制するが、この変形例の場合には、バウンド方向からリバウンド方向へ振動入力方向が切り替わる際の剥離音を抑制する。
上記実施の形態では、複数の突設ピン31(挿通孔32)の内の隣接するもの同士の周方向間隔(軸心Oに対する中心角)がすべて異なる間隔(中心角)となる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも2種類の間隔(中心角)を有していれば良い。即ち、オリフィス筒部材16に対して第2挟持部材18の装着可能な方向が、第2挟持部材18の表面側または裏面側のいずれか一方側のみとされ、かつ、オリフィス筒部材16に対する第2挟持部材18の周方向位置が一位置のみに定まる構成であれば足りる趣旨である。これにより、仕切り体12の組み立て作業性の向上を図ることができる。
上記実施の形態では、貫通孔17b1をテーパ孔として構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、軸心方向に沿って内径が一定のストレート孔として構成することは当然可能である。或いは、貫通孔17b1のテーパ方向を上記実施の形態とは逆向きに構成しても良い。
上記実施の形態では、第2挟持部材18の中央部材18bに貫通孔が形成されない場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1挟持部材17の中央部材17bと同様に、第2挟持部材18の中央部材18bにも貫通孔を貫通形成しても良い。この中央部材18bに形成された貫通孔を介して、れにより、第1液室11Aの液圧をメンブレン15に作用させることができるので、第1挟持部材17の貫通孔17b1内の圧力を上昇させ易くして、剥離音の発生をより確実に抑制することができる。
本発明の一実施の形態における液封入式防振装置の断面図である。 オリフィス筒部材の上面図である。 図2(a)のIII−III線におけるオリフィス筒部材の断面図である。 第2挟持部材の上面図である。 図4のV−V線における第2挟持部材の断面図である。 (a)はメンブレンの上面図であり、(b)は、図6(a)のVIb−VIb線におけるメンブレンの断面図である。 仕切り体の上面図である。 図7の矢印VIII方向から視た仕切り体の側面図である。 図7のIX−IX線における仕切り体の断面図である。 液封入式防振装置の部分拡大断面図であり、リバウンド方向へ入力された大振幅の振動がバウンド方向へ切り替わる直前の状態が図示されている。 液封入式防振装置の部分拡大断面図であり、大振幅の振動の入力方向がバウンド方向へ切り替わった直後の状態が図示されている。 液封入式防振装置の部分拡大断面図であり、バウンド方向へ入力された大振幅の振動がリバウンド方向へ切り替わる直前の状態が図示されている。
100 液封入式防振装置
1 第1取付け金具(第1取付け具)
2 第2取付け金具(第2取付け具)
4 筒状金具(第2取付け具の一部)
5 底金具(第2取付け具の一部)
3 防振基体
8 液体封入室
9 ダイヤフラム
11A 第1液室
11B 第2液室
12 仕切り体(仕切り手段)
15 メンブレン
16 オリフィス筒部材(筒部材)
17 第1挟持部材(第2液室側に位置する挟持部材)
17a 開口部
17b 中央部材
17b1 貫通孔
17c 変位規制リブ
18 第2挟持部材(挟持部材)
18a 開口部
18b 中央部材
18c 変位規制リブ
25 オリフィス

Claims (2)

  1. 第1取付け具と、第2取付け具と、前記第2取付け具と前記第1取付け具とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室とに仕切る仕切り手段と、前記第1液室と第2液室とを連通させるオリフィスとを備え、
    前記仕切り手段が、ゴム状弾性体から構成されるメンブレンと、前記メンブレンを内周側に収容する筒状の筒部材と、前記筒部材内に収容された前記メンブレンの変位を両面側から規制する一対の挟持部材とを備えて構成される液封入式防振装置において、
    前記一対の挟持部材はともに、円形に開口形成される開口部と、前記開口部の中心部に位置する中央部材と、前記中央部材から前記開口部の周縁部へ向けて放射直線状に延設され前記中央部材と前記開口部の周縁部とを連結する複数本の変位規制リブとを備え、
    前記メンブレンは、前記筒部材の内径よりも外径が小さくされると共に前記開口部の内径よりも外径が大きくされ、かつ、前記一対の挟持部材の対向間隔よりも厚みが小さい円板状に構成され、
    前記一対の挟持部材の内の前記第2液室側に位置する挟持部材は、前記中央部材に貫通形成される貫通孔を備え、
    前記貫通孔は、前記ダイヤフラム側の開口が最大内径となり、前記メンブレン側の開口が最少内径となるテーパ穴として構成され、
    前記貫通孔の最大内径が、前記変位規制リブのリブ幅の50%以下の大きさであると共に前記貫通孔の最少内径が、前記変位規制リブのリブ幅の20%以上であり、
    前記ダイヤフラムは、前記挟持部材に対向する側の面における中心部が前記ダイヤフラムの表面から最も突出した部分球状を有し軸心周りに対称なゴム膜状に構成されると共に、加硫金型により加硫成型される際に注入口に連結される注入跡部が、前記挟持部材に対向する側の面における中心部に配設され、
    前記挟持部材の貫通孔は、前記ダイヤフラムの注入跡部の外径よりも大きな径の内径を有すると共に、前記ダイヤフラムの軸心方向視において、ダイヤフラムの注入跡部を含む位置に配設されていることを特徴とする液封入式防振装置。
  2. 前記メンブレンは、前記メンブレンの厚み寸法が、周縁部から中央部へ向かうに従って大きくなるように構成され、前記第2液室側に位置する挟持部材と前記メンブレンとの間の対向間隔が前記メンブレンの中央部に向かうほど狭くなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液封入式防振装置。
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